カメラの可動ミラー衝撃吸収機構
【課題】可動ミラーに対する初動負荷を低減して連写性能向上に寄与するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構を提供する。
【解決手段】可動ミラーの回動に従動して動くミラー従動部材と、ミラー従動部材によって押圧されて可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材を備える。ミラー従動部材は、可動ミラーがファインダ導光位置方向に回動するときに押圧される第１の被押圧部と、退避位置方向に回動するときに押圧される第２の被押圧部を備えており、各被押圧部が押圧されることにより可動ミラーの回動に伴って移動される。第１の被押圧部と第２の被押圧部の間には、可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられており、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するとき、この空走間隔によってミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いてミラー従動部材を押圧移動させながら回動する。
【解決手段】可動ミラーの回動に従動して動くミラー従動部材と、ミラー従動部材によって押圧されて可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材を備える。ミラー従動部材は、可動ミラーがファインダ導光位置方向に回動するときに押圧される第１の被押圧部と、退避位置方向に回動するときに押圧される第２の被押圧部を備えており、各被押圧部が押圧されることにより可動ミラーの回動に伴って移動される。第１の被押圧部と第２の被押圧部の間には、可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられており、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するとき、この空走間隔によってミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いてミラー従動部材を押圧移動させながら回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、一眼レフカメラに設けられる可動ミラーの駆動装置に関し、特に可動ミラーの衝撃吸収機構に関する。
【背景技術】
【０００２】
一眼レフカメラの内部には、撮影光路上に挿入されて被写体光をファインダ光学系へ反射させるファインダ導光位置（ダウン位置）と、撮影光路から退避して被写体光をシャッタ側へ通過させる退避位置（アップ位置）に昇降回動可能な可動ミラー（クイックリターンミラー）が設けられている。可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置といった回動端に達したときの衝撃でバウンド（振動）すると、ファインダの観察像が安定せず観察性能に悪影響を及ぼす。また、可動ミラーを用いて測距用のセンサや測光用のセンサに被写体光を導く構造のカメラでは、可動ミラーがバウンドしている間は正確な測距や測光を行うことができず、連写性能が制限される。そのため、可動ミラーの回動時の衝撃を吸収してバウンドを抑制させる衝撃吸収機構が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００-１３１７５５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
可動ミラーのバウンドを抑制するには、可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置に達したときに反対方向（バウンド方向）の回動に対して負荷を与える部材を設ければよい。しかし、バウンド抑制用の部材から可動ミラーに及ぼされる負荷が大き過ぎると、可動ミラーの動作速度向上の妨げになるおそれがある。特に、可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置にある状態からの回動の初期段階（初動段階）は、回動抵抗が大きくなりがちであるため、できるだけ可動ミラーに対する負荷を小さくすることが望まれる。
【０００５】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、可動ミラーに対する初動負荷を低減して連写性能向上に寄与するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持されたカメラの可動ミラーの衝撃吸収機構に関するものであり、可動ミラーの回動に従動するミラー従動部材と、可動ミラーに従動するミラー従動部材によって押圧されて可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材を備えている。ミラー従動部材は、可動ミラーがファインダ導光位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第１の被押圧部と、可動ミラーが退避位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第２の被押圧部を備えており、各被押圧部が押圧されることにより可動ミラーの回動に伴って移動される。第１の被押圧部と第２の被押圧部の間には、可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられている。そして、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するとき、第１の被押圧部と第２の被押圧部の間の空走間隔によってミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いてミラー従動部材を押圧移動させながら回動する。
【０００７】
緩衝部材は、ミラー従動部材の移動軌跡上に進出する緩衝待機位置に付勢部材によって保持され、ミラー従動部材によって押圧されたときに付勢部材に抗して移動されることが好ましい。
【０００８】
可動ミラーを支持するミラーボックスに該可動ミラーの回動軌跡に沿うガイド孔を形成し、ミラー従動部材の第１の被押圧部と第２の被押圧部をそれぞれ、ガイド孔に摺動可能に挿通される突起として形成するとよい。この場合、可動ミラーは、第１の被押圧部と第２の被押圧部の間に位置して可動ミラーの回動に応じて第１の被押圧部と第２の被押圧部を押圧する押圧突起を備えるとよい。
【０００９】
緩衝部材として、可動ミラーがファインダ導光位置に位置するときにミラー従動部材の第１の当接部に当接する第１の緩衝部材と、可動ミラーが退避位置に位置するときにミラー従動部材の第２の当接部に当接する第２の緩衝部材を備えることにより、可動ミラーのファインダ導光位置と退避位置のいずれにおいてもミラーバウンドを抑えることができる。この場合、ミラー従動部材は、第１の当接部と第２の当接部をミラー従動部材の移動方向に離間させて接続する接続部を有し、第１の被押圧部と第２の被押圧部をそれぞれ第１の当接部と第２の当接部から突出形成する構成にするとよい。また、第１の緩衝部材と第２の緩衝部材を共通仕様の緩衝部材とすることが好ましい。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の可動ミラー衝撃吸収機構によれば、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するときに、所定の空走間隔を経た後にミラー従動部材を押圧し、ミラー従動部材を介して緩衝部材を押圧させるように構成したので、可動ミラーの回動の初期段階で緩衝部材による負荷が作用せず、連写性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明を適用した一眼レフカメラの光学系の概略を示す図である。
【図２】ミラーダウン状態でのミラーボックスの前方斜視図である。
【図３】ミラーアップ状態でのミラーボックスの前方斜視図である。
【図４】ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図５】ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図６】ミラーアップ状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図７】ミラーダウン状態でのミラー衝撃吸収機構の斜視図である。
【図８】ミラーアップ状態でのミラー衝撃吸収機構の斜視図である。
【図９】押さえ板を外してミラー衝撃吸収機構を露出させた状態のミラーボックスの左側面図である。
【図１０】ミラーダウン状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１１】可動ミラーがダウン位置からアップ位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１２】可動ミラーがダウン位置からアップ位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１３】ミラーアップ状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１４】可動ミラーがアップ位置からダウン位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１５】可動ミラーがアップ位置からダウン位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１６】ダウン吸収部材とアップ吸収部材を構成する共通仕様のスライド部材を表裏逆にして重ねた状態の図である。
【図１７】ミラー従動部材の単体形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
図１に示す一眼レフカメラ（以下、カメラ）１０は、カメラボディ１１の前面に交換式のレンズ鏡筒１２を着脱させるレンズマウント１３を有し、その内方にミラーボックス１４が設けられている。
【００１３】
ミラーボックス１４内には可動ミラー（クイックリターンミラー）１５が設けられる。可動ミラー１５は、ミラーシート１６上にメインミラー１５ａを固定的に支持し、ミラーシート１６の背面側にサブミラー１７を回動可能に支持した構造になっており、ミラーシート１６の両側に突出する一対のミラーシートヒンジ１６ｘがミラーボックス１４の両側壁に軸支されている。可動ミラー１５の後方にはフォーカルプレーンシャッタ（以下、シャッタ）１８が設けられ、シャッタ１８の後方にはイメージセンサ（撮像用受光媒体）１９が設けられている。なお、本実施形態のカメラ１０は、撮像用受光媒体にイメージセンサ１９を用いるデジタルカメラであるが、撮像用受光媒体として銀塩フィルムを用いるカメラに対しても本発明は適用が可能である。
【００１４】
可動ミラー１５は、ミラーシートヒンジ１６ｘを軸として、レンズ鏡筒１２内の撮影レンズ１２ａからイメージセンサ１９に至る撮影光路上に約４５度の角度で斜設されるダウン位置（ファインダ導光位置：図１の実線、図２、図４、図５、図１０）と、撮影光路から上方に退避したアップ位置（退避位置：図１の二点鎖線、図３、図６、図１３）の間で往復回動される。図４及び図６に示すように、可動ミラー１５を挟んで位置するミラーボックス１４の両側壁のうち一方の内面からダウン位置決めダボ２０が突出しており、このダウン位置決めダボ２０に対してミラーシート１６の一側部に設けたストッパ部１６ａ（図７、図８）を当接させることで、可動ミラー１５のダウン位置が定められる。ダウン位置決めダボ２０は、ミラーボックス１４に対する取付位置の微調整が可能である。また、ミラーボックス１４内には、可動ミラー１５をアップ位置に回動させたときミラーシート１６の上面が当接可能な上方ストッパ２１が設けられている。可動ミラー１５の上方には、ペンタプリズムや接眼レンズなどにより構成されるファインダ光学系２２が設けられている。
【００１５】
レンズマウント１３にレンズ鏡筒１２を装着した状態でレンズ鏡筒１２内の撮影レンズ１２ａを通してミラーボックス１４内に入射する被写体光は、可動ミラー１５がダウン位置にあるときには、可動ミラー１５のメインミラー１５ａにより反射されてファインダ光学系２２に入り、カメラボディ１１後面側のファインダ窓２２ａを通して被写体像を観察することができる。この状態では、ファインダ光学系２２を構成するペンタプリズムの後方に設けた測光ユニット２３による測光が可能である。また、可動ミラー１５のダウン位置では、サブミラー１７はミラーシート１６に対して斜め下方に向けて突出し、サブミラー１７によって被写体光の一部がミラーボックス１４の下方の測距ユニット２４に導かれ、被写体距離を検出することができる。一方、可動ミラー１５がアップ位置にあるときには、撮影レンズ１２ａを通してミラーボックス１４内に入射する被写体光は可動ミラー１５で反射されずにシャッタ１８側に進み、シャッタ１８を開くことでイメージセンサ１９の受光面上に光を入射させることができる。可動ミラー１５のアップ位置では、サブミラー１７はミラーシート１６の背面側に格納される。カメラボディ１１の後面に設けたＬＣＤモニタ２５には、イメージセンサ１９により得られる被写体の電子画像や、電子画像以外の各種の情報を表示することができる。
【００１６】
