説明

カッティングシートパターン転写方法及びその装置

【課題】 カッティングシートにカッティングされた文字、図形の必要部のみを転写用フィルム(キャリアフィルム)に接着転写させるパターン転写方法及びその装置の提供を課題とする。
【解決手段】 カッティングシートパターン転写装置10は、カッティングプロッター部20と、インクジェットプリンター部30と、転写用フィルムカセット機構部40と、それらを制御するコンピュータ制御部50とから構成され、不必要部分に接着防止層を形成することにより、カッティングシートにカットされた文字・図形などのパターンから、不要領域部分の取り去り作業をすることなく、自動的に且つ短時間で転写用フィルムにカットされたパターンを接着転写することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティングシート上に文字列などのパターンをカットした後、接着性のあるキャリアフィルムを上に乗せてそのパターンのみ剥離紙から連続的に剥離させるパターン転写方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複雑な形状の文字や図形をカッティングしたカッティングシートから不要部分を剥がして除去する作業は人手による手間がかかる作業であった。また、文字や図形の鋭角にカットされた部分や、細い線分の部分についてはその作業にさらに時間を要する問題があった。
【0003】
特許文献1は、文字や図形のアウトラインカッティングの他に、文字や図形に余白を加えてカッティングする機能を備えたカッティングプロッターに関する発明である。
【0004】
しかし、レタリングの各部分の位置関係をずれないように剥離紙状のレタリングシートをアプリケーションシートに転写する直前の、不要部分の剥離除去作業は、どうしても手作業で行わねばならない問題があった。
【0005】
すなわち、カッティングシート上のカッティングされた図形のみを残して、不要部分を除去する工程については、従来自動化されていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−33598号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、カッティングシートにカッティングされた文字、図形のみを転写用フィルム(キャリアフィルム)に接着転写させるパターン転写方法及びその装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のカッティングシートパターン転写方法は、剥離紙上に剥離・貼付自在に重ねられた剥離紙付カッティングシート上に、文字列或は線幅のある線分列、図形から構成されたカッティングパターンを形成し、接着性のある透明なキャリアフィルムからなる転写用フィルムを載せて、前記文字或は線分、図形を表すカッティングパターン以外の不必要領域を除く必要パターンのみをその転写用フィルムに転写させる方法であって、
プラテンローラ上に、前記剥離紙付カッティングシートを一方向へ走行させると共に、それと直行する方向へインクジェットヘッドをキャリッジ駆動させる印字機構と;そのインクジェットヘッドからシートへ吹付ける接着防止溶液を収納したインク収納容器と;から少なくともなるインクジェットプリンター部と、
前記転写用フィルムが所定長巻かれた第1のローラ部と;フィルム巻取駆動機構に接続された第2のローラ部と;それらローラ部間を走行するフィルムに並行して前記剥離紙付カッティングシートを同速度で走行させると共に、それらフィルムとシートが重なった状態で通過させる圧力ローラと;から少なくともなる転写用フィルムカセット機構部と、を少なくとも設け、
前記インクジェットプリンター部のインクジェットヘッドにより前記カッティングパターンの反転させた前記不必要領域にのみ前記接着防止溶液を吹き付けて印刷し、カッティングシート不必要領域の表面上に接着防止層を形成させる接着防止層形成工程と、
前記転写用フィルムカセット機構部の圧力ローラ部を通過させて転写用フィルムを走行させながら順次剥離紙付カッティングシートに密着させるフィルム・シート圧着転写工程と、
