説明

カラムクロマトグラフ装置

【課題】試料液体の粘度が高くても充填材へ容易に含浸させることができ、また、試料液体を通過させた後の充填材中に残留する液体を容易に回収できるカラムクロマトグラム装置を提供する。
【解決手段】充填材12を充填可能な中空本体11、中空本体11の上端に位置し試料液体S並びに展開溶媒DSを注入する注入口13、及び中空本体11の下端に位置し液体を流出させる液体出口14を具備するカラム10と、カラムの液体出口14から流出する液体を受容する液体回収装置20と、を具備するカラムクロマトグラフ装置。液体回収装置20は、液体回収容器30と、液体回収容器30とカラムの液体出口14とを流体連通状態に連結する連結部材40と、を具備する。連結部材40は、液体を流通させる流通部42を有する連結部本体41と、連結部本体41内及びカラム10内を減圧するための真空吸引手段50を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラムクロマトグラフ装置に関し、さらに詳しくは、試料液体の粘度が高くとも、短時間で充填材へ容易に含浸させることができ、また、試料液体を通過させた後の充填材中に残留する展開溶媒などの液体を容易に回収できる、カラムクロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オープンカラムクロマトグラフィーにあっては、カラム内に収容した充填材の上部から試料液体を注加し、充填材に含浸させ、充填材の上方から展開溶媒を供給する。その結果、重力落下により、上記の試料液体が充填材内を下方へ移動しながら展開され、カラム下端の液体出口から流出して展開した成分ごとに分離採取される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記の液体出口から試料液体が取り出された後のカラム内では、充填材に多量の展開溶媒が残留している。この使用済みの充填材は、自然乾燥により展開溶媒を蒸発させた後、カラムから取出されるかあるいは液体出口から逆圧を加えてカラムから取り出された後、乾燥される。そして空になったカラムに新しい充填材が収容され、次の試料液体の展開に使用される。また、使い捨てカラムの場合は、展開溶媒などの液体を排出或いは回収した後に、該カラムは廃棄される。
【0004】
展開溶媒としては、一般的に、メタノール、アセトニトリル、エタノール、n-プロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、エチルエーテル、クロロホルム、テトラヒドラフラン、塩化メチレン、トルエン、ベンゼン、四塩化炭素、シクロヘキサン、炭化水素などが用いられ、一種類の溶媒のみを使うこともあるが、いくつかの溶媒を混合して適切なRf 値を達成するように極性を調整したものが用いられる。なお、展開溶媒は、展開溶媒の移動速度を一定に保持するなどの理由から、例えば0.2MPa程度以下の低い所定圧力で供給される場合がある。
【0005】
また、カラムクロマトグラフ装置においては、カラムが1つではなく、複数のカラムを直列に接続し、使用する場合がある。例えば、メインカラムの上方に、このメインカラム内の充填材よりも含浸し易い充填材を収容した試料充填用カラム或いはプレカラムとも称されるインジェクションカラムを配置したものがある。この装置では、試料液体はインジェクションカラムの充填材の上部から注加されて速やかに含浸され、展開溶媒によって下方へ移動してインジェクションカラムの液出口から展開溶媒とともに流出し、メインカラムの充填材の上部へ案内されて円滑に含浸される。そして、この試料液体がメインカラムの充填材内を移動することで各成分に精度よく展開分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−29759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラムクロマトグラフィーに供される試料液体はさまざまであるが、その物性等は未知或いは十分に知りえずに供される場合も多い。試料溶液の粘度もさまざまであるが、粘度が高いとカラム内の充填材への含浸が容易でなく、インジェクションカラムを用いた場合でも含浸に数時間などの長時間を要する場合がある。また、試料溶液の充填材への含浸が不十分な状態で展開溶媒を供給すると、この展開溶媒が試料液体で受け止められ、展開溶媒を充填材内へ移動させることができない。更に、供給した展開溶媒に試料液体が溶解され、試料液体の粘度が低下して充填材に含浸されたとしても、試料液体の容積が増加するので、所定長さのカラムの充填材中を移動しただけでは、先に移動した試料液体中の移動速度が遅い成分と、その後に移動した試料液体中の移動速度が速い成分とが重なることとなり、試料液体が各成分に精度よく展開分離されないという問題がある。従って、カラム内の充填材への試料液体の含浸が十分に行えるという前提で、試料液体の各成分の展開分離を容易且つ短時間で行なうことが求められている。
