説明

カフアセンブリ

ユーザーの肢の周りに位置決めされかつ機能的電気刺激システムを支持するよう構成されたフレームアセンブリと、該フレームアセンブリを肢に固定するよう構成されかつ該フレームアセンブリに連結されたオーバーセンター閉鎖機構とを含み、フレームアセンブリが肢の周りに位置決めされたときにオーバーセンター閉鎖機構が肢の内側に位置出しされる、カフアセンブリ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全部が本明細書に組み入れられる、2009年10月16日に提出された米国特許出願第12/581,059号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は概してカフアセンブリの分野に関する。より具体的には、本開示は、ユーザーの肢(例えば脚など)に装着可能であり、かつ、ユーザーの筋神経系に機能的電気刺激(FES)を提供する制御ユニット(例えばコンピュータ化された制御ユニットなど)を支持するよう構成されたカフアセンブリに関する。
【0003】
FESシステムは概ね公知であり、さまざまな障害のあるユーザーの筋神経機能の改善に使用できる。しかし、使いやすくかつ広範なユーザーに適合できる有効なFESシステムを提供するには多数の課題がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
1つの態様は、ユーザーの肢の周りに位置決めされかつ機能的電気刺激システムを支持するよう構成されたフレームアセンブリと、フレームアセンブリを肢に固定するよう構成されかつフレームアセンブリに連結されたオーバーセンター閉鎖機構とを備え、フレームアセンブリが肢の周りに位置決めされたときにオーバーセンター閉鎖機構が肢の内側に位置出しされるようなカフアセンブリに関する。
【0005】
別の態様は、ユーザーの肢の外周の少なくとも一部の周りに延在するよう構成され少なくとも部分的に可撓性である骨格部を有するフレームアセンブリと、制御ユニットを支持するよう構成されかつフレームアセンブリの少なくとも一部の周りに延在するストラップアセンブリと、ストラップアセンブリの少なくとも1つの端に連結されたオーバーセンター閉鎖機構とを備え、フレームアセンブリを介して肢に加えられる圧迫力の量を増やすためにオーバーセンター閉鎖機構が開位置から閉位置まで移動可能であるような、カフアセンブリに関する。
【0006】
別の態様は、ユーザーの肢の少なくとも一部の周りに延在するよう構成されたフレームアセンブリと、フレームアセンブリの少なくとも一部の周りに延在するよう構成されたストラップアセンブリと、フレームアセンブリに連結された、ストラップアセンブリの第一の端と、ラッチ機構とを備えたカフアセンブリに関する。ラッチ機構は、肢の内側に位置出しされ、かつ、フレームアセンブリに連結されたベースと、ストラップの第二の端に連結された第一のクリップ部材と、第一のクリップ部材に連結された第二のクリップ部材とを備え、第二のクリップ部材は、ベースの第一の部分により回転可能に受けられるよう構成された第一のピン部材と、ベースの第二の部分にスナップ嵌めされるよう構成された第二のピン部材とを有する。
【0007】
別の態様は、取り外し可能な状態でカフアセンブリの内部に連結されるよう構成されかつユーザーの肢に電極アセンブリを位置出しする1つまたは複数の電極ロケーターを備えるカフアセンブリに関する。
【0008】
別の態様は、露出した外部表面を含みかつ内部表面上でライナーアセンブリに連結された追加の骨格フレーム部材を備えるカフアセンブリに関する。骨格フレーム部材は、各々の部分が別個の成形加工(例えば射出成形など)を用いて成形されかつ各々の部分が少なくとも1つの他の部分に対して独特の硬さを有する、複数の部分を備えていてもよい。
【0009】
また別の態様は、カフアセンブリがユーザーの脚に適切に位置決めされたときにユーザーの脛骨稜と揃うよう構成されかつカフアセンブリの一部に取り付けられた位置出しガイドを備えるカフアセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、添付図面を参照した以下の詳細な説明でより完全に理解されるであろう。添付図面において、同様の符番は同様の要素を指す。
【0011】
【図1】例示的態様に基づくカフアセンブリの前面斜視図である。
【図2】例示的態様に基づくカフアセンブリの内部の一部の斜視図である。
【図3】例示的態様に基づきユーザーの肢に位置決めされたカフアセンブリの正面図である。
【図4】例示的態様に基づきユーザーの肢に位置決めされたカフアセンブリの側面図である。
【図5】例示的態様に基づくカフアセンブリの分解図である。