前記転写用フィルムカセット機構部の第2のローラ部の巻取り駆動により前記剥離紙付カッティングシートから転写用フィルムに接着された前記カッティングパターンのみ剥離紙から剥離させて転写用フィルムに接着転写する剥離転写工程と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記接着防止溶液は、水性シリコン或はフッ素樹脂からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカッティングシートパターン転写装置は、剥離紙上に剥離・貼付自在に重ねられた剥離紙付カッティングシートを走行させ、そのシート巻取り方向前後に移動できるシート走行機構と;カッティングヘッドを前記シート走行方向と直交する方向へ駆動させるヘッドキャリッジ駆動機構と;そのヘッドによりシートのみカットするように駆動できるヘッド昇降機構と;を少なくとも設け、それら3機構によりカッティングヘッドを駆動させ、文字列或は線幅のある線分列のパターンを切抜くことが出来るカッティングプロッター部と、
プラテンローラ上を所定速度で一方向へ剥離紙付カッティングシートを走行させると共に、それと直交方向へインクジェットヘッドをキャリッジ駆動させる印字機構と;そのヘッドから剥離紙付カッティングシートへ吹付ける接着防止溶液を収納したインク収納容器と;を少なくとも設け、前記パターンの不必要部分にのみ接着防止溶液を吹付けることができるインクジェットプリンター部と、
前記剥離紙付カッティングシートの表面上に接着性のある透明なキャリアフィルムからなる転写用フィルムを重ねて、必要とするパターンのみ接着して剥離できるように、その転写用フィルムが所定長巻かれた第1のローラ部と;フィルム巻取駆動機構部に接続された第2のローラ部と;それらローラ部間を走行する転写用フィルムに並行して前記剥離紙付カッティングシートを同速度で走行させると共に、それら転写用フィルムと剥離紙付カッティングシートとが重なった状態で通過させる圧力ローラ部と;を少なくとも設けた転写用フィルムカセット機構部と、
前記カッティングプロッター部、インクジェットプリンター部、転写用フィルムカセット機構部をそれぞれ制御するコンピュータ制御部と、を備えるパターン転写装置であって、
前記コンピュータ制御部がその入力装置部からバスを介してパターンカッティング指令とそのパターンデータを受ければ、前記プロッター部に対してそのパターンデータの文字或は線分単位毎に前記3機構へ指令信号をバス及び第1のインターフェースを介して出力しカッティングヘッドにより剥離紙付カッティングシートのシート部分のみ前記パターンで切抜き、前記単位毎に巻き取らせるパターン切抜手段と、
前記コンピュータ制御部が、その入力装置からバスを介してパターンプリンター指令とそのパターンの反転部分吹付領域データを受ければ、前記プリンター部に対してバス及び第2のインターフェースを介してその指令信号を出力し、印字機構を駆動させると共に、インクジェットヘッドより前記データに基づいて接着防止溶液を吹付けさせて、その領域に接着防止層を形成させる接着防止層形成手段と、
前記コンピュータ制御部が、その入力装置部からバスを介してフィルム・シート密着指令を受ければ、前記転写用フィルムカセット機構部、カッティングシート巻取取駆動部に対してバス及び第3のインターフェースを介して指令信号を出力しそれぞれ同速度で駆動走行させると共に、圧力ローラ部間に転写用フィルム及び剥離紙付カッティングシートを通過させて、パターンの圧力転写をさせるフィルム・シート圧力転写手段と、
その密着させた転写フィルムの走行先の第2のローラと、剥離紙付カッティングシートの走行先のシート巻取駆動部とにより剥離紙付カッティングシートからパターン部分のみ転写用フィルムへ接着して剥離紙から剥離させて、転写用フィルムへ接着転写させるパターン剥離手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法及び装置によれば、カッティングシートにカットされた文字・図形などのパターンから、不要領域部分の取去り作業を手作業ですることなく、自動的に且つ短時間で転写用フィルムに接着転写する事ができる。このため、従来の手作業による不要領域の剥離作業を削除し加工手間と費用を大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のカッティングシートパターン転写方法及びその装置について図に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のカッティングシートパターン転写装置の構成を示す模式図、図2はカッティングシートパターン転写装置の構造を示す図である。
