説明

カプセル化された大豆エキストラクトおよびそれらの製造方法

オリゴ糖でカプセル化された大豆エキストラクトおよびカプセル化された大豆エキストラクトを製造する方法。その方法は、大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を一緒もして大豆エキストラクトをオリゴ糖によってカプセル化し, カプセル化された大豆エキストラクト溶液を沈殿させて不純物を含む沈降物を形成し, 遠心分離, イオン交換してイオン性成分を除きそして乾燥させることを含むのが普通である。その方法においてカプセル化された大豆エキストラクトは、ダイジン, グリシチン, ゲニスチン, ダイゼイン, グリシテインおよびゲニステインのような, イソフラボン誘導体を含み, これらをα-シクロデキストリン, β-シクロデキストリン, γ-シクロデキストリンまたはこれらのオリゴ糖の組合せによってカプセル化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴ糖でカプセル化された大豆エキストラクトに関する。本発明は、また、大豆エキストラクトをカプセル化する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
大豆は、イソフラボン、サポニン、フィトステロールおよび必須アミノ酸のような栄養上有用な成分を多く含有する食品である。イソフラボン誘導体のような大豆エキストラクトは、ヒトの食事に入れると、有利な生理的活性、例えばエストロゲン作用、酸化防止活性、および抗菌活性をもたらす。大豆エキストラクト、特にイソフラボンは、乳癌や前立腺癌のようなあるタイプの癌の可能な抑制剤と考えられる。イソフラボン誘導体は、卵巣摘除ラットにおける低カルシウム食による骨密度の低下を抑えることが報告されており、これよりイソフラボンは、骨粗しょう症を予防するかまたは抑制するのに有効であると考えることができる。大豆エキストラクトは、また、免疫機能を増進させることもできそしてヒトの食事に組み入れると、コレステロールレベルを低下させることが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書中に記載する全ての部およびパーセンテージは、別に明記しない場合には、重量による重量に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カプセル化された大豆エキストラクトに関する。カプセル化された大豆エキストラクト は、 一種以上の大豆エキストラクトおよび一種以上のオリゴ糖を含む。大豆エキストラクトは、オリゴ糖でカプセル化される。カプセル化された大豆エキストラクトは、不純物をほとんど含まないかまたは何ら含まず, そして水のような溶媒への完全なまたは完全に近い溶解度を有する。
【0005】
本発明は、また、カプセル化された大豆エキストラクト , またはカプセル化された大豆エキストラクトの誘導体を製造する方法にも関する。その方法は、大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を製造しそして次いで、ホモミキサー, ホモジナイザーまたは撹拌器のようなカプセル化するための手段を用いて、大豆エキストラクトをオリゴ糖によってカプセル化することを含むのが普通である。その方法は、沈降, 遠心分離, イオン交換および噴霧乾燥機におけるような乾燥の工程を更に含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、カプセル化された大豆エキストラクトを製造するための本発明の実施態様の処理過程を示すフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、カプセル化された大豆エキストラクトおよび不純物が極少ないかまたは無いカプセル化された大豆エキストラクトを製造する方法に関する。大豆エキストラクト は、イソフラボン, 可溶性食物繊維, 糖, 脂肪, タンパク質等を含むのが普通である。大豆エキストラクト中の一次(primary)不純物は、タンパク質および脂肪等であり、これらは、大豆エキストラクトの水への不溶性に至る。本明細書中で用いる通りの "一次不純物"なる用語は、タンパク質, 脂肪 等を言い, そして"不純物"なる用語は、一次不純物ならびにイソフラボンおよび/またはイソフラボン誘導体でない他の物質を含む。原料大豆エキストラクトは、一次不純物を約10%より多くを含むことになる。例えば, 処理する前の大豆エキストラクトは、タンパク質を約 9%および脂肪を約 3%含んでよい。本明細書中で検討する方法によって大豆エキストラクトをカプセル化した後に、カプセル化された大豆エキストラクトが含むことになる一次不純物は、約 1.0%より少なく, 例えば約 0.7%より少ない。