説明

カセッテ

【課題】耐衝撃性を向上させた電子カセッテを提供する。
【解決手段】放射線を電荷に変換して蓄積する複数の画素が基板に配された平板状の受像部21と、受像部21が固着される支持体を構成するX線遮蔽材28と基材22と脚部23とを有する撮像部2と、撮像部2を非固定状態で収納する筐体31aと31bと、を備え、前記支持体は、受像部21を支持し、前記支持体の外縁は、受像部21の受像面と平行な方向において、受像部21の基板の外縁よりも外側に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線等の放射線を検出してデジタル画像データに変換するカセッテに関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。一般的なX線撮影においては、被写体にX線を照射し、被写体の各部において減衰を受けて該被写体を透過したX線を検出し、その強度分布に基づいて被写体のX線画像を得ている。
【0003】
X線を検出する検出媒体としては、例えば、X線に露光されることにより蛍光を発する増感紙とこの蛍光に感光するフイルムとを組み合わせたものや、X線に露光されることによってX線の強度分布を潜像として蓄積し、後にレーザー光等の励起光を照射されることによって潜像に応じた蛍光を発する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)パネルが用いられている。
【0004】
また、検出媒体として、近年では、X線を検出して電気信号に変換する半導体素子を用いてデジタル画像データを生成するフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)も用いられている。
【0005】
そして、X線撮影には、上記の検出媒体が可搬型の筐体に収納されて構成された、いわゆるカセッテが広く用いられている。この種のカセッテは、その使用形態から荷重や衝撃に晒されることが多い。
【0006】
例えば、特許文献1に記載されたカセッテでは、荷重や衝撃から検出媒体を保護すべく、筐体と検出媒体との隙間に気嚢等の緩衝材が万遍なく設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006‐311575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の記載のカセッテでは、筐体と検出媒体の間に気嚢等の緩衝材が設けられることによって、運搬などの衝撃から検出媒体を保護している。しかし、カセッテが衝撃を受けた際に、検出媒体が必要以上に動き、筺体と検出媒体が接触してしまうことあった。特に、カセッテは薄板状に構成されており、その厚さは数センチ程度しかない。このため、筺体に検出媒体が接触すると、検出媒体が損傷を受けやすい。
【0009】
また、医療現場等においてカセッテを持ち運ぶ際に、誤ってカセッテを落としてしまうことがある。この場合、カセッテが薄板状に構成されているため、カセッテの筺体の側壁部から床に衝突することが多い。このため、筺体の側壁部を通じて検出媒体に与える衝撃対策を行うことが好ましい。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、カセッテの形状に起因した衝撃脆弱性に対して対策を施し、耐衝撃性を強化したカセッテを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
放射線を電荷に変換して蓄積する複数の画素が基板に配された平板状の受像部と、前記受像部が固着される支持体とを有する撮像部と、前記撮像部を非固定状態で収納する筐体と、を備え、前記支持体は、前記受像部を支持し、前記支持体の外縁は、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記受像部の基板の外縁よりも外側に位置しているカセッテ。
【発明の効果】
【0012】
上記カセッテによれば、カセッテが衝撃を受けた際に、受像部よりもこれを支持する支持体が大きく形成されているため、受像部に直接衝撃が伝わることがなく、受像部の基板が損傷しにくい。すなわち、カセッテの形状に起因した衝撃脆弱性に対して対策を施し、耐衝撃性を強化したカセッテを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、カセッテの一例の概略構成を示す分解図である。
【図2】図1のカセッテのA−A線断面図である。
【図3】図1のカセッテの放射線検出媒体を説明する模式図である。
【図4】図1のカセッテの他の一例の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。
【図6】図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。