【0014】
図において、20はカッティングプロッター部、30はインクジェットプリンター部、40は転写用フィルムカセット機構部を示し、50はそれらを制御するコンピュータ制御部を示す。
【0015】
コンピュータ制御部50は、CPU51、キーボードなどの入力装置部52、HDDなどの記憶装置部53、表示部54、カッティングプロッター部へ制御信号を送る第1のインターフェース部55、インクジェットプリンター部30へ制御信号を送る第2のインターフェース部56、転写用フィルムカセット機構部40へ制御信号を送る第3のインターフェース部57、バス59とからなる。
【0016】
カッティングプロッター部20は、カッティングヘッド20aを以下に示す3つの機構によりカッティングシート1aに文字列あるいは線幅のある線分列、図形のパターンを切抜くプロッター部である。
【0017】
図3(a)、(b)に示すように剥離紙付カッティングシート1は、剥離紙1bとその剥離紙1bに剥離・貼付自在に重ねられたカッティングシート1aとからなり、表面のカッティングシート1aのみがカッティングパターンにカッティングされる。
【0018】
カッティングプロッター部20(図2参照)は、カッティングヘッド20aはプラテンローラ20b上を走行する剥離紙付カッティングシート1を指示されたパターンにカットする。その剥離紙付カッティングシート1はシート収納部28からシート走行機構21により走行方向前後に走行駆動させる。一方、カッティングヘッド20aはシート走行方向と直行する方向へ駆動させるヘッドキャリッジ駆動機構22と、そのヘッドによりカッティングシート1aのみカットするように駆動できるヘッド昇降機構23とが設けられている。
【0019】
それらの3つの機構21、22、23によりシート走行機構21とカッティングヘッド20aを駆動させ、前記文字列あるいは線分列、図形のパターンを切抜くことができる。(図3(c)、(d)参照)
【0020】
インクジェットプリンター部30(図2参照)は、カッティングされた剥離紙付カッティングシート1をプラテンローラ30b上に所定速度で一方向へ走行させると共に、その走行と直行方向へインクジェットヘッド30aをキャリッジ駆動させる印字機構31とが設けられている。さらにインクジェットプリンター部30はインク収納容器30xと接着防止溶液収納容器30yを設け、それらを制御信号により切替える収容部切替機構32を備える。
【0021】
尚、インク収納容器30x内のインク溶液の代わりに接着防止溶液を入れることができる場合は、収容部切替機構32は必要がない。
【0022】
このようなインクジェットプリンター部30により前記パターンの不必要部分(パターン文字の場合はその反転像の部分)のみ接着防止溶液を吹付けて接着防止層1yを形成する。(図4(e)、(f)参照)
【0023】
尚、29はシート走行バッファー部であり、前記カッティングプロッター部20との間の剥離紙付カッティングシート1の走行緩衝装置であり、このシート走行バッファー部29により後述するコンピュータ制御部50からカッティングプロッター部20及びインクジェットプリンター部30へ送信される制御信号間のタイミングを以下のように同期させる。
【0024】
すなわちカッティングプロッター部20で一連のパターンを走行方向前後にシート走行させ、その一連のパターンをカットした後、そのパターン単位に次のインクジェットプリンター部30で一方向に走行させながら、パターンの不必要部分へのみ接着防止層1yを形成する。
【0025】
転写用フィルムカセット機構部40(図2参照)は、カットされた剥離紙付カッティングシート1のパターンの不必要部分のみに接着防止層1yが形成された状態で、その表面上に転写用フィルム1zを重ねて、転写用フィルム1zにパターンのみを接着して剥離させる機構部である。尚、転写用フィルム1zは接着性のある透明なキャリアフィルムからなる。
【0026】
転写用フィルムカセット機構部40は、転写用フィルム1zが所定長巻かれた第1のローラ部41と、その巻取駆動機構に接続された第2のローラ部42と、それらのローラ間を走行する転写用フィルム1zに並行して前記剥離紙付カッティングシート1を同速度で走行させると共に、それらの転写用フィルム1zと前記剥離紙付カッティングシート1とが重なった状態(図4(g)、(h)参照)で圧力を印加させる圧力ローラ部43とから構成される。
【0027】
