説明

カラオケシステム

【課題】各カラオケ装置の映像データの記憶容量を増やさずに、各カラオケ曲に個別に対応した映像データでカラオケ曲を演奏する。
【解決手段】Ethernetなどのネットワーク1上に複数台のカラオケ装置A〜Eが接続されている。各カラオケ装置は、それぞれ複数の楽曲データを記憶しており、利用者のリクエストに応じてカラオケ曲を演奏する。カラオケ曲に合わせて再生する背景映像は各カラオケ曲に個別に対応している。各カラオケ装置は、一部のカラオケ曲に対応する個別映像データを記憶している。リクエストされた曲の個別映像データが自装置に記憶されていない場合は、ネットワーク1を介して他のカラオケ装置からそのデータを転送し、これを用いてカラオケ曲に個別に対応する背景映像を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、曲にあった背景映像を表示しながらカラオケ演奏を実行するカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、カラオケ曲の演奏を行うのみならず、このカラオケ演奏の雰囲気を盛り上げるために、モニタにその曲にあった背景映像を表示するとともに、その背景映像にスーパーインポーズで歌詞テロップも表示する。
【0003】
通信カラオケ装置は、演奏用の楽曲データを配信センタからダウンロードする装置であるため、データ量の大きい背景映像とは分離され、背景映像はカラオケ装置側でCD−ROMやDVDなどのメディアに記憶されている。
【0004】
上記のように映像データのデータ量が大きいため、従来は、演歌,ポップスなどカラオケ曲の各ジャンルに対応する映像データを1または複数個ずつ記憶しておき、カラオケ曲がリクエストされたときこのジャンルの映像データを読み出して背景映像として表示するようにしており、カラオケ曲と背景映像とが個別に対応していなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ジャンルのみに基づいて数少ない映像データのなかから1つ選択する方式では、曲の雰囲気にあった映像データを選択できるとは限らず、カラオケ演奏を盛り上げることができないという問題点があった。
【0006】
一方、各カラオケ曲に個別に対応する映像データを記憶しておけば、それぞれの曲にあった映像データを必ず表示することができるが、1台のカラオケ装置が1万曲以上に及ぶカラオケ曲のそれぞれに対応する個別の映像データを記憶することは、コストや装置の大きさなど現実的問題として不可能である。
【0007】
この発明は、複数のカラオケ装置で映像データを分担して記憶することにより上記課題を解決したカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この出願の請求項1の発明は、複数台のカラオケ装置をネットワークを介して互いに接続したカラオケシステムであって、各カラオケ装置に、楽曲データ記憶手段および映像データ記憶手段を設け、前記各カラオケ装置の楽曲データ記憶手段に複数の楽曲データをそれぞれ記憶するとともに、各カラオケ装置の映像データ記憶手段に、前記複数のカラオケ曲に個別に対応づけられた複数の個別映像データを分担して記憶し、各カラオケ装置に、カラオケ曲の演奏指示があったとき、該カラオケ曲に対応する楽曲データを該カラオケ装置の楽曲データ記憶手段から読み出すとともに、該カラオケ曲に対応する個別映像データをこれを分担して記憶しているカラオケ装置の映像データ記憶手段から取得し、該読み出された楽曲データおよび取得された個別映像データに基づいてカラオケ演奏を実行する演奏実行手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明では、ネットワークを介して複数台のカラオケ装置が接続されており、各カラオケ装置は複数(約1万曲)の楽曲データとともに、一部のカラオケ曲に個別に対応づけられた個別映像データを記憶している。各カラオケ装置が記憶している個別映像データは、一部重複していることは構わないが大体において重複しないようにする。
【0010】
