説明

カラオケリモコン装置

【課題】単一のユーザーが複数台のカラオケリモコン装置にログインした場合、利用していないカラオケリモコン装置の操作性の向上を図る。
【解決手段】利用ユーザー順列内で隣接する所定数の利用ユーザーの特定情報を、表示手段に表示される表示枠内に表示するユーザー表示処理と、表示枠内に表示される特定情報を入力手段から選択することで、選択された特定情報に対応する利用ユーザーに応じた処理に切り替える切替処理と、通信手段で受信した操作情報が、他のカラオケ装置に対応付けられているカラオケリモコン装置の利用に基づく情報であると共に、利用ユーザー順列に登録されている利用ユーザーと同一と判定した場合、判定された利用ユーザーの利用ユーザー順列内での位置を移動させる移動処理を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏にあわせて歌唱を楽しむカラオケ装置に対して各種指令を出力することのできるカラオケリモコン装置に関するものであって、特に、カラオケボックスなどネットワークに接続された複数のカラオケ装置が設置された環境下で使用されるカラオケリモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置では、リモコン装置を利用した遠隔操作によって歌唱する楽曲の予約が行われている。従来のリモコン装置は、テンキーを備えた赤外線通信を利用したものが利用されていたが、情報処理装置の発達に伴い、表示画面を備え、ユーザーに対して各種情報を提供することができると共に、高速無線通信を利用した大量のデータ送受信も可能となっている。さらにリモコン装置では、ユーザー情報を扱うことで、各ユーザーに対応したサービスを提供することも可能となっている。
【0003】
ユーザーに対応したサービスを行う際、ユーザーはリモコン装置からユーザー識別子、パスワードを入力することでホストサーバや、カラオケ装置に対してユーザー認証(ログイン)を実行し、ホストサーバ、カラオケ装置からリモコン装置を介して各自に対応したサービスを受けることができる。サービスには、事前登録した好みの楽曲、あるいは、以前に歌唱した楽曲を、簡易に予約するなど、認証されたユーザーに応じたサービスを提供することができる。
【0004】
ところで、カラオケボックスなど部屋毎に、リモコン装置、カラオケ装置が設置された施設を利用する場合、カラオケを楽しむ一般的なグループの人数(数人程度)や、部屋の面積、椅子数、テーブルサイズなどから、予めその部屋のサービスを許容する人数が設定されていることが多い。ところが、例えば、結婚式などの2次会などで、カラオケボックスが想定した各部屋の許容人数を超えるグループで利用されることがある。このような場合、施設側はグループに対して複数の部屋を割り当てて利用してもらうこととなる。このような状況下においても、グループ内のユーザーは、例えば、隣接する部屋の間を行き来してグループ内のユーザーと交流を図るとともに、歌唱を楽しむことができる。
【0005】
このような状況下において、ログイン可能なリモコン装置を利用した場合、ユーザーは利用する各部屋においてログインすることが考えられる。特許文献1には、予め登録されてなるグループの構成メンバーが、ネットワーク接続された複数のカラオケ演奏端末に分散してログインした際に、各カラオケ演奏端末において、他のカラオケ演奏端末に同時期にログインしているグループの構成メンバーを、仮想ログイン利用者としてコピーして認証するログイン利用者コピーシステムが開示されている。このシステムによれば、グループを構成する複数の利用者が、異なるカラオケルームに分散して歌唱を行う場合に、ログイン及びログアウトの操作を複数回行う必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−282254公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような複数のユーザーが同時にログインして、各自のサービスを利用することのできるカラオケリモコン装置に関するものであって、特に、ログインしているユ
ーザーの切り替えにおけるユーザーインターフェイスにおいて、ユーザーの利用効率向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明に係るカラオケリモコン装置は、
カラオケ装置に対応付けられて使用されるカラオケリモコン装置において、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
他のカラオケリモコン装置での利用に基づいて発生した操作情報を受信する通信手段と、
ログイン処理と、ユーザー表示処理と、切替処理と、移動処理を実行する制御手段と、を備え、
