説明

カメラ装置

【課題】既存の上位装置に対応した画像データの出力が可能なカメラ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カメラ装置10は、被写体を撮像して画像データを取得する撮像部20と、撮像部20の分解能および予め設定された基準分解能を記憶する記憶部12と、撮像部20が取得した画像データを、基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する画像変換部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して画像データを記録するカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ装置は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタルカメラの普及に伴い、様々な分野で使用されている。例えば、特許文献1には、工業分野に適用されたFA用カメラ装置が開示されている。このFA用カメラ装置によれば、電子部品装着装置の制御装置は、カメラ装置により取得した画像データを処理して基板認識を行い、部品を吸着したヘッドを実際の基板位置に対応して位置決めするように制御している。このようなカメラ装置では、用途の多様化に伴って、要求される機能および性能も様々である。そのため、要求される機能などが変更されると、その機能を搭載したカメラ装置への交換、またはレンズのようなカメラ装置の一部の交換することで対応している。
【0003】
例えば、被写体をより精細に撮像するために分解能が高いものに交換したり、一方で分解能を低く抑えて広い視野を得られるものに交換したりすることが考えられる。また、カメラ装置において、レンズや撮像素子により構成される撮像部の分解能は、レンズの焦点距離や撮像素子のセンサ領域などによって定まるものであり、撮像部の実視野を何画素で撮像するのかという尺度を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−294992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、用途の変更などに伴いカメラ装置の分解能が変動すると、上位装置である制御装置は、カメラ装置により取得した画像データに対して分解能の変動に応じた処理が必要となり、画像処理が複雑になるおそれがある。また、レンズなどの光学系は、同じ製品であっても個々でバラツキがあり、撮像部の分解能に影響することがある。そのため、制御装置は、より高精度な画像処理を実行するために、カメラ装置の撮像部の分解能に応じた補正が必要となることがある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、既存の上位装置に対応した画像データの出力が可能なカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明によると、被写体を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部の分解能および予め設定された基準分解能を記憶する記憶部と、前記撮像部が取得した前記画像データを、前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する画像変換部と、を備える。
【0008】
請求項2に係る発明によると、請求項1において、前記基準分解能は、前記撮像部の分解能よりも高く設定され、
前記画像変換部は、前記撮像部が取得した前記画像データを補間することにより、当該画像データを前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する。
【0009】
請求項3に係る発明によると、請求項2において、前記カメラ装置は、前記撮像部を複数備え、前記基準分解能は、複数の前記撮像部のうち最も高い分解能を有する前記撮像部の分解能以上に設定されている。
【0010】
請求項4に係る発明によると、請求項1〜3の何れか一項において、前記撮像部は、撮像可能な撮像領域のうち指定された有効領域の部分画像データを取得し、前記画像変換部は、前記撮像部が取得した前記部分画像データを、当該撮像部の前記有効領域に基づいて、前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によると、画像変換部が画像データを基準分解能で撮像した場合の尺度に変換するものとしている。ここで、基準分解能は、上位装置における画像処理に好適なものに設定されるようにしてもよい。これにより、カメラ装置は、既存の上位装置に対応した画像データの出力が可能となる。よって、カメラ装置の上位装置では、取得した画像データに対して分解能に応じた補正を不要にすることができる。