説明

カバー付き鍋

【目的】 てんぷら鍋の安全性を向上させる。
【構成】 鍋本体11上の周辺部に環状のカバー16を着脱自在に取り付ける。カバー16は、下縁部16a が鍋本体11の上縁部11a の内側に嵌まる。カバー16の下縁部16a の一部に、鍋本体11の上縁部11a の外側に係合するストッパー片21を設ける。
【効果】 例えば、かす揚げ32をカバー16に引っ掛けて持ち上げてしまったような場合でも、ストッパー片21があるため、カバー16が鍋本体11内に落ち込まない。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、温度計付きてんぷら鍋などのカバー付き鍋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば実開昭62-39649号公報に記載されているように、てんぷら鍋として使用されるカバー付き鍋が知られている。この種のカバー付き鍋は、図15に示すように、鍋本体1の上面開口2の周辺部に環状のカバー3を着脱自在に取り付けたものである。このカバー3は、油はね防止および保温性向上のためのものであるが、カバー3を着脱自在にしているのは、洗浄を容易にするためであり、また、鍋本体1内の油4を凝固剤により固めて捨てようとするとき、カバー3を鍋本体1から外せば、この鍋本体1の広い上面開口2を介して、固まった油4が簡単に取り出せるからである。
【0003】
そして、前記カバー3は、その下縁部3aが鍋本体1の上縁に載るとともにその上縁部1a内側に係合するものである。カバー3の下縁部3aを鍋本体1の内側に係合させているのは、カバー3の内面に付着した油が鍋本体1の外面に伝わらないようにするためである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のカバー付き鍋では、単にカバー3の下縁部3aを鍋本体1の上縁に載せるとともにその上縁部1a内側に係合させて、カバー3を鍋本体1に取り付けるようにしていたため、カバー3が外れやすい問題があった。例えば、図15に示すように、かす揚5によりてんぷら滓を取ろうとしたとき、誤ってかす揚5をカバー3に引っ掛けてしまった場合、このカバー3が回り、かす揚5の引っ掛かったカバー3の一側が持ち上がるとともに、このカバー3の他側が鍋本体1内に落ち込む事故が生じ得る。そして、このようにカバー3が鍋本体1内に落ち込んでしまうと、油4がはねるおそれがある。また、箸などでも、同様の事故が生じ得る。
【0005】
本考案は、このような問題点を解決しようとするもので、誤操作などによりカバーが鍋本体内に落ち込んでしまうことを防止できる安全なカバー付き鍋を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の考案は、前記目的を達成するために、広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部の一部に、前記鍋本体の上縁部の外側に係合するストッパー片を設けたものである。
【0007】
請求項2の考案は、請求項1の考案のカバー付き鍋において、前記ストッパー片は、カバーにおける重量の集中した側の1か所に設けたものである。
【0008】
請求項3の考案は、請求項1の考案のカバー付き鍋において、前記ストッパー片は、カバーの周囲に分散した3か所以上に設けたものである。
【0009】
請求項4の考案は、請求項1から3のいずれかの考案のカバー付き鍋において、前記ストッパー片は、カバーに一体に切り起こし形成したものである。
【0010】
請求項5の考案は、前記目的を達成するために、広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部および前記鍋本体の上縁部の一方に、その径方向へ突出したストッパー突起を設け、他方に、横向きの部分を奥部に有し前記ストッパー突起が挿脱自在に挿入される切欠き部を形成したものである。
【0011】
請求項6の考案は、前記目的を達成するために、広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部の複数か所に、鍋本体の内面に沿って垂下するストッパー片を設けたものである。
【0012】