【図6】例示的態様に基づくフレームアセンブリの骨格部材の斜視図である。
【図7】例示的態様に基づく図6の骨格部材の上面図である。
【図8】別の例示的態様に基づく骨格アセンブリの斜視図である。
【図9】例示的態様に基づくライナーアセンブリの斜視図である。
【図10】例示的態様に基づくライナーアセンブリの平面図である。
【図11】例示的態様に基づく図10の線A-Aに沿った、図10に示すライナーアセンブリの断面図である。
【図12】例示的態様に基づく閉鎖器具の分解図である。
【図13】例示的態様に基づくカフアセンブリとともに用いられるストラップアセンブリの斜視図である。
【図14】例示的態様に基づく電極ロケーターの斜視図である。
【図15】例示的態様に基づく使い捨てライナーの平面図である。
【図16】例示的態様に基づく第一の成形加工後の骨格部材の一部の斜視図である。
【図17】例示的態様に基づく第二の成形加工後の骨格部材の一部の斜視図である。
【図18】例示的態様に基づく機能的電気刺激システムの全体ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的態様の詳細な説明
本明細書に開示するさまざまな態様は、ユーザーの筋神経系の医学的状態に対処することを意図した1つまたは複数の医療器具(例えば神経補綴器具など)との関連で用いてもよい。そのような医学的状態の1つは、足首部で足を上げる能力に影響する疾患である下垂足または尖足である。下垂足がある人は、歩行中に足およびつま先を引きずるか、または異常に高いステップで歩行しなければならなくなって、歩行も困難になる可能性がある。
【0013】
下垂足に対処するため、下腿の神経に信号を提供する機能的電気刺激(FES)システムが用いられることがある。この信号は次に、歩行中などの適切なときに足を上げるよう筋肉を活性化させる。例えばユーザーの下肢部の周りに巻きつくかまたは延在するなどによってFESシステムを支持するカフアセンブリが用いられることもある。
【0014】
本明細書に開示するさまざまな態様において説明されるカフアセンブリは、ユーザーに種々の恩典を提供する可能性がある。そのような恩典としては、ユーザーが片手のみでカフアセンブリを着ける(例えば装着する)または脱ぐ(例えば外すもしくは取り外す)ことを可能にすること;カフアセンブリの全体的な直径および/または外周を最小にして、カフアセンブリの上にズボンの脚または他の衣服を着ることを容易にすること;ならびに、FESシステムが用いる電極の位置出しをカフの着用と着用との間で容易に反復できるようにし、電極の適切な配置をさまざまなキャリブレーション手法によって繰り返し決定する必要性がなくなること、などがある。以下にさらに詳しく述べるように、本発明のカフアセンブリは他の多くの恩典もユーザーに提供する可能性がある。
【0015】
図1〜図5を参照すると、例示的態様に基づくカフまたはカフアセンブリ10(例えば、支持アセンブリ、神経補綴器具または支持物、ブレース、ラップなど)が示されている。図1〜図5に示すように、カフ10は、フレームアセンブリ12、ストラップアセンブリ14、およびオーバーセンター閉鎖機構18として示されている閉鎖アセンブリを含む。カフ10はさらに、電極アセンブリ24、26を支持しかつ位置出しする1つまたは複数の電極ロケーター20、22を含む。電極アセンブリ24、26はワイヤ28、30を介して制御ユニット16(例えば、コンピュータ化された制御ユニットなど)により制御される。電極ロケーター20、22は、フレームアセンブリ12の内側部分に提供されるライナーアセンブリ34に連結されていてもよい。カフアセンブリ10の良好なフィッティングを確保しかつユーザーの不快感を防ぐため、フレームアセンブリ12とストラップアセンブリ14との間に脚パッド38が提供されていてもよい。
【0016】
電極アセンブリ24、26が神経および/または筋肉に適切な刺激を提供しうるよう、カフ10は、下腿などユーザーの肢のすぐ近くに制御ユニット16を支持するように構成される。図3〜図4に示されている肢32など、ユーザーの肢の外周の周りにカフ10を適切に位置出しするためのガイドを提供するため、ライナーアセンブリ34の一部として位置出しガイド36が提供されていてもよい。例示的態様において、位置出しガイド36は、肢32の表面にカフ10が適切に位置決めされたときにユーザーの脛骨稜と揃うように位置決めされる。このことは、反復使用におけるカフ10の適切な位置決めを容易にする可能性がある。
【0017】
