説明

カムアセンブリ部品および編み機

【課題】多数の異なる編み糸の特性に対応し、より難しい条件下であっても、スライダ針による編成プロセスが確実に進行することができる、カムアセンブリを提供する。
【解決手段】丸編み機または平編み機におけるニードル・カムアセンブリが提供され、ニードル・カムアセンブリにより、少なくとも1つのカムアセンブリ部品22を少なくとも1つの他のカムアセンブリ部品に対して調整可能である。その結果、スライダ針のフックの内部空間の閉鎖および開放のタイミングを、スライダ針の引き込みタイミングに対して調整でき、必要に応じて設定できる。この方式を利用して、編み物製品の品質と、スライダ針を装着している編み機の動作安全性とを増すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は編み機用のカムアセンブリ部品およびスライダ針を備える編み機に関する。
【背景技術】
【0002】
編み機には、フックの近くで自由に前後回転できるラッチを備えるラッチタイプの針がしばしば装着される。ラッチの運動は、例えば針の運動およびラッチ上の糸の作用によって生じる。
【0003】
さらに、スライダ針は、閉鎖を制御するためにフックの代わりにスライダを備えることが知られていた。このスライダはフックに向かって針本体と平行に、針本体から離れるように運動して、フックの内部空間を閉鎖または空にする。スライダの運動、ならびに針の運動は、いわゆるカムアセンブリ内の案内路によって制御される。案内路の案内表面の形状、具体的には案内路の案内表面の傾斜(ニードル・カムアセンブリの相対運動に関連する)は、針本体またはスライダの縦方向の移動を発生させる。これらの運動は、1つまたは複数のカムアセンブリ内のガイドカムの適切な構成によって制御され、それにより、1つの案内曲線が針本体の末端部に当接し、もう1つの案内曲線がスライダの末端部に当接する。
【0004】
編み物製品を編むとき、針は地糸と共にもう1つの糸を捕捉し、編まなければならない。例えば、地糸は綿から成り、もう1つの糸は、例えばエラステインなどの弾性材料から成る。このようにすれば、フックでピックアップされた両方の糸がフックの内部空間に適時に確実に封入され、その空間から再び外部に出ることができないことが保証される。
【0005】
これを達成するために、独国特許出願公開第4115198号はフックの内部空間に面するスライダ表面の特殊な実施形態を提案している。
【0006】
スライダ針が製造されるとき、当該スライダ針が現場において実際にどのような編み糸および材料に対して使用されるかを常に予測できるとは限らない。多数の異なる編み糸の特性に対応する提供できること、またはより難しい条件下であっても、スライダ針による編成プロセスがスライダ針を確実に進行することを保証できる、すなわち、例えば編み物製品の生産を確実に進行することを保証できることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第4115198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この点を考慮して、本発明の目的は編み機におけるスライダ針の使用を改善するオプションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は請求項1によるカムアセンブリ部品、あるいは請求項7による編み機により達成される。
【0010】
本発明によるカムアセンブリ部品は、スライダ針の末端部を制御するように配置される。好ましくは、末端部はスライダ末端部である。スライダ末端部はスライダの運動を制御する。あるいは、末端部は針の運動を制御する針末端部であってもよい。本発明によるカムアセンブリ部品は、調整可能な固定手段を備えるか、またはカムアセンブリ部品の位置を1つの調整方向に調整できる調整手段に連結される。好ましくは、調整方向は針の縦方向に対して横方向であり、したがって、スライダの縦方向に対して横方向に向いている。好ましくは、この横方向は、針カムと針ベッドとの間の相対運動の方向に一致する。
【0011】
好ましくは、編み機のカムアセンブリはスライダを制御するためのカムアセンブリ部品と、針の運動を制御するための追加のカムアセンブリ部品とを備える。2つのカムアセンブリ部品のうちの少なくとも1つが調整可能な固定手段を備えているので、上記2つのカムアセンブリ部品は上述の調整方向に相互に調整可能である。この結果、スライダを閉鎖するタイミングを精密に微調整できる。調整は種々な糸特性、糸太さ、編成状況、クーリエリング(couliering)設定および動作速度に対して可能である。