【0008】
粘度が高い試料液体の充填材への含浸時間を短縮するために、本発明者らは、カラム上端の試料液体注入口側からカラム内部に対して加圧することを試みた。この場合、加圧によるカラムの破損の恐れがあり、また、加圧状態を保持するためにカラム開口部を封栓する必要があるが、密封栓が外れて試料液体が飛散、或いは加圧装置との接続部位が外れて試料液体が飛散する等の問題が発生した。また、加圧状態を保持するために試料液体を分注するなどの手間、圧力装置の着脱の不便さ、そのための装置自体の巨大化も作業に対する妨げとなった。
【0009】
また、装置の下部から吸引による試料液体の充填材への含浸時間の短縮を試みた。この場合、カラム内の負圧状態にムラが生じるため、含浸状態が斑になったり、空気が混入してしまったりという事態が発生した。また、上述の加圧の場合と同様に、圧力装置の着脱の不便さ、そのための装置自体の巨大化も作業に対する妨げとなった。
【0010】
上記の加圧或いは減圧方法はいずれも、その加圧・減圧コントロールが非常に難しく、試料液体の量や粘度の程度の差により加減する必要があり煩雑であること、装置自体が巨大化してしまうこと、また加圧・減圧装置の着脱が不便であること、試料液体の充填材への含浸状態にムラが生じたり不十分であったりすることなどの問題があり、本来の含浸の目的を果たせないことも多かった。
【0011】
一方、使用済み充填材に含まれる展開溶媒としては、例えばヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンなどの有機溶媒が用いられるが、使用済み充填材を乾燥する際にこれらの有機溶媒が大気中に放散されるので、これらの気化ガスにより環境などが汚損される虞がある。そのため、展開溶媒は極力、回収することが求められ、またその回収方法は、安全且つ迅速に行え、また十分な回収を行えることが必要とされている。これは、再利用するカラムにおいても、使い捨てカラムにおいても同様であり、カラム内に残存する展開溶媒等を十分に排出、回収する必要がある。
【0012】
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、試料液体の粘度が高くても充填材へ容易に且つ短時間で含浸させることができ、また、試料液体を通過させた後の充填材中に残留する展開溶媒などの液体を簡易な操作で、環境中への揮発による汚染の問題もなく且つ回収率も高く回収できる、カラムクロマトグラフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、充填材を充填可能な中空本体、当該中空本体の上端に位置し試料液体並びに展開溶媒を注入する注入口、及び当該中空本体の下端に位置し液体を流出させる液体出口を具備するカラムと、当該カラムの液体出口から流出する液体を受容する液体回収装置と、を具備するカラムクロマトグラフ装置であって、
当該液体回収装置は、液体回収容器と、当該液体回収容器と当該カラムの液体出口とを流体連通状態に連結する連結部材と、を具備し、
当該連結部材は、液体を流通させる流通部を有する連結部本体と、当該連結部本体内及び当該カラム内を減圧するための真空吸引手段を具備する、カラムクロマトグラフ装置が提供される。
【0014】
当該連結部材は、さらに、当該カラムの液体出口に隣接する側に減圧調整部材を具備することが好ましい。当該減圧調整部材は、当該連結部材に気密状態に嵌合可能な減圧調整部材本体と、当該減圧調整部材本体を貫通して当該連結部材の流通部及び当該カラムの液体出口を流体連通状態に連結する開口部と、当該減圧調整部材本体を貫通する1以上、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜3個の開孔と、当該減圧調整部材本体の外表面上に載置されていて当該開孔の開口度を調整する調整弁とを具備することがさらに好ましい。真空吸引手段により生じる負圧のために、調整弁が開孔を閉じる位置にある場合には、調整弁は開孔に吸い付けられ、気密状態が保持される。開孔の数は所望の減圧調整効果が得られるものであればよいが、調整弁が回転可能に設けられている場合には360の約数であることが好ましく、開孔の配置は360度の約数となる角度で均等に設けることが、調整のし易さの点で好適である。
【0015】
当該開孔の断面形状は、円形、楕円形あるいは多角形のいずれでもよく、特に0.3mm〜3mmの直径を有する円形、0.3mm〜3mmの長軸を有する楕円形あるいは0.3mm〜3mmの最大対角線を有する多角形であることが好ましい。0.3mmよりも小さい開孔の場合には所望の減圧調整効果を得るために多数の開孔を設け、多数の開孔の開閉を調整しなければならず、3mmよりも大きい開孔の場合には微調整が難しくなるため、上記範囲が好ましい。なお、開孔の大きさ或いは形状は、この範囲のものであれば、いずれのものでもよく、開孔の開閉の調整にあわせて、複数の開孔群において、同一の形状、同一の大きさのものでも、異なる形状或いは異なる大きさのものが混在していても良い。
