説明

カバー固定構造

【課題】 微小な突起状の係合爪であっても、カバーをベースに確実に固定することのできるカバー固定構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 カバー30がベース20に取り付けられた状態で、第1の爪形状部32Aとガイド部32Bとは、ベース20に形成された第1の係合開口24内に延在する。第1の係合爪32Aaは、第1の係合開口24の一辺側に設けられた第1の爪掛り部24aに係合する。ガイド部32Aaの側面は第1の爪掛り部24aとは反対側の第1の係合開口24の内面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態はベースにカバーを取り付けて固定するためのカバー固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の筐体には、ベースとカバーを有するものがある。電子装置の機能部品が取り付けられたベースにカバーを取り付けて、ベースとカバーとで筐体を形成する。
【0003】
カバーをベースに取り付ける方法の一例として、カバーに形成された爪形状をベースの一部又は開口部に係合させることで、カバーをベースに取り外し可能に固定する構造が用いられることがある。この方法によると、ネジ締め等の作業工程が不要であり、部品点数を増やすことなく、短時間でカバーをベースに取り付けることができる。
【0004】
爪形状を用いた取り付け構造として、固定物の側面から延在する弾性を有する部分の先端に爪形状を形成し、爪形状をベースの小さな開口に嵌め込んで係合させる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−170168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カバーに形成された爪形状をベースの一部又は開口部に係合させることでカバーをベースに固定する方法では、ベースが薄い板状の部材であり且つベースの裏側にスペースが無い場合、爪形状を係合させる部分(ベースに形成される係合部)を薄い板厚内で形成しなくてはならない。すなわち、ベースが薄い板状の部材であると、カバーの爪形状を収容できる部分が小さいので、爪形状を小さくしなければならない。カバーの爪形状が小さいと、爪形状とベースの係合部との係合度が小さくなり、カバーをベースに十分に固定しておくことができないおそれがある。
【0007】
また、カバーの一部に切り込みを入れることで、弾性を有する爪形状をカバーの側面に形成することが一般的であるが、カバーとベースとで形成する筐体を密封しなければならない用途では、カバーに切り込みを入れることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、カバーをベースに固定するカバー固定構造であって、カバーの第1の外側面から外側に向かって延在する板状の第1の爪形状部と、前記第1の爪形状部に形成された第1の係合爪と、前記第1の爪形状部の近傍において、前記カバーの前記第1の外側面に形成されたガイド部と、前記ベースに形成された第1の係合開口と、前記第1の係合開口の一辺側に形成された第1の爪掛り部とを有し、前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第1の爪形状部と前記ガイド部とは前記第1の係合開口内に延在し、前記第1の係合爪は前記第1の爪掛り部に係合し、且つ、前記ガイド部の側面は前記第1の爪掛り部とは反対側の前記第1の係合開口の内面に当接するカバー固定構造が提供される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、係合爪が形成された爪形状部と爪形状部の近傍に形成されたガイド部とを対にしてベースの係合開口に挿入し、ガイド部が係合開口の内面に当接することで、係合爪が係合開口に設けられた爪掛り部から外れないようにする。これにより、カバーの係合爪とべースの爪掛り部との係合が維持され、カバーをベースに確実に固定しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるカバー固定構造を有するイオン発生装置の斜視図である。
【図2】図1に示すイオン発生装置の分解斜視図である。
【図3】カバーの凹部が形成された部分の斜視図である。
【図4】爪形状部が形成されたカバーを裏側から見た斜視図である。
【図5】図4のA部を拡大して示す図である。
【図6】図4のB部を拡大して示す図である。
【図7】図4のC部を拡大して示す図である。