【0012】
カムアセンブリ部品は、少なくとも1つの案内路(好ましくは、スライダまたは針の末端部に対して1つだけの案内路)を有するベース本体を備える。案内路は円形、直線、アーチ形、上昇部分または下降部分を含んでもよい。これらの用語は編み機のカムアセンブリと針ベッドとの間の相対運動の方向に関係する。好ましくは、針またはスライダの前後運動を制御するために、1つのカムアセンブリ部品は少なくとも1つの上昇部分と1つの下降部分とを有する。好ましくは、カムアセンブリ部品の案内路はスライダまたは針の前後運動だけを含む。
【0013】
カムアセンブリ部品を調整方向に調整するために、固定手段は調整方向に延びる長孔であってもよい。長孔を通って突き出るネジを使用してカムアセンブリ部品を保持体に固定する。ネジがわずかに緩むと、カムアセンブリ部品は調整方向および反対方向に動くことができる。この実施形態を考えると、実際には、カムアセンブリ部品の一端に、例えば2つの反対方向に収束する表面によって区画された凹部を設け、他端にそのような凹部に遊びをもって嵌まり込む突出部を設けてもよい。これに関しては、「端部」は調整方向に向く、およびその方向から離れる方向に向く、カムアセンブリ部品の端面を意味すると理解される。上記方式の結果として、隣接カムアセンブリ部品は相互に係合し、その結果、針末端部が、1つのカムアセンブリ部品から隣のカムアセンブリ部品に移動するとき、基本的に円滑な移動になり、すなわち個々のカムアセンブリ部品の調整とは無関係である。この調整は隣接カムアセンブリ部品の相互の距離によって影響を受ける。
【0014】
丸編み機の場合、具体的には、調整用に意図されたカムアセンブリ部品を、例えば、針ベッドによって画定される回転軸に対して回転可能なように構成された、共通の保持体上に配置することが実際的に可能である。針ベッドは編みシリンダまたはダイアルであってもよく、これらは回転軸周りで回転するように駆動される。ニードル・カムアセンブリに対するスライダ・カムアセンブリの調整は回転軸周りの最小回転調整によって達成される。この結果として、スライダおよび針本体の突出と引き込みとの間のタイミングが変化する。全てのカムアセンブリ部品によって共有される環状保持体上にスライダ・カムアセンブリを配置することにより、保持体の適切な位置合わせによって支持される全てのカムアセンブリ部品の調整が簡単になる。この場合、ニードル・カムアセンブリおよびスライダ・カムアセンブリは、編み機が動作中に、動かないように配置される。
【0015】
あるいは、編み機は平編み機であってもよい。この場合、針ベッドは回転軸周りで曲がっておらず、直線であり、動かないように配置される。編成カムアセンブリの案内路(この場合、運動可能に支持されている)は直線路である。編成カムアセンブリはスライダ針に対して横方向に前後に動くことにより、スライダ針を連続で突出および引き込みさせ、また同時にスライダを制御する。ニードル・カムアセンブリは編み針に対する調整可能なカムアセンブリ部品、および/またはスライダに対する調整可能なカムアセンブリ部品を備える。他のカムアセンブリ部品に対する1つのカムアセンブリ部品の運動方向、すなわち針に対して横方向における相対的調整は、具体的には(上述のように)スライダ針を閉鎖するための時間を変化させ、これによりスライダ針の運動経路を最適化できる。調整方向は針の縦方向に対して直角または鋭角であってもよい。スライダ針は平編み機のカムアセンブリの案内路を通って交互方向に運動する。したがって、カム調整は編成作業中の可動台の運動方向に応じて可能である。
【0016】
本発明の有利な実施形態の更なる詳細は、図面、説明、または特許請求の範囲から明らかである。説明は本発明の基本的態様および多様な状態に限定される。図面は補足と見なされるべきである。これらの説明および図面は更なる詳細を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】丸編み機の概略図である。
【図2】平編み機の針ベッドおよびカムアセンブリの概略斜視図である。
【図3】図1の丸編み機の垂直断面の全体を示す詳細図である。
【図4】スライダ針の全体を示す図である。
【図5】図4のスライダ針に対するカムアセンブリの全体図である。