【図7】図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。
【図8】図1のカセッテのさらに他の一例の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、カセッテの一例の概略構成を模式的に示す分解図であり、図2は、図1のカセッテのA−A線断面図である。
【0015】
カセッテ1は、X線検出媒体としてのFPD4及びFPD4を支持する支持体5を有する撮像部2と、撮像部2を非固定状態で収納する筺体3を含んで構成される。また、カセッテ1は、撮像部2のFPD2に動作電力を供給するバッテリーパック(図示せず)等を含んで構成される(FIG.1A)。
【0016】
なお、非固定状態とは、撮像部2が筐体3に対して固着されてはいない状態をいう。例えば、撮像部2を筐体3に接着して固定したり、ねじ止めなどの締結手段により固定したりしていない状態をいう。
【0017】
筐体3は、略矩形状の天板部31a及び天板部31aの四辺の縁部に立設された枠状の側壁部31bを有するフロント部材31と、フロント部材31の底部開口を塞ぐ平板状のバック部材32とで構成されている。バック部材32がフロント部材31に嵌め込まれることで、遮光された箱型の閉空間が形成され、撮像部2は、閉空間に収納されている。
【0018】
被写体を透過したX線は、フロント部材31の天板部31aを透過して、筐体3の内部に収納された撮像部2に入射する。天板部31aは、X線透過性に優れる材料によって形成され、強度重量比なども考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、炭素繊維強化樹脂(CFRP:carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料が用いられる。
【0019】
このように、カセッテ1においては、フロント部材31の側壁部31bは、天板部31aと同一の材料によって一体に形成されている。天板部及31a及び側壁部31bが一体に形成されることによって、フロント部材31の強度が向上し、特に天板部31aのねじれに対する耐性が向上する。
【0020】
天板部31a及び側壁部31bを形成する材料として、上記のアルミニウムやマグネシウムを用いる場合には、例えばダイカスト成形により天板部31a及び側壁部31bを一体に形成することができる。また、炭素繊維強化樹脂を用いる場合には、例えば圧縮成形により、天板部31a及び側壁部31bを一体に形成することができる。
【0021】
図1に示されるように、天板部31a及び側壁部31bが一体に形成されることにより、フロント部材31の四隅の角部に面取りが施されている。
【0022】
バック部材32も、強度重量比などを考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料が用いて形成されている。
【0023】
なお、筐体3は図1に示される構造に限られない。例えば、フロント部材31ではなく、バック部材32が側壁部を有していてもよい。また、フロント部材31とバック部材32のいずれも側壁部を有し、互いの側壁部が組み合わさって、撮像部2の閉空間が形成されるようにしてもよい。
【0024】
図2に示すように、撮像部2は、X線検出媒体としてのFPD4及びFPD4が固着される支持体5を含んで構成される。撮像部2は、主にX線の入射方向と平行な方向の衝撃を吸収する緩衝材24及び緩衝材25とをさらに含んで構成される。
【0025】
FPD4は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素40が平板状の基板41に配された受像部21と、後述する走査回路42や信号処理回路43等が実装された回路基板26と、受像部21と回路基板26を接続するフレキシブル回路基板27を有する。
【0026】
支持体5は、平板状の基材22と、受像部21の受像面と直交する方向に延びる複数の脚部23と、回路基板26をX線から遮蔽するX線遮蔽材28とを含んで構成される。
【0027】
撮像部2は、X線遮蔽材28、緩衝材25、受像部21及び緩衝材24が、基材22の上にこの順に積層されて構成されている。これにより、FPD4の受像部21が、支持体5に支持されている。
【0028】
緩衝材24は、天板部31aとこれに対向する受像部21の間に設けられている。このため、カセッテ1が受けた衝撃のうち、主に天板部31aが受けた衝撃を緩衝材24が吸収し、筐体3から受像部21に直接衝撃が伝わらずに済む。なお、緩衝材24は、天板部31aには接着されていない。単に、天板部31aと僅かな隙間を空けて配置されてもよく、天板部31aに圧接されてもよい。一方、緩衝材24は、受像部21に接着等により固着されている。