また、48は必要部分のパターンが転写用フィルム1zに接着剥離された、残りの剥離紙付カッティングシート1(図5(i)、(j)参照)を巻き取るシート巻取駆動部である。
【0028】
一方、第2のローラ部42には、必要なパターンが転写剥離された転写用フィルム1x(図5(k)、(l)参照)が巻き取られる。
【0029】
尚、39はインクジェットプリンター部30と転写用フィルムカセット機構部40との間のシート走行バッファー部を示し、シート走行バッファー部29と同様な緩衝機能を有する。
【0030】
コンピュータ制御部50は、そのCPU51にパターン切抜手段51a、接着防止層形成手段51b、フィルム・シート圧力転写手段51c,パターン剥離手段51dの各手段を備える。
【0031】
パターン切抜手段51aは、CPU51が入力装置部52からバス59を介してパターンカッティング指令とそのパターンデータを受信し、カッティングプロッター部20に対してバス59及び第1のインターフェース部55を介してパターンデータを前記3機構20、22、23への指令信号を出力し、カッティングヘッド20aを駆動させてカッティングシート1aをカットして、シート走行バッファー部29内に巻き取らせる手段である。
【0032】
接着防止層形成手段51bは、CPU51が入力装置部52からバス59を介してパターンプリント指令と、反転パターンの吹付領域データを受信し、インクジェットプリンター部30に対してバス59及び第2のインターフェース部56を介して指令信号を出力し、印字機構31を駆動させると共に、インクジェットヘッド30aより吹付領域データに基づいて接着防止溶液を吹付けて、接着防止層1yを形成させる手段である。
【0033】
尚、この実施例では接着防止層形成手段51bは入力装置部52からのパターンプリント指令により起動されると説明したが、パターン切抜手段51aの実行と並行して、所定のパターンの切抜き単位で接着防止層形成手段51bを実行させて並行作業とさせるのが望ましい。
【0034】
フィルム・シート圧力転写手段51cは、CPU51がその入力装置部52からバス59を介してフィルム・シート密着指令を受信し、転写用フィルムカセット機構部40カッティングシート巻取駆動部48に対してバス59及び第3のインターフェース部57を介して指令信号を出力し、それぞれ同速度で駆動走行させ、圧力ローラ部43の間に転写用フィルム1zと剥離紙付カッティングシート1を重ねて通過させ、転写用フィルム1zに必要なパターンのみを接着させる手段である。
【0035】
複数のパターンを連続してカットする場合は、このフィルム・シート圧力転写手段51cの実行も、接着防止層形成手段51bの実行中に並行して行わせることができる。
【0036】
パターン剥離手段51dは、フィルム・シート圧力転写手段51cで密着させた転写用フィルム1zと剥離紙付カッティングシート1を分離する手段で、パターンが接着剥離された転写用フィルム1zがその走行先の第2のローラ42に巻き取られ、接着防止層が形成された不必要部分のみが残された剥離紙付カッティングシート1がその走行先のカッティングシート巻取駆動部48に巻き取られる。
【0037】
図3は剥離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(1)であって、(a)は剥離紙付カッティングシート原紙の平面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は文字がカッティングされた原紙の平面図、(d)は(c)のX−X断面図である。
【0038】
図3(a)、(b)は、剥離紙付カッティングシート1を示す。剥離紙付カッティングシート1は、剥離紙1b上に剥離貼付自在のカッティングシート1aが貼付された状態で載っている。この剥離紙付カッティングシート1(一般にカッティングシートと称する)は、シート収納部28に収納されている。
【0039】
図3(c)、(d)は、カッティングプロッター部20によりカットされた剥離紙付カッティングシート1を示す。カットされた剥離紙付カッティングシート1はシート走行バッファー部29内に巻き取られる。
【0040】
図3(d)は、(a)の文字パターン1cがカット線1xで切抜かれている状態を示す。
【0041】
図4は、剥離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(2)であって、(e)は不必要部分に接着防止層を形成した平面図、(f)は(e)のX−X断面図、(g)は転写用フィルムを乗せた平面図、(h)は(g)のX−X断面図である。
