説明

カメラ装置および空冷促進器

【課題】 電力を用いることなくカメラの空冷効果を高めることのできるカメラ装置を提供する。
【解決手段】 カメラ装置1は、カメラ2と特殊サンシールド4を備える。特殊サンシールド4は、カメラ2を覆うサンシールド部5と、サンシールド部5の上部に設けられる空冷促進部6とを備える。カメラ2の外周面とサンシールド部5の内周面との間には、下方に入口部8を有しかつ上方に出口部9を有する空冷用の通気路7が設けられる。空冷促進部6は、下側開口部13と上側開口部14を有する筒状本体10を備え、筒状本体10の下側開口部13は、通気路7の出口部9に接続されている。空冷促進部6の材料は、サンシールド部5に比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を用いずにカメラを空冷する機能を備えたカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を用いずに、カメラ装置の内部で発生する熱を外部に放熱するための技術が提案されている。例えば、従来のカメラ装置では、カメラ装置のハウジングに吸気部と排気部が設けられており、吸気部から取り込んだ外気によってハウジング内部の空冷が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−172564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラ装置では、空冷効果がそれほど高くないため、気温が高い地域で屋外(特に、太陽光のあたる場所)に設置される場合には、空冷効果が不足するおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、電力を用いることなくカメラの空冷効果を高めることのできるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラ装置は、カメラと、前記カメラを覆うサンシールドと、前記サンシールドの上部に設けられる空冷促進器とを備えたカメラ装置において、前記カメラの外周面と前記サンシールドの内周面との間には、下方に入口部を有しかつ上方に出口部を有する空冷用の通気路が設けられ、前記空冷促進器は、下側開口部と上側開口部を有する筒状本体を備え、前記筒状本体の下側開口部は、前記通気路の出口部に接続されており、前記空冷促進器の材料は、前記サンシールドに比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられた構成を有している。
【0007】
この構成により、カメラを覆うサンシールドとカメラとの間には、空冷用の通気路が設けられる。通気路の下方には入口部が設けられている。一方、通気路の上方の出口部は、空冷促進器の筒状本体の下側開口部に接続されており、空冷促進器の筒状本体の上方には上側開口部が設けられている。なお、サンシールドと空冷促進器とは、一体でもよく、別体でもよい。空冷促進器は太陽熱吸収率が高いので、太陽光を受けたときに、空冷促進器の温度が高くなり、空冷促進器の筒状本体の内部の空気の温度が高くなる。一方、サンシールドは太陽熱吸収率が低いので、太陽光を受けたときに、サンシールドの温度はそれほど高くならず、通気路の内部の空気の温度もそれほど高くならない。このようにして、通気路の内部の空気と空冷促進器の筒状本体の内部の空気に温度差ができると、いわゆる煙突効果により、空冷促進器の筒状本体の内部で温められた空気が上昇し上側開口部から流れ出て、その結果、通気路の下方の入口部から空気(外気)が流れ込むようになる。このようにして、通気路の入口部から流れ込んだ空気(外気)でカメラを冷やすことができる。この場合、空冷用のファンなどを用いることがなく、したがって、空冷用のファンなどを駆動させるための電力を要することもない。
【0008】
また、本発明のカメラ装置では、前記筒状本体の下側開口部と前記通気路の出口部とが、気密性が保たれた状態で接続された構成を有している。
【0009】
この構成により、空冷促進器の筒状本体の下側開口部と通気路の出口部との気密性が保たれるので、煙突効果が阻害されず、通気路の入口部から流れ込んだ空気(外気)でカメラを冷やすことができる。
【0010】
また、本発明のカメラ装置では、前記筒状本体の下側開口部と前記通気路の出口部とが、断熱された状態で接続された構成を有している。
【0011】
この構成により、空冷促進器の筒状本体の下側開口部と通気路の出口部とが断熱されるので、空冷促進器の筒状本体の熱が、サンシールドやカメラに伝達するのが抑えられる。したがって、空冷促進器の筒状本体の熱で、通気路の内部の空気の温度が上がるのを抑えることができ、煙突効果(カメラの空冷効果)が弱まるのを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明のカメラ装置では、前記空冷促進器が、前記筒状本体の外周面から外側に向けて延びるように設けられた板状の太陽熱吸収用フィンを備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、空冷促進器に設けられた太陽熱吸収用フィンにより、太陽光を受ける面積を増やすことができる。したがって、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する効率を上げることができ、煙突効果(カメラの空冷効果)を高めることができる。
