説明

カメラモジュール

【課題】撮像素子と基板とを接続するワイヤ部分の厚みを減らして全体を薄型化することのできるカメラモジュールを提供する。
【解決手段】上面に撮像素子5を配置した基板1と、基板1上に設けられて撮像素子5を覆い内部にレンズ6を納めてなる筐体2とを有し、撮像素子5は周縁部でワイヤ30を介して基板1と接続され、筐体2は基板1と対向する下部にワイヤ30に対して上方から当接するフォーミング部15を有し、フォーミング部15はワイヤ30をフォーミングしてその最高点の高さ位置を低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を配置した基板上にレンズを保持した筐体を設けてなるカメラモジュールに関し、特に筐体の下部において撮像素子と基板を接続するワイヤをフォーミングするカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内にレンズを納めて構成されるカメラモジュールは、撮像素子を配置した基板上に筐体を設けてなるものである。この場合に、撮像素子と基板とは多数のワイヤによって接続される。具体的には、撮像素子の周縁部と基板の上面との間でワイヤボンディングがなされ、これによって撮像素子からの出力を基板側で得ることができるようにしている。
【0003】
撮像素子と基板とを接続するワイヤは、撮像素子の上面と基板の上面にそれぞれ接続される。ここで、ワイヤの撮像素子及び基板上面との接続角度が小さいと、断線等を生じるおそれがあるため、接続角度はできるだけ大きくなるようにしている。このため、ワイヤは中間部が盛り上がるように配設される。このようなカメラモジュールとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】実登3084092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカメラモジュールは筐体がワイヤに触れないよう下部に空間部を形成していたため、筐体の厚みが大きくなっていた。このため、カメラモジュール全体の薄型化を阻害するという問題点を有していた。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像素子と基板とを接続するワイヤ部分の厚みを減らして全体を薄型化することのできるカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るカメラモジュールは、上面に撮像素子を配置した基板と、該基板上に設けられて前記撮像素子を覆い内部にレンズを納めてなる筐体とを有したカメラモジュールにおいて、
前記撮像素子は周縁部でワイヤを介して前記基板と接続され、前記筐体は前記基板と対向する下部に前記ワイヤに対して上方から当接するフォーミング部を有し、該フォーミング部は前記ワイヤをフォーミングしてその最高点の高さ位置を低くすることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係るカメラモジュールは、前記フォーミング部は前記ワイヤの撮像素子との接続側部を略水平状にフォーミングする水平部と、前記ワイヤの基板との接続側部を湾曲状にフォーミングする湾曲部とを備えてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係るカメラモジュールは、前記フォーミング部は側部に前記ワイヤを横方向に規制するガイド部を有してなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカメラモジュールによれば、撮像素子は周縁部でワイヤを介して基板と接続され、筐体は基板と対向する下部にワイヤに対して上方から当接するフォーミング部を有し、フォーミング部はワイヤをフォーミングしてその最高点の高さ位置を低くすることにより、ワイヤを変形させて上下方向に高さを小さくすることができるので、基板と筐体との間の空間部を低くすることができ、全体の薄型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係るカメラモジュールによれば、フォーミング部はワイヤの撮像素子との接続側部を略水平状にフォーミングする水平部と、ワイヤの基板との接続側部を湾曲状にフォーミングする湾曲部とを備えてなることにより、ワイヤを上方から確実に決まった形状に変形させることができ、また各接続部分の接続角度を適切なものとすることができるので、ワイヤの断線を防止することができる。
【0011】
さらに、本発明に係るカメラモジュールによれば、フォーミング部は側部にワイヤを横方向に規制するガイド部を有してなることにより、ワイヤが変形する際に隣接するワイヤと接触して短絡が生じることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるカメラモジュールの断面図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるカメラモジュールは、基板1上に筐体2を配置してなり、基板1は上面に撮像素子5が配置され、筐体2は基板1上に固定される基部3と、この基部3に固定されレンズ6を内部に保持した鏡筒4とからなっている。
【0013】
基板1は平板状に形成されて、その上面にCMOSまたはCCDからなる撮像素子5を載置している。この撮像素子5に対しては、レンズ6を介して取り込んだ撮像対象からの光が結像され、撮像素子5は受光した光を電気信号に変換して出力する。
【0014】
筐体2を構成する基部3は、樹脂材を成形してなるものであり、下部には基板1に対する固定部となる土台部10が、上部には鏡筒4を収納する略円筒状の収納部11が、それぞれ形成される。基部3を構成する土台部10には、周縁部に四周に渡って基板に対し当接する基板当接部10aと、この基板当接部10aよりも内周側に設けられ、四周に渡って撮像素子5の周囲部に当接する素子当接部10bとが形成されている。また、基板当接部10aと素子当接部10bとの間の領域の下部には、基板1と撮像素子5とを接続するワイヤ30を変形させてフォーミングするフォーミング部15が形成されている。このフォーミング部15については後で詳述する。
【0015】
基部3を構成する収納部11の内周下部には、開口12aを有した底面部12が形成されており、その上面には開口12aを塞ぐようにフィルタ13が載置される。また、収納部11の内周面には、ネジ山が設けられたネジ部14が形成されている。