図３及び図５に示すように、ミラーボックス１４の一側部（前方から見て左側の側部）には、可動ミラー１５の昇降回動を行わせるミラー駆動機構３０が設けられている。ミラー駆動機構３０は、モータ３１と、モータ３１の駆動力を伝達する減速ギヤ列３２と、遊星ギヤ機構を介して減速ギヤ列３２からの回転駆動力が伝達されるカムギヤ３３と、カムギヤ３３によって回動位置が制御されるミラー駆動レバー３４を備えている。ミラー駆動レバー３４は、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と略平行な軸３４ｘを中心として往復回動可能にミラーボックス１４に支持されており、ミラーシート１６の側部に設けたミラーシートボス１６ｂを保持している。このミラー駆動レバー３４による保持部分がミラーシートボス１６ｂを下方に押圧することで可動ミラー１５をダウン位置に向けて回動させ、ミラーシートボス１６ｂを上方に押圧することで可動ミラー１５をアップ位置に向けて回動させる。ミラー駆動レバー３４は、可動ミラー１５をダウン位置へ押圧する方向へ回動付勢されており、カムギヤ３３が特定の回転位置にあるとき、該カムギヤ３３に形成したミラー制御カム（周面カム）によって、付勢力に抗してミラー駆動レバー３４がミラーアップ方向へ押圧回動される。詳しくは、カムギヤ３３は初期位置から一方向にのみ回転される一回転カムギヤであり、カムギヤ３３が初期位置にあるときには、該カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４を押圧せず、ミラー駆動レバー３４に作用する付勢力によって可動ミラー１５がダウン位置に保持されている。カムギヤ３３が初期位置から途中まで回転されると、カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４を押圧回動させ、ミラー駆動レバー３４が可動ミラー１５をアップ位置に回動させる。この途中位置からカムギヤ３３が初期位置に戻るまでの間に、カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４に対する押圧を解除して、可動ミラー１５がダウン位置に復帰される。
【００１７】
ミラーボックス１４の一側部にはさらに、シャッタ１８のチャージ動作を行わせるシャッタチャージレバー３５が備えられている。カムギヤ３３は、上述のミラー駆動カムに加えて、シャッタチャージレバー３５の動作を制御するシャッタチャージカムを有し、初期位置から一回転することでシャッタチャージレバー３５を往復回動させてシャッタチャージを行わせる。シャッタチャージ機構は本発明の特徴とは関係がないため、詳細な説明を省略する。
【００１８】
ミラーボックス１４の他側部（前方から見て右側の側部）には、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置に回動するときの衝撃を吸収して可動ミラー１５のバウンド（振動）を抑制させるミラー衝撃吸収機構４０が備えられている。ミラー衝撃吸収機構４０は、ダウン吸収部材（緩衝部材、第１の緩衝部材）４１、ダウン吸収ばね（付勢部材）４２、アップ吸収部材（緩衝部材、第２の緩衝部材）４３、アップ吸収ばね（付勢部材）４４及びミラー従動部材６１を備え、これらの各部材は、ミラーボックス１４の側部に固定される押さえ板４５（図４）によって脱落しないように保持されている。なお、図６と図９は押さえ板４５を取り外した状態を示している。
【００１９】
ダウン吸収部材４１は可動ミラー１５がダウン位置へ回動するときに衝撃吸収及びバウンド抑制を行い、アップ吸収部材４３は可動ミラー１５がダウン位置へ回動するときに衝撃吸収及びバウンド抑制を行う。ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３は共通仕様のスライド部材５０からなり、このスライド部材５０の表裏を逆にしてミラーボックス１４に取り付けることで使い分けられる。図１６に示すように、スライド部材５０は、一対の翼部５１、５２を中間橋絡部５３で橋絡した形状を有し、翼部５１と翼部５２にはそれぞれガイド孔５４、５５が形成されている。ガイド孔５４とガイド孔５５は平行な長孔である。中間橋絡部５３の一部にばね収納部５６が形成されている。ばね収納部５６内には一端が開放された円筒状の収納空間が形成され、この収納空間の内部にばね支持突起５７が形成されている。
【００２０】
スライド部材５０には、後述するミラーボックス１４への組み付け状態でミラーシートヒンジ１６ｘからの距離が遠くなる側の外縁部に、第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３が形成されている。以下の説明では、スライド部材５０をミラーボックス１４へ組み付けた状態でミラーシートヒンジ１６ｘから遠い側を外径側、近い側を内径側と呼ぶ。第１カム面Ｃ１は翼部５１の外径側縁部、第２カム面Ｃ２は翼部５２の外径側縁部、第３カム面Ｃ３は中間橋絡部５３の外径側縁部として形成されている。第３カム面Ｃ３は最も外径側に位置する面であり、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２はそれぞれ、第３カム面Ｃ３から離れるにつれて内径側に向かう傾斜成分を有する面である。さらに翼部５１の外径側縁部には、第１カム面Ｃ１から翼部５１の側面に至る領域に、第１カム面Ｃ１よりも内径方向へ向かう傾斜角が緩い緩斜面Ｋ１が形成されており、翼部５２の外径側縁部には、第２カム面Ｃ２から翼部５２の側面に至る領域に、第２カム面Ｃ２よりも内径方向へ向かう傾斜角が緩い緩斜面Ｋ２が形成されている。
【００２１】
カム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３などが形成されるスライド部材５０の外径側の縁部は、後述するダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３の直進移動方向と平行で幅方向の中心を通る仮想中心線Ｇ１（図１６）に関して非対称な形状を有する。２つのスライド部材５０の表裏を逆にして重ねた状態の図１６から分かるように、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２、緩斜面Ｋ１と緩斜面Ｋ２はそれぞれ非対称であり、第３カム面Ｃ３も仮想中心線Ｇ１を挟んだ両側領域が非対称になっている。第３カム面Ｃ３は、第１カム面Ｃ１との境界部分の方が、第２カム面Ｃ２との境界部分よりも僅かに外径側に突出しており、第１カム面Ｃ１側から第２カム面Ｃ２側に進むにつれて緩やかに内径側に接近する。第３カム面Ｃ３の一端部に連続する第２カム面Ｃ２は、第３カム面Ｃ３の他端部に連続する第１カム面Ｃ１よりも内径方向に長く形成されており、これに応じて緩斜面Ｋ２が緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置している。
【００２２】
ミラーボックス１４の側面には、可動ミラー１５の回動方向に沿って所定の間隔で４つのガイドピン１４ａ、１４ｂ、１４ｃ及び１４ｄが設けられている、４つのガイドピン１４ａ、１４ｂ、１４ｃ及び１４ｄはミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする径方向距離が等しい。また、可動ミラー１５の回動方向におけるガイドピン１４ａとガイドピン１４ｂの間隔と、ガイドピン１４ｃとガイドピン１４ｄの間隔が等しく、これらの対をなすガイドピンの間隔はスライド部材５０におけるガイド孔５４とガイド孔５５の間隔に対応している。ミラーボックス１４の側面にはさらに、ガイドピン１４ａとガイドピン１４ｂの間に位置するばね支持突起１４ｅと、ガイドピン１４ｃとガイドピン１４ｄの間に位置するばね支持突起１４ｆが設けられている。
【００２３】
ダウン吸収部材４１として用いられるスライド部材５０は、ミラーシートヒンジ１６ｘから遠い外径方向にカム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３が向くようにして、ガイドピン１４ａに対してガイド孔５４、ガイドピン１４ｂに対してガイド孔５５を挿通させて組み付けられる。アップ吸収部材４３として用いられるスライド部材５０は、ミラーシートヒンジ１６ｘから遠い外径方向にカム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３が向くようにして、ガイドピン１４ｃに対してガイド孔５５、ガイドピン１４ｄに対してガイド孔５４を挿通させて組み付けられる。つまり、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３は、共通仕様のスライド部材５０の表裏を逆にしてミラーボックス１４の側面に支持され、可動ミラー１５の回動方向に互いの翼部５２を対向させた配置となる。
【００２４】
ダウン吸収部材４１は、一対のガイド孔５４、５５で一対のガイドピン１４ａ、１４ｂの案内を受けることによって、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と直交する平面内で、該ミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする可動ミラー１５の回動半径方向に直進移動可能に支持されている。ダウン吸収部材４１の移動方向は、カメラ１０を水平に構えた状態で水平方向に対して斜め下方となっている。
【００２５】
ダウン吸収部材４１におけるばね収納部５６の収納空間内にダウン吸収ばね４２が挿入される。ばね収納部５６の収納空間は第３カム面Ｃ３と反対の内径側に開放されている。ダウン吸収ばね４２は圧縮ばねであり、一端部をばね収納部５６の収納空間の底面に当接させ、他端部を該収納空間の開口部側に露出させる状態で収納される。このダウン吸収ばね４２における露出側端部は、ダウン吸収部材４１をミラーボックス１４に支持させたとき、ばね支持突起１４ｅに当接する。ダウン吸収ばね４２は、ばね収納部５６の収納空間の内周面とばね支持突起５７によって座屈が防止され、軸線方向に伸縮可能である。図９ないし図１５に示すダウン吸収部材４１の組み付け状態でダウン吸収ばね４２は圧縮されており、復元力によってダウン吸収部材４１をミラーシートヒンジ１６ｘから離れる外径方向に移動付勢している。ダウン吸収ばね４２による付勢方向へのダウン吸収部材４１の移動は、ガイド孔５４、５５の一端部をガイドピン１４ａ、１４ｂに当接させることで規制される。この付勢方向への移動端がダウン吸収部材４１の緩衝待機位置である。
【００２６】
ダウン吸収部材４１と同様にアップ吸収部材４３は、一対のガイド孔５４、５５で一対のガイドピン１４ｄ、１４ｃの案内を受けることによって、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と直交する平面内で、該ミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする可動ミラー１５の回動半径方向に直進移動可能に支持されている。アップ吸収部材４３の移動方向は、カメラ１０を水平に構えた状態での水平方向よりやや上向きの方向である。
【００２７】
アップ吸収部材４３におけるばね収納部５６の収納空間内にアップ吸収ばね４４が挿入される。アップ吸収ばね４４はダウン吸収ばね４２と共通仕様の圧縮ばねであり、一端部をばね収納部５６の収納空間の底面に当接させ、他端部を該収納空間の開口部に露出させており、アップ吸収部材４３をミラーボックス１４に支持させたとき、このアップ吸収ばね４４の露出側端部がばね支持突起１４ｆに当接する。アップ吸収ばね４４は、ばね収納部５６の収納空間の内周面とばね支持突起５７によって座屈が防止され、軸線方向に伸縮可能である。図９ないし図１５に示すアップ吸収部材４３の組み付け状態でアップ吸収ばね４４は圧縮されており、復元力によってアップ吸収部材４３をミラーシートヒンジ１６ｘから離れる外径方向に移動付勢している。アップ吸収部材４３による付勢方向へのアップ吸収部材４３の移動は、ガイド孔５４、５５の一端部をガイドピン１４ｄ、１４ｃに当接させることで規制される。この付勢方向への移動端がアップ吸収部材４３の緩衝待機位置である。
【００２８】
図７及び図８に示すように、ミラーシート１６の先端部近傍の側部には押圧突起１６Ｔが突設されている。ミラーボックス１４の側面には、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置の間を回動するときの押圧突起１６Ｔの軌跡に沿う円弧状の貫通ガイド孔１４ｇが貫通形成されている。図９ないし図１５に示すように、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３がそれぞれの緩衝待機位置にあるとき、第３カム面Ｃ３が貫通ガイド孔１４ｇの内径側の面にほぼ重なる位置にある。
【００２９】
図１７に示すように、ミラー従動部材６１は、それぞれが円筒（円柱）状をなす当接部（第１の当接部）６２と当接部（第２の当接部）６３を緩い円弧状の接続部６４で接続して構成され、接続部６４の長手方向の中心を通る仮想中心線Ｇ２に関して略対称な形状になっている。２つの当接部６２、６３は同径の円筒状の外面形状を有し、接続部６４は当接部６２及び当接部６３の径よりも幅狭になっている。接続部６４はスライド部材５０の中間橋絡部５３の幅に対応する長さを有する。当接部６２と当接部６３からはそれぞれ被押圧突起（第１の被押圧部）６５と被押圧突起（第２の被押圧部）６６が突出している。被押圧突起６５と被押圧突起６６は同径の円筒（円柱）状部であり、図２、図３及び図５に示すように貫通ガイド孔１４ｇに挿通されてミラーボックス１４の内部に突出しており、貫通ガイド孔１４ｇに沿う方向で互いに離間している。被押圧突起６５と被押圧突起６６はそれぞれ貫通ガイド孔１４ｇの外径側と内径側の対をなす対向面の間にガタのない状態で摺動可能に挿入されており、この貫通ガイド孔１４ｇの一対の対向面によって被押圧突起６５と被押圧突起６６が案内を受けることによって、ミラー従動部材６１が貫通ガイド孔１４ｇに沿って移動可能となっている。すなわち、ミラーボックス１４に対してミラー従動部材６１は、可動ミラー１５が回動するときの押圧突起１６Ｔの移動軌跡に沿って移動可能に支持されている。被押圧突起６５と被押圧突起６６の間に押圧突起１６Ｔが位置しており、可動ミラー１５をダウン位置方向に回動させると押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接し、可動ミラー１５をアップ方向に回動させると押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接して、可動ミラー１５のそれぞれの回動方向の力をミラー従動部材６１に伝える。被押圧突起６５と被押圧突起６６の一方に対して押圧突起１６Ｔが当接する状態で、可動ミラー１５が所定量回動（空走）してから被押圧突起６５と被押圧突起６６の他方に当接するように被押圧突起６５と被押圧突起６６の間隔が設定されている。別言すれば、被押圧突起６５と被押圧突起６６の間に、可動ミラー１５の押圧突起１６Ｔを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられている。
