説明

カットテープおよびカットテープ付き包装袋

【課題】包装袋を容易に開封できると共に、開封後においては良好な再開封性を有するカットテープを提供すること。
【解決手段】本発明のカットテープは、包装袋100の袋体110内面に取り付けられるカットテープ120であって、前記袋体110の一方の内面に帯状に融着される誘導部121と、前記誘導部121の前記袋体110の一方の内面側の面とは対向する面に積層され、前記誘導部121の一部が露出する露出部を有する積層部、および、前記積層部に連続して設けられ、前記袋体110内面に融着される本体部を有する基部122と、前記積層部と前記誘導部121との間に設けられた粘着部125と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の内面に取り付けられるカットテープおよびカットテープ付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨などの各種物品を包装するための包装袋は、通常、包装袋の端部がシールされることにより密封される。これらの包装袋を開封する方法としては、包装袋の両端に形成されたノッチなどを開始位置として引き裂く方法や、カットテープを用いて引き裂く方法(例えば、特許文献1)が採用されている。しかしながら、これらの包装袋においては、開封した後に包装袋を再封することができないため利便性が悪いという不都合がある。そのため、包装袋においては袋の開閉が自由に行えること(再開封性)が所望されており、近年では、袋の開閉が自由に行える方法としてジッパーテープ付き包装袋が開発されている。しかしながら、このようなジッパーテープ付包装袋においては、ジッパーテープを包装袋に取付けるコストが高いという不都合がある。
そこで、安価で且つ袋の開閉が自由に行える方法として、粘着性テープ付き包装袋が開発されており、例えば、最外層および内層を備えており、内層の一部に粘着部が設けられている粘着性テープを備える粘着性テープ付き包装袋(例えば、特許文献2)や、包装袋の内面側に粘着性テープを備える粘着性テープ付き包装袋(例えば、特許文献3)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−113846号公報
【特許文献2】特開平9−226781号公報
【特許文献3】特開2003−95285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2〜3に記載のような粘着性テープ付包装袋においては、開封後、粘着部に内容物が付着して粘着性が損なわれるため、再開封性が不十分となるという不都合がある。また、粘着部を剥離させて開封させる場合には、開封時に大きな抵抗が生じるという不都合もある。さらに、粘着部の幅をある程度広くする必要があるため、容易に開封させるためには、粘着部の粘着強度を弱くして、剥離強度を小さく設定することが必要となる。そのため、粘着部の幅と粘着部の強度とのコントロールが必要となり、パッケージのデザインに制約が加わるという不都合もある。また、上記特許文献2に記載のような粘着性テープ付包装袋においては、ミシン目が粘着部に入った場合や、粘着部にノッチが入ってしまった場合、粘着部をカットしてしまうため、開封後に粘着部が袋本体に残らないという不都合もある。
【0005】
そこで、本発明は、包装袋を容易に開封できると共に、開封後においては良好な再開封性を有するカットテープ、および、それを用いたカットテープ付き包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカットテープは、包装袋の袋体内面に取り付けられるカットテープであって、
前記袋体の一方の内面に帯状に融着される誘導部と、前記誘導部の前記袋体の一方の内面側の面とは対向する面に積層され、前記誘導部の一部が露出する露出部を有する積層部、および、前記積層部に連続して設けられ、前記袋体内面に融着される本体部を有する基部と、前記積層部と前記誘導部との間に設けられた粘着部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のカットテープにおいては、前記誘導部と前記基部とを剥離して前記包装袋を開封した場合に、前記粘着部が前記包装袋の表面に露出する。
本発明のカットテープにおいては、前記積層部と前記粘着部との間の接着強度が前記誘導部と前記粘着部との間の接着強度よりも大きいことが好ましい。
本発明のカットテープにおいては、前記粘着部は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤を含有することが好ましい。
【0008】
本発明のカットテープにおいては、前記誘導部および前記積層部を構成する樹脂は互いに非相溶性の樹脂で形成されることが好ましい。
本発明のカットテープにおいては、前記積層部を構成する樹脂が、ポリエチレン系樹脂からなり、前記誘導部を構成する樹脂が、ポリプロピレン系樹脂からなることが好ましい。
【0009】