【0014】
また、本発明のカメラ装置では、複数の前記太陽熱吸収用フィンが、前記筒状本体の上側から下側に並ぶように設けられ、最も下側の太陽熱吸収用フィンは、前記筒状本体の外周面から斜め下方に向けて延びた構成を有している。
【0015】
この構成により、最も下側の太陽熱吸収用フィンが、サンシールドの傘としても機能し、太陽光を受けたときに、サンシールドの温度が高くなるのを抑えることができる。これにより、煙突効果(カメラの空冷効果)を高めることができる。
【0016】
また、本発明のカメラ装置では、前記筒状本体の下側に設けられた太陽熱吸収用フィンの長さが、前記筒状本体の上側に設けられた太陽熱吸収用フィンの長さより、長くなるように設定された構成を有している。
【0017】
この構成により、樹木の葉のように、空冷促進器の筒状本体に設けられた複数の太陽熱吸収用フィンで、効率よく太陽光を受けることができ、煙突効果(カメラの空冷効果)を高めることができる。
【0018】
また、本発明のカメラ装置では、前記太陽熱吸収率が高い材料として、黒色の塗装または黒色の表面処理がなされた金属が用いられた構成を有している。
【0019】
この構成により、空冷促進器の太陽熱吸収率を高くすることができ、したがって、太陽光を受けたときに、適切に煙突効果を得ることができ、通気路の入口部から流れ込んだ空気(外気)でカメラを冷やすことができる。
【0020】
また、本発明のカメラ装置では、前記空冷促進器の筒状本体の内周面に、前記筒状本体の上側から下側に向かって延びる伝熱用フィンが設けられた構成を有している。
【0021】
この構成により、空冷促進器の筒状本体、太陽熱吸収用フィンで受けた太陽熱が、伝熱用フィンで筒状本体の内部に伝達される。これにより、効率的に太陽熱を煙突効果促進に活用することができる。
【0022】
本発明の空冷促進器は、カメラと前記カメラを覆うサンシールドとを備えたカメラ装置に取り付けられ、前記サンシールドの上部に配置される空冷促進器であって、前記カメラの外周面と前記サンシールドの内周面との間には、下方に入口部を有しかつ上方に出口部を有する空冷用の通気路が設けられ、前記空冷促進器は、下側開口部と上側開口部を有する筒状本体を備え、前記筒状本体の下側開口部は、前記通気路の出口部に接続されており、前記空冷促進器の材料は、前記サンシールドに比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられた構成を有している。
【0023】
この空冷促進器によっても、上記と同様に、いわゆる煙突効果により、空冷促進器の筒状本体の内部で温められた空気が上昇し上側開口部から流れ出て、その結果、カメラ装置の通気路の下方の入口部から空気(外気)が流れ込むようになる。このようにして、通気路の入口部から流れ込んだ空気(外気)でカメラを冷やすことができる。この場合、空冷用のファンなどを用いることがなく、したがって、空冷用のファンなどを駆動させるための電力を要することもない。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、電力を用いることなくカメラの空冷効果を高めることができるという効果を有するカメラ装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態におけるカメラ装置の説明図
【図2】本発明の実施の形態におけるカメラ装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態における太陽熱吸収用フィンと伝熱用フィンの説明図
【図4】サンシールドの変形例(変形例1)の説明図
【図5】サンシールドの変形例(変形例2)の説明図
【図6】サンシールドの変形例(変形例3)の説明図
【図7】サンシールドの変形例(変形例4)の説明図
【図8】カメラ装置の変形例(または空冷促進器)の説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態のカメラ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、気温が高い地域で屋外(特に、太陽光のあたる場所)に設置される監視カメラ等として用いられるカメラ装置の場合を例示する。
【0027】
本発明の実施の形態のカメラ装置の構成を、図1〜図3を参照して説明する。図1は、カメラ装置の構成を説明するための側面図であり、図2は、カメラ装置の斜視図である。図1および図2に示すように、カメラ装置1は、屋外の壁面などに支持部材3を用いて取り付けられる吊り下げ型のカメラ2と、カメラ2の外周を覆う特殊サンシールド4で構成されている。カメラ2は、例えば、ドーム型の監視カメラ2であり、ユーザ(監視者)の遠隔操作によりパン方向およびチルト方向に旋回する機能を備えている。また、カメラ2のケーブル(電源ケーブルや通信ケーブルなど)は、筒状の支持部材3の内部に挿通されている。
【0028】
