説明

オープンショーケース

【課題】収容室での温度ムラを低減できるようにする。
【解決手段】上面が開放された平面視で四角形状の周辺を有する収容室2と、収容室2の下側に形成された冷気通路3とを有する。冷気通路3は、隣り合う前側および右側の周辺2a・2bに沿って配した吸込口7と、前側および右側の周辺2a・2bに対して収容室2を介して臨ませた吹出口6とを有する。冷気通路5内には、前側の周辺2aに臨ませて配した送風ファン12と、送風ファン12の送風下流側に配した熱交換器13とを配しており、熱交換器13の送風下流側が吹出口6に繋がっている。右側の周辺2bの吸込口7と、冷気通路3との間に吸気ファン15を介在させており、吸気ファン15によって、右側の周辺2bの吸込口7から冷気通路3へ冷気を吸い込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮食品や飲料品や冷凍品などの被収容物を、上面側が開放された収容室内に冷蔵あるいは冷凍保存するオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、平面視で多角形状の周辺を有する前記収容室と、収容室の下側に形成された冷気通路とを有しており、冷気通路内に配した送風ファンによって、収容室の周辺に配した吸込口から冷気通路内に収容室内の冷気を吸い込んだのちに、冷気通路内に配した熱交換器で冷却して、吹出口から冷気を吹き出すオープンショーケースが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−159938号公報(図1−3)
【特許文献2】特開2005−30656号公報(図1−2)
【特許文献3】特開2006−162118号公報(図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3のオープンショーケースでは、前記送風ファンが収容室の周辺のうちのいずれか一辺に臨むように配されている。このため、送風ファンが臨んでいる収容室の周辺に設けた吸込口からは多量の冷気が吸い込まれる一方で、送風ファンが臨んでいない収容室の周辺に設けた吸込口からの冷気の吸い込み量は少なくなる。
【0005】
特に、収容室の隅部は、吹出口から遠くなるために吹出口から吹き出された冷気が届き難いうえ、送風ファンが臨んでいない収容室の周辺に近い分だけ吸込口からの冷気の吸い込み量が少ないことになる。このため、収容室内において、温度ムラが生じるところに問題がある。
【0006】
本発明の目的は、収容室での温度ムラを低減できるオープンショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が対象とするオープンショーケースは、図1ないし図3に示すごとく、上面が開放された平面視で多角形状の周辺を有する収容室2と、収容室2の下側に形成された冷気通路3とを有しており、冷気通路3は、収容室2の周辺のうち、少なくとも隣り合う二辺2a・2bに沿って配した吸込口7と、吸込口7を配した収容室2の周辺2a・2bに対して収容室2を介して臨ませた吹出口6とを有しており、冷気通路5内には、吸込口7を配した収容室2の周辺2a・2bのうちのいずれか一辺2aに臨ませて配した送風ファン12と、送風ファン12の送風下流側に配した熱交換器13とを配しており、熱交換器13の送風下流側が吹出口6に繋がっている。
【0008】
ここでの収容室2は、平面視で三角形、四角形あるいは五角形などのものが該当する。吸込口7は、複数の小口を収容室2の周辺2a・2bに沿って並べたものや、収容室2の周辺2a・2bに沿って延びる長穴形状のものなどが該当する。
【0009】
本発明は、図1および図3に示すごとく、吸込口7を配した収容室2の周辺2a・2bのうち、送風ファン12が臨んでいない収容室2の周辺2bの吸込口7と、冷気通路3との間に吸気ファン15を介在させており、吸気ファン15によって、送風ファン12が臨んでいない収容室2の周辺2bの吸込口7から冷気通路3へ冷気を吸い込むことを特徴とする。
【0010】
さらに、吸込口7を配した収容室2の周辺2a・2bのうち、収容室2の隅部分に対応する吸込口7と、冷気通路3との間に隅用吸気ファン16を介在させており、隅用吸気ファン16によって、収容室2の隅部分に対応する吸込口7から冷気通路3へ冷気を吸い込むこととすることができる。
【0011】
吸気ファン15は、送風ファン12が臨んでいない収容室2の周辺2bの吸込口7から冷気通路3へダンパ30を介して冷気を吸い込むものとすることができる。