請求項7の考案は、前記目的を達成するために、広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部に、外周側へ向かって立上がり鍋本体の上縁部内側に位置する立上がり部と、この立上がり部の先端縁から外周側へ屈曲し鍋本体の上縁の上側に位置する回り込み部と、この回り込み部の先端縁から下方へ垂下し鍋本体の上縁部外側に位置する垂下部とを有する係合部を形成したものである。
【0013】
【作用】
請求項1の考案のカバー付き鍋では、調理時には、鍋本体上にカバーを取り付け、洗浄時などには、鍋本体からカバーを外す。このカバーは、その下縁部を鍋本体の上縁部の内側に係合することにより鍋本体に取り付けるが、カバーの下縁部の一部に設けられたストッパー片が鍋本体の上縁部の外側に係合する。これにより、カバーの開口部から鍋本体内へ挿入された食器などがカバーに引っ掛った状態で持ち上げられるなどしても、カバーが鍋本体内に落ち込むことが防止される。
【0014】
請求項2の考案のカバー付き鍋では、カバーにおける重量の集中した側、すなわち、鍋本体内への落ち込みが本来より生じやすい側の1か所に設けられたストッパーにより、カバーの落ち込みが効果的に防止される。
【0015】
請求項3の考案のカバー付き鍋では、カバーの周囲に分散した3か所以上に設けられたストッパーにより、カバーの落ち込みが確実に防止される。
【0016】
請求項4の考案のカバー付き鍋では、製造に際し、カバーにストッパー片を一体に切り起こし形成する。
【0017】
請求項5の考案のカバー付き鍋では、鍋本体にカバーを取り付けるとき、鍋本体の上縁部内側にカバーの下縁部を挿入するとともに、鍋本体の上縁部およびカバーの下縁部の一方に設けられたストッパー突起を他方に設けられた切欠き部に挿入する。そして、ストッパー突起は切欠き部の横向きの奥部まで挿入するが、この状態で、カバーは鍋本体に対して上下に動けなくなり、鍋本体内へのカバーの落ち込みが防止される。なお、鍋本体からカバーを外すときには、逆に、ストッパー突起を切欠き部から抜きながら、カバーの下縁部を鍋本体の上縁部から抜き取ればよい。
【0018】
請求項6の考案のカバー付き鍋では、カバーは、その下縁部を鍋本体の上縁部の内側に係合することにより鍋本体に取り付けるが、この状態で、カバーの下縁部の複数か所に設けられたストッパー片が鍋本体の内面に沿って垂下する。これにより、カバーの開口部から鍋本体内へ挿入された食器などがカバーに引っ掛った状態で持ち上げられるなどしても、カバーが全体として回ることが防止され、カバーが鍋本体内に落ち込むことが防止される。
【0019】
請求項7の考案のカバー付き鍋では、カバーは、その下縁部を鍋本体の上縁部に係合することにより鍋本体に取り付けるが、この状態で、カバーの下縁部は、外周側へ向かって立上がった立上がり部が鍋本体の上縁部内側に位置し、立上がり部の先端縁から外周側へ屈曲した回り込み部が鍋本体の上縁の上側に位置し、回り込み部の先端縁から下方へ垂下した垂下部が鍋本体の上縁部外側に位置する。そして、垂下部により、カバーが鍋本体内に落ち込むことが防止される。また、立上がり部により、カバーの内面に付着した油などが鍋本体の外面に伝わることが防止される。
【0020】
【実施例】
以下、本考案のカバー付き鍋の第1実施例について、図1から図4を参照しながら説明する。本実施例のカバー付き鍋は、温度計付きてんぷら鍋である。11は金属製の鍋本体で、この鍋本体11は、ほぼ有底円筒状で、下部周辺部はほぼ球面状に形成され、広い本体開口部12を上面に有している。この本体開口部12から下へいくほど、鍋本体11の径は小さくなる。そして、鍋本体11の側面一側部には注ぎ口13が形成されている。また、鍋本体11の側面後部には取手14が外周側へ突出させて固定されている。
【0021】
16はカバーで、このカバー16は、金属板をプレス加工するなどして成形されたもので、前記鍋本体11上の周辺部に着脱自在に取り付けられるものである。カバー16は、後側よりも前側が幅の広い環状になっているとともに、外周側から内周側へ向けて上昇する断面ほぼ円弧状になっており、前記本体開口部12よりも狭いカバー開口部17を上部に有している。そして、カバー16の下縁部16a には、内周側へ屈曲した水平な段差部18と、この段差部18の内周縁から垂下した垂下部19とが全周に渡って形成されている。段差部18は鍋本体11の上縁上に載り、垂下部19は鍋本体11の上縁部11a の内側に嵌合するものであり、これにより、鍋本体11にカバー16が取り付けられるようになっている。また、カバー16の下縁部16a の前側の1か所には、ストッパー片21がリベット22により固定されている。このストッパー片21は、前記垂下部19と対向し、鍋本体11の上縁部11a の外側に係合するものである。なお、製造上、ストッパー片21を固定した後、カバー16およびストッパー片21を同色に塗装するとよい。