前記ログイン処理は、ユーザーからの入力に基づいて認証された利用ユーザーを利用ユーザー順列に登録し、
前記ユーザー表示処理は、前記利用ユーザー順列内で隣接する所定数の利用ユーザーの特定情報を、表示手段に表示される表示枠内に表示し、
前記切替処理は、前記表示枠内に表示される前記特定情報を前記入力手段から選択することで、選択された前記特定情報に対応する利用ユーザーに応じた処理に切り替え、
前記移動処理は、前記通信手段で受信した操作情報が、他の前記カラオケ装置に対応付けられている前記カラオケリモコン装置の利用に基づく情報であると共に、前記利用ユーザー順列に登録されている利用ユーザーと同一と判定した場合、判定された利用ユーザーの前記利用ユーザー順列内での位置を移動させることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明にかかるカラオケリモコン装置において、
前記移動処理は、前記利用ユーザー順列に登録された利用ユーザー数が、前記表示枠内に表示可能な前記特定情報の数を超えていることを条件として実行され、前記判定された利用ユーザーの前記利用ユーザー順列内での位置を先頭あるいは後尾に移動させることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明にかかるカラオケリモコン装置において、
前記操作情報は、ユーザーによる楽曲予約操作、あるいは、認証を必要とする操作に基づいて発生したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1台の装置で複数のユーザーを認証して利用可能なカラオケリモコン装置において、他のカラオケ装置に対応づけられたカラオケリモコン装置にて同一ユーザーによる利用を検出した場合、当該ユーザーについて利用ユーザー順列内での位置を移動させることで、他室などで利用しているユーザーの分身像を表示枠内から外して表示させることが可能となるとともに、実際に部屋にいる可能性のあるユーザーを連続して表示枠内に表示させ、ユーザーの操作性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
さらに、利用ユーザー順列に登録された利用ユーザー数が、表示枠内に表示可能な分身像の数を超えた場合を条件として、移動処理を実行することとしている。ユーザーは、表示枠内に表示される分身像の順番を記憶しており、分身像の順番の記憶を頼りにユーザーを切り替えるための操作を行うことがある。このような条件を付加することで、表示枠内に表示されるユーザーの分身像の順番を不必要に移動させることがなく、操作性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
さらに、移動処理にて判定に利用される操作情報は、ユーザーによる楽曲予約操作、あるいは、認証を必要とする操作に基づいて発生したものとしている。複数人が利用するカラオケリモコン装置では、他のユーザーの登録楽曲を表示させて、ユーザーの嗜好を閲覧
することがある。このような場合、他のユーザーの操作であるにもかかわらず本人ユーザーの操作であると判定されることとなってしまう。そのため操作情報を本人しか行わないであろうとされる操作、例えば、楽曲予約操作や、パスワードを入力するなどの認証を必要とする操作に限定することで、本人の利用であることを判定する精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図
【図2】本発明の実施形態に係るカラオケリモコン装置の画面を示す図
【図3】本発明の実施形態に係る表示枠に表示される特定情報(アバター)を説明するための図
【図4】カラオケを利用する部屋の状況を説明するための図
【図5】本発明の実施形態に係る表示位置変更処理を示すフロー図
【図6】本発明の実施形態に係る操作情報のデータ構成を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る操作情報を送信する各種形態を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る特定情報(アバター)の移動の様子を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、コマンダ2(カラオケ装置)と、リモコン装置1を含んで構成されており、コマンダ2とリモコン装置1は、LAN100及びアクセスポイント110を利用してネットワークを形成するように接続されている。
【0016】