図5〜図18を参照しながら、カフアセンブリ10のさまざまな構成要素をさらに詳しく説明する。図6〜図10に示すように、フレームアセンブリ12は、骨格部材40(例えば、フレーム、外骨格、成形部材、アーマチャーなど)およびライナーアセンブリ34を含む。フレームアセンブリ12は任意の好適な幅であってもよい(例えば、2インチ、4インチなど)。さまざまな例示的態様において、骨格部材40は、1つもしくは複数の射出成形加工または別の好適な成形加工、形成加工、もしくは他の製造加工を介してポリマー材料(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、Santoprene、これらの組合せなど)からつくられた、剛性、半剛性、または可撓性の部材であってもよい。例えば、図7に示すように、骨格部材40は、異なる特性(例えば、異なる色、硬さ、デュロメーター値、可撓性など)を有する異なる材料からつくられた第一の部分42および第二の部分44を備えていてもよい。1つの態様において、第一の射出成形加工を利用してHDPE(例えば剛性または半剛性の材料)から第二の部分44が形成され(図16を参照)、次に、Santoprene材料(例えば可撓性の材料)および第二の射出成形加工を利用して第二の部分44の少なくとも一部の上に第一の部分42がオーバー成形される(図17を参照)。HDPE材料はデュロメーター値がより高く、したがって第二の部分44は、Santoprene材料に関連して比較的低いデュロメーター値を有する第一の部分42より剛性が高くなる。第一および第二の部分42、44は、図17に示す重複エリア120において互いに重複していてもよい。さまざまな他の例示的態様に基づいて他の材料を用いてもよい。
【0018】
図6〜図7に示すように、骨格部材40は、カフ10の強度または構造特性を損ねずに骨格部材40の重量を減少しうる1つまたは複数の開口部50を含んでいてもよい。さらに、骨格部材40は、ユーザーの脛骨稜に合うように構成された頂部46(例えば、湾曲部分、溝、コーナーなど)を含む。平らな部分またはエリア52が頂部46の内側に提供されていてもよく、かつ制御ユニット16の側面を収容するようなサイズであってもよい。骨格部材40の1つの側面からピン保持器48が伸びていてもよい。より詳しく後述するように、1つの態様においてピン保持器48は、ストラップアセンブリ14に連結されたピンを保持するように構成される。
【0019】
図8を参照すると、1つまたは複数のパッド54、56、58が骨格部材40に固定されていてもよい。例えば、図8に示されているように、パッド54、56が骨格部材40の外部表面または外向き表面に位置出しされてもよく、一方、1つまたは複数のパッド58が骨格部材40の内向き表面または内部表面に位置出しされてもよい。1つの態様において、パッド54、56、および58は、接着材料を用いて骨格部材40に固定される。さらなる態様において、パッド54、56、および58は、追加の構成要素をフレームアセンブリ12に連結できるよう構成された外向きのフック材料および/またはループ材料を備える。またさらなる態様において、パッド54、56はループ材料を備え、パッド58はフック材料を備える。
【0020】
次に図9〜11を参照すると、例示的態様に基づくライナーアセンブリ34がより詳しく示されている。図5に示されているように、ライナーアセンブリ34は骨格部材40の内面に連結されていてもよい。1つの態様において、ライナーアセンブリ34の外面60は、骨格部材40のパッド58上に提供されるフック材料および/またはループ材料と連結するよう構成されたフックファスナーおよび/またはループファスナーを備えていてもよい。内面62上で電極ロケーター20、22を位置出しおよび保持することを容易にするため(例えば図2を参照)、内面62にも同様にフック材料および/またはループ材料が提供されていてもよい。さまざまな代替的態様に基づいてライナーアセンブリ34を骨格部材40および/または電極ロケーター20、22に固定するため、他の手段(例えば、接着剤、機械的ファスナー、スナップ嵌め器具など)を用いてもよい。
【0021】
1つの態様において、位置出しガイド36は、カフアセンブリ10がユーザーに適切にフィッティングされたときに位置出しガイド36が下腿の脛骨稜と揃うように、ライナーアセンブリ34の上縁に沿って位置出しされる。1つの態様において、位置出しガイド36は、ライナーアセンブリ34の本体に縫いつけ、接着、または他の様式で固定される材料片である。さらなる態様において、位置出しガイド36は、ユーザーにより容易に識別されるよう、ライナーアセンブリ34および/またはカフ10の他の構成要素と対比する色(例えばオレンジ色など)で提供されてもよい。さまざまな他の態様に基づき、位置出しガイド36は、ノッチ、印刷されたマーキングなど、他の特徴を備えていてもよい。
【0022】