【００３０】
図１０ないし図１５に示すように、ダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３がそれぞれの緩衝待機位置に保持される状態では、第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３が、ミラー従動部材６１の当接部６２、６３の移動軌跡上に位置しており、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置の間で回動すると、押圧突起１６Ｔにより被押圧突起６５、６６を押圧されたミラー従動部材６１の当接部６２、６３が第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３の位置を通過し、ダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３が緩衝待機位置からダウン吸収ばね４２、アップ吸収ばね４４の付勢力に抗して内径方向へ押圧される。
【００３１】
図１０以下を参照してミラー衝撃吸収機構４０の動作を説明する。図１０は可動ミラー１５がダウン位置にある状態を示している。このとき、ミラー駆動機構３０を構成するミラー駆動レバー３４によってミラーシートボス１６ｂが下方に押圧され、ミラーシート１６のストッパ部１６ａがダウン位置決めダボ２０に当接することで可動ミラー１５がダウン位置に保持されている（図１）。ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３はそれぞれ、ダウン吸収ばね４２とアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置に保持されている。
【００３２】
ミラー従動部材６１は、被押圧突起６５が押圧突起１６Ｔに当接する状態で、ダウン吸収部材４１の外径側に対向して位置されている。詳しくは、ミラー従動部材６１に設けた当接部６２に対してダウン吸収部材４１の翼部５１に形成した第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１が当接している。また、当接部６３が翼部５２に対向しているが、図１６から分かるように、第２カム面Ｃ２は第１カム面Ｃ１よりも内径方向に長く延設され、緩斜面Ｋ２が緩斜面Ｋ１よりも内径方向にシフトした位置にあるため、第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２に対して当接部６３は接触していない。さらに接続部６４が中間橋絡部５３に対向して位置するが、これも第３カム面Ｃ３に対して接触していない。このミラーダウン状態では被押圧突起６５が貫通ガイド孔１４ｇの端部に当接しておらず、ミラー従動部材６１は図１０中のＦ１方向（ミラーダウン方向）へ移動する余地があるまた、被押圧突起６５と被押圧突起６６の間には前述した可動ミラー１５の空走回動用の間隔があり、押圧突起１６Ｔがミラーアップ方向へ所定量移動しても被押圧突起６６に当接しない。そのため、ミラーダウン状態における押圧突起１６Ｔの位置はミラー従動部材６１による制約を受けない。つまり、ダウン位置決めダボ２０による可動ミラー１５のダウン位置の設定にダウン吸収部材４１が影響を及ぼすことがない。
【００３３】
ミラー駆動機構３０のミラー駆動レバー３４により可動ミラー１５がダウン位置からアップ位置へ向けて回動されると、その初期段階では押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５から離れる方向に移動するため、可動ミラー１５の回動力がミラー従動部材６１に対して伝わらない。やがて押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接するとミラー従動部材６１がミラーアップ方向に押圧される。すると当接部６２が第１カム面Ｃ１上を摺動しながらダウン吸収部材４１を押圧し、ダウン吸収部材４１がダウン吸収ばね４２の付勢力に抗して図１０の緩衝待機位置から内径方向に押圧移動される。このとき円筒状外面の当接部６２が滑らかな傾斜面である第１カム面Ｃ１を乗り越える構造であるため、ミラー従動部材６１とダウン吸収部材４１の間で引っ掛かりなどを生じることなく、ミラー駆動機構３０によって可動ミラー１５をスムーズにダウン位置からアップ位置方向へ回動させることができる。可動ミラー１５のアップ位置方向への回動に伴って当接部６２が第１カム面Ｃ１から第３カム面Ｃ３を乗り越えて第２カム面Ｃ２や緩斜面Ｋ２との対向位置を過ぎると、ミラー従動部材６１の当接部６２による押圧状態が解除され、ダウン吸収部材４１はダウン吸収ばね４２の付勢力によって緩衝待機位置へ戻る。
【００３４】
可動ミラー１５がアップ位置に近付くと、図１１のように押圧突起１６Ｔにより押圧移動されるミラー従動部材６１の当接部６３がアップ吸収部材４３の第２カム面Ｃ２に対して当接する。第２カム面Ｃ２の手前に位置する緩斜面Ｋ２は、緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置するため、当接部６３が第２カム面Ｃ２に対して当接する前にアップ吸収部材４３の翼部５２の側面に当て付いて可動ミラー１５の回動が妨げられるおそれがない。図１１の時点では可動ミラー１５はアップ位置に達しておらず、可動ミラー１５がさらにアップ位置へ向けて回動すると、図１２のように、当接部６３が第２カム面Ｃ２から第３カム面Ｃ３上を摺動しながら、アップ吸収ばね４４の付勢力に抗してアップ吸収部材４３を緩衝待機位置から内径方向に押圧移動させる。円筒状外面の当接部６３は、アップ吸収部材４３の第２カム面Ｃ２や第３カム面Ｃ３に対してスムーズに摺動することができる。アップ吸収部材４３がミラー従動部材６１の当接部６３によって緩衝待機位置から押圧されている間、可動ミラー１５の回動に対して、アップ吸収部材４３とミラー従動部材６１（被押圧突起６６）と押圧突起１６Ｔを経由してアップ吸収ばね４４の負荷が作用し、可動ミラー１５は、アップ吸収部材４３及びアップ吸収ばね４４によって衝撃吸収されながら回動する。アップ吸収部材４３の第３カム面Ｃ３は、ミラーアップ時の当接部６３の進行方向に対して徐々に外径側への突出量を大きくする形状であるため、当接部６３が第３カム面Ｃ３を押圧しながら摺動している間は徐々に可動ミラー１５に対する負荷が大きくなり、当接部６３が第３カム面Ｃ３を第１カム面Ｃ１側に乗り越える直前で負荷が最大になる。
【００３５】
可動ミラー１５が図１３のアップ位置まで回動されると、ミラーシート１６の上面が上方ストッパ２１に当接して、それ以上の上方への回動が規制される（図１）。このミラーアップ状態では、ミラー従動部材６１の当接部６３がアップ吸収部材４３の第３カム面Ｃ３を乗り越えて翼部５１との対向位置まで達しており、ミラー従動部材６１による押圧状態が解除されたアップ吸収部材４３がアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置に戻っている。ミラー従動部材６１は当接部６３を第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１に当接させた状態でアップ吸収部材４３の外径側に位置し、当接部６２は第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２から僅かに離間した状態でアップ吸収部材４３の翼部５２に対向し、接続部６４は第３カム面Ｃ３から僅かに離間した状態でアップ吸収部材４３の中間橋絡部５３に対向している。
【００３６】
ここで、アップ位置に達した可動ミラー１５をダウン位置方向へ反転させる力が作用した場合、可動ミラー１５が若干量回動して押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接する。この状態からさらに可動ミラー１５がダウン位置方向へ回動しようとすると、緩衝待機位置に戻っているアップ吸収部材４３の第１カム面Ｃ１と当接部６３の当接関係によってミラー従動部材６１に対して移動抵抗が作用する。可動ミラー１５がさらにダウン位置方向へ回動するためには、アップ吸収部材４３をアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して押圧移動させる必要があるが、ミラー駆動機構３０の駆動力によるものと異なり、アップ位置へ達した後の可動ミラー１５の反動では付勢されたアップ吸収部材４３を移動させるほどの力が加わらないため、可動ミラー１５のバウンド量が所定の大きさ以下に抑えられる。つまり、アップ吸収部材４３が可動ミラー１５のミラーアップ後の過大なバウンドを抑えるストッパとして機能する。
【００３７】
なお、図１３のミラーアップ状態では被押圧突起６６が貫通ガイド孔１４ｇの端部に当接しておらず、ミラー従動部材６１は図１３中のＦ２方向（ミラーアップ方向）へ移動する余地がある。また、押圧突起１６Ｔと被押圧突起６５の間には前述した可動ミラー１５の空走用の間隔がある。そのため押圧突起１６Ｔの位置はミラー従動部材６１による制約を受けず、可動ミラー１５のアップ位置の設定にアップ吸収部材４３が影響を及ぼすことがない。
【００３８】
以上のように、可動ミラー１５がダウン位置からアップ位置に回動するとき、その回動の初期段階（押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５から離れて被押圧突起６６に当接するまで）においてダウン吸収部材４１による負荷が可動ミラー１５に対して作用しない構成であるため、可動ミラー１５の初動負荷が小さくなっている。押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接すると、可動ミラー１５の回動に伴ってミラー従動部材６１が押圧移動されるようになり、ダウン吸収ばね４２の付勢力に抗してダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から押圧させるが、一般的に最も負荷が大きいのは回動の初期段階であり、その初期段階から遅れてダウン吸収部材４１の押圧が行われるため、負荷の少ないスムーズな回動を可動ミラー１５に行わせることができる。また前述のように、ミラーアップ時にミラー従動部材６１をダウン吸収部材４１が押圧する際は、緩い傾斜面である第１カム面Ｃ１に対して円筒状外面の当接部６２が摺動する構造であるため、引っ掛かりなどによる過大な抵抗が生じるおそれがない。
【００３９】
そして、可動ミラー１５がアップ位置に近付くと、ミラー従動部材６１の当接部６３によってアップ吸収部材４３を緩衝待機位置から押圧移動させながら、可動ミラー１５に対してアップ吸収ばね４４の負荷が作用して衝撃が吸収される。可動ミラー１５がアップ位置まで達してからのダウン位置方向へのバウンド量は、緩衝待機位置に戻ったアップ吸収部材４３によって制限される。従って、単独のアップ吸収部材４３によって、可動ミラー１５のミラーアップ時の衝撃吸収とミラーアップ後のバウンド抑制を行うことができる。
【００４０】
以上のミラーアップ動作とは逆に、ミラー駆動機構３０のミラー駆動レバー３４により可動ミラー１５が図１３のアップ位置からダウン位置方向に回動されると、その初期段階では押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６から離れる方向に移動するため、可動ミラー１５の回動力がミラー従動部材６１に対して伝わらない。やがて押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接するとミラー従動部材６１が押圧移動されて、当接部６３が第１カム面Ｃ１上を摺動しながらアップ吸収部材４３を押圧する。ミラーアップ動作の際のダウン吸収部材４１と同様に、当接部６３によって第１カム面Ｃ１を押圧されたアップ吸収部材４３はアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して緩衝待機位置から移動されるが、滑らかな傾斜面である第１カム面Ｃ１を円筒状外面の当接部６３で押圧する構造であるため、ミラー駆動機構３０による可動ミラー１５の駆動が妨げられることがない。押圧突起１６Ｔによって押圧移動されるミラー従動部材６１の当接部６３が第１カム面Ｃ１から第３カム面Ｃ３を乗り越えて第２カム面Ｃ２との対向位置を過ぎると、当接部６３による押圧状態が解除され、アップ吸収部材４３はアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置へ戻る。
【００４１】