また、カメラ装置は、撮像部の分解能が光学系のバラツキにより変動しても、画像変換部により画像データを所定の尺度に変換するので、分解能の変動分を吸収することができる。よって、上位装置における画像処理の精度を向上させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によると、画像変換部は、画像データを補間することにより、画像データを基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する。また、この基準分解能が撮像部の分解能よりも高く設定されているため、撮像部により取得された画像データは、基準分解能で撮像された場合と比較して視野が広範であり被写体が小さく写されている。そこで、画像変換部が画像データの尺度が大きくなるように補間することで、確実に基準分解能に対応した画像データに変換することができる。また、画像データの補間方法については、周囲画素に基づいて補間するバイリニア法やバイキュービック法などの公知技術を適用することが可能である。
【0013】
請求項3に係る発明によると、カメラ装置は、複数の撮像部を備える複眼式としている。カメラ装置は、上位装置が視野の異なる複数の画像データに基づいて画像処理を行えるように、複眼式とされることがある。このような場合に、異なる撮像部でそれぞれ取得された画像データを出力すると、上位装置では、画像データ毎に分解能に応じた処理が必要となり複雑となる。そこで、複眼式のカメラ装置の場合に、複数の撮像部の分解能のうち最も高い分解能を有する撮像部の分解能以上に基準分解能を設定している。これにより、複数の画像データは、撮像部の分解能に関わらず統一された分解能(基準分解能)で撮像した場合の尺度に変換される。よって、上位装置では、カメラ装置から入力した何れの画像データに対して、分解能に応じた補正をすることなく、画像処理を行うことができる。また、基準分解能を、複数の撮像部のうち最も高い分解能と等しく設定することで、効率的に画像変換を行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明によると、画像変換部は、撮像部の有効領域に基づいて、基準分解能で撮像した場合の尺度に部分画像データを変換する。カメラ装置は、上位装置との通信量を低減することなどを目的として、取得した画像データのうち指定した有効領域の部分画像データのみを転送するように制御されることがある。このような場合においても、カメラ装置における画像変換は、上位装置においてカメラ装置の分解能に応じた補正を不要にできるので有用である。但し、有効領域が指定されている場合には、その有効領域に分解能に応じた被写体の部分が撮像されているため、分解能および有効領域に基づいて画像変換する必要がある。そこで、上記のような構成とすることで、部分画像データを基準分解能に応じた尺度に変換して上位装置に出力することができる。
【0015】
また、有効領域に基づいて画像変換すると、部分画像データのデータサイズが変動することになる。例えば、カメラ装置の分解能よりも基準分解能が高く設定されている場合には、部分画像データは拡大するように補間されるので、データサイズが大きくなる。そこで、画像変換部は、変換した部分画像データに対して、上位装置から指定された有効領域の位置およびデータサイズに基づいて、さらに画像データの切り出し処理などを行うものとしてもよい。これにより、指定された有効領域と同様のデータサイズでの通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるカメラ装置の使用状態の一例を示す概念図である。
【図2】カメラ装置の構造を示す模式図である。
【図3】プリント基板と異なる分解能に対応する撮像領域および有効領域の関係を示す図である。
【図4】各分解能で撮像された画像データを示す図であり、(a)は高い分解能で撮像した場合の画像データであり、(b)は低い分解能で撮像した場合の画像データである。
【図5】カメラ装置により画像処理を実行され上位装置に転送される画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のカメラ装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
<実施形態>
(カメラ装置10の構成)
本実施形態のカメラ装置10について、図1,2を参照して説明する。また、本実施形態において、カメラ装置10は、電子部品装着装置1に組み込まれている構成としている。この電子部品装着装置1は、例えば、集積回路の製造工程において、プリント基板CBに複数の電子部品を実装する装置である。また、プリント基板CBは、クリームハンダ印刷機により電子部品の装着位置にハンダを塗布され、複数の装着装置を順に搬送されて電子部品が装着される。その後に、電子部品が装着されたプリント基板CBは、リフロー炉に搬送されてハンダ付けされることにより集積回路を構成する。
