説明

カバー材取付構造及びカバー材取付金具

【課題】グレーチングに対するカバー材の取り付け及び取り外しを、大掛かりな作業を必要とせずに極めて容易に行うことができるカバー材取付構造及びカバー材取付金具を提供する。
【解決手段】配列された複数のメインバー11を備えるグレーチング10の上面に、メインバー11の間隔よりも小さな開口21が多数形成されたカバー材としてのパンチングメタル20を取り付けるカバー材取付構造であって、メインバー11に係止或いは固定された取付金具30を備えており、パンチングメタル20に形成された取付孔22に軸部が挿通されたボルト31に対して取付金具30を螺合により固定することでパンチングメタル20をグレーチング10の上面に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー材取付構造及びカバー材取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、グレーチングは、鉄、ステンレス、アルミニウム等の鋼材を格子状に組んだ平板状の部材をいい、側溝等の溝を覆う蓋として広範囲に用いられている。また、グレーチングは、鉄板等に比べて軽量である、通気性が良い等の性質を有するため、風の荷重を緩和する目的で、或いは日陰になる部分を少なくしつつ通気を良くして藻等の発生等を防止する目的で、工場等の操作歩道等としても広く用いられている。
【0003】
ここで、グレーチングには、幅が数センチメートル程度であり、長さが十センチメートル程度の開口が多数形成されているため、グレーチング上の小物(例えば、グレーチング上の作業者が落下させた筆記具)は、グレーチングの開口を介して下方に落下してしまうことが多い。このような小物の落下防止が必要となるグレーチング上には、グレーチングの開口よりも目の細かな孔が多数形成された板状のカバー材(パンチングメタル)が取り付けられる。パンチングメタルを用いることで、上述したグレーチングの特性が失われることなく、安価に小物の落下防止が実現される。
【0004】
従来、パンチングメタルは、グレーチングに対するずれを防止するために、グレーチングに溶接固定され、或いはグレーチングの下方に配置された取付金具を用いてグレーチングの上方からビス止め固定されていた。以下の特許文献1には、グレーチングの下方からグレーチングのルーバーに係合されるカバー材取付具を用いて、カバー材をグレーチングの上面にビス止め固定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−17820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、グレーチングを単位としてグレーチング毎にパンチングメタルを取り付けても、グレーチングとグレーチングとの間に隙間がある場合には、その隙間から小物が下方に落下する虞がある。このため、パンチングメタルは、グレーチングの開口のみならずグレーチングとグレーチングとの間の隙間を覆うように、複数のグレーチングに渡って取り付けられることが多い。
【0007】
しかしながら、従来のようにパンチングメタルをグレーチングに溶接固定してしまうと、グレーチングをその設置場所から取り外すには複数のグレーチングとパンチングメタルとを一体として取り外す必要があり、大掛かりな作業が必要になる。このため、グレーチングを取り外した状態での簡易なメンテナンス作業(例えば、グレーチングを支持する支持部材の塗装)が事実上困難になるという問題がある。
【0008】
また、上述した特許文献1では、カバー材の上面からビスを緩めればカバー材をグレーチングから取り外すことができるため、グレーチングの設置場所からの取り外しは容易に行うことができる。しかしながら、グレーチングを裏返して使用する必要があるため、パンチングメタルを部分的に敷く場合に適さないという問題がある。また、強度が期待できないルーバーにカバー材取付具を係合するため、強度が必要とされる状況での使用に適さないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グレーチングに対するカバー材の取り付け及び取り外しを、大掛かりな作業を必要とせずに極めて容易に行うことができるカバー材取付構造及びカバー材取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のカバー材取付構造は、配列された複数のメインバー(11)を備えるグレーチング(10)の上面に、前記メインバーの間隔よりも小さな開口(21)が多数形成されたカバー材(20)を取り付けるカバー材取付構造であって、前記メインバーに係止或いは固定された取付金具(30、40)を備えており、前記カバー材に形成された取付孔(22)に軸部が挿通されたボルト(31)に対して前記取付金具を螺合により固定することで前記カバー材を前記グレーチングの上面に取り付けることを特徴としている。