可動ミラー１５がダウン位置に近付くと、図１４のようにミラー従動部材６１の当接部６２がダウン吸収部材４１の第２カム面Ｃ２に対して当接する。第２カム面Ｃ２の手前に位置する緩斜面Ｋ２は、緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置するため、当接部６２が第２カム面Ｃ２に対して当接する前にダウン吸収部材４１の翼部５２の側面に当て付いて可動ミラー１５の回動が妨げられるおそれがない。図１４の時点では可動ミラー１５はダウン位置に達しておらず、可動ミラー１５がさらにダウン位置へ向けて回動すると、図１５のように、当接部６２が第２カム面Ｃ２から第３カム面Ｃ３上を摺動しながら、ダウン吸収ばね４２の付勢力に抗してダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から内径方向へ押圧移動させる。円筒状外面の当接部６２は、ダウン吸収部材４１の第２カム面Ｃ２や第３カム面Ｃ３に対してスムーズに摺動することができる。ダウン吸収部材４１がミラー従動部材６１の当接部６２によって緩衝待機位置から押圧されている間、可動ミラー１５の回動に対して、ダウン吸収部材４１とミラー従動部材６１（被押圧突起６５）と押圧突起１６Ｔを経由してダウン吸収ばね４２の負荷が作用し、可動ミラー１５は、ダウン吸収部材４１及びダウン吸収ばね４２によって衝撃吸収されながら回動する。ダウン吸収部材４１の第３カム面Ｃ３は、ミラーダウン時の当接部６２の進行方向に対して徐々に外径側への突出量を大きくする形状であるため、当接部６２が第３カム面Ｃ３を押圧しながら摺動している間は徐々に可動ミラー１５に対する負荷が大きくなり、当接部６２が第３カム面Ｃ３を第１カム面Ｃ１側に乗り越える直前で負荷が最大になる。
【００４２】
可動ミラー１５が図１０のダウン位置まで回動されると、ストッパ部１６ａがダウン位置決めダボ２０に当接して、それ以上の下方への回動が規制される（図１）。このミラーダウン状態では、ミラー従動部材６１の当接部６２がダウン吸収部材４１の第３カム面Ｃ３を乗り越えて翼部５１との対向位置まで達しており、ミラー従動部材６１による押圧状態が解除されたダウン吸収部材４１がダウン吸収ばね４２の付勢力によって緩衝待機位置に戻っている。ミラー従動部材６１は当接部６２を第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１に当接させた状態でダウン吸収部材４１の外径側に位置し、当接部６３は第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２から僅かに離間した状態でダウン吸収部材４１の翼部５２に対向し、接続部６４は第３カム面Ｃ３から僅かに離間した状態でダウン吸収部材４１の中間橋絡部５３に対向している。
【００４３】
ここで、ダウン位置に達した可動ミラー１５をアップ位置方向へ反転させる力が作用した場合、可動ミラー１５が若干量回動して押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接する。この状態からさらに可動ミラー１５がアップ位置方向へ回動しようとすると、緩衝待機位置に戻っているダウン吸収部材４１の第１カム面Ｃ１と当接部６２の当接関係によってミラー従動部材６１に対して移動抵抗が作用する。可動ミラー１５がさらにアップ位置方向へ回動するためには、ダウン吸収部材４１をダウン吸収ばね４２の付勢力に抗して押圧移動させる必要があるが、ミラー駆動機構３０の駆動力によるものと異なり、ダウン位置へ達した後の可動ミラー１５の反動では、付勢されたダウン吸収部材４１を移動させるほどの力が加わらないため、可動ミラー１５のバウンド量が所定の大きさ以下に抑えられる。つまり、ダウン吸収部材４１が可動ミラー１５のミラーダウン後の過大なバウンドを抑えるストッパとして機能する。
【００４４】
以上のように、可動ミラー１５がアップ位置からダウン位置に回動するとき、その回動の初期段階（押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６から離れて被押圧突起６５に当接するまで）においてアップ吸収部材４３による負荷が可動ミラー１５に対して作用しない構成であるため、可動ミラー１５の初動負荷が小さくなっている。押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接してミラー従動部材６１を介してアップ吸収部材４３を緩衝待機位置からアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して押圧移動させるようになる段階では、可動ミラー１５が既に所定の速度で回動しているため、可動ミラー１５に対する抵抗が大きい初動段階でアップ吸収部材４３を押圧移動させる構成に比して、駆動負荷を抑えることができる。また前述のように、ミラーダウン時にミラー従動部材６１をアップ吸収部材４３が押圧する際は、緩い傾斜面である第１カム面Ｃ１に対して円筒状外面の当接部６２が摺動する構造であるため、引っ掛かりなどによる過大な抵抗が生じるおそれがない。
【００４５】
そして、可動ミラー１５がダウン位置に近付くと、ミラー従動部材６１の当接部６２によってダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から押圧移動させながら、可動ミラー１５に対してダウン吸収ばね４２の負荷が作用して衝撃が吸収される。可動ミラー１５がダウン位置まで達してからのアップ位置方向へのバウンド量は、緩衝待機位置に戻ったダウン吸収部材４１によって制限される。従って、単独のダウン吸収部材４１によって、可動ミラー１５のミラーダウン時の衝撃吸収とミラーダウン後のバウンド抑制を行うことができる。
【００４６】
なお、以上に説明した構成と異なり、スライド部材５０の第３カム面Ｃ３を、仮想中心線Ｇ１に関して対称な形状に設定することも可能である。具体的には、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線を中心とする一定半径の円弧状の面として第３カム面Ｃ３を形成することができる。この場合、ミラー従動部材６１の当接部６２、６３が第３カム面Ｃ３上を移動している間に該ミラー従動部材６１に加わる負荷は常に均等になる。また、第１カム面Ｃ１や第２カム面Ｃ２の形状についても、以上に説明した構成と異ならせることが可能である。例えば、図示の構成では、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２がスライド部材５０の仮想中心線Ｇ１に関して正逆に概ね同じ傾斜角の面として形成されているが（図１６参照）、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２の傾斜角をそれぞれ異ならせることも可能である。カム面の傾斜角に応じてミラー従動部材６１に対する負荷が変化するので、ミラーアップ後やミラーダウン後の可動ミラー１５のバウンド抑制効果を重視して第１カム面Ｃ１の傾斜角を大きくするという設定や、ミラーアップ動作やミラーダウン動作の途中における緩衝性能を重視して第２カム面Ｃ２の傾斜角を大きくするという設定にしてもよい。つまり、スライド部材５０における各カム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３は、可動ミラー１５に対して意図する負荷設定に応じて形状を適宜選択することができる。
【００４７】
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図示実施形態のミラー衝撃吸収機構４０では、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３の２つの緩衝部材を備えているが、ミラーアップ時に機能する緩衝部材とミラーダウン時に機能する緩衝部材のいずれか一方のみを備えた構成にすることも可能である。例えば、図示実施形態におけるアップ吸収部材４３とアップ吸収ばね４４を省略し、ミラーダウン時にのみ機能するミラー衝撃吸収機構として構成することも可能である。この態様でも、ミラーダウン時のバウンド抑制を行うダウン吸収部材４１とダウン吸収ばね４２からの負荷がミラーアップ時の初期段階で可動ミラー１５に作用せず、初動負荷を小さくするという効果が得られる。逆に、ダウン吸収部材４１とダウン吸収ばね４２を省略して、アップ吸収部材４３とアップ吸収ばね４４のみを備えるミラー衝撃吸収機構にすることも可能である。
【００４８】
また図示実施形態では、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３が共通仕様のスライド部材５０からなっており、部品の共通化による製造コスト削減効果が得られるが、ミラーダウン時に機能する緩衝部材とミラーアップ時に機能する緩衝部材を異なる仕様にさせることも可能である。
【００４９】
また、図示実施形態では、ミラー従動部材６１の一対の被押圧突起６５、６６と可動ミラー１５側の押圧突起１６Ｔを正円状断面の突起として形成している。この形状は、製造の容易さや、当接させた際の引っ掛かりの生じにくさ、製品ごとの微妙な部品誤差への対応性といった点で優れているが、本発明における可動ミラー側とミラー従動部材側の当接箇所の形状はこれに限定されない。例えば、被押圧突起６５、６６のうち押圧突起１６Ｔに当接される側の面を平面や非円形の湾曲面として形成することも可能である。
【符号の説明】
【００５０】
１０ 一眼レフカメラ
１１ カメラボディ
１２ レンズ鏡筒
１３ レンズマウント
１４ ミラーボックス
１４ａ １４ｂ １４ｃ １４ｄ ガイドピン
１４ｅ １４ｆ ばね支持突起
１４ｇ 貫通ガイド孔
１５ 可動ミラー（クイックリターンミラー）
１５ａ メインミラー
１６ ミラーシート
１６ａ ストッパ部
１６ｂ ミラーシートボス
１６ｘ ミラーシートヒンジ（可動ミラーの回動軸）
１６Ｔ 押圧突起
１７ サブミラー
１８ フォーカルプレーンシャッタ
１９ イメージセンサ（撮像用受光媒体）
２０ ダウン位置決めダボ
２１ 上方ストッパ
２２ ファインダ光学系
２２ａ ファインダ窓
２３ 測光ユニット
２４ 測距ユニット
２５ ＬＣＤモニタ
３０ ミラー駆動機構
３１ モータ
３２ 減速ギヤ列
３３ カムギヤ
３４ ミラー駆動レバー
３４ｘ ミラー駆動レバーの軸
３５ シャッタチャージレバー
４０ ミラー衝撃吸収機構
４１ ダウン吸収部材（緩衝部材、第１の緩衝部材）
４２ ダウン吸収ばね（付勢部材）
４３ アップ吸収部材（緩衝部材、第２の緩衝部材）
４４ アップ吸収ばね（付勢部材）
４５ 押さえ板
５０ スライド部材（共通仕様の緩衝部材）
５１ ５２ 翼部
５３ 中間橋絡部
５４ ５５ ガイド孔
５６ ばね収納部
５７ ばね支持突起
６１ ミラー従動部材
６２ 当接部（第１の当接部）
６３ 当接部（第２の当接部）
６４ 接続部
６５ 被押圧突起（第１の被押圧部）
６６ 被押圧突起（第２の被押圧部）
Ｃ１ 第１カム面
Ｃ２ 第２カム面
Ｃ３ 第３カム面
Ｋ１ 緩斜面
Ｋ２ 緩斜面
【技術分野】
【０００１】
本発明は、一眼レフカメラに設けられる可動ミラーの駆動装置に関し、特に可動ミラーの衝撃吸収機構に関する。
【背景技術】
【０００２】
一眼レフカメラの内部には、撮影光路上に挿入されて被写体光をファインダ光学系へ反射させるファインダ導光位置（ダウン位置）と、撮影光路から退避して被写体光をシャッタ側へ通過させる退避位置（アップ位置）に昇降回動可能な可動ミラー（クイックリターンミラー）が設けられている。可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置といった回動端に達したときの衝撃でバウンド（振動）すると、ファインダの観察像が安定せず観察性能に悪影響を及ぼす。また、可動ミラーを用いて測距用のセンサや測光用のセンサに被写体光を導く構造のカメラでは、可動ミラーがバウンドしている間は正確な測距や測光を行うことができず、連写性能が制限される。そのため、可動ミラーの回動時の衝撃を吸収してバウンドを抑制させる衝撃吸収機構が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００-１３１７５５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
可動ミラーのバウンドを抑制するには、可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置に達したときに反対方向（バウンド方向）の回動に対して負荷を与える部材を設ければよい。しかし、バウンド抑制用の部材から可動ミラーに及ぼされる負荷が大き過ぎると、可動ミラーの動作速度向上の妨げになるおそれがある。特に、可動ミラーがファインダ導光位置や退避位置にある状態からの回動の初期段階（初動段階）は、回動抵抗が大きくなりがちであるため、できるだけ可動ミラーに対する負荷を小さくすることが望まれる。
【０００５】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、可動ミラーに対する初動負荷を低減して連写性能向上に寄与するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持されたカメラの可動ミラーの衝撃吸収機構に関するものであり、可動ミラーの回動に従動するミラー従動部材と、可動ミラーに従動するミラー従動部材によって押圧されて可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材を備えている。ミラー従動部材は、可動ミラーがファインダ導光位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第１の被押圧部と、可動ミラーが退避位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第２の被押圧部を備えており、各被押圧部が押圧されることにより可動ミラーの回動に伴って移動される。第１の被押圧部と第２の被押圧部の間には、可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられている。そして、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するとき、第１の被押圧部と第２の被押圧部の間の空走間隔によってミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いてミラー従動部材を押圧移動させながら回動する。