【0029】
受像部21は、緩衝材24と緩衝材25の間に設けられている。図2に示すように、受像部21の基板41の外縁41aは、受像部21の受像面と平行な方向において、基材22の外縁22aよりも内側に位置している。なお、受像部21は、緩衝材25に接着等により固着されている。
【0030】
緩衝材25は、受像部21と支持体5の間に設けられている。図2に示すように、受像部21とX線遮蔽材28の間に設けられている。このため、カセッテ1が受けた衝撃が、受像部21により伝わりにくくすることができる。なお、図2では、受像部21と同様、受像部21の受像面と平行な方向において、緩衝材25は基材22よりも小さく形成されているが、これよりも大きく形成されてもよい。例えば、基材22と同じ大きさで形成されてもよい。
【0031】
X線遮蔽材28は、緩衝材25と基材22の間に設けられている。X線遮蔽材28としては、例えば、銅、鉛、タングステンやモリブデンなどのX線吸収能に優れる重金属材料を用いることができる。なお、図2では、受像部21と同様、受像部21の受像面と平行な方向において、基材22よりも小さく形成されているが、これより大きく形成されてもよい。例えば、基材22と同じ大きさで形成されてもよい。
【0032】
基材22は、比較的剛性に優れる基材で構成される。例えば、強度重量比を考慮して、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いることができる。
【0033】
そして、図2に示すように、基材22の外縁22aは、受像部21の受像面と平行な方向において、受像部21の基板41の外縁41aよりも外側に位置している。すなわち、受像部21の受像面と平行な方向において、基材22は受像部21の基板41よりも突出する。基材22の外縁22aが基板41の外縁41aよりも、筐体3の側壁部31bに対して近傍に位置する。また、X線の入射方向から見たときには、受像部21の基板41の面積よりも基材22の面積が大きい。
【0034】
このように、カセッテ1が衝撃を受けても、FPD4の受像部21の基板41よりもこれを支持する支持体5の基材22が大きく形成されているため、受像部21に直接衝撃が伝わることがなく、受像部21の基板41が損傷しにくい。
【0035】
また、基材22は、筐体3の底部開口に嵌るようになっている。図2では、基材22の外縁22aが、筐体3の側壁部31bと当接する。すなわち、基材22の外縁22aによって、受像部21の受像面と平行な方向において、撮像部2が位置決めされるようになっている。
【0036】
このように、支持体5を構成する基材22が、撮像部2を筐体3の内部で固定する役割を果たすため、カセッテ1が衝撃を受けても、受像部21を含むFPD4が筐体3の内部で過剰にぐらつくことがない。また、カセッテ1に用いる部材を減らすことができ、カセッテ1の簡素化することができる。
【0037】
脚部23は、基材22上に積層される受像部21等、撮像部2全体を支持することができるように2次元状に配列しており、各脚部23は所定の高さを有する円柱形状で構成される(FIG.1A)。さらに、脚部23は、筐体3のバック部材32に当接し、受像部21の受像面と直交する方向において、撮像部2を位置決めする。
【0038】
以上のように、支持体5を構成する脚部23が撮像部2を筐体3の内部で固定する役割を果たすため、カセッテ1が衝撃を受けても、受像部21を含むFPD4が筐体3の内部で過剰にぐらつくことがない。また、カセッテ1に用いる部材を減らすことができ、カセッテ1の簡素化を図ることができる。
【0039】
なお、脚部23も、基材22と同じように比較的剛性に優れる基材で構成されてもよい。そして、圧縮成形により、基材22と脚部23を一体的に形成してもよい。
【0040】
また、2次元状に配列した円柱形状の脚部23を示したが、これに限られない。パーティションのようなリブ構造を採用し、凹部に回路基板26を分割して実装してもよい。例えば、1次元状にリブ23aを配列してもよい(FIG.1B)。回路基板26がリブ構造の凹部に実装できる限り、2次元状にリブ23aを配列してもよい。リブ構造であれば、面荷重に対して荷重の集中が分散されるため、カセッテ1が破壊されにくい。
【0041】
なお、撮像部2は筐体3に対して非固定状態であり、支持体5の基材22の外縁22aと筐体3の側壁部31bは接着されておらず、支持体5の脚部23と筐体3のバック部材32は接着されていない。このため、FPD4を含む撮像部2に損傷が発生した場合のリワーク性が向上している。
【0042】
回路基板26は、脚部23の高さで形成される空間に設けられる。そして、締結等により、支持体5の基材22に取り付けられている。つまり、天板部31aに対向する支持体5の表面側に受像部21が、また、支持体5の裏面側に走査回路42や信号処理回路43などが実装された回路基板26が、それぞれ取り付けられて支持体5に支持されている。