また、本発明のカバー材取付構造は、前記取付金具が、前記メインバーの上端に配設される第1平面部(30a)と前記メインバーに固着される第2平面部(30b)とからなるL字形状の金具であり、前記ボルトの頭部と前記第1平面部の背面に配設されて前記ボルトに螺合されたナット部材(32)とにより前記第1平面部を挟むことで前記ボルトに対して前記取付金具を固定することを特徴としている。
また、本発明のカバー材取付構造は、前記第1平面部が、前記取付孔に挿通された前記ボルトに螺合されたナット部材が介挿される切欠部(N)を有しており、前記ナット部材は、前記ボルトを中心として回転させた場合に、前記取付金具の第2平面部及び前記メインバーの少なくとも一方に当接する大きさであることを特徴としている。
また、本発明のカバー材取付構造は、前記カバー材に設けられた前記取付孔が、内径が前記ボルトの頭部よりも大であり、前記ボルトが、外径が前記取付孔の内径よりも大きなワッシャ(33)を介して前記取付孔に挿通されていることを特徴としている。
他方、本発明のカバー材取付構造は、前記取付金具が、前記メインバーの間隔より幅狭であり、前記メインバーの上端に配設されて前記ボルトに対して固定される第1平面部(41)と、前記第1平面部が前記メインバーの上端に配置された状態で、前記メインバーの下端に係合する第2平面部(42a、42b)と、前記メインバーの幅と同程度の長さを有し、前記第1,第2平面部の双方に交差して前記第1平面部と前記第2平面部とを接続する第3平面部(43a、43b)と、前記メインバーの幅よりも長く設定されて、前記第2平面部の両側に前記第2平面部に交差するように設けられて前記グレーチングの上面の位置で折り曲げられる第4平面部(44a、44b)とを有することを特徴としている。
また、本発明のカバー材取付構造は、前記第1平面部には、前記ボルトが螺合されるネジ孔(Q)が設けられていることを特徴としている。
或いは、本発明のカバー材取付構造は、前記第1平面部が、前記取付孔に挿通された前記ボルトに螺合されたナット部材が介挿される切欠部(N)を有しており、前記ナット部材は、前記ボルトを中心として回転させた場合に、前記取付金具の第3平面部に当接する大きさであることを特徴としている。
本発明のカバー材取付金具は、配列された複数のメインバー(11)を備えるグレーチング(10)の上面に、前記メインバーの間隔よりも小さな開口(21)が多数形成されたカバー材(20)を取り付けるカバー材取付金具(40)において、前記メインバーの間隔より幅狭であって、前記メインバーの上端において前記ボルトに対して固定される第1平面部(41)と、前記第1平面部が前記メインバーの上端に配置された状態で、前記メインバーの下端に係合する第2平面部(42a、42b)と、前記メインバーの幅と同程度の長さを有し、前記第1,第2平面部の双方に交差して前記第1平面部と前記第2平面部とを接続する第3平面部(43a、43b)と、前記メインバーの幅よりも長く設定されて、前記第2平面部の両側に前記第2平面部に交差するように設けられて前記グレーチングの上面の位置で折り曲げられる第4平面部(44a、44b)とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グレーチングに設けられたメインバーに係止或いは固定された取付金具を備え、カバー材に形成された取付孔に軸部が挿通されたボルトに対して取付金具を螺合により固定することでカバー材をグレーチングの上面に取り付けるようにしている。これにより、グレーチングに対するカバー材の取り付け及び取り外しをカバー材の上面側からの作業のみで行うことができ、グレーチングの下方からの作業を行うための足場等が必要ないため、グレーチングに対するカバー材の取り付け及び取り外しを、大掛かりな作業を必要とせずに極めて容易に行うことができるという効果がある。また、取付金具がメインバーに係止或いは固定されるため、カバー材を高い強度でグレーチングに取り付けることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態によるカバー材取付構造によりカバー材が取り付けられた状態のグレーチングを示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるカバー材取付構造を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるカバー材取付金具を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態によるカバー材取付金具がグレーチングに取り付けられている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるカバー材取付構造及びカバー材取付金具について詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるカバー材取付構造によりカバー材が取り付けられた状態のグレーチングを示す平面図である。