図1に示すように、特殊サンシールド4は、カメラ2を覆うためのサンシールド部5と、カメラ2の空冷を行うための空冷促進部6とで構成される。サンシールド部5は、従来から設けられているサンシールドであってよい。空冷促進部6は、サンシールド部5の上部に設けられる。この場合、サンシールド部5と空冷促進部6が一体的に形成されている。ここでは、サンシールド部5が、本発明のサンシールドに相当し、空冷促進部6が、本発明の空冷促進器に相当する。
【0029】
サンシールド部5の内周面とカメラ2の外周面との間には、カメラ2の空冷用の通気路7が設けられている。この通気路7には、入口部8と出口部9が設けられており、下方の入口部8から通気路7に流れ込んだ空気(外気)は、通気路7を通って、上方の出口部9から流れ出るように構成されている。サンシールド部5の外周面には、太陽光の反射率の高い材料(例えば、遮熱シリコン系塗料や塗熱フッ素系塗料など)の塗装または表面処理がなされている。
【0030】
空冷促進部6は、略円筒状の筒状本体10と、筒状本体10の外周面に設けられる複数の太陽熱吸収用フィン11と、筒状本体10の内周面に設けられる複数の伝熱用フィン12で構成されている。筒状本体10には、下側開口部13と上側開口部14が設けられており、下側開口部13は、上述の通気路7の出口部9に接続している。この場合、サンシールド部5と空冷促進部6が一体的に形成されているので、筒状本体10の下側開口部13と通気路7の出口部9とは、気密性が保たれた状態で接続されている。したがって、通気路7の出口部9から流れ出た空気は、そのまま外部に漏れることなく空冷促進部6の筒状本体10に流れ込み、筒状本体10に流れ込んだ空気は、筒状本体10を通って、上側開口部14から外部に流れ出るようになっている。
【0031】
図3は、太陽熱吸収用フィン11と伝熱用フィン12の構成を説明するための平面図である。図1〜図3に示すように、太陽熱吸収用フィン11は、筒状本体10の外周面から外側に向けて延びるように設けられている。図1および図2に示すように、この例では、4枚の太陽熱吸収用フィン11が、筒状本体10の上側から下側に並ぶように設けられており、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11が、円板状であり(図3参照)、最も下側の太陽熱吸収用フィン11が、円錐板状(傘状)である。つまり、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11が、筒状本体10の外周面から水平方向に向けて延びており、最も下側の太陽熱吸収用フィン11が、筒状本体10の外周面から斜め下方に向けて延びている。この場合、最も下側の太陽熱吸収用フィン11の長さは、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11の長さより、長くなるように設定されている。なお、ここでは、太陽熱吸収用フィン11の枚数が4枚である場合を例示したが、太陽熱吸収用フィン11の枚数は、これに限定されるものではなく、太陽熱吸収用フィン11は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0032】
図1および図3に示すように、伝熱用フィン12は、筒状本体10の上側から下側に向かって延びるように設けられている。伝熱用フィン12は、筒状本体10の内周面から内側に向けて延びる平板状である。この例では、6枚の伝熱用フィン12が、筒状本体10の内周面に放射状に設けられている。なお、ここでは、伝熱用フィン12の枚数が6枚である場合を例示したが、伝熱用フィン12の枚数は、これに限定されるものではなく、伝熱用フィン12は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0033】
空冷促進部6の材料は、サンシールド部5に比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられる。太陽熱吸収率が高い材料としては、黒色の塗装または黒色の表面処理がなされた金属が用いられる。例えば、特殊サンシールド4は、金属製(例えば、アルミニウム製)であり、空冷促進部6(特に、筒状本体10と太陽熱吸収用フィン11)の外周面には、黒色の塗装や黒色の表面処理(例えば、黒色アルマイト処理)がなされている。
【0034】
以上のように構成されたカメラ装置1について、次にその動作を説明する。
【0035】
本実施の形態のカメラ装置1は、気温が高い地域で用いられ、屋外(特に、太陽光のあたる場所)に設置される。空冷促進部6(太陽熱吸収率が高い)は、太陽光を受けると温度が高くなり、筒状本体10の内部の空気の温度も高くなる。一方、サンシールド部5(太陽熱吸収率が低い)は、太陽光を受けても温度がそれほど高くならず、通気路7の内部の空気の温度もそれほど高くならない。その結果、通気路7の内部の空気と空冷促進部6の筒状本体10の内部の空気に温度差ができる。そうすると、いわゆる煙突効果により、図1において矢印で示すように、空冷促進部6の筒状本体10の内部で温められた空気が上昇し上側開口部14から流れ出て、通気路7の下方の入口部8から空気(外気)が流れ込むようになり、通気路7の入口部8から流れ込んだ空気(外気)でカメラ2が冷やされる。
【0036】
このような本実施の形態のカメラ装置1によれば、電力を用いることなくカメラ2の空冷効果を高めることができる。
【0037】