【0016】
当該減圧調整部材の開口部には、当該カラムの液体出口と当該連結部材の流通部を流体連通状態に連結する連結管が嵌合されていてもよい。当該連結管が嵌合されている場合には、当該調整弁は、当該連結管を嵌合可能な中央開口部を具備し、当該連結管を中心として回転可能な切り欠き部を有する平板であり、当該切り欠き部は当該開孔を開放する形状であることが好ましい。
【0017】
当該カラムは、1本でも複数本を連結させたものでもよい。複数本を連結させる場合には、最上段にインジェクションカラムを配置し、最下段にメインカラムを配置することが好ましい。インジェクションカラムの充填材としては、メインカラムの充填材よりも粒度の粗い充填材など、試料液体及び展開溶媒を移動させやすい充填材を用いることが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、上述の本発明のクロマトグラフ装置を用いた試料液体の展開分離方法及び使用後の残留液体の回収方法も提供される。実施態様は以下の通りである。
(1)前記カラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記カラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記カラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(2)前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(3)前記真空吸引手段を作動させた後に、前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(4)前記カラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記カラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記カラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(5)前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(6)前記真空吸引手段を作動させた後に、前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(7)前記インジェクションカラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記インジェクションカラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記インジェクションカラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記インジェクションカラム内の充填材内を下方に移動させ、次いで前記メインカラムの充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする、試料液体を展開分離する方法。
(8)前記クロマトグラフ装置の使用後に、真空吸引手段を作動させ、前記カラムの充填材中に残留している液体をカラムの液体出口から強制的に排出させて、液体回収容器に移動させる、残留液体の回収方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のカラムクロマトグラフ装置によれば、カラムに注入された試料液体は、真空吸引手段により生じたカラム内の負圧によって充填材の上部から下部へと速やかに浸透するので、粘度が高い試料液体であっても、含浸ムラを生じずに充填材へ容易且つ短時間に含浸させることができる。また、試料液体に含まれる各成分を精度よく展開させて分離採取することができる。
【0020】
また、使用後に、真空吸引手段により減圧することで、充填材中に残留する展開溶媒などの液体をカラム下端の液体出口から速やかに排出させ、回収容器に容易に回収することができる。これにより、使用済み充填材を簡単に乾燥させてカラムから十分且つ容易に取り出すことができるうえ、展開溶媒の気化による環境などの汚損を低減することができる。
【0021】
さらに、減圧調整部材によりカラム内の減圧度を簡易に調整することができる。これにより、試料液体の種類や量、展開溶媒の種類に応じて、及び展開の度合いを直接観察しながら、減圧度を調節して、試料液体を所望の速度で展開させることができる。
【0022】