【図8】ベースの拡大斜視図である。
【図9】カバーをベースに取り付ける途中の状態を示す斜視図である。
【図10】カバーがベースに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】図10のA部を拡大して示す斜視図である。
【図12】図10のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】カバーがベースに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図13のA部を拡大して示す斜視図である。
【図15】図13のXV−XV線に沿った断面図である。
【図16】カバーがベースに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図17】図16のA部を拡大して示す斜視図である。
【図18】図16のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるカバー固定構造を有するイオン発生装置の斜視図である。図2は図1に示すイオン発生装置の分解斜視図である。イオン発生装置は、本発明の一実施形態が適用可能な筐体を有する装置の一例である。本発明の一実施形態は、二つの部品を組み合わせて形成する筐体を有する装置であれば、いかなる装置にも適用することができる。
【0013】
図1に示すイオン発生装置10は、イオン発生装置10の機能部品が取り付けられるベース20と、ベース20上の機能部品を収容した状態でベース20に取り付けられて固定されるカバー30とを含む。ベース20とカバー30とで、イオン発生装置10の筐体が形成される。
【0014】
カバー30の一部にはファン40が取り付けられる。ファン40はカバー30内部に空気を送り込むための送風機である。カバー30内にはイオン発生器50が配置されており、ファン40で送り込まれた空気は、イオン発生器50で発生したイオンと共に、カバー30の上部に形成された吹き出し口30aからカバー30の外部に放出される。ベース20上には、イオン発生器50を駆動して制御するための電気回路が設けられた制御基板60が取り付けられる。制御基板60は、ベース20上でカバー30の外側に配置され、シールド62により覆われてシールドされている。以上の構成のイオン発生装置10は、例えばコンピュータ用ディスプレイモニタの裏側に取り付けられ、ディスプレイモニタ周囲の雰囲気にイオンを放出する。
【0015】
カバー30をベース20に取り付けるためのカバー固定構造に本発明の一実施形態が適用される。
【0016】
ベース20は、例えばプラスチック製の薄い板材であり、上面に部品取り付け用のリブ等が形成される。イオン発生装置10は上述のようにディスプレイモニタ等の他の装置に組み込まれるため、筐体を形成するベース20の裏側は平面であって突出物が無いことが好ましい。本実施形態によるイオン発生装置10では、ベース20の裏側が平面であり、突出物が無いという条件を満たすものとする。
【0017】
カバー30は、例えばプラスチック製の容器であり、その側壁は弾性的に変形しやすい。イオン発生装置10では、カバー30内の空気を吹き出し口30aのみからカバー30外に送出する必要があるため、カバー30には吹き出し口30a以外に空気が出てくるような開口が無いことが条件となる。
【0018】
以上のようなベース20の一部とカバー30の一部により、本実施形態によるカバー固定構造が形成される。以下、カバー固定構造について説明する。
【0019】
図2に示すように、ベース20の一辺側に、カバー支持部22が形成される。カバー支持部22は板状のベース20から起立したリブ状の部分であり、カバー30の上部に形成された凹部30bに係合する張り出し部22aを有する。図3はカバー30の凹部30bが形成された部分の斜視図である。凹部30bはカバー30の上面30cと外側面30dとの交線に沿って形成されており、図1に示すように、カバー30の外側面がカバー支持部22に当接しながら凹部30bが張り出し部22aに係合することで、カバー30はベース20に対して位置決めされる。
【0020】
カバー30には、カバー固定構造の一部として、複数の爪形状部が形成される。複数の爪形状部は、ベース20に形成された係合部に係合するように形成される。カバー30は複数の爪形状部と上述の凹部30bとにより、ベース20上に固定される。
【0021】
