説明

カチオン性微小球およびカチオン性微小球の製造方法

【課題】エラストマー微小球と向上した接着性を有する再配置可能な感圧接着剤とを提供する。
【解決手段】カチオン性微小球、および接着剤組成物の基材への塗布を助けるのに有効な流動性媒体を組み込む、接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、再配置可能な感圧接着剤に関する。更に具体的には、本発明は、以下に限定されないが、粗面、テクスチャ構造を有する表面、又は、接着し難い特性を示すあらゆる表面を含む様々な被着面が鉛直方向を向いていても、水平方向を向いていても、又は、鉛直方向の構成要素と水平方向の構成要素の両方を有していても、その様々な被着面に対して向上した接着を示す、再配置可能な感圧接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
再配置可能な感圧接着剤(本明細書では「再配置可能なPSA」とも称される)は、家庭およびオフィス環境など様々な場所で一時的な標識およびメッセージ伝達製品の取り付けに一般的に使用されている。尚早に脱離することなく様々な被着面に接着することは、再配置可能なPSAの望ましい特性である。他方、被着面に接着剤残留物を残すことなく、被着面からきれいに除去できる性能も同様に再配置可能なPSAの望ましい特性である。被着面に多数回、繰り返し再貼付できる接着性も再配置可能なPSAの望ましい特性である。
【0003】
エラストマー微小球は、再配置可能なPSAの一般的に使用されている構成成分であり、再配置可能なPSAのこれらの望ましい特性を得ることを助ける。再配置可能なPSAのレオロジーおよび/又は化学的性質を変化させることによって、再配置可能なPSAの被着面への接着を向上させることに関する研究が継続されてきた。これらの研究では、前の再配置可能なPSA配合物を改良するため、主に、異なる構成成分の代用および/又は新しい構成成分の添加に焦点が当てられた。
【0004】
対象となる研究の一領域は、平滑な紙面以外の貼付し難い表面に貼付されるとき、向上した接着を示し、再配置可能な感圧接着剤を備える再配置可能な接着物品を除去する際、被着面に残存する接着剤残留物が最小限である再配置可能な感圧接着剤を作り出すことに関する。接着し難い特性を示す被着面の幾つかの例には、以下に限定されないが、粗面、テクスチャ構造を有する表面、および荷電表面が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エラストマー微小球と再配置可能な感圧接着剤の両方を提供し、これらは向上した接着を望ましく有する。これは、現存の再配置可能な感圧接着剤が満足に機能する被着面、並びに、より接着し難い特性を示す被着面の両方に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カチオン性微小球、および、感圧接着剤組成物の基材への塗布を助けるのに有効な流動性媒体を組み込む、感圧接着剤組成物を包含する。更に、本発明は、重合時にカチオン性微小球を形成する重合性物質の混合物を包含する。本発明は、再配置可能な感圧接着剤および再配置可能な感圧接着剤の製造方法を更に包含する。本発明は、また、基材、および、基材上の再配置可能な感圧接着剤のコーティングを組み込む再配置可能な接着物品も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による再配置可能な感圧接着剤を備える、再配置可能な接着物品の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、全般に、再配置可能な感圧接着剤に関する。更に具体的には、本発明は、カチオン性ポリマーエラストマー微小球を組み込む、再配置可能な感圧接着剤に関する。カチオン性ポリマーエラストマー微小球、および、カチオン性ポリマーエラストマー微小球を組み込む再配置可能な感圧接着剤組成物は、向上した接着性を望ましく有し、再配置可能な感圧接着剤を備える再配置可能な接着物品を除去する際、被着面の接着剤残留物が最小限である。これは、現存の再配置可能な感圧接着剤が満足に機能する被着面、並びに、より接着し難い特性を示す被着面の両方に当てはまる。
【0009】
本発明に従って製造されるカチオン性ポリマーエラストマー微小球(本明細書では「カチオン性微小球」とも称される)は、ある一定の重合性物質の反応生成物である。重合性物質は、少なくとも1種類のC4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび1種類以上のカチオン性不飽和ビニルコモノマーを含む。重合性物質は、また、任意に、カチオン性不飽和ビニルコモノマーに加えて、1種類以上の他の不飽和ビニルコモノマーを含んでもよい。
【0010】
重合性物質は、カチオン性微小球の調製中、反応混合物の一部として含まれる。重合性物質に加えて、反応混合物は、また、1種類以上の触媒作用開始剤も含む。反応混合物は、また、典型的には、脱イオン水などの流動性媒体、および、カチオン性界面活性剤などの界面活性剤も含む。反応混合物は、また、任意に、いずれかの所望のポリマー安定剤(非イオン性の形態および/又はカチオン性の形態を有する)を含んでもよい。更に、反応混合物は、カチオン性微小球又はカチオン性微小球の形成を有利に最適化するように、任意に、レオロジー剤、連鎖移動剤、溶媒、および、これらのいずれかの任意の組み合わせなどの、1種類以上の調整剤を含んでもよい。
【0011】
反応混合物は、重合性物質の重合を促進して反応生成物を形成する適切な条件におかれる。本明細書では中間接着剤組成物とも称される反応生成物は、脱イオン水などの流動性媒体中に懸濁されているカチオン性ポリマーエラストマー微小球を含む。典型的には非常に少量の球状物質を除去するろ過で、反応生成物は、精製されたカチオン性微小球組成物に変化する。次いで、この精製されたカチオン性微小球組成物は、カチオン性ラテックス接着バインダなどの接着バインダと配合され、コーティング混合物(即ち、再配置可能な感圧接着剤)を形成する。コーティング混合物は、また、任意に、いずれかの所望の任意選択的調整剤を含んでもよい。任意にコーティング混合物中に含まれる可能性のある調整剤の幾つかの例には、溶媒、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、および、これらのいずれかの任意の組み合わせが挙げられる。
【0012】
本明細書で使用する時、「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。カチオン性微小球合成に使用され得る例示的なC4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマーには、炭素数4〜14のアルキル基を有する一官能性不飽和(メタ)アクリレートエステルがある。このようなアルキル(メタ)アクリレートは、親油性、水分散性、および本質的に水不溶性である。特に有利な有用なC4〜C14アルキル(メタ)アクリレートは、ホモポリマーとして、一般に、約−20℃未満のガラス転移温度を有する。異なるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせを使用する場合、このような組み合わせによって、一般に−20℃未満のガラス転移温度を有する共重合体又は三元共重合体が生成する。好適なアルキル(メタ)アクリレートの幾つかの非網羅的な例には、以下に限定されないが、イソオクチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、イソノニルアクリレート、およびイソデシルアクリレートなど、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。特に有利なアルキル(メタ)アクリレートモノマーの幾つかの例には、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、および、これらの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。
【0013】
好適なカチオン性不飽和ビニルコモノマーの非網羅的な例には、様々な第四級窒素官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。幾つかの特に有用なカチオン性不飽和ビニルコモノマーには、[2−(メタクリロイロキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド(本明細書では「MOETAC」とも称される)および[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド(本明細書では「MAPTAC」とも称される)が挙げられる。単一のカチオン性不飽和ビニルコモノマーを使用してもよい。或いは、異なるカチオン性不飽和ビニルコモノマーの任意の組み合わせを任意の割合で使用してもよい。カチオン性不飽和ビニルコモノマーの総濃度は、反応混合物中に含まれる全てのモノマーおよびコモノマー100重量部当たり、カチオン性不飽和ビニルコモノマー約0.1重量部の低さから、約10重量部の高さであってもよい。
【0014】
MOETACは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, Wisconsin)のアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から入手してもよい。MOETACは、また、スイス、バーゼル(Besel, Switzerland)のチバ・スペチャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals, Inc.)からエイジフレックス(AGEFLEX)(登録商標)FM1Q75MC製品として市販されている。MAPTACは、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から入手してもよい。MAPTECは、更に、マサチューセッツ州モールデン(Malden, Massachusetts)のローム・テック社(Rohm Tech, Inc.)から製品番号BM−613として市販されている。カチオン性不飽和ビニルコモノマーの別の好適な例には、ローム・テック社(Rohm Tech, Inc.)から製品番号BM−606として市販されている、トリエチルアンモニウム官能基を有するMOETACの変種がある。