【0016】
筐体2を構成する鏡筒4は、基部3と同様に樹脂材を成形してなるものであり、その内周面にレンズ6を保持することができるように円筒状に形成されると共に、上端部には鍔部23が全周に渡って形成される。レンズ6は、撮像対象からの光を集光するものであって、本実施形態では凸レンズと凹レンズを組み合わせている。
【0017】
鏡筒4の外周面には、ネジ山が設けられたネジ部24が形成されており、収納部11のネジ部14に対して螺合自在とされている。これによって鏡筒4は、収納部11に対してレンズ6の光軸方向に調整できるように移動可能とされている。
【0018】
図2には、基板1及び撮像素子5の平面図を示している。この図に示すように、基板1と撮像素子5は、多数のワイヤ30によって接続されている。ワイヤ30は、一端部が撮像素子5の周縁部に固定され、他端部が基板1に固定される。また、これらワイヤ30は撮像素子5の各辺においてそれぞれが平行となるように配設される。
【0019】
図2に示す破線は、基部3を構成する土台部10の位置を示しており、前述のように土台部10には基板1の周縁部領域において基板1に対して当接する基板当接部10aが配置され、撮像素子5の周囲部領域において撮像素子5に対して当接する素子当接部10bが配置され、ワイヤ30が設けられる領域にはフォーミング部15が配置される。
【0020】
図3には、基板1及び撮像素子5の筐体2を取付ける前の状態の拡大断面図を示している。この図に示すように、撮像素子5の上面と基板1の上面との間に設けられるワイヤ30は、一端部である素子接続部31において撮像素子5の上面と接続され、他端部である基板接続部32において基板1の上面と接続されている。また、ワイヤ30は素子接続部31と基板接続部32との間の中間部が上方に盛り上がる凸状となるように配設される。
【0021】
図4には、図1におけるフォーミング部15周辺の拡大図を示している。この図に示すように、フォーミング部15は基板1と撮像素子5及び筐体2との間の領域においてワイヤ30に対し上方から当接すると共に、その形状を規制するように形成される。具体的には、フォーミング部15は基板当接部10aよりも上方に位置する水平面からなる水平部15aと、水平部15aよりも外周側において段差状に形成された湾曲部15bとから構成されている。
【0022】
フォーミング部15によって上方から押圧されたワイヤ30は、素子接続部31からそれよりも上方に位置するフォーミング部15の水平部15aに向かって所定角度で上方に延び、水平部15aにおいてフォーミング部15に上方から当接されて、水平状に形状を規制される。また、段差が形成されたフォーミング部15の湾曲部15bにおいては、その形状に沿って下方に延び、湾曲部15bの角部付近で湾曲した上で基板接続部32に向かって所定角度で下方に延びている。
【0023】
フォーミング部15は、各ワイヤ30に対して同様の形状を有し、かつ各ワイヤ30間において水平部15aから湾曲部15bにかけての段差部分に薄板状のガイド部15cを有している。ガイド部15cは、各ワイヤ30間を仕切るように形成されており、したがってワイヤ30は隣接するワイヤ30に接触しないように横方向の移動が規制される。
【0024】
このように、筐体2の下部にワイヤ30に上方から当接しその形状を規制するフォーミング部15を形成したことにより、ワイヤ30は確実にその形状に沿って変形し、しかも素子接続部31と基板接続部32においては所定角度でワイヤ30が接続されるようにしたので、ワイヤ30の高さを低く抑えつつ、ワイヤ30を確実に所定の形状にフォーミングして接続部における断線を防止することができる。このため、基板1と筐体2との間に空間部を高く形成する必要がなく、したがってカメラモジュール全体の薄型化を図ることができる。
【0025】
筐体2を基板1に取付けるにあたっては、ワイヤ30が図3に示すような状態で筐体2を取付け、フォーミング部15によってワイヤ30を直接変形させることもできるし、フォーミング部15と同様の形状を下端部に有する治具によって予めワイヤ30を変形させた上で、筐体2を取付けるようにしてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態ではフォーミング部15は水平部15aと湾曲部15bを有するように形成したが、フォーミング部15は少なくともワイヤ30に対して上方から当接する水平部分を有していればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態におけるカメラモジュールの断面図である。
【図2】基板及び撮像素子の平面図である。
【図3】基板及び撮像素子の筐体を取付ける前の状態の拡大断面図である。
【図4】図1におけるフォーミング部周辺の拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
1 基板
2 筐体
3 基部
4 鏡筒
5 撮像素子
6 レンズ
10 土台部
10a 基板当接部
10b 素子当接部
15 フォーミング部
15a 水平部
15b 湾曲部
15c ガイド部
30 ワイヤ
31 素子接続部
32 基板接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に撮像素子を配置した基板と、該基板上に設けられて前記撮像素子を覆い内部にレンズを納めてなる筐体とを有したカメラモジュールにおいて、
前記撮像素子は周縁部でワイヤを介して前記基板と接続され、前記筐体は前記基板と対向する下部に前記ワイヤに対して上方から当接するフォーミング部を有し、該フォーミング部は前記ワイヤをフォーミングしてその最高点の高さ位置を低くすることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記フォーミング部は前記ワイヤの撮像素子との接続側部を略水平状にフォーミングする水平部と、前記ワイヤの基板との接続側部を湾曲状にフォーミングする湾曲部とを備えてなることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記フォーミング部は側部に前記ワイヤを横方向に規制するガイド部を有してなることを特徴とする請求項1または2記載のカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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