図4は爪形状部が形成されたカバー30を裏側から見た斜視図である。カバー30の凹部30bが形成された外側面30dの反対側の外側面30eには、ガイド付爪形状部32が形成されている。図5は図4のA部を拡大して示す図である。ガイド付爪形状部32は、一対となった爪形状部32Aとガイド部32Bを有する。爪形状部32A及びガイド部32Bは、外側面30eに対して垂直方向外側に延在する板状の部材であり、互いに平行に近接した位置に設けられる。爪形状部32Aの先端部には係合爪32Aaが形成されている。ガイド付爪形状部32の詳細については後述する。
【0022】
カバー30の外側面30eに直交する外側面30fには、爪形状部34が形成されている。図6は図4のB部を拡大して示す図である。爪形状部34は、外側面30fに対して垂直方向外側に延在する板状の部材であり、その先端部に係合爪34aが形成されている。爪形状部34の詳細については後述する。
【0023】
カバー30の外側面30fの反対側でカバー30の外側面30eに直交する外側面30gには、爪形状部36が形成されている。図7は図4のC部を拡大して示す図である。爪形状部36は、外側面30gに対して垂直方向外側に延在する板状の部材であり、その先端部に係合爪36aが形成されている。爪形状部36の詳細については後述する。
【0024】
上述のガイド付爪形状部32、爪形状部34、及び爪形状部36は、ベース20に形成された係合開口にそれぞれ挿入されて係合する。図8はベース20の拡大斜視図である。カバー30の外側面30e、30f、30gに形成されたガイド付爪形状部32、爪形状部34、及び爪形状部36に対応する位置に、係合開口24、26、28がそれぞれ形成されている。
【0025】
係合開口24の一辺側には爪掛り部24aが設けられ、ガイド付爪形状部32の爪形状部32Aが係合開口24に挿入されると、爪形状部32Aの係合爪32Aaが爪掛り部24aに係合する。同様に、係合開口26の一辺側には爪掛り部26aが設けられ、爪形状部34が係合開口26に挿入されると、爪形状部34の係合爪34aが爪掛り部26aに係合する。また、係合開口28の一辺側には爪掛り部28aが設けられ、爪形状部36が係合開口28に挿入されると、爪形状部36の係合爪36aが爪掛り部28aに係合する。
【0026】
なお、係合開口24の一辺側に張り出すように爪掛り部24aが形成されているが、ベース20の厚みが十分あって、係合開口24の内面に段差を形成することができれば、この段差を爪掛り部として用いることができる。他の係合開口26,28についても同様である。
【0027】
カバー30をベース20に取り付けるには、ます、カバー30の外側面30e側を少し持ち上げた状態で、外側面30dをカバー支持部22に押し付けるようにしながら、凹部30bをカバー支持部22の張り出し部22aの下に位置させる。そして、図9に示すように、カバー30の外側面30e側をベース20に向けて降ろしていくことで、凹部30bが張り出し部22aに係合するようになる。このとき、カバー支持部22に対してカバー30の外側面30dが押し付けられること、及び凹部30bが張り出し部22aに嵌合することで、カバー30がベース20に対して位置決めされる。
【0028】
このようにカバー30がベース20に対して位置決めされた状態で、ガイド付爪形状部32は係合開口24の真上に配置され、爪形状部34は係合開口26の真上に配置され、爪形状部36は係合開口28の真上に配置される。したがって、カバー30の外側面30e側をベース20に向けて降ろしてカバー30の縁全体をベース30に当接させると、自動的にガイド付爪形状部32の爪形状部32Aは係合開口24の中に挿入される。このとき、爪形状部32Aの係合爪32Aaはベース20の爪掛り部24aに当接しながら係合開口24内に入り込み、係合爪32Aaは爪掛り部24aに係合した状態となる。
【0029】
同様に、図9には現れていないが、カバー30の外側面30e側をベース20に向けて降ろしてカバー30の縁全体をベース30に当接させると、自動的に爪形状部34は係合開口26の中に挿入される。このとき、爪形状部34の係合爪34aはベース20の爪掛り部26aに当接しながら係合開口26内に入り込み、係合爪34aは爪掛り部26aに係合した状態となる。さらに、カバー30の外側面30e側をベース20に向けて降ろしてカバー30の縁全体をベース30に当接させると、自動的に爪形状部36は係合開口28の中に挿入される。このとき、爪形状部36の係合爪36aはベース20の爪掛り部28aに当接しながら係合開口26内に入り込み、係合爪36aは爪掛り部28aに係合した状態となる。
【0030】
ここで、ガイド付爪形状部32についてさらに詳細に説明する。図10はカバー30がベース20に取り付けられた状態を示す斜視図である。図11は図10のA部を拡大して示す斜視図である。図12(a)は図10のXII−XII線に沿った断面図であり、図12(b)は図12(a)のA部の拡大図である。