本発明のカットテープにおいては、前記基部は、前記誘導部を介して設けられた第一の基部と第二の基部とからなり、前記第一の基部および前記第二の基部のそれぞれが、前記積層部と前記本体部とを有し、前記第一の基部の前記積層部と前記第二の基部の前記積層部とが互いに対向して配置され、前記露出部が前記第一の基部の前記積層部と前記第二の基部の前記積層部との間に形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明のカットテープ付き包装袋は、前記カットテープが取り付けられたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装袋を容易に開封できると共に、開封後においては良好な再開封性を有する粘着性テープとしても用いることが可能なカットテープ、および、それを用いたカットテープ付き包装袋を提供できる。
すなわち、本発明のカットテープによれば、抵抗なく直線的に引き裂くことができ、包装袋を容易に開封できる。また、本発明のカットテープは、開封後には粘着性テープとしても用いることが可能であり、包装袋の開閉が自由に行えるため、開封後においては良好な再開封性を有する。さらに、本発明のカットテープによれば、粘着部の幅と粘着部の強度とのコントロールが容易であるため、パッケージデザインが自由にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかるカットテープ付き包装袋を示す正面図である。
【図2】図1のII−II面を示す断面図である。
【図3】前記実施形態のカットテープを示す拡大断面図である。
【図4】前記実施形態のカットテープを引き裂いた後の状態を示す断面図である。
【図5】前記実施形態のカットテープ付き包装袋を開封する状態を示す断面図である。
【図6】前記実施形態のカットテープ付き包装袋を再封する状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態のカットテープを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<カットテープ付き包装袋の構成>
図1は、本発明の一実施形態のカットテープ付き包装袋の正面図、図2は、図1のII−II断面図である。
本実施形態のカットテープ付き包装袋100は、袋体110と、カットテープ120とを備えている。そして、図1に示すように、袋体110は、包材となる基材フィルム111を重ね合わせて、その周縁にサイドシール部112およびトップシール部113を形成することによって形成されている。また、袋体110の一方の内面にはカットテープ120が取り付けられている。また、基材フィルム111のカットテープ120の両端の位置には切込部115が形成され、カットテープ120の誘導部121の端部1211を把持できるようになっている。このようなカットテープ付き包装袋100は、食品、薬品、医療品、雑貨などの各種物品を包装するための包装袋として好適に用いることができる。
【0014】
なお、基材フィルム111は、図2に示すように、袋体110の内面を形成するシーラント層1111と、袋体110の外面を形成する基材層1112と、を備えている。
袋体110を形成する包材である基材フィルム111としては、基材層1112にシーラント層1111を積層した構成の積層フィルムを使用することができる。また、要求される性能に応じて、基材層1112とシーラント層1111との間に、中間層として図示しないガスバリアー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルム層をさらに備えていてもよい。
【0015】
基材層1112としては、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムのほか、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(OPEN)フィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン66、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などの二軸延伸ポリアミドフィルムなどを使用することができる。また、基材層1112として、必要に応じて各種エンジニアリングプラスチックフィルムを使用することもできる。また、これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
中間層をガスバリアー層とする場合においては、中間層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用することができる。
【0016】
また、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用する場合おいては、前記基材層1112の内面に蒸着または塗布して形成してもよく、また、別の二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムなどに蒸着または塗布して形成しておいて、そのフィルムを中間層に積層してもよい。これらのうち、アルミニウム箔とアルミニウム蒸着層は、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
