説明

カップ式物品供給装置

【課題】
小型簡易な構成で一定量の小物品を収容するとともに搬送し、所定位置で搬出するカップ式物品供給装置を提供すること
【解決手段】 エンドレスチェーン13に多数のカップ20を等間隔に取付ける。カップの上昇移動する経路に沿ってホッパー27を設ける。ホッパーは、下端先細り状の本体27aと、その本体の下方に形成される上下開口された筒状部27bを有し、本体の上方開口部より投入された多数の小物品は、自然落下して筒状部に至る。筒状部の内形状はカップの最大外形上に符合する形状となり、上昇移動するカップは筒状部内を通過するとともに、少なくとも1つのカップが筒状部の下方を閉塞するようにした。これにより、ホッパー内に供給された小物品が筒状部内に至るとともに、カップに収容され下方開口部から落下するのが抑止される。カップの移動経路の下端側にカップを反転させるカップ反転機構を設け、カップを180度回転させて倒立させ、カップ内の小物品を搬出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ式物品供給装置に関するもので、より具体的には、多数投入された小物品から一定量の小物品を収容し、他の装置等に供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、しらす,桜エビや、各種の粒状物などの小物品は、包装体内に一定量を収納する。そこで、包装機本体の前段に、係る小物品を一定量ごとに収集し、包装機本体の所定の供給位置に供給するための供給装置が必要となる。粒状物など小物品を一定量供給するための装置としては、例えば特許文献1等に開示したがある。この特許文献1に開示された発明では、1回当たりの排出量が異なる複数の供給手段を設け、計量器を用いて供給量(重量)を測定しながら所望の供給手段から小物品を排出することを所望の供給量になるまで繰り返し行うようになっている。
【0003】
一方、本発明と解決課題が異なり、本発明の基礎とは成り得ないが、一見すると本発明の構成と類似する構成を採るものとして、特許文献2に開示されたバケットコンベア式リフト装置がある。
【0004】
この装置は、図1に示すように、上下に配置されたプーリ1間に掛け渡された平ベルト2に複数のバケット3を取り付け、平ベルト2の回転に伴いそのバケット3を昇降移動するように構成する。このバケット3の上昇移動する経路の外側に近接して上下開口したホッパー4を配置するとともに、バケット3の移動経路の下方を覆うように湾曲状の堆積部5を設けている。そして、ホッパー4の下方開口部と、堆積部5が連通しており、ホッパー4の上方から投入した小物品は堆積部5にたまる。
【0005】
これにより、バケット3は回転するのに伴い堆積部5にたまった小物品8をすくい上げて収集し、上方移動する。なお、この上方移動時にその一部の小物品はこぼれ落ちてしまうことがあり、そうするとこぼれ落ちた小物品は再度堆積部5に至る。また、バケット3と堆積部5の内壁面との間には若干の隙間が生じているため、必ずしも全ての小物品をすくうことはできず、その一部は残ってしまう。
【0006】
そこで、特許文献2に開示された発明では、バケットの先端にスクレーパ6aを設けたスクレーパバケット6を適宜数設け、堆積部5にたまった小物品をそのスクレーパバケット6にて回収するようにしている。これにより、バケット3にて収集できなかった小物品も、何回か後に来るスクレーパバケット6にて回収できる。
【0007】
係る特許文献2の発明では、バケット3,スクレーパバケット6の容積を等しくするとともに、常時バケット3,スクレーパバケット6内に一杯になるように小物品を収集するようにすれば、バケット3等の容量に応じた量を収集することができ、所定の機構により、その収集したバケット3等の小物品を包装機本体の供給位置に供給する。
【特許文献1】特開2001-255198
【特許文献2】特開2003−226417
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の発明では、非常に大がかりなものとなり、十分な設置面積をとれない工場等では使用することができない。特許文献1のものほどは正確な重量を計量することができなくても良いが、簡易で小型な小物品を一定量収集して供給する供給装置の提供が望まれている。