また、減圧調整部材の開孔の開閉を調整する調整弁の形状及び回転により段階的に減圧度を調節できるので、カラム内の急激な圧力変化を防止することができ、試料液体及び展開溶媒の充填材への含浸や充填材中での移動に影響を与えることなく、さらにはカラムの破損や接続部位の外れなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明のカラムクロマトグラフ装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本発明のメインカラムとインジェクションカラムの2つのカラムを有するカラムクロマトグラフ装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】図3は、本発明のカラムクロマトグラフ装置に用いる液体回収装置の一実施形態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明のカラムクロマトグラフ装置に用いる減圧調整部材の概略構成図である。
【図5】図5は、調整弁の一実施形態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明のカラムクロマトグラフ装置の一実施形態を示す概略構成図である。図1に示す実施形態において、カラムクロマトグラフ装置1は、充填材12を充填可能な中空本体11、中空本体11の上端に位置し試料液体並びに展開溶媒を注入する注入口13、及び中空本体11の下端に位置し液体を流出させる液体出口14を具備するカラム10と、カラム10の液体出口14から流出する液体を受容する液体回収装置20と、を具備する。
【0026】
液体回収装置20は、液体回収容器30と、液体回収容器30とカラム10の液体出口14とを流体連通状態に連結する連結部材40と、を具備する。液体回収容器30の下端には、回収した液体を採取する採取口31が形成され、採取口31を開閉するコック32が取り付けられている。液体回収容器30は、展開分離された試料液体Sの各成分及び展開溶媒DSの回収容器としてのみならず、試料液体S或いは展開溶媒DSが、カラム10内に注加された後に、カラム本体11下端の液体出口14から液体が流出する恐れがあった場合の滞留容器ともなる。
【0027】
連結部材40は、液体を流通させる流通部42を有する連結部本体41と、連結部本体41内及びカラム10内を減圧するための真空吸引手段50を具備する。
【0028】
図1に示す実施形態においては、連結部材40は、さらに、カラム10の液体出口14に隣接する側に減圧調整部材60を具備する。減圧調整部材60は、図4に示すように、連結部材40に気密状態に嵌合可能な減圧調整部材本体61と、減圧調整部材本体61を貫通して連結部材40の流通部42及びカラム10の液体出口14を流体連通状態に連結する開口部62と、減圧調整部材本体61を貫通する3個の開孔63と、減圧調整部材本体61の外表面上に載置されていて開孔63の開口度を調整する調整弁64とを具備する。図4及び図5において、減圧調整部材本体61の中心に隣接する位置に3個の開孔63が設けられている。開孔63の配置は、段階的に減圧度を調整できるようにするため、円筒状の減圧調整部材本体61の上面の円外周に内接する正三角形の頂点に位置するよう120度間隔で設けられている。なお、開孔63が4個の場合は円筒状の減圧調整部材本体61の上面の円外周に内接する正方形の頂点に位置するよう90度間隔に配置するのが望ましい。
【0029】
図1及び図4に示す実施形態においては、減圧調整部材の開口部62には、カラム10の液体出口14と連結部材40の流通部42を流体連通状態に連結する連結管65が嵌合されている。調整弁64は、図5に示すように、連結管65を嵌合可能な中央開口部66を具備し、連結管65を中心として回転可能な平板として形成されている。調整弁64は、3個の開孔63を開放する形状の切り欠き部67を有する。たとえば、3個の開孔63が120度間隔で均等に設けられている場合には、3個の開孔63がすべて開放されている状態を基点として、調整弁64を30度回転させると2個の開孔63が開放され(つまり1個の開孔63が閉じられる)、さらに30度(合計60度)回転させると1個の開孔63が開放され(つまり2個の開孔63が閉じられる)、さらに30度(合計90度)回転させると3個すべての開孔63が閉じられ、さらに30度(合計120度)回転させると3個の開孔63が開放される翼状となるように切り欠き部が構成されている。
【0030】
真空吸引手段50は、真空ポンプ51と、真空吸引路52と、連結部材本体41から分岐している枝管43と、枝管43の先端に設けられ真空吸引路52と接続している吸引口44とを具備する。真空ポンプ51は、試料液体Sを充填材12の上方から注加した後に接続されてもよく、或いは試料液体Sを注加する前に予め接続されていてもよい。真空ポンプ51の駆動は、所望により、試料液体注加後でも、予め試料液体の注加前でも良い。