【0043】
図3は、図1のカセッテの放射線検出媒体を説明する模式図である。FIG.3Aは、各構成要素の接続関係を示し、FIG.3Bは、各画素の断面を示す。
【0044】
FPD4は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素40が2次元状に配列されてなる受像部21と、受像部21からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路42と、各画素40に蓄積された電荷を読み出し、読み出された電荷を画像データに変換して記憶する信号処理回路43と、画像データを外部機器に送信するデータ送信回路44とから構成されている。走査回路42と各画素40とは、行毎に走査線45によって接続されており、信号処理回路43と各画素40とは、列毎に信号線46によって接続されている(FIG.3A)。
【0045】
各画素40は、X線の露光によって蛍光を発するシンチレータ49でX線を一旦蛍光に変換し、変換された蛍光をフォトダイオード47で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成されている(FIG.3B)。シンチレータ49は、蛍光物質として、例えば、酸化ガドリニウム(Gd)、硫酸化ガドリウム(GdS)やヨウ化セシウム(CsI)を含有する。
【0046】
また、受像部21は、X線の入射側から順に、シンチレータ49、フォトダイオード47、TFTスイッチ素子48、基板41の順に並ぶように構成されている。
【0047】
このため、フォトダイオード47は、アクティブマトリクス型の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイが形成された基板41上に形成される。具体的には、受像部21は、基板41上に、薄膜トランジスタアレイを形成し、その上方にフォトダイオード47を積層した積層構造を有する(FIG.3B)。
【0048】
TFTアレイを構成する各TFTスイッチ素子48において、TFTスイッチ素子48のゲート電極48bが走査線45に、ソース電極48aがフォトダイオード47に、ドレイン電極48cが信号線46にそれぞれ接続される。TFTスイッチ素子48が走査回路42からの駆動パルスによってON状態になると、フォトダイオード47に蓄積された電荷が信号線46に読み出される。
【0049】
信号処理回路43は、積分アンプ回路、A/D変換器、補正回路、及び画像メモリ(いずれも図示せず)により構成されている。積分アンプ回路は、各画素40から信号線46を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換して、A/D変換器に入力する。A/D変換器は、入力された画像信号をデジタルの画像データに変換して補正回路に入力する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正などの補正処理を行い、補正後の画像データを画像メモリに記憶させる。
【0050】
なお、各画素40は、アモルファスセレン等の変換層でX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタに蓄積する直接変換型の素子として構成してもよい。
【0051】
また、FPD4は、1画素の受光率を高めるために、フォトダイオード47の面積を大きくする観点から、スイッチ素子48等とフォトダイオード47を別の層に設ける、いわゆる2階建ての構造を採用しているが、これに限られず、これらを同じ層に設ける構造を採用してもよい。
【0052】
また、以上の各画素40、走査回路42、信号処理回路43及びデータ送信回路44には、バッテリーパックを含む電源部(図示せず)から動作電力が供給される。なお、電源部と各画素40、走査回路42、信号処理回路43及びデータ送信回路44を接続する配線は図示を省略する。
【0053】
以上、カセッテ1によれば、カセッテ1が衝撃を受けた際に、FPD4の受像部21の基板41よりもこれを支持する支持体5の基材22が大きく形成されているため、受像部21に直接衝撃が伝わることがなく、受像部21の基板41が損傷しにくい。すなわち、カセッテ1の形状に起因した衝撃脆弱性に対して対策を施し、耐衝撃性を強化したカセッテを得ることができる。
【0054】
また、受像部21は、フォトダイオード47をスイッチング素子48の上方に積層した積層構造を有するため、筐体31の側壁部31bから伝わる衝撃に弱くなりやすい。このため、本構成を採用することによる効果が大きい。
【0055】