また、あるカラオケ装置にリクエストが発生したとき、そのリクエストに応じて楽曲データを読み出してカラオケ演奏を行う。このとき、個別映像データを記憶しているカラオケ装置から該個別映像データの転送を受け、この個別映像データを用いてカラオケ演奏を実行する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、カラオケ曲に個別に対応する個別映像データを一部のカラオケ曲についてしか記憶していなくても、他の曲のリクエスト(演奏指示)があったときその曲に対応する個別映像データをネットワークを介して他のカラオケ装置から転送してもらうことができるため、膨大な個別映像データを全て記憶しておく必要がなくなる。
【0012】
また、複数のカラオケ装置で個別映像データを分担して記憶し、リクエストがあったカラオケ装置が該リクエストに対応する個別映像データを記憶していない場合には、ネットワークを介して他の装置から転送するようにしたことにより、各カラオケ装置の記憶容量を大きくすることなく、多くの個別映像データが使用可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。図1はこの発明の実施形態であるカラオケシステムの構成を示す図、図2はネットワーク上に接続されている各カラオケ装置の構成を示す図、図3は同カラオケ装置においてカラオケ曲の演奏に使用される楽曲データの構成を示す図、図4は同カラオケ装置に記憶されているインデックステーブルの構成を示す図である。
【0014】
図1において、ネットワーク1上には端末装置であるカラオケ装置が複数台(同図では5台:A〜E)接続されている。ネットワーク1はたとえばEthernet(登録商標)などのLANで構成すればよい。各カラオケ装置は図2に示すような構成でそれぞれ個別に楽曲データや映像データを記憶しており、利用者のリクエストに応えてカラオケ曲の演奏を実行する。このカラオケシステムはカラオケボックス等のように、同じ建物の中に複数台のカラオケ装置が設置される場所に導入される。ネットワークとしてEthernetを用いた場合、その通信速度は10Mbps程度である。
【0015】
図2において、各カラオケ装置は、上記ネットワーク1と接続するための通信インタフェース14を備えている。この通信インタフェース14はバスを介してCPU10に接続されている。CPU10には、この他にROM11,RAM12,ハードディスク記憶装置13,カードリーダ15,パネルインタフェース16,音源20,音声デコーダ21,ハモリアンプ22,エフェクタ24,背景映像再生部30,映像作成部32,映像ミキサ33などが接続されている。
【0016】
前記通信インタフェース14はネットワーク1を介した他のカラオケ装置との通信を制御するのみならず、電話回線を介したホストコンピュータ3との通信も制御する。ホストコンピュータ3からは、新曲の楽曲データやインデックステーブルなどがダウンロードされる。インデックステーブルは、図4に示すようにカラオケ曲の曲番号と個別背景映像データ等との対応を指示するテーブルである。
【0017】
ROM11にはこのカラオケ装置を起動するためのプログラムなどが記憶されている。ハードディスク13には、上記楽曲データ,インデックステーブルなどが記憶されているほか、システムプログラム,カラオケ演奏プログラム,ローダなどのプログラムおよび文字パターンデータが記憶されている。システムプログラムは、この装置の基本動作を制御するプログラムであり、カラオケ装置の起動時にRAM12に読み込まれる。カラオケ演奏プログラムは、楽曲データに基づいて音源20や音声デコーダ21などを制御するためのプログラムである。ローダは配信センタ3から楽曲データやインデックステーブルをダウンロードするためのプログラムである。文字パターンデータはコード情報として与えられる歌詞,曲名などのテキスト情報などを文字パターンに展開するためのデータである。RAM12には上記プログラムを読み込むエリアや現在演奏中の楽曲データおよび次に演奏する楽曲データを読み出すための楽曲データバッファが設定される。
【0018】
パネルインタフェース16は、図示しない赤外線リモコン(コマンダ)から送られてくる赤外線信号を受信してデータに変換する回路やパネルスイッチ,ディスプレイなどを接続している。CPU10は、コマンダから入力された曲番号に基づいてカラオケ曲の予約を実行し、その他コマンドコードに基づいてキーチェンジなど種々の処理を実行する。上記ディスプレイは現在演奏中の曲番号や予約曲数などを表示するLEDマトリクスまたは7セグメントの表示器を含んでいる。
【0019】
