説明

カラーサポータ

【課題】多数の衣料品を高く積み上げても下段側で衣料品の襟が形崩れを起こさないようにした強度の高いカラーサポータを提供する。
【解決手段】衣料品の襟の内側部分に嵌め込まれて該襟の形状を保持するカラーサポータ3に関し、その長手方向一端を他端側に対し適宜に係止してリング状に組み立て得るようにした可撓性を有する帯状の樹脂シート4(シート材)から成り、該樹脂シート4の長手方向の中央部4aを挟んだ左右位置に、前記樹脂シート4の長手方向に沿って延び且つその両端部付近で幅寸法が先細り状に狭まるように補強溝7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーサポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイシャツやカジュアルシャツの如き襟の付いた衣料品をトラック等で運搬する場合や、倉庫等に保管しておく場合には、図6に示す如く、衣料品1を奇麗に畳んだ上で襟2の内側部分に樹脂シート4等から成るカラーサポータ3を嵌め込み、折り畳んだ複数の衣料品1を上下に積み重ねても前記カラーサポータ3により上載荷重が支えられて襟2の形状が崩れないようにするのが一般的である。
【0003】
図7及び図8は従来のカラーサポータ3の一例についての詳細を示すもので、ここに図示しているカラーサポータ3においては、帯状の樹脂シート4(図7参照)の一端に形成した凸型のフラップ5を他端側に形成した複数のスリット6のうちの何れかに差し込んで係止せしめることにより適宜な径のリング状に組み立てられ、次いで、樹脂シート4の長手方向の中央部4aに折目を入れて上面視でハート型(図8参照)を成すように形付けられて使用されるようになっている。
【0004】
尚、この種のカラーサポータに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【特許文献1】実用新案登録第3084567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、斯かる従来のカラーサポータ3においては、曲率の大きな三箇所の曲げ部分の付近で高い保形性能が発揮されるのに対し、襟首から胸元にかけての左右の湾曲部は、曲率の大きな曲げ部分の間に挟まれて比較的小さな曲率で長く延在するようになっているため、ここで樹脂シート4が部分的に捩じれるように倒れ込んで座屈変形を起こし易いという欠点があり、多数の衣料品1を高く積み上げた際に、上載荷重が大きくかかる下段側で衣料品1の襟2が形崩れを起こす虞れがあった。
【0006】
本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、多数の衣料品を高く積み上げても下段側で衣料品の襟が形崩れを起こさないようにした強度の高いカラーサポータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、衣料品の襟の内側部分に嵌め込まれて該襟の形状を保持するカラーサポータであって、その長手方向一端を他端側に対し適宜に係止してリング状に組み立て得るようにした可撓性を有する帯状のシート材から成り、該シート材の長手方向の中央部を挟んだ左右位置に、前記シート材の長手方向に沿って延び且つその両端部付近で幅寸法が先細り状に狭まるように補強溝を形成したことを特徴とするものである。
【0008】
而して、このようにすれば、帯状のシート材の長手方向一端を他端側に対し係止してリング状に組み立てた際に、その長手方向に沿って延びる補強溝により上載荷重に対する強度が高められて座屈変形が起こり難くなり、多数の衣料品を高く積み上げられたとしても、その上載荷重を座屈変形を起こさずに強固に支えることが可能となる。
【0009】
しかも、補強溝の幅寸法を両端部付近で先細り状に狭まるようにしたことにより、補強溝の中間部分は強度が相対的に高くなって組み立て時の直伸性が強まり且つその両端部付近は端に向かうにつれ強度が相対的に弱くなって組み立て時の直伸性が弱まることになるので、シート材をリング状に組み立ててから中央部に折目を入れて上面視でハート型を成すように形付けた際に、そのハート型の左右の湾曲部が従来よりも美観の良いカーブを描いて形成されることになり、衣料品の襟のラインを見栄え良く形付けることが可能となる。
【0010】
また、本発明においては、補強溝が船形や紡錘形を成すように形成されるので、シート材に一様な幅寸法の補強溝を味気なく形成する場合よりも装飾性が増し、カラーサポータ自体が意匠的に美観の良い付帯物となる。
【0011】
尚、この補強溝はシート材の上端側の同じ高さに左右で対を成すように一条ずつ形成されていれば良く、実質的に上載荷重がかかるシート材の上端側で十分な補強が図られさえすれば、上載荷重によるシート材の座屈変形を起こり難くすることが可能であり、しかも、不必要に補強溝を何本も形成するよりも外観が優美なものとなる。
【発明の効果】
【0012】
上記した本発明のカラーサポータによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0013】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、補強溝の形成により上載荷重に対する強度を大幅に高めることができるので、シート材の座屈変形を著しく抑制することができ、運搬時や保管時に多数の衣料品を高く積み上げても下段側で衣料品の襟が形崩れを起こす虞れを未然に防止することができると共に、シート材をリング状に組み立ててから中央部に折目を入れて上面視でハート型を成すように形付けた際に、そのハート型の左右の湾曲部を従来よりも美観の良いカーブを描くように形成することができるので、衣料品の襟のラインを見栄え良く形付けることができ、衣料品の陳列時における商品イメージを大幅に向上することができる。
【0014】
(II)本発明の請求項2、3に記載の発明によれば、シート材に一様な幅寸法の補強溝を味気なく形成する場合よりも補強溝の装飾性を向上することができ、カラーサポータ自体を意匠的に美観の良い付帯物とすることができるので、衣料品の陳列時に垣間見えるカラーサポータからもおしゃれな雰囲気を醸し出させて商品イメージの更なる向上に役立たせることができる。
【0015】
(III)本発明の請求項4に記載の発明によれば、上載荷重によるシート材の座屈変形を起こり難くするのに十分な強度を確保しながらも、外観を優美なものとすることができ、カラーサポータから醸し出されるおしゃれな雰囲気をより一層向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0017】
図1〜図4は本発明の実施の形態の一例を示すもので、図1は本形態例のカラーサポータの斜視図、図2は図1のカラーサポータの要部の展開図、図3は図2のIII−III矢視の断面図、図4は図2のIV−IV矢視の断面図であり、図中で図7及び図8と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0018】
図1〜図4に示している通り、本形態例のカラーサポータ3は、前述した図7及び図8のカラーサポータ3と略同様に、その長手方向の一端に形成した凸型のフラップ5を他端側に形成した複数のスリット6のうちの何れかに差し込んで係止せしめることにより適宜な径のリング状に組み立てられるようにした可撓性を有する帯状の樹脂シート4(シート材)から成り、該樹脂シート4の長手方向の中央部4aを挟んだ左右位置に、前記樹脂シート4の長手方向