基材層1112と中間層のフィルムとを積層する方法としては、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を採用することができる。
【0017】
最内層のシーラント層1111には、低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(CPP)などを使用することができる。なお、シーラント層1111を積層する方法としては、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押出ラミネーション法で積層する方法、または、前記の樹脂を押し出しコートして積層し、基材フィルム111を得る方法を採用することができる。
【0018】
<カットテープの構成>
カットテープ120は、図2に示すように、誘導部121と、第一の基部122と、第二の基部123と、シール層124と、粘着部125と、を備えている。
【0019】
(誘導部)
誘導部121は、長尺状に形成され、シール層124を介してシーラント層1111に融着されている。なお、誘導部121は、シーラント層1111に融着される側を融着面121A、融着面121Aと対向する面を対向面121Bとする。誘導部121は、カットテープ120が取り付けられた包装袋のフィルムが引き裂かれて開封されるときに、フィルムの引き裂き位置を誘導する部材である。
【0020】
(基部)
第一の基部122は、誘導部121の対向面121Bに積層され、厚みが薄い積層部1221と、シーラント層1111に融着される本体部1222と、を有している。積層部1221は、対向面121Bと融着されている。本体部1222は、シーラント層1111側に突出し、誘導部121側に斜面を有する断面略台形状の凸部1223が形成されている。
第二の基部123は、第一の基部122と略同じ形状をしており、誘導部121の対向面121Bに積層される積層部1231と、シーラント層1111に融着される本体部1232と、を有している。積層部1231は対向面121Bに融着され、本体部1232はシーラント層1111側に突出し、誘導部121側に斜面を有する断面略台形状の凸部1233が形成されている。
【0021】
積層部1221および1231の厚みは特に限定されないが、カットテープ120を袋体110に融着させる際のシール性を考慮して、例えば、50μm以上300μm以下の範囲とすることが好ましい。
第一の基部122および第二の基部123は、誘導部121の対向面121B上で互いの積層部1221および1231が対向する位置に配置される。これにより、積層部1221および1231との間には、誘導部121が露出した露出部1212が形成される。なお、この露出部1212は、包装袋100を開封したときの開口部となるため、誘導部121に沿って帯状に形成されることが好ましい。
【0022】
(粘着部)
粘着部125は、積層部1221と誘導部121との間、および、積層部1231と誘導部121との間に設けられる。開封後には、粘着部125が、積層部1221および積層部1231の表面に残されるので、粘着部125を袋体110の外面に接着させることより、開封後においても包装袋を再封することができる。また、このような場合には、剥離した誘導部121を再度、粘着部125に接着させることで包装袋を再封することもできる。粘着部125は、誘導部121と基部122,123とを剥離して包装袋100を開封した場合に、包装袋100の表面に露出することが好ましい。
【0023】
なお、本発明においては、粘着部125は、積層部1221と誘導部121との間、および、積層部1231と誘導部121との間のうちの少なくとも一方に設ければよい。粘着部125をいずれか一方にのみ設ける場合には、粘着部125に包装袋の内容物を付着しにくくするという観点から、積層部1221と誘導部121との間に粘着部125を設けることが好ましい。
粘着部125の厚みは特に限定されないが、初期開封強度および再粘着性の観点から、5μm以上100μm以下の範囲とすることが好ましい。
【0024】
(カットテープ)
図3にカットテープ120の拡大断面図を示す。誘導部121の融着面121Aから凸部1223までの距離をA、誘導部121の幅寸法をB、凸部1223がシーラント層1111に融着される側の基部融着面1223Aの幅寸法をC、第一の基部122と第二の基部123との距離をDとする。また、第一の基部122の積層部1221と誘導部121の対向面121Bとの接触面の幅寸法、または、第二の基部123の積層部1231と誘導部121の対向面121Bとの接触面の幅寸法をE、粘着部125の幅寸法をFとする。
距離Aは、誘導部121と凸部1223とが接触しない程度の距離であることが好ましく、例えば、0.1mm以上誘導部121の幅寸法未満とすることが好ましい。距離Aが、0.1mm未満であると、カットテープ120を袋体110に取り付ける際、シールすることで凸部1223と誘導部121とが一体化するおそれがある。なお、本実施形態のように、凸部1223を断面略台形状としていることにより、シール位置が多少ずれたとしても、距離Aは、凸部1223の斜面1223Bにより形成される距離A´を保つことができる。
幅寸法Bおよび幅寸法Cの長さは特に限定されない。包装袋のデザインや、用途に応じて適宜調整すればよい。
