説明

カメラの取付構造

【課題】カメラを大型化することなくカメラの4面に共通の三脚アダプタを自在に取付可能なカメラの取付構造を提供すること。
【解決手段】三脚アダプタ7を取り付けるための取付穴を、カメラ本体1の底面1a、上面1b及び両側面1c,1c’の各取付面の隅部にそれぞれ4個設ける。各取付面において、カメラ本体1の前面側に設けた2個の取付穴2a(2b,2c,2c’)の間隔とカメラ本体1の後面側に設けた2個の取付穴の間隔3a(3b,3c,3c’)は、異なる2つの値W1,W2を組合せたものとする。そして、底面及1a及び上面1bに設けた取付穴(2a,3a),(2b,3b)の配置に対し、両側面1c,1c’に設けた取付穴(2c,3c),(2c,3c’)の配置を、カメラ本体1の前面側と後面側とで逆に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のカメラに三脚アダプタを自在に取り付けるためのカメラの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用の小型カメラは三脚に取り付けて使用されることが多いが、カメラを様々な姿勢で使用可能とするために、アダプタを介して三脚に取付ける構造となっている。
カメラを正立した状態で使用する場合は、カメラ本体の底面に三脚アダプタ(以下、簡単にアダプタとも呼ぶ)を取り付けて使用することになるので、カメラ本体の底面にはアダプタを固定する取付穴が設けられている。同様にアダプタにも取付穴を設け、両者は取付ネジで固定される。また、カメラを天吊り状態で使用する場合は、カメラ本体の上面にアダプタを取り付けて使用することになるので、カメラ本体の上面にもアダプタを固定する取付穴が設けられている。このように、カメラ本体の底面と上面のいずれにもアダプタを取り付け可能な構造とすることで、カメラの設置状態の自由度が増すことになる。その際、取付穴の位置は、カメラ本体の底面及び上面の4隅に設けることで、カメラを安定に支持することができる。また、取付穴の間隔は上面と底面とで同一寸法とすることで、共通のアダプタを用いることができる。
【0003】
一方、特許文献1には、カメラの姿勢を横位置(正立状態)と縦位置(90度回転状態)で使用可能とするためのカメラ用三脚補助具が開示されている。その構造は、カメラの三脚用ネジ穴によりカメラを取り付け可能な保持部材と、該保持部材をカメラのレンズ軸を中心として角度回動固定可能な角度回動機構を有するものである。この場合、角度回動機構によりカメラの位置(横位置、縦位置)の変更を容易に行うことができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−255584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年小型カメラの使用環境の多様化により、カメラとアダプタとの取付けを、カメラ本体の底面と上面だけでなく、両側面でも行えるような要求がなされている。これを実現するには、カメラ本体の4面に取付穴を設けた構造が必要となってくる。
【0006】
4面取付構造に対応するため、カメラ本体の側面にアダプタを固定する取付穴を追加する場合、取付穴が互いに干渉するという課題が生じる。すなわち、側面に設ける取付穴は底面または上面に設けた取付穴と近接して配置されるため、取付穴の穴底が互いに干渉し易くなる。その理由は、カメラ本体とアダプタとを安定に取りつけるため、取付穴の間隔を大きくして取付面の4隅に設けることが多いからである。この干渉を避けるには、取付穴の間隔をそのままとしてカメラ本体のサイズを大きくすればよいが、外形を大きくするとカメラの小型化に逆行してしまう。あるいは、取付穴の位置を変更して両側面における取付穴の間隔を狭くすると、取付面を切り換える場合に底面・上面と両側面での共通性がなくなり、2種類のアダプタを用意する必要が生じる。
【0007】