【0042】
図4(e)、(f)は不必要部分にインクジェットプリンター部30により接着防止層1yを形成した状態を示す。すなわち、パターン1c以外の文字パターンの反転部分に接着防止層1yが印刷されている。この剥離紙付カッティングシート1はシート走行バッファー部39内に巻き取られる。
【0043】
図4(g)、(h)は転写用テープカセット機構部40により転写用フィルム1zを載せた状態を示す。
【0044】
図5は、剥離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(3)であって、(i)は転写用フィルムを剥離した不必要部分の剥離紙付カッティングシートの平面図、(j)は(i)のX−X断面図、(k)は必要部分が転写された転写用フィルムの平面図、(l)は(k)のX−X断面図である。
【0045】
図5(i)、(j)はシート巻取駆動部48により転写用フィルム1zを剥離させた剥離紙付カッティングシート1を示す。剥離紙付カッティングシート1には、パターンの不要部分のみが残されている。
【0046】
図5(k)、(l)は、目的とするパターンの必要部分のみが、配置間隔をあけて剥離転写された転写用フィルム1zを示す。
【0047】
以上により作成された転写用フィルムを、カッティングパターンを貼付する目的物に載せて、貼り付ける。
【0048】
尚、接着防止層1yを形成させる接着防止溶液は、水性シリコン或はフッ素樹脂からなる溶液を用いる。
【0049】
次に、カッティングシートパターン転写装置10の動作について説明する。コンピュータ制御部50の電源が投入されると初期化され、CPU51は入力装置52からの指令待ち状態となる。
【0050】
入力装置部52からパターンカッティング指令とそのパターンデータを受ければ、第1のインターフェース部55へそのパターンデータを送りカッティングプロッター部20を稼動させる。
【0051】
カッティングプロッター部20は、シート走行機構21、ヘッドキャリッジ駆動機構22、ヘッド昇降機構3によりシート収容部にある剥離紙付カッティングシート1をパターンデータに基づき切抜く。切抜かれた剥離紙付カッティングシート1はシート走行バッファー部29へ収容される。
【0052】
カットされたパターンが1以上ある剥離紙付カッティングシート1がシート走行バッファー部29に収容されている状態で、CPU51が入力装置52よりパターンプリント指令と接着防止溶液で印刷すべき領域データ(反転パターンデータ)を受ければ、CPUが第2のインターフェース部56へその印刷データを送り、印字機構印字機構を駆動させインクジェットヘッド30aにより接着防止溶液を吹付け接着防止層1yを印刷する。(接着防止層形成工程)
接着防止層が形成された剥離紙付カッティングシート1はシート走行バッファー39に巻き取られる。
【0053】
次に、接着防止層1yが形成された離紙付カッティングシート1がシート走行バッファー39に収容されている状態で、CPU51が入力装置52より転写用フィルム1zに転写させる指令を受けたときは、転写用フィルムカセット機構40へ第3のインターフェース部57を介して指令を送り、第1、第2ローラを同速度で駆動し転写用フィルム1zと離紙付カッティングシート1を重ねて圧力ローラ部43の間を通し、接着防止層1yが形成された離紙付カッティングシート1と転写用フィルム1zを圧着させる。(フィルム・シート圧着転写工程)
【0054】
次に、圧力ローラ部43を通過した転写用フィルム1zと離紙付カッティングシート1を分離して、転写用フィルム1zを第2のローラ部42に巻取り駆動する共に、離紙付カッティングシート1をシート巻取駆動部48に巻取り駆動することにより、自動的に離紙付カッティングシート1からパターンのみ剥離されて転写された転写用フィルム1zを分離させる。(剥離転写工程)
【0055】
本発明の転写工程は、以上説明したように接着防止層形成工程と、フィルム・シート圧着工程と、剥離転写工程とから構成する。
【0056】