図10〜図11を参照すると、1つの態様に基づき、ライナーアセンブリ34は圧縮成形されていてもよく、かつ、1つまたは複数の隆起部分66、69と、1つまたは複数の低い部分もしくは凹み部分64とを含んでいてもよい。部分64、66、69は、ライナーアセンブリ34が骨格部材40に連結されたとき、隆起部分66が骨格部材40の開口部50を少なくとも部分的に通って延在し、かつ隆起部分69が骨格部材40の周囲の一部または全部の周りに延在するように形成されていてもよい。ライナーアセンブリ34はまた、ユーザーの下腿の脛骨稜と揃うように位置出しされた溝またはノッチ68を含んでいてもよい。いくつかの態様において、骨格部材40は、ライナーアセンブリ34が骨格部材40に連結されたときにノッチ68の中に受けられてもよい対応隆起部分とともに成形されてもよい。
【0023】
次に図4〜5および図12を参照しながら、閉鎖機構18(例えば、オーバーセンターラッチ、閉鎖機構、バックル、閉鎖器具など)を例示的態様に基づいてより詳しく説明する。図12に示されているように、閉鎖機構18は、ベース74、第一のクリップ部材72(例えばバンドなど)、および第二のクリップ部材70(例えば、オーバーセンタークリップ、回転クリップなど)を含む。例示的態様において、ベース74は、1つまたは複数の締結部材76(例えば、ねじ、ナット、接着部材、フックファスナーおよびループファスナーなど)を介してフレームアセンブリ12に連結される。1つの態様において、ベース74がフレームアセンブリ12に対して限定された量のピボット回転をすることを許容し、かつ閉鎖機構18の閉鎖を容易にするように、ベース74は回転可能な様式でフレームアセンブリ12に連結される。第一のクリップ部材72の1つの部分73はストラップ14の1つの端(例えば図13に示されているストラップ14の端82)に連結され、第一のクリップ部材72の第二の部分は、ピボット75を介して(例えば、第一および第二のクリップ72、70の開口部を通って延在するピンを介して)、第二のクリップ部材70にピボット式に連結される。
【0024】
図12をさらに参照すると、第二のクリップ70は、閉鎖機構18が完全に閉じられたときにベース74に設けられた凹み80(例えばノッチなど)の中に受けられるよう構成されたピン部材78(例えばエクステンションなど)を含む。1つの態様において、これら構成要素間にスナップ嵌めの接合面を提供するため、ピン部材78は凹み80に対してわずかに大きい。
【0025】
閉鎖機構18が開位置にあるとき、カフ10を肢32から体側方向に取り外すことができるよう、クリップ部材70、72がベース74から物理的に離れていてもよい(例えば、アセンブリの脱着のため足の表面でカフ10を上および/または下に引く必要性をなくす)。閉鎖機構18を閉じるには、まず、ピボット部材77が、ベース74の対応する凹み79の中に置かれる。次にユーザーは、スナップ嵌めの様式でピン部材78が凹み80の中にしっかり受けられるまで、第二のクリップ70をピボット部材77の周りで回転させてもよい。第二のクリップ70が回転するにしたがって、第一のクリップ72も同様にフレームアセンブリ12の周りを円周状に動き、これによりフレームアセンブリ12の外周が短くなりかつ肢32に加えられる圧迫力が増加する。この圧迫力増加により、ユーザーの身体活動中にカフ10が所定の位置に確実に保たれ、かつ電極と皮膚との接触も確保される。
【0026】
いくつかの態様において、閉鎖機構18は以下のようなオーバーセンター閉鎖器具である:すなわち、第二のクリップ70を回転させるために必要な力は、(例えば完全な開位置から)第二のクリップ70を回転させるにしたがって増加し、回転の中心点付近で(例えば「オーバーセンター」位置で)最大になり、そして、完全な閉位置に向かってさらに第二のクリップ70を回転させると減少する。1つの態様において、閉鎖機構18を閉じるのに必要な最大の力は5ポンドである。代替的態様において、閉鎖機構18を閉じるのに必要な最大の力は5ポンドより大きくてもまたは小さくてもよい(例えば、2ポンド、3ポンド、7ポンドなど)。
【0027】
注意されるべき点として、閉鎖機構18は、片手のみを用いてユーザーにより容易に開閉できる。このことは、例えば左脚に問題のあるユーザーが左手にも問題があるといった状況において有益となりうる。例えばこのような問題は、脳卒中および多発性硬化症(MS)の患者に関連して、および他のさまざまな医学的状態により、しばしば生じる。いくつかの態様において、(例えば図3〜4に示すように)反対側の片手による閉鎖機構18の操作を容易にするため、閉鎖機構18が肢32の内側に(例えば内側部分に沿って)位置出しされてもよい。
【0028】