【0031】
なお、本発明の装置においては、カラム内の充填材は、シリカゲルや活性アルミナ、活性炭、セルロース、デンプン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなど、任意の材料を用いることができ、分離精製の目的に適う充填剤を選択すればよく、特定のものに限定されない。また、展開溶媒も、特定の溶媒に限定されず、試料溶液に適した溶媒を選択すればよく、例えばヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンなどの任意の1種又は複数の溶媒を混合した展開溶媒を用いることができる。
【0032】
次に図1に示すクロマトグラフ装置1の使用方法を説明する。
【0033】
カラム本体11に充填材12を充填した後、カラム本体11の注入口13から試料液体Sを注加し、次いで、展開溶媒DSを供給する。試料液体Sは、展開溶媒DSに対する溶解度の違いにより成分ごとに展開速度が異なるので、展開速度が速い成分から遅い成分へと順次分離されながら充填材12内を下方へ移動し、カラム本体11の下端の液体出口14から液体Lが流出する。液体Lは、カラム本体11の下端の液体出口14に接続されている液体回収装置20の液体回収容器30に受容される。液体回収装置20の真空吸引ポンプ51を作動させると、連結部材40を介してカラム10内が減圧される。カラム10内が減圧されると、展開溶媒DSに溶解した試料液体Sの成分は充填材12の間を下方向に強制的に吸引されるので自然流下速度よりも高速の速度で浸透し、成分ごとの展開分離が促進される。
【0034】
液体試料Sを注加すると同時又は直後に真空吸引ポンプ51を作動させると、カラム10内の充填材12の上表面部に存在する試料液体Sは、カラム10内の充填材12より下方が減圧されることにより生じる負圧のため、充填材12中へ速やかに浸透し、充填材12の上部に含浸した状態となる。この試料液体Sが含浸した充填材12の上方に展開溶媒DSが供給されると、試料液体Sは、展開溶媒DSに対する溶解度の違いにより成分ごとに異なる展開速度で充填材12内を下方へと、その成分ごとに応じた速度で円滑に移動しながら展開し、カラム本体11下端の液体出口14から液体回収装置20へと流出する。液体回収容器30には展開速度の違いにより成分が分離回収される。分離回収された成分を分析などに供するため、所望の成分の分離が終了した時点で真空吸引手段50を止めて、液体回収容器30の下端のコック32を開けて採取口31から液体を取り出す。
【0035】
真空吸引ポンプ51の作動時に、減圧調整部材60を用いて液体回収装置20及びカラム10内の充填材12内の減圧度を調整することができる。減圧度の調整は、カラム10内での試料液体Sの展開分離の度合いを確認しながら、減圧調整部材60の調整弁64を回転させて開孔63の開閉を調整して行う。例えば、後述する実施例で使用するシリカゲル充填部分寸法が内径20mm×カラム長65mmのカラムに対して、直径1mmの開孔63が3個開放されている場合、開孔63から空気が流入する為、減圧度は高くならず、圧力は650mbar以下になりにくい。試料粘度が未知の場合は、開孔63が全て開放された状態になるよう調整弁64を回転させた後、試料液体Sを注加するのが望ましい。試料液体Sを注加後、減圧度が足りなく充填材12の上部に保持されたままである場合には、調整弁64を回転させて開孔63を1個ずつ閉鎖することで、減圧度を連続的かつ段階的に上げていくことができる。例えば、直径1mmの開孔63が3個ある場合、調整弁64を回転させることで、開孔63を一つ塞ぎ、開放されている開孔63を2つにすることで減圧度を上げることができる。その結果、全開のときに比べ減圧度が上がり、試料液体Sの充填時間が短縮される。この場合でも、まだ充填に時間がかかるようであれば、更に調整弁63を回転させ、開孔63を閉じていくことで減圧度を上げていくことができる。
【0036】
成分の分離回収が終了した後、試料液体Sが通過した後の充填材12には、多量の展開溶媒DSが含浸された状態で残留している。真空吸引ポンプ51を再び作動させると、充填材12内に生じる負圧により展開溶媒DSなどの液体が液体出口14から強制的に吸い出され、回収容器30内へ回収される。展開溶媒DSなどの液体が十分に回収されると、充填材12に残留する展開溶媒DSなどの液体は僅かな量となるので、簡単に乾燥させた後に使用済み充填材12をカラム本体11から取り出す。或いは、液体出口14から逆圧を加えて使用済み充填材12をカラム本体11の上端から取り出し、簡単に乾燥させてもよい。また、使い捨てカラムの場合は、いずれかの方法で展開溶媒DSなどの液体を排出或いは回収した後、該カラムを廃棄する。
【0037】
次に、図2に示す別の実施形態について説明する。
【0038】