【０００７】
緩衝部材は、ミラー従動部材の移動軌跡上に進出する緩衝待機位置に付勢部材によって保持され、ミラー従動部材によって押圧されたときに付勢部材に抗して移動されることが好ましい。
【０００８】
可動ミラーを支持するミラーボックスに該可動ミラーの回動軌跡に沿うガイド孔を形成し、ミラー従動部材の第１の被押圧部と第２の被押圧部をそれぞれ、ガイド孔に摺動可能に挿通される突起として形成するとよい。この場合、可動ミラーは、第１の被押圧部と第２の被押圧部の間に位置して可動ミラーの回動に応じて第１の被押圧部と第２の被押圧部を押圧する押圧突起を備えるとよい。
【０００９】
緩衝部材として、可動ミラーがファインダ導光位置に位置するときにミラー従動部材の第１の当接部に当接する第１の緩衝部材と、可動ミラーが退避位置に位置するときにミラー従動部材の第２の当接部に当接する第２の緩衝部材を備えることにより、可動ミラーのファインダ導光位置と退避位置のいずれにおいてもミラーバウンドを抑えることができる。この場合、ミラー従動部材は、第１の当接部と第２の当接部をミラー従動部材の移動方向に離間させて接続する接続部を有し、第１の被押圧部と第２の被押圧部をそれぞれ第１の当接部と第２の当接部から突出形成する構成にするとよい。また、第１の緩衝部材と第２の緩衝部材を共通仕様の緩衝部材とすることが好ましい。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の可動ミラー衝撃吸収機構によれば、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置から回動するときに、所定の空走間隔を経た後にミラー従動部材を押圧し、ミラー従動部材を介して緩衝部材を押圧させるように構成したので、可動ミラーの回動の初期段階で緩衝部材による負荷が作用せず、連写性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明を適用した一眼レフカメラの光学系の概略を示す図である。
【図２】ミラーダウン状態でのミラーボックスの前方斜視図である。
【図３】ミラーアップ状態でのミラーボックスの前方斜視図である。
【図４】ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図５】ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図６】ミラーアップ状態でのミラーボックスの後方斜視図である。
【図７】ミラーダウン状態でのミラー衝撃吸収機構の斜視図である。
【図８】ミラーアップ状態でのミラー衝撃吸収機構の斜視図である。
【図９】押さえ板を外してミラー衝撃吸収機構を露出させた状態のミラーボックスの左側面図である。
【図１０】ミラーダウン状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１１】可動ミラーがダウン位置からアップ位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１２】可動ミラーがダウン位置からアップ位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１３】ミラーアップ状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１４】可動ミラーがアップ位置からダウン位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１５】可動ミラーがアップ位置からダウン位置に回動する途中の状態のミラー衝撃吸収機構の側面図である。
【図１６】ダウン吸収部材とアップ吸収部材を構成する共通仕様のスライド部材を表裏逆にして重ねた状態の図である。
【図１７】ミラー従動部材の単体形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
図１に示す一眼レフカメラ（以下、カメラ）１０は、カメラボディ１１の前面に交換式のレンズ鏡筒１２を着脱させるレンズマウント１３を有し、その内方にミラーボックス１４が設けられている。
【００１３】
ミラーボックス１４内には可動ミラー（クイックリターンミラー）１５が設けられる。可動ミラー１５は、ミラーシート１６上にメインミラー１５ａを固定的に支持し、ミラーシート１６の背面側にサブミラー１７を回動可能に支持した構造になっており、ミラーシート１６の両側に突出する一対のミラーシートヒンジ１６ｘがミラーボックス１４の両側壁に軸支されている。可動ミラー１５の後方にはフォーカルプレーンシャッタ（以下、シャッタ）１８が設けられ、シャッタ１８の後方にはイメージセンサ（撮像用受光媒体）１９が設けられている。なお、本実施形態のカメラ１０は、撮像用受光媒体にイメージセンサ１９を用いるデジタルカメラであるが、撮像用受光媒体として銀塩フィルムを用いるカメラに対しても本発明は適用が可能である。
【００１４】
可動ミラー１５は、ミラーシートヒンジ１６ｘを軸として、レンズ鏡筒１２内の撮影レンズ１２ａからイメージセンサ１９に至る撮影光路上に約４５度の角度で斜設されるダウン位置（ファインダ導光位置：図１の実線、図２、図４、図５、図１０）と、撮影光路から上方に退避したアップ位置（退避位置：図１の二点鎖線、図３、図６、図１３）の間で往復回動される。図４及び図６に示すように、可動ミラー１５を挟んで位置するミラーボックス１４の両側壁のうち一方の内面からダウン位置決めダボ２０が突出しており、このダウン位置決めダボ２０に対してミラーシート１６の一側部に設けたストッパ部１６ａ（図７、図８）を当接させることで、可動ミラー１５のダウン位置が定められる。ダウン位置決めダボ２０は、ミラーボックス１４に対する取付位置の微調整が可能である。また、ミラーボックス１４内には、可動ミラー１５をアップ位置に回動させたときミラーシート１６の上面が当接可能な上方ストッパ２１が設けられている。可動ミラー１５の上方には、ペンタプリズムや接眼レンズなどにより構成されるファインダ光学系２２が設けられている。
【００１５】
レンズマウント１３にレンズ鏡筒１２を装着した状態でレンズ鏡筒１２内の撮影レンズ１２ａを通してミラーボックス１４内に入射する被写体光は、可動ミラー１５がダウン位置にあるときには、可動ミラー１５のメインミラー１５ａにより反射されてファインダ光学系２２に入り、カメラボディ１１後面側のファインダ窓２２ａを通して被写体像を観察することができる。この状態では、ファインダ光学系２２を構成するペンタプリズムの後方に設けた測光ユニット２３による測光が可能である。また、可動ミラー１５のダウン位置では、サブミラー１７はミラーシート１６に対して斜め下方に向けて突出し、サブミラー１７によって被写体光の一部がミラーボックス１４の下方の測距ユニット２４に導かれ、被写体距離を検出することができる。一方、可動ミラー１５がアップ位置にあるときには、撮影レンズ１２ａを通してミラーボックス１４内に入射する被写体光は可動ミラー１５で反射されずにシャッタ１８側に進み、シャッタ１８を開くことでイメージセンサ１９の受光面上に光を入射させることができる。可動ミラー１５のアップ位置では、サブミラー１７はミラーシート１６の背面側に格納される。カメラボディ１１の後面に設けたＬＣＤモニタ２５には、イメージセンサ１９により得られる被写体の電子画像や、電子画像以外の各種の情報を表示することができる。
【００１６】
図３及び図５に示すように、ミラーボックス１４の一側部（前方から見て左側の側部）には、可動ミラー１５の昇降回動を行わせるミラー駆動機構３０が設けられている。ミラー駆動機構３０は、モータ３１と、モータ３１の駆動力を伝達する減速ギヤ列３２と、遊星ギヤ機構を介して減速ギヤ列３２からの回転駆動力が伝達されるカムギヤ３３と、カムギヤ３３によって回動位置が制御されるミラー駆動レバー３４を備えている。ミラー駆動レバー３４は、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と略平行な軸３４ｘを中心として往復回動可能にミラーボックス１４に支持されており、ミラーシート１６の側部に設けたミラーシートボス１６ｂを保持している。このミラー駆動レバー３４による保持部分がミラーシートボス１６ｂを下方に押圧することで可動ミラー１５をダウン位置に向けて回動させ、ミラーシートボス１６ｂを上方に押圧することで可動ミラー１５をアップ位置に向けて回動させる。ミラー駆動レバー３４は、可動ミラー１５をダウン位置へ押圧する方向へ回動付勢されており、カムギヤ３３が特定の回転位置にあるとき、該カムギヤ３３に形成したミラー制御カム（周面カム）によって、付勢力に抗してミラー駆動レバー３４がミラーアップ方向へ押圧回動される。詳しくは、カムギヤ３３は初期位置から一方向にのみ回転される一回転カムギヤであり、カムギヤ３３が初期位置にあるときには、該カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４を押圧せず、ミラー駆動レバー３４に作用する付勢力によって可動ミラー１５がダウン位置に保持されている。カムギヤ３３が初期位置から途中まで回転されると、カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４を押圧回動させ、ミラー駆動レバー３４が可動ミラー１５をアップ位置に回動させる。この途中位置からカムギヤ３３が初期位置に戻るまでの間に、カムギヤ３３のミラー制御カムがミラー駆動レバー３４に対する押圧を解除して、可動ミラー１５がダウン位置に復帰される。
【００１７】
ミラーボックス１４の一側部にはさらに、シャッタ１８のチャージ動作を行わせるシャッタチャージレバー３５が備えられている。カムギヤ３３は、上述のミラー駆動カムに加えて、シャッタチャージレバー３５の動作を制御するシャッタチャージカムを有し、初期位置から一回転することでシャッタチャージレバー３５を往復回動させてシャッタチャージを行わせる。シャッタチャージ機構は本発明の特徴とは関係がないため、詳細な説明を省略する。
【００１８】
ミラーボックス１４の他側部（前方から見て右側の側部）には、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置に回動するときの衝撃を吸収して可動ミラー１５のバウンド（振動）を抑制させるミラー衝撃吸収機構４０が備えられている。ミラー衝撃吸収機構４０は、ダウン吸収部材（緩衝部材、第１の緩衝部材）４１、ダウン吸収ばね（付勢部材）４２、アップ吸収部材（緩衝部材、第２の緩衝部材）４３、アップ吸収ばね（付勢部材）４４及びミラー従動部材６１を備え、これらの各部材は、ミラーボックス１４の側部に固定される押さえ板４５（図４）によって脱落しないように保持されている。なお、図６と図９は押さえ板４５を取り外した状態を示している。
【００１９】
ダウン吸収部材４１は可動ミラー１５がダウン位置へ回動するときに衝撃吸収及びバウンド抑制を行い、アップ吸収部材４３は可動ミラー１５がダウン位置へ回動するときに衝撃吸収及びバウンド抑制を行う。ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３は共通仕様のスライド部材５０からなり、このスライド部材５０の表裏を逆にしてミラーボックス１４に取り付けることで使い分けられる。図１６に示すように、スライド部材５０は、一対の翼部５１、５２を中間橋絡部５３で橋絡した形状を有し、翼部５１と翼部５２にはそれぞれガイド孔５４、５５が形成されている。ガイド孔５４とガイド孔５５は平行な長孔である。中間橋絡部５３の一部にばね収納部５６が形成されている。ばね収納部５６内には一端が開放された円筒状の収納空間が形成され、この収納空間の内部にばね支持突起５７が形成されている。
【００２０】
スライド部材５０には、後述するミラーボックス１４への組み付け状態でミラーシートヒンジ１６ｘからの距離が遠くなる側の外縁部に、第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３が形成されている。以下の説明では、スライド部材５０をミラーボックス１４へ組み付けた状態でミラーシートヒンジ１６ｘから遠い側を外径側、近い側を内径側と呼ぶ。第１カム面Ｃ１は翼部５１の外径側縁部、第２カム面Ｃ２は翼部５２の外径側縁部、第３カム面Ｃ３は中間橋絡部５３の外径側縁部として形成されている。第３カム面Ｃ３は最も外径側に位置する面であり、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２はそれぞれ、第３カム面Ｃ３から離れるにつれて内径側に向かう傾斜成分を有する面である。さらに翼部５１の外径側縁部には、第１カム面Ｃ１から翼部５１の側面に至る領域に、第１カム面Ｃ１よりも内径方向へ向かう傾斜角が緩い緩斜面Ｋ１が形成されており、翼部５２の外径側縁部には、第２カム面Ｃ２から翼部５２の側面に至る領域に、第２カム面Ｃ２よりも内径方向へ向かう傾斜角が緩い緩斜面Ｋ２が形成されている。
【００２１】