カラオケボックスなどの店舗に設置されるコマンダ2は、楽曲を演奏するための演奏手段として音響制御部70を備えている。また、ユーザーからの各種入力を受け付けるスイッチなどで構成される入力手段としての操作部21、各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD32(ハードディスク)、LAN100に接続してネットワークに加入するための通信手段としてのインターフェイス部24を備えている。また、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。映像再生手段は、映像再生部29、ビデオRAM28、映像制御部31を備えて構成される。
【0017】
そして、これら各構成を統括して制御するための制御手段として、CPUにて構成される制御部30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を備えて構成される。
【0018】
このような構成にてコマンダ2は、制御部30によって各種処理を実行することとなるが、コマンダ2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲演奏処理、映像表示処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザーからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1から送信された予約情報をメモリ27に記憶する予約テーブルに登録する。楽曲演奏処理は、予約テーブルに登録された予約情報に基づいて順次楽曲を音響制御部70にて演奏させる処理である。音響制御部70にて演奏された楽曲は、歌唱用マイク44a、44bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカー42から放音される。この楽曲演奏処理と同時に映像表示処理が実行される。この映像再生処理は、映像制御部31にて各種映像情報、歌詞情報などを再生させ、モニタ41を介した視覚情報をユーザーに提供し、歌唱補助を行う処理である。
【0019】
一方、予約情報などコマンダ2に対して各種指示を発行するとともに、コマンダ2あるいはカラオケ用ホスト5から各種情報を受信するリモコン装置1は、表示手段としての表
示部11、ユーザーからの各種入力を受け付ける入力手段としての操作部17、アクセスポイント110に無線接続し、ネットワークに加入するための通信手段としての無線LAN通信部16、楽曲検索に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶手段としてメモリ14、そして、これら構成を統括して制御するための制御手段を備えて構成される。制御手段には、CPUにて構成される制御部15、表示制御部13に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、操作部17からの入力を解釈して制御部15に伝達する操作処理部18が含まれている。また、リモコン装置1の表示部11と操作部17は一体となってタッチパネル表示画面を形成することとしてもよい。
【0020】
また、リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。また、各リモコン装置1は、特定のコマンダ2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたコマンダ2にて受信されることとなる。なお、LAN100が利用できない状況を考え、リモコン装置1とコマンダ2とは赤外線、Bluetooth(登録商標)などを利用した近距離通信を予備的に設けることとしても
よい。
【0021】
このようなリモコン装置1の構成により、制御部15は、ユーザーからの各種入力を操作部17にて受付けるとともに、映像情報を表示部11に表示してユーザーに対して各種情報を提供するとともに、コマンダ2あるいはカラオケ用ホスト5に対して楽曲予約などの各種指示を送信することが可能とされている。
【0022】
さらに、本実施形態のカラオケシステムが形成するネットワークは、インターネットを介してカラオケ用ホスト5に接続される。カラオケ用ホスト5の記憶手段としての記憶部51には、楽曲情報やユーザー情報など、各種サービスに必要な情報が記憶されている。記憶部51に新たに追加された楽曲情報は、コマンダ2に対して送信されることで配信による新曲の追加が可能となる。また、ユーザー情報は、事前に会員登録したユーザーに関する情報であって、リモコン装置1にてユーザー識別子、パスワードを入力するログイン処理を実行することでリモコン装置1のメモリ14に記憶される。ログインしたユーザーは、ユーザー情報に基づいて自己に適したサービスを受けることが可能となる。
【0023】