【0009】
また、特許文献2の発明は、スクレーパバケット6で回収する小物品の量と、通常のバケット3で収集する小物品の量が等しいとは限らず、小物品を一定量収集して供給する供給装置とは言えない。さらに、ホッパー4は、バケット3等の移動経路の外側に突出した状態で配置されるとともに、ホッパー4から排出された小物品を一旦堆積部5にためる構造を採っているため、装置の小型化に限界がある。
【0010】
バケット3からこぼれ落ちた小物品は、堆積部5に至り、その後に来るバケット3にて回収されることになるため、ホッパー4に投入した順番と、実際にバケット3にて回収される順番は、必ずしも一致せず、大きくずれることもある。
【0011】
穀物類その他比較的硬化なものであればよいが、しらす,桜エビその他脆弱な物品の場合、スクレーパバケット6のスクレーパ6aと堆積部5の内壁面の間で挟まれて、つぶれてしまうおそれもある。
【0012】
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型簡易な構成で一定量の小物品を収容するとともに搬送し、所定位置で搬出することにより搬出先の装置等に一定量の小物品を供給することができるカップ式物品供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成するために、本発明に係るカップ式物品供給装置は、複数のカップと、そのカップを所定の搬送経路で公転移動させるカップ搬送手段と、その搬送経路の所定位置に設置されたホッパーとを備え、複数のカップと、そのカップを所定の搬送経路で公転移動させるカップ搬送手段と、その搬送経路の所定位置に設置されたホッパーとを備え、そのホッパー内に投入された小物品を前記カップにて収容し、前記搬送経路の途中でそのカップに収容された小物品を搬出するカップ式物品供給装置であって、前記搬送経路は、上昇する上昇経路と下降する下降経路と、それら上昇・下降経路を結ぶ経路を有するとともに、前記上昇経路の少なくとも一部に直線状に上昇する部分を有し、前記ホッパーは、下端先細り状の本体と、その本体の下方に形成される上下開口された筒状部と有し、前記本体には小物品の投入部を有し、前記筒状部の内形状は前記カップの最大外形上に符合する形状となり、少なくとも前記筒状部が前記上昇する経路に沿って配置され、その上昇する経路に沿って前記カップが上昇移動する際に、そのカップは前記筒状部内を通過するとともに、少なくとも1つのカップが前記筒状部を下方を閉塞し、前記ホッパー内に供給された小物品が筒状部の下方開口部から落下するのを抑止できるようにした。
【0014】
ホッパー(本体)の投入部は、実施の形態では、本体の上方を開口し、その開口部位が投入部としているが、側面その他任意の位置に設けることができる。また、実施の形態では、本体の上面全体を開口しているが、カップが上方に移動できるように、少なくとも対応する部分を開口してあればよい。搬送手段は、実施の形態では、スプロケット12,エンドレスチェーン13,支持軸14,回転軸16,連結部材17等により実現される。
【0015】
係る構成にすると、本体の投入部より投入された多数(カップの収容可能な量よりも多いものを多数と言う)の小物品は、先細り状の本体内を落下移動しながら筒状部に至る。カップは筒状部内を上昇移動するとともに、少なくとも1つのカップにより筒状部の下方開口部は閉塞されるため、小物品は、筒状部から外部に落下することなく必ずカップ内に収納される。さらに、カップの収容量をオーバーする量がホッパー内に存在・貯留されている場合でも、次々と移動してくるカップにより確実に収容される。
【0016】
また、ホッパー内に投入された小物品は、先に投入されたものほど本体ひいては筒状部の下方に位置し、先にカップに収容される。よって、小物品は基本的に先入れ先出しにしたがいカップにて搬送・搬出されるため、先に投入されたものがホッパー内に長期間残ってしまう可能性が可及的に抑制される。