カプセル化された大豆エキストラクトは、一次不純物を約0.1%〜約1.0%、例えば約0.1%〜約 0.7%含んでよい。カプセル化された大豆エキストラクトは、タンパク質を約0.1%〜約0.9%および/または脂肪を約0.1%〜約 0.9%含んでよい。本明細書中に記載する方法によって製造したカプセル化された大豆エキストラクトは、約1%の溶液に基づいて水に約 99%〜100%のような完全なまたは完全に近い水への溶解度を有しそしてこれは, 少なくとも一部分において, 本明細書中に記載する方法によって製造したカプセル化された生成物中の低いレベルの不純物, 特に一次不純物からの結果であると確信する。
【0008】
好適な大豆エキストラクトは、イソフラボン, 特にイソフラボン誘導体, 例えば、ダイジン, グリシチン, ゲニスチン, ダイゼイン, グリシテイン, ゲニステインおよびそれらの組合せからなる群より選ぶものである。他の大豆エキストラクトは、本発明の範囲内である。大豆エキストラクト, すなわち,イソフラボン誘導体のようなイソフラボンを一種以上のオリゴ糖によってカプセル化する。カプセル化された大豆エキストラクトは、噴霧乾燥された形態であるのが好ましい。噴霧乾燥されたカプセル化された大豆エキストラクトは、栄養補給剤としてまたは本発明の使用の内の2〜3例を挙げると、食料品, 飲料, 化粧組成物もしくは医薬組成物中の成分として使用してよい。特に、カプセル化された大豆エキストラクトは、ソフトドリンク, 紅茶, ジュース, 飲料, コーヒー, 調味料, 菓子, 焼いた食品, アルコール性飲料, ガム, チョコレート, 健康食品, 酪農製品, ソース, シリアル, 化粧品等の成分にすることができる。
【0009】
オリゴ糖は、同一でもまたは異なってもよい単糖類単位で構成されている炭水化物である。種々のオリゴ糖を本発明において使用してよい。しかし, オリゴ糖は、一種以上の環状オリゴ糖, 例えば、α-シクロデキストリン, β-シクロデキストリン, γ-シクロデキストリンおよびそれらの組合せからなる群より選ぶシクロデキストリンのようなシクロデキストリンであるのが好ましい。
【0010】
カプセル化された大豆エキストラクトを製造する方法は、一種以上の大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒を含む大豆エキストラクト溶液を準備し、一種以上のオリゴ糖およびオリゴ糖溶媒を含むオリゴ糖溶液を準備し、大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を組み合わせて大豆エキストラクトをオリゴ糖によってカプセル化し, カプセル化された大豆エキストラクト溶液を沈降させて不純物を含む沈降物を形成し, 遠心分離, イオン交換して分離した大豆エキストラクトから更なる不純物を除きそして乾燥させることの工程を含むのが普通である。その方法は、不純物をほとんど含まないかまたは何ら含まず, そして水への完全な溶解度を有するβ-シクロデキストリンによってカプセル化されたイソフラボン誘導体のような、オリゴ糖によってカプセル化された大豆エキストラクトを生じる。本発明の実施態様に従うカプセル化された大豆エキストラクトを製造する一般的なプロセスを図1に記載する。
【0011】
カプセル化された大豆エキストラクトを製造する好適なプロセスでは、イソフラボンまたはイソフラボン誘導体のような一種以上の大豆エキストラクトを, アルコールのような大豆エキストラクト溶媒と組み合わせることによって, 大豆エキストラクト溶液を形成する。本発明において有用な大豆エキストラクト溶媒は、水, エタノール, メチルアルコール, アセトン, エーテル, イソプロピルアルコール, ヘキサン, 二酸化炭素およびそれらの組合せからなる群より選ぶものを含む。エタノール およびエタノール水溶液が好適である。大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒は、大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒を十分に混合する程の時間周囲温度で混合することができる。しかし, 大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒は、温度約50°C〜約90°Cのような、約30°C〜約105°Cで混合するのが好ましい。大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒は、慣用のミキサーまたは撹拌器で混合することができる。