【図6】スライダ・カムアセンブリ調整デバイスの詳細平面図である。
【図7】第1調整位置にあるスライダ・カムアセンブリの全体図である。
【図8】第2調整位置にある、図7のスライダ・カムアセンブリの全体図である。
【図9】図7および8による、スライダ・カムアセンブリのカムアセンブリ部品の全体斜視図ある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、垂直回転軸2の周りに回転可能なように支持された編みシリンダ3を備える、丸編み機1を示す。編みシリンダは、編成カムアセンブリ4によって範囲を限定されており、概略図のみで示され、回転軸2と同心に配置される。編みシリンダ3は、相互に平行な針チャネルを有する環状針ベッドを形成する。編み機に保持されたフレーム5は、編み糸スプール6と、編みシリンダ3の針チャネル内に置かれたスライダ針に糸を供給するように配置された糸供給デバイス7とを支持する。詳細には示していない針チャネルは、回転軸2に平行な編みシリンダ3の外側周辺に対して垂直に配置される。
【0019】
対照的に、平編み機の針ベッドは直線的に延びている。図2は、そのような平編み機についての、直線的針ベッド8および可動編成カムアセンブリ9の概略図を示す。編成作業を実行するために、編成カムアセンブリ9は矢印10の方向に、スライダ針11に対して横方向に前後に運動する。これと対照的に、図1による丸編み機1を考えると、編みシリンダ3が矢印12に示すように回転軸2の周りを回転する間、編成カムアセンブリ4は非動作位置にある。
【0020】
図1のような丸編み機1ならびに図2のような平編み機を考えると、スライダ針11のそれぞれは、一端にフック14を備えたベース本体13を有する。スライダ15はベース本体13内またはその上に、針の縦方向にスライド可能に支持され、その場合、フック14に面するスライダの端部16は、(必要に応じて)フック14によって画定されるフックの内部空間を閉鎖または開放するために使用される。このようにすれば、スライダ15はフック14に向かう方向および離れる方向にスライドでき、それにより、端部16が、閉鎖された位置においてフック14の先端を覆い、クリーニング位置においてフック14の先端から取り外され、およびベース本体13の内部空間内に随意に引き込まれる。
【0021】
ベース本体13およびスライダ15の縦方向運動を達成するために、ベース本体は針末端部17を備え、スライダはスライダ末端部18を備える。ベース本体13およびスライダ15が平板金属部分として構成されている場合(この場合が好ましい)、針末端部17およびスライダ末端部18は、針の上側またはスライダの上側を越えて突き出る延在部である。針末端部17およびスライダ末端部18は編成カムアセンブリ4または9の案内路内を移動し、カムアセンブリは外側に向かって半径方向に見た概略図、すなわち案内路20、21に関する図で示されている。編成カムアセンブリ8および/または9は、スライダ・カムアセンブリ26およびニードル・カムアセンブリ31を備える。
【0022】
丸編み機を考えると、好ましくは、各案内路20、21は、一体となって編成カムアセンブリ4を形成する複数のカムアセンブリ部品全体にわたって延びる。スライダ末端部18に対する案内路20は、ベース本体67内を延び、複数のカムアセンブリ部品22、23、24、25ならびに図示していないが追加のカムアセンブリ部品によって形成される。これら追加のカムアセンブリ部品は(丸編み機1の場合)編みシリンダ3に外接し、これらのカムアセンブリ部品によって形成されるリングとして相互に完成する。これらのカムアセンブリ部品22から25(ならびに、図示していないが、上記リングの追加のカム部品)は、スライダ・カムアセンブリ26を形成する。
【0023】
針末端部17に対する案内路21は、カムアセンブリ部品27、28、29、30(ならびに、図示していないが、追加のカムアセンブリ部品)のベース本体66内を延びる。カムアセンブリ部品では(丸編み機1の場合)図示したカムアセンブリ部品27から30はリングの方向に延び、このリングは、編みシリンダ3に外接し、また編みシリンダ3と同心であり、これと一体となってニードル・カムアセンブリ31を形成する。
【0024】
平編み機の場合、編成カムアセンブリ9は、それぞれ、1つだけのカムアセンブリ部品22(スライダ・カムアセンブリ部品)および27(ニードル・カムアセンブリ部品)を含むか、または随意に、相互に隣接して一列に配置された数個のカムアセンブリ部品22、23、24;27、28、29を含み、カムアセンブリ部品は案内路20、21を有する。