距離Dは露出部1212の幅寸法であり、例えば、0.1mm以上誘導部121の幅寸法未満とすることが好ましい。距離Dが0.1mm未満であると、このカットテープ120が取り付けられた包装袋100を開封したとき、形成された開口部を指で開口しづらい傾向にあり、他方、誘導部121の幅寸法以上では、誘導部121と積層部1221,1231とを接着しにくいので好ましくない。なお、距離Dは、第一の基部122の積層部1221および第二の基部123の積層部1231が誘導部121の対向面121Bに接着できる程度の幅寸法に形成されることが好ましい。
幅寸法Eは、第一の基部122の積層部1221および第二の基部123の積層部1231が誘導部121の対向面121Bに接着できる程度の幅寸法とすることが好ましく、例えば、0.5mm以上(誘導部121の幅寸法未満)とすることが好ましい。幅寸法Eが前記下限未満では、誘導部121と積層部1221,1231とを接着しにくいので好ましくない。
幅寸法Fは粘着部125の幅寸法であり、例えば、0.5mm以上幅寸法Eの幅寸法未満とすることが好ましい。幅寸法Fが前記下限未満では、開封後における粘着性が不足する傾向にあり、他方、前記上限以上では、誘導部121と積層部1221,1231とを接着しにくいので好ましくない。
【0025】
また、凸部1223,1233の厚みは、凸部1223,1233の基部融着面1223A,1233Aが、誘導部121に積層されたシール層124のシーラント層1111に融着される側の面124Aと同一面内となる厚みに調整される。例えば、200μm以上500μm以下である。このようにすれば、カットテープ120を袋体110に取り付ける際、1回のシール工程で、誘導部121と基材フィルム111、誘導部121と積層部1221,1231、および凸部1223,1233と基材フィルム111を同時にシールすることができる。また、これらの面が同一面内にあることにより正確に美しくシールすることができる。
なお、誘導部121にシール層124が積層されていない場合は、凸部1223,1233の基部融着面1223A,1233Aが、誘導部121の融着面121Aと同一面内となる厚みにする。
【0026】
(部材の構成材料)
誘導部121と、第一の基部122の積層部1221および第二の基部123の積層部1231とを形成する材料は、互いに非相溶性の樹脂が選択される。このような非相溶性の樹脂の組み合わせは、例えば、以下に示す方法により測定できる接着強度が20N/15mm以下(より好ましくは1N/15mm以上8N/15mm以下)である樹脂の組み合わせが挙げられる。接着強度が20N/15mmを超えると、接着強度が強すぎて開けづらくなったり、開けられなくなったりするので好ましくない。ここで、接着強度の測定方法は、非相溶の樹脂を共押出し、15mm片にカットしたものを試料とし、デジタルフォースゲージ(株式会社イマダ製、製品名「高性能デジタルフォースゲージZPシリーズ」)を用い、速度300mm/minで垂直方向に引っ張ったときの値(接着強度)を測定する方法である。
このような非相溶性の樹脂の組み合わせとしては、低密度ポリエチレン系とランダムポリプロピレン系の組み合わせが好ましい。より具体的な組み合わせとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)/ランダムポリプロピレン(RPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)/RPP(一部、m−LLも含む)、LDPE/ホモポリプロピレン(HPP)、LLDPE/HPP(一部、m−LLも含む)、LDPE/ポリスチレン(PS)、LLDPE/PS(m−LLも含む)、RPP/PS、HPP/PS、LDPE/ポリエチレンテレフタレート(PET)、LLDPE/PET、RPP/PET、HPP/PET、PS/PET、LDPE/ナイロン(Ny)、LLDPE/Ny、RPP/Ny、HPP/Ny、PS/Nyなどが挙げられる。
【0027】
誘導部121を構成する樹脂としては、上記の樹脂を適宜選択して用いることができる。
第一の基部122および第二の基部123を構成する樹脂としては、上記の樹脂を適宜選択して用いることができる。これらの樹脂は、誘導部121と第一の基部122および第二の基部123のどちらに用いてもよいが、誘導部121がシーラント層1111およびシール層124と相溶性の高い樹脂となり、且つ、第一の基部122および第二の基部123と粘着部125との間の接着強度が誘導部121と粘着部125との間の接着強度よりも大きくなるように選択される。
また、第一の基部122または第二の基部123を構成する樹脂は、1種の樹脂を単独でまたは2種以上の樹脂を組み合わせて使用することができる。例えば、第一の基部122の積層部1221を構成する樹脂と、第一の基部122の凸部1223を構成する樹脂とは、異なる樹脂であってもよい。
【0028】
粘着部125を形成する材料としては、適宜公知の粘着材料を用いることができる。粘着部125は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤を含有することが好ましい。