【0031】
ガイド付爪形状部32がベース20の係合開口24に挿入されると、爪形状部32Aの係合爪32Aaが爪掛り部24aに係合する。このとき、ガイド部32Bも係合開口24に挿入される。ガイド部32Bの先端には傾斜面32Baが形成されており、爪形状部32Aの係合爪32Aaが爪掛り部24aの端面に当接しながら移動しているときには、ガイド部32Bの傾斜面32Baが係合開口24の縁に当接しながら移動する。そして、爪形状部32Aの係合爪32Aaが爪掛り部24aの端面を通過して図12に示す状態になると、ガイド部32Bの側面が係合開口24の内面に当接した状態となる。これにより、爪形状部32Aは、図12の矢印方向に移動することができなくなり、係合爪32Aaの上部が爪掛り部24aに係合した状態が維持される。すなわち、ガイド部32Bは係合爪32Aaが爪掛り部24aから外れる方向に移動することを阻止して係合状態を維持するために設けられている。
【0032】
ガイド部32Bは爪形状部32Aと対をなして爪形状部32Aの近傍に設けられている。そして、ガイド部32Bはカバー30の外側面30eに一体に形成されているので、ほとんど弾性変形することはない。また、ガイド部32Bは爪形状部32Aの近傍に設けられており、ガイド部32Bと爪形状部32Aとの間のカバー30が変形しても変形量は極僅かである。したがって、カバー30に横方向の力が加わっても、ガイド部32Bの側面と爪形状部32Aの係合爪32Aaとの間の距離は維持され、係合爪32Aaは変位することは無く、係合爪32Aaが爪掛り部24aから外れることは無い。
【0033】
ここで、係合爪32Aaは、図12(b)に示すように断面が半球に近いような曲線形状であり、その突出量は非常に小さい。したがって、爪形状部32Aとガイド部32Bとが係合開口24に挿入されるときには、カバー全体30が僅かに撓むことで、爪形状部32Aとガイド部32Bとが共に僅かに横方向(図12の矢印方向)に変位することができる。これにより、突出量が小さい爪形状部32Aの係合爪32Aaは、爪掛り部24aの端面に当接しながら係合開口24内に入り込むことができる。そして、係合爪32Aaが爪掛り部24aの下まで入り込んだ後は、爪形状部32Aとガイド部32Bとが変形し難いので、係合爪32Aaが爪掛り部24aに係合している状態が維持される。これにより、カバー30を単に上に持ち上げようとしても、係合爪32Aaが爪掛り部24aに引っ掛かってベース20から外れることは無い。
【0034】
なお、爪形状部32Aとガイド部32Bとは、カバー30の外側面30eから垂直方向に延在した板状の部分として形成される。したがって、カバー30の外側面30eに切り込みを入れたり、開口を形成したりする必要はなく、カバー30の密閉性を維持しながら爪形状部32Aとガイド部32Bとを形成することができる。また、係合開口24もカバー30の外側面30eから外側にはずれた位置に形成できるため、係合開口24がカバー30の内部空間に繋がることは無い。
【0035】
次に、爪形状部34について詳細に説明する。図13はカバー30がベース20に取り付けられた状態を示す斜視図である。図14は図13のA部を拡大して示す斜視図である。図15は図13のXV−XV線に沿った断面図である。
【0036】
爪形状部34がベース20の係合開口26に挿入されると、爪形状部34の係合爪34aが爪掛り部26aに係合する。爪形状部34の近傍には、上述のガイド部は設けられていないが、ガイド部と同様な機能を有する部分がベース20に形成されている。すなわち、カバー30がベース20に取り付けられたときに、カバー30の外側面30eに当接する爪押え38がベース20から突出したリブ形状に形成されている。
【0037】
爪押え38がカバー30の外側面30eに当接する位置は、爪形状部34の係合爪34aが爪掛り部26aに係合している位置に近く、且つ、係合爪34aが爪掛り部26aから離れる方向である。したがって、爪押え38がカバー30の外側面30eに当接することで、カバー30の矢印方向への移動が阻止され、これにより、爪形状部34の係合爪34aの図14における矢印方向の変位が阻止される。したがって、爪形状部34の係合爪34aが爪掛り部26aに係合した状態が維持され、カバー30を単に上に持ち上げようとしても、係合爪34aが爪掛り部26aから外れることは無い。
【0038】