図3を参照して同カラオケ装置で用いられる楽曲データの構成およびこのデータに基づくカラオケ装置の動作を説明する。楽曲データは、ヘッダ、楽音トラック、歌詞トラック、音声制御トラック、効果制御トラックおよび音声データ部からなっている。ヘッダは、この楽曲データに関する種々のデータが書き込まれる部分であり、曲番号,曲名,ジャンル,発売日,曲の演奏時間などのデータを含んでいる。各楽曲データは曲番号で識別される。
【0020】
楽音トラック,歌詞トラック,音声制御トラック,効果制御トラックの各トラックは全てMIDIフォーマットで記述されている。MIDIフォーマットは、本来楽音トラックのような楽音制御用のデータを記述するためのフォーマットであるが、全データを統一したフォーマットで記述し、インプリメントを容易にするため、楽音以外のトランクもMIDIフォーマットで記述している。MIDIフォーマットのトラックは複数のイベントデータと各イベントデータの読み出しタイミングを指示するタイミングデータからなっている。カラオケ曲の演奏時には、上記複数のトラックが並行して読み出される。各トラックにおいて、所定のテンポクロックにより前記タイミングデータの値をカウントし、この値がカウントアップしたとき、該タイミングデータが指示するイベントデータが読み出される。読み出されたイベントデータは所定の動作部に出力され、該動作部において対応する処理が実行される。
【0021】
楽音トラックは、メロディトラック,リズムトラックなど複数パートのトラックからなっている。楽音トラックのイベントデータは楽音の発音を指示するノートオンイベントデータや楽音の消音を指示するノートオフイベントデータなどであり、これらのイベントデータは音源20に出力される。
【0022】
歌詞トラックのイベントデータは、モニタに表示する歌詞の文字コード,表示座標,表示色などを指示するデータからなっており、このデータが読み出されるとCPU10はハードディスク13から対応する文字パターンデータを読み出して映像作成部32に展開する。
【0023】
音声制御トラックのイベントデータは、音声データ部の音声データの再生を指示するデータである。CPU10は、このイベントデータが読み出されたとき、該データに指示される音声データを読み出して音声デコード部21に入力される。音声データは、音源で合成しにくいバックコーラスなどの人声をディジタル化したデータであり、音声デコード部21はこのデータをアナログの音声信号にデコードしてミキサ23に出力する。
【0024】
効果制御トラックのイベントデータは、エフェクタ24の動作を制御するためのデータであり、カラオケ演奏音やマイク25から入力される歌唱音声信号などに対して付与する効果の種類や程度を指示するデータからなっている。
【0025】
一方、ハモリアンプ22にはマイク25が接続されており、マイク25から入力される歌唱音声信号を増幅してミキサ23に入力するとともに、モードに応じてその歌唱音声信号をピッチシフトしてピッチずれを修正したり、ハモリ音を合成したりする。音源20が合成した演奏音信号,音声デコード部21が再生したバックコーラスなどの音声信号およびハモリアンプ22から出力される歌唱音声信号やハモリ音声信号は全てミキサ23に入力される。ミキサ23はこれらの信号を適当なバランスでミキシングし、エフェクタ24に入力する。エフェクタ24は上記楽曲データの効果制御データに基づいてこれらのカラオケ音信号に対してエコーなどの効果を付与する。効果が付与されたカラオケ演奏の音声信号は音響出力部26から音響として出力される。
【0026】
前記背景映像再生部30にはDVDチェンジャ31が接続されている。DVDチェンジャ31は、複数枚のDVDをセットしておくことができ、CPU10の指示に応じて所定のディスクをターンテーブルにセットし、指定されたトラックからデータを読み出すことができる。DVDの映像データはMPEG圧縮して記憶されており、背景映像再生部30はMPEGデコーダを有している。DVDから圧縮された映像データが入力されると、背景映像再生部30はこれを伸長してコンポジットの映像信号に変換する。変換された映像信号は映像ミキサ33に出力される。また、一方、映像作成部32はVRAMを有し、楽曲データの歌詞トラックから読み出された歌詞表示データを表示する文字パターンを展開して映像信号化する回路部である。映像ミキサ33は、背景映像信号と歌詞の文字パターンとをスーパーインポーズで合成し、映像出力部34に出力する。映像出力部34はこの映像信号をCRTモニタに表示する。