ユーザー情報を利用したサービスとしては、ユーザーが事前に登録した自己のお気に入り楽曲やお気に入り歌手(アーティスト)をユーザー情報から読み出して、簡易な楽曲選択を実現するサービス、あるいは、楽曲を歌唱した際の採点結果(採点情報)を、他の登録ユーザーと競うサービスなどがある。なお、本実施形態ではカラオケ独自の利用形態を考慮して、1人のユーザーが複数のリモコン装置1で同時にログイン(いわゆる二重ログイン)することが可能となっている。
具体的には、図1に示すリモコン装置1aにログインし、他のリモコン装置1bからもログインする。
図1においては、リモコン装置1a、リモコン装置1bは共通のアクセスポイント110を介してコマンダ2へアクセスしているが、リモコン1bは他の部屋に設置され、他の部屋に設置されたコマンダ2を利用することもある。ログイン認証をカラオケ用ホスト5で行っていれば、リモコン1aと1bとが異なる部屋にあっても、それぞれのリモコン1がカラオケ用ホスト5と認証することで、1人のユーザが複数のリモコンで同時にログイ
ンすることはできる。このとき、リモコン1a、1bが制御するコマンダ2は、それぞれが設置された部屋の各コマンダ2を利用することになる。図示していないが、各部屋のコマンダ2はLAN100を介して、お互い通信可能である。
【0024】
では、本発明の実施形態に係るリモコン装置1の利用について詳細な説明を行う。図2
は、本発明の実施形態に係るカラオケリモコン装置の画面を示す図である。前述したように、本実施形態のリモコン装置1は、ログイン処理を実行することで各ユーザーに適したサービスを受けることができる。また、複数のユーザーが集ってリモコン装置1を共有して使用するカラオケの利用形態を考慮して、1台のリモコン装置1に対して複数のユーザーが同時にログインすることができる。
【0025】
図2には複数のユーザーがログインした状況下におけるリモコン装置1の表示部11の画面(表示枠101、詳細は後述する)が示されている。ユーザーは、ログインしているユーザーの中から自己を特定する特定情報を選択することで、自己のユーザー情報を利用したサービスに切り替えることができる。サービスとしては、事前に登録している楽曲や歌手を簡易に検索するサービスや、これまでに歌唱した楽曲の履歴を閲覧するなどのサービスがある。本実施形態では、自己を特定する特定情報として自己を模した、あるいは、ユーザーが作成したアバター(分身像)とユーザー名が使用されている。なお、特定情報としては、アバター(分身像)のみ、あるいは、ユーザー名のみとしてもよい。この他、ユーザーが自己を識別できるアイコン、写真、キャラクターなど各種表記を採用することもできる。
【0026】
図2に表示される状態は、ログインしている複数のユーザーの中から「Aさん」が選択されている状態であって、画面右側には「Aさん」のアバターが表示されており、「Aさん」のユーザー情報に基づいて「Aさん」に特化したサービスが行われる状態となっている。なお、サービスを受けているユーザーのことをアクティブユーザーと呼ぶこととする。図2の状態は「Aさん」がアクティブユーザーということができる。
【0027】
アクティブユーザーの切替は、画面左上方に表示される表示枠101中の特定情報(本実施形態ではアバターとユーザー名により構成)を選択することで実行される。リモコン装置1では限られた表示領域領域を有効に活用するため、ログインしている全てのユーザーを表示するように無制限に表示領域を拡張するのではなく、所定人数分のログインユーザが同時に表示可能な、予め定められた領域枠としての表示枠101を設けている。
この表示枠101は、ログインユーザ数が所定人数分に達するまで、ログインユーザの特定情報を一度に表示できる。本実施例において、表示枠101の表示領域枠は5名分としている。この所定人数は、一般的なカラオケグループの人数を想定して予め決定される。アクティブユーザーの切り替えは、ユーザが、表示枠101の左右に表示される移動ボタン102a、102bをタッチ操作して、自己の特定情報(アバターとユーザー名)を表示枠101中に表示させ、表示された特定情報をタッチ選択することで実行される。
【0028】
図3には、本発明の実施形態に係る表示枠に表示される特定情報(アバター)変更の様子が示されている。何れの図にも「Aさん」から「Gさん」7人のユーザーがログインした状態となっている。本実施形態では、ユーザーは、カラオケ用ホスト5へのログイン処理にてログインした順番で、利用ユーザー順列に登録される。利用ユーザー順列は、リモコン装置1のメモリ14上で管理されるテーブルであって、ログインしたユーザー毎の順番を記憶する。そして、利用ユーザー順列に基づいて、表示枠101内にユーザーの特定情報が表示される。
【0029】