カム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３などが形成されるスライド部材５０の外径側の縁部は、後述するダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３の直進移動方向と平行で幅方向の中心を通る仮想中心線Ｇ１（図１６）に関して非対称な形状を有する。２つのスライド部材５０の表裏を逆にして重ねた状態の図１６から分かるように、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２、緩斜面Ｋ１と緩斜面Ｋ２はそれぞれ非対称であり、第３カム面Ｃ３も仮想中心線Ｇ１を挟んだ両側領域が非対称になっている。第３カム面Ｃ３は、第１カム面Ｃ１との境界部分の方が、第２カム面Ｃ２との境界部分よりも僅かに外径側に突出しており、第１カム面Ｃ１側から第２カム面Ｃ２側に進むにつれて緩やかに内径側に接近する。第３カム面Ｃ３の一端部に連続する第２カム面Ｃ２は、第３カム面Ｃ３の他端部に連続する第１カム面Ｃ１よりも内径方向に長く形成されており、これに応じて緩斜面Ｋ２が緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置している。
【００２２】
ミラーボックス１４の側面には、可動ミラー１５の回動方向に沿って所定の間隔で４つのガイドピン１４ａ、１４ｂ、１４ｃ及び１４ｄが設けられている、４つのガイドピン１４ａ、１４ｂ、１４ｃ及び１４ｄはミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする径方向距離が等しい。また、可動ミラー１５の回動方向におけるガイドピン１４ａとガイドピン１４ｂの間隔と、ガイドピン１４ｃとガイドピン１４ｄの間隔が等しく、これらの対をなすガイドピンの間隔はスライド部材５０におけるガイド孔５４とガイド孔５５の間隔に対応している。ミラーボックス１４の側面にはさらに、ガイドピン１４ａとガイドピン１４ｂの間に位置するばね支持突起１４ｅと、ガイドピン１４ｃとガイドピン１４ｄの間に位置するばね支持突起１４ｆが設けられている。
【００２３】
ダウン吸収部材４１として用いられるスライド部材５０は、ミラーシートヒンジ１６ｘから遠い外径方向にカム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３が向くようにして、ガイドピン１４ａに対してガイド孔５４、ガイドピン１４ｂに対してガイド孔５５を挿通させて組み付けられる。アップ吸収部材４３として用いられるスライド部材５０は、ミラーシートヒンジ１６ｘから遠い外径方向にカム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３が向くようにして、ガイドピン１４ｃに対してガイド孔５５、ガイドピン１４ｄに対してガイド孔５４を挿通させて組み付けられる。つまり、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３は、共通仕様のスライド部材５０の表裏を逆にしてミラーボックス１４の側面に支持され、可動ミラー１５の回動方向に互いの翼部５２を対向させた配置となる。
【００２４】
ダウン吸収部材４１は、一対のガイド孔５４、５５で一対のガイドピン１４ａ、１４ｂの案内を受けることによって、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と直交する平面内で、該ミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする可動ミラー１５の回動半径方向に直進移動可能に支持されている。ダウン吸収部材４１の移動方向は、カメラ１０を水平に構えた状態で水平方向に対して斜め下方となっている。
【００２５】
ダウン吸収部材４１におけるばね収納部５６の収納空間内にダウン吸収ばね４２が挿入される。ばね収納部５６の収納空間は第３カム面Ｃ３と反対の内径側に開放されている。ダウン吸収ばね４２は圧縮ばねであり、一端部をばね収納部５６の収納空間の底面に当接させ、他端部を該収納空間の開口部側に露出させる状態で収納される。このダウン吸収ばね４２における露出側端部は、ダウン吸収部材４１をミラーボックス１４に支持させたとき、ばね支持突起１４ｅに当接する。ダウン吸収ばね４２は、ばね収納部５６の収納空間の内周面とばね支持突起５７によって座屈が防止され、軸線方向に伸縮可能である。図９ないし図１５に示すダウン吸収部材４１の組み付け状態でダウン吸収ばね４２は圧縮されており、復元力によってダウン吸収部材４１をミラーシートヒンジ１６ｘから離れる外径方向に移動付勢している。ダウン吸収ばね４２による付勢方向へのダウン吸収部材４１の移動は、ガイド孔５４、５５の一端部をガイドピン１４ａ、１４ｂに当接させることで規制される。この付勢方向への移動端がダウン吸収部材４１の緩衝待機位置である。
【００２６】
ダウン吸収部材４１と同様にアップ吸収部材４３は、一対のガイド孔５４、５５で一対のガイドピン１４ｄ、１４ｃの案内を受けることによって、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線と直交する平面内で、該ミラーシートヒンジ１６ｘを中心とする可動ミラー１５の回動半径方向に直進移動可能に支持されている。アップ吸収部材４３の移動方向は、カメラ１０を水平に構えた状態での水平方向よりやや上向きの方向である。
【００２７】
アップ吸収部材４３におけるばね収納部５６の収納空間内にアップ吸収ばね４４が挿入される。アップ吸収ばね４４はダウン吸収ばね４２と共通仕様の圧縮ばねであり、一端部をばね収納部５６の収納空間の底面に当接させ、他端部を該収納空間の開口部に露出させており、アップ吸収部材４３をミラーボックス１４に支持させたとき、このアップ吸収ばね４４の露出側端部がばね支持突起１４ｆに当接する。アップ吸収ばね４４は、ばね収納部５６の収納空間の内周面とばね支持突起５７によって座屈が防止され、軸線方向に伸縮可能である。図９ないし図１５に示すアップ吸収部材４３の組み付け状態でアップ吸収ばね４４は圧縮されており、復元力によってアップ吸収部材４３をミラーシートヒンジ１６ｘから離れる外径方向に移動付勢している。アップ吸収部材４３による付勢方向へのアップ吸収部材４３の移動は、ガイド孔５４、５５の一端部をガイドピン１４ｄ、１４ｃに当接させることで規制される。この付勢方向への移動端がアップ吸収部材４３の緩衝待機位置である。
【００２８】
図７及び図８に示すように、ミラーシート１６の先端部近傍の側部には押圧突起１６Ｔが突設されている。ミラーボックス１４の側面には、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置の間を回動するときの押圧突起１６Ｔの軌跡に沿う円弧状の貫通ガイド孔１４ｇが貫通形成されている。図９ないし図１５に示すように、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３がそれぞれの緩衝待機位置にあるとき、第３カム面Ｃ３が貫通ガイド孔１４ｇの内径側の面にほぼ重なる位置にある。
【００２９】
図１７に示すように、ミラー従動部材６１は、それぞれが円筒（円柱）状をなす当接部（第１の当接部）６２と当接部（第２の当接部）６３を緩い円弧状の接続部６４で接続して構成され、接続部６４の長手方向の中心を通る仮想中心線Ｇ２に関して略対称な形状になっている。２つの当接部６２、６３は同径の円筒状の外面形状を有し、接続部６４は当接部６２及び当接部６３の径よりも幅狭になっている。接続部６４はスライド部材５０の中間橋絡部５３の幅に対応する長さを有する。当接部６２と当接部６３からはそれぞれ被押圧突起（第１の被押圧部）６５と被押圧突起（第２の被押圧部）６６が突出している。被押圧突起６５と被押圧突起６６は同径の円筒（円柱）状部であり、図２、図３及び図５に示すように貫通ガイド孔１４ｇに挿通されてミラーボックス１４の内部に突出しており、貫通ガイド孔１４ｇに沿う方向で互いに離間している。被押圧突起６５と被押圧突起６６はそれぞれ貫通ガイド孔１４ｇの外径側と内径側の対をなす対向面の間にガタのない状態で摺動可能に挿入されており、この貫通ガイド孔１４ｇの一対の対向面によって被押圧突起６５と被押圧突起６６が案内を受けることによって、ミラー従動部材６１が貫通ガイド孔１４ｇに沿って移動可能となっている。すなわち、ミラーボックス１４に対してミラー従動部材６１は、可動ミラー１５が回動するときの押圧突起１６Ｔの移動軌跡に沿って移動可能に支持されている。被押圧突起６５と被押圧突起６６の間に押圧突起１６Ｔが位置しており、可動ミラー１５をダウン位置方向に回動させると押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接し、可動ミラー１５をアップ方向に回動させると押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接して、可動ミラー１５のそれぞれの回動方向の力をミラー従動部材６１に伝える。被押圧突起６５と被押圧突起６６の一方に対して押圧突起１６Ｔが当接する状態で、可動ミラー１５が所定量回動（空走）してから被押圧突起６５と被押圧突起６６の他方に当接するように被押圧突起６５と被押圧突起６６の間隔が設定されている。別言すれば、被押圧突起６５と被押圧突起６６の間に、可動ミラー１５の押圧突起１６Ｔを当接させずに回動を行わせる空走間隔が設けられている。
【００３０】
図１０ないし図１５に示すように、ダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３がそれぞれの緩衝待機位置に保持される状態では、第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３が、ミラー従動部材６１の当接部６２、６３の移動軌跡上に位置しており、可動ミラー１５がダウン位置とアップ位置の間で回動すると、押圧突起１６Ｔにより被押圧突起６５、６６を押圧されたミラー従動部材６１の当接部６２、６３が第１カム面Ｃ１、第２カム面Ｃ２及び第３カム面Ｃ３の位置を通過し、ダウン吸収部材４１やアップ吸収部材４３が緩衝待機位置からダウン吸収ばね４２、アップ吸収ばね４４の付勢力に抗して内径方向へ押圧される。
【００３１】
図１０以下を参照してミラー衝撃吸収機構４０の動作を説明する。図１０は可動ミラー１５がダウン位置にある状態を示している。このとき、ミラー駆動機構３０を構成するミラー駆動レバー３４によってミラーシートボス１６ｂが下方に押圧され、ミラーシート１６のストッパ部１６ａがダウン位置決めダボ２０に当接することで可動ミラー１５がダウン位置に保持されている（図１）。ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３はそれぞれ、ダウン吸収ばね４２とアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置に保持されている。
【００３２】
ミラー従動部材６１は、被押圧突起６５が押圧突起１６Ｔに当接する状態で、ダウン吸収部材４１の外径側に対向して位置されている。詳しくは、ミラー従動部材６１に設けた当接部６２に対してダウン吸収部材４１の翼部５１に形成した第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１が当接している。また、当接部６３が翼部５２に対向しているが、図１６から分かるように、第２カム面Ｃ２は第１カム面Ｃ１よりも内径方向に長く延設され、緩斜面Ｋ２が緩斜面Ｋ１よりも内径方向にシフトした位置にあるため、第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２に対して当接部６３は接触していない。さらに接続部６４が中間橋絡部５３に対向して位置するが、これも第３カム面Ｃ３に対して接触していない。このミラーダウン状態では被押圧突起６５が貫通ガイド孔１４ｇの端部に当接しておらず、ミラー従動部材６１は図１０中のＦ１方向（ミラーダウン方向）へ移動する余地があるまた、被押圧突起６５と被押圧突起６６の間には前述した可動ミラー１５の空走回動用の間隔があり、押圧突起１６Ｔがミラーアップ方向へ所定量移動しても被押圧突起６６に当接しない。そのため、ミラーダウン状態における押圧突起１６Ｔの位置はミラー従動部材６１による制約を受けない。つまり、ダウン位置決めダボ２０による可動ミラー１５のダウン位置の設定にダウン吸収部材４１が影響を及ぼすことがない。
【００３３】
ミラー駆動機構３０のミラー駆動レバー３４により可動ミラー１５がダウン位置からアップ位置へ向けて回動されると、その初期段階では押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５から離れる方向に移動するため、可動ミラー１５の回動力がミラー従動部材６１に対して伝わらない。やがて押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接するとミラー従動部材６１がミラーアップ方向に押圧される。すると当接部６２が第１カム面Ｃ１上を摺動しながらダウン吸収部材４１を押圧し、ダウン吸収部材４１がダウン吸収ばね４２の付勢力に抗して図１０の緩衝待機位置から内径方向に押圧移動される。このとき円筒状外面の当接部６２が滑らかな傾斜面である第１カム面Ｃ１を乗り越える構造であるため、ミラー従動部材６１とダウン吸収部材４１の間で引っ掛かりなどを生じることなく、ミラー駆動機構３０によって可動ミラー１５をスムーズにダウン位置からアップ位置方向へ回動させることができる。可動ミラー１５のアップ位置方向への回動に伴って当接部６２が第１カム面Ｃ１から第３カム面Ｃ３を乗り越えて第２カム面Ｃ２や緩斜面Ｋ２との対向位置を過ぎると、ミラー従動部材６１の当接部６２による押圧状態が解除され、ダウン吸収部材４１はダウン吸収ばね４２の付勢力によって緩衝待機位置へ戻る。
【００３４】