【0027】
なお、カードリーダ15は、個人が所持する簡易選曲カードを読み取るものであり、自走式のカードリーダであってもよくハンドスキャナ式のカードリーダであってもよい。ここで、簡易選曲カードとは、歌手や作曲家の写真などが印刷され、その歌手や作曲家の曲の曲番号がバーコードまたは磁気データで記録されたトレーディングカードである。カードリーダ15はこのバーコードまたは磁気データを読み取る。カードリーダ15が読み取った曲番号はコマンダから入力された曲番号と同様にリクエストの曲番号として処理され、利用者は所望のトレーディングカードを読み取らせるだけで曲のリクエストをするできるものである。
【0028】
図4は、各カラオケ装置のハードディスク記憶装置13に記憶されるインデックステーブルの構成を示す図である。インデックスファイルには、曲番号に対応してこのカラオケ曲の楽曲データのファイル名、このカラオケ曲に個別に対応づけられた個別映像データの番号(4桁)、このカラオケ曲に対応する汎用映像データの番号(3桁)が記憶されている。なお、インデックステーブルは、曲番号と個別映像データとを対応づけるのみのテーブルでもよい。この場合、楽曲データは楽曲データ専用のインデックステーブルを設ければよく、汎用映像データは楽曲データのジャンルに基づいて選択すればよい。
【0029】
このように、インデックステーブルでは、1つのカラオケ曲に対して1つの個別映像データが対応付けられており、カラオケ曲と個別映像データは1対1で対応している。一方、汎用映像データも1つのカラオケ曲に対して1つが対応付けられているが、1つの汎用映像データに対して複数のカラオケ曲が対応している。
【0030】
また、汎用映像データは数種類〜数十種類のデータで約1万曲のカラオケ曲に対応するが、個別映像データの場合、カラオケ曲と完全に1対1で対応しなくても、汎用映像データよりも十分多数のデータ(例えば1000個程度)を設定して、1万曲のカラオケ曲に対応するようにしてもよい。
【0031】
ここで、図1において各カラオケ装置に付随して記載しているリストは各カラオケ装置がDVD等に記憶している映像データのリストの一部を示している。この映像データリストにおいて、4桁の番号がカラオケ曲に個別に対応する個別映像データの番号であり、3桁の番号がジャンル毎に設けられそのジャンルに該当する複数のカラオケ曲に対応する汎用映像データの番号である。各カラオケ装置は、全てのジャンルの汎用映像データ(001,002,003,…)を記憶しているとともに、一部のカラオケ曲の個別映像データを記憶している。ネットワーク1上のカラオケ装置A〜Dは、互いに重複しない個別映像データを記憶している。このように、各カラオケ装置が個別映像データを分担して記憶し、ネットワーク1を介してデータを転送可能にすることによって、各カラオケ装置に大容量の記憶装置を設けなくても全ての個別映像データを使用できるようにしている。一方、カラオケ装置Eは他のカラオケ装置と重複して個別映像データを記憶している。リクエスト頻度の高いカラオケ曲の個別映像データなどをこのように複数のカラオケ装置で重複して記憶することにより、特定のカラオケ装置に対してデータ転送要求が集中しないようにすることができる。
【0032】
また、汎用映像データは、各カラオケ装置がポップス,演歌などの各ジャンルに対応したものを全種類記憶しており、どのジャンルの曲がリクエストされた場合でも自装置のDVDからこれを読み出してカラオケ演奏を実行することができる。
【0033】
なお、各汎用映像データは約15分程度の上映時間を有するものであり、複数回のカラオケ演奏においてサイクリックに読み出される。すなわち、各汎用映像データについてこの映像データを用いてカラオケ演奏を実行したときの終了位置を記憶しておき、次回この映像データを用いてカラオケ演奏を実行するときにはその終了位置から読み出しを開始する。これにより、15分の映像データ全体を無駄なく使用することができるようにしている(図5参照)。
【0034】
上記の構成で、たとえば、カラオケ装置Aで曲番号1000−21の曲がリクエストされた場合、自装置に個別映像データ1002を記憶しているため、楽曲データファイルAを読み出すとともに、この個別映像データ1002を読み出してカラオケ演奏を実行する。
【0035】