また、受像部21のシンチレータ49の蛍光物質としてヨウ化セシウム(CsI)を採用すると、他の蛍光物質を用いたときよりもシンチレータ49はもろくなるため、本構成を採用することによる効果が大きい。
【0056】
次に図4〜図8を用いて、カセッテ1の変形例を示す。以下、カセッテ1と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その記載を適宜省略する。
【0057】
図4は、図1のカセッテの他の一例の構成を模式的に示す断面図である。
【0058】
カセッテ4は、支持体5がさらに熱分散部材29を有する点で、カセッテ1と異なる。
【0059】
熱分散部材29は、基材22と脚部23の間に設けられる。このため、脚部23が熱分散部材29に固着されるとともに、回路基板26が、締結等により熱分散部材29に取り付けられる。熱分散部材29は、例えば、薄板金属板で構成される。
【0060】
このように、熱分散部材29を設けることによって、回路基板26等で生じる熱がFPD4を含む撮像部2の全体に拡散されるため、カセッテ1を長時間安定的に動作させることができる。
【0061】
図5は、図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。FIG.5Aは、カセッテの断面を示し、FIG.5Bは、カセッテのC−C線の位置での断面を示す。
【0062】
カセッテ5Aは、支持体5の基材22と筐体3の側壁部22間に挟まれる緩衝材51が設けられている点で、カセッテ1と異なる。
【0063】
緩衝材51は、支持体5の基材22と筐体3の側壁部31bの間に設けられ(FIG.5A)、基材22の外縁22aの全周を囲むようにして設けられている(FIG.5B)。基材22は、緩衝材51に接していてもよく、外側に向かって緩衝材51にめり込まれていてもよい。
【0064】
このように、緩衝材51を設けることによって、カセッテ1が受ける衝撃が、支持体5にも伝わりにくくなるため、受像部21の基板41の損傷の可能性を低くすることができる。
【0065】
図6は、図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。FIG.6Aは、カセッテの断面を示し、FIG.6Bは、カセッテのC−C線の位置での断面を示す。
【0066】
カセッテ6は、支持体5の基材22と筐体3の側壁部22の間に挟まれる複数の位置決め部材61が設けられている点で、カセッテ1と異なる。
【0067】
各位置決め部材61は、基材22の四隅の角部22bに各々に対応して設けられる。そして、各位置決め部材61は、対応する角部22bの形状に合わせて形成され、対応する角部22bを支持する。例えば、図6に示すように、各位置決め部材61は、L字断面形状を有し、このL字断面形状の下部は、脚部23の高さと略同一の高さを有する。位置決め部材61は、例えば、樹脂や弾性体で構成される。
【0068】
また、各位置決め部材61は、筐体3の側壁部31bとバック部材32に当接する。撮像部2を筐体3内に収納した際、位置決め部材61を撮像部2や筐体3に接着してもよいが、リワーク性の観点から、位置決め部材61を、撮像部2にも筐体3にも接着しない方が好ましい。
【0069】
このように、位置決め部材61を設けることによって、少なくとも、受像部21の受像面と直交する方向において、撮像部2の位置決めをすることができる。特に、撮像部2の位置を微調整したい場合でも位置決め部材61を調整するだけで済み、撮像部2の位置調整が容易になる。
【0070】
図7は、図1のカセッテのさらに他の一例の構成を示す模式図である。
【0071】
カセッテ7は、基板41の四隅の角部が面取りされている点で、カセッテ1と異なる。
【0072】
カセッテ1においては、基板41は、X線の入射方向から見たときに矩形形状を有している。このため、基板41の角部が鋭角になっており、この角部が損傷しやすい。
【0073】
このため、カセッテ7では、基板41の四隅の角部を、例えば、受像部21の受像面と直交する方向に所定の大きさで切断することによって、面取りされた面取り角部41bが形成されている。X線の入射方向から見れば、各面取り角部41bは、少なくとも2つの鈍角を有する形状になっている。
【0074】
このように、面取り角部41bを形成することによって、カセッテ1の耐衝撃性を向上することができる。
【0075】
図8は、図1のカセッテのさらに他の一例の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【0076】
カセッテ8は、基板41の外縁41aが面取りされている点で、カセッテ1と異なる。
【0077】
カセッテ1では、基板41は、X線の入射方向から見たときに矩形形状を有している。このため、基板41の外縁41aのうち、筐体3の天板部31aに対向する面を構成する上辺を含む部分が鋭角になっている(FIG.8の点線部分を参照)。このため、この部分が損傷しやすい。