大豆エキストラクト溶液は、一次不純物を含む, 不純物を含む, 不溶性物質を含む。しかし、一次不純物, すなわち、脂肪およびタンパク質を含む, 不純物の内の幾種かは、大豆エキストラクト物質と共に溶液に入る。不溶性物質は、溶液から不溶性物質を分離する分離するための手段によって, 大豆エキストラクト溶液から分離する。そのような手段の例は、遠心処理および濾過である。大豆エキストラクト溶液は、大豆エキストラクト遠心工程において、慣用の遠心装置を使用して遠心分離して大豆エキストラクト溶液から不溶性物質を分離しそして除く。本発明の実施態様では, 大豆エキストラクト溶液を約2,000 rpm〜約18,000 rpmのような、約500 rpm〜約22,500 rpmで遠心分離する。
【0012】
オリゴ糖溶液は、また、そのプロセスのために形成し、そして大豆エキストラクト溶液の調製から切り離して調製するのが好ましい。α-シクロデキストリン, β-シクロデキストリン, γ-シクロデキストリンおよびそれらの組合せからなる群より選ぶシクロデキストリンのようなオリゴ糖の一種以上を、水のようなオリゴ糖溶媒と、必要に応じてアルカリ, 例えば、水酸化カリウム, 水酸化ナトリウム, 水酸化マグネシウム, 酸化カルシウム, 酸化亜鉛, 酸化アルミニウム, 重炭酸ナトリウム, 酸化マグネシウムおよびそれらの組合せからなる群より選ぶアルカリの存在において混合する。オリゴ糖、溶媒および必要に応じてのアルカリを、慣用のミキサーまたは撹拌器において混合することができる。本発明の実施態様では, オリゴ糖溶液は、オリゴ糖および必要に応じてのアルカリを、固形分が約50°C〜約100°Cのような、約30°C〜約115°Cのような溶媒に十分に溶解するような温度の溶媒中で組み合わせそして混合することによって調製する。
【0013】
大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を、次いで、イソフラボンまたはイソフラボン誘導体のような,大豆エキストラクトが, オリゴ糖によってカプセル化されるようになるようにカプセル化するための手段において一緒にする。本発明の実施態様では、 カプセル化を、磁気撹拌器, かき混ぜ機, ミキサー, プロペラ, 羽根車または他の混合機器を含む容器のような、撹拌器中で撹拌下で行う。カプセル化するための手段は、また、ホモミキサーであってもまたはホモジナイザーであってもよい。大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液は、温度約50°C〜約105°Cのような, 約40°C〜約130°C1において, 約1 ,000回転/分 ("rpm")〜約10,000 rpmのような, 約100 rpm〜約 25,000 rpmで、約pH6〜約pH10のような, 約pH4〜約pH12で, 約10分〜約3時間のような, 約1分〜約10 時間のような, 期間の間一緒にすることができる。プロセスにおけるこの工程は、カプセル化された大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶液を調製する間に大豆エキストラクトから大豆エキストラクト溶液中に溶出した、一次不純物, すなわち、タンパク質および脂肪等, を含む不純物を含むカプセル化された大豆エキストラクト混合物を生じる。
【0014】
カプセル化が完成した後に、必要に応じて酸をカプセル化された大豆混合物に加えて混合物のpHを調整しそしてカプセル化された大豆エキストラクト混合物から、一次不純物を含む不純物を沈殿させる。本発明の実施態様では, pHを調整して約 5 以下にするのがよい。無機酸, 有機酸またはそれらの組合せを使用してよい。塩酸, リン酸, 硫酸, 硝酸, 炭酸, 酢酸, アスコルビン酸, クエン酸, フマル酸, 乳酸, リンゴ酸, 酒石酸およびそれらの組合せからなる群より選ぶ酸を使用してよい。例えば, 塩酸をカプセル化された大豆エキストラクト混合物に加えてよい。pH調整は、カプセル化するための手段においてカプセル化工程から得られるカプセル化された大豆エキストラクト混合物から、一次不純物を含む不純物の沈降物を形成する。次いで、カプセル化された大豆エキストラクト混合物を遠心分離するかまたは濾過することによって、沈降物を分離しそして除くことができる。例えば、沈殿された不純物は、カプセル化された大豆エキストラクト混合物を, 約1 ,000 rpm〜約17,500 rpmのような, 約500 rpm〜約25,000 rpmで遠心分離することによって、除くことができる。遠心分離した後に、カプセル化された大豆エキストラクト混合物を含む上部溶液が形成されそして一次不純物を含む不純物を含む, ペレットが底部に沈降物として形成されて除かれる。
【0015】