【0015】
カチオン性不飽和ビニルコモノマーの他に、カチオン性微小球の合成中、任意に、他のいずれかの不飽和ビニルコモノマーを組み込んでもよい。任意選択的不飽和ビニルコモノマーが含まれる場合、その総濃度は、反応混合物中に含まれる全てのモノマーおよびコモノマー100重量部当たり、任意選択的不飽和ビニルコモノマー約0.1重量部の低さから、約10重量部の高さであってもよい。任意選択的不飽和ビニルコモノマーには、様々な非極性不飽和ビニルコモノマーのいずれか、様々なイオン性不飽和ビニルコモノマーのいずれか、様々な極性不飽和ビニルコモノマーのいずれか、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。これらの幾つかの非網羅的な例には、
(A)メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸ナトリム、トリメチルアミンp−ビニルベンズイミド、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキソ−8−オキサ−デカ−9−エン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(−メタクリロキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド、および、いずれかの双性イオン不飽和ビニルモノマーなど、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせなどのイオン性不飽和ビニルコモノマー、
(B)4−メチル−2−ペンチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソデシルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、オクチルアクリルアミド、メチルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、および、スチレンなど、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせなどの非極性不飽和ビニルコモノマー、
(C)アクリルアミド;メタクリルアミド;2−ヒドロキシエチルアクリレート;不飽和結合およびビニル結合を含有する有機カルボン酸であって、炭素数が3〜約12であり、概ね1〜約4個のカルボン酸部分を有する有機カルボン酸(このような有機カルボン酸の非限定例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および、カルボキシエチルアクリレートなど、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる);および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせなどの極性不飽和ビニルコモノマー、
がある。
【0016】
別の部類の好適な任意選択的不飽和ビニルコモノマーには、一般式:
【化1】

(式中、R1は、−H、−CH3、−CH2CH3、シアノ、又はカルボキシメチルであり、R2は、炭素数1〜約12のヒドロカルビル基であり、
3およびR4は、独立に、H、若しくは炭素数1〜約12のアルキル基、若しくはアリールアルキル基であるか、又は、一緒に環若しくは複素環部分を形成し、
Lは、炭素−炭素結合、O、NH、又はSであり、および
xは1〜3の整数である)
を有する核(又は核の一部)を有するアミノ官能性モノマーがある。
【0017】
式(1)の任意選択的不飽和ビニルコモノマーの非限定例には、N,N−ジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピル−(メタ)アクリレート;t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート;N,N−ジエチルアミノアクリレート;および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。
【0018】
別の部類の好適な任意選択的不飽和ビニルコモノマーは、一般式(2):
【化2】

(式中、R1は、−H、−CH3、−CH2CH3、シアノ、又はカルボキシメチルであり、R2は、炭素数1〜約12のヒドロカルビル基であり、
5は、−O−、炭素数1〜5のアルキレンオキシド、又はフェノキシオキシドであって、アルキレンオキシドには−CH2O−、−CH2CH2O−、又は−CH2(CH)CH3O−などが挙げられ、
6は、−H、−C64OH、又は−CH3であり、
Lは、炭素−炭素結合、O、NH又はSであり、および
nは整数であるが、但し、R5が−O−のとき、nは1〜3の整数である)
を有する核(又は核の一部)を有する。
【0019】
式(2)の任意選択的不飽和ビニルコモノマーの非限定例には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリレート停止ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート停止ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート停止ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート停止ポリ(エチレングリコール)、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。
【0020】
別の部類の好適な任意選択的不飽和ビニルコモノマーは、アミド官能性であり、一般式(3):
【化3】

(式中、R1は、−H、−CH3、−CH2CH3、シアノ、又はカルボキシメチルであり、R3およびR4は、独立に、H、若しくは炭素数1〜約12のアルキル基、若しくはアリールアルキル基であるか、又は、一緒に環若しくは複素環部分を形成する)
を有する核(又は核の一部)を有する。
【0021】
上式の任意選択的不飽和ビニルコモノマーの非限定例の1つには、N,N−ジメチルアクリルアミドがある。
【0022】
前記の3つの部類に入らないが許容し得るコモノマーの範囲に入る他の好適な任意選択的不飽和ビニルコモノマーの非限定例には、(メタ)アクリロニトリル、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムアクリルアミド、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。
【0023】
好適な触媒作用開始剤の例には、アクリレートモノマーのフリーラジカル重合に通常好適な開始剤が挙げられる。このような開始剤の例には、熱活性化開始剤および光開始剤が挙げられる。好適な熱活性化開始剤の幾つかの非網羅的な例には、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド、過酸化物、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。特に有利な幾つかの熱活性化開始剤には、水溶液の形態で、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, Delaware)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours and Company)から入手可能なバゾ(VAZO)(登録商標)52フリーラジカルアゾ開始剤、および、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia, Pennsylvania))のペンウォルト社(Pennwalt Corporation)(現アトケム・ノース・アメリカ社(Atochem North America, Inc.))からルシドール(LUCIDOL)(登録商標)75フリーラジカル開始剤として市販されている有効成分75%の過酸化ベンゾイル開始剤が挙げられる。重合開始剤の総濃度は、反応混合物中に存在する様々なモノマーおよびコモノマーの重合を触媒し、カチオン性微小球を形成するのに有効でなければならない。典型的には、重合性開始剤の総濃度は、反応混合物中に含まれる全てのモノマーおよびコモノマー100重量部当たり、重合開始剤約0.01重量部の低さから、約2重量部の高さであってもよい。
【0024】
好適なカチオン性界面活性剤には、様々な第四級窒素官能性化合物が挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の1つには、イリノイ州シカゴ(Chicago, Illinois)のアクゾ・ノーベル・ケミカルズ社(Akzo Nobel Chemicals, Inc.)からエトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)C/25カチオン性界面活性剤として入手可能なココアルキルメチル−[ポリオキシエチレン(15)]アンモニウムクロライドがある。別の特に好適なカチオン性界面活性剤には、アクゾ・ノーベル・ケミカルズ社(Akzo Nobel Chemicals, Inc.)からエトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤として市販されているオクタデシルメチル−[ポリオキシエチレン(15)]アンモニウムクロライドがある。有利なこれらの2つの特定のカチオン性界面活性剤の他に、他の好適なカチオン性界面活性剤には、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、C12〜C18アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、およびC12〜C18アルキルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0025】
一般に、反応混合物中に含まれる全てのカチオン性界面活性剤の総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性界面活性剤約10重量部の高さであってもよい。