尚、図1では、理解を容易にするために、カバー材としてのパンチングメタル20について一部を切り欠いた状態を図示している。また、図1では、3つのグレーチング10に対して1つのパンチングメタル20が取り付けられている例について図示している。
【0015】
図1に示す通り、グレーチング10は、メインバー11、クロスバー12、及びエンドバー13の3種類のバーが格子状に組まれた平板状の部材である。具体的には、図1中の左右両端部に配置された一対のエンドバー13,13の間に、所定の間隔を隔てて多数個のメインバー11が橋設されているとともに、エンドバー13,13と同程度の長さのクロスバー12がメインバー11と直交する状態(エンドバー13に沿う状態)で数本配設されている。
【0016】
ここで、メインバー11、クロスバー12、及びエンドバー13は、数センチメートル程度の幅を有する平板状の部材であり、その幅方向が上下方向(図1の紙面に交差する方向)に沿う状態にされて、上述した通り配設されている。これらメインバー11、クロスバー12、及びエンドバー13は、鉄、ステンレス、アルミニウム等の鋼材で形成されている。尚、メインバー11及びクロスバー12の数は、グレーチング10の大きさや用途に応じて適宜設定される。また、クロスバー12としては、平板状のものではなく、断面形状が円形である棒状のものを用いても良い。
【0017】
グレーチング10のメインバー11とクロスバー12とに囲まれた部分、及びこれらメインバー11及びクロスバー12に加えてエンドバー13に囲まれた部分は、平面視形状が矩形の開口部14になっている。この開口部14が形成されていることによって、鉄板等に比べて軽量である、通気性が良い等のグレーチング10特有の性質が得られる。
【0018】
グレーチング10をなすメインバー11の予め定められた位置には、ボルト31を用いてパンチングメタル20をグレーチング10の上面に取り付けるための取付金具30(カバー材取付金具)が設けられている。図1に示す例では、エンドバー13の長さ方向における両端部に配置されたメインバー11の各々に隣接するメインバー11の左右両端部に取付金具30が設けられている。このため、図1に示す例においては、3枚のグレーチング10の四隅の部分にそれぞれ取付金具30が設けられていることになる。尚、取付金具30の詳細については後述する。
【0019】
パンチングメタル20は、グレーチング10の開口部14及びグレーチング10間の隙間からの小物の落下を防止するために、3枚のグレーチング10に渡って取り付けられる平面視形状が長方形形状であるカバー材であり、鉄、ステンレス、アルミニウム等の鋼板により形成されている。このパンチングメタル20には、グレーチング10の間隔よりも小さな多数の開口21と、パンチングメタル20をグレーチング10上に取り付けるためのボルト31が介挿される取付孔22(図1では、図示省略:図2(b)参照)とが形成されている。
【0020】
開口21は、例えば5ミリメートル程度の内径を有する円形の孔であり、パンチングメタル20のほぼ全面に形成されている。尚、図1では、理解を容易にするために、一部の開口21のみを図示している。この開口21は、グレーチング10の特性(例えば、鉄板等に比べて軽量、通気性が良い等)をある程度維持しつつ、小物の落下防止を実現するためのものである。
【0021】
取付孔22は、グレーチング10の取付金具30が設けられている位置に対応した位置に形成された孔である。この取付孔22は、パンチングメタル20における取付孔22の位置誤差、及びグレーチング10に対する取付金具30の位置誤差が多少あっても、ボルト31によるパンチングメタル20のグレーチング10への取り付けを可能とするために、その内径がボルト31の頭部よりも大きく形成されている。
【0022】
次に、取付金具30を含めたカバー材取付構造について詳細に説明する。図2は、本発明の第1実施形態によるカバー材取付構造を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は、(a)中のA−A線断面矢視図である。尚、図2(a)においては、図1と同様に、理解を容易にするためにパンチングメタル20について一部を切り欠いた状態を図示している。
【0023】