可動ミラー１５がアップ位置に近付くと、図１１のように押圧突起１６Ｔにより押圧移動されるミラー従動部材６１の当接部６３がアップ吸収部材４３の第２カム面Ｃ２に対して当接する。第２カム面Ｃ２の手前に位置する緩斜面Ｋ２は、緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置するため、当接部６３が第２カム面Ｃ２に対して当接する前にアップ吸収部材４３の翼部５２の側面に当て付いて可動ミラー１５の回動が妨げられるおそれがない。図１１の時点では可動ミラー１５はアップ位置に達しておらず、可動ミラー１５がさらにアップ位置へ向けて回動すると、図１２のように、当接部６３が第２カム面Ｃ２から第３カム面Ｃ３上を摺動しながら、アップ吸収ばね４４の付勢力に抗してアップ吸収部材４３を緩衝待機位置から内径方向に押圧移動させる。円筒状外面の当接部６３は、アップ吸収部材４３の第２カム面Ｃ２や第３カム面Ｃ３に対してスムーズに摺動することができる。アップ吸収部材４３がミラー従動部材６１の当接部６３によって緩衝待機位置から押圧されている間、可動ミラー１５の回動に対して、アップ吸収部材４３とミラー従動部材６１（被押圧突起６６）と押圧突起１６Ｔを経由してアップ吸収ばね４４の負荷が作用し、可動ミラー１５は、アップ吸収部材４３及びアップ吸収ばね４４によって衝撃吸収されながら回動する。アップ吸収部材４３の第３カム面Ｃ３は、ミラーアップ時の当接部６３の進行方向に対して徐々に外径側への突出量を大きくする形状であるため、当接部６３が第３カム面Ｃ３を押圧しながら摺動している間は徐々に可動ミラー１５に対する負荷が大きくなり、当接部６３が第３カム面Ｃ３を第１カム面Ｃ１側に乗り越える直前で負荷が最大になる。
【００３５】
可動ミラー１５が図１３のアップ位置まで回動されると、ミラーシート１６の上面が上方ストッパ２１に当接して、それ以上の上方への回動が規制される（図１）。このミラーアップ状態では、ミラー従動部材６１の当接部６３がアップ吸収部材４３の第３カム面Ｃ３を乗り越えて翼部５１との対向位置まで達しており、ミラー従動部材６１による押圧状態が解除されたアップ吸収部材４３がアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置に戻っている。ミラー従動部材６１は当接部６３を第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１に当接させた状態でアップ吸収部材４３の外径側に位置し、当接部６２は第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２から僅かに離間した状態でアップ吸収部材４３の翼部５２に対向し、接続部６４は第３カム面Ｃ３から僅かに離間した状態でアップ吸収部材４３の中間橋絡部５３に対向している。
【００３６】
ここで、アップ位置に達した可動ミラー１５をダウン位置方向へ反転させる力が作用した場合、可動ミラー１５が若干量回動して押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接する。この状態からさらに可動ミラー１５がダウン位置方向へ回動しようとすると、緩衝待機位置に戻っているアップ吸収部材４３の第１カム面Ｃ１と当接部６３の当接関係によってミラー従動部材６１に対して移動抵抗が作用する。可動ミラー１５がさらにダウン位置方向へ回動するためには、アップ吸収部材４３をアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して押圧移動させる必要があるが、ミラー駆動機構３０の駆動力によるものと異なり、アップ位置へ達した後の可動ミラー１５の反動では付勢されたアップ吸収部材４３を移動させるほどの力が加わらないため、可動ミラー１５のバウンド量が所定の大きさ以下に抑えられる。つまり、アップ吸収部材４３が可動ミラー１５のミラーアップ後の過大なバウンドを抑えるストッパとして機能する。
【００３７】
なお、図１３のミラーアップ状態では被押圧突起６６が貫通ガイド孔１４ｇの端部に当接しておらず、ミラー従動部材６１は図１３中のＦ２方向（ミラーアップ方向）へ移動する余地がある。また、押圧突起１６Ｔと被押圧突起６５の間には前述した可動ミラー１５の空走用の間隔がある。そのため押圧突起１６Ｔの位置はミラー従動部材６１による制約を受けず、可動ミラー１５のアップ位置の設定にアップ吸収部材４３が影響を及ぼすことがない。
【００３８】
以上のように、可動ミラー１５がダウン位置からアップ位置に回動するとき、その回動の初期段階（押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５から離れて被押圧突起６６に当接するまで）においてダウン吸収部材４１による負荷が可動ミラー１５に対して作用しない構成であるため、可動ミラー１５の初動負荷が小さくなっている。押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接すると、可動ミラー１５の回動に伴ってミラー従動部材６１が押圧移動されるようになり、ダウン吸収ばね４２の付勢力に抗してダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から押圧させるが、一般的に最も負荷が大きいのは回動の初期段階であり、その初期段階から遅れてダウン吸収部材４１の押圧が行われるため、負荷の少ないスムーズな回動を可動ミラー１５に行わせることができる。また前述のように、ミラーアップ時にミラー従動部材６１をダウン吸収部材４１が押圧する際は、緩い傾斜面である第１カム面Ｃ１に対して円筒状外面の当接部６２が摺動する構造であるため、引っ掛かりなどによる過大な抵抗が生じるおそれがない。
【００３９】
そして、可動ミラー１５がアップ位置に近付くと、ミラー従動部材６１の当接部６３によってアップ吸収部材４３を緩衝待機位置から押圧移動させながら、可動ミラー１５に対してアップ吸収ばね４４の負荷が作用して衝撃が吸収される。可動ミラー１５がアップ位置まで達してからのダウン位置方向へのバウンド量は、緩衝待機位置に戻ったアップ吸収部材４３によって制限される。従って、単独のアップ吸収部材４３によって、可動ミラー１５のミラーアップ時の衝撃吸収とミラーアップ後のバウンド抑制を行うことができる。
【００４０】
以上のミラーアップ動作とは逆に、ミラー駆動機構３０のミラー駆動レバー３４により可動ミラー１５が図１３のアップ位置からダウン位置方向に回動されると、その初期段階では押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６から離れる方向に移動するため、可動ミラー１５の回動力がミラー従動部材６１に対して伝わらない。やがて押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接するとミラー従動部材６１が押圧移動されて、当接部６３が第１カム面Ｃ１上を摺動しながらアップ吸収部材４３を押圧する。ミラーアップ動作の際のダウン吸収部材４１と同様に、当接部６３によって第１カム面Ｃ１を押圧されたアップ吸収部材４３はアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して緩衝待機位置から移動されるが、滑らかな傾斜面である第１カム面Ｃ１を円筒状外面の当接部６３で押圧する構造であるため、ミラー駆動機構３０による可動ミラー１５の駆動が妨げられることがない。押圧突起１６Ｔによって押圧移動されるミラー従動部材６１の当接部６３が第１カム面Ｃ１から第３カム面Ｃ３を乗り越えて第２カム面Ｃ２との対向位置を過ぎると、当接部６３による押圧状態が解除され、アップ吸収部材４３はアップ吸収ばね４４の付勢力によって緩衝待機位置へ戻る。
【００４１】
可動ミラー１５がダウン位置に近付くと、図１４のようにミラー従動部材６１の当接部６２がダウン吸収部材４１の第２カム面Ｃ２に対して当接する。第２カム面Ｃ２の手前に位置する緩斜面Ｋ２は、緩斜面Ｋ１よりも内径側に位置するため、当接部６２が第２カム面Ｃ２に対して当接する前にダウン吸収部材４１の翼部５２の側面に当て付いて可動ミラー１５の回動が妨げられるおそれがない。図１４の時点では可動ミラー１５はダウン位置に達しておらず、可動ミラー１５がさらにダウン位置へ向けて回動すると、図１５のように、当接部６２が第２カム面Ｃ２から第３カム面Ｃ３上を摺動しながら、ダウン吸収ばね４２の付勢力に抗してダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から内径方向へ押圧移動させる。円筒状外面の当接部６２は、ダウン吸収部材４１の第２カム面Ｃ２や第３カム面Ｃ３に対してスムーズに摺動することができる。ダウン吸収部材４１がミラー従動部材６１の当接部６２によって緩衝待機位置から押圧されている間、可動ミラー１５の回動に対して、ダウン吸収部材４１とミラー従動部材６１（被押圧突起６５）と押圧突起１６Ｔを経由してダウン吸収ばね４２の負荷が作用し、可動ミラー１５は、ダウン吸収部材４１及びダウン吸収ばね４２によって衝撃吸収されながら回動する。ダウン吸収部材４１の第３カム面Ｃ３は、ミラーダウン時の当接部６２の進行方向に対して徐々に外径側への突出量を大きくする形状であるため、当接部６２が第３カム面Ｃ３を押圧しながら摺動している間は徐々に可動ミラー１５に対する負荷が大きくなり、当接部６２が第３カム面Ｃ３を第１カム面Ｃ１側に乗り越える直前で負荷が最大になる。
【００４２】
可動ミラー１５が図１０のダウン位置まで回動されると、ストッパ部１６ａがダウン位置決めダボ２０に当接して、それ以上の下方への回動が規制される（図１）。このミラーダウン状態では、ミラー従動部材６１の当接部６２がダウン吸収部材４１の第３カム面Ｃ３を乗り越えて翼部５１との対向位置まで達しており、ミラー従動部材６１による押圧状態が解除されたダウン吸収部材４１がダウン吸収ばね４２の付勢力によって緩衝待機位置に戻っている。ミラー従動部材６１は当接部６２を第１カム面Ｃ１と緩斜面Ｋ１に当接させた状態でダウン吸収部材４１の外径側に位置し、当接部６３は第２カム面Ｃ２及び緩斜面Ｋ２から僅かに離間した状態でダウン吸収部材４１の翼部５２に対向し、接続部６４は第３カム面Ｃ３から僅かに離間した状態でダウン吸収部材４１の中間橋絡部５３に対向している。
【００４３】
ここで、ダウン位置に達した可動ミラー１５をアップ位置方向へ反転させる力が作用した場合、可動ミラー１５が若干量回動して押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６に当接する。この状態からさらに可動ミラー１５がアップ位置方向へ回動しようとすると、緩衝待機位置に戻っているダウン吸収部材４１の第１カム面Ｃ１と当接部６２の当接関係によってミラー従動部材６１に対して移動抵抗が作用する。可動ミラー１５がさらにアップ位置方向へ回動するためには、ダウン吸収部材４１をダウン吸収ばね４２の付勢力に抗して押圧移動させる必要があるが、ミラー駆動機構３０の駆動力によるものと異なり、ダウン位置へ達した後の可動ミラー１５の反動では、付勢されたダウン吸収部材４１を移動させるほどの力が加わらないため、可動ミラー１５のバウンド量が所定の大きさ以下に抑えられる。つまり、ダウン吸収部材４１が可動ミラー１５のミラーダウン後の過大なバウンドを抑えるストッパとして機能する。
【００４４】
以上のように、可動ミラー１５がアップ位置からダウン位置に回動するとき、その回動の初期段階（押圧突起１６Ｔが被押圧突起６６から離れて被押圧突起６５に当接するまで）においてアップ吸収部材４３による負荷が可動ミラー１５に対して作用しない構成であるため、可動ミラー１５の初動負荷が小さくなっている。押圧突起１６Ｔが被押圧突起６５に当接してミラー従動部材６１を介してアップ吸収部材４３を緩衝待機位置からアップ吸収ばね４４の付勢力に抗して押圧移動させるようになる段階では、可動ミラー１５が既に所定の速度で回動しているため、可動ミラー１５に対する抵抗が大きい初動段階でアップ吸収部材４３を押圧移動させる構成に比して、駆動負荷を抑えることができる。また前述のように、ミラーダウン時にミラー従動部材６１をアップ吸収部材４３が押圧する際は、緩い傾斜面である第１カム面Ｃ１に対して円筒状外面の当接部６２が摺動する構造であるため、引っ掛かりなどによる過大な抵抗が生じるおそれがない。
【００４５】
そして、可動ミラー１５がダウン位置に近付くと、ミラー従動部材６１の当接部６２によってダウン吸収部材４１を緩衝待機位置から押圧移動させながら、可動ミラー１５に対してダウン吸収ばね４２の負荷が作用して衝撃が吸収される。可動ミラー１５がダウン位置まで達してからのアップ位置方向へのバウンド量は、緩衝待機位置に戻ったダウン吸収部材４１によって制限される。従って、単独のダウン吸収部材４１によって、可動ミラー１５のミラーダウン時の衝撃吸収とミラーダウン後のバウンド抑制を行うことができる。
【００４６】
なお、以上に説明した構成と異なり、スライド部材５０の第３カム面Ｃ３を、仮想中心線Ｇ１に関して対称な形状に設定することも可能である。具体的には、ミラーシートヒンジ１６ｘの軸線を中心とする一定半径の円弧状の面として第３カム面Ｃ３を形成することができる。この場合、ミラー従動部材６１の当接部６２、６３が第３カム面Ｃ３上を移動している間に該ミラー従動部材６１に加わる負荷は常に均等になる。また、第１カム面Ｃ１や第２カム面Ｃ２の形状についても、以上に説明した構成と異ならせることが可能である。例えば、図示の構成では、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２がスライド部材５０の仮想中心線Ｇ１に関して正逆に概ね同じ傾斜角の面として形成されているが（図１６参照）、第１カム面Ｃ１と第２カム面Ｃ２の傾斜角をそれぞれ異ならせることも可能である。カム面の傾斜角に応じてミラー従動部材６１に対する負荷が変化するので、ミラーアップ後やミラーダウン後の可動ミラー１５のバウンド抑制効果を重視して第１カム面Ｃ１の傾斜角を大きくするという設定や、ミラーアップ動作やミラーダウン動作の途中における緩衝性能を重視して第２カム面Ｃ２の傾斜角を大きくするという設定にしてもよい。つまり、スライド部材５０における各カム面Ｃ１、Ｃ２及びＣ３は、可動ミラー１５に対して意図する負荷設定に応じて形状を適宜選択することができる。