更に典型的には、反応混合物中の全てのカチオン性界面活性剤の総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性界面活性剤約5重量部の高さである。特に有利な用途では、反応混合物中の全てのカチオン性界面活性剤の総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性界面活性剤約1重量部の低さから、約3重量部の高さであってもよい。
【0026】
ポリマー安定剤を使用する場合、ポリマー安定剤は、反応混合物が反応生成物に変化する時、およびその後、重合した最終液滴を安定化させるのに役立つ。このように、ポリマー安定剤は、カチオン性微小球の安定化および集塊形成の防止に役立つ。更に、ポリマー安定剤を使用すると、さもなければ望ましいと思われる場合がある、反応混合物中の低いカチオン性界面活性剤濃度を可能にする場合がある。重合した液滴の安定化機能を達成し、カチオン性微小球の集塊形成を防止する機能をするいずれかの好適な非イオン性ポリマー安定剤および/又はカチオン性ポリマー安定剤を使用してもよい。典型的には、反応混合物中の全てのポリマー安定剤の総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、ポリマー安定剤約0.1重量部の低さから、約3重量部の高さであってもよい。
【0027】
特に有利な好適なカチオン性ポリマー安定剤の一例には、ローム・テック社(Rohm Tech, Inc.)からローハギット(ROHAGIT)(登録商標)KF720カチオン性ポリマー安定剤として市販されている、MOETACとアクリルアミドとの高分子量共重合体がある。他の例示的なポリマー安定剤には、平均分子量が5,000より大きいポリアクリル酸の塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩など)、カルボキシ変性ポリアクリルアミド、アクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体など、ポリマー第四級アミン(四級化ポリビニルピロリドン共重合体および四級化アミン置換セルロース材料など)、セルロース系材料およびカルボキシ変性セルロース系材料(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, Delaware)のハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)から入手可能なナトロゾル(NATROSOL)(登録商標)CMCタイプの7Lカルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、および、ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0028】
溶媒、レオロジー剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、および/又は可塑剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、および、これらのいずれかの任意の組み合わせなどの様々な化学物質は、任意選択的調整剤の幾つかの好適な例である。幾つかの種類の調整剤は、更に典型的には、カチオン性微小球の合成前に反応混合物中に組み込まれる。例えば、反応混合物は、カチオン性微小球の形成又はカチオン性微小球の特性を有利に最適化するため、レオロジー剤、連鎖移動剤、溶媒、および、これらのいずれかの任意の組み合わせなど、様々な調整剤のいずれか又は全てを含んでもよい。他の種類の調整剤は、更に典型的には、カチオン性微小球の合成後、例えば、カチオン性微小球を配合してコーティング混合物(即ち、再配置可能な感圧接着剤)を形成する間に組み込まれる。調整剤を使用する場合、どのような調整剤を使用しても、使用されるこのような調整剤の量は、一般に、このような調整剤の既知の使用法に効果的な任意の量であってよい。
【0029】
カチオン性微小球の形成前に反応混合物中に組み込むのに特に有用な調整剤の一例には、連鎖移動剤がある。1種類以上の連鎖移動剤を任意の組み合わせ又は割合で反応混合物中に含んでもよい。連鎖移動剤は、カチオン性微小球として反応生成物中に形成されるポリマーの分子量を制御するのに有用である。多くのハロゲン含有およびイオウ含有有機化合物は、フリーラジカル重合中、連鎖移動剤として良好に機能する。このような連鎖移動剤の幾つかの非網羅的な例には、四臭化炭素、四塩化炭素、ドデカンチオール、イソオクチルチオグリコレート、ブチルメルカプタン、および第三級ドデシルメルカプタンがあり、ドデカンチオールなどの長鎖メルカプタンが特に有利である。反応混合物中に含まれる連鎖移動剤の総濃度は、一般に、反応混合物中に含まれる全てのモノマーおよびコモノマー100重量部当たり、約0.15重量部の高さ、更に望ましくは約0.12重量部、更により望ましくは約0.08重量部の高さであってもよい。
【0030】
任意にコーティング混合物中に含まれる可能性のある調整剤の幾つかの例には、溶媒、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、酸化防止剤、および、これらのいずれかの任意の割合の任意の組み合わせが挙げられる。例えば、精製されたカチオン性微小球組成物を配合してコーティング混合物(即ち、再配置可能な感圧接着剤)を形成するとき、様々なレオロジー調整剤(増粘剤)を組み込んでもよい。
【0031】
好適なレオロジー調整剤の幾つかの非網羅的な例には、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia, Pennsylvania)のローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas Company)から入手可能なアクリゾル(ACRYSOL)(登録商標)RM−8レオロジー調整剤、およびハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)から入手可能なナトロゾル(NATROSOL)(登録商標)250HHR水溶性ヒドロキシエチルセルロース製品が挙げられる。幾つかの例示的な粘着付与剤および/又は可塑剤には、ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)からフォーラル(FORAL)(登録商標)およびリーガルレッツ(REGALREZ)(登録商標)の商用名で市販されている水添ロジンエステルが挙げられる。他の幾つかの有用な粘着付与剤には、t−ブチルスチレンをベースにする樹脂が挙げられる。他の有用な可塑剤には、例えば、ジオクチルフタレート、2−エチルヘキシルホスフェート、およびトリクレジルホスフェートなどが挙げられる。有用な酸化防止剤の好適な例の1つには、ロードアイランド州ピースデイル(Peace Dale, Rhode Island)のテクニカル・インダストリーズ(Technical Industries)から入手可能なTI−Nox#WL酸化防止剤がある。再配置可能なPSA中に使用されるいずれかのこのようなレオロジー調整剤、粘着付与剤、可塑剤、および/又は酸化防止剤の量は、このような添加剤の既知の使用法に有効な量である。
【0032】
実際、再配置可能な感圧接着剤は、図の10で最もよく示されているように、いずれかの塗工法で基材12(下塗りされた紙など)に塗布され、再配置可能な接着物品14(即ち、塗工された基材)を形成する。カチオン性ラテックス接着バインダは、カチオン性微小球を再配置可能な接着物品に固定するのに役立つ。このように、カチオン性ラテックス接着バインダは、カチオン性微小球を再配置可能な接着物品に固定するのに役立つことによって、再配置可能な接着物品を被着面から除去する際、再配置可能な感圧接着剤が被着面から除去可能であると同時に、被着面に残る接着剤残留物の量を最小限にすることを確実にするのに役立つ。
【0033】
幾つかの好ましい例示的カチオン性ラテックス接着バインダは、2002年1月16日に出願され、2003年9月18日に米国特許出願公開第20030175503A1号明細書として公開された、「第四級アンモニウム官能基を有する感圧接着剤、物品、及び方法(Pressure Sensitive Adhesives Having Quaternary Ammonium Functionality, Articles, and Methods)」と題される米国特許出願第10/052,032号明細書に開示されている。米国特許出願第10/052,032号明細書は、ミネソタ州セントポール(St. Paul, Minnesota)の3Mイノベイティブ・プロダクツ社(3M Innovative Products Company)に譲渡されている。米国特許出願第10/052,032号明細書に開示されているカチオン性ラテックス接着バインダが好ましいが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他のカチオン性ラテックス接着バインダを使用してもよい。
【0034】
カチオン性ラテックス接着バインダは、カチオン性微小球を再配置可能な接着物品に固定するのに役立つと同時に、また、再配置可能な接着物品を被着面から除去する際、再配置可能な感圧接着剤が被着面から除去可能であると同時に被着面に残る接着剤残留物の量を最小限にすることを確実にするのにも役立つ有効な濃度でコーティング混合物中に含まれる。一般に、コーティング混合物中のカチオン性ラテックス接着バインダの総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性ラテックス接着バインダ約50重量部の高さであってもよい。更に典型的には、コーティング混合物中のカチオン性ラテックス接着バインダの総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性ラテックス接着バインダ約10重量部の高さである。特に有利な用途では、コーティング混合物中のカチオン性ラテックス接着バインダの総濃度は、カチオン性微小球100重量部当たり、カチオン性ラテックス接着バインダ約1重量部の低さから、約4重量部の高さであってもよい。
【0035】