【0012】
具体的には、ダンパ30は、図5に示すごとく、収容室2の周辺2bの吸込口7に繋がっていて吸気ファン15を収容するダンパ本体31と、ダンパ本体31に繋がっていて吸気ファン15による吸気を冷気通路3内へ導く吸気調節部32とを有しており、吸気調節部32が、冷気通路3と繋がる通気面積を調節してあるものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸気ファン15によって、送風ファン12が臨んでいない収容室2の周辺2bの吸込口7からも冷気を十分に吸気でき、これによって冷気の循環を収容室2の全体で確実に図ることができる。したがって、収容室2の全体において温度ムラが生じ難くなって収容室2の全体を確実に冷却できる。
【0014】
隅用吸気ファン16を設けたことで、吹出口6から吹き出した冷気が届き難い収容室2の隅部分に対応する吸込口7からも冷気通路3へ冷気を十分に吸い込むことができて、冷気の循環を収容室2の全体でより確実に図ることができ、収容室2の全体において温度ムラがより生じ難くなって収容室2の全体を確実に冷却できる。
【0015】
吸気ファン15が、ダンパ30を介して冷気通路3へ冷気を吸い込むことで、送風ファン12が臨んでいない収容室2の周辺2bの吸込口7から冷気通路3への冷気の過度の吸い込みを防止して、適正な吸い込み量に調節することができる。これによって、収容室2の全体において温度ムラが生じ難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面は、本発明に係るオープンショーケースの実施例を示している。ショーケース本体1は、図1ないし図3に示すごとく、平面視で四角形状であって上面が開放されている収容室2と、この収容室2の下側に形成された冷気通路3とを有している。収容室2の左側かつ後ろ側の隅部分には、柱状の冷気吹出部5が立設されており、冷気吹出部5の上端部には、収容室2側へ冷気を吹き出すための吹出口6が配されている。
【0017】
収容室2の前後左右の4つの周辺のうち、隣り合う前側および右側の周辺2a・2bに立設された外周壁10・11には、図1に示すごとく、複数の小口状の吸込口7がそれぞれ設けられている。つまり、前側および右側の外周壁10・11の上面に沿って各吸込口7がそれぞれ並べて設けられている。各吸込口7は、前記外周壁10・11内に設けた通路9を介して前記冷気通路3に連通している。各吸込口7は、外周壁10・11の内側面にも設けてある(図5参照)。
【0018】
冷気通路3内には、吸込口7を配した収容室2の前側の周辺2aに臨ませて左右方向に並べた4個の送風ファン12と、これらの送風ファン12の送風下流側(図1では上側)に配してあって各吸込口7から吸い込まれた冷気を冷却する熱交換器13と、送風ファン12が臨んでいない収容室2の右側の周辺2bに沿って前後方向に並べた3個の側面吸気ファン15と、収容室2の右側かつ前側の隅部分に対応する位置に配した隅用吸気ファン16とを有している。
【0019】
各送風ファン12は、熱交換器13の前側に配した取付板19にそれぞれ取り付けられている。熱交換器13は、圧縮機や凝縮器などからなる冷却装置(図示せず)に接続されており、この冷却装置は、例えば、冷凍機別置き型オープンショーケースの場合には、店舗建物の外部などに配置され、また冷凍機内蔵型オープンショーケースの場合には、ショーケース本体1の底部に設けた機械室20内などに配置されている(図2参照)。
【0020】
冷気吹出部5の吹出口6は、図2および図3に示すごとく、収容室2の前側および右側の周辺2a・2bにそれぞれ臨むように、冷気吹出部5の前面および右側面の上端部にそれぞれ設けてある。冷気吹出部5の前面および右側面の各吹出口6は、収容室2の上部空間を介して収容室2の前側および右側の周辺2a・2bにそれぞれ臨むよう斜め下向きになっている。そして、冷気吹出部5の前面および右側面の各吹出口6から吹き出した冷気の一部が、収容室2の外周壁10・11の各吸込口7から吸い込まれることでエアーカーテン22を形成し、また前記冷気の一部が、収容室2内に流れ込んで収容室2内を冷却する。
【0021】
各吹出口6は、図2に示すごとく、冷気吹出部5内に設けた送気ダクト21を介して冷気通路3に連通している。送気ダクト21は上下方向に延びており、送気ダクト21の下端が熱交換器13の後ろ側(図2では左側)に繋がっている。つまり、前記送風ファン12の送風作用によって熱交換器13を通過して冷却された冷気が、送気ダクト21を通って各吹出口6へ送気される。
【0022】