【0078】
このため、カセッテ8では、基板41の外縁41aのうち、筐体3の天板部31aに対向する面を構成する上辺を含む部分を面取りした面取り上辺部41cが形成されている。基板41の断面では、面取り上辺部41cは、少なくとも2つの鈍角を有する形状になっている。
【0079】
このように、面取り上辺部41cを形成することによって、カセッテ1の耐衝撃性を向上することができる。
【0080】
以上の説明においては、図4〜図8を用いて、カセッテ1の変形例を説明したが、カセッテ1に対する変更部分を適宜組み合わせて用いても構わない。
【0081】
また、放射線として一般的なX線を用いる場合について説明したが、本発明はX線に限られるものではなく、α線、γ線等のX線以外の放射線を用いることも可能である。
【0082】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)〜(16)の放射線画像検出装置が開示されている。
【0083】
(1)放射線を電荷に変換して蓄積する複数の画素が基板に配された平板状の受像部と、前記受像部が固着される支持体とを有する撮像部と、前記撮像部を非固定状態で収納する筐体と、を備え、前記支持体は、前記受像部を支持し、前記支持体の外縁は、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記受像部の基板の外縁よりも外側に位置しているカセッテ。
(2)(1)に記載のカセッテであって、前記支持体は、前記筐体の底部に当接し、前記受像部の受像面と直交する方向における該撮像部の位置決めを行う脚部を有するカセッテ。
(3)(2)に記載のカセッテであって、前記脚部は、前記筐体の底部に非接着かつ密接したカセッテ。
(4)(2)又は(3)に記載のカセッテであって、前記支持体は、前記受像部の画素の制御を行う回路基板が取り付けられる熱分散部材を有し、該熱分散部材に前記脚部が固着されるカセッテ。
(5)(1)から(4)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記支持体の外縁によって、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記撮像部は位置決めされるカセッテ。
(6)(1)から(4)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記支持体の各角部に対応付けて設けられるとともに、前記支持体と前記筐体の側壁部との間に設けられる位置決め部材が設けられ、該位置決め部材によって、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記撮像部は位置決めされるカセッテ。
(7)(1)から(6)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記撮像部は、前記天板部とこれに対向する前記受像部との間に第1の緩衝材を有するカセッテ。
(8)(1)から(7)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記撮像部は、前記受像部と前記支持体との間に第2の緩衝材を有するカセッテ。
(9)(1)から(8)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記支持体の外縁と前記筐体の側壁部との間に設けられ、該外縁の全周を囲むようにして設けられた第3の緩衝材をさらに備えるカセッテ。
(10)(1)から(9)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記受像部の基板の外縁が面取りされたカセッテ。
(11)(1)から(10)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記受像部の基板の複数の角部が面取りされたカセッテ。
(12)(1)から(11)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記受像部の基板はガラスで形成されたカセッテ。
(13)(1)から(12)のいずれか一つに記載のカセッテであって、前記受像部の各画素は光電変換部とスイッチ素子を有し、該スイッチ素子の上方に光電変換部が積層されるカセッテ。
(14)(1)から(13)のいずれか一つに記載のカセッテであって、各画素は、前記放射線の露光によって蛍光を発し、蛍光物質を含有するシンチレータからの該蛍光を電荷に変換して蓄積するように構成されたカセッテ。
(15)(14)に記載のカセッテであって、前記受像部は、前記放射線の入射側から順に前記シンチレータ、前記基板の順に並んでいるカセッテ。