再配置可能な感圧接着剤の調製は、まず、カチオン性微小球の合成を必要とする。その後、反応生成物をろ過した後、精製されたカチオン性微小球組成物中に存在する合成されたカチオン性微小球は、再配置可能な感圧接着剤を形成するため、他に所望されるいずれかの構成成分と配合されてもよい。再配置可能な感圧接着剤を被着面に当てて配置する時、再配置可能な感圧接着剤に圧力を加えると、カチオン性微小球のエラストマーの性質により、再配置可能な感圧接着剤のカチオン性微小球と被着面との接触が向上する傾向があるため、再配置可能な感圧接着剤は、「感圧性」と特徴付けられる。
【0036】
カチオン性微小球は、下記に更に完全に詳述する一段階プロセスで合成してもよい。重合反応は、モノマーとコモノマーの水性反応混合物中に存在する個々のポリマー相内で進行する。一段階プロセスでは、C4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマー、カチオン性不飽和ビニルコモノマー、および、いずれかの任意選択的不飽和ビニルコモノマーは両方とも、重合開始時に水性反応混合物中に一緒に存在してもよい。本明細書の他の場所に詳述するように、反応混合物の他の構成成分(重合開始剤、カチオン性界面活性剤、いずれかの任意選択的安定剤、およびいずれかの任意選択的調整剤など)を反応混合物中に組み込んでもよい。
【0037】
合成中の反応温度プロファイルなどの具体的な反応条件は、使用されるモノマー、コモノマー、および触媒作用開始剤の特定の種類に依存する。それにもかかわらず、一般に、約1マイクロメートルの低さから約300マイクロメートルの高さ、更に望ましくは、約20マイクロメートルの低さから約1500マイクロメートルの高さの平均モノマー液滴サイズを有するように、反応混合物を予め分散させることが望ましい。平均モノマー液滴サイズは、反応混合物の攪拌が高速化し長時間になるにつれ、減少する傾向がある。
【0038】
反応混合物中に溶解している酸素はモノマーの重合を抑制する場合があるため、重合中、反応混合物中の酸素の存在を最小限にするのが望ましいことが多い。従って、重合反応前および重合反応中、反応混合物から溶解している酸素を追い出すことが望ましい。不活性ガスを反応容器中に、又は反応混合物を通るように通気させることは、有効な脱酸素化法であるが、本発明の実施時に、使用されるモノマーおよびコモノマーの重合と適合性のある他の脱酸素化法を使用してもよい。典型的には、反応混合物の脱酸素化に窒素を使用するが、VIIIA族(CAS版)の不活性ガスのどれも脱酸素化に好適である。
【0039】
モノマー重合を開始するため、反応混合物中に十分な数のフリーラジカルが存在しなければならない。このようなフリーラジカルは、当該技術分野で周知の幾つかの技術によってポリマー開始剤から得られてもよい。例えば、反応混合物に熱を加えてフリーラジカルを発生させ、モノマーの重合を開始させてもよい。別の例として、反応混合物に放射線を当ててフリーラジカルを発生させ、モノマーの重合を開始させてもよい。反応混合物を単に加熱することは比較的容易であるため、熱を加えて触媒作用開始剤を熱分解し、十分な数のフリーラジカルを発生させることが、一般に重合反応の開始の目的に好ましい。反応混合物が加熱される温度は、使用される特定の触媒作用開始剤に応じて非常に様々である。バゾ(VAZO)(登録商標)52重合開始剤などの多くの開始剤では、十分なフリーラジカル発生を開始するためには、約50℃の温度に加熱すれば十分である。
【0040】
一段階重合反応の手法の1つは、C4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマーを触媒作用開始剤と合わせて第1の混合物にし、これを均一且つ均質に混合し、保持することを必要とする。同様に、カチオン性不飽和ビニルコモノマー、脱イオン水、およびカチオン性界面活性剤を合わせて第2の混合物にし、これを均一且つ均質に混合し、保持する。
【0041】
カチオン性不飽和ビニルコモノマーの他に、いずれかの任意選択的不飽和ビニルコモノマーを更に含み、第1の混合物又は第2の混合物中に均一にブレンドしてもよい。また、いずれかの任意選択的ポリマー安定剤、および、重合反応又はカチオン性微小球に所望の効果を有するいずれかの任意選択的調整剤(レオロジー剤、連鎖移動剤、および溶媒など、並びに、これらのいずれかの任意の組み合わせなど)を更に含み、特定の調整剤に対して、適宜、第1の混合物又は第2の混合物のどちらかに均一に混合してもよい。
【0042】
第1の混合物および第2の混合物を合わせて、反応混合物を形成する。攪拌および適切なパージ(窒素パージなど)は、重合反応中ずっと維持され、反応混合物の形成と共に開始する。触媒作用開始剤によるフリーラジカル発生は、例えば、反応混合物を加熱することによって開始する。反応混合物の温度プロファイルは、様々なモノマーおよびコモノマーの重合を助けるように所定の時間、維持される。一例として、フリーラジカルが十分発生し、重合が開始した後、反応混合物を約75℃の温度に約4時間保持すると、一般にモノマーとコモノマーが少なくとも十分な量、重合する。重合が満足のいく程度まで進行した後、結果として得られる反応生成物を冷却する(例えば、室温に)。
【0043】
重合後、反応生成物は、室温で、カチオン性微小球の安定な多相水性懸濁液として存在する。反応生成物は、反応生成物の総重量を基準にして、約10重量%の低さから、約70重量%の高さの不揮発性固形分を有してもよい。カチオン性微小球の多相水性懸濁液を含有する反応生成物は、典型的には、カチオン性微小球の集塊形成および凝集に対してかなり安定であり、従って、重合後すぐに接着剤として寛容に使用され得る。反応生成物はそのままで好適であるため、反応生成物は本明細書で中間接着剤組成物として特徴付けられる。
【0044】
しかし、好ましくは、カチオン性ポリマーエラストマー微小球を、カチオン性微小球を接着剤コーティング中に使用する利点を向上させる他の試剤と後で配合する前に、典型的には、非常に少量存在する球状物質を除去するため、反応生成物をろ過する。ろ過によって反応生成物から除去されるあらゆる球状物質は、精製されたカチオン性微小球組成物に、より均一な稠度を付与するように、約300ミクロン以上の公称直径を有する球状物質だけを含んでもよく、しかし、更に典型的には、約200ミクロン以上の公称直径を有する球状物質を含む。
【0045】
精製されたカチオン性微小球組成物は、典型的には、カチオン性微小球の合成中に使用される流動性媒体の幾らかの残留量を含有する。この残留する流動性媒体の少なくとも幾らかは、典型的には、再配置可能な感圧接着剤中に残り、再配置可能な感圧接着剤の基材への流体塗布を助けるのに有効である。精製されたカチオン性微小球組成物は、再配置可能な感圧接着剤を形成するため、残留する流動性媒体を補う他の試剤と配合されてもよく、典型的には配合される。例えば、精製されたカチオン性微小球組成物は、塗工された基材にカチオン性微小球をしっかりと固定するのに役立つカチオン性ラテックス接着バインダと合わせられてもよい。更に、再配置可能なPSAを増粘し、再配置可能なPSAの塗工性を向上させる様々な調整剤(レオロジー剤など)を、精製されたカチオン性微小球組成物と合わせてもよい。また、再配置可能なPSAの塗工性を向上させる他の調整剤(溶媒など)、および、再配置可能なPSAを化学的に安定化させるのに役立つ酸化防止剤を、精製されたカチオン性微小球組成物と合わせてもよい。
【0046】
他の調整剤(粘着付与剤および/又は可塑剤など)を再配置可能なPSA中に含むことにより、再配置可能なPSAの他の特性を変化させてもよい。レオロジー調整剤、接着バインダ、粘着付与剤、および可塑剤の他に、他の調整剤又は補助剤(着色剤)およびフィラーなど、並びに、再配置可能なPSA中に使用されることがある他の様々なポリマー添加剤を本発明の再配置可能なPSA中に含んでもよい。いずれかのこのような追加の添加剤又は補助剤が、特定の追加の添加剤および/又は補助剤の既知の使用法に有効な量で再配置可能なPSA中に含まれてもよい。
【0047】
精製されたカチオン性微小球組成物を配合した後に、再配置可能なPSAをいずれかの所望の基材(支持体材料又は他の基材など)に塗工し、再配置可能な感圧接着剤コーティングを含む再配置可能な接着物品を形成してもよい。再配置可能なPSAを基材に塗布し、再配置可能な感圧接着剤コーティングを作り出すことは、スロットダイコーティング法などの慣用的な接着剤塗工方法を使用して達成されてもよい。典型的には、再配置可能な感圧接着剤コーティングは、乾燥時に、塗布された再配置可能なPSAコーティング一平方フィート当たり約0.2グラム(一平方メートル当たり2.1グラム)の低さから、塗布された再配置可能なPSAコーティング一平方フィート当たり約2グラム(一平方メートル当たり21.5グラム)の高さの乾燥塗工量を示してもよい。
【0048】
再配置可能な接着物品用の基材として使用される支持体材料は、テープ支持体又は再配置可能なメモ用紙の形成に慣用的に使用されるいずれかの材料であってもよく、又は、他の様々な典型的可撓性材料であってもよい。例えば、支持体材料は、下塗りされたボンド紙若しくは下塗りされたコピー用紙などのいずれかの紙、又は、いずれかの下塗りされた紙ベースの材料であってもよい。一般に、再配置可能な接着物品を形成するのに使用される支持体材料又は他の基材は、約15マイクロメートルの薄さから、約155マイクロメートルの厚さであってもよいが、これらの値の範囲外の厚さを有する支持体材料又は他の基材を寛容に使用してもよい。
【0049】
好適な支持体材料の他の例には、織布および不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、およびセラミック材料が挙げられる。織布の幾つかの例には、木綿、ガラス、セラミック材料、および様々なプラスチック(ナイロンおよびレーヨンなど)などの合成又は天然材料の糸から形成される布帛が挙げられる。不織布の幾つかの例には、織布の形成に関して本明細書に記載される繊維のいずれかなどの、様々な天然又は合成繊維のエアレイドウェブが挙げられる。
【0050】