本実施の形態では、特殊サンシールド4のサンシールド部5とカメラ2との間には、空冷用の通気路7が設けられる。通気路7の下方には入口部8が設けられている。一方、通気路7の上方の出口部9は、特殊サンシールド4の空冷促進部6の筒状本体10の下側開口部13に接続されており、空冷促進部6の筒状本体10の上方には上側開口部14が設けられている。空冷促進部6は太陽熱吸収率が高いので、太陽光を受けたときに、空冷促進部6の温度が高くなり、空冷促進部6の筒状本体10の内部の空気の温度が高くなる。一方、サンシールド部5は太陽熱吸収率が低いので、太陽光を受けたときに、サンシールド部5の温度はそれほど高くならず、通気路7の内部の空気の温度もそれほど高くならない。
【0038】
このようにして、通気路7の内部の空気と空冷促進部6の筒状本体10の内部の空気に温度差ができると、いわゆる煙突効果により、空冷促進部6の筒状本体10の内部で温められた空気が上昇し上側開口部14から流れ出て、その結果、通気路7の下方の入口部8から空気(外気)が流れ込むようになる。このようにして、通気路7の入口部8から流れ込んだ空気(外気)でカメラ2を冷やすことができる。この場合、空冷用のファンなどを用いることがなく、したがって、空冷用のファンなどを駆動させるための電力を要することもない。本発明によれば、特に、カメラ筐体内部が密閉構造を要求される屋外設置用の監視カメラ装置でも、外気を利用してカメラ2を冷やすことができる。
【0039】
また、本実施の形態では、サンシールド部5と空冷促進部6が一体に形成されており、空冷促進部6の筒状本体10の下側開口部13と通気路7の出口部9との気密性が保たれる。したがって、煙突効果が阻害されず、通気路7の入口部8から流れ込んだ空気(外気)でカメラ2を冷やすことができる。
【0040】
また、本実施の形態では、空冷促進部6に設けられた太陽熱吸収用フィン11により、太陽光を受ける面積を増やすことができる。したがって、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する効率を上げることができ、煙突効果(カメラ2の空冷効果)を高めることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、最も下側の太陽熱吸収用フィン11が、サンシールド部5の傘としても機能し、太陽光を受けたときに、サンシールド部5の温度が高くなるのを抑えることができる。これにより、煙突効果(カメラ2の空冷効果)を高めることができる。
【0042】
さらに、本実施の形態では、空冷促進器6の筒状本体10、太陽熱吸収用フィン11で受けた太陽熱が、伝熱用フィン12で筒状本体10の内部に伝達される。これにより、効率的に太陽熱を煙突効果促進に活用することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、空冷促進部6の筒状本体10の内部の空気の流れが、伝熱用フィン12で整えられる。これにより、図1に示すように、筒状本体10の下側開口部13から上側開口部14へ向けて空気がまっすぐに流れやすくなり、煙突効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0045】
例えば、以上の説明では、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11が、筒状本体10の外周面から水平方向に向けて延びる円板状である例について説明したが、図4に示すように、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11も、筒状本体10の外周面から斜め下方に向けて延び円錐板状(傘状)であってもよい。
【0046】
また、以上の説明では、最も下側の太陽熱吸収用フィン11の長さが、上側の3枚の太陽熱吸収用フィン11の長さより、長くなるように設定されている例について説明したが、図5に示すように、すべての太陽熱吸収用フィン11の長さが同じ長さに設定されていてもよい。
【0047】
また、図6に示すように、筒状本体10の下側の太陽熱吸収用フィン11の長さが、筒状本体10の上側の太陽熱吸収用フィン11の長さより、長くなるように設定されていてもよい。つまり、筒状本体10の上側から下側になるにつれて、太陽熱吸収用フィン11の長さが、長くなるように設定されていてもよい。これにより、樹木の葉のように、空冷促進部6の筒状本体10に設けられた複数の太陽熱吸収用フィン11で、効率よく太陽光を受けることができ、煙突効果(カメラ2の空冷効果)を高めることができる。
【0048】
また、以上の説明では、太陽熱吸収用フィン11の形状が、円板状(図3参照)である例について説明したが、図7に示すように、太陽熱吸収用フィン11の形状は、部分円板状(扇形状)であってもよい。この場合、太陽熱吸収用フィン11は、扇形の中心方向(図7における下方向)が正中(北半球では南向き)の方角を向くように設置される。
【0049】
また、以上の説明では、サンシールド部5(本発明のサンシールド)と空冷促進部6(本発明の空冷促進器)が一体的に形成された例について説明したが、図8に示すように、サンシールド20と空冷促進器21は別体であってもよい。この場合、サンシールド20と空冷促進器21との間には、断熱性を有するシール部材22が介在される。このシール部材22の材料としては、例えば、熱伝導率の低い綿ロープ等が用いられる。シール部材22を介在させることにより、空冷促進器21の筒状本体10の下側開口部13と通気路7の出口部9とが、気密性が保たれた状態かつ断熱された状態で接続される。
