説明

カプセルを密封する装置及び方法

【課題】
【解決手段】入れ子式に接続されたときに重なり合う同軸状の本体部材を有する硬い外皮のカプセルを密封する方法が開示されている。カプセルを密封する装置も記載されている。該方法は、カプセルを正確で且つ直立の位置に保持するステップと、既知の量の密封流体を本体部材の重なり合う部分内にて射出するステップとを備えている。この方法を実施する装置も開示されている。該装置は、カプセルを直立の位置に保持する密封クランプ1、11、21、31、41、51、61と、密封流体を本体部材の重なり合う部分内に射出する手段5、15、25、35、45、55、65とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルを密封する方法及び装置、並びにこれらにより形成されたカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に従った方法及び装置により密封されたカプセルは、同軸状に部分的に重なり合う本体部材を有する、硬い外皮の入れ子式に接続されたカプセルである。該カプセルは、その性質がカプセルの化学的及び物理的性質に対して薬理学的に許容可能であるゼラチン又はその他の材料にて出来たものとすることができる。
【0003】
その他の投薬形態のものと比較したときのかかるカプセルに関して解決すべき問題点は、同軸状の本体部材は、中身の外部への漏洩又はその汚れを回避するため十分に密封しなければならないことである。更に、このようなカプセルの中身又は充填又は密封されたカプセルは、安全上の目的のため、明確となり且つ外部から視認できるものでなければならない。カプセルを密封する全ての技術は、製造時間及びコストを削減し、又、製品の欠陥に起因する廃棄物を少なくするため、大規模な大量生産に適したものでなければならない。
【0004】
欧州特許明細書0116743A1号、欧州特許明細書0116744A1号、欧州特許明細書0180543A1号には、硬い外皮の同軸状キャップと、入れ子式に接続されたとき、重なり合う本体部材とを有するかかるカプセルを密封する方法及び装置が開示されている。採用される過程は、メッシュバスケット内に無作為に方位決めされ又はそのキャップ部分が直立に方位決めされたカプセルのバッチをキャップと本体部材とが重なり合う部分内にて毛管作用を果たす密封流体中に漬浸させるステップ、又は密封流体又はその蒸気を重なり合う部分の継ぎ目に噴霧するステップと、密封流体を空気送風機によりカプセルの表面から除去するステップと、バスケットを乾燥機を通して運ぶ一方にて、熱エネルギをカプセルに付与するステップとを備えている。これら特許明細書には、広範囲の密封流体及び特定の温度並びに熱エネルギを付与するモードが開示されており、これらの開示内容は、参考として引用し本明細書に含めてある。
【0005】
欧州特許明細書1072245A1号には、また、キャップと本体との間の接続部における重なり合う領域によりその後に、密封液体を付与し、余剰な密封液体を除去し、また、乾燥する目的のため熱エネルギを付与することを通じて入れ子式に接続したカプセルを同軸状の本体部材に対して密封する方法も開示されている。この特許明細書には、特に、溶媒を含む密封液体を密封すべきカプセルの空隙の外端縁に施して、カプセルの円周の周りに液体リングを形成するステップと、余剰な密封液体をカプセルの外部から除去するステップと、カプセルを穏やかに転がし且つ、ら旋状の経路上にて運ぶ一方にて、熱エネルギを外部から付与することによりカプセルを乾燥させるステップとが特に記載されている。密封液体を個々に施すために噴霧ノズルが使用される。余剰な溶液は、真空吸引力又は空気ジェットによりカプセルの周囲から除去される。この特許明細書の開示内容も参考として引用し本明細書に含めてある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カプセルを密封する従来のシステムの一部は、シールの品質及びシールの品質に影響を与えるプロセスパラメータの制御可能性に関して、不完全である。
本発明は、その後に密封流体を付与し、また、カプセルがその表面上に残留液体が存在しない一方にて、本体部材の重なり合う部分にて利用可能な最大の容積にするため、流体の射出位相を改良することを通じて入れ子式に接続されたカプセルを同軸状に部分的に重なり合う本体部材に対して密封するための改良された方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的に関して、本発明は、特許請求の範囲に記載されたように、入れ子式に接続したカプセルを同軸状に部分的に重なり合う本体部材に対して密封する方法及び装置を提供する。硬いカプセルを効果的に密封するため密封クランプが使用される。充填し又は空のカプセルは、密封工程の前に方位決めしなければならない。密封クランプは、カプセルの各々を正確で且つ再現可能な直立の位置に保持する。既知の量の密封流体が良好に画成された容積内にて本体部材の重なり合う部分内に射出される。余剰な密封流体は、カプセルの外皮の外部から除去される。更に、余剰な密封流体は密封流体の蓄積を防止し得るように密封クランプから除去される。最後に、カプセルは、適正に解放させる。
【0008】
ブッシュ又は任意の他の装置に代えて噴霧クランプを使用することは、密封流体が本体部材の重なり合う部分に射出される領域を制限することを可能にする。密封クランプの設計は、密封流体の位置をクランプの内部容積に制限する。クランプ内に残る余剰な密封流体は、吸引通路を通して回収される。
【0009】
噴霧クランプを使用することは、また、カプセルを円筒状にすることを強制し、このことは、カプセルを製造するため可撓性のポリマー材料を使用するとき、有利な点である。このように、カプセルの直径は、360°にて均一である。カプセルの全周における毛管作用により密封液体が浸透することは、望ましいことである。密封クランプを使用することの追加的な有利な効果は、密封液体の射出穴の位置に関してカプセルを実際に垂直に配置することを保証することである。