冷気吹出部5の前面および右側面には、上下複数段の棚17が配されており、生鮮食品や飲料品などの被収容物が各棚17および収容室2の底面に載置される。各棚17は、下側ほど横幅が大きくなっており、前記エアーカーテン22よりも内側に各棚17が位置する。各吹出口6には、冷気の流れを整えるための整風部材が配されている。ショーケース本体1の外壁は断熱構造になっている。
【0023】
冷気吹出部5の下端部には、図3に示すごとく、左右横長のチャンバ23が配されており、図1に示すごとく、収容室2内に臨むチャンバ23の前部の右半部と右側部との上面の縁には、複数の小口状の冷気吹出孔25がそれぞれ設けられている。チャンバ23内には、送気ファン26が配されており、送気ファン26は、図4に示すごとく、右方向であって斜め下向きとなる姿勢で取付板27に取り付けられる。チャンバ23の底面の左側には、左右横長の通気口29が形成されており、通気口29の下面が、図2に示すごとく、熱交換器13の後ろ側に臨んでいる。
【0024】
そして、熱交換器13で冷却された冷気の一部が、通気口29からチャンバ23内に吸い込まれて、各冷気吹出孔25から収容室2内へ吹き出される。これにより、冷気吹出部5の各吹出口6から斜めに吹き出した冷気の流れから遠い、収容室2の下部の奥側に収容した被収容物も確実に冷却することができる。
【0025】
各側面吸気ファン15は、図1に示すごとく、収容室2の右側の周辺2bの吸込口7と、冷気通路3との間に介在しており、図5および図6に示すごとく、冷気吹出部5内に配された前後方向に長いダンパ30内に収容されている。ダンパ30は、右側の外周壁11内の通路9に繋がっていて各側面吸気ファン15を収容する箱状のダンパ本体31と、ダンパ本体31の下側に取り付けてあって各側面吸気ファン15による吸気を冷気通路3内に導く枠状の吸気調節部32とを有している。
【0026】
ダンパ本体31は下面が開口しており、各側面吸気ファン15は、吸気調節部32の上面に前後方向に並べて取り付けられている。吸気調節部32は、前後面がそれぞれ開放されているとともに、左側面32aの前後方向の中央部に5個の吹出孔33が前後方向に並べて形成されており、これによって冷気通路3と繋がる通気面積を調節してある。吸気調節部32の左側面32aは、冷気通路3の底面の傾斜に合わせて後ろ側(図5では左側)ほど上下幅が小さくなっている。
【0027】
そして、各側面吸気ファン15の送風作用によって、右側の外周壁11の各吸込口7に吸い込まれた冷気が、右側の外周壁11内の通路9を通ってダンパ30のダンパ本体31内に流れ込んだのちに吸気調節部32に流れ込んで、吸気調節部32の前後および各吹出孔33から冷気通路3内に吹き出す。ダンパ30を介することにより、右側の外周壁11の各吸込口7から吸い込まれて冷気通路3内に吹き出される冷気の量が調節される。
【0028】
隅用吸気ファン16は、収容室2の右側かつ前側の隅付近に対応する吸込口7と、冷気通路3との間に介在しており、隅用吸気ファン16によって、収容室2の隅部分に対応する吸込口7から冷気通路3へ冷気が吸い込まれる。隅用吸気ファン16は、箱状の導風カバー35の下面に取り付けられている。導風カバー35の下側には、支持枠36が取り付けられており、導風カバー35と冷気通路3の底面との間に隙間が形成されている。隅用吸気ファン16の送風作用によって、収容室2の右側かつ前側の隅付近に対応する吸込口7に吸い込まれた冷気が、外周壁10・11内の通路9を通って導風カバー35内に流れ込んだのちに、導風カバー35と冷気通路3の底面との間の隙間を通って冷気通路3内に吹き出す。
【0029】
冷気の流れを全体として説明すると、図1に示すごとく、各送風ファン12の送風作用によって、収容室2の前側の外周壁10の各吸込口7から冷気通路3内に冷気が吸い込まれる。また、各側面吸気ファン15の送風作用によって、収容室2の右側の外周壁11の各吸込口7から冷気が吸い込まれたのちに、ダンパ30を通って冷気通路3内に吹き出す。さらに、隅用吸気ファン16の送風作用によって、収容室2の右側かつ前側の隅付近に対応する冷気が吸込口7に吸い込まれたのちに、冷気通路3内に吹き出す。
【0030】
前記冷気通路3内に吹き出した冷気は、各送風ファン12の送風作用によって、熱交換器13を通過して冷却され、その冷却された冷気の一部が、冷気吹出部5内の送気ダクト21を通って各吹出口6から吹き出し、収容室2の上部空間を斜め下向きに流れて、前側および右側の外周壁10・11の各吸込口7に吸い込まれて循環する。
【0031】