【0017】
さらに、筒状部の内形状と、カップの最大外形上とが略一致しており、筒状部内に移動してきた小物品はそのままカップ内に収容されるため、小物品の種類・材質にかかわらず、確実にカップに収納でき、つぶしてしまうおそれもない。
【0018】
前記所定経路は、前記上昇移動するカップが水平方向に移動する経路を有し、その水平方向に移動する経路の所定位置に、カップの上方開口部よりも上方に存在する前記小物品を落下させる落下手段を備えるようにするとよい。
【0019】
落下手段は、実施の形態では回転ブラシとしたが、回転しないブラシでも良いし、ブラシ以外でも、プレート,スクレーパ,熊手状その他各種の構造のものを用いることができる。このようにすると、カップに擦り切り一杯の一定量を確実に収容し、搬出することができるので、より正確に一定量とすることができる。なお、本発明では必ずしも落下手段は設けなくても良い。すなわち、軽く山盛りされる程度は誤差の許容範囲内の場合には、落下手段を設けずに、構成を簡略化できる。
【0020】
また、前記落下手段にて落下された小物品がホッパー内へ導かれるように構成するとよい。係る構成をとると、一旦落下した小物品も別のカップによって再度収容され、搬出されるため小物品の有効利用(廃棄量の削減)ができる。ホッパー内に導かれるような構成は、実施の形態のように落下手段(回転ブラシ)をホッパーの開口部位の上方に設け、自然落下した小物品かそのままホッパー内に至るような構成としたり、所定経路のシュータ等を設け、ホッパーに再投入されるようにしても良く、各種の方式が採れる。
【0021】
前記カップは、前記カップ搬送手段に対して自転可能に連結され、前記上昇経路,下降経路並びに上昇経路から下降経路に至る経路を搬送中のカップの姿勢は、開口部位が上を向いた基本姿勢を維持し、前記下降経路から前記上昇経路に至る経路中に前記カップを転倒させるカップ転倒機構を設け、そのカップ転倒機構を通過するカップを所定角度自転させることによりそのカップ内に収容された前記小物品を搬出するようにした。
【0022】
カップ転倒機構は、実施の形態ではカップ反転機構に対応する。所定角度は、実施の携帯では180度とし、カップを反転するようにしたが、本発明はこれに限ることは無く、任意の角度でカップを所定角度傾斜させることにより小物品を搬出するようにしても良い。特に、小物品が粒状物その他の流動性が良いものの場合、傾斜角度が小さくてもスムーズに搬出される。
【0023】
さらに、前記カップ転倒機構の下流側に、カップを所定角度回転させて基本姿勢に復帰させる戻し機構を設けると好ましい。実施の形態のように、カップの自転の回転中心を上方に位置させることにより、自然と元の基本姿勢に復帰するようにした場合には、必ずしも戻し機構を設ける必要がないが、戻し機構を設けることにより確実に基本姿勢に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るカップ式物品供給装置では、カップの内容積に対応した一定量の小物品を収容するとともに搬送し、所定位置で搬出することにより搬出先の装置等に一定量の小物品を供給することができる。しかも、小型簡易な構成で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図2から図4は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図に示すように、起立した矩形状の取付板11の前面の四隅にスプロケット12を配置し、そのスプロケット12にエンドレスチェーン13を掛け渡す。本例では、1つの軸に2つのスプロケット12を設けているため、エンドレスチェーン13も2列に配置する。この2本のエンドレスチェーン13に対し、支持軸14を取り付ける。スプロケット12は、仮想長方形の各頂点に配置したため、隣接するスプロケット12間のエンドレスチェーン13は、直線上の軌跡からなる搬送径路をとる。
【0026】