【0010】
噴霧クランプは、異なる部品から構成することができる。部品の各々は、この過程の色々なステップに関与することができる。一例として、密封液体の射出は、1つの部分にて行う一方、余剰な密封流体は第二の部分内に集めることができる。
【0011】
噴霧クランプを構成する主要な作用可能な部品の数は、1ないし6にて変更することができる。射出ポートの数は、1ないし8つにて変更することができる。吸引ポートの数は1ないし10にて変更することができる。通気口の数は、1ないし6つにて変更することができる。これら部品の位置は、所望の効果が得られるよう空間的に配置することができる。1ないし3つの液体回収溝をクランプの設計に追加することが可能である。
【0012】
1つの好ましい実施の形態において、密封クランプは、2つの部品から成っている。これら2つの部品は、互いに接続されて密封クランプを開放し且つ、閉じる。
次に、添付図面を参照して、単に一例として、本発明についてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、第一の部品2と、第二の部品3とから成る密封クランプ1の第一の実施の形態が示されている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しない、カプセルのキャップの端縁は、射出ポート5の上方にて0ないし2mmの位置に正確に配置される。密封流体は、第一の部品2の分離線から90°の位置に配置された射出ポート5を介して射出される。空気又は任意の他の気体は、第一の部品2の分離線から45°の位置に配置された通気口6と、第二の部品3の分離線から90°ないし60°の位置に配置された2つの吸引ポート7とを通って流れることができる。射出ポート5及び通気口6は、キャップの下方に0ないし2mmの位置に配置される一方、2つの吸引ポート7は、液体回収溝8にある。
【0014】
図1及び図2の密封クランプの第一の実施の形態と、図3ないし図14に示したその他の実施の形態との相違点は、射出ポート5、通気口6、吸引ポート7及び液体回収溝8の数及び位置にある。図1ないし図8の実施の形態1ないし4は、最大表面の20ないし50%を利用可能にする。実施の形態5の密封クランプの場合、80%の密封面に達する。実施の形態6の密封クランプを使用することは、90ないし100%の大きい密封領域が得られることになる。実施の形態7の密封クランプの場合、カプセルの外皮から余剰な流体を完全に除去することが可能であり、その後の過程の欠陥を防止する。
【0015】
図3ないし図4に示した密封クランプ11の第二の実施の形態は、第一の部品12と、第二の部品13とから成る。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は、射出ポート15から上方にて0ないし2mmの位置に正確に配置される。密封流体は、第一の部品12の分離線から90°の位置に配置された射出ポート15を介して射出される。空気又は任意の他の気体は、第一の部品12の分離線から75℃の位置に配置された通気口16と、第二の部品13の分離線から90°ないし60°の位置に配置された2つの吸引ポート17とを通って流れることができる。射出ポート15は、カプセルのキャップの端縁の下方にて0ないし2mmの範囲の位置に配置される一方、通気口16及び2つの吸引ポート17は液体回収溝18にある。
【0016】
図5及び図6に示した密封クランプ21の第三の実施の形態は、第一の部品22と、第二の部品23とから成っている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は液体回収溝28の底部29にある。密封流体は、液体回収溝28内にて第一の部品22の分離線から90°の位置に配置された射出ポート25を介して射出される。空気又は任意のその他の気体は、第一の部品22の分離線から45°の位置に配置された通気口26と、第二の部品23の分離線から90°ないし60°の位置に配置された2つの吸引ポート27とを通って流れることができる。通気口26及び2つの吸引ポート27は液体回収溝28内に配置されている。
【0017】
図7及び図8に示した密封クランプ31の第四の実施の形態は、第一の部品32と、第二の部品33とから成っている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は液体回収溝38の底部34にある。密封流体は、液体回収溝38内にて第一の部品32の分離線から90°の位置に配置された射出ポート35を介して射出される。空気又は任意のその他の気体は、第一の部品32の分離線から45°の位置に配置された通気口36と、第二の部品33の分離線から90°ないし60°の位置に配置された2つの吸引ポート37とを通って流れることができる。通気口36及び2つの吸引ポート37は液体回収溝38内に配置されている。追加的な特徴は、密封クランプ31の底部に吸着剤層39と、垂直なゴム被覆40とがある点である。
【0018】
図9及び図10に示した密封クランプ41の第五の実施の形態は、第一の部品42と、第二の部品43とから成っている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は、密封クランプ41の液体射出溝49の底部50にある。密封流体は、第一の部品42の分離線から60°の位置に、また第二の部品43の分離線から60°の位置に配置された2つの射出ポート45を介して射出される。双方の射出ポート45は液体射出溝49内に入る。空気又は任意のその他の気体は、第一の部品42と第二の部品43との分離線から30°の位置に配置された2つの通気口46と、第一の部品42と第二の部品43の分離線から90°ないし120°の位置に配置された4つの吸引ポート47とを通って流れることができる。通気口46及び吸引ポート47は液体回収溝48内に配置されている。
【0019】