図2(a),(b)に示す通り、取付金具30は、第1平面部30aと第2平面部30bとからなるL字形状の金具であって、鉄、ステンレス、アルミニウム等により形成される。この取付金具30は、第1平面部30aがメインバー11の上端に配設された状態(正確には、メインバー11の上端から数ミリメートル程度突出した状態)で、第2平面部30bがメインバー11に固着されている。ここで、第1平面部30aの略中央部には、平面視形状が矩形形状であって、ナット部材32が介挿される切欠部Nが形成されている。
【0024】
具体的に、切欠部Nは、ボルト31に螺合されたナット部材32が図2(a)中の符号32aが付された状態にあるときにナット部材32が介挿可能であり、且つ、図2(a)に示す状態(符号32が付されている状態)にあるときに、ボルト31の頭部とナット部材32とによって取付金具30の第1平面部30aを挟むことができる大きさに形成されている。ボルト31の頭部とナット部材32とによって取付金具30の第1平面部30aが挟まれることにより、パンチングメタル20はグレーチング10上に固定される。
【0025】
ボルト31は、その軸部がワッシャ33を介してパンチングメタル20に形成された取付孔22に挿通される。前述した通り、取付孔22の内径はボルト31の頭部よりも大きく形成されているため、ワッシャ33は、その外径が取付孔22の内径よりも大きなものが用いられる。尚、ワッシャ33の内径は、ボルト31の軸部の径よりも大きく、ボルト31の頭部よりも小さな径に設定されている。ここで、ボルト31は、パンチングメタル20の上面からの出っ張りを少なくするために、例えば六角穴付低頭ボルトを用いるのが望ましい。
【0026】
ナット部材32は、ボルト31が螺合されるネジ孔が中心から偏在して形成された板ナットである。このナット部材32は、前述した通り、ボルト31に螺合されて図2(a)中の符号32aが付された状態にあるときに、取付金具30の第1平面部30aに形成された切欠部Nに介挿可能であり、且つ、ボルト31を中心として回転させた場合に、取付金具30の第2平面部30b、又はメインバー11の少なくとも一方に当接する大きさに設定されている。これは、グレーチング10の下方からナット部材32を操作(支持)することなく、ボルト31を回転させるだけでボルト31とナット部材32とによる締結を可能にするためである。
【0027】
次に、グレーチング10上にパンチングメタル20を取り付ける方法について説明する。パンチングメタル20をグレーチング10上に取り付けるにあたり、まず作業者はパンチングメタル20に設けられている取付孔22の各々に、パンチングメタル20の上面側(表面側)からワッシャ33が介挿されたボルト31の軸部を挿通し、パンチングメタル20の底面側(裏面側)からボルト31の各々にナット部材32を緩く(ナット部材32が外れない程度に緩く)螺合する。
【0028】
次いで、作業者は、ボルト31及びナット部材32が取り付けられたパンチングメタル20をグレーチング10上に配置し、グレーチング10に設けられた取付金具30の上方にパンチングメタル20に形成された取付孔22がそれぞれ配置されるよう大まかな位置合わせを行う。大まかな位置合わせが終了すると、作業者は、取付孔22に挿通されたボルト31をパンチングメタル20上から操作して、ボルト31に緩く螺合されているナット部材32を図2(a)中の符号32aが付された状態にする。そして、取付金具30に形成された切欠部Nにナット部材32を介挿させ、ナット部材32を取付金具30の第1平面部30aの下方に配置して図2(b)中の符号32aが付された状態にする。残りのボルト31についても同様に以上の操作を順次行う。
【0029】
以上の作業が終了すると、作業者は、例えば六角レンチを用いてパンチングメタル20上からボルト31を順次回転させて、ボルト31の頭部とナット部材32とによってパンチングメタル20をグレーチング10上に固定する作業を行う。ここで、各ボルト31について回転を開始した時点では、ボルト31の回転に合わせてナット部材32も回転する。しかしながら、ナット部材32は、90度程度回転すると取付金具30の第2平面部30bに当接し、ボルト31を回転させても回転しなくなる。
【0030】
作業者がボルト31の回転を続けると、ボルト31の回転に合わせてナット部材32がボルト31の軸部に沿って上方に移動し、最終的にボルト31とナット部材32とが締結される。これにより、ボルト31の頭部とナット部材32とによって、パンチングメタル20と取付金具30の第1平面部30aとが挟まれた状態になって、パンチングメタル20がグレーチング10上に固定される。残りのボルト31について、同様の作業を行うことにより、3枚のグレーチング10に渡ってパンチングメタル20が取り付けられる。
【0031】