熱交換器13を通過して冷却された冷気の一部は、通気口29からチャンバ23内に吸い込まれて、チャンバ23の各冷気吹出孔25から収容室2内へ吹き出され、収容室2内を冷却したのちに、前側の外周壁10や右側の外周壁11の各吸込口7に吸い込まれる。図2および図3に示すごとく、本実施例では、冷気が収容室2外に流出するのを防ぐために、前側および右側の外周壁10・11の外側に透明の外堰板37を上向きに立設してあるが、前記外堰板37は設けなくてもよい。
【0032】
収容室2の左側の外周壁に吸込口7を設けてもよい。つまり、吸込口7は、収容室2の周辺のうち、少なくとも隣り合う二辺2a・2bに沿って配すればよく、収容室2の全ての周辺に配してもよい。この場合、冷気通路3内の左側にも側面吸気ファン15およびダンパ30を設けることになる。また、左側かつ前側の隅に隅用吸気ファン16を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るオープンショーケースの横断平面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のB−B線断面図
【図4】チャンバの縦断正面図
【図5】図3のC−C線断面図
【図6】図5のD−D線断面図
【符号の説明】
【0034】
2 収容室
2a・2b 収容室の周辺
3 冷気通路
5 冷気吹出部
6 吹出口
7 吸込口
9 通路
10・11 外周壁
12 送風ファン
13 熱交換器
15 側面吸気ファン
16 隅用吸気ファン
30 ダンパ
31 ダンパ本体
32 吸気調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された平面視で多角形状の周辺を有する収容室(2)と、収容室(2)の下側に形成された冷気通路(3)とを有しており、
冷気通路(3)は、収容室(2)の周辺のうち、少なくとも隣り合う二辺(2a)・(2b)に沿って配した吸込口(7)と、吸込口(7)を配した収容室(2)の周辺(2a)・(2b)に対して収容室(2)を介して臨ませた吹出口(6)とを有しており、
冷気通路(5)内には、吸込口(7)を配した収容室(2)の周辺(2a)・(2b)のうちのいずれか一辺(2a)に臨ませて配した送風ファン(12)と、送風ファン(12)の送風下流側に配した熱交換器(13)とを配しており、
熱交換器(13)の送風下流側が吹出口(6)に繋がっているオープンショーケースにおいて、
吸込口(7)を配した収容室(2)の周辺(2a)・(2b)のうち、送風ファン(12)が臨んでいない収容室(2)の周辺(2b)の吸込口(7)と、冷気通路(3)との間に吸気ファン(15)を介在させており、
吸気ファン(15)によって、送風ファン(12)が臨んでいない収容室(2)の周辺(2b)の吸込口(7)から冷気通路(3)へ冷気を吸い込むことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
吸込口(7)を配した収容室(2)の周辺(2a)・(2b)のうち、収容室(2)の隅部分に対応する吸込口(7)と、冷気通路(3)との間に隅用吸気ファン(16)を介在させており、
隅用吸気ファン(16)によって、収容室(2)の隅部分に対応する吸込口(7)から冷気通路(3)へ冷気を吸い込む請求項1記載のオープンショーケース。
【請求項3】
吸気ファン(15)は、送風ファン(12)が臨んでいない収容室(2)の周辺(2b)の吸込口(7)から冷気通路(3)へダンパ(30)を介して冷気を吸い込む請求項1又は2記載のオープンショーケース。
【請求項4】
ダンパ(30)は、収容室(2)の周辺(2b)の吸込口(7)に繋がっていて吸気ファン(15)を収容するダンパ本体(31)と、ダンパ本体(31)に繋がっていて吸気ファン(15)による吸気を冷気通路(3)内へ導く吸気調節部(32)とを有しており、
吸気調節部(32)は、冷気通路(3)と繋がる通気面積を調節してある請求項1又は2又は3記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−39213(P2008−39213A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210679(P2006−210679)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000239585)福島工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】