先に説明したように、本実施形態の表示枠101は、5名分の特定情報を表示することが可能とされている。これ以上のユーザーがログインした場合には、移動ボタン102aあるいは102bを操作することで、表示枠101内に表示される特定情報が変更される。図3は、表示枠101内に表示される特定情報(この場合、アバターとユーザー名)と、利用ユーザー順列との関係を模式的に示した図となっており、「Aさん」から右に「Gさん」まで7名のユーザーが順番にログインした状態である。図3(a)は、この7名のユーザーのうち、隣接する「Aさん」から「Eさん」までの5名のユーザーが表示枠10
1内に表示された状態となっている。この状態では、表示枠101内に表示されている「Aさん」から「Eさん」までが、表示枠101に表示されている各ログインユーザの特定情報を選択することで、アクティブユーザーとして切り替えることが可能である。
【0030】
ここで、表示枠101内に表示されていない「Gさん」をアクティブユーザーに切り替える場合を考えてみる。この場合、「Gさん」を表示枠101内に表示させる必要があり、ユーザーは、移動ボタン102aを操作することとなる。図3(b)は移動ボタン102aを1回操作したときの様子が示されている。表示部分、すなわち、表示枠101は、利用ユーザー順列上において右側に1ユーザー分移動する。同様の操作を再度行うことで図3(c)に示されるように「Gさん」の特定情報が表示することができる。「Gさん」をアクティブユーザーとする場合には、特定情報を選択することで「Gさん」をアクティブユーザーに切り替えることが可能となる。特定情報の選択は、操作部17による操作にて実行される。例えば、操作部17が表示部11を含むタッチパネルにて構成される場合には、特定情報にタッチペンあるいは指で触れることで実行できる。
【0031】
このように複数のユーザーがログインし、ユーザーを切り替えることでユーザー情報を用いたサービスが提供されるリモコン装置であるが、このような、タッチパネルを用いてパネル表示画面の所定の領域内にログインユーザの特定情報を表示し、その特定情報をタッチ選択することで、ユーザー切り替えが実行されるユーザーインターフェイスでは次のような問題が発生する。
【0032】
図4は、カラオケを利用する部屋の状況を説明するための図である。カラオケボックスなどにおいて大人数のグループが来店した場合、グループの人数が各部屋の許容人数を上回ることがある。このような場合、店舗側は複数の部屋を利用してもらうことで対応を行う。各部屋にはカラオケ装置としてのコマンダ2とそれに対応づけられたリモコン装置1が設置されている。図4に示されるように「Aさん」から「Jさん」の10名のグループが来店した場合、6名、4名で2つの部屋を利用してもらうことが考えられる。
ここで「Dさん」、「Gさん」を一例にして説明を行う。
【0033】
「Dさん」は当初、部屋1にいるからリモコン装置1aからログインし、歌唱履歴(例えば、音高キー設定)をカラオケ用ホスト5から取得する。表示部11の画面を「Dさん」用画面に切り替え、アクティブユーザとなり、予約する曲に歌唱履歴を反映させて、曲の予約をコマンダ2aに対して行って歌唱演奏している。
「Gさん」も同様に、部屋2のリモコン装置1bからログインし、歌唱履歴(例えば、音高キー設定)をカラオケ用ホスト5から取得する。そして表示部11の画面を「Gさん」用画面に切り替え、予約する曲に歌唱履歴を反映させて、曲の予約をコマンダ2bに対して行って歌唱演奏している。
このような場合、たとえ部屋を分かれても同じグループであるから、お互いの交流を図るため、部屋を跨いでユーザーの部屋移動が行われることがある。図4には移動後の様子が示されており、当初「Aさん」から「Fさん」の6名で部屋1を、「Gさん」から「Jさん」の4人で部屋2を利用していたのに対し、「Dさん」と「Gさん」が入れ替わった状況となっている。
【0034】
このような場合、「Gさん」は移動後の部屋1に設置されるリモコン装置1aを利用して、再度、ログイン処理を実行するとともに、「Dさん」は移動後の部屋2に設置されるリモコン装置1bを利用して、再度、ログイン処理を実行することが考えられる。なお、本実施形態のカラオケシステムでは、1人のユーザーが、異なるコマンダ2に対応づけられたリモコン装置1においてログインすること(2重ログイン)を可能としている。
したがって、部屋2へ移動した後の「Dさん」は、部屋1に設置されたリモコン装置1a、コマンダ2aを利用していないにもかかわらず、「Dさん」はリモコン1aへもログイ
ンした状態となっている。
同様に、部屋1へ移動した後の「Gさん」も、部屋2に設置されたリモコン装置1b、コマンダ2bを利用していないにもかかわらず、リモコン1bへもログインした状態になっている。
カラオケにおけるリモコンは、一般のコンピュータの端末ログインとは異なり、ログインユーザの歌唱履歴(音高キー設定など)を、ログイン時にカラオケ用ホスト5から取得し、曲の予約は同じ部屋のコマンダ2に対して行い、そのときに歌唱履歴も反映させて、同じ部屋のコマンダ2から曲演奏させるものであるから、このような2重ログインを認めている。