【0025】
図5では、矢印32はスライダ針11と編成カムアセンブリ4との間の相互運動を示す。編みシリンダ3の回転によって、スライダ針の末端部11は案内路20、21に沿って矢印32の方向に運動する。このようにすれば、末端部は直線路部分33、ならびに上昇部分34および下降部分35に従って運動する。
【0026】
図1による丸編み機を参照すると、編みシリンダ3は、特に図3からも明らかなように、編成カムアセンブリ4により囲まれている。編成カムアセンブリ4は環状保持体36上に置かれ、その保持体上にニードル・カムアセンブリ31のカムアセンブリ部品27から30が直接配置され、または挿入された中間保持体37を介して間接的に配置される。
【0027】
保持体36はその周辺全体に分散された複数の支持体38を有してもよく、上記支持体は、例えば、編みシリンダ3と同心に配置された環状保持体68を支持し、それにより、スライダ・カムアセンブリ26が固定手段によって環状保持体上に配置される。この場合、保持体68は2つの部品から成ってもよく、回転によって相互に対して調整できる2つのリング39、40を備えてもよい。リング39は支持体38によって支持され、これによりニードル・カムアセンブリ31に強固に連結される。リング40は、リング39に対して少なくとも最小限に回転でき、様々な回転位置にロックできる。説明のために、図6を参照する。図から明らかなように、同心入れ子状(nested)になったリング39、40は、例えば、リング39、40を相互に捩れのないようにして固定する調整機構の形で、固定手段によって相互に連結されてもよい。これを実現するために、リング40は、リングの上部平坦面から上方に延びる突出体42を備えてもよい。リング39は整列したボルト45、46を有するネジ付きブラケット43、44を備えてもよく、ボルト45、46がこのブラケットの間に突出体42をロックする。調整目的のために、ボルト45、46を調整することにより、リング39、40の微調整された相対的回転が可能になる。
【0028】
図3に示すように、リング40は、例えば個々のホルダまたは保持体47を用いて、スライダ・カムアセンブリ26を保持する。
【0029】
さらに、支持体38は、ホールディングダウン(holding−down)およびノックオーバ(knock−over)シンカ49の運動を制御するために配置される、全体に環状のシンカ・カムアセンブリ48を支持してもよい。これらはシンカリング50内に、丸編み機1の回転軸2に対して半径方向になるように配置される。シンカリングは、ホールディングダウンおよびノックオーバシンカ49を収容するための半径方向スリットを有し、編みシリンダ3の上端に捩れのないようにして連結される。
【0030】
これまで説明してきた丸編み機1は以下のように動作する。すなわち、動作中、編みシリンダ3は回転軸2周りに回転する。このようにすると、図5に示すように、スライダ針11はスライダ・カムアセンブリ26およびニードル・カムアセンブリ31の案内路20、21内を運動する。図から明らかなように、案内路20、21は相互にわずかに異なる。例えば、針本体13は、カムアセンブリ部品25の上昇部分34によるスライダ15に比べて、カムアセンブリ部品30の上昇部分34により、さらに外側まで駆動される。カムアセンブリ部品25および30は、カムアセンブリ部品の対を形成し、その対を通してスライダ針が同時に運動する。この結果として、上記針が外側に駆動されている間は、スライダ針11のフックの内部空間が開放される。2つのカムアセンブリ部品25および30の直線的および下降する案内路部分33、35により、フックの内部空間は閉鎖され、スライダ針11は引き込まれる。これは追加のカムアセンブリ部品対24、29、ならびに23、28および22、27に関しても同様である。
【0031】
フック14の内部空間の閉鎖および開放のタイミングと、スライダ針11の引き込みのタイミングとをより精密に調整するために、スライダ・カムアセンブリ26およびニードル・カムアセンブリ31を相互に調整することが好都合であり、これは図5の矢印51で示している。この調整は調整ボルト45、46を調整することにより達成されてもよい。
【0032】