図2には、メインカラム10の上段にインジェクションカラム10’を設けた本発明のクロマトグラフ装置1’の実施形態を示す。図1に示すクロマトグラフ装置1と同じ部材には同じ参照符号を用い、説明は割愛する。
【0039】
図2に示すクロマトグラフ装置1’のメインカラム10の上段には、メインカラム10と同じ構成であるが寸法が異なるインジェクションカラム10’が取り付けられている。メインカラム10とインジェクションカラム10’とは接続部材15で気密状態に連結され、支持部材70で直立状態に支持されている。インジェクションカラム10’内には、メインカラム10内の充填材12よりも粒度の粗い充填材12’が充填されている。
【0040】
図2に示す実施形態においては、分離精製のためのメインカラム10と、メインカラム10の上方に配置されるインジェクションカラム10’の2種のカラムが直列に配置されている。インジェクションカラム10’は、試料充填用カラム或いはプレカラムとも称され、メインカラムとは異なる例えば粒度の粗い充填材など、試料液体が浸透し易い充填材を用いることができるので、一層速やかに含浸させることができる、という効果を奏する。また、インジェクションカラム10’内で試料液体Sを展開溶媒DSで展開し、成分ごとにメインカラム10へ円滑に案内して、メインカラム10内で精度よく展開させることができる。
【0041】
試料液体Sをカラムクロマトグラフィーに供する場合、粘度が未知である場合が多いが、粘度に応じ、インジェクションカラム10’内の充填材12’に含浸される速度が異なる。例えば、粘度が高い場合には含浸されず、充填材12’の上部に保持されたままの状態となる。真空吸引ポンプ51を作動させると、インジェクションカラム10’内の充填材12’から下方が減圧される。その際、減圧調整部材60の調整弁64によって開孔63の開放度を調節して段階的かつ連続的に減圧度を上げていくことができるため、それによって生じた負圧により、試料液体Sはいかなる粘度の液体であってもインジェクションカラム10’の充填材12’の上部から容易に浸透でき、含浸された状態となる。同様に、インジェクションカラム10’を流下した試料液体Sは、メインカラム10内の充填剤12に浸透、含浸される。
【0042】
使用後には、真空吸引ポンプ51を作動させて、インジェクションカラム10’の充填材12’よりも下方部分内を減圧して、充填材12’及び12に含浸している残留展開溶媒DSを液体出口14’および14から強制的に吸い出し、回収容器30内に受容する。あるいは、メインカラム10とインジェクションカラム10’とを分離し、各カラムの液体出口14及び14’にそれぞれ液体回収装置20を接続して、それぞれの充填材12及び12’から残留液体を回収してもよい。
【0043】
図3は、本発明の実施形態の液体回収装置の一例の断面図である。図1及び図2と同じ部材には同じ参照符号を付し説明を割愛する。
【0044】
図3に示すクロマトグラフ装置では、液体回収容器30は三角フラスコであり、三角フラスコの開口には保密栓28が気密状態に挿入されており、保密栓28には連結管22の一端部が貫挿されている。減圧調整部材60の減圧調整部材本体61には、連結管22の他端部が貫挿されている。液体回収容器30とカラム10下端の液体出口14とは、連結管22によって気密状態に連結され、連結管22は液体の流通部を構成している。液体回収容器30の保密栓28には別の連結管29も貫挿され、真空吸引ポンプ51を液体回収容器30に接続している。
【0045】
上記の実施形態で説明したカラムクロマトグラフ装置及び操作方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、操作手順や各装置の構造、配置、形状、材質などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0046】
また、上記の実施形態では、試料液体を充填材に含浸させる際に、カラムの上部を開放した状態で真空吸引ポンプを作動させるため、充填材の上方から大気圧が加わり、試料液体を速やかに充填材へ含浸させることができて好ましい。しかし本発明では、上記の試料液体を充填材に含浸させる場合に、カラムの上部に給液路を接続した状態で実施することも可能である。
【0047】
さらに、本発明のクロマトグラフ装置及び操作方法は、試料液体が充填材へ容易に含浸できる場合にも適用できることは、いうまでもない。
【実施例】
【0048】
市販の充填済みカラムを使用して、試料液体が粘性物質である場合の浸透時間を定量化し、本発明の効果を検証した。
【参考例1】
【0049】
市販の充填済みカラム2種類を用いて、エチレングリコール1mlを該カラムの上部から壁を伝わらせ注加し、そのまま静置した。該カラム内の充填材への含浸について目視で観察し、含浸が完了するまでの時間を計測した。
【0050】