ここで、係合爪34aは、図15に示すうように断面が半球に近いような曲線形状であり、その突出量は非常に小さい。したがって、爪形状部34が係合開口26に挿入されるときには、カバー全体30が僅かに変形することで、爪形状部34が僅かに横方向(図14の矢印方向)に変位することができる。これにより、突出量が小さい爪形状部34の係合爪34aは、爪掛り部26aの端面に当接しながら係合開口26内に入り込むことができる。そして、係合爪34aが爪掛り部26aの下まで入り込んだ後は、爪形状部34が変形し難いので、係合爪34aが爪掛り部26aに係合している状態が維持される。これにより、カバー30を単に上に持ち上げようとしても、係合爪34aが爪掛り部26aに引っ掛かってベース20から外れることは無い。
【0039】
なお、爪形状部34は、カバー30の外側面30fから垂直方向に延在した板状の部分として形成される。したがって、カバー30の外側面30fに切り込みを入れたり、開口を形成したりする必要はなく、カバー30の密閉性を維持しながら爪形状部34を形成することができる。また、係合開口26もカバー30の外側面30fから外側にはずれた位置に形成できるため、係合開口26がカバー30の内部空間に繋がることは無い。
【0040】
また、爪押え38はカバー30の外側面30eに沿って互いに離れた位置の2箇所に設けられている。このように、離れた位置の2箇所でカバー30の外側面を拘束することで、カバー30の回転方向の変位を効果的に防止することができる。係合爪32Aa及び係合爪34aのように極微小な突出量でベース20との係合を維持するためには、カバー30の回転方向の移動やがたつきを防止することも重要な要素である。
【0041】
次に、爪形状部36について詳細に説明する。図16はカバー30がベース20に取り付けられた状態を示す斜視図である。図17は図16のA部を拡大して示す斜視図である。図18は図16のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。
【0042】
爪形状部36がベース20の係合開口28に挿入されると、爪形状部36の係合爪36aが爪掛り部28aに係合する。爪形状部36の近傍には、上述のガイド部は設けられていないが、ガイド部と同様な機能を有する部分がベース20に形成されている。すなわち、カバー30がベース20に取り付けられたときに、カバー30の外側面30hに当接する爪押え39がベース20から突出したリブ形状に形成されている。
【0043】
爪押え39がカバー30の外側面30hに当接する位置は、爪形状部36の係合爪36aが爪掛り部28aに係合している位置に近く、且つ、係合爪36aが爪掛り部28aから離れる方向である。したがって、爪押え39がカバー30の外側面30hに当接することで、カバー30の矢印方向への移動が阻止され、これにより、爪形状部36の係合爪36aの図17における矢印方向の変位が阻止される。したがって、爪形状部36の係合爪36aが爪掛り部28aに係合した状態が維持され、カバー30を単に上に持ち上げようとしても、係合爪36aが爪掛り部28aから外れることは無い。
【0044】
ここで、係合爪36aは、図18に示すうように断面が半球に近いような曲線形状であり、その突出量は非常に小さい。したがって、爪形状部36が係合開口28に挿入されるときには、カバー全体30が僅かに変形することで、爪形状部36が僅かに横方向(図17の矢印方向)に変位することができる。これにより、突出量が小さい爪形状部36の係合爪36aは、爪掛り部28aの端面に当接しながら係合開口28内に入り込むことができる。そして、係合爪36aが爪掛り部28aの下まで入り込んだ後は、爪形状部36が変形し難いので、係合爪36aが爪掛り部28aに係合している状態が維持される。これにより、カバー30を単に上に持ち上げようとしても、係合爪36aが爪掛り部28aに引っ掛かってベース20から外れることは無い。
【0045】
なお、爪形状部36は、カバー30の外側面30gから垂直方向に延在した板状の部分として形成される。したがって、カバー30の外側面30gに切り込みを入れたり、開口を形成したりする必要はなく、カバー30の密閉性を維持しながら爪形状部36を形成することができる。また、係合開口28もカバー30の外側面30gから外側にはずれた位置に形成できるため、係合開口28がカバー30の内部空間に繋がることは無い。
【0046】
以上のように、本明細書は以下の事項を開示する。
(付記1)
カバーをベースに固定するカバー固定構造であって、
カバーの第1の外側面から外側に向かって延在する板状の第1の爪形状部と、
前記第1の爪形状部に形成された第1の係合爪と、
前記第1の爪形状部の近傍において、前記カバーの前記第1の外側面に形成されたガイド部と、
前記ベースに形成された第1の係合開口と、