この支持軸14は、図3,図4に示すように、2本のエンドレスチェーン13をまたぐようにして固定され、これにより、取付板11の壁面に対して直交するように配置される。また、支持軸14は、軸方向に貫通孔14aを有する略四角柱(筒)状から形成されるとともに、その両端には軸受け部(ベアリング)14bが設けられている。この軸受け部14bに回転自在に回転軸16が挿入配置されている。回転軸16の一端には、ほぼ全長が半円柱状の連結部材17が取り付けられ、その連結部材17の取付面17aに、環状の締め付け部材19の外側に折れ曲がった両端19aを接触させるとともに、ねじ18で固定する。
【0027】
そして、環状の締め付け部材19にて、上部開口したカップ20を支持する。つまり、例えば、締め付け部材19の内径をカップ20の外径よりも若干小さくすることで、所望の挟持力(締め付け力)でカップ20を保持できる。しかも、カップ20の外形状を例えば上端の外径を少し大きくして外側に突出させることにより、その突出した部分の下面に環状の締め付け部材19の上端を突き当てることにより、それ以上のカップ20の下降を確実に抑止する構成を採ると良い。
【0028】
これにより、エンドレスチェーン13の回転に伴い、カップ20はエンドレスチェーン13の移動軌跡に沿って移動する。さらに、カップ20を支持する締め付け部材19は、連結部材17を介して回転軸16に連携されているため、その回転軸16を回転中心として正逆回転可能となる。ただし、本実施の形態では、回転中心はカップ20の上方に位置しているため、カップ20の重心は回転中心よりも下に来るので、外部から負荷・付勢力がかからない場合には、カップ20は、上方開口部が上に来た状態(基本姿勢)となる。もちろん、回転軸16は、支持軸14の軸受け部14bにて回転自在に支持されているため、カップ20に対し、外部から回転方向の力を受けると、その方向に応じてカップ20が回転(自転)する。従って、仮に外部からの回転方向の力を受けない場合には、カップ20は常時上を向いた基本姿勢のままエンドレスチェーン13に追従して移動(公転)することになる。また、各カップ20は、同一形状から形成される。
【0029】
取付板11の前面所定位置、すなわち、上昇移動するエンドレスチェーン13(図2中右側)の両側に、連結プレート22が設けられている。この一対の連結プレート22の対向面には、前後方向両端に上下に延びる樹脂製のガイド板23,24をボルトにて固定している。対向するガイド板23(24)は、それぞれ同一平面上に位置し、その先端同士の間隔は、エンドレスチェーン13に取り付けられた支持軸14の幅とほぼ一致させており、前後のガイド板23,24の間隔は、指示軸14の長さに合わせている。そして、それら各部材は、エンドレスチェーン13の回転にともない上昇移動する支持軸14の前後両端が、両側から一対のガイド板23(24)にて、挟み込まれ横揺れが抑止されるような位置関係に設定されている。これにより、支持軸14は、ガイド板23,24の設置区間を上昇移動する際は、取付板11と直交する姿勢を保持したまま上昇する。
【0030】
連結プレート22の前面には、ホッパー27が取り付けられる。このホッパー27は、上下が開口するとともに、下方に行くに従って横断面が縮小した先端先細り状で、円錐を半割りした形状の本体27aと、その本体27aの下方に連続して設けた直線状の筒状部27bを有している。筒状部27bの内径は、カップ20の最大外径とほぼ一致するように設定される。
【0031】
そして、それら本体27a,筒状部27bの裏面側には、図5に拡大して示すように、上昇移動するカップ20を支持する締め付け部材19の外側に折れ曲がった両端19aに対応する位置に、上下方向に伸びるスリット部27cが形成される。このスリット部27cは、上端から下端まで連続した1本の直線状に形成され、このスリット部27cの幅は、締め付け部材19の外側に折れ曲がった両端19aの厚みと等しいか、やや広く設定している。
【0032】
これにより、エンドレスチェーン13の回転に伴い上昇移動するカップ20は、まず筒状部27b内に進入する。そして、締め付け部材19の両端19aがスリット部27cを介して筒状部27bの外部に突出可能であるため、カップ20はそのままさらに上昇移動し、本体27aに至り、さらに、本体27aより上方に移動し、ホッパー27から離反する。