処理する間に, 特に、カプセル化された大豆エキストラクト混合物のpHを調整しそして沈殿された不純物を分離する間に, イオン性成分が発生され、これらは、最終生成物の味に影響を与え得る。 これらのイオン性成分を、カプセル化された大豆エキストラクト混合物からイオン交換によって除く。カプセル化された大豆エキストラクト混合物から沈降物を除いた後に、カプセル化された大豆エキストラクト混合物にアルカリを加えてpHを増大させそして次いで、イオン交換を行ってカプセル化された大豆エキストラクト混合物からイオン性成分を除く。本発明の実施態様では, アルカリを加えて、約 3.5のような, pH約3.1〜約 9のような, pHを約 3より高く増大させそして次いで、 イオン交換を温度約40°C〜約90°Cのような, 約30°C〜約110°Cで行う。イオン交換のためにpHを増大させのに加えるアルカリは、水酸化カリウム, 水酸化ナトリウム, 水酸化マグネシウム, 酸化カルシウム, 酸化亜鉛, 酸化アルミニウム, 重炭酸ナトリウム, 酸化マグネシウムおよびそれらの組合せからなる群より選ぶことができる。イオン交換は、 イオン交換樹脂または他の慣用の基材を使用して行うことができる。
【0016】
実施態様では, カチオン系交換樹脂, アニオン系交換樹脂またはそれらの組合せをイオン交換樹脂用に使用する。カチオン系交換樹脂の使用容積は, カプセル化された大豆エキストラクト混合物の容積に基づいて, 約1%〜約5%のような、約0.1%〜100%にすることができる。アニオン系交換樹脂の使用容積は, カプセル化された大豆エキストラクト混合物の容積に基づいて, 約2%〜約10%のような、約0.1%〜100%にすることができる。
【0017】
イオン交換は、カプセル化された大豆エキストラクト混合物を、カチオン系交換樹脂, アニオン系交換樹脂またはそれらの組合せを充填したイオン交換カラムを通して流すことによって、行うことができる。イオン交換カラム内のカプセル化された大豆エキストラクト混合物の流量は、約10 L/分〜約 50 L/分のような、約0.1 mL/分〜約1000 L/分であるのが普通である。
【0018】
更なる実施態様では, イオン交換樹脂, すなわち、カチオン系交換樹脂, アニオン系交換樹脂またはそれらの組合せは, イオン性化合物を除くために、カプセル化された大豆エキストラクト混合物をタンク (または貯蔵所)の中に加えそして攪拌することができる。イオン交換樹脂をタンク (または貯蔵所)の中に加えるならば, 攪拌される時間は、1分〜約10時間, 約 20分〜90分のような、約1分〜約10時間にすることができる。イオン性成分を有する樹脂を、次いで、更に遠心分離するかまたは濾過することによる等して、カプセル化された大豆エキストラクト混合物から分離することができる。
【0019】
イオン交換した後に, カプセル化された大豆エキストラクト混合物は、不純物または一次不純物をほとんど有しないかまたは何ら有しない溶解状態のカプセル化された大豆エキストラクトを含む。カプセル化された大豆エキストラクト混合物は、may 次いで、 be噴霧乾燥するかまたは凍結乾燥することによる等して、乾燥させて溶媒を除いてカプセル化されたイソフラボン誘導体のような、カプセル化された大豆エキストラクトを得ることができる。例えば, カプセル化された大豆エキストラクト混合物を、溶媒の除去を生じる任意の条件下で噴霧乾燥させて噴霧乾燥された粒状物質 を得ることができる。本発明の実施態様では, カプセル化された大豆エキストラクト混合物をイオン交換の温度あたりに維持しそして入口温度約160°Cのような、約105°C〜約250°Cおよび出口温度約85°Cのような、約60°C〜約110°Cを有する噴霧乾燥機を通して処理する。
【0020】
本発明は、カプセル化されたイソフラボンが、一次不純物をほとんど含まないかまたは何ら含まず, そして完全なまたは完全に近い水溶解度を有する、シクロデキストリンによりカプセル化されたイソフラボンを含む、一種以上のオリゴ糖によりカプセル化された一種以上の大豆エキストラクトを含む組成物に関する。例えば,一次不純物をほとんど含まないかまたは何ら含まず, そして完全なまたは完全に近い水溶解度を有するβ-シクロデキストリンによりカプセル化されたイソフラボン誘導体。実施態様では、本明細書中に記載する方法によって製造したカプセル化された大豆エキストラクトを含む、カプセル化された大豆エキストラクトは, シクロデキストリン, すなわち、β-シクロデキストリン, のようなオリゴ糖, イソフラボンおよびタンパク質約0.1%〜約0.7%、例えば約0.1%〜約0.9%および脂肪約0.1%〜約0.9%のような、一次不純物約0.1%〜約1.0%のような, 一次不純物約1%未満, 好ましくは約0.7%未満を含む。カプセル化された大豆エキストラクトは、水への溶解度が, 約1%の溶液に基づいて、約 99%〜100%である。