次に、グレーチング10上のパンチングメタル20を取り外す方法について説明する。パンチングメタル20を外す場合には、グレーチング10上に取り付けられているパンチングメタル20上から、作業者がボルト31を反対方向に順次回転させてナット部材32を緩める(ナット部材32が外れない程度に緩める)。ナット部材32を緩める作業が終了すると、作業者は、取付孔22に挿通されたボルト31をパンチングメタル20上から操作して、ボルト31に緩く螺合されているナット部材32を図2(a)中の符号32aが付された状態にする。そして、ボルト31を上方に引き上げて取付金具30に形成された切欠部Nにナット部材32を介挿させ、ナット部材32を取付金具30の第1平面部30aの上方に配置する。残りのボルト31の全てについて以上の操作を行うと、パンチングメタル20をグレーチング10から取り外すことができる。
【0032】
以上説明した通り、本実施形態では、パンチングメタル20に形成された取付孔22に軸部が挿通されたボルト31の頭部と、グレーチング10のメインバー11に固定された取付金具30(第1平面部30a)の背面に配設されてボルト31に螺合されたナット部材32とにより、取付金具30の第1平面部30aを挟むことによってパンチングメタル20をグレーチング10の上面に取り付けている。このため、グレーチング10に対するパンチングメタル20の取り付け及び取り外しをパンチングメタル20の上面側からの作業のみで行うことができ、グレーチング10の下方からの作業を行うための足場等が必要ないため、グレーチング10に対するパンチングメタル20の取り付け及び取り外しを大掛かりな作業を必要とせずに極めて容易に行うことができる。また、取付金具30は、強度の高いメインバー11に固定されているため、パンチングメタル20を高い強度でグレーチング10に取り付けることができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態は、グレーチング10のメインバー11に固定された取付金具30を用いてパンチングメタル20の取り付けを行う形態であった。これに対し、以下に説明する第2実施形態は、グレーチング10のメインバー11に係止されて着脱可能な取付金具を用いてパンチングメタル20の取り付けを行う形態である。
【0034】
図3は、本発明の第2実施形態によるカバー材取付金具を示す斜視図である。図3に示す通り、本実施形態のカバー材取付金具としての取付金具40は、第1平面部41、第2平面部42a,42b、第3平面部43a,43b、及び第4平面部44a,44bを有しており、鉄、ステンレス、アルミニウム等により形成されて、グレーチング10のメインバー11の間隔より幅狭の金具である。
【0035】
第1平面部41は、ボルト31に対して直接的に固定される部位であって、その中央部にはボルト31の軸部が介挿される孔Hが形成されており、その背面にはボルト31が螺合されるナット部材Q(ネジ孔)が孔Hと同心に取り付けられている。第2平面部42a,42bは、第1平面部41に対して略平行にされており、取付金具40がグレーチング10のメインバー11に係止されている状態において、第1平面部41がメインバー11の上端に配置された状態で、メインバー11の下端に係合する部位である。
【0036】
第3平面部43a,43bは、メインバー11の幅と同定程度の長さを有しており、第1平面部41及び第2平面部42a,42bの双方に交差して、第1平面部41と第2平面部42a,42bとをそれぞれ接続する。第4平面部44a,44bは、その長さがメインバー11の幅よりも長く設定されており、第2平面部42a,42bの両側に第2平面部42a,42bに交差するように設けられ、取付金具40がグレーチング10のメインバー11に係止されるときに、グレーチング10の上面の位置で折り曲げられる。
【0037】
ここで、第4平面部44a,44bのうちの何れか一方は、何れか他方よりも長さが長めに設定されている。図3に示す例では、第4平面部44aよりも第4平面部44bの方が長く形成されている。これは、グレーチング10の上面側から取付金具40をグレーチング10のメインバー11に係止させるのを容易にするためである。尚、作業者の手を介挿可能な程度にグレーチング10の開口部14が大きい場合、或いは、ペンチ等の工具を用いて取付金具40をグレーチング10のメインバー11に係止させる場合には、第4平面部44a,44bの長さは同じで良い。
【0038】
次に、グレーチング10上にパンチングメタル20を取り付ける方法について説明する。パンチングメタル20をグレーチング10上に取り付けるにあたり、まず作業者は図3に示す取付金具40を、グレーチング10の予め設定された位置に取り付ける作業を行う。具体的には、図1に示す取付金具30が取り付けられているメインバー11の各々に取付金具40を係止する作業を行う。