(16)(14)又は(15)に記載のカセッテであって、前記シンチレータは前記蛍光物質として、ヨウ化セシウム(CsI)を含有するカセッテ。
【符号の説明】
【0084】
1 カセッテ
2 撮像部
3 筐体
4 FPD
5 支持体
21 受像部
22 基材
23 脚部
24 緩衝材
25 緩衝材
26 回路基板
27 フレキシブル回路基板
28 X線遮蔽材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を電荷に変換して蓄積する複数の画素が基板に配された平板状の受像部と、前記受像部が固着される支持体とを有する撮像部と、
前記撮像部を非固定状態で収納する筐体と、を備え、
前記支持体は、前記受像部を支持し、
前記支持体の外縁は、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記受像部の基板の外縁よりも外側に位置しているカセッテ。
【請求項2】
請求項1に記載のカセッテであって、
前記支持体は、前記筐体の底部に当接し、前記受像部の受像面と直交する方向における該撮像部の位置決めを行う脚部を有するカセッテ。
【請求項3】
請求項2に記載のカセッテであって、
前記脚部は、前記筐体の底部に非接着かつ密接したカセッテ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のカセッテであって、
前記支持体は、前記受像部の画素の制御を行う回路基板が取り付けられる熱分散部材を有し、該熱分散部材に前記脚部が固着されるカセッテ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記支持体の外縁によって、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記撮像部は位置決めされるカセッテ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記支持体の各角部に対応付けて設けられるとともに、前記支持体と前記筐体の側壁部との間に設けられる位置決め部材が設けられ、
該位置決め部材によって、前記受像部の受像面と平行な方向において、前記撮像部は位置決めされるカセッテ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記撮像部は、前記天板部とこれに対向する前記受像部との間に第1の緩衝材を有するカセッテ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記撮像部は、前記受像部と前記支持体との間に第2の緩衝材を有するカセッテ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記支持体の外縁と前記筐体の側壁部との間に設けられ、該外縁の全周を囲むようにして設けられた第3の緩衝材をさらに備えるカセッテ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記受像部の基板の外縁が面取りされたカセッテ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記受像部の基板の複数の角部が面取りされたカセッテ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記受像部の基板はガラスで形成されたカセッテ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のカセッテであって、
前記受像部の各画素は光電変換部とスイッチ素子を有し、該スイッチ素子の上方に光電変換部が積層されるカセッテ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のカセッテであって、
各画素は、前記放射線の露光によって蛍光を発し、蛍光物質を含有するシンチレータからの該蛍光を電荷に変換して蓄積するように構成されたカセッテ。
【請求項15】
請求項14に記載のカセッテであって、
前記受像部は、前記放射線の入射側から順に前記シンチレータ、前記基板の順に並んでいるカセッテ。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のカセッテであって、
前記シンチレータは前記蛍光物質として、ヨウ化セシウム(CsI)を含有するカセッテ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72808(P2013−72808A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213315(P2011−213315)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】