なお、カッティングシートパターン転写装置10は、この実施例に限らず、プリンターに接着防止溶液をインクとして用いることのできるインクジェットヘッドを備えておれば、公知のカッティングプロット・プリンターを用いてカッティングと接着防止層形成工程を行ってもよい。又、転写用フィルム1zの圧着、剥離転写工程は自動化装置を用いず手作業で行うことも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のカッティングシートパターン転写装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明のカッティングシートパターン転写装置の構造を示す模式図である。
【図3】剥離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(1)であって、(a)は剥離紙付カッティングシート原紙の平面図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は文字がカッティングされた原紙の平面図、(d)は(c)のX−X断面図である。
【図4】離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(2)であって、(e)は不必要部分に接着防止層を形成した平面図、(f)は(e)のX−X断面図、(g)は転写用フィルムを乗せた平面図、(h)は(g)のX−X断面図である。
【図5】剥離紙付カッティングシートと転写用フィルムとの関係を示す説明図(3)であって、(i)は転写用フィルムを剥離した不必要部分の剥離紙付カッティングシートの平面図、(j)は(i)のX−X断面図、(k)は必要部分が転写された転写用フィルムの平面図、(l)は(k)のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 剥離紙付カッティングシート
1a カッティングシート
1b 剥離紙
1c パターン(文字、線分、図形)
1d 不必要領域(反転パターン)
1x カット線
1y 接着防止層
1z 転写用フィルム
10 カッティングシートパターン転写装置
20 カッティングプロッター部
20a カッティングヘッド
20b プラテンローラ
21 シート走行機構
22 ヘッドキャリッジ駆動機構
23 ヘッド昇降機構
28 シート収納部
29 シート走行バッファー部(緩衝装置)
39 シート走行バッファー部(緩衝装置)
30 インクジェットプリンター部
30a インクジェットヘッド
30b プラテンローラ
31 印字機構
32 収納部切替機構
30x インク収納容器
30y 接着防止溶液収納容器
34 シート走行機構
40 転写用フィルムカセット機構部
41 第1のローラ部(フィルム収容部)
42 第2のローラ部(フィルム巻取部)
43 圧力ローラ部
44 シート走行機構
48 シート巻取駆動部
50 コンピュータ制御部
51 CPU
52 入力装置部
55 第1のインターフェース部
56 第2のインターフェース部
57 第3のインターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離紙上に剥離・貼付自在に重ねられた剥離紙付カッティングシート上に、文字列或は線幅のある線分列、図形から構成されたカッティングパターンを形成し、接着性のある透明なキャリアフィルムからなる転写用フィルムを載せて、前記文字或は線分、図形を表すカッティングパターン以外の不必要領域を除く必要パターンのみをその転写用フィルムに転写させる方法であって、
プラテンローラ上に、前記剥離紙付カッティングシートを一方向へ走行させると共に、それと直行する方向へインクジェットヘッドをキャリッジ駆動させる印字機構と;そのインクジェットヘッドからシートへ吹付ける接着防止溶液を収納したインク収納容器と;から少なくともなるインクジェットプリンター部と、
前記転写用フィルムが所定長巻かれた第1のローラ部と;フィルム巻取駆動機構に接続された第2のローラ部と;それらローラ部間を走行するフィルムに並行して前記剥離紙付カッティングシートを同速度で走行させると共に、それらフィルムとシートが重なった状態で通過させる圧力ローラと;から少なくともなる転写用フィルムカセット機構部と、を少なくとも設け、
前記インクジェットプリンター部のインクジェットヘッドにより前記カッティングパターンの反転させた前記不必要領域にのみ前記接着防止溶液を吹き付けて印刷し、カッティングシート不必要領域の表面上に接着防止層を形成させる接着防止層形成工程と、
前記転写用フィルムカセット機構部の圧力ローラ部を通過させて転写用フィルムを走行させながら順次剥離紙付カッティングシートに密着させるフィルム・シート圧着転写工程と、