【0050】
このように、空冷促進器21の筒状本体10の下側開口部13と通気路7の出口部9との気密性が保たれるので、煙突効果が阻害されず、通気路7の入口部8から流れ込んだ空気(外気)でカメラ2を冷やすことができる。また、空冷促進器21の筒状本体10の下側開口部13と通気路7の出口部9とが断熱されるので、空冷促進器21の筒状本体10の熱が、サンシールド20やカメラ2に伝達するのが抑えられる。したがって、空冷促進器21の筒状本体10の熱で、通気路7の内部の空気の温度が上がるのを抑えることができ、煙突効果(カメラ2の空冷効果)が弱まるのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかるカメラ装置は、電力を用いることなくカメラの空冷効果を高めることができるという効果を有し、気温が高い地域で屋外(特に、太陽光のあたる場所)に設置される監視カメラ等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 カメラ装置
2 カメラ
3 支持部材
4 特殊サンシールド
5 サンシールド部
6 空冷促進部
7 通気路
8 入口部
9 出口部
10 筒状本体
11 太陽熱吸収用フィン
12 伝熱用フィン
13 下側開口部
14 上側開口部
20 サンシールド
21 空冷促進器
22 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、前記カメラを覆うサンシールドと、前記サンシールドの上部に設けられる空冷促進器とを備えたカメラ装置において、
前記カメラの外周面と前記サンシールドの内周面との間には、下方に入口部を有しかつ上方に出口部を有する空冷用の通気路が設けられ、
前記空冷促進器は、下側開口部と上側開口部を有する筒状本体を備え、前記筒状本体の下側開口部は、前記通気路の出口部に接続されており、
前記空冷促進器の材料は、前記サンシールドに比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられることを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記筒状本体の下側開口部と前記通気路の出口部とは、気密性が保たれた状態で接続されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記筒状本体の下側開口部と前記通気路の出口部とは、断熱された状態で接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記空冷促進器は、前記筒状本体の外周面から外側に向けて延びるように設けられた板状の太陽熱吸収用フィンを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカメラ装置。
【請求項5】
複数の前記太陽熱吸収用フィンが、前記筒状本体の上側から下側に並ぶように設けられ、
最も下側の太陽熱吸収用フィンは、前記筒状本体の外周面から斜め下方に向けて延びることを特徴とする請求項4に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記筒状本体の下側に設けられた太陽熱吸収用フィンの長さは、前記筒状本体の上側に設けられた太陽熱吸収用フィンの長さより、長くなるように設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記太陽熱吸収率が高い材料として、黒色の塗装または黒色の表面処理がなされた金属が用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のカメラ装置。
【請求項8】
前記空冷促進器の筒状本体の内周面には、前記筒状本体の上側から下側に向かって延びる伝熱用フィンが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のカメラ装置。
【請求項9】
カメラと前記カメラを覆うサンシールドとを備えたカメラ装置に取り付けられ、前記サンシールドの上部に配置される空冷促進器であって、
前記カメラの外周面と前記サンシールドの内周面との間には、下方に入口部を有しかつ上方に出口部を有する通気路が設けられ、
前記空冷促進器は、下側開口部と上側開口部を有する筒状本体を備え、前記筒状本体の下側開口部は、前記通気路の出口部に接続されており、
前記空冷促進器の材料は、前記サンシールドに比べて、太陽光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する太陽熱吸収率が高い材料が用いられることを特徴とする空冷促進器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54100(P2013−54100A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190616(P2011−190616)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】