【0021】
本発明は、また、大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を形成しそしてカプセル化するための手段中で、大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を一緒にして大豆エキストラクトをオリゴ糖によってカプセル化する工程を含む、一種以上の大豆エキストラクトを一種以上のオリゴ糖によってカプセル化する方法にも関する。その方法は、沈降物を除き, イオン性成分を除きそして乾燥する更なる工程を含んでよい。本発明の態様は、大豆エキストラクト溶液およびシクロデキストリン溶液を形成しそしてカプセル化するための手段中で、大豆エキストラクト溶液およびシクロデキストリン溶液を一緒にして大豆エキストラクトのイソフラボンをシクロデキストリン中にカプセル化する工程を含む、イソフラボンをシクロデキストリンによってカプセル化する方法に関する。いずれの実施態様でも, 本発明は、カプセル化する手段が撹拌器である、 プロセスを包含する。
【実施例】
【0022】
シクロデキストリンによってカプセル化された噴霧乾燥されたイソフラボンを調製した。初めに, シクロデキストリン溶液および大豆エキストラクト溶液を作製した。水を100 g容器中に入れそして次いで、シクロデキストリンを10 gおよびNaOH を150 mg加えそして容器を加熱して60°C にしてシクロデキストリンおよびNaOHを水に溶解することによって、シクロデキストリン溶液を得た。エタノール (95% 溶液) 5 gおよび水5 gを容器中で一緒にすることによりエチルアルコール溶液を10 g形成し、次いで、加熱して50°Cにし、タンパク質含有率 8.9%乾燥重量基準および脂肪含有率3.1 %乾燥重量基準を有する, 大豆エキストラクトを1 g加え、50°Cの加熱下で5分間十分に混合しそして次いで、 混合物を12,000 rpmで遠心分離して不溶性成分を除き大豆エキストラクト溶液を得ることによって、大豆エキストラクト溶液を調製した。
【0023】
次いで、シクロデキストリン溶液および大豆エキストラクト溶液を撹拌器内で混合して大豆エキストラクトをシクロデキストリンによってカプセル化した。この工程を、撹拌器内で50°Cおよび500 rpmにおいてpH約5.5〜約9.5で2 時間行った。カプセル化した後に, 35% HCI溶液約1 ml をカプセル化された大豆エキストラクト混合物に加えてpHを調整して4.5 以下にすることによって不純物の沈降物を発生しそして2,000 rpmで遠心分離することによって、カプセル化された大豆エキストラクト混合物から沈降物を除いた。次に, NaOH 5 mgをカプセル化された大豆エキストラクト混合物に加えてpHを増大させて4より高くしそしてイオン交換プロセスを40°C〜75°Cで使用することによって、イオン性成分を除いた。
【0024】
イオン交換した後に, カプセル化された大豆エキストラクト混合物は、シクロデキストリンによってカプセル化されたイソフラボンの溶液, すなわち, イソフラボン誘導体を含み, 次いで、 これを噴霧乾燥させてシクロデキストリンによってカプセル化されたイソフラボンの粒状物質, すなわち, イソフラボン誘導体を形成する。シクロデキストリンによってカプセル化されたイソフラボンの溶液を50°Cに維持しそして入口温度 160°C および出口温度 85°Cを有する噴霧乾燥機において乾燥させる。最終生成物の分析は、タンパク質含有率0.6%乾燥重量基準および脂肪含有率0.1 %乾燥重量基準を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程:
a) 一種以上の大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒を含む大豆エキストラクト溶液を準備し;
b) 一種以上のオリゴ糖およびオリゴ糖溶媒を含むオリゴ糖溶液を準備し;
c) 大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液をカプセル化するための手段内で一緒にして大豆エキストラクトをオリゴ糖によってカプセル化し, カプセル化された大豆エキストラクト混合物を形成し;
d)カプセル化された大豆エキストラクト混合物から不純物を沈殿させ;
e)沈殿された不純物をカプセル化された大豆エキストラクト混合物から分離し;
f)カプセル化された大豆エキストラクト混合物にアルカリを加えてpHを増大させそして次いで、イオン交換を行ってカプセル化された大豆エキストラクト混合物からイオン性成分を除き; および