前記転写用フィルムカセット機構部の第2のローラ部の巻取り駆動により前記剥離紙付カッティングシートから転写用フィルムに接着された前記カッティングパターンのみ剥離紙から剥離させて転写用フィルムに接着転写する剥離転写工程と、を少なくとも備えることを特徴とするカッティングシートパターン転写方法。
【請求項2】
前記接着防止溶液は、水性シリコン或はフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のカッティングシートパターン転写方法。
【請求項3】
剥離紙上に剥離・貼付自在に重ねられた剥離紙付カッティングシートを走行させ、そのシート巻取り方向前後に移動できるシート走行機構と;カッティングヘッドを前記シート走行方向と直交する方向へ駆動させるヘッドキャリッジ駆動機構と;そのヘッドによりシートのみカットするように駆動できるヘッド昇降機構と;を少なくとも設け、それら3機構によりカッティングヘッドを駆動させ、文字列或は線幅のある線分列のパターンを切抜くことが出来るカッティングプロッター部と、
プラテンローラ上を所定速度で一方向へ剥離紙付カッティングシートを走行させると共に、それと直交方向へインクジェットヘッドをキャリッジ駆動させる印字機構と;そのヘッドから剥離紙付カッティングシートへ吹付ける接着防止溶液を収納したインク収納容器と;を少なくとも設け、前記パターンの不必要部分にのみ接着防止溶液を吹付けることができるインクジェットプリンター部と、
前記剥離紙付カッティングシートの表面上に接着性のある透明なキャリアフィルムからなる転写用フィルムを重ねて、必要とするパターンのみ接着して剥離できるように、その転写用フィルムが所定長巻かれた第1のローラ部と;フィルム巻取駆動機構部に接続された第2のローラ部と;それらローラ部間を走行する転写用フィルムに並行して前記剥離紙付カッティングシートを同速度で走行させると共に、それら転写用フィルムと剥離紙付カッティングシートとが重なった状態で通過させる圧力ローラ部と;を少なくとも設けた転写用フィルムカセット機構部と、
前記カッティングプロッター部、インクジェットプリンター部、転写用フィルムカセット機構部をそれぞれ制御するコンピュータ制御部と、を備えるパターン転写装置であって、
前記コンピュータ制御部がその入力装置部からバスを介してパターンカッティング指令とそのパターンデータを受ければ、前記プロッター部に対してそのパターンデータの文字或は線分単位毎に前記3機構へ指令信号をバス及び第1のインターフェースを介して出力しカッティングヘッドにより剥離紙付カッティングシートのシート部分のみ前記パターンで切抜き、前記単位毎に巻き取らせるパターン切抜手段と、
前記コンピュータ制御部が、その入力装置からバスを介してパターンプリンター指令とそのパターンの反転部分吹付領域データを受ければ、前記プリンター部に対してバス及び第2のインターフェースを介してその指令信号を出力し、印字機構を駆動させると共に、インクジェットヘッドより前記データに基づいて接着防止溶液を吹付けさせて、その領域に接着防止層を形成させる接着防止層形成手段と、
前記コンピュータ制御部が、その入力装置部からバスを介してフィルム・シート密着指令を受ければ、前記転写用フィルムカセット機構部、カッティングシート巻取取駆動部に対してバス及び第3のインターフェースを介して指令信号を出力しそれぞれ同速度で駆動走行させると共に、圧力ローラ部間に転写用フィルム及び剥離紙付カッティングシートを通過させて、パターンの圧力転写をさせるフィルム・シート圧力転写手段と、
その密着させた転写フィルムの走行先の第2のローラと、剥離紙付カッティングシートの走行先のシート巻取駆動部とにより剥離紙付カッティングシートからパターン部分のみ転写用フィルムへ接着して剥離紙から剥離させて、転写用フィルムへ接着転写させるパターン剥離手段とを少なくとも備えることを特徴とするカッティングシートパターン転写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−1203(P2007−1203A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185478(P2005−185478)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(594125901)株式会社尾崎スクリーン (3)
【Fターム(参考)】