図11及び図12に示した密封クランプ51の第六の実施の形態は、第一の部品52と、第二の部品53とから成っている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は射出ポート55から上方にて0ないし2mmの位置に正確に配置される。密封流体は、第一の部品52の分離線から60°の位置に配置された射出ポート55を介して射出される。空気又は任意のその他の気体は、第一の部品52の分離線から90°の位置に配置された通気口56と、第二の部品53の分離線から120°の位置に配置された吸引ポート57とを通って流れることができる。通気口56及び吸引ポート57は液体回収溝58にある。
【0020】
図13及び図14に示した密封クランプ61の第七の実施の形態は、第一の部品62と、第二の部品63とから成っている。閉じた密封クランプにおいて、図面に図示しないカプセルのキャップの端縁は、密封クランプ61の液体射出溝69の底部70にある。密封流体は、第一の部品62の分離線から135°の位置に、また第二の部品63の分離線から135°の位置に配置された2つの射出ポート65を介して射出される。双方の射出ポート65は液体射出溝69内に入る。空気又は任意のその他の気体は、第一の部品62と第二の部品63との分離線から150°の位置に配置された2つの通気口66と、第一の部品62と第二の部品63との分離線から30°ないし600°の位置に配置された4つの吸引ポート67とを通って流れることができる。通気口66及び吸引ポート67は液体回収溝68内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】開放した位置にある密封クランプの第一の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】閉じた図1の密封クランプを示す断面図である。
【図3】開放した位置にある密封クランプの第二の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】閉じた図3の密封クランプを示す断面図である。
【図5】開放した位置にある密封クランプの第三の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】閉じた図5の密封クランプを示す断面図である。
【図7】開放した位置にある密封クランプの第四の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】閉じた図7の密封クランプを示す断面図である。
【図9】開放した位置にある密封クランプの第五の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】閉じた図9の密封クランプを示す断面図である。
【図11】開放した位置にある密封クランプの第六の実施の形態を示す斜視図である。
【図12】閉じた図11の密封クランプを示す断面図である。
【図13】開放した位置にある密封クランプの第七の実施の形態を示す斜視図である。
【図14】閉じた図13の密封クランプを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子式に接続されたとき、重なり合う同軸状の本体部材を有する硬い外皮のカプセルを密封する方法において、カプセルを正確で且つ直立の位置に保持するステップと、
既知の量の密封流体を本体部材の重なり合う部分内に射出するステップと、
カプセルを解放するステップとを備える、カプセルを密封する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、余剰な密封流体は、カプセル外皮の外部から除去されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、余剰な密封流体は、カプセルを直立の位置に保持するクランプから除去されることを特徴とする、方法。
【請求項4】
入れ子式に接続されたとき、重なり合う同軸状の本体部材を有する硬い外皮のカプセルを密封する装置において、
カプセルを直立の位置に保持する密封クランプ(1、11、21、31、41、51、61)と、
密封流体をキャップと本体部材の重なり合う部分内に射出する手段(5、15、25、35、45、55、65)とを備える、カプセルを密封する装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、密封流体を射出する手段は、密封クランプ(1、11、21、31、41、51、61)における射出ポート(5、15、25、35、45、55、65)であることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、密封クランプは、液体回収溝(8、18、28、38、48、58、68)を有することを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、密封クランプは、通気口(6、16、26、36、46、56、66)と、吸引ポート(7、17、27、37、47、57、67)とを有することを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項4に記載の装置において、密封クランプは、液体射出溝(49、69)を有することを特徴とする、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−520616(P2006−520616A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500340(P2006−500340)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000862
【国際公開番号】WO2004/082563
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミティド ライアビリティー カンパニー (167)