また、カラオケ装置Aで曲番号1000−25の曲がリクエストされた場合、自装置に個別映像データ2003が記憶されていないため、他のカラオケ装置に対してこの個別映像データの存在を問い合わせる。このときカラオケ装置Bからデータを記憶している旨の返信があるため、このカラオケ装置Bからデータを転送する。そしてこの個別映像データを用いてカラオケ演奏を実行する。
【0036】
また、カラオケ装置Aで曲番号4758−02の曲がリクエストされた場合、自装置に個別映像データ3005が記憶されていないため、他のカラオケ装置に対してこの個別映像データの存在を問い合わせる。このときカラオケ装置Cおよびカラオケ装置Eからデータを記憶している旨の返信がある。複数の装置から有効な返信があった場合には、そのいずれか一方を選択してデータの転送を要求する。そして、データの転送を受けたのち、この個別映像データを用いてカラオケ演奏を実行する。
【0037】
なお、複数のカラオケ装置から個別映像データを記憶している旨の返答があった場合、以下のような選択方法がある。
【0038】
最も早く返答を返してきた端末装置を選択する。ネットワーク的に最も近い端末装置を選択する。返答にその装置の負荷状態を書き込んでおき、有効回答があった端末装置のうち最も負荷状態の軽い端末装置を選択する。などの方式があり、どの方式を採用してもよい。また、全てのカラオケ装置で同一の方式を用いる必要はなく、装置によって異なってもよい。
【0039】
さらに、カラオケ装置Aで曲番号2356−01の曲がリクエストされた場合、自装置に個別映像データ6002が記憶されていないため、他のカラオケ装置に対してこの個別映像データの存在を問い合わせる。しかし、このネットワーク上にはこの6002の映像データを記憶しているカラオケ装置がないため、どの装置からも有効な回答が返信されてこない。したがって、この場合カラオケ装置Aは汎用の映像データ002を用いてカラオケ曲の演奏を実行する。
【0040】
また、この実施形態では、自装置に個別映像データを記憶していない場合、他装置に対する問い合わせやデータ転送に要する時間中ずっと利用者を待たせることがないよう、自装置に個別映像データがない場合には、取りあえず汎用映像データを用いてカラオケ演奏をスタートし、個別映像データがネットワーク上に存在しそのデータの転送が完了したとき、再生されている映像をこの個別映像データのものに切り換えるようにしている。この場合において、ネットワーク上にも個別映像データが存在しなかった場合には、そのまま汎用映像データを用いたカラオケ演奏を継続する。
【0041】
図5は上記カラオケ装置のカラオケ曲演奏動作を示すフローチャートである。利用者から曲番号の入力があると(s1)、インデックステーブルを参照して、その曲番号に対応する楽曲データファイルの読み出しや待ち時間タイマのリセットなどの演奏準備処理を行う(s2)。待ち時間タイマは、この演奏準備を開始してから演奏スタートまでの待ち時間をカウントするタイマもリセットする。そして、対応する個別映像データを自装置が記憶しているかを自装置の映像データリストを参照して判断する(s3)。自装置が個別映像データを記憶している場合にはこの映像データを用いてカラオケ演奏をスタートする(s4)。一方、個別映像データを記憶していない場合には他のカラオケ装置に対してこの個別映像データを記憶しているかの問い合わせ電文をネットワーク1を介して送信する(s5)。そして、個別映像データの転送が完了しないまま一定時間が経過し上記タイマがタイムアップした場合には、他の装置からの応答の有無、応答内容にかかわらずリクエストされた曲のジャンルに対応する汎用映像データを用いてカラオケ演奏をスタートする(s6,s7)。そして、有効な応答すなわち所望の個別映像データを記憶している旨の応答がない場合(無応答および記憶していない旨の応答のみの場合)には、そのままこの演奏を演奏終了まで継続する(s7)。有効な応答があった場合には、そのカラオケ装置に対して個別映像データの送信を要求する(s8)。この場合において、複数のカラオケ装置から有効な応答があった場合には、上述の方式でそのいずれか1つのカラオケ装置を選択して個別映像データの転送を要求する。映像データの転送が完了したとき(s11)、まだ演奏がスタートしていない場合には先頭から演奏をスタートし、汎用映像データを用いて既に演奏がスタートしている場合には演奏時間にあった位置から個別映像データに切り換えてカラオケ演奏を継続する(s12)。
【0042】
カラオケ曲の演奏が終了すると(s7,s13)、s1にもどり、次に予約されているカラオケ曲番号に対応する処理を実行する。