【0035】
図3に示す表示枠101のログイン状況は、図4の部屋1における移動後の状況と同じ状態となっている。利用ユーザー順列上でほぼ中程に位置する「Dさん」は、部屋2に移動しているため、部屋1のアクティブユーザーとして利用されることはない。このような場合、図3(a)の状態から「Gさん」を表示させるには、前述したように移動ボタン102aを2回操作する必要ある。また、図3(b)の状態から「Aさん」を表示させるには、移動ボタン102bを2回操作する必要ある。
【0036】
このような状況を考慮し、本実施形態では、他のコマンダ2に対応づけられたリモコン装置1の利用が判断されたユーザーについては、利用ユーザー順列内での位置を変更することで、他のコマンダ2に対応付けられたリモコン装置1の利用が判断されたユーザーと同じ部屋のユーザ(「Dさん」が部屋1から部屋2へ移動した後に、部屋1に残されたユーザ)に対する、移動ボタン102a、102bの操作回数を削減し、ユーザーの利用効率の向上を図ることとしている。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係る表示位置変更処理を示すフロー図である。本実施形態では、他のコマンダ2に対応づけられたリモコン装置1の利用を判断するため、各リモコン装置1は所定の操作が行われたときに操作情報をネットワーク(LAN100)上に送信し、他のリモコン1が受信することで、各リモコン1(リモコン1a、リモコン1b)はログインユーザの操作情報を共有することとしている。あるリモコン装置1からネットワーク上に送信された操作情報は、他のリモコン装置1によって受信されることで、同じネットワーク上でのユーザーの利用状況が判定される。操作情報の送信、受信の流れは図7に示す。図7の説明は後述する。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係る操作情報のデータ構成を示す図である。操作情報は、コマンダ識別子、ユーザー識別子、操作内容を含んで構成された情報であって、リモコン装置1の操作に伴って送信される情報である。コマンダ識別子は、リモコン装置1が対応づけられているコマンダ2を識別するための情報である。例えば、図4の場合には、リモコン装置1aの操作が行われた場合、リモコン装置1aは、それが対応づけられているコマンダ2aのコマンダ識別子を操作情報に含める。ユーザー識別子は、操作を行ったユーザーを示す識別子であって、具体的にはリモコン装置において、アクティブユーザーとして選択されているユーザーのユーザー識別子である。操作内容は、リモコン装置1にて行われた操作内容を示す情報であって、図に示すように楽曲予約、ログイン、設定変更、マイうた閲覧、マイアーティスト閲覧など、リモコン装置1の操作の内容、状況を示す情報となっている。
【0039】
あるリモコン装置1から同じネットワーク上に接続された他のリモコン装置1への操作情報の送信には各種形態をとることができる。図7は、本発明の実施形態に係る操作情報を送信する各種形態が示されている。ここでは、図4で説明した部屋2に設置されるリモコン装置1bから、部屋1に設置されるリモコン装置1aへの操作情報の送信の各種形態が示されている。なお、操作情報は、部屋1に設置されるリモコン装置1a以外に、同じ
ネットワークに接続された他のリモコン装置1にも送信されるものである。
【0040】
図7(a)は、リモコン装置1b、1a間で直接、操作情報の送受信が行われる場合を示している。リモコン装置1bにて所定の操作が行われることで発生した操作情報は、ネットワークを介して、リモコン装置1aに送信され、表示位置変更処理が開始される。図7(b)は、操作情報の送信側にてコマンダ2bを介した場合を示した形態となっている。リモコン装置1bから送信された操作情報は、コマンダ2bにて中継され、ネットワークを介して部屋1に設置されるリモコン装置1aに送信される。図7(c)は、操作情報の送信側、受信側の両方において、操作情報がコマンダ2で中継される形態を示している。リモコン装置1bの操作で発生した操作情報は、それが対応づけられたコマンダ2bにて中継され、ネットワークを介してコマンダ2aに送信される。操作情報を受信したコマンダ2aは対応づけられているリモコン装置1aに対してそれを送信する。
【0041】
では、このような各種通信形態で受信した操作情報に基づいて行われる表示位置変更処理について説明する。図5のフロー図は、リモコン装置1側にて実行される処理であって、前述の操作情報の受信により実行される。S101にて、他のリモコン装置からの操作情報を受信すると、S102以降の処理が開始される。S102では、受信した操作情報が同じ部屋のリモコン装置1から送信されたものであるかが判定される。この判定は、操作情報に含まれるコマンダ識別子を調べることで判定可能である。