【0022】
また、カバー16の前部には上下方向の通孔26が形成されている。この通孔26は、温度計27から垂下した棒状感熱子28が挿通されるものであり、これにより、温度計27がカバー16に着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0023】
なお、カバー16は後側よりも前側で幅が広く、かつ、このカバー16の前部に温度計27が取り付けられることから、前記ストッパー片21は、カバー16における重量の集中した側に位置していることになる。
【0024】
つぎに、前記の構成について、その作用を説明する。調理時すなわちてんぷらを揚げるときには、図1、図3および図4に示すように、鍋本体11上にカバー16を取り付けておく。この状態で、カバー16の下縁部16a の段差部18が鍋本体11の上縁上に載り、垂下部19が鍋本体11の上縁部11a の内側に嵌合している。また、カバー16の前側のストッパー片21が鍋本体11の上縁部11a の外側に係合している。てんぷらを揚げるとき、カバー16は、油はねを防ぐとともに、保温性を向上させる。また、カバー16の前部に取り付けられ感熱子28が鍋本体11内の油31に浸った温度計27により、使用者は油31の温度を知ることができる。
【0025】
そして、前述のように、カバー16のストッパー片21が鍋本体11の上縁部11a の外側に係合していることにより、使用時、カバー開口部17から鍋本体11内に挿入されたかす揚げ32などの食器類がカバー16の下側に引っ掛かった状態で持ち上げられるなどの誤操作があっても、カバー16が鍋本体11内に落ち込むことが防止される。したがって、安全性が向上し、使用者としても安心して使用できる。
【0026】
また、凝固剤により固めた油30を鍋本体11から捨てるときや、カバー付き鍋の洗浄時には、鍋本体11からカバー16を外すが、それには、単にカバー16を真っ直ぐ持ち上げればよい。
【0027】
前記実施例の構成によれば、前述のように、ストッパー片21によりカバー16の落ち込みを防止できるが、ストッパー片21は、カバー16における重量の集中した側、すなわち、鍋本体11内への落ち込みが本来より生じやすい側に設けたので、1つのみのストッパー片21による場合の位置としては、最も効果的にカバー16の落ち込みを防止できるものである。そして、ストッパー片21が1か所のみなので、部品点数も少なくて済み、製造上有利であり、コストを下げられる。これとともに、特にカバー16を鍋本体11に取り付けるとき邪魔になり得るストッパー片21が1つしかないことにより、カバー16の取り付けが面倒にならない。
【0028】
また、ストッパー片21は、カバー16を鍋本体11に取り付けた状態で外から見えるものであるが、ストッパー片21の存在がわかることは、使用者に安心感を与える。
【0029】
つぎに、本考案のカバー付き鍋の第2実施例について、図5を参照しながら説明する。なお、前記第1実施例と対応する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。後述する第3実施例以降も同様である。本第2実施例では、カバー16の周囲において、 120°ずつ離れた3か所にストッパー片21を設けたものである。
【0030】
このように分散して位置した3つのストッパー片21があることにより、誤操作などによりカバー16が鍋本体11内に落ち込むことをより確実に防止できる。すなわち、カバー16のどの位置にかす揚げ32を引っ掛けるなどしても、カバー16の落ち込みを確実に防止できる。
【0031】
なお、ストッパー片21の数は、前記両実施例のような1つあるいは3つに限るものではなく、2つあるいは4つ以上としてもよい。また、前記実施例では、ストッパー片21をカバー16に鋲止めしたが、カバー16とは別体のストッパー片21は、スポット溶接などによりカバー16に固定してもよい。
【0032】