【0043】
図6は、ネットワークを介して個別映像データの問い合わせがあった場合の動作を示すフローチャートである。まず、自装置の映像データリストを検索して、自装置にそのデータを記憶しているかを判断する(s21、s22)。自装置がそのデータを記憶していない場合には、送信不可の応答をして(s23)、動作を終了する。一方、自装置が映像データを所有していても、カラオケ演奏中でDVDチェンジャ31が使用中の場合など、そのデータを転送できない場合がある。この場合には、背景映像データを記憶しているが現在返信不可である旨の応答を返信する(s25)。DVDチェンジャ31が使用可能で個別映像データを転送可能の場合には、転送可能である旨と自装置の現在の負荷量をメールにして返信する(s26)。こののち、問い合わせのあったカラオケ装置から送信依頼があるか否かを判断し(s27)、送信依頼があった場合にはその映像データが記憶されているDVDをセットして(s28)、データを転送する。このデータ転送は、DVDチェンジャ31から読み出された圧縮データ(MGEGデータ)をデコードせずにそのまま送信する。
【0044】
なお、上記実施形態では、映像データを全てDVDに記憶するようにしたが、ハードディスク記憶装置13など他の記憶手段に記憶するようにしてもよい。また、事前に映像データを記録したメディアをカラオケ装置にセットするのみならず、配信センタ3から適宜映像データをダウンロードし、書込可能な記憶手段に書き込んで保持するようにしてもよい。
【0045】
また、各カラオケ装置で分担して記憶している個別映像データを、ジャンルで分割するようにしてもよい。たとえば、カラオケ装置Aには演歌の個別映像データを記憶し、カラオケ装置Bにはポップスの個別映像データを記憶するなどである。このようにすることにより、カラオケ装置Aは演歌のカラオケ演奏をスムーズに行え、カラオケ装置Bはポップスのカラオケ演奏をスムーズに行うことができるというように各カラオケ装置毎に特徴をだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施形態であるカラオケシステムの構成図
【図2】同カラオケシステムのカラオケ装置のブロック図
【図3】同カラオケ装置のハードディスクの構成を示す図
【図4】同カラオケ装置で用いられる楽曲データの構成を示す図
【図5】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【図6】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0047】
1…ネットワーク、A〜E…端末装置(カラオケ装置)、14…通信インタフェース、30…背景映像再生部、31…DVDチェンジャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のカラオケ装置をネットワークを介して互いに接続したカラオケシステムであって、
各カラオケ装置に、楽曲データ記憶手段および映像データ記憶手段を設け、
前記各カラオケ装置の楽曲データ記憶手段に複数の楽曲データをそれぞれ記憶するとともに、各カラオケ装置の映像データ記憶手段に、前記複数のカラオケ曲に個別に対応づけられた複数の個別映像データを分担して記憶し、
各カラオケ装置に、カラオケ曲の演奏指示があったとき、該カラオケ曲に対応する楽曲データを該カラオケ装置の楽曲データ記憶手段から読み出すとともに、
該カラオケ曲に対応する個別映像データをこれを分担して記憶しているカラオケ装置の映像データ記憶手段から取得し、該読み出された楽曲データおよび取得された個別映像データに基づいてカラオケ演奏を実行する演奏実行手段を備えたことを特徴とするカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−9452(P2008−9452A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219704(P2007−219704)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【分割の表示】特願平9−327370の分割
【原出願日】平成9年11月28日(1997.11.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】