g)カプセル化された大豆エキストラクト混合物を乾燥させる
を含む、カプセル化された大豆エキストラクトを製造する方法。
【請求項2】
一種以上の大豆エキストラクトを大豆エキストラクト溶媒と温度約30°C〜約105°Cで混合しそして次いで、混合された大豆エキストラクトおよび大豆エキストラクト溶媒を約500 rpm〜約22,500 rpmで遠心分離することによって、大豆エキストラクト溶液を得る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
大豆エキストラクト溶媒を、水, エタノール, メチルアルコール, アセトン, エーテル, イソプロピルアルコール, ヘキサン, 二酸化炭素およびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項2記載の方法。
【請求項4】
一種以上のオリゴ糖を水と約30°C〜約115°Cで混合することによって、オリゴ糖溶液を得る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
アルカリをオリゴ糖溶液に加える、請求項4記載の方法。
【請求項6】
オリゴ糖溶液に加えるアルカリを、水酸化カリウム, 水酸化ナトリウム, 水酸化マグネシウム, 酸化カルシウム, 酸化亜鉛, 酸化アルミニウム, 重炭酸ナトリウム, 酸化マグネシウム, およびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項5記載の方法。
【請求項7】
大豆エキストラクトがイソフラボン誘導体である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
イソフラボン誘導体を、ダイジン, グリシチン, ゲニスチン, ダイゼイン, グリシテイン, ゲニステインおよびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項7記載の方法。
【請求項9】
オリゴ糖を、α-シクロデキストリン, β-シクロデキストリン, γ-シクロデキストリンおよびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項1記載の方法。
【請求項10】
大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を、約40°C〜約130°C、約100 rpm〜約25,000 rpmおよび 約pH 4〜約pH 12で一緒にする、請求項1記載の方法。
【請求項11】
大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を、約50°C〜約105°C、約1 ,000 rpm 〜約10,000 rpmおよび約pH 6〜約pH 10で混合することによって、一緒にする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
大豆エキストラクト溶液およびオリゴ糖溶液を、約1 分〜約10 時間の期間の間、一緒にする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
カプセル化するための手段を、ホモミキサー, ホモジナイザーおよび磁気撹拌器, かき混ぜ機, ミキサー, プロペラ, 羽根車または他の混合機器を含む容器からなる群より選ぶ、請求項1記載の方法。
【請求項14】
カプセル化された大豆エキストラクト混合物のpH を、工程 d)において調整して約5 以下にする、請求項1記載の方法。
【請求項15】
無機酸, 有機酸およびそれらの組合せからなる群より選ぶ酸を加えてpHを調整する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
酸を、塩酸, リン酸, 硫酸, 硝酸, 炭酸, 酢酸, アスコルビン酸, クエン酸, フマル酸, 乳酸, リンゴ酸, 酒石酸およびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項14記載の方法。
【請求項17】
無機酸が塩酸である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
カプセル化された大豆エキストラクト混合物を約500 rpm〜約25,000 rpmで遠心分離する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
カプセル化された大豆エキストラクト混合物を約1,000 rpm〜約17,500 rpmで遠心分離する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