次に図13を参照すると、例示的態様に基づくストラップアセンブリ14がより詳しく示されている。概して、カフ10が使用中であるとき、ストラップ14はフレームアセンブリ12の全部または一部の周りに延在している。図13に示されているように、ストラップアセンブリ14は第一の端82および第二の端84を含む。第一の端82は閉鎖機構18の一部(例えば、図12に示されている第一のクリップ部材72)に連結されるよう構成されたループを含んでいてもよく、第二の端84はフレームアセンブリ12上のピン保持器48(例えば図6および図8を参照)に受けられるよう構成されたピン部材92を含んでいてもよい。ストラップ14は、身体活動、筋肉の屈曲などを許容するため肢32に対するある程度の機械的コンプライアンスをカフ10に提供するよう構成された弾性材料を含む1つまたは複数の部分86、88を含んでいてもよい。例えば、部分86、88は、カフ10が脚に沿って軸方向に動くことのないよう、歩行中に脚の外周の変化に伴ってカフ外周が伸展および収縮することを許容する。ストラップアセンブリ14はさらに、フック材料および/またはループ材料を含みかつカフ10のさまざまな構成要素をストラップ14に連結するために使用可能である1つまたは複数のパッド96〜106を、ストラップアセンブリ14のいずれかの側に含んでいてもよい。さらに、パッド96〜106のうち1つまたは複数は、制御ユニット16から電極アセンブリ24、26まで延在するワイヤ28、30を隠すために使用可能であってもよい。例えば、1つの態様において、パッド98はワイヤ28、30のうち1つまたは複数を受けるよう構成されたポケットまたは凹みを形成してもよく、これにより、カフ10の使用中にワイヤ28、30が他の構成要素に引っかかる可能性を低下させてもよい。またさらに、ユーザーがストラップ14の長さを調整できるよう、パッド96〜106のうち1つまたは複数に長さ調整用の特徴が提供されていてもよい。
【0029】
図13をさらに参照すると、ストラップアセンブリ14は制御ユニットカバー94および補強部材90を含む。ストラップアセンブリ14がフレームアセンブリ12の周りに延在しているとき、カバー94およびフレームアセンブリ12は、制御ユニット16を受ける凹みまたはポケットを形成してもよい。制御ユニット16を上位置または下位置のいずれかから挿入できるよう、カバー94は両端が開いていてもよい。補強部材90は、ストラップアセンブリ14の残りの部分と異なる材料(例えばポリエステルなど)で作られていてもよい。さらに、カバー94は、使用中に制御ユニット16をしっかり保持するため少なくとも部分的に弾性であってもよく、かつ、制御ユニット16の電池コンパートメントおよびコネクタに対するユーザーアクセスを提供するように構成されていてもよい。ユーザーの皮膚の過敏を防ぐため、ストラップアセンブリ14のさまざまな部分は、ラテックス非含有の弾性材料、ポリエステル材料、および/またはナイロン材料であってもよい。
【0030】
次に図14を参照すると、電極ロケーター20、22がより詳しく示されている。電極ロケーター20、22は、肢32に対し電極アセンブリ24、26を適切に配置することを容易にするために用いられる。ロケーター20、22は、概ね円形であるリング108(例えばシリコーンリング)、内面110、および外面112を含む。ロケーター20、22の外面112をライナーアセンブリ34に固定することを容易にするため、および、ロケーター20、22の内面110を電極アセンブリ24、26に固定することを容易にするため(例えば図2を参照)、内面および外面110、112はフック材料および/またはループ材料を含んでいてもよい。例示的態様において、ロケーター20、22の各々は、ロケーター20、22の周囲に延在するスレッド材料114を含む。ロケーター20、22の各々について、異なる色の材料(例えば、1つは黒で1つは赤)が用いられていてもよい。ロケーター20、22は概ね円形の形状で示されているが、任意の望ましい形状を用いてよい(例えば、正方形、長方形など)。いくつかの態様においてロケーター20、22は円形で直径が約1.25インチであるが、さまざまな代替的態様においてロケーター20、22はさまざまな異なる直径(例えば、約1.88インチ、1.25インチより大きいかまたは小さい、など)であってもよい。
【0031】
カフ10の最初の着用中に、電極の最良の配置を決定するため、試行錯誤タイプのキャリブレーション手順を用いて電極アセンブリ24、26の位置を変化させてもよい。電極の適切な配置が決定されたら、電極アセンブリ24、26を電極ロケーター20、22に電極ロケーター20、22を締結してもよい。電極ロケーター20、22はライナーアセンブリ34に締結される。電極ロケーター20、22を電極アセンブリ24、26および/またはライナーアセンブリ34に連結するため、フックファスナーおよびループファスナーのさまざまな組合せを用いてもよい。