また、調整は、ニードル・カムアセンブリ31およびスライダ・カムアセンブリ26が、全体としては調整されないが、個々のカムアセンブリ部品22、23、24では調整される場合でも、好都合である。これは図7および8に示す。この場合は、カムアセンブリ部品22および24は調整位置において変化しないことが示されているが、挿入されたカムアセンブリ部品23は、図7では右側に調整され、図8では左側に調整される。カムアセンブリ部品22から24を適切な保持体(例えばホルダ47)に固定するために、カムアセンブリ部品22から24は長孔52、53、54の形の固定手段を備える。ボルトは上記孔を通って延びており、それにより上記ボルトはそれぞれのカムアセンブリ部品22から24を所定の位置にロックできる。ボルトを緩めた後、各カムアセンブリ部品22から24を矢印51の方向に調整できる。矢印51の方向は矢印32の方向、すなわちスライダ針11と編成カムアセンブリ4との間の相対運動の方向に一致する。
【0033】
個々のカムアセンブリ部品22から24(ならびに、図7および8に示していない他の隣接するカムアセンブリ部品)が相互に調整されている場合、カムアセンブリ部品を、例えば以下に図9およびカムアセンブリ部品22を参照して説明するように、構成するのが好都合である。
【0034】
針が操作されるカムアセンブリ部品22の端部55は、案内路21に至る2つの収束面を備えた、好ましくは漏斗状の凹部56を有する。この結果、案内路21はその端部で漏斗状に広がる。対照的に、カムアセンブリ部品22の他端57はくちばし状の突出部58を備えてもよく、この突出部58は(遊びをもって)同様に構成されたカムアセンブリ部品の凹部56にはまり込む。したがって、図7または8によるカムアセンブリ部品22または23の調整位置に関係なく、スライダ末端部18が1つのカムアセンブリ部品から別のカムアセンブリ部品へ、円滑に、比較的衝撃なく移動することを保証する。
【0035】
個々のカムアセンブリ部品の個々の調整機能の特徴によって、各編成部位におけるスライダの閉鎖運動および針の引き込み運動のタイミング(すなわち、時間特定の微調整)を個々に調整できる。したがって、タイミングは、平編み機における1つのカムアセンブリ部品を調整することによって調整できる。
【0036】
スライダ・カムアセンブリ26の少なくとも1つのカムアセンブリ部品を、ニードル・カムアセンブリ31の少なくとも1つのカムアセンブリ部品に対して相対的に調整する概念は、図2による平編み機上で実現できる。図2に示す編成カムアセンブリ9を考えると、スライダ末端部18および針末端部17に対して2つの案内路が設けられる。案内路20、21のうちの少なくとも1つは、調整可能なカムアセンブリ部品によって実現され、それにより調整方向が編成カムアセンブリ9の運動方向10と一致する。このようにすることにより、平編み機のスライダ針の閉鎖するタイミングを好都合に調整できる。
【0037】
ニードル・カムアセンブリは丸編み機または平編み機に提供され、上記ニードル・カムアセンブリにより、少なくとも1つのカムアセンブリ部品22を少なくとも1つの他のカムアセンブリ部品23に対して調整可能になる。この結果、スライダ針のフックの内部空間の閉鎖および開放のタイミングを、スライダ針の引き込みタイミングに対して調整でき、必要に応じて設定できる。この方式を利用して、編み物製品の品質とスライダ針を装着している編み機の動作安全性と増すことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 丸編み機
2 回転軸
3 編みシリンダ/針ベッド
4 編成カムアセンブリ
5 フレーム
6 編み糸スプール
7 糸供給デバイス
8 針ベッド
9 編成カムアセンブリ
10 移動方向
11 スライダ針
12 矢印
13 ベース本体
14 フック
15 スライダ
16 端部
17 針末端部
18 スライダ末端部
20 スライダ末端部18の案内路
21 針末端部17の案内路
22−25 カムアセンブリ部品
26 スライダ・カムアセンブリ
27−30 カムアセンブリ部品
31 ニードル・カムアセンブリ
32 矢印
33 直線案内路部分
34 上昇案内路部分
35 下降案内路部分
36 保持体
37 中間保持体
38 支持体
39、40 リング
41 調整機構
42 突出体
43、44 ネジ付きブラケット
45、46 調整ボルト
47 ホルダ
48 シンカ・カムアセンブリ
49 ホールディングダウンおよびノックオーバシンカ
50 シンカリング
51 矢印
52、53、54 長孔
55 端部