使用したカラムは、下記の2種類であった。
カラム1:Yamazen社 INJECT COLUMN Size M(lot.071226)
(シリカゲル充填部分寸法:内径20mm×カラム長65mm、充填剤:シリカゲル、ポアーサイズ60Å、粒子径70μm、充填量12g)
カラム2:Moritex社 Purif-Pack Charge-Si size20(lot DC070636)
(シリカゲル充填部分寸法:内径20mm×カラム長60mm、充填材:シリカゲル、粒子径100μm、充填量10g)
使用した試料液体:エチレングリコール(東京化成, lot GMV2C)1ml 粘度21cp(センチポアズ)
実施室内の室温:22℃
その結果、カラム1は3時間6分でほぼ含浸が終了したが、カラム2では24時間経過しても含浸は終了していなかった。
【0051】
このように、エチレングリコールのような粘性の高い試料液体を分取精製しようとした際、従来の装置及び方法では試料液体の含浸に多くの時間を必要とすることがわかる。
【実施例1】
【0052】
図1に示す本発明のカラムクロマトグラフ装置において、カラムとして参考例1の市販の充填済みカラム1を取り付け、減圧調整部材60の開孔63を全て閉じ、試料液体として参考例1のエチレングリコール1mlを用いて、参考例1と同様にカラムの上部から壁を伝わらせ注加したところ、10秒足らずで含浸が完了した。
【0053】
実施時の各段階における、カラム内の減圧度(U字型マノメータ使用)は、下記の数値をさしていた。カラム内の減圧度はU字型マノメータを、真空吸引路52に取り付け測定した。なお、マノメータで測定できない200mmHg以下の低い圧力については、デジタル減圧計(ビュッヒ社製:V−800)を用いて測定した。
【0054】
【表1】

【0055】
粘度が既知であるエチレングリコールと異なり、粘度が不明な試料液体の場合、減圧度の優れた装置が好まれるわけではない。試料が充填材に担持される時間は粘度により異なる為、例えば粘度の低い液体の場合に高い減圧度で充填させようとすると試料が均一に充填されず、かえって理論段数が稼げなくなってしまう。このような粘度が不明な試料液体の際、調整弁を段階的・連続的に回転し、複数の開孔を一つずつ閉めていく或いは開けていくことで、減圧度をコントロールし、適した減圧度に調整することができる。例えば、3つの直径1mmの開孔を持つ減圧調整部材を用い、減圧度を測定したところ、開孔の開放状態により減圧度が段階的に調節でき、粘度が不明な場合でも順次減圧度を上げていくことで速やかに含浸を完了することができた。
【0056】
【表2】

【実施例2】
【0057】
図1に示す本発明のカラムクロマトグラフ装置において、市販の充填済みカラムを取り付け、試料液体として粘度の高いひまし油と粘度の低いアニリンを用いて、該カラム内の充填材への含浸について目視で観察し、含浸が完了するまでの時間を計測した。
使用したカラム:Yamazen社 INJECT COLUMN Size M(lot.090305)
(シリカゲル充填部分寸法:内径20mm×カラム長65mm、充填剤:シリカゲル、ポアーサイズ60Å、粒子径70μm、充填量14g)
試料液体:
アニリン(ナカライテスク社製、Lot.V7P5437)1ml 粘度4cP
ひまし油(日光ケミカルズ社製、CO-40TX, Lot.7234)1ml 粘度69cP
試料液体としてアニリン1mlを、該カラムの上部から壁を伝わらせ注加したところ、3個の開孔63をすべて開放した状態で、5秒足らずで含浸が完了した。
【0058】
試料液体としてひまし油1mlを、該カラムの上部から壁を伝わらせ注加した。調整弁を回転させ、開孔の開放状態を表3に示すように調整し、それぞれの充填に要する時間を目視にて測定した。下記に測定した充填時間を示す。
【0059】
【表3】

【0060】
本カラムクロマトグラフ装置における開孔の開口度を変化させることで、該カラム減圧度が変化し、その結果、粘度の高い試料液体の充填時間が著しく短縮できるのが判った。また、開孔の開口度により、カラム内の減圧度が段階的に変化しており、試料液体に則した減圧度を選択できることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のカラムクロマトグラフ装置は、試料液体の粘度が高くても充填材へ容易に含浸させることができ、また、試料液体を通過させたのちの充填材中に残留する展開溶媒などの液体を容易に回収できるので、各種の試料液体を成分ごとに分離して採取するカラムクロマトグラフィーに好適である。
【符号の脱明】
【0062】
1:カラムクロマトグラフ装置
10:メインカラム
10’:インジェクションカラム
14:メインカラム液体出口
14’:インジェクションカラム液体出口
12:メインカラム充填材
12’:インジェクションカラム充填材
20:液体回収装置
40:連結部材