スチレン系エラストマーは、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体のことである。例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体などが挙げられる。スチレン系エラストマーには、その特性を損なわない範囲において、酸化防止剤および滑剤などを加えてもよい。
【0029】
粘着付与樹脂とは、粘着性を向上させる樹脂のことで、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂などが挙げられる。
可塑剤とは、柔軟性,加工性を高める物質のことで、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系炭化水素)、合成ワックスなどが挙げられる。
【0030】
粘着部125を構成するこれらの樹脂の配合量としては、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤の配合量が、それぞれ、40質量%以上70質量%以下、20質量%以上50質量%以下および10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下、22質量%以上50質量%以下および10質量%以上28質量%以下であることがより好ましい。前記配合量が上記範囲外の場合には、再接着強度が弱くなるおそれがある。
【0031】
シール層124はカットテープ120を袋体110に融着するために設けられるもので、誘導部121の融着面121A上に積層されている。シール層124により、誘導部121と袋体110の内面との接着強度をより強いものとすることができる。シール層124に使用される材料は、誘導部121およびシーラント層1111と相溶性の高い樹脂が選択される。例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどを使用することができる。
【0032】
以上より、第一の基部122および第二の基部123と、誘導部121と、シール層124と、シーラント層1111と、に使用される樹脂としては、上記の材料から適宜選択して使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン/ランダムポリプロピレン/直鎖状低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンの組み合わせが挙げられる。
【0033】
<カットテープ付き包装袋100の製造方法>
まず、上述の構成のカットテープ120を製造する。カットテープ120は、誘導部121と、粘着部125が設けられた第一の基部122と、粘着部125が設けられた第二の基部123とを、それぞれ作製し、これらを一体化して得ることができる。
そして、前述の基材フィルム111とカットテープ120とから、一般的に用いられている三方シール製袋機などを用いてカットテープ付き包装袋100を製造する。
三方シール製袋機は、包材送出部から送り出された一対の基材フィルム111の間に、テープ送出部から送り出されたカットテープ120を位置させて、カットテープ120と基材フィルム111を融着させる。このとき、カットテープ120は、第一の基部122の基部融着面1223Aと、第二の基部123の基部融着面1233Aと、誘導部121の融着面121Aと、を同時に融着する。そして、基材フィルム111を搬送し、この搬送方向に対して所定間隔で基材フィルム111を融着および溶断してカットテープ付き包装袋100を形成する。
【0034】
<カットテープ付き包装袋100の開封方法>
次に、図1、図4および図5を用いて本実施形態のカットテープ付き包装袋100を開封する状態を説明する。
図1に示すように、カットテープ120の誘導部121の両方の端部1211の基材フィルム111には、誘導部121を挟むように切込部115がそれぞれ2本ずつ形成されている。
【0035】
包装袋100を開封するときは、先ず、これらの切込部115によって把持可能となった誘導部121の端部1211と、誘導部121に重なっている基材フィルム111とを同時に把持する。そして、把持した基材フィルム111をそのまま誘導部121が袋体110から離れる方向に引くことで、袋体110の基材フィルム111が切断され、開封することができる。開封時は、図4に示すように、誘導部121と、第一の基部122の積層部1221および第二の基部123の積層部1231との間で剥離し、誘導部121と共に基材フィルム111が切断される。そして、粘着部125が、第一の基部122の積層部1221および第二の基部123の積層部1231の表面に残されると共に、第一の基部122の積層部1221の端面1221Aと、第二の基部123の積層部1231の端面1231Aとの間に形成されていた露出部1212が開口部114となる。このようにしてカットテープ付き包装袋100を開封することができる。
【0036】
次に、図5に示すように、形成された開口部114の周縁にある第二の基部123に指を引っ掛けることにより、簡単に開口部114を大きく開口させることができる。
【0037】
<開封後のカットテープ付き包装袋100の再封方法>