【0032】
次に図15を参照すると、例示的態様に基づく使い捨てライナー122が示されている。図15に示されているように、使い捨てライナー122は、ライナーアセンブリ34と同様の形状を有する、概ね平面の材料片(例えば、織物、紙など)であってもよい。さまざまなサイズのカフに合うようにライナー122を切ってもよい場所を特定するための、刻印された切れ目124、126または他の好適なマーキングが、ライナー122に提供されていてもよい(例えば、大(図示のとおり、中(切れ目126)、小(切れ目124))。ライナー122は、ユーザーの脛骨稜およびライナーアセンブリ34の脛骨稜ロケーター36と揃う、ノッチ128または他の好適なマーキングを含んでいてもよい。ライナー122の外面(例えば、肢から離れたほうを向く表面)は、ユーザーがライナー122をライナーアセンブリ34の内面に一時的に固定することを可能にする、フック材料およびループ材料ならびに/または接着用の特徴が提供された1つまたは複数のパッド130を含んでいてもよい。ライナー122の内面もフック材料および/またはループ材料を含んでいてもよく、かつ、前述のようにロケーター20、22および/または電極24、26を受けてもよい。
【0033】
使い捨てライナー122は、何名かのユーザーが単一のカフアセンブリを使用できるよう、(例えば、理学療法士による処置の一部として)さまざまの異なるユーザーでカフ10を使用することを容易にしうる。各々の異なるユーザーに別個の使い捨てライナー122が割り当てられてもよく、使い捨てライナー122は適宜ライナーアセンブリ34に挿入および除去されてもよい。ロケーター20、22が位置決めされるべき場所を特定するためロケーター20、22の位置をライナーの表面に直接マーキングできるよう、書込み可能な表面がライナー122に提供されていてもよい。さらに、識別情報、医学情報などの患者情報がライナー122にマーキングされてもよい。
【0034】
カフアセンブリ10は、患者の筋神経機能を回復させうるさまざまなFESシステムなど、さまざまな医療器具との関連において使用してもよい。図18を参照すると、例示的態様に基づくFESシステムのブロック図が示されている。1つの態様において、制御ユニット16は、ワイヤ28、30を介して電極アセンブリ24、26に電気的に連結されてもよい。制御ユニット16は電極アセンブリ24、26に送られる電気信号を制御する。1つの態様において、制御ユニット16は、プロセッサ132、電源134、および加速度計136を含む。プロセッサ132は、加速度計136から受け取った信号に基づいてユーザーの脚の傾斜角(例えば、下腿またはすねと水準面との間の角度)を決定してもよく、かつ、(例えば、足およびつま先のひきずりを防ぐように歩行中のスタート/ストップ刺激パターンまたはタイミングシーケンスを決定するために)適切な時間に電極アセンブリ24、26に電気信号を提供してもよい。いくつかの態様において、制御ユニット16は脛骨稜の内側に提供される。脛骨稜の内側は、概ね平らで骨ばった領域で、過度の肉付きがなく、脚の他の領域と比較してカフ10および制御ユニット16の動きが少ない傾向がある。閉鎖機構18により提供される圧迫力は、制御ユニット16が適切に位置出しされること、および、電極と皮膚との間に適切な接触を確保しひいてはユーザーの神経および/または筋肉への適切な電気刺激を確保することの両方に役立つ。さまざまな他の態様において、同様のまたは異なる様式で作動してもよい他の制御ユニットとともにカフ10を用いてもよい。
【0035】
注意されるべき点として、本明細書に提供するさまざまな例示的態様との関連において説明されるカフアセンブリは、ユーザーに多数の恩典を提供しうる。例えば、フレームアセンブリおよび閉鎖機構の構造およびアレンジメントは、ユーザーの脚に対しカフを片手で装着および取り外しすることを容易にする。さらに、脚の表面に最初に置かれたとき、カフアセンブリの可撓性または弾性の構造は、ユーザーの脚に対する滑動および/または他の動きに抵抗する。またさらに、カフは異なるサイズの脚に適応できてもよく、かつ、アセンブリを上下にひっくり返すことにより左脚または右脚のいずれでも使用できるよう反転可能であってもよい。例えば、カフアセンブリを上下にひっくり返すことによりカフを反対側の脚にフィッティングできるよう、カフアセンブリのさまざまな構成要素(例えば、フレームアセンブリ、ストラップアセンブリなど)は、
カフの全長に沿って延在する対称中心線について概ね対称であってもよい。
【0036】