好適な支持体材料の幾つかの追加の非網羅的な例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、酢酸セルロース、およびエチルセルロースなどの様々な熱可塑性材料から製造される支持体材料が挙げられる。例示的なポリエステル支持体材料の1つには、ミネソタ州セントポール(St. Paul, Minnesota)3M社(3M Company)から入手可能なスコッチ(SCOTCH)(登録商標)フィルム番号8050などのポリエチレンテレフタレート支持体がある。好適なポリアミド支持体材料の1つには、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours and Company)から入手可能なカプトン(KAPTON)(登録商標)ポリイミドフィルムが挙げられる。
【0051】
これらの例示的な熱可塑性材料の他に、他の好適な支持体材料の例には、これらの熱可塑性材料で塗工又はラミネートされている紙又は類似の基材が挙げられる。これらの熱可塑性材料から形成されたフィルム、および、これらの熱可塑性材料で塗工されている紙又は類似の材料は、剥離性を改善するためにシリコーン処理されるか、又はその他処理されることが多い。支持体材料の処理された側からの剥離性を改善するため、支持体材料のいずれかの側を寛容にシリコーン処理してもよく、又は、低接着性背面処理剤コーティング(backsize coating)(「剥離剤コーティング」としても知られる)に関連する方式で処理してもよい。
【0052】
低接着性背面処理剤コーティングは、再配置可能なPSAの接着剤ストライプを備える隣接する再配置可能な接着物品(再配置可能な接着シート又は再配置可能な接着メモなど)が互いに付着することを防止するのに役立つ。この特徴は、第1の再配置可能な接着物品と第2の再配置可能な接着物品が、再配置可能な接着物品のパッド又は積み重ねの一部として含まれている場合、第1の再配置可能な接着物品を第2の再配置可能な接着物品の上から取り,分離することを可能にするのに望ましい。
【0053】
低接着性背面処理剤コーティングを使用しなければ、第1の再配置可能な接着物品上の再配置可能なPSAの接着剤ストライプは、第2の再配置可能な接着物品に強力に接着し、積み重ねから第1の再配置可能な接着物品だけを取ろうと試みるとき、第2の再配置可能な接着物品と、第2の再配置可能な接着物品の下にある次の再配置可能な接着物品までも、パッド又は積み重ねから取れてしまう場合がある。再配置可能なPSAの優れた接着性にもかかわらず、第1の再配置可能な接着物品を第2の再配置可能な接着物品から容易に分離できるように、第1の再配置可能な接着物品の接着剤ストライプに面する第2の再配置可能な接着物品の部分に低接着性背面処理剤コーティングを塗布してもよい。同様に、第2の再配置可能な接着物品を第3の再配置可能な接着物品から容易に分離できるように、第2の再配置可能な接着物品の接着剤ストライプに面する第3の再配置可能な接着物品の部分に低接着性背面処理剤コーティングを塗布してもよい。第1および第2の再配置可能な接着物品の下にあるパッド又は積み重ね中に存在する他の再配置可能な接着物品でも、上にある再配置可能な接着物品を、パッド又は積み重ねの中の次の再配置可能な接着物品から容易に分離できるように、このように低接着性背面処理剤コーティングを使用し続けてもよい。
【0054】
剥離性を改善するための例示的なコーティングの1つは、米国特許第5,032,460号明細書に記載されている。剥離性を改善するための低接着性背面処理剤コーティングは、典型的には、塗工紙又は他の塗工された基材一平方フィート当たり約0.05グラム(一平方メートル当たり0.54グラム)の低さから、塗工紙又は他の塗工された基材一平方フィート当たり約0.1グラム(一平方メートル当たり1.1グラム)の高さの低接着性背面処理剤の乾燥重量の塗布を達成するように塗布される。
【0055】
再配置可能な感圧接着剤を使用する幾つかの例示的な用途には、再配置可能なメモおよび紙製品、再配置可能なテープおよびテープフラッグ製品、再配置可能なイーゼルシート、商業用グラフィックス、壁紙、および再配置可能なスティック糊接着剤などが挙げられる。図に示されるように、再配置可能なPSA10の再配置可能な性質によって、再配置可能な接着物品14を第1の被着面16に接着配置し、その後、再配置可能な接着物品14を第2の被着面18上などの異なる被着面に再配置することができる。再配置可能なPSAは接着性が優れているため、記載される再配置可能な用途の他に、再配置可能なPSAの他の用途には、再配置が不可能な(永久)タイプの工業、商業、および住宅用の用途が挙げられる。カチオン性微小球を組み込む再配置可能な感圧接着剤は、抗菌又は抗微生物医療用接着剤として有用な場合もある。このように、再配置可能なPSAの他の用途には、医療用接着製品を挙げてもよい。
【0056】
カチオン性微小球を含有する再配置可能な感圧接着剤で塗工された物品は、様々な粗面、テクスチャ構造を有する表面、および、接着し難い特性を示す他の表面に、これらの表面から尚早に脱離することなく強力に接着する。更に、再配置可能なPSA中に含まれるカチオン性微小球は、カチオン電荷を有する。特定の理論に拘泥されないが、再配置可能なPSA中に含まれるカチオン性微小球のカチオン電荷は、個々のカチオン性微小球の一部であり、それに永久に結合していると考えられる。カチオン性微小球がカチオン電荷を有するようにするカチオン性微小球の化学的構成成分は、それぞれどのカチオン性微小球内でも永久に且つ化学的に結合しているカチオン性微小球の構造的部分である。従って、カチオン性微小球は、カチオン電荷の損失を受けにくいと考えられる。
【0057】
このように、カチオン性微小球は、全体的に負(陰)電荷を有するどの被着面とも静電気的な接着相互作用をする。この静電気的な接着相互作用によって、カチオン性微小球を組み込む再配置可能なPSAは、全体的に負電荷を有する被着面に対して向上した接着を示すことができる。本発明の再配置可能なPSA中に他のカチオン性構成成分を組み込むと、このような被着面に対する再配置可能なPSAの接着が更に改善される。
【0058】
本発明の再配置可能な感圧接着剤は、粗面、テクスチャ構造を有する表面、および、荷電表面など、より接着し難い特性を有する被着面に取り付ける際、現存の再配置可能な感圧接着剤と比較して向上した接着を示す。更に、本発明の再配置可能な感圧接着剤は、向上した接着を示すと同時に、再配置可能な感圧接着剤を備える再配置可能な接着物品を除去する際、被着面に残る接着剤残留物を最小限にする。例えば、図を参照すると、再配置可能な感圧接着剤10を備える再配置可能な接着物品14を、第1の被着面16から第2の被着面20に再配置するとき、このような再配置は、典型的には、第1の被着面16に再配置可能な感圧接着剤10の目に見える(ヒトの肉眼で見える)残留物を残すことなく行われる。更に望ましくは、再配置可能な感圧接着剤を備える再配置可能な接着物品を、第1の被着面から第2の被着面に再配置するとき、このような再配置は、第1の被着面に再配置可能な感圧接着剤の残留物を全く残すことなく又は本質的に残すことなく行われる。
【0059】
特性分析および特性決定手順
粒度の決定
別途記載されない限り、カチオン性微小球に関して本明細書に示される全ての粒度決定は、ホリバ(Horiba)型番LA−910レーザー散乱式粒度分布測定装置を使用し、粒度を決定するため該測定装置と共に提供される使用説明書に従って行った。ホリバ(Horiba)LA−910粒度分布測定装置は、本社が日本・京都にある株式会社堀場製作所(Horiba Instruments, Inc.)から市販されている。
【0060】
低エネルギー表面に対する接着の特性決定
この試験は、異なる再配置可能な接着物品、即ち、再配置可能な感圧接着剤の乾燥コーティングを含む下塗りされたメモ用紙が、プラスチック低エネルギー表面に接着した状態を維持する能力を決定する。この試験では、特定の再配置可能な感圧接着剤の乾燥コーティングを備える様々な基材のサンプルを被着面、特に、プラスチック低エネルギー表面に接着させる。この手順に使用されるプラスチック低エネルギー表面は、コンピュータモニター用のモデルPF450XLプライバシーフィルタである。モデルPF450XLプライバシーフィルタは、3M社(3M Company)から入手可能である。
【0061】
再配置可能なPSAコーティングを有する類似のサイズの接着物品をモデルPF450XLプライバシーフィルタに接着させる。試験される再配置可能なPSAコーティングが塗布されている接着物品の塗工領域は、ほぼ同じ表面積を有する。接着物品は、類似の貼付圧力を使用してモデルPF450XLプライバシーフィルタ上に配置される。接着物品をモデルPF450XLプライバシーフィルタ上に配置した後、脱離が起こる場合、脱離する前に、異なる接着物品がどれくらい長くプライバシーフィルタに接着した状態を維持するかについて観察を行う。
【0062】
静止角度試験
静止角度試験は、異なる再配置可能な接着物品、即ち、再配置可能な感圧接着剤の乾燥コーティングを含む下塗りされたメモ用紙が、一定の荷重で特定の剥離角度の除去圧力を受けながら標準試験パネルに接着した状態を維持する能力を測定する。本質的に、この静止角度試験は、異なる再配置可能なPSAコーティングを有する再配置可能な接着物品の脱離抵抗を測定するための定量的手順である。
【0063】
この静止角度試験では、異なる再配置可能な接着物品(即ち、再配置可能な接着メモ用紙)は、全て同じサイズ、即ち、幅約33mm、長さ約76mmである。各再配置可能な接着メモ用紙サンプルは、幅約18mm、長さ約33mmの接着剤ストライプ(再配置可能なPSAのコーティング)を備え、各接着剤ストライプの長さ寸法は、各再配置可能な接着メモ用紙サンプルの短い寸法に沿って、各再配置可能な接着メモ用紙サンプルの上に配置される。特定の接着メモ用紙サンプルの接着剤ストライプは、評価される特定の各再配置可能なPSAの乾燥コーティングである。
【0064】
この静止角度試験に使用される試験パネルは、塗装面を有するスチールパネルである。
この手順に従って評価される各再配置可能なメモ用紙サンプルをスチールパネルの塗装面に貼付するが、接着剤ストライプの長い寸法は水平方向を向き、再配置可能な接着メモ用紙サンプルの上に位置している。特定の再配置可能な接着メモ用紙サンプルは、スチールパネルの塗装面に貼付された後、一平方インチ当たり約1.5ポンド(水銀柱77.6ミリメートル)の貼付圧力で貼付ローラを2回通過させて塗装面に感圧接着される。
【0065】