次に、図6を用いて本実施形態のカットテープ付き包装袋100を再封する状態を説明する。
開封後のカットテープ付き包装袋100は、図6に示すように、積層部1221,1231の表面に残された粘着部125を、袋体110の外面に接着させることより、開封後においても包装袋を再封することができる。
【0038】
以上に述べた本実施形態においては次に示す効果がある。
本実施形態では、誘導部121と、第一の基部122および第二の基部123と、に非相溶性の樹脂を用いている。そのため、袋体110に取り付けられたカットテープ120の誘導部121の端部1211と誘導部121と重なっている基材フィルム111を把持して引っ張ると、誘導部121と第一の基部122、および誘導部121と第二の基部123との間で簡単に剥離することができる。すなわち、引裂抵抗なく開封することができる。
また、基材フィルム111は、誘導部121にガイドされた状態で引き裂かれるので、袋体110を誘導部121に沿って直線的に引き裂くことができる。
【0039】
そして、開封時には、誘導部121に積層された第一の基部122および第二の基部123との間に開口部114が形成される。開封前は、開口部114が誘導部121により被覆された状態となっており、開封するときは誘導部121を第一の基部122および第二の基部123から剥離するので、開口部114が開口する。このような構成であれば、開口部114の周囲は第一の基部122および第二の基部123で囲まれた状態となり、開口部114を開口する際、指が周囲の第一の基部122または第二の基部123に引っ掛かりやすいため、容易に大きく開口することができる。
【0040】
さらに、開封後には、粘着部125が、積層部1221および積層部1231の表面に残されるので、積層部1221,1231の表面に残された粘着部125を、袋体110の外面に接着させることより、開封後においても包装袋を再封することができる。
また、カットテープ120を袋体110に取り付ける際には、1本の帯状のカットテープ120を袋体110を形成する2枚のフィルム111の間に挟んでシールするだけでよいので、一般の製袋機で簡単に取り付けることができる。
【0041】
本実施形態では、凸部1223,1233は、基部融着面1223A,1233Aがシール層124のシーラント層1111に融着される側の面124Aと同一面内となる厚みとされている。これにより、カットテープ120を袋体110に取り付ける際、1回のシール工程で、誘導部121とシーラント層1111、誘導部121と積層部1221,1231、そして凸部1223,1233とシーラント層1111を同時にシールすることができると共に、より正確に美しくシールすることができる。
【0042】
また、誘導部121と凸部1223,1233との距離を0.1mm以上前記誘導部の幅未満としたので、カットテープ120をシーラント層1111にシールしても、誘導部121と凸部1223,1233とが一体化しないので、易開封性を実現することができる。
特に、凸部1223,1233は断面略台形状に形成されているので、シール位置がずれたとしても、距離A´を確保することができる。したがって、易開封性を備えたカットテープ付き包装袋を確実に製造することができ、不良品を少なくすることができる。
【0043】
そして、誘導部121にシール層124が積層され、シール層124がシーラント層1111と融着した構成とした。シール層124には、誘導部121およびシーラント層1111と相溶性の高い樹脂を用いたので、誘導部121、シール層124およびシーラント層1111との接着強度が強い。すなわち、開封時に誤って誘導部121とシーラント層1111との間で剥離するようなことが起こらない。したがって、易開封性を向上させることができると共に、開封後もきれいな状態の包装袋を保つことができる。
【0044】
本実施形態では、カットテープ120は、誘導部121、第一の基部122、第二の基部123および粘着部125を備える非常に簡単な構成となっているので、共押出成形法などにより一工程で簡単に製造することができる。カットテープ120をこのような共押出法により成形すれば、製造工程を簡略化でき、製造コストを低くでき、カットテープ120を連続的に安定して製造することができる。
【0045】
以上、本発明のカットテープおよびカットテープ付き包装袋について一例を挙げて説明したが、本発明のカットテープおよびカットテープ付き包装袋は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のカットテープにおいては、図7に示すように、積層部1221,1231が多層構造(例えば2層構造)となっていてもよい。そして、このような場合、積層部1221,1231を構成する複数の層のうち誘導部121と接している層1221´,1231´を構成する樹脂と、誘導部121を構成する樹脂とは互いに非相溶性の樹脂で形成される。また、このような場合、層1221´,1231´以外の基部122,123を構成する樹脂と、誘導部121を構成する樹脂とは同一の樹脂で形成される。