56 凹部
57 端部
58 突出部
66、67 27、22等のベース本体
68 保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み機(1)用のカムアセンブリ部品(22)であって、
スライダ針(11)の末端部(18)に対する案内路(20)を備えたベース本体(67)と、
前記ベース本体を保持体(68、47)に固定する固定手段(41、52)と、
を備え、
前記固定手段(41、52)は、前記カムアセンブリ部品(22)の位置を調整方向(51)に調整するために設けられた調整手段である、
カムアセンブリ部品。
【請求項2】
前記案内路(20)は前記ベース本体(67)上に直接設けられる、請求項1に記載のカムアセンブリ部品。
【請求項3】
前記案内路(20)は、前記調整方向に対して傾斜した少なくとも1つの部分(34、35)を備える、請求項1に記載のカムアセンブリ部品。
【請求項4】
前記調整方向(51)は、前記カムアセンブリ部品(22)と針ベッド(3、8)との間の相対運動方向(10、32)に一致し、前記針ベッド(3、8)の中に前記スライダ針(11)が支持され、
前記スライダ針のスライダ(15)は前記カムアセンブリ部品(22)によって制御される、請求項1に記載のカムアセンブリ部品。
【請求項5】
前記固定手段(41、52)は、前記調整方向(51)に延びる長孔(52)から成るか、または調整機構(41)から成る、請求項1に記載のカムアセンブリ部品。
【請求項6】
前記カムアセンブリ部品(22)は一端(55)に、前記案内路(20)が始まる凹部(56)を有し、他端に前記案内路(20)が終わる突出部(58)を有する、請求項1に記載のカムアセンブリ部品。
【請求項7】
スライダ針(11)を収容する針ベッド(3、8)と、
前記スライダ針(11)の末端部(17)に対する針案内路(21)と、前記スライダ針(11)のスライダ(15)の末端部(18)に対するスライダ案内路(20)とを有する編成カムアセンブリ(4、9)と、
を備えた編み機(1)であって、
前記編成カムアセンブリ(4、9)および前記針ベッド(3、8)は相互に駆動方向(32、51)に運動することにより前記スライダ針(11)および前記スライダ針(11)の針のスライダ(15)が編成プロセス中に運動でき、
前記針案内路(21)に対して前記スライダ案内路(20)の少なくとも一部分を、駆動方向(32、10)に調整する調整デバイス(41、52)を備える、
編み機(1)。
【請求項8】
前記案内路(20)の前記一部分が、請求項1と同様のカムアセンブリ部品(22)によって示される、請求項7に記載の編み機。
【請求項9】
前記編成カムアセンブリ(4、9)は、相互に駆動方向(32、10)に調整できる複数のカムアセンブリ部品(22、27または23、28)を備える、請求項8に記載の編み機。
【請求項10】
前記針ベッド(3)は回転軸(2)周りに回転できるように駆動される、請求項7に記載の編み機。
【請求項11】
前記編成カムアセンブリ(4)はニードル・カムアセンブリ(31)とスライダ・カムアセンブリ(26)を備える、請求項10に記載の編み機。
【請求項12】
前記スライダ・カムアセンブリ(26)は、回転方向(32)にまたはその反対方向に調整可能なようにニードル・カムアセンブリ(31)に保持される、請求項11に記載の編み機。
【請求項13】
前記スライダ・カムアセンブリ(26)は、一列に配置されてリングを形成する複数のカムアセンブリ部品(22、23、24、25)を備える、請求項11に記載の編み機。
【請求項14】
前記スライダ・カムアセンブリ(26)は一列に配置された複数のカムアセンブリ部品(22、23、24、25)を備え、前記カムアセンブリ部品間の相互距離を調整できる、請求項9に記載の編み機。
【請求項15】
前記針ベッド(3、8)は動かないように配置される、請求項7に記載の編み機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−159530(P2010−159530A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−281356(P2009−281356)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(304012943)グローツ−ベッカート コマンディトゲゼルシャフト (46)
【Fターム(参考)】