前記第1の係合開口の一辺側に形成された第1の爪掛り部と
を有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第1の爪形状部と前記ガイド部とは前記第1の係合開口内に延在し、前記第1の係合爪は前記第1の爪掛り部に係合し、且つ、前記ガイド部の側面は前記第1の爪掛り部とは反対側の前記第1の係合開口の内面に当接するカバー固定構造。
(付記2)
付記1記載のカバー固定構造であって、
前記第1の爪形状部と前記ガイド部は、前記カバーの一部として一体に形成されているカバー固定構造。
(付記3)
付記1又は2記載のカバー固定構造であって、
前記第1の係合爪は前記第1の爪形状部の先端で前記カバーの縁を超えて延在する部分に形成された微小突起であるカバー固定構造。
(付記4)
付記1乃至3のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記係合開口の内面に当接する前記側面から傾斜した傾斜面が、前記ガイド部の先端に形成されたカバー固定構造。
(付記5)
付記1乃至4のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記カバーの上部に形成された凹部と、
前記ベースに起立して形成されたカバー支持部と、
前記カバー部材から前記ベースに平行に延在する張り出し部と
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記カバーの前記凹部に前記ベースの前記張り出し部が係合するカバー固定構造。
(付記6)
付記5記載のカバー固定構造であって、
前記凹部は、前記カバーの前記第1の外側面とは反対側の第2の外側面と、前記カバーの上面とで形成される角部に形成されたカバー固定構造。
(付記7)
付記5又は6記載のカバー固定構造であって、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記カバーの前記第2の外側面は前記カバー支持部に当接するカバー固定構造。
(付記8)
付記1乃至7のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であて、
前記カバーの前記第1の外側面に直交する第3の外側面に垂直に形成された第2の爪形状部と、
前記第2の爪形状部の先端に形成された第2の係合爪と、
前記ベースに形成された第2の係合開口と、
前記第2の係合開口の一辺側に形成された第2の爪掛り部と
前記第2の係合開口に対応した位置において、前記ベースから突出するリブ状の第1の爪押え部と、
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第2の爪形状部は前記第2の係合開口内に延在し、前記第2の係合爪は前記第2の爪掛り部に係合し、且つ、前記第1の爪押え部は前記カバーの前記第1の外側面に当接するカバー固定構造。
(付記9)
付記8記載のカバー固定構造であって、
前記第2の爪形状部は、前記カバーの一部として一体に形成されているカバー固定構造。
(付記10)
付記8又は9記載のカバー固定構造であって、
前記第2の係合爪は前記第2の爪形状部の先端で前記カバーの縁を超えて延在する部分に形成された微小突起であるカバー固定構造。
(付記11)
付記8乃至10のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であて、
前記第1の爪押え部は、前記カバーの前記第1の外側面に沿って複数箇所に形成されたカバー固定構造。
(付記12)
付記1乃至11のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記カバーの前記第1乃至第3の外側面以外の第4の外側面に垂直に形成された第3の爪形状部と、
前記第3の爪形状部の先端に形成された第3の係合爪と、
前記ベースに形成された第3の係合開口と、
前記第3の係合開口の一辺側に形成された第3の爪掛り部と
前記第3の係合開口に対応した位置において、前記ベースから突出するリブ状の第2の爪押え部と、
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第3の爪形状部は前記第3の係合開口内に延在し、前記第3の係合爪は前記第3の爪掛り部に係合し、且つ、前記第2の爪押え部は前記カバーの前記第4の外側面に直交する第5の外側面に当接するカバー固定構造。
(付記13)
付記12記載のカバー固定構造であって、
前記第3の爪形状部は、前記カバーの一部として一体に形成されているカバー固定構造。
(付記14)
付記12又は12記載のカバー固定構造であって、