このような実施形態においては、誘導部121を構成する樹脂と凸部1223,1233を形成する材料とが同一の樹脂となる。そのため、カットテープ120を袋体110に取り付ける際に、カットテープ120の端部をつぶしやすくなるので、カットテープ付き包装袋を製造する際におけるピンホールの発生をより確実に抑制することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
基部に密度が926kg/m、MFRが1.5g/10minの低密度ポリエチレン、誘導部に密度が900kg/m、MFRが7.0g/10minのランダムポリプロピレン、誘導部に積層したシール層に密度が900kg/m、MFRが4g/10minの直鎖状低密度ポリエチレン、粘着部に以下に示す粘着材料を用いて、共押出によりカットテープを得た。カットテープの寸法は、図3において、A=1mm(厚み:250μm)、B=3.5mm(厚み:350μm)、C=1.5mm(厚み:600μm)、D=0.5mm、E=1.5mm、F=1.0mm(厚み:10μm)である。
粘着材料:以下に示す粘着材料(A)、粘着材料(B)および粘着材料(C)を、(A):(B):(C)=2:1:2の割合でドライブレンドしたもの。
粘着材料(A):ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、製品名「クインタック3520」、融点:200℃、MFR:7.0g/10分)25重量%と、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂粒子(製品名「アイマーブP−125」、密度:1.03g/m)75質量%を混合したものに酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、製品名「イルガノックス1010」)を1質量%加え180℃で融解混合し、水冷ストランド押出、カッティングし造粒したもの。
粘着材料(B):ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、製品名「クインタック3520」、融点:200℃、MFR:7.0g/10分)40重量%と、プロセスオイル(出光興産(株)製、製品名「プロセスオイルダイアナプロセスオイルPW−90」、密度:0.872g/m)60質量%を混合し、180℃で融解混合し、水冷ストランド押出、カッティングし造粒したもの。
粘着材料(C):スチレン系ゴム質ブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、製品名「クインタックSL−125」、融点:200℃、MFR:17g/10分)。
このカットテープと二軸延伸ナイロンフィルム(厚み:15μm)と密度が920kg/m、MFRが6.0g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm)とをドライラミネートしたフィルムを一般的に使用されている三方製袋機で製袋しカットテープ付き包装袋を得た。なお、カットテープ付き包装袋の周縁をヒートシールした後、カットテープの両端に切り込みを形成した。
【0048】
(比較例1)
特開2008−221486号公報に記載のような粘着テープを作製した。すなわち、実施例1で用いた粘着材料を用いて、テープの幅が15mm、表面の厚肉部の厚みが0.06mm、表面の薄肉部の厚みが0.01mmの粘着テープを得た。
この粘着テープと二軸延伸ナイロンフィルム(厚み:15μm)と直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm)とをドライラミネートしたフィルムを一般的に使用されている三方製袋機で製袋し粘着テープ付き包装袋を得た。なお、粘着テープ付き包装袋の周縁をヒートシールした後、包装袋の両端に切り込みを形成した。
【0049】
(比較例2)
特開平9−226781号公報に記載のような粘着テープを作製した。すなわち、低密度ポリエチレンフィルム(厚み:60μm)、ポリプロピレンフィルム(厚み:12μm)、アクリル系再剥離型粘着剤、および、二液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤を用いて、低密度ポリエチレンからなる両最外層、ポリエステルからなる中間層、内層下部に設けられ、粘着剤からなる粘着層、および、内層上部に設けられた無粘着層(粘着材料がない部分)からなる粘着テープを得た。なお、テープの幅は15mmである。
この粘着テープと二軸延伸ナイロンフィルム(厚み:15μm)と直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み:50μm)とをドライラミネートしたフィルムを一般的に使用されている三方製袋機で製袋し粘着テープ付き包装袋を得た。なお、粘着テープ付き包装袋の周縁をヒートシールした後、包装袋の両端に切り込みを形成した。
【0050】
<開封感および再開封性の評価>
包装袋の開封感および再開封性を以下に示す方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(i)開封感の評価