【0019】
この電子部品装着装置1は、図1に示すように、制御装置2と、カメラ装置10を備えている。制御装置2は、CPUおよびメモリなどから構成され、電子部品装着装置1に対する指令値やカメラ装置10およびセンサなどから出力される情報を入力する。そして、制御装置2は、これらの指令値や各種情報に基づいて、プリント基板CBに電子部品が適切に装着されるように電子部品装着装置1の各軸モータや各装置などを制御する。また、本実施形態において、カメラ装置10は、撮像素子を有する撮像部を複数備える複眼式のカメラ装置であって、電子部品装着装置1が電子部品を装着する際に、コンベアなどの搬送装置によって規定位置まで搬送されたプリント基板CBを撮像する基板カメラとして用いられている。
【0020】
より詳細には、基板カメラであるカメラ装置10は、制御装置2との通信により入力した撮像指令に基づいて、規定位置まで搬送されてクランプされたプリント基板CBを撮像する。そして、カメラ装置10は、取得した画像データに対して所定の画像処理を実行して制御装置2に出力する。次に、制御装置2は、複眼式のカメラ装置10から視野の異なる複数の画像データに基づいて、プリント基板CBの対角する二隅に設けられた基板マークを基準位置として認識する。これにより、制御装置2は、電子部品が設定された座標値に装着することが可能となる。つまり、プリント基板CBのクランプの際に生じる位置誤差を画像データに基づいて補正することで、部品実装の高精度化を図っている。このように、本実施形態においては、制御装置2はカメラ装置10の上位装置であって、プリント基板CBはカメラ装置10によって撮像される被写体である。
【0021】
この他に、カメラ装置10は、例えば、部品実装ヘッドの吸着ノズルに吸着された電子部品の状態を撮像する部品カメラなどにも用いることが可能である。また、本実施形態では、複眼式としているが単眼式のカメラ装置10として電子部品装着装置1に用いることもできる。何れの場合にも、カメラ装置10は、上位装置である制御装置2によって動作を制御されることになる。また、カメラ装置10は、電子部品が実装されたプリント基板CBを検査する基板検査装置に組み込むことも可能である。この場合には、カメラ装置10は、プリント基板CBを撮像する検査カメラとして用いられる。このように、カメラ装置10は、基板生産以外の用途にも用いることが可能である。この場合には、汎用のパソコンや専用の画像処理ボードなどが上位装置として用いられる。
【0022】
カメラ装置10は、図2に示すように、PLD11と、メモリ部12と、インターフェイス13と、第一撮像部20と、第二撮像部30を備える。PLD11は、カメラ装置10を組み立てた後においても、所定の機能を実行するプログラムに相当する論理回路を定義可能な回路素子である。より具体的には、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)などの集積回路である。このPLD11には、撮像機能や通信機能などの種々の機能を実行可能となるように、専用ソフトウェアによってプログラムを実装される。
【0023】
PLD11に実装されるプログラムは、各撮像部20,30のイメージセンサ22,32やインターフェイス13をそれぞれ動作させるデバイスドライバの他に、画像変換を行う画像変換プログラムなどである。この画像変換プログラムは、撮像部が取得した画像データを、所定の分解能で撮像した場合の尺度に変換する処理を実行するものである。このように、PLD11は、カメラ装置10における画像変換部としても機能している。このように、本実施形態では、画像変換部をPLD11に実装したプログラムにより機能させているが、別のPLDやマイコンにプログラムを実装する構成としてもよい。
【0024】
メモリ部12は、電源が切れても記憶内容を保持する不揮発性の記憶部である。このメモリ部12は、第一、第二撮像部20,30の分解能および予め設定されている基準分解能を記憶している。また、上記の基準分解能は、本実施形態においては、第一撮像部20および第二撮像部30のうち高い分解能を有する、即ち第一撮像部20の分解能に設定されている。また、メモリ部12は、カメラ装置10が撮像可能な撮像領域のうち、上位装置である制御装置2によって指定された有効領域(ROI:Region of Interest)を記憶している。詳細については、後述する。
【0025】
インターフェイスIC13は、制御装置2と通信する所定の通信機能を有する電子回路である。このようなインターフェイスIC13としては、種々の通信プロトコルや通信規格などに応じて設計され、パラレルインターフェイスや同軸ケーブル、USBなどのデータ伝送路に対応した通信形態を有している。