イオン交換を約3より高いpHおよび温度約30°C〜約110°Cで行う、請求項1記載の方法。
【請求項21】
pHが約3.1〜約9.0である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
温度が約40°C〜約 90°Cである、請求項20記載の方法。
【請求項23】
イオン交換を、カチオン系交換樹脂, アニオン系交換樹脂およびそれらの組合せからなる群より選ぶ交換樹脂を充填したイオン交換カラムを通してカプセル化された大豆エキストラクト混合物を流すことによって、行う、請求項1記載の方法。
【請求項24】
イオン交換カラム内のカプセル化された大豆エキストラクト混合物の流量が、約0.1 mL/分〜約1000 L/分である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
流量が約10 L/分〜約 50 L/分である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
イオン交換が、イオン交換樹脂をカプセル化された大豆エキストラクト混合物に加え, カプセル化された大豆エキストラクト混合物およびイオン交換樹脂を約1 分〜約10 時間攪拌し てイオン性成分を形成しそしてカプセル化された大豆エキストラクト混合物からイオン性成分を分離することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
カプセル化された大豆エキストラクト混合物およびイオン交換樹脂を約20 分〜90分間攪拌する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
大豆エキストラクト混合物に加えてpHを増大させるアルカリを、水酸化カリウム, 水酸化ナトリウム, 酸化カルシウム, 酸化亜鉛, 酸化アルミニウム, 重炭酸ナトリウム, 酸化マグネシウムおよびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項1記載の方法。
【請求項29】
アルカリが水酸化ナトリウムである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
乾燥を、入口温度約105°C〜約250°Cおよび出口温度約60°C〜約110°Cを有する噴霧乾燥機において行う、請求項1記載の方法。
【請求項31】
請求項1記載の方法によって造られたカプセル化された大豆エキストラクト。
【請求項32】
カプセル化された物質が、一次不純物を約 1 %未満含みおよび約1%の溶液に基づいて約 99%〜100%の水への溶解度を有する、オリゴ糖によりカプセル化された一種以上の大豆エキストラクトを含むカプセル化された物質。
【請求項33】
大豆エキストラクトがイソフラボン誘導体である、請求項32記載のカプセル化された物質。
【請求項34】
イソフラボン誘導体 を、ダイジン, グリシチン, ゲニスチン, ダイゼイン, グリシテイン, ゲニステインおよびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項33記載のカプセル化された物質。
【請求項35】
オリゴ糖を、α-シクロデキストリン, β-シクロデキストリン, γ-シクロデキストリンおよびそれらの組合せからなる群より選ぶ、請求項32記載のカプセル化された物質。
【請求項36】
一次不純物を約 0.7%未満含む、請求項32記載のカプセル化された物質。
【請求項37】
一次不純物の量が約0.1%〜約1.0%である、請求項32記載のカプセル化された物質。
【請求項38】
一次不純物が、タンパク質を約0.1%〜約0.9%および脂肪を約 0.1 %〜約 0.9%含む、請求項37記載のカプセル化された物質。

【図1】
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【公表番号】特表2010−508820(P2010−508820A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535464(P2009−535464)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/083323
【国際公開番号】WO2008/057934
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(598083717)コーン・プロダクツ・インターナショナル・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】