【0033】
さらに、スリット部27cの両側には、弾性体であるゴムからなる閉塞部材28を取付、その閉塞部材28が相互に接触することにより、スリット部27cを閉塞する。これにより、締め付け部材19の両端19aが存在しない部分では、閉塞部材28によりスリット部27cが閉じられることになり、小物品がそのスリット部27cから外部に落ちることが抑制される。また、閉塞部材28は弾性体であるため、締め付け部材19の両端19aが進入してくると、それに接触する閉塞部材28は弾性変形し、両端19aに接触する。これにより、両端19aが位置する部分でも小物品の外部への離脱を抑止できる。もちろん、弾性変形する閉塞部材28は、締め付け部材19の両端19aの進行の邪魔をしない。
【0034】
また、筒状部27bの長さは、カップ20の配置ピッチに対応し、その配置ピッチよりも長くし、少なくとも1個のカップ20が必ず筒状部27b内に存在(カップ20の一部でも可)するようにしている。例えば、あるカップ20が筒状部27bの上端に位置したときに、それに続くカップ20が筒状部27bの下端に達する(好ましくは筒状部27b内に少なくと一部が進入する)ような寸法に設定する。少なくとも、あるカップ20の底面が、筒状部27bの上面から離脱した際に、その次のカップ20の上面が筒状部20bの下端に達するようになることである。係る構成(位置関係)にすることにより、カップ20がどの位置にいても、筒状部20bの下方はいずれかのカップ20により閉塞されることになり、ホッパー27内に投入された小物品は、筒状部27bの下端開口から外部に落下することなく、いずれかのカップ20内に収容され搬出されることになる。また、仮に、一旦カップ20に収容された小物品が、昇降移動中に落下したとしても、次のカップ内に収容され、確実に搬出される。
【0035】
さらに、ホッパー27の本体27a内に投入された小物品は、先端(下端)先細り状の本体27aの傾斜面に沿って下降移動し、本体27aの最下端(筒状部27bの上端開口部)に至る。そして、本体27a内を自然落下していく小物品は、先に投入されたものほど下側に位置するため、カップ20に早く収納される。しかも、本体27aの最下端(筒状部27bの上端開口部)にカップ20の上端が位置せず、筒状部27bの上端が開放状態の場合には、小物品はそのまま筒状部27b内に進入し、さらに落下するが、筒状部27b内にはカップ20が必ず存在するため、その落下した小物品は、次に来るカップ20にて確実に収容される。従って、小物品は、投入することに伴い順次カップ20の収納されるため、収納されずに本体27a内に留まるようなことが無い。
【0036】
また、取付板11の前面の上端縁には、上抑え板30を設け、その上抑え板30にて、エンドレスチェーン13とともに上方を水平移動する支持軸14の上面に接触する。さらに、上方を水平移動するカップ20の底面に接触する位置に、棒状のガイドロッド32を設けている。このガイドロッド32は、L字プレート33を介して取付板11に固定する。これにより、上方を水平移動するカップ20は、上方への浮き上がりは、支持軸14の上面に接触する上抑え板30により抑止され、支持軸14が水平状態を維持しつつ移動し、しかも、カップ20の底面がガイドロッド32に接触するためカップ20の回転も抑止される。よって、図示するようにカップ20の上方開口部が上に来た状態(基本姿勢)を保持したまま水平移動することができる。
【0037】
さらにまた、ホッパー27の上方所定位置には、回転ブラシ35が配置される。この回転ブラシ35は、上方を水平移動するカップ20の上面に接触するように調整される。これにより、カップ20に収容された小物品のうちカップ20の上面よりも上方に盛り上がった小物品は、回転ブラシ35に掻き出されて落下する。これにより、回転ブラシ35を通過したカップ20に収納された小物品は、上面が平坦となりカップ20に擦り切り一杯分の定量となる。また、落下した小物品は、ホッパー27内に落ちるため、次のカップ20等にて収容される。また、回転ブラシ35の回転軸36は、エンドレスチェーン13が掛け渡されたスプロケット12と同一の駆動源(駆動モータ38)に連携され、回転ブラシ35とエンドレスチェーン13は同期して回転駆動する(回転方向は逆向き)。