【0026】
第一撮像部20は、被写体であるプリント基板CBを撮像して画像データを取得する。この第一撮像部20は、図2に示すように、レンズ部21と、イメージセンサ22を有している。レンズ部21は、被写体光を結像する光学系であり、図示しないレンズやレンズ保持部材などによって構成される。イメージセンサ22は、CCDやCMOS等の撮像素子である。このイメージセンサ22は、その撮像面がレンズ部21の光軸に対して直角となるように配置されている。そして、イメージセンサ22は、レンズ部21により撮像面に結像された光の強弱に応じて発生される信号電荷によってデジタル信号に変換し、被写体を撮像する。そして、イメージセンサ22から出力されるデジタル信号に基づいてPLD11が画像データに変換している。
【0027】
また、第一撮像部20は、撮像可能な最大の領域を撮像領域Rf1とし、上位装置である制御装置2によって撮像領域Rf1のうち有効領域ROI1を指定された場合には、有効領域ROI1に相当する部分画像データを取得する。但し、この部分画像データについては、PLD11により変換された画像データに対して、有効領域ROI1に相当する部分を切り出すように画像処理を行って取得してもよい。
【0028】
第二撮像部30は、第一撮像部20と同様であり、レンズ部31と、イメージセンサ32を有している。これらのレンズ部31およびイメージセンサ32は、第一撮像部20のレンズ部21およびイメージセンサ22にそれぞれ対応するため、詳細な説明を省略する。また、第二撮像部30は、撮像可能な最大の領域を撮像領域Rf2とし、上位装置である制御装置2によって撮像領域Rf2のうち有効領域ROI2を指定されることが可能となっている。
【0029】
また、本実施形態において、第一撮像部20と第二撮像部30では、分解能が異なっている。この分解能は、各レンズ部21,31の焦点距離や各イメージセンサ22,32のセンサ領域などによって定まるものであり、各撮像部20,30の実視野を何画素で撮像するのかという尺度を示している。ここでは、第一撮像部20の分解能が、第二撮像部30の分解能よりも高くなるように構成されている。そのため、第一撮像部20は、第二撮像部30よりも被写体をより精細に撮像することが可能である。一方で、第二撮像部は、第一撮像部20よりも広い視野で被写体を撮像することが可能である。
【0030】
(カメラ装置10による画像変換)
カメラ装置10による画像変換について、図3〜図5を参照して説明する。上述したように、第一撮像部20の分解能は、第二撮像部30の分解能よりも高くなるように構成されている。よって、第一撮像部20が撮像可能な撮像領域Rf1は、図3に示すように、第二撮像部30が撮像可能な撮像領域Rf2よりも狭くなる。また、本実施形態では、説明を簡易にするために、第一撮像部20のイメージセンサ22と第二撮像部30のイメージセンサ32は、同型の撮像素子であり、それぞれのセンサ領域も等しいものとしている。つまり、各イメージセンサ22,32のセンサ領域に2048×2048ピクセル(4Mピクセル)の画素があるとすると、各撮像領域Rf1,Rf2は、領域の大きさは異なるが等しい4Mピクセルの画像データとして撮像される。
【0031】
また、本実施形態においては、各撮像部20,30に対して有効領域ROI1,ROI2が指定されている。ここで、各有効領域ROI1,ROI2は、上記のセンサ領域において、それぞれ1000×1000ピクセル(1Mピクセル)の画素数で撮像される領域とする。また、第一撮像部20の有効領域ROI1は、撮像領域Rf1の中央部に指定されたものとする。同様に、第二撮像部30の有効領域ROI2は、第二撮像部30の撮像領域Rf2の中央部に指定されたものとする。そうすると、図3に示すように、各有効領域ROI1,ROI2は、各撮像領域Rf1,Rf2の約1/4程度の領域面積をそれぞれ占めることになる。
【0032】
ここで、各撮像部20,30により撮像を行うと、図4(a)および図4(b)に示すような部分画像データが取得される。高分解能側の第一撮像部20においては、図4(a)に示すように、被写体の中央部が拡大されたように撮像される。この時、画像データは1Mピクセル[pix]の画素で表現され、実視野の長さをL1[mm]とすると、第一撮像部20の分解能は、L1/1000[mm/pix]で示される。同様に、低分解能側の第二撮像部30においては、図4(b)に示すように、被写体の中央部が縮小されたように撮像された部分画像データが取得される。この時、画像データは1Mピクセル[pix]の画素で表現され、実視野の長さをL2[mm]とすると、第二撮像部30の分解能は、L2/1000[mm/pix]で示される。
【0033】