一方特許文献1の構造は、カメラの姿勢を横位置と縦位置の間で90度回転させることが可能であるが、取付面を底面から側面を経て上面まで変化させるためには180度に渡る回転幅が必要であり、これを満足する角度回動機構を実現するのは困難である。また、角度回動機構が複雑で大型化し、アダプタを含めたカメラシステムが大型化してしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、カメラを大型化することなくカメラの4面に共通の三脚アダプタを自在に取付可能なカメラの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カメラ本体に三脚アダプタを取り付けるためのカメラの取付構造であって、三脚アダプタを取り付けるための取付穴を、カメラ本体の底面、上面及び両側面の各取付面の隅部にそれぞれ4個設け、各取付面において、カメラ本体の前面側に設けた2個の取付穴の間隔とカメラ本体の後面側に設けた2個の取付穴の間隔は、異なる2つの値W1,W2を組合せたものであり、底面及び上面に設けた取付穴の配置に対し、両側面に設けた取付穴の配置を、カメラ本体の前面側と後面側とで逆に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラを大型化することなくカメラの4面に共通の三脚アダプタを自在に取付可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明によるカメラの取付構造の一実施例を示し、カメラ前方から見た斜視図。
【図1B】本発明によるカメラの取付構造の一実施例を示し、カメラ後方から見た斜視図。
【図2A】カメラ本体の取付穴の断面形状を示し、フロントフレーム2の断面図。
【図2B】カメラ本体の取付穴の断面形状を示し、リアフレーム3の断面図
【図3A】三脚アダプタ7の構造の一例を示し、三脚取付側から見た斜視図。
【図3B】三脚アダプタ7の構造の一例を示し、カメラ本体側から見た斜視図。
【図4】カメラ本体と三脚アダプタ7の取付方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1Aと図1Bは、本発明によるカメラの取付構造の一実施例を示し、図1Aはカメラ前方(及び上面側)から見た斜視図、図1Bはカメラ後方(及び底面側)から見た斜視図である。
【0013】
カメラの本体部(以下、カメラ本体)1は、フロントフレーム2とリアフレーム3を筐体とし、これに電子部品を収納してカバー4にて保護し、撮像用のレンズ5や信号ケーブル接続用のコネクタ6などを取り付けた外部構造となっている。そして、カメラ本体1の周囲には、後述する三脚アダプタ7を取り付けるため複数の取付穴を設けている。本実施例では、三脚アダプタ7の取付面として、カメラ本体1の底面1a、上面1bだけでなく、側面1cにも取付可能とし、各取付面の隅部にそれぞれ4個の取付穴(ネジ穴)を設けている。すなわち、三脚アダプタ7を底面1aに取り付けるための取付穴2a,3aと、上面1bに取り付けるための取付穴2b,3bと、側面1cに取り付けるための取付穴2c,3cを形成している。これらの取付穴のうち、前面側(レンズ5側)の取付穴2a,2b,2cはフロントフレーム2内に、また後面側(コネクタ6側)の取付穴3a,3b,3cはリアフレーム3内に形成している。なお、図では示していないが、側面1cの反対側の側面1c’にも同様に取付穴2c’,3c’を形成しているが、以下の説明では省略する。
【0014】
図2Aと図2Bは、カメラ本体の取付穴の断面形状を示し、図2Aは前面側(フロントフレーム2)に形成する取付穴の断面図で、図2Bは後面側(リアフレーム3)に形成する取付穴の断面図である。
【0015】
本実施例では、各取付面における取付穴の間隔が前面側と後面側とで異なる2つの値を組合せたものとした。さらに、取付面(底面・上面と側面)の位置によって、前面側と後面側における取付穴の配置が逆に構成されるようにした。具体的には、底面1aと上面1bに形成する取付穴の間隔は、前面側(2a,2b)では幅広サイズW1に、後面側(3a,3b)では幅狭サイズW2としている。一方側面1cに形成する取付穴の間隔は、前面側(2c,2c’)では幅狭サイズW2に、後面側(3c,3c’)では幅広サイズW1として、取付穴の配置を逆に構成している。
【0016】