接着剤ストライプを含む再配置可能な接着メモ用紙サンプル全体を、地面にほぼ垂直な鉛直方向を向いているホルダフレームに入れる。スチールパネルの塗装面は、垂直な向きのホルダフレームに対して30°下向きの角度に保持される。ホルダフレームの下端の近位にある再配置可能な接着メモ用紙サンプルの下端に、100グラムの荷重を加える。タイマーは、100グラムの荷重が加わると始動し、再配置可能な接着メモ用紙がスチールパネルから脱離する前に、再配置可能な接着メモ用紙サンプルがどれくらい長くスチールパネルの塗装面に取り付けられた状態を維持するかを測定する。この静止角度試験は、通常は、破壊が起こるまで、即ち、再配置可能な接着メモ用紙がスチールパネルから実際に脱離するまで実施される。脱離が起こるまでの時間を秒で測定してもよい。
【実施例】
【0066】
本発明を以下の実施例で更に詳細に説明するが、それらは単に例証を意図したものであり、当業者には本発明の範囲に入る多数の変更および変形が明らかである。
【0067】
実施例1
この実施例は、カチオン性微小球の合成、合成されたカチオン性微小球を再配置可能な感圧接着剤中に配合すること、および、再配置可能な感圧接着剤のコーティングを基材に塗布して再配置可能な接着物品を形成することを実証する。この実施例では、イソオクチルアクリレートをC4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマーとして使用し、MOETACをカチオン性コモノマーとして使用した。この実施例のカチオン性微小球の製造には、カチオン性不飽和ビニルコモノマー以外、不飽和ビニルコモノマーを使用しなかった。まず、イソオクチルアクリレート343グラム、バゾ(VAZO)(登録商標)52重合開始剤0.35グラム、およびルシドール(LUCIDOL)(登録商標)75重合開始剤0.53グラムを1,000ミリリットルのポリエチレンビーカー中で合わせて、均一に混合し、第1の混合物を形成した。次いで、温度計と機械的攪拌装置を嵌めた2リットルのガラス製反応フラスコ中で第2の混合物を形成した。ガラス製反応フラスコは、反応フラスコが閉鎖時に窒素ガスブランケット下に維持され得るように、窒素送入管も備えた。
【0068】
第2の混合物は、脱イオン水354グラム、エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤の12%水溶液90グラム、およびMOETAC(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から入手した固体75重量%の溶液として)24グラムを含み、これらはガラス製反応フラスコ中で合わせられ、均一に混合された。エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤の水溶液は、カチオン性界面活性剤の水溶液の総重量を基準にして、エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤12重量%、および水88重量%を含んだ。
【0069】
ポリエチレンビーカーの第1の混合物を、2リットルのガラス製反応フラスコ中の第2の混合物に加え、反応混合物を形成した。毎分400回転(RPM)で運転する機械的攪拌装置を使用し、反応フラスコ中の反応混合物を窒素ブランケット下で5分間攪拌した。
5分間混合した後、反応混合物を50℃に加熱し、反応混合物が75℃に発熱するまで、この50℃の温度で約30分間保持した。次いで、反応混合物を更に4時間75℃で保持した。重合反応中ずっと、400RPMで攪拌し、且つ窒素ブランケットを維持し続けた。
【0070】
75℃で4時間保持し終えると、その結果得られた反応生成物を反応フラスコ中で室温に冷却した。次いで、反応生成物をチーズクロスでろ過し、約45重量%の固体を含有する多相懸濁液を得た。この多相懸濁液の固形分は、たとえ全部でなくても、大部分、本発明のカチオン性微小球からなっていた。この文献の「特性分析および特性決定手順」の項の「粒度決定」手順に従って、固体45%の懸濁液の粒度分析を行った。カチオン性微小球の平均粒度は、約73ミクロンであると決定された。
【0071】
次いで、カチオン性微小球を配合し、本発明による再配置可能な感圧接着剤を形成した。まず、オーバーヘッドエアミキサ(overhead air mixer)を使用して攪拌しながら、固体45重量%の懸濁液200グラムを8オンスの広口瓶に入れた。次いで、広口瓶の内容物を連続的に攪拌しながら、米国特許出願第10/052,032号明細書に開示されるカチオン性ラテックス接着バインダの25%水溶液13グラムを、TI−Nox#WL酸化防止剤の10重量%水溶液0.5グラム、およびアクリゾル(ACRYSOL)(登録商標)RM8レオロジー調整剤1.8グラムと共に広口瓶に入れた。
【0072】
カチオン性ラテックス接着バインダの25%水溶液は、25%水溶液の総重量を基準にしてカチオン性ラテックス接着バインダ25重量%と、水75重量%を含んだ。TI−Nox#WL酸化防止剤の10重量%水溶液は、10重量%水溶液の総重量を基準にしてTI−Nox#WL酸化防止剤10重量%と、水90重量%を含んだ。
【0073】
幅15.2センチメートルの下塗りされたボンド紙のロールの第1の面を、米国特許第5,032,460号明細書に記載の低接着性背面処理剤で予め塗工した。カチオン性微小球を含有する配合された再配置可能な感圧接着剤を、下塗りされたボンド紙のロールの第2の面に塗工し、再配置可能な感圧接着剤の接着剤ストライプを含む再配置可能な接着メモ用紙を得た。接着剤ストライプは、乾燥後、接着剤ストライプ一平方フィート当たり再配置可能な感圧接着剤約0.75グラム(一平方メートル当たり8.1グラム)の塗工量を有した。再配置可能な接着メモ用紙を後で25.4センチメートル×15.2センチメートルの再配置可能な接着メモ用紙のパッドに変え、その後、試験するため異なるサイズに切断した。
【0074】
実施例2
この実施例は、カチオン性微小球の合成、合成されたカチオン性微小球を再配置可能な感圧接着剤中に配合すること、および再配置可能な感圧接着剤のコーティングを基材に塗布して再配置可能な接着物品を形成することを実証する。この実施例では、イソオクチルアクリレートをC4〜C14アルキル(メタ)アクリレートモノマーとして使用し、MOETACをカチオン性不飽和ビニルコモノマーとして使用し、N−ビニルピロリドンを任意選択的不飽和ビニルコモノマーとして使用した。
【0075】
まず、イソオクチルアクリレート328グラム、N−ビニルピロリドン9グラム、バゾ(VAZO)(登録商標)52重合開始剤0.36グラム、ルシドール(LUCIDOL)(登録商標)75重合開始剤0.54グラム、および第三級ドデシルメルカプタンの1%溶液7.2グラムを1,000ミリリットルのポリエチレンビーカー中で合わせて、均一に混合し、第1の混合物を形成した。第三級ドデシルメルカプタンの1%溶液は、1%溶液の総重量を基準にして第三級ドデシルメルカプタン1重量%とイソオクチルアクリレート99重量%を含んだ。第三級ドデシルメルカプタンは、その後のモノマー/コモノマー重合中、連鎖移動剤の役割をした。
【0076】
次いで、温度計と機械的攪拌装置を嵌めた2リットルのガラス製反応フラスコ中で第2の混合物を形成した。ガラス製反応フラスコは、反応フラスコが閉鎖時に窒素ガスブランケット下に維持され得るように、窒素送入管も備えた。
【0077】
第2の混合物は、脱イオン水360グラム、エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤の12%水溶液90グラム、およびMOETAC(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から入手した固体75重量%の溶液として)21.6グラムを含み、これらはガラス製反応フラスコ中で合わせられ、均一に混合された。エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤の水溶液は、カチオン性界面活性剤の水溶液の総重量を基準にして、エトクワッド(ETHOQUAD)(登録商標)18/25カチオン性界面活性剤12重量%、および水88重量%を含んだ。
【0078】
ポリエチレンビーカーの第1の混合物を、2リットルのガラス製反応フラスコ中の第2の混合物に加え、反応混合物を形成した。毎分400回転(RPM)で運転する機械的攪拌装置を使用し、反応フラスコ中の反応混合物を窒素ブランケット下で5分間攪拌した。
5分間混合した後、反応混合物を50℃に加熱し、反応混合物が76℃に発熱するまで、この50℃の温度で約30分間保持した。次いで、反応混合物を更に4時間75℃で保持した。重合反応中ずっと、400RPMで攪拌し、且つ窒素ブランケットを維持し続けた。
【0079】
75℃で4時間保持し終えると、その結果得られた反応生成物を反応フラスコ中で室温に冷却した。次いで、反応生成物をチーズクロスでろ過して、非常に少量の球状物質を除去し、約45重量%の固体を含有する多相懸濁液を得た。この多相懸濁液の固形分は、たとえ全部でなくても、大部分、本発明のカチオン性微小球からなっていた。この文献の「特性分析および特性決定手順」の項の「粒度決定」手順に従って、固体45%の懸濁液の粒度分析を行った。カチオン性微小球の平均粒度は、約39ミクロンであると決定された。
【0080】
次いで、カチオン性微小球を配合し、本発明による再配置可能な感圧接着剤を形成した。まず、オーバーヘッドエアミキサ(overhead air mixer)を使用して攪拌しながら、固体45%の懸濁液200グラムを8オンスの広口瓶に入れた。次いで、広口瓶の内容物を連続的に攪拌しながら、カチオン性ラテックス接着バインダの25%水溶液(実施例1に記載)8グラムを、TI−Nox#WL酸化防止剤の10重量%水溶液(実施例1に記載)0.5グラム、およびナトロゾル(NATROSOL)(登録商標)250HHRレオロジー調整剤0.25グラムと共に広口瓶に入れた。
【0081】
実施例1に記載のように、カチオン性微小球を含有する配合された再配置可能な感圧接着剤を、下塗りされたボンド紙(実施例1に記載のように低接着性背面処理剤で塗工されている)のロールに塗工し、再配置可能な感圧接着剤の接着剤ストライプを含む再配置可能な接着メモ用紙を得た。接着剤ストライプは、乾燥後、接着剤ストライプ一平方フィート当たり再配置可能な感圧接着剤約0.75グラム(一平方メートル当たり8.1グラム)の塗工量を有した。再配置可能な接着メモ用紙を後で25.4センチメートル×15.2センチメートルの再配置可能な接着メモ用紙のパッドに変え、その後、試験するため異なるサイズに切断した。