前記第3の係合爪は前記第3の爪形状部の先端で前記カバーの縁を超えて延在する部分に形成された微小突起であるカバー固定構造。
【符号の説明】
【0047】
10 イオン発生装置
20 ベース
22 カバー支持部
22a 張り出し部
24,26,28 係合開口
24a,26a,28a 爪掛り部
30 カバー
30a 吹き出し口
30b 凹部
30c 上面
30d,30e,30f,30g,30h 外側面
32 ガイド付爪形状部
32A 爪形状部
32Aa 係合爪
32B ガイド部
34 爪形状部
34a 係合爪
36 爪形状部
36a 係合爪
38,39 爪押え部
40 ファン
50 イオン発生器
60 制御基板
62 シールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーをベースに固定するカバー固定構造であって、
カバーの第1の外側面から外側に向かって延在する板状の第1の爪形状部と、
前記第1の爪形状部に形成された第1の係合爪と、
前記第1の爪形状部の近傍において、前記カバーの前記第1の外側面に形成されたガイド部と、
前記ベースに形成された第1の係合開口と、
前記第1の係合開口の一辺側に形成された第1の爪掛り部と
を有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第1の爪形状部と前記ガイド部とは前記第1の係合開口内に延在し、前記第1の係合爪は前記第1の爪掛り部に係合し、且つ、前記ガイド部の側面は前記第1の爪掛り部とは反対側の前記第1の係合開口の内面に当接するカバー固定構造。
【請求項2】
請求項1記載のカバー固定構造であって、
前記第1の爪形状部と前記ガイド部は、前記カバーの一部として一体に形成されているカバー固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカバー固定構造であって、
前記第1の係合爪は前記第1の爪形状部の先端で前記カバーの縁を超えて延在する部分に形成された微小突起であるカバー固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記カバーの上部に形成された凹部と、
前記ベースに起立して形成されたカバー支持部と、
前記カバー部材から前記ベースに平行に延在する張り出し部と
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記カバーの前記凹部に前記ベースの前記張り出し部が係合するカバー固定構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記カバーの前記第1の外側面に直交する第3の外側面に垂直に形成された第2の爪形状部と、
前記第2の爪形状部の先端に形成された第2の係合爪と、
前記ベースに形成された第2の係合開口と、
前記第2の係合開口の一辺側に形成された第2の爪掛り部と
前記第2の係合開口に対応した位置において、前記ベースから突出するリブ状の第1の爪押え部と、
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第2の爪形状部は前記第2の係合開口内に延在し、前記第2の係合爪は前記第2の爪掛り部に係合し、且つ、前記第1の爪押え部は前記カバーの前記第1の外側面に当接するカバー固定構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のカバー固定構造であって、
前記カバーの前記第1乃至第3の外側面以外の第4の外側面に垂直に形成された第3の爪形状部と、
前記第3の爪形状部の先端に形成された第3の係合爪と、
前記ベースに形成された第3の係合開口と、
前記第3の係合開口の一辺側に形成された第3の爪掛り部と
前記第3の係合開口に対応した位置において、前記ベースから突出するリブ状の第2の爪押え部と、
をさらに有し、
前記カバーが前記ベースに取り付けられた状態で、前記第3の爪形状部は前記第3の係合開口内に延在し、前記第3の係合爪は前記第3の爪掛り部に係合し、且つ、前記第2の爪押え部は前記カバーの前記第4の外側面に直交する第5の外側面に当接するカバー固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−222053(P2012−222053A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84098(P2011−84098)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】