本発明のカフはまた、制御モジュールおよびロケーターに対する確実な取り付け機構を提供することにより、制御モジュールおよび/または1つまたは複数の電極に対する効果的な支持を提供する。このことは、カフアセンブリの脱着ごとに電極を一貫的かつ適切に位置出しすることを容易にする。さらに、カフはユーザーの皮膚に対し垂直な圧迫力を提供し、これにより、電極と皮膚との間の適切な接触を確保する。皮膚の過敏を防ぐため、カフのさまざまな構成要素は、ラテックス非含有および/または低アレルギー性の通気性材料で作られていてもよい。またさらに、カフの取り付けおよび取り外しを容易にするため、フレームアセンブリの複数の部分に異なる水準の可撓性を提供してユーザーの脚の周りに型締力を提供してもよい。例えば、ポリマー材料の複数の層が一緒にオーバーモールド成形される一連の射出成形加工において、硬さの異なる(例えば、デュロメーター値、可撓性、または剛性などが異なる)材料を用いて、複数の硬さ特性を有する複合体骨格を形成することにより、骨格フレーム部材を多段階で形成してもよい。
【0037】
注意すべき重要な点として、例示的態様に示されるカフアセンブリの要素の構造およびアレンジメントは、実例的なものにすぎない。本開示には少数の態様のみを詳しく説明したが、これら態様に列挙された内容の新規の教示および利点から著しく逸脱することなく多数の変更(例えば、さまざまな要素のサイズ、寸法、構造、形状、およびプロポーション、パラメータの値、取り付けのアレンジメント、材料、色、配向などのバリエーション)が可能であることが、本開示を閲覧する当業者には容易に理解されるであろう。例えば、本開示の目的において、「連結される(coupled)」という用語は、2つの部材を直接的または間接的に互いに接合することを意味する。そのような接合は、本質的に静的であっても、または本質的に可動性であってもよい。そのような接合は、その2つの部材によって実現されてもよく;または、互いにもしくは2つの部材とともに単一の単体物として一体的に形成された任意の追加の中間部剤と2つの部材とによって実現されてもよく;または、互いに取り付けられた任意の追加の中間部剤と2つの部材とによって実現されてもよい。そのような接合は、本質的に永久的であっても、あるいは本質的に取り外し可能もしくは解放可能であってもよい。そのような接合はまた、2つの構成要素間の機械的、流体的、または電気的な関係に関連してもよい。したがって、そのようなすべての変更は、添付の特許請求の範囲において規定される本開示の範囲内に含まれることが意図される。代替的態様において、任意の過程または方法の段階の順序が変更または並べ替えされてもよい。例示的態様の設計、作動条件、およびアレンジメントに対する他の置換、変更、改変、および/または省略も、本開示の精神から逸脱することなく行われうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの肢の周りに位置決めされかつ機能的電気刺激システムを支持するよう構成された、フレームアセンブリと、
該フレームアセンブリに連結され、かつ該フレームアセンブリを該肢に固定するよう構成され、該フレームアセンブリが該肢の周りに位置決めされるときに該肢の内側に位置出しされる、オーバーセンター閉鎖機構と
を備える、カフアセンブリ。
【請求項2】
フレームアセンブリの少なくとも一部が可撓性材料を含み;該フレームアセンブリにより肢に加えられる圧迫力を増加させるためにオーバーセンター閉鎖機構が開位置から閉位置まで移動可能であり;かつ、該フレームアセンブリが該肢の周りに位置決めされかつ該オーバーセンター閉鎖機構が開位置にあるときに、該フレームアセンブリが該肢の表面で所望の位置を保つように構成されている、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項3】
オーバーセンター閉鎖機構が、該オーバーセンター閉鎖機構が閉位置にあるときにスナップ嵌めを提供する薄型のラッチである、請求項2記載のカフアセンブリ。
【請求項4】
肢が、脛骨稜を有する下腿である、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項5】
オーバーセンター閉鎖機構が、ラッチ部材をユーザーの脛骨稜に向かって動かすことによって開位置から閉位置まで移動可能である、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項6】
フレームアセンブリが実質的に肢の周りに延在しかつ該フレームアセンブリの2つの端の間のギャップを画定し;該フレームアセンブリの外周の少なくとも一部の周りおよび該ギャップの上にストラップが延在し;かつ、該ストラップの少なくとも1つの端がオーバーセンター閉鎖機構に連結されている、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項7】