リモコン1、及びコマンダ2の識別子(IPアドレス、製造番号など)は、予めお互いの記憶手段に記憶されていたり、リモコン1とコマンダ2との対応付け(通称:くくりつけ、紐付け)で行われるタイミングで、お互いの識別子を取得したりする。よってリモコン装置1はコマンダ識別子を調べることができる。
操作情報に含まれるコマンダ識別子を、受信したリモコン装置1が対応づけられているコマンダ2のコマンダ識別子と比較し、同じ場合には同じ部屋のリモコン装置1からの送信であることが、また、異なる場合には、異なる部屋のリモコン装置1からの送信であることが判定される。
【0042】
同じ部屋のコマンダ2に対応づけられたリモコン装置1からの操作情報である場合(S102:Yes)には、特定情報を移動させる必要が無いため、次に到来する操作情報を待つ。一方、異なる部屋のリモコン装置1による操作情報である場合(S102:No)には、次の処理に進む。
【0043】
S103では、操作情報に含まれる操作内容が所定の操作であるか否かが判定される。本実施形態では、楽曲予約、あるいは、認証を伴うログイン、設定変更が行われた場合に、ユーザーが自分で操作を行っていると判定することとしている。例えば、登録した楽曲や歌手を閲覧するマイうた閲覧、マイアーティスト閲覧は他のユーザーによって実行される場合もあるため、このような操作内容は特定情報の移動条件としては除外し、本人判定の精度の向上を図ることとしている。したがって、S103では、操作内容が、楽曲予約、あるいは、認証を伴うログイン、設定変更といったユーザー本人が行う可能性が高い場合(S103:Yes)にのみ、特定情報の移動を実行することとしている。
【0044】
S104では、操作情報を受信したリモコン装置1においてログインしているユーザー数が表示枠101の表示可能数(図2の実施形態では5名)より多いか否かが判定される。本実施形態は、前述したように、移動ボタン102a、102bの操作回数を削減し、利用効率を図ることとしている。そのため、ログインしているユーザー数が表示枠101の表示可能数以内である場合には、特定情報の移動を行わないようにしている。
【0045】
S105では、操作情報のユーザー識別子に対応するユーザーが、リモコン装置1においてログインしているユーザーか否かが判定される。これは、操作情報中に含まれるユー
ザー識別子と、操作情報を受信したリモコン装置1にログインしているユーザーのユーザー識別子を比較することで行われる。リモコン装置1におけるユーザー識別子において、操作情報に含まれるユーザー識別子と一致する場合には、当該ユーザーが他のリモコン装置1を利用しているとして判定する。
【0046】
以上、本実施形態では、S102〜S105の各種条件に該当する場合に、利用ユーザー順列内でのユーザーの位置を移動させることとしている。利用ユーザー順列内での移動は、表示部11で表示されるユーザー特定情報の並びに反映される。なお、ログインしているユーザーが他の部屋のリモコン装置1を使用している判定としては、S102、S105の処理を必要とするものであって、S103、S104の処理の有無は任意とすることが可能である。
【0047】
図8は、本発明の実施形態に係る特定情報(アバター、ユーザー名)の移動の様子を説明するための図である。この図は図4におけるユーザーが部屋を移動した状況に対応したものであって、部屋1に「Gさん」が加わるとともに、部屋2に「Dさん」が移動した状況に対応している。部屋1に存在しない「Dさん」の特定情報が、ユーザーインターフェイス上で障害となるが、本実施形態では、他の部屋での利用状況を鑑み、「Dさん」が他の部屋のリモコン装置1bを利用していることを判定した場合、部屋1のリモコン装置1aにて表示される「Dさん」の特定情報(アバター、ユーザー名)を移動させることとしている。
【0048】
図8(a)は、「Gさん」が部屋1に移動してリモコン装置1aにてログインした状態を示している。
「Gさん」が部屋に移動する前の部屋1においては、最後にログインしたのは「Fさん」であるから、「Fさん」の特定情報は左から6番目に位置している(図8(a))。
このとき、表示枠101の表示サイズは5名であるから、「Fさん」の特定情報は常に表示枠101外に位置しており、「Fさん」がアクティブユーザになるためには、常に移動ボタン102bを1回操作して、表示枠101を1名分移動させなければならない。
(図8(a)においては、「Gさん」が部屋1に移動してリモコン1aにログインしているから、最後にログインしたGさんは右端に追加されている。)