【0039】
取付金具40をグレーチング10に取り付けるには、作業者が図3に示す取付金具40の第4平面部44bの端部(第2平面部42bに接続される端部とは反対側の端部)を把持し、取付金具40のほぼ全体をグレーチング10の上面側(表面側)から開口部14を介してグレーチング10の底面側(裏面側)に配置する。次いで、取付金具40を水平面内で90度だけ回転させた後に第2平面部42a,42bがメインバー11の下端に当接するまで上方に引き上げる。すると、グレーチング10の上面から第4平面部44a,44bが突出した状態になるため、グレーチング10の上面において第4平面44a,44bを折り曲げる。以上の作業を行うと、図4に示す通り、取付金具40がグレーチング10のメインバー11に係止される。
【0040】
図4は、本発明の第2実施形態によるカバー材取付金具がグレーチングに取り付けられている状態を示す断面図である。図4に示す通り、取付金具40の第1平面部41がメインバー11の上端に配置され状態で、第2平面部42a,42bがメインバー11の下端に係合するように、取付金具40がグレーチング10のメインバー11に係止されている。尚、第4平面部44a,44bの折り曲げられた部分は、図4中の左右方向に延びるようにメインバー11の上端に配設される。
【0041】
以上の作業が終了すると、作業者は、パンチングメタル20をグレーチング10上に配置し、グレーチング10に取り付けられた取付金具40の上方にパンチングメタル20に形成された取付孔22がそれぞれ配置されるよう大まかな位置合わせを行う。大まかな位置合わせが終了すると、作業者は、パンチングメタル20に設けられている取付孔22の各々に、パンチングメタル20の上面側(表面側)からワッシャ33が介挿されたボルト31の軸部を挿通し、例えば六角レンチを用いてパンチングメタル20上からボルト31を回転させて、グレーチング10のメインバー11に係止された取付金具40に設けられたナット部材Qに螺合させて取付金具40を順次ボルト31に固定する作業を行う。取付金具40の全てをボルト31に固定すれば、3枚のグレーチング10に渡ってパンチングメタル20が取り付けられる。
【0042】
次に、グレーチング10上のパンチングメタル20を取り外す方法について説明する。パンチングメタル20を外す場合には、グレーチング10上に取り付けられているパンチングメタル20上から、作業者がボルト31を反対方向に順次回転させて取付金具40からボルト31を取り外す。全てのボルト31の取り外しが完了すると、パンチングメタル20をグレーチング10から取り外すことができる。
【0043】
以上説明した通り、本実施形態では、図3に示す取付金具40をグレーチング10の上面側からメインバー11に取り付け、グレーチング10の上面側からボルト31を回転させることによりボルト31に対して取付金具40を固定している。このため、第1実施形態と同様に、グレーチング10に対するパンチングメタル20の取り付け及び取り外しをパンチングメタル20の上面側からの作業のみで行うことができ、グレーチング10の下方からの作業を行うための足場等が必要ないため、グレーチング10に対するパンチングメタル20の取り付け及び取り外しを大掛かりな作業を必要とせずに極めて容易に行うことができる。
【0044】
また、本実施形態において、取付金具40は強度の高いメインバー11に係止されるため、第1実施形態と同様に、パンチングメタル20を高い強度でグレーチング10に取り付けることができる。更に、本実施形態では、取付金具を溶接等によりグレーチングに固着させる必要がないため、第1実施形態よりも簡易にパンチングメタル20の取り付け及び取り外しを行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態によるカバー材取付構造及びカバー材取付金具について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記第1実施形態では、ボルト31を回転させたときにナット部材32が取付金具30の第2平面部30bに当接するように構成されている例について説明した。しかしながら、ボルト31を回転させたときにナット部材32がメインバー11に当接するように構成されていても良い。
【0046】
また、上記第2実施形態では、取付金具40に設けられた第1平面部41の背面にボルト31に螺合されるナット部材Qが取り付けられている例について説明した。しかしながら、このナット部材Qを省略して孔H自体がボルト31に螺合されるネジ孔とされていても良い。更に、上記第2実施形態において、取付金具40の第1平面部41を、第1実施形態で説明した取付金具30の第1平面部30aと同様の形態にしても良い。かかる形態の場合には、ナット部材は、ボルト31を中心として回転させた場合に、取付金具40の第3平面部43a,43bに当接する大きさである必要がある。