分解能の異なる各撮像部20,30により取得された画像データは、撮像されている実視野の長さが異なる(L1≠L2)ことから、画像データにおける尺度が異なることになる。そして、カメラ装置10は、例えば、取得した複数の画像データを1000×2000ピクセルに連結して上位装置に出力する。そうすると、上位装置では、同一の画像データの中に異なる尺度の領域があるので、領域毎に尺度に対応した補正が必要となり複雑となる。そこで、本実施形態のカメラ装置10では、PLD11が基準分解で撮像した場合の尺度に変換するように画像変換を行うものとしている。
【0034】
基準分解能については、上位装置が画像処理を行うのに適した尺度の画像データとなるように設定することができるが、本実施形態では高分解能側の第一撮像部20の分解能(L1/1000[mm/pix])と等しく設定されている。つまり、基準分解能は、第二撮像部30の分解能(L2/1000[mm/pix])よりも高く設定されている。そこで、PLD11は、第二撮像部30により取得された画像データを有効領域ROI1,ROI2に基づいて、L2/L1倍に拡大するように補間する。画像データの補間については、バイリニア(Bilinear)やバイキュービック(Bicubic)などの補間方法が知られている。画像データの用途によって、それぞれの補間方法を使い分けることも可能である。また、処理時間を短縮するために、ニアレストネイバー(Nearest Neighbor)のような補間方法としてもよい。
【0035】
このように、PLD11による画像変換が行われると、カメラ装置10は、図5に示すように、撮像部20により取得された画像データと、変換後の画像データを連結して上位装置に出力する。この画像データでは、何れの領域においても基準分解能で撮像した場合の尺度に統一されていることになる。これにより、カメラ装置10は、上位装置における画像データの補正を省略可能とすることで、上位装置における処理の負荷軽減を図っている。
【0036】
(カメラ装置10による効果)
上述したカメラ装置10によると、画像変換部として機能するPLD11が画像データを基準分解能で撮像した場合の尺度に変換するものとしている。これにより、カメラ装置10は、既存の上位装置の要求に応じた画像データの出力が可能となる。よって、カメラ装置10の上位装置では、取得した画像データに対して分解能に応じた補正を不要にすることができる。
【0037】
また、基準分解能は、第二撮像部30の分解能(L2/1000[mm/pix])よりも高く設定されるものとした。これにより、第二撮像部30により取得された画像データは、基準分解能(L1/1000[mm/pix])で撮像された場合と比較して視野が広範であり被写体が小さく写されている。そこで、PLD11が画像データの尺度が大きくなるように補間することで、確実に基準分解能に対応した画像データに変換することができる。
【0038】
カメラ装置10は、複数の撮像部20,30を備える複眼式としている。そして、このような構成において、基準分解能を高分解能側の第一撮像部20の分解能(L1/1000[mm/pix])と等しく設定するものとした。これにより、低分解能側の第二撮像部30により取得された画像データを変化することで、効率的に基準分解能で撮像した場合の尺度に統一することができる。よって、上位装置では、カメラ装置10から入力した何れの画像データに対して、分解能に応じた補正をすることなく、画像処理を行うことができる。
【0039】
さらに、各撮像部20,30には、有効領域ROI1,ROI2がそれぞれ指定されるものとした。このような場合に、画像変換部として機能するPLD11は、有効領域ROI1,ROI2に基づいて、L2/L1倍に拡大するように補間して、基準分解能で撮像した場合の尺度に部分画像データを変換する。このように、有効領域ROI1,ROI2が指定された場合においても、カメラ装置10における画像変換は、上位装置においてカメラ装置10の分解能に応じた補正を不要にできるので有用である。
【0040】
<実施形態の変形態様>
本実施形態において、画像変換部として機能するPLD11は、画像データを変換する際の基準分解能を、高分解能側の第一撮像部20の分解能と等しく設定するものとした。これに対して、基準分解能は、上述したように、制御装置2などの既存の上位装置の要求や仕様に応じて設定することができる。例えば、基準分解能は、高分解能側の第一撮像部20の分解能よりもさらに高い分解能に設定してもよい。この場合には、第一撮像部20および第二撮像部30により取得された両方の画像データに対して画像変換を行うことになる。また、基準分解能は、低分解能側の第二撮像部30の分解能以下に設定してもよい。この場合には、少なくとも第一撮像部20により取得された画像データに対して縮小するように画像変換を行うことになる。
【0041】