このとき「Dさん」は部屋2に移動しており、前述したような操作上の問題が生じている。ここで、リモコン装置1bにて「Dさん」がログインした場合、操作情報がリモコン装置1aに対して送信される。リモコン装置1aにて受信した操作情報は、前述したS102〜S105の条件に該当するため、特定情報の移動が実行される(S106)。
【0049】
図8(b)は、特定情報移動後の状態が示されている。この実施形態では、「Dさん」を利用ユーザー順列内の後尾に移動させることとしている。また、「Dさん」の移動に伴い「Eさん」、「Fさん」、「Gさん」の3名を前に詰める処理が実行されている。このような利用ユーザー順列内の移動によって、
表示枠101中には「Aさん」、「Bさん」、「Cさん」、「Eさん」、「Fさん」の5名が表示されることとなる。よって、「Fさん」は移動ボタン102aを操作しなくてもよくなる。また、表示枠101に表示しきれない「Gさん」についても移動ボタン102aを1回操作するだけで、表示枠101内に表示可能となる。
【0050】
図8(b)では、他のリモコン装置1bを利用していると判定されたユーザーを、利用ユーザー順列の後尾に移動させることとしたが、利用ユーザー順列の先頭に移動させることとしても同様の効果を得ることができる。図8(c)は、「Dさん」を利用ユーザー順列の先頭に移動させた場合が示されている。このような場合においても、実際に部屋1にいる「Aさん」、「Bさん」、「Cさん」、「Eさん」、「Fさん」、「Gさん」の何れかをアクティブユーザーとして選択するべく、表示枠101内に表示させるためには、移
動ボタン102aあるいは102bを1回操作するだけでよい。
【0051】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0052】
1…リモコン装置、11…表示部、12…ビデオRAM、13…映像制御部、14…メモリ、15…制御部、16…無線LAN通信部、17…操作部、18…操作処理部、2…コマンダ(カラオケ装置)、21…操作部、22…操作処理部、24…インターフェイス部、27…メモリ、28…ビデオRAM、29…映像再生部、30…制御部、31…映像制御部、32…ハードディスク、41…モニタ、42…スピーカー、44a、44b…歌唱用マイク、100…LAN、110…アクセスポイント、120…ルータ、5…カラオケ用ホスト、51…記憶部、70…音響制御部、101…表示枠、102a、102b…移動ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ装置に対応付けられて使用されるカラオケリモコン装置において、
ユーザーからの各種入力を受け付け可能とする入力手段と、
他のカラオケリモコン装置での利用に基づいて発生した操作情報を受信する通信手段と、
ログイン処理と、ユーザー表示処理と、切替処理と、移動処理を実行する制御手段と、を備え、
前記ログイン処理は、ユーザーからの入力に基づいて認証された利用ユーザーを利用ユーザー順列に登録し、
前記ユーザー表示処理は、前記利用ユーザー順列内で隣接する所定数の利用ユーザーの特定情報を、表示手段に表示される表示枠内に表示し、
前記切替処理は、前記表示枠内に表示される前記特定情報を前記入力手段から選択することで、選択された前記特定情報に対応する利用ユーザーに応じた処理に切り替え、
前記移動処理は、前記通信手段で受信した操作情報が、他の前記カラオケ装置に対応付けられている前記カラオケリモコン装置の利用に基づく情報であると共に、前記利用ユーザー順列に登録されている利用ユーザーと同一と判定した場合、判定された利用ユーザーの前記利用ユーザー順列内での位置を移動させることを特徴とする
カラオケリモコン装置。
【請求項2】
前記移動処理は、前記利用ユーザー順列に登録された利用ユーザー数が、前記表示枠内に表示可能な前記特定情報の数を超えていることを条件として実行され、前記判定された利用ユーザーの前記利用ユーザー順列内での位置を先頭あるいは後尾に移動させることを特徴とする
請求項1に記載のカラオケリモコン装置。
【請求項3】
前記操作情報は、ユーザーによる楽曲予約操作、あるいは、認証を必要とする操作に基づいて発生したものであることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のカラオケリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50568(P2013−50568A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188244(P2011−188244)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】