オーバーセンター閉鎖機構が、フレームアセンブリに連結されたベース部を含む、請求項6記載のカフアセンブリ。
【請求項8】
ストラップの1つの端がオーバーセンター閉鎖機構に連結され、かつ該ストラップの第二の端がフレームアセンブリに連結されている、請求項6記載のカフアセンブリ。
【請求項9】
オーバーセンター閉鎖機構が、射出成形された材料を含む、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項10】
オーバーセンター閉鎖機構が、ユーザーによる片手操作によって開位置と閉位置との間で移動可能であるように構成されている、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項11】
フレームアセンブリが、該フレームアセンブリの全長に沿って延在する対称中心線について概ね対称であり、かつ、オーバーセンター閉鎖機構が該対称中心線に沿って位置決めされる、請求項1記載のカフアセンブリ。
【請求項12】
ユーザーの肢の外周の少なくとも一部の周りに延在するよう構成された少なくとも部分的に可撓性の骨格部を有する、フレームアセンブリと;
該フレームアセンブリの少なくとも一部の周りに延在し、かつ制御ユニットを支持するよう構成された、ストラップアセンブリと;
該ストラップアセンブリの少なくとも1つの端に連結され、該フレームアセンブリにより肢に加えられる圧迫力の量を増加させるために開位置から閉位置まで移動可能である、オーバーセンター閉鎖機構と
を備える、カフアセンブリ。
【請求項13】
オーバーセンター閉鎖機構が、回転可能にフレームアセンブリに連結されたベースを備えた薄型のラッチである、請求項12記載のカフアセンブリ。
【請求項14】
フレームアセンブリが肢の表面に位置決めされたときにオーバーセンター閉鎖機構が該肢の内側に位置出しされる、請求項12記載のカフアセンブリ。
【請求項15】
肢が下腿であり、フレームアセンブリが該下腿の表面に位置決めされたときにオーバーセンター閉鎖機構が該下腿の脛骨稜の内側に位置出しされる、請求項14記載のカフアセンブリ。
【請求項16】
ユーザーが片手のみを用いて以下の段階を行えるようにフレームアセンブリおよびオーバーセンター閉鎖機構が構成されている、請求項12記載のカフアセンブリ:
該オーバーセンター閉鎖機構が開位置にある状態で肢の周りの所望の位置に該フレームアセンブリを位置決めする段階;
該オーバーセンター閉鎖機構の回転可能なクリップを該オーバーセンター閉鎖機構のベースに挿入する段階;ならびに
該クリップを該ベースに対して回転させることにより該オーバーセンター閉鎖機構を該開位置から閉位置まで動かす段階。
【請求項17】
ユーザーの肢の少なくとも一部の周りに延在するよう構成されたフレームアセンブリと、
該フレームアセンブリの少なくとも一部の周りに延在するよう構成されたストラップアセンブリであって、該ストラップアセンブリの第一の端が該フレームアセンブリに連結された、ストラップアセンブリと、
該肢の内側に位置出しされ、かつ
該フレームアセンブリに連結されたベース;
該ストラップの第二の端に連結された第一のクリップ部材;ならびに
該ベースの第一の部分により回転可能に受けられるよう構成された第一のピン部材、および該ベースの第二の部分にスナップ嵌めされるよう構成された第二のピン部材を有する、該第一のクリップ部材に連結された第二のクリップ部材
を備える、ラッチ機構と
を備える、カフアセンブリ。
【請求項18】
ラッチ機構が、射出成形された材料を含む、請求項17記載のカフアセンブリ。
【請求項19】
ラッチ機構のベースが、回転可能にフレームアセンブリに連結されている、請求項17記載のカフアセンブリ。
【請求項20】
ラッチ機構が、ユーザーによる片手操作によって開位置と閉位置との間で移動可能である、請求項17記載のカフアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−508015(P2013−508015A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534188(P2012−534188)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/041764
【国際公開番号】WO2011/046649
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(507002561)ハンガー オーソペディック グループ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】