50:真空吸引手段
60:減圧調整部材
63:開孔
64:調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材を充填可能な中空本体、当該中空本体の上端に位置し試料液体並びに展開溶媒を注入する注入口、及び当該中空本体の下端に位置し液体を流出させる液体出口を具備するカラムと、当該カラムの液体出口から流出する液体を受容する液体回収装置と、を具備するカラムクロマトグラフ装置であって、
当該液体回収装置は、液体回収容器と、当該液体回収容器と当該カラムの液体出口とを流体連通状態に連結する連結部材と、を具備し、
当該連結部材は、液体を流通させる流通部を有する連結部本体と、当該連結部本体内及び当該カラム内を減圧するための真空吸引手段を具備する、カラムクロマトグラフ装置。
【請求項2】
前記連結部材は、さらに、前記カラムの液体出口に隣接する側に減圧調整部材を具備する、請求項1に記載のカラムクロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記減圧調整部材は、前記連結部材に気密状態に嵌合可能な減圧調整部材本体と、当該減圧調整部材本体を貫通して当該連結部材の流通部及び前記カラムの液体出口を流体連通状態に連結する開口部と、当該減圧調整部材本体を貫通する1個以上12個以下の開孔と、当該減圧調整部材本体の外表面上に載置されていて当該開孔の開口度を調整する調整弁とを具備する、請求項2に記載のカラムクロマトグラフ装置。
【請求項4】
前記開孔の断面形状は、0.3mm〜3mmの直径を有する円形、0.3mm〜3mmの長軸を有する楕円形あるいは0.3mm〜3mmの最大対角線を有する多角形である、請求項3に記載のカラムクロマトグラフ装置。
【請求項5】
前記減圧調整部材の開口部には、前記カラムの液体出口と前記連結部材の流通部を流体連通状態に連結する連結管が嵌合されていて、前記調整弁は、当該連結管を嵌合可能な中央開口部を具備し、当該連結管を中心として回転可能な平板であり、当該平板は当該開孔を開放する形状の切り欠き部を有する、請求項3又は4に記載のカラムクロマトグラフ装置。
【請求項6】
前記カラムの上段に、インジェクションカラムをさらに具備する、請求項1〜5のいずれかに記載のカラムクロマトグラフ装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、前記カラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記カラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記カラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、前記真空吸引手段を作動させた後に、前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、
前記カラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記カラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記カラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、
前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、
前記真空吸引手段を作動させた後に、前記カラムの注入口から試料液体及び展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6に記載のカラムクロマトグラフ装置を用いて試料液体を展開分離する方法であって、
前記インジェクションカラムの注入口から試料液体を供給した後に、前記真空吸引手段を作動させて、前記インジェクションカラム内の充填材に当該試料液体を含浸させ、次いで、前記インジェクションカラムの注入口から展開溶媒を供給し、当該展開溶媒に溶解して展開する当該液体試料の各成分を自然流下速度よりも高速で前記インジェクションカラム内の充填材内を下方に移動させ、次いで前記メインカラムの充填材内を下方に移動させ、
前記減圧調整手段の前記調整弁を回転させることによって前記開孔の開口度を段階的に調整し、前記真空吸引手段による前記カラムの充填材よりも下方の部分の減圧度を調整することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−38904(P2011−38904A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186877(P2009−186877)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)