つぎに、本考案のカバー付き鍋の第3実施例について、図6および図7を参照しながら説明する。本第3実施例において、鍋本体11は、上縁部11a にフランジ部36を有しているとともに、両側の外側に取手37を有している。また、カバー16において、その周囲の3か所にあるストッパー片38は、金属板からなるカバー16に一体に切り起こし形成してある。
【0033】
本第3実施例の構成によれば、ストッパー片がない場合に比べて部品点数を増やさずに済み、カバー16のプレス加工工程でストッパー片38をも一括して製造でき、コストを下げられる。
【0034】
つぎに、本考案のカバー付き鍋の第4実施例について、図8から図10を参照しながら説明する。本第4実施例では、カバー16の下縁部16a の垂下部19において、その一直径上に位置する2か所にストッパー突起41を径方向外方へ突出させてそれぞれ設けている。このストッパー突起41は、一端側に径小部42を有する金属製のピンからなり、その径小部42をカバー16の垂下部19に形成された通孔43に通し、垂下部19の内側で径小部42の先端部をかしめて径大なかしめ部44とすることにより、カバー16に固定されている。一方、鍋本体11の上縁部11a には、その一直径上に位置する2か所に切欠き部46がそれぞれ形成されている。この切欠き部46は、鍋本体11の上縁から垂直に垂下した垂下部47と、この垂下部47の下端から水平横向きに屈曲した水平部48とからなる。この水平部48は、両切欠き部46で同じ方向へ向いている。そして、切欠き部46は、前記ストッパー突起41の径よりも若干大きい幅を有し、このストッパー突起41が挿脱自在に挿入されるものである。なお、鍋11の上縁部11a およびカバー16の垂下部19は円形である。
【0035】
そして、鍋本体11にカバー16を取り付けるときには、まず、鍋本体11の上縁部11a の内側にカバー16の垂下部19を挿入するとともに、カバー16の段差部18を鍋本体11の上縁上に載せる。その際、カバー16の両ストッパー突起41を鍋本体11の上縁より両切欠き部46の垂下部47に下方へ通す。その後、カバー16を水平に回して、ストッパー突起41を切欠き部46の水平部48の奥部へ移動させる。この状態で、カバー16は鍋本体11に対して上下に動けなくなる。
【0036】
したがって、使用時、カバー開口部17から鍋本体11内に挿入された食器類がカバー16の下側に引っ掛かった状態で持ち上げられるなどの誤操作があっても、鍋本体11内へカバー16が落ち込むことが防止される。これにより、安全性が向上する。しかも、前記第1実施例から第3実施例では、カバー16が持ち上がること自体は防止されないが、本第4実施例では、カバー16が持ち上がること自体も防止される。
【0037】
また、鍋本体11からカバー16を外すときには、カバー16を取り付け時とは逆に水平に回し、両ストッパー突起41を切欠き部46の垂下部47の下部へ移動させる。
その後、カバー16を上へ持ち上げれば、ストッパー突起41が切欠き部46の垂下部47から抜けるとともに、カバー16の垂下部19が鍋本体11の上縁部11a から抜ける。
【0038】
なお、前記第4実施例とは逆に、鍋本体11の上縁部11a にストッパー突起を内周側へ突出させて設け、カバー16の垂下部19に、その下縁から立ち上がる部分ととその上端から横向きに屈曲した部分とを有し鍋本体11のストッパー突起が挿脱自在に挿入される切欠き部を形成してもよい。また、いずれにせよ、ストッパー突起および切欠き部の数は2組に限らないが、実際には2組あれば十分である。
1組では、カバー16の外れ止めが不確実である。
【0039】
つぎに、本考案のカバー付き鍋の第5実施例について、図11および図12を参照しながら説明する。本第5実施例では、カバー16の下縁部16a の垂下部19で 120°ずつ離れた3か所に、この垂下部19がそのまま延長する形で、鍋本体11の内面に沿って垂下する長いストッパー片51が一体に形成されている。このストッパー片51の先端は、鍋本体11の高さ方向のほぼ中央部にまで達する。
【0040】
そして、前記各実施例と同様に、カバー16は、その下縁部16a の垂下部19を鍋本体11の上縁部11a の内側に嵌めるとともに、段差部18を鍋本体11の上縁に載せて、この鍋本体11に取り付けるが、この状態で、カバー16の長いストッパー片51が鍋本体11の内面に沿って垂下する。
【0041】