【0082】
実施例1および2の再配置可能な接着メモ用紙の試験
実施例1および2で製造された本発明の再配置可能な感圧接着剤で塗工された再配置可能な接着メモ用紙の幾つかと、商業的に使用されている再配置可能なPSAで塗工されたメモ用紙サンプルについて、低エネルギー表面に対する接着試験を行った。試験は、この文献の「特性分析および特性決定手順」の項の「静止角度試験」手順からなる。
【0083】
実施例1および2で調製され、実施例1および2に詳述される下塗りされたメモ用紙に塗布された再配置可能な感圧接着剤の乾燥塗工量を、下記の表1に詳述する。再配置可能な接着メモ用紙、および、試験される再配置可能な接着メモ用紙用の接着剤ストライプの寸法は、「静止角度試験」手順に記載されている。
【0084】
比較例(表1参照)の再配置可能な接着メモ用紙は、3M社(3M Company)から入手可能なハイランド(HIGHLAND)(登録商標)再配置可能な接着メモ用紙を調製するのに使用される再配置可能な感圧接着剤を、下塗りされたメモ用紙(即ち、下塗りされたボンド紙)に塗工することによって調製された。実施例1および2の再配置可能な接着メモ用紙を形成するために接着剤ストライプを塗布したのと同様に、比較例の再配置可能な接着メモ用紙の接着剤ストライプを塗布し、比較例の下塗りされたメモ用紙は、実施例1および2に記載されるように低接着性背面処理剤を備えた。比較例の再配置可能な接着メモ用紙、および、再配置可能な接着メモ用紙用の接着剤ストライプの寸法は、実施例1および2の再配置可能な接着メモ用紙、および、再配置可能な接着メモ用紙用の接着剤ストライプの寸法と同じであった。
【0085】
実施例1および2、並びに比較例の再配置可能な接着メモ用紙は、それぞれ、「静止角度試験」手順を経た。実施例1、実施例2、および比較例の再配置可能な接着メモ用紙に対する結果を下記の表1に示す。各試験に対して表1に報告する数値は、6つの別々の試験片の平均である。
【0086】
【表1】

【0087】
表1のこれらの結果は、本発明の再配置可能な感圧接着剤が示す非常に向上した接着と、ハイランド(HIGHLAND)(登録商標)塗工メモ用紙に使用される現存の再配置可能な感圧接着剤が示す接着を表している。表1から、本発明の再配置可能な感圧接着剤の高い接着は、ハイランド(HIGHLAND)(登録商標)塗工メモ用紙に使用される現存の再配置可能な感圧接着剤の接着と比較して、ほぼ4倍〜6倍以上高い(静止角度試験で特性決定される場合)ことが明らかである。
【0088】
実施例3〜8
実施例2の手順に従って実施例3〜8を実施し、固体45%のカチオン性微小球の多相懸濁液を得たが、例外として、カチオン性不飽和ビニルコモノマー、カチオン性界面活性剤、任意選択的不飽和ビニルモノマー、および連鎖移動剤に関して下記の表2に示される変更を行った。実施例1および2のこれらの様々な構成成分が含まれる場合、それらの濃度も表2に示す。更に、表2に、実施例1〜8で合成されたカチオン性微小球の粒度測定値も記載する。
【0089】
【表2】

【0090】
実施例3〜8で製造されたカチオン性微小球を実施例2に記載される配合の詳細に従って配合し、本発明による様々な再配置可能な感圧接着剤を形成した。次いで、実施例3〜8の配合された再配置可能な感圧接着剤を、実施例1に記載のように(しかし、様々な乾燥塗工量で)、下塗りされたボンド紙(実施例1に記載のように低接着性背面処理剤で塗工されている)のロールに塗工し、それぞれ実施例3〜8の再配置可能な感圧接着剤の接着剤ストライプを含む再配置可能な接着メモ用紙を得た。再配置可能な接着メモ用紙を後で25.4センチメートル×15.2センチメートルの再配置可能な接着メモ用紙のパッドに変え、その後、異なるサイズに切断した。
【0091】
実施例3の再配置可能な接着メモ用紙の試験
実施例3で製造された本発明の再配置可能な感圧接着剤で塗工された再配置可能な接着メモ用紙の幾つかと、商業的に使用されている再配置可能なPSAで塗工されたメモ用紙サンプルについて試験を行った。試験は、この文献の「特性分析および特性決定手順」の項の「低エネルギー表面に対する接着の特性決定」手順からなる。
【0092】
この低エネルギー表面に対する接着試験では、実施例3で製造された再配置可能なPSAを使用する再配置可能な接着メモ用紙の2つのサンプルを使用した。実施例3で製造された再配置可能なPSAを使用するこれらのサンプルでは、再配置可能な接着メモ用紙はそれぞれ、幅18ミリリットルおよび長さ7.62センチメートルの再配置可能なPSAの接着剤ストライプを有した。接着剤ストライプの長い寸法は、各再配置可能な接着メモ用紙の上縁に沿った向きであった。これらの2つの実施例2の再配置可能な接着メモ用紙サンプル上の再配置可能な感圧接着剤は、接着剤ストライプ一平方フィート当たり再配置可能なPSA0.65グラム(一平方メートル当たり7.0グラム)の塗工量を有した。
【0093】
3M社(3M Company)から入手可能なハイランド(HIGHLAND)(登録商標)再配置可能な接着メモ用紙を調製するのに使用される再配置可能な感圧接着剤で塗工された、比較の再配置可能な接着メモ用紙を調製した。実施例3の再配置可能な接着メモ用紙を形成するために接着剤ストライプを塗布したのと同様に、比較の再配置可能な接着メモ用紙の接着剤ストライプを塗布し、比較の再配置可能な接着メモ用紙は、実施例1および2に記載されるように低接着性背面処理剤を備えた。比較の再配置可能な接着メモ用紙、および、比較の再配置可能な接着メモ用紙用の接着剤ストライプの寸法は、実施例3の再配置可能な接着メモ用紙、および、再配置可能な接着メモ用紙用の接着剤ストライプの寸法と同じであった。
【0094】
実施例3の再配置可能な接着メモ用紙および比較の再配置可能な接着メモ用紙は、「低エネルギー表面に対する接着の特性決定」手順を経た。その結果、比較の再配置可能な接着メモ用紙は、貼付されて24時間以内にプライバシーフィルタのプラスチック表面から脱離した。他方、実施例3の再配置可能な接着メモ用紙は、6ヶ月より長くプライバシーフィルタのプラスチック表面にしっかりと取り付けられた状態を維持した。その後、実施例3の2つの再配置可能な接着メモ用紙を再配置したとき、実施例3の2つの再配置可能な接着メモ用紙は、プライバシーフィルタのプラスチック表面からきれいに除去され、感圧接着剤の目に見える(ヒトの肉眼で見える)残留物を後に残さなかった。
【0095】
幾つかの好ましい実施形態を含む様々な実施形態を参照して本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に形態および詳細における変更をなし得ることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物であって、
複数のカチオン性微小球、および
表面への前記接着剤組成物の流体塗布を助けるのに有効な流動性媒体、
を含む、接着剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン性微小球が、各カチオン性微小球に永久に且つ個々に結合しているカチオン電荷を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記カチオン性微小球が、一部、カチオン性不飽和ビニルモノマーから誘導されている、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン性微小球が、一部、CNアルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで、Nは4〜14の範囲の任意の整数である)から誘導されている、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記カチオン性微小球が、一部、不飽和ビニルコモノマーから誘導されている、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記接着剤組成物が、カチオン性ラテックス接着バインダを更に含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記接着剤組成物が、カチオン性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
基材、および
前記基材上の請求項1に記載の接着剤組成物のコーティング、
を備える接着物品であって、前記接着剤組成物が、第1の被着面に前記接着物品を配置し、そして第2の被着面に前記接着物品を再配置することを可能にするのに有効である、接着物品。
【請求項9】
前記接着剤組成物が、前記第1の被着面に前記感圧接着剤の目に見える残留物を残すことなく、前記接着物品を前記第1の被着面から前記第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効であり、前記目に見える残留物が、ヒトの肉眼で見えるあらゆる残留物である、請求項8に記載の接着物品。
【請求項10】
接着物品の製造方法であって、基材に請求項1に記載の接着剤組成物のコーティングを塗布して接着物品を形成する工程を含み、前記接着剤組成物が、前記接着物品を第1の被着面に配置し、そして前記接着物品を異なる被着面に再配置することを可能にするのに有効である、方法。
【請求項11】
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで、Nは4〜14の範囲の任意の整数である)、および
カチオン性不飽和ビニルコモノマー、
を含む重合性物質を含む混合物。
【請求項12】
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、イソオクチルアクリレートを含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項13】
前記重合性物質が、不飽和ビニルコモノマーを更に含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項14】
前記混合物が、カチオン性ラテックス接着バインダを更に含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項15】
前記混合物が、カチオン性界面活性剤を更に含む、請求項14に記載の混合物。
【請求項16】