【００４７】
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図示実施形態のミラー衝撃吸収機構４０では、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３の２つの緩衝部材を備えているが、ミラーアップ時に機能する緩衝部材とミラーダウン時に機能する緩衝部材のいずれか一方のみを備えた構成にすることも可能である。例えば、図示実施形態におけるアップ吸収部材４３とアップ吸収ばね４４を省略し、ミラーダウン時にのみ機能するミラー衝撃吸収機構として構成することも可能である。この態様でも、ミラーダウン時のバウンド抑制を行うダウン吸収部材４１とダウン吸収ばね４２からの負荷がミラーアップ時の初期段階で可動ミラー１５に作用せず、初動負荷を小さくするという効果が得られる。逆に、ダウン吸収部材４１とダウン吸収ばね４２を省略して、アップ吸収部材４３とアップ吸収ばね４４のみを備えるミラー衝撃吸収機構にすることも可能である。
【００４８】
また図示実施形態では、ダウン吸収部材４１とアップ吸収部材４３が共通仕様のスライド部材５０からなっており、部品の共通化による製造コスト削減効果が得られるが、ミラーダウン時に機能する緩衝部材とミラーアップ時に機能する緩衝部材を異なる仕様にさせることも可能である。
【００４９】
また、図示実施形態では、ミラー従動部材６１の一対の被押圧突起６５、６６と可動ミラー１５側の押圧突起１６Ｔを正円状断面の突起として形成している。この形状は、製造の容易さや、当接させた際の引っ掛かりの生じにくさ、製品ごとの微妙な部品誤差への対応性といった点で優れているが、本発明における可動ミラー側とミラー従動部材側の当接箇所の形状はこれに限定されない。例えば、被押圧突起６５、６６のうち押圧突起１６Ｔに当接される側の面を平面や非円形の湾曲面として形成することも可能である。
【符号の説明】
【００５０】
１０ 一眼レフカメラ
１１ カメラボディ
１２ レンズ鏡筒
１３ レンズマウント
１４ ミラーボックス
１４ａ １４ｂ １４ｃ １４ｄ ガイドピン
１４ｅ １４ｆ ばね支持突起
１４ｇ 貫通ガイド孔
１５ 可動ミラー（クイックリターンミラー）
１５ａ メインミラー
１６ ミラーシート
１６ａ ストッパ部
１６ｂ ミラーシートボス
１６ｘ ミラーシートヒンジ（可動ミラーの回動軸）
１６Ｔ 押圧突起
１７ サブミラー
１８ フォーカルプレーンシャッタ
１９ イメージセンサ（撮像用受光媒体）
２０ ダウン位置決めダボ
２１ 上方ストッパ
２２ ファインダ光学系
２２ａ ファインダ窓
２３ 測光ユニット
２４ 測距ユニット
２５ ＬＣＤモニタ
３０ ミラー駆動機構
３１ モータ
３２ 減速ギヤ列
３３ カムギヤ
３４ ミラー駆動レバー
３４ｘ ミラー駆動レバーの軸
３５ シャッタチャージレバー
４０ ミラー衝撃吸収機構
４１ ダウン吸収部材（緩衝部材、第１の緩衝部材）
４２ ダウン吸収ばね（付勢部材）
４３ アップ吸収部材（緩衝部材、第２の緩衝部材）
４４ アップ吸収ばね（付勢部材）
４５ 押さえ板
５０ スライド部材（共通仕様の緩衝部材）
５１ ５２ 翼部
５３ 中間橋絡部
５４ ５５ ガイド孔
５６ ばね収納部
５７ ばね支持突起
６１ ミラー従動部材
６２ 当接部（第１の当接部）
６３ 当接部（第２の当接部）
６４ 接続部
６５ 被押圧突起（第１の被押圧部）
６６ 被押圧突起（第２の被押圧部）
Ｃ１ 第１カム面
Ｃ２ 第２カム面
Ｃ３ 第３カム面
Ｋ１ 緩斜面
Ｋ２ 緩斜面
【特許請求の範囲】
【請求項１】
撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラーを備えたカメラにおいて、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第１の被押圧部と、上記可動ミラーが上記退避位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第２の被押圧部を備え、各被押圧部が押圧されることにより上記可動ミラーの回動に伴って移動され、かつ上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部の間に上記可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔を有するミラー従動部材；及び
上記可動ミラーの回動に伴って移動する上記ミラー従動部材によって押圧されて上記可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材；
を備え、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置と上記退避位置から回動するとき、上記空走間隔によって上記ミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いて上記ミラー従動部材を押圧移動させながら回動することを特徴とするカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項２】
請求項１記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記緩衝部材は、上記ミラー従動部材の移動軌跡上に進出する緩衝待機位置に付勢部材によって保持され、上記ミラー従動部材によって押圧されたときに上記付勢部材に抗して移動されるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項３】
請求項１または２記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記可動ミラーを支持するミラーボックスに該可動ミラーの回動軌跡に沿うガイド孔が形成され、上記ミラー従動部材の上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部はそれぞれ、上記ガイド孔に摺動可能に挿通される突起からなるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項４】
請求項３記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記可動ミラーは、上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部の間に位置して上記可動ミラーの回動に応じて上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部を押圧する押圧突起を有しているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項５】
請求項１ないし４のいずれか１項記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、
上記ミラー従動部材は、第１の当接部と第２の当接部を有し、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置に位置するときに上記ミラー従動部材の上記第１の当接部に当接する第１の上記緩衝部材と、上記可動ミラーが上記退避位置に位置するときに上記ミラー従動部材の上記第２の当接部に当接する第２の上記緩衝部材を備えているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項６】
請求項５記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記ミラー従動部材は、上記第１の当接部と上記第２の当接部を上記ミラー従動部材の移動方向に離間させて接続する接続部を有し、上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部はそれぞれ上記第１の当接部と上記第２の当接部から突出形成されているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項７】
請求項６記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記第１の緩衝部材と上記第２の緩衝部材が共通仕様の緩衝部材であるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項１】
撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラーを備えたカメラにおいて、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第１の被押圧部と、上記可動ミラーが上記退避位置方向に回動するときに該可動ミラーにより押圧される第２の被押圧部を備え、各被押圧部が押圧されることにより上記可動ミラーの回動に伴って移動され、かつ上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部の間に上記可動ミラーを当接させずに回動を行わせる空走間隔を有するミラー従動部材；及び
上記可動ミラーの回動に伴って移動する上記ミラー従動部材によって押圧されて上記可動ミラーの衝撃吸収を行う緩衝部材；
を備え、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置と上記退避位置から回動するとき、上記空走間隔によって上記ミラー従動部材を押圧せずに初期回動し、続いて上記ミラー従動部材を押圧移動させながら回動することを特徴とするカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項２】
請求項１記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記緩衝部材は、上記ミラー従動部材の移動軌跡上に進出する緩衝待機位置に付勢部材によって保持され、上記ミラー従動部材によって押圧されたときに上記付勢部材に抗して移動されるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項３】
請求項１または２記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記可動ミラーを支持するミラーボックスに該可動ミラーの回動軌跡に沿うガイド孔が形成され、上記ミラー従動部材の上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部はそれぞれ、上記ガイド孔に摺動可能に挿通される突起からなるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項４】
請求項３記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記可動ミラーは、上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部の間に位置して上記可動ミラーの回動に応じて上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部を押圧する押圧突起を有しているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項５】
請求項１ないし４のいずれか１項記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、
上記ミラー従動部材は、第１の当接部と第２の当接部を有し、
上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置に位置するときに上記ミラー従動部材の上記第１の当接部に当接する第１の上記緩衝部材と、上記可動ミラーが上記退避位置に位置するときに上記ミラー従動部材の上記第２の当接部に当接する第２の上記緩衝部材を備えているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項６】
請求項５記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記ミラー従動部材は、上記第１の当接部と上記第２の当接部を上記ミラー従動部材の移動方向に離間させて接続する接続部を有し、上記第１の被押圧部と上記第２の被押圧部はそれぞれ上記第１の当接部と上記第２の当接部から突出形成されているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【請求項７】
請求項６記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記第１の緩衝部材と上記第２の緩衝部材が共通仕様の緩衝部材であるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２０１３−１１４０７１（Ｐ２０１３−１１４０７１Ａ）
【公開日】平成２５年６月１０日（２０１３．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２６０６８５（Ｐ２０１１−２６０６８５）
【出願日】平成２３年１１月２９日（２０１１．１１．２９）
【出願人】（３１１０１５２０７）ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年６月１０日（２０１３．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１１月２９日（２０１１．１１．２９）
【出願人】（３１１０１５２０７）ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]