【0038】
一方、取付板11の前面の下端側には、カップ反転機構40を設け、そのカップ反転機構40を通過するカップ20の天地を逆転させ、カップ20に収容された小物品を下方に落下供給(排出)する。このカップ反転機構40は、上流側に配置し、カップ20の下方側面に突き当たる第1ピン41と、その第1ピン41の下流側に所定距離だけ離すとともに、第1ピン41よりも高位置に配置する第2ピン42と、第2ピン42の下流側に連続して同一高さに配置するガイドピン43を備えている。各ピン41〜43は、カップ20が図6に示すような反転動作をするような位置関係に設定している。
【0039】
すなわち、図6(a)に示すように、第1ピン41は、カップ20の下方側面に接触し、その状態のままカップ20が前進移動することにより、カップ20は時計方向に回転する。そして、図6(b)に示すようにカップ20が90度回転した状態では、カップ20の開口側端部が第2ピン42に突き当たるように設定する。この状態からさらにカップ20が前進移動すると、その90度回転した水平状態(横倒し状態)のままでは進めず(第2ピン42が直進を阻止する)、図6(c),(d)に示すように第2ピン42を乗り越すようにカップ20がさらに時計方向に回転し、天地を逆にした倒立した状態になる。第2ピン42の後段には、ガイドピン43が続いているため、図6(e)に示すように、倒立したカップ20の開口側端部が接触して回転を抑止される。よって、倒立した状態のまま前進移動する。
【0040】
このようにカップ20が倒立したことにより、カップ20内に収容された小物品は、下方に自然落下される。よって、このように倒立した姿勢を保つ領域の下方に、包装機本体の被包装物供給領域を設定することにより、自然落下した所定量の小物品が包装機本体における包装フィルムの所定位置に供給される。なお、図示省略するが、倒立する領域の下方にシューター(小物品の落下をガイドする通路)などを設置し、包装機本体の被包装物供給領域の所望位置に確実に落下供給するようにすると良い。なお、ガイドピン43はカップ20の回転を阻止すればよいので、細棒状となり、カップ20の開口部位の一部のみ覆うが、カップ20の開口部位の大部分は開放された状態のままであるので小物品の落下には影響はない。
【0041】
カップ反転機構40を通過したカップ20は、ガイドピン43から離反することにより回転が抑止する部材がなくなるため、自重により元の上方開口部が上に来た状態(基本姿勢)に戻る。なお、本実施の形態では、確実に倒立状態から基本姿勢に復帰させるため、カップ反転機構40の下流側に、戻し機構45を設けている。この戻し機構45は、倒立したカップ20の底面側近傍の側面(進行方向前側)に接触し、その進路を塞ぐ(取付板11から前方に突出する)ように配置された棒状体からなる。これにより、この戻し機構に接触したカップ20は、前進移動するにつれて反時計方向に回転し、基本姿勢に戻る。基本姿勢の状態では、戻し機構45はカップ20に接触しない高さに位置しているため、そのまま前進し、次いで上昇移動してホッパー27内に至り、次の小物品の収容を行なう。
【0042】
なお、上記した実施の形態では、エンドレスチェーン13ひいてはカップ20の上昇径路,加工径路並びにそれらを結ぶ径路が全て直線状に形成されたが、本発明では係る構成に限ることはなく、少なくとも上昇径路中の筒状部27bに対応する部分が直線上になっていれば、他の部分は任意の径路をとることができる。
【0043】
なお、上記した例では、カップ反転機構40を1個設けたため、小物品の搬出位置も1つとなるので、包装機本体に対する小物品(被包装物)の供給ラインも1つとなる。従って、ピロー包装機等の1列で包装処理するものに対してはこのまま適用できるが、深絞り包装機,四方包装機などの複数列に対して処理する包装機に対応するためには、たとえばカップ反転機構40をエンドレスチェーンの搬送方向に沿って複数個設けるとともに、昇降移動可能に設置し、通常は下降移動して基本姿勢のカップのまま通過させ、所定のタイミングで上昇移動してそれら複数のカップ反転機構40においていっせいにカップに対する反転を行なうようにすることにより対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来例を示す図である。