これにより、使用時、カバー開口部17から鍋本体11内に挿入された食器類がカバー16の下側に引っ掛かった状態で持ち上げられるなどの誤操作があっても、カバー16が鍋本体11内に落ち込むことが防止される。すなわち、カバー16の一側が持ち上げられて、このカバー16の他側が落ち込む場合、カバー16は全体として回転するような動作を行うことになるが、持ち上げられた側にあるストッパー片51が鍋本体11の側壁によって外側から押さえられることにより、カバー16の回転動作が妨げられ、カバー16の他側が鍋本体11内へ落ち込むことは防止されることになる。こうして、安全性が向上する。
【0042】
なお、ストッパー片51の数は3つに限らない。また、ストッパー片51の長さは、長いほどカバー16の回り止めは確実になるが、ストッパー片51が邪魔になるので、図示している長さ程度が適当である。
【0043】
つぎに、本考案のカバー付き鍋の第6実施例について、図13および図14を参照しながら説明する。本第6実施例において、カバー16の下縁部16b は、外周側へ向かって立ち上がる立上がり部56と、この立上がり部56の先端縁から外周側へほぼ水平に屈曲した回り込み部57と、この回り込み部57の先端縁から下方へ垂下する垂下部58とを有する断面ほぼS字形状の係合部に形成されている。少なくとも立上がり部56は全周に渡っている。そして、立上がり部56は鍋本体11の上縁部11a の内側に位置し、回り込み部57は鍋本体11の上縁上に載り、垂下部58は鍋本体11の上縁部11a の外側に位置するものである。
【0044】
このようにして、カバー16は、その下縁部16b の係合部を鍋本体11の上縁部11a に係合することにより、この鍋本体11に取り付ける。この状態で、特にカバー16の下縁部16b の垂下部58が鍋本体11の上縁部11a の外側に位置していることにより、使用時、カバー開口部17から鍋本体11内に挿入された食器類がカバー16の下側に引っ掛かった状態で持ち上げられるなどの誤操作があっても、カバー16が鍋本体11内に落ち込むことが防止される。したがって、安全性が向上する。また、立上がり部56により、カバー16の内面に付着した油などが鍋本体11の外面に伝わることが防止される。
【0045】
なお、本考案は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、てんぷら鍋を例に採って説明したが、本考案は、てんぷら鍋以外のカバー付き鍋にも適用できる。また、鍋本体やカバーの形状も、図示のもの以外に様々なものがありうる。
【0046】
【考案の効果】
請求項1の考案によれば、鍋本体の上縁部の内側にカバーの下縁部を係合させるカバー付き鍋において、カバーの下縁部の一部に、鍋本体の上縁部の外側に係合するストッパー片を設けたので、使用時に、誤操作などによりカバーが鍋本体内に落ち込んでしまうことを防止でき、安全性が向上する。
【0047】
さらに、請求項2の考案によれば、ストッパー片は、カバーにおける重量の集中した側の1か所に設けたので、1か所のみのストッパー片により効果的にカバーの落ち込みを防止でき、ストッパー片が1か所であるから製造上有利であるとともに、カバーの着脱も面倒にならない。
【0048】
また、請求項3の考案によれば、ストッパー片は、カバーの周囲に分散した3か所以上に設けたので、カバーの落ち込みを確実に防止できる。
【0049】
また、請求項4の考案によれば、ストッパー片は、カバーに一体に切り起こし形成したので、製造上、部品点数を増やさずに済むとともに、カバーのプレス加工工程でストッパー片をも一括して製造でき、コストを下げられる。
【0050】
請求項5の考案によれば、鍋本体の上縁部の内側にカバーの下縁部を係合させるカバー付き鍋において、カバーの下縁部および鍋本体の上縁部の一方に、その径方向へ突出したストッパー突起を設け、他方に、横向きの部分を奥部に有しストッパー突起が挿入される切欠き部を形成したので、使用時に、誤操作などによりカバーが鍋本体内に落ち込んでしまうことを防止でき、安全性が向上する。
【0051】
請求項6の考案によれば、鍋本体の上縁部の内側にカバーの下縁部を係合させるカバー付き鍋において、カバーの下縁部の複数か所に、鍋本体の内面に沿って垂下するストッパー片を設けたので、使用時に、誤操作などによりカバーが鍋本体内に落ち込んでしまうことを防止でき、安全性が向上する。
【0052】