一般に、カメラ装置は、撮像部の分解能が光学系のバラツキにより変動することがある。そのため、正確な撮像部の分解能は、光学系を含めてカメラ装置を組み付けた後に測定されて把握することができる。そして、上位装置が要求する分解能に対して、測定された分解能が許容範囲に収まっていない場合には、従来では上位装置において画像データの補正が必要となる。そこで、上記のように基準分解能を設定し、各画像データに対して画像変換を行うことにより、光学系などのバラツキによる分解能の変動分を吸収することができる。これにより、上位装置における画像データの補正を省略し、画像処理の精度を向上させることができる。そのため、本実施形態では、複眼式のカメラ装置10を例示して説明したが、単眼式や3以上の撮像部を備えるカメラ装置にも本発明を適用することができる。
【0042】
また、本実施形態では、説明を簡易にするために、各撮像部20,30は、各イメージセンサ22,32のセンサ領域に4Mピクセルの画素があるものとした。これに対して、各イメージセンサ22,32のセンサ領域における画素数や画素ピッチなどはそれぞれ用途などに応じて設定される。このような場合においても、各撮像部20,30の分解能を算出または測定し、取得した画像データを基準分解能で撮像した場合の尺度に変換することで、本実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
さらに、本実施形態では、各撮像部20,30は、有効領域ROI1,ROI2についても1Mピクセルの画素数で撮像される領域とした。この有効領域は、上位装置との通信量を低減することなどを目的として指定されるものである。本実施形態では、各撮像部20,30に対して有効領域ROI1,ROI2がそれぞれ指定されるものとしたが、一方のみに指定される場合や何れにも指定されない場合もある。画像変換部は、一以上の画像データを基準分解能に応じた尺度に画像変換するものであり、有効領域が指定された場合には有効領域に対応した部分画像データを画像変換する。これにより、本実施形態と同様の効果を奏するものである。
【0044】
また、上位装置との通信量を低減することを目的として有効領域を指定している場合に、例えば画像データを拡大するように補間すると通信量(データサイズ)が増加してしまう。そこで、画像変換部は、変換した部分画像データに対して、上位装置から指定された有効領域の位置およびデータサイズに基づいて、さらに画像データの切り出し処理などを行うものとしてもよい。これにより、指定された有効領域と同様のデータサイズでの通信が可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1:電子部品装着装置、 2:制御装置
10:カメラ装置、 11:PLD(画像変換部)、 12:メモリ部(記憶部)
13:インターフェイスIC
20:第一撮像部、 21:レンズ部、 22:イメージセンサ
30:第二撮像部、 31:レンズ部、 32:イメージセンサ
CB:プリント基板(被写体)
Rf1,Rf2:撮像領域、 ROI1,ROI2:有効領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部の分解能および予め設定された基準分解能を記憶する記憶部と、
前記撮像部が取得した前記画像データを、前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換する画像変換部と、
を備えるカメラ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記基準分解能は、前記撮像部の分解能よりも高く設定され、
前記画像変換部は、前記撮像部が取得した前記画像データを補間することにより、当該画像データを前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換するカメラ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記カメラ装置は、前記撮像部を複数備え、
前記基準分解能は、複数の前記撮像部のうち最も高い分解能を有する前記撮像部の分解能以上に設定されているカメラ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記撮像部は、撮像可能な撮像領域のうち指定された有効領域の部分画像データを取得し、
前記画像変換部は、前記撮像部が取得した前記部分画像データを、当該撮像部の前記有効領域に基づいて、前記基準分解能で撮像した場合の尺度に変換するカメラ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81083(P2013−81083A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220120(P2011−220120)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】