【図2】本発明の好適な一実施の形態を示す正面図である。
【図3】本発明の好適な一実施の形態を示す側面図である。
【図4】本発明の好適な一実施の形態を示す平面図である。
【図5】エンドレスチェーン(支持軸)とカップの結合部分並びにホッパーの裏面側を示す拡大平面図である。
【図6】カップ反転機構の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
11 取付板
12 スプロケット
13 エンドレスチェーン
14 支持軸
16 回転軸
17 連結部材
17a 取付面
17b 軸受け部
18 ねじ
19 締め付け部材
19a 両端
20 カップ
22 連結プレート
23,24 ガイド板
27 ホッパー
27a 本体
27b 筒状部
27c スリット部
28 閉塞部材
30 上抑え板
32 ガイドロット
33 L字プレート
35 回転ブラシ
36 回転軸
38 駆動モータ
40 カップ反転機構
41 第1ピン
42 第2ピン
43 ガイドピン
45 戻し機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカップと、
そのカップを所定の搬送経路で公転移動させるカップ搬送手段と、
その搬送経路の所定位置に設置されたホッパーとを備え、
そのホッパー内に投入された小物品を前記カップにて収容し、前記搬送経路の途中でそのカップに収容された小物品を搬出するカップ式物品供給装置であって、
前記搬送経路は、上昇する上昇経路と下降する下降経路と、それら上昇・下降経路を結ぶ経路を有するとともに、前記上昇経路の少なくとも一部に直線状に上昇する部分を有し、
前記ホッパーは、下端先細り状の本体と、その本体の下方に形成される上下開口された筒状部と有し、
前記本体には小物品の投入部を有し、
前記筒状部の内形状は前記カップの最大外形上に符合する形状となり、
少なくとも前記筒状部が前記上昇する経路に沿って配置され、
その上昇する経路に沿って前記カップが上昇移動する際に、そのカップが前記筒状部内を通過するとともに、少なくとも1つのカップが前記筒状部の下方を閉塞し、前記ホッパー内に供給された小物品が筒状部の下方開口部から落下するのを抑止できるようにしたことを特徴とするカップ式物品供給装置。
【請求項2】
前記搬送経路は、前記上昇移動するカップが水平方向に移動する経路を有し、
その水平方向に移動する経路の所定位置に、カップの上方開口部よりも上方に存在する前記小物品を落下させる落下手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカップ式物品供給装置。
【請求項3】
前記落下手段にて落下された小物品がホッパー内へ導かれるように構成したことを特徴とする請求項2に記載のカップ式物品供給装置。
【請求項4】
前記カップは、前記カップ搬送手段に対して自転可能に連結され、
前記上昇経路,下降経路並びに上昇経路から下降経路に至る経路を搬送中のカップの姿勢は、開口部位が上を向いた基本姿勢を維持し、
前記下降経路から前記上昇経路に至る経路中に前記カップを転倒させるカップ転倒機構を設け、そのカップ転倒機構を通過するカップを所定角度自転させることによりそのカップ内に収容された前記小物品を搬出するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカップ式物品供給装置。
【請求項5】
前記カップ転倒機構の下流側に、カップを所定角度回転させて基本姿勢に復帰させる戻し機構を設けたことを特徴とする請求項4に記載のカップ式物品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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