請求項7の考案によれば、カバーの下縁部に、外周側へ向かって立上がり鍋本体の上縁部内側に位置する立上がり部と、この立上がり部の先端縁から外周側へ屈曲し鍋本体の上縁の上側に位置する回り込み部と、この回り込み部の先端縁から下方へ垂下し鍋本体の上縁部外側に位置する垂下部とを有する係合部を形成したので、使用時に、誤操作などによりカバーが鍋本体内に落ち込んでしまうことを防止でき、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のカバー付き鍋の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】同上分解斜視図である。
【図3】同上ストッパー片を含む位置での断面図である。
【図4】同上ストッパー片を含まない位置での断面図である。
【図5】本考案のカバー付き鍋の第2実施例を示す斜視図である。
【図6】本考案のカバー付き鍋の第3実施例を示す斜視図である。
【図7】同上断面図である。
【図8】本考案のカバー付き鍋の第4実施例を示す斜視図である。
【図9】同上鍋本体にカバーを取り付けた状態の一部の斜視図である。
【図10】同上カバーの一部の断面図である。
【図11】本考案のカバー付き鍋の第5実施例を示す斜視図である。
【図12】同上断面図である。
【図13】本考案のカバー付き鍋の第6実施例を示す斜視図である。
【図14】同上断面図である。
【図15】従来のカバー付き鍋の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 鍋本体
11a 鍋本体の上縁部
12 本体開口部
16 カバー
16a カバーの下縁部
16b カバーの下縁部(係合部)
17 カバー開口部
21 ストッパー片
38 ストッパー片
41 ストッパー突起
46 切欠き部
51 ストッパー片
56 立上がり部
57 回り込み部
58 垂下部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部の一部に、前記鍋本体の上縁部の外側に係合するストッパー片を設けたことを特徴とするカバー付き鍋。
【請求項2】 前記ストッパー片は、カバーにおける重量の集中した側の1か所に設けたことを特徴とする請求項1記載のカバー付き鍋。
【請求項3】 前記ストッパー片は、カバーの周囲に分散した3か所以上に設けたことを特徴とする請求項1記載のカバー付き鍋。
【請求項4】 前記ストッパー片は、カバーに一体に切り起こし形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカバー付き鍋。
【請求項5】 広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部および前記鍋本体の上縁部の一方に、その径方向へ突出したストッパー突起を設け、他方に、横向きの部分を奥部に有し前記ストッパー突起が挿脱自在に挿入される切欠き部を形成したことを特徴とするカバー付き鍋。
【請求項6】 広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部の内側に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部の複数か所に、鍋本体の内面に沿って垂下するストッパー片を設けたことを特徴とするカバー付き鍋。
【請求項7】 広い開口部を上面に有する鍋本体と、この鍋本体の上縁部に下縁部が係合して鍋本体に着脱自在に取り付けられるとともにこの鍋本体の開口部よりも狭い開口部を上部に有するカバーとを備えたカバー付き鍋において、前記カバーの下縁部に、外周側へ向かって立上がり鍋本体の上縁部内側に位置する立上がり部と、この立上がり部の先端縁から外周側へ屈曲し鍋本体の上縁の上側に位置する回り込み部と、この回り込み部の先端縁から下方へ垂下し鍋本体の上縁部外側に位置する垂下部とを有する係合部を形成したことを特徴とするカバー付き鍋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【登録番号】第3018086号
【登録日】平成7年(1995)8月30日
【発行日】平成7年(1995)11月14日
【考案の名称】カバー付き鍋
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−4529
【出願日】平成7年(1995)5月15日
【出願人】(591002382)株式会社遠藤製作所 (19)