この結果、各取付面における4個の取付穴の配置は、どの取付面においても2辺がW1とW2の長さを持つ台形の頂点位置となるので、共通の三脚アダプタを使用することができる。また、前面側あるいは後面側の断面における取付穴の間隔は、底面と側面、あるいは上面と側面の一方が幅狭W2になるので、フロントフレーム2内やリアフレーム3内で近接する取付穴、例えば2aと2c、3aと3cとが干渉することを回避できる。そして、取付穴の間隔の一方を幅狭W2とすることで、カメラ本体が大型化することを回避できる。
【0017】
本実施例では、底面1aと上面1bに形成する取付穴の間隔を、前面側(2a,2b)では幅広サイズW1に、後面側(3a,3b)では幅狭サイズW2としたが、逆に、前面側(2a,2b)で幅狭サイズW2に、後面側(3a,3b)で幅広サイズW1としても良いことは言うまでもない。
【0018】
図3Aと図3Bは、三脚アダプタ7の構造の一例を示し、図3Aは三脚取付側から見た斜視図、図3Bはカメラ本体側から見た斜視図である。
三脚アダプタ7には、カメラ本体1を取り付けるための4個の取付穴8f,8gを設けている。これらの取付穴8f,8gに取付ネジ9を挿入して、前記カメラ本体1に設けた取付穴2a〜2c、3a〜3cにネジ固定する。また三脚アダプタ7の中央には、図示しない三脚を取り付ける三脚取付穴10を有する。
【0019】
三脚アダプタ7に設ける取付穴8f,8gの間隔は、カメラ本体1に設けた取付穴2a〜2c、3a〜3cの間隔に等しくする。すなわち、一対の取付穴8fについては幅広サイズW1に等しく、他の一対の取付穴8gについては幅狭サイズW2に等しく形成する。これにより、1つの三脚アダプタ7でカメラ本体1のいずれの取付面にも取り付けることが可能になる。
【0020】
図4は、カメラ本体と三脚アダプタ7の取付方法を示す図である。カメラ本体1の取付面として、底面1a、上面1b、側面1c、側面1c’の4面に共通の三脚アダプタ7を取り付ける場合を示す(図では、上面1bと側面1c’はカメラ本体1の裏側に位置する)。底面1aと上面1bに取り付けるときの三脚アダプタ7の姿勢を、それぞれ7aと7bで示す。また、側面1cと側面1c’に取り付けるときの三脚アダプタ7の姿勢を、それぞれ7cと7c’で示す。カメラ本体1の底面1aや上面1bに設けた取付穴の間隔W1,W2に対し、側面1cと側面1c’に設けた取付穴の間隔は前面側と後面側で逆に構成されている。よって、三脚アダプタ7を側面1c,1c’に取り付ける場合は、三脚アダプタ7の前後方向を逆転させればよい。このようにして、カメラ本体の周囲の4面に共通の三脚アダプタ7を自在に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0021】
1…カメラ本体、
1a…底面、
1b…上面、
1c,1c’…側面、
2…フロントフレーム、
2a,2b,2c,2c’…取付穴、
3…リアフレーム、
3a,3b,3c,3c’…取付穴、
4…カバー、
5…レンズ、
6…コネクタ、
7…三脚アダプタ、
8,8f,8g…取付穴、
9…取付ネジ、
10…三脚取付穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に三脚アダプタを取り付けるためのカメラの取付構造であって、
前記三脚アダプタを取り付けるための取付穴を、前記カメラ本体の底面、上面及び両側面の各取付面の隅部にそれぞれ4個設け、
各取付面において、前記カメラ本体の前面側に設けた2個の取付穴の間隔と前記カメラ本体の後面側に設けた2個の取付穴の間隔は、異なる2つの値W1,W2を組合せたものであり、
底面及び上面に設けた前記取付穴の配置に対し、両側面に設けた前記取付穴の配置を、前記カメラ本体の前面側と後面側とで逆に構成したことを特徴とするカメラの取付構造。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53363(P2012−53363A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197218(P2010−197218)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】