【符号の説明】
【0047】
10 グレーチング
11 メインバー
20 パンチングメタル
21 開口
22 取付孔
30 取付金具
30a 第1平面部
30b 第2平面部
31 ボルト
32 ナット部材
33 ワッシャ
40 取付金具
41 第1平面部
42a,42b 第2平面部
43a,43b 第3平面部
44a,44b 第4平面部
N 切欠部
Q ナット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列された複数のメインバーを備えるグレーチングの上面に、前記メインバーの間隔よりも小さな開口が多数形成されたカバー材を取り付けるカバー材取付構造であって、
前記メインバーに係止或いは固定された取付金具を備えており、
前記カバー材に形成された取付孔に軸部が挿通されたボルトに対して前記取付金具を螺合により固定することで前記カバー材を前記グレーチングの上面に取り付けることを特徴とするカバー材取付構造。
【請求項2】
前記取付金具は、前記メインバーの上端に配設される第1平面部と前記メインバーに固着される第2平面部とからなるL字形状の金具であり、
前記ボルトの頭部と前記第1平面部の背面に配設されて前記ボルトに螺合されたナット部材とにより前記第1平面部を挟むことで前記ボルトに対して前記取付金具を固定することを特徴とする請求項1記載のカバー材取付構造。
【請求項3】
前記第1平面部は、前記取付孔に挿通された前記ボルトに螺合されたナット部材が介挿される切欠部を有しており、
前記ナット部材は、前記ボルトを中心として回転させた場合に、前記取付金具の第2平面部及び前記メインバーの少なくとも一方に当接する大きさである
ことを特徴とする請求項2記載のカバー材取付構造。
【請求項4】
前記カバー材に設けられた前記取付孔は、内径が前記ボルトの頭部よりも大であり、
前記ボルトは、外径が前記取付孔の内径よりも大きなワッシャを介して前記取付孔に挿通されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のカバー材取付構造。
【請求項5】
前記取付金具は、前記メインバーの間隔より幅狭であり、
前記メインバーの上端に配設されて前記ボルトに対して固定される第1平面部と、
前記第1平面部が前記メインバーの上端に配置された状態で、前記メインバーの下端に係合する第2平面部と、
前記メインバーの幅と同程度の長さを有し、前記第1,第2平面部の双方に交差して前記第1平面部と前記第2平面部とを接続する第3平面部と、
前記メインバーの幅よりも長く設定されて、前記第2平面部の両側に前記第2平面部に交差するように設けられて前記グレーチングの上面の位置で折り曲げられる第4平面部と
を有することを特徴とする請求項1記載のカバー材取付構造。
【請求項6】
前記第1平面部には、前記ボルトが螺合されるネジ孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載のカバー材取付構造。
【請求項7】
前記第1平面部は、前記取付孔に挿通された前記ボルトに螺合されたナット部材が介挿される切欠部を有しており、
前記ナット部材は、前記ボルトを中心として回転させた場合に、前記取付金具の第3平面部に当接する大きさである
ことを特徴とする請求項5記載のカバー材取付構造。
【請求項8】
配列された複数のメインバーを備えるグレーチングの上面に、前記メインバーの間隔よりも小さな開口が多数形成されたカバー材を取り付けるカバー材取付金具において、
前記メインバーの間隔より幅狭であって、
前記メインバーの上端において前記ボルトに対して固定される第1平面部と、
前記第1平面部が前記メインバーの上端に配置された状態で、前記メインバーの下端に係合する第2平面部と、
前記メインバーの幅と同程度の長さを有し、前記第1,第2平面部の双方に交差して前記第1平面部と前記第2平面部とを接続する第3平面部と、
前記メインバーの幅よりも長く設定されて、前記第2平面部の両側に前記第2平面部に交差するように設けられて前記グレーチングの上面の位置で折り曲げられる第4平面部と
を有することを特徴とするカバー材取付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−77588(P2012−77588A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226659(P2010−226659)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】