実施例1で得られた包装袋については、カットテープの両端に設けられた切り込みから誘導部121を引き裂いた際の破断強度を、イマダ製デジタルフォースゲージを用いて測定した。比較例1〜2で得られた包装袋については、包装袋の両端に設けられた切り込みから包装袋を引き裂いた後に、粘着テープを引張速度300m/minの条件で引き剥がす際の破断強度を測定した。そして、以下に示す基準に基づいて、包装袋の開封感を評価した。
○:破断強度が10N/15mm未満である。(包装袋を抵抗なく容易に開封できる。)
△:破断強度が10N/15mm以上で且つ20N/15mm未満である。(抵抗が大きく、包装袋を開封し難い。)
×:破断強度が20N/15mm以上である。(抵抗がとても大きく、包装袋を開封し難い。)
【0052】
(ii)再開封性
実施例1および比較例1〜2で得られた包装袋に内容物(小麦粉)を充填し、その包装袋を開封したものを試料として、次に示すようにして包装袋の再開封性を評価した。すなわち、包装袋の粘着部を指で開封し、内容物を少し取出した後に、粘着部を介して包装袋を再封した。この作業を繰り返し行い、包装袋を再封できなくなるまで行った。そして、以下に示す基準に基づいて、包装袋の再開封性を評価した。
○:開封、再封を10回以上繰り返すことができる。
△:開封、再封を3回以上10回未満繰り返すことができる。
×:開封、再封を3回以上繰り返すことができない。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のカットテープを用いた場合(実施例1)には、カットテープの開封感がよく、包装袋を容易に開封できることが確認された。また、本発明のカットテープを用いた包装袋(実施例1)は、開封後においては良好な再開封性を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、食品、薬品、医療品、雑貨などの各種物品を包装する包装袋に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
100 包装袋
110 袋体
111 基材フィルム
112 サイドシール部
113 トップシール部
114 開口部
115 切込部
120 カットテープ
121 誘導部
122 第一の基部
123 第二の基部
124 シール層
125 粘着部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の袋体内面に取り付けられるカットテープであって、
前記袋体の一方の内面に帯状に融着される誘導部と、
前記誘導部の前記袋体の一方の内面側の面とは対向する面に積層され、前記誘導部の一部が露出する露出部を有する積層部、および、前記積層部に連続して設けられ、前記袋体内面に融着される本体部を有する基部と、
前記積層部と前記誘導部との間に設けられた粘着部と、
を備えることを特徴とするカットテープ。
【請求項2】
請求項1に記載のカットテープであって、
前記誘導部と前記基部とを剥離して前記包装袋を開封した場合に、前記粘着部が前記包装袋の表面に露出する
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカットテープであって、
前記積層部と前記粘着部との間の接着強度が前記誘導部と前記粘着部との間の接着強度よりも大きい
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のカットテープであって、
前記粘着部は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂および可塑剤を含有する
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のカットテープであって、
前記誘導部および前記積層部を構成する樹脂は互いに非相溶性の樹脂で形成される
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のカットテープであって、
前記積層部を構成する樹脂が、ポリエチレン系樹脂からなり、前記誘導部を構成する樹脂が、ポリプロピレン系樹脂からなる
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のカットテープであって、
前記基部は、前記誘導部を介して設けられた第一の基部と第二の基部とからなり、前記第一の基部および前記第二の基部のそれぞれが、前記積層部と前記本体部とを有し、前記第一の基部の前記積層部と前記第二の基部の前記積層部とが互いに対向して配置され、前記露出部が前記第一の基部の前記積層部と前記第二の基部の前記積層部との間に形成されている
ことを特徴とするカットテープ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のカットテープが取り付けられた
ことを特徴とするカットテープ付き包装袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−162247(P2011−162247A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29235(P2010−29235)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】