前記混合物が、カチオン性界面活性剤を更に含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項17】
前記混合物が、触媒作用開始剤を更に含む、請求項11に記載の混合物。
【請求項18】
前記重合性物質を重合する際、カチオン性微小球の形成に有効である、請求項11に記載の混合物。
【請求項19】
重合性物質の重合生成物を含む接着剤であって、前記重合生成物は、異なる被着面間で接着再配置が可能であり、前記重合性物質が
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで、Nは4〜14の範囲の任意の整数である)、および
カチオン性不飽和ビニルコモノマー、
を含む、接着剤。
【請求項20】
前記重合生成物が、前記接着剤を感圧性にするポリマーエラストマー微小球を含む、請求項19に記載の接着剤。
【請求項21】
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、イソオクチルアクリレートを含む、請求項19に記載の接着剤。
【請求項22】
前記重合性物質が、不飽和ビニルコモノマーを更に含む、請求項19に記載の接着剤。
【請求項23】
前記再配置可能な感圧接着剤が、カチオン性ラテックス接着バインダを更に含む、請求項19に記載の接着剤。
【請求項24】
前記再配置可能な感圧接着剤が、カチオン性界面活性剤を更に含む、請求項19に記載の接着剤。
【請求項25】
接着剤ストライプ一平方フィート当たり前記接着剤約0.65グラム(一平方メートル当たり7.0グラム)の割合で、紙基材に幅約18mm、長さ約33mmの接着剤ストライプとして前記接着剤を塗工した後、塗装されたスチールパネルの表面で静止角度試験を行うとき、前記接着剤が、前記塗装されたスチールパネルの表面に接着されて約300秒後に、前記塗装されたスチールパネルの表面から脱離する、請求項19に記載の接着剤。
【請求項26】
接着剤ストライプ一平方フィート当たり前記接着剤約0.55グラム(一平方メートル当たり5.9グラム)の割合で、紙基材に幅約18mm、長さ約33mmの接着剤ストライプとして前記接着剤を塗工した後、塗装されたスチールパネルの表面で静止角度試験を行うとき、前記接着剤が、前記塗装されたスチールパネルの表面に接着されて約240秒後に、前記塗装されたスチールパネルの表面から脱離する、請求項23に記載の接着剤。
【請求項27】
基材、および
前記基材上の請求項19に記載の接着剤のコーティング、
を備える接着物品であって、前記接着剤が、前記接着物品を第1の被着面に配置し、そして前記接着物品を第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効である、接着物品。
【請求項28】
前記接着剤組成物が、前記第1の被着面に前記感圧接着剤の目に見える残留物を残すことなく、前記接着物品を前記第1の被着面から前記第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効であり、前記目に見える残留物が、ヒトの肉眼で見えるあらゆる残留物である、請求項27に記載の接着物品。
【請求項29】
接着剤組成物の製造方法であって、
前記接着剤組成物が得られるように、複数のカチオン性微小球を流動性媒体中に存在させる工程、
を含み、前記流動性媒体が表面への前記接着剤組成物の流体塗布を助けるのに有効である、方法。
【請求項30】
前記カチオン性微小球が、各カチオン性微小球に永久に且つ個々に結合しているカチオン電荷を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記カチオン性微小球が、一部、CNアルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで、Nは4〜14の範囲の任意の整数である)から誘導されている、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記カチオン性微小球が、一部、不飽和ビニルコモノマーから誘導されている、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記接着剤組成物中にカチオン性ラテックス接着バインダを組み込む工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記接着剤組成物中にカチオン性界面活性剤を組み込む工程を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接着剤組成物中にカチオン性界面活性剤を組み込む工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
基材、および
前記基材上の請求項29で調製される接着剤のコーティング、
を備える接着物品であって、前記接着剤が、前記接着物品を第1の被着面に配置し、そして前記接着物品を第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効である、接着物品。
【請求項37】
前記接着剤組成物が、前記第1の被着面に前記感圧接着剤の目に見える残留物を残すことなく、前記接着物品を前記第1の被着面から前記第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効であり、前記目に見える残留物が、ヒトの肉眼で見えるあらゆる残留物である、請求項36に記載の接着物品。
【請求項38】
接着性カチオン性微小球の製造方法であって、重合性混合物の反応を開始させ、前記接着性カチオン性微小球を形成する工程を含み、前記重合性混合物が
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで、Nは4〜14の範囲の任意の整数である)、および
カチオン性不飽和ビニルコモノマー、
を含む、方法。
【請求項39】
少なくとも1種類のCNアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、イソオクチルアクリレートを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記重合性混合物が、不飽和ビニルコモノマーを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記重合性混合物の反応を開始させる工程が、
前記重合性混合物中に触媒作用開始剤を含む工程、および
前記触媒作用開始剤により触媒作用の開始を引き起こす工程、
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記触媒作用開始剤により触媒作用の開始を引き起こす工程が、前記触媒作用開始剤を加温し、前記触媒作用開始剤によるフリーラジカル発生を引き起こす工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記重合性混合物中にカチオン性界面活性剤を含む工程を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
請求項38に記載の接着性カチオン性微小球の使用方法であって、前記接着性カチオン性微小球をカチオン性ラテックス接着バインダと均一に混合し、接着剤組成物を形成する工程を含む方法。
【請求項45】
前記重合性混合物中にカチオン性界面活性剤を含む工程を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
接着剤ストライプ一平方フィート当たり前記接着剤組成物約0.65グラム(一平方メートル当たり7.0グラム)の割合で、紙基材に幅約18mm、長さ約33mmの接着剤ストライプとして前記接着剤組成物を塗工した後、塗装されたスチールパネルの表面で静止角度試験を行うとき、前記接着剤組成物が、前記塗装されたスチールパネルの表面に接着されて約300秒後に、前記塗装されたスチールパネルの表面から脱離する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項40に記載の接着性カチオン性微小球の使用方法であって、前記接着性カチオン性微小球をカチオン性ラテックス接着バインダと均一に混合し、接着剤組成物を形成する工程を含む方法。
【請求項48】
前記重合性混合物中にカチオン性界面活性剤を含む工程を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
接着剤ストライプ一平方フィート当たり前記接着剤組成物約0.55グラム(一平方メートル当たり5.9グラム)の割合で、紙基材に幅約18mm、長さ約33mmの接着剤ストライプとして前記接着剤組成物を塗工した後、塗装されたスチールパネルの表面で静止角度試験を行うとき、前記接着剤組成物が、前記塗装されたスチールパネルの表面に接着されて約240秒後に、前記塗装されたスチールパネルの表面から脱離する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
基材、および
前記基材上の請求項44で調製される接着剤組成物のコーティング、
を備える接着物品であって、前記接着剤組成物が、前記接着物品を第1の被着面に配置し、そして前記接着物品を第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効である、接着物品。
【請求項51】
前記接着剤組成物が、前記第1の被着面に前記感圧接着剤の目に見える残留物を残すことなく、前記接着物品を前記第1の被着面から前記第2の被着面に再配置することを可能にするのに有効であり、前記目に見える残留物が、ヒトの肉眼で見えるあらゆる残留物である、請求項50に記載の接着物品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−237008(P2012−237008A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178093(P2012−178093)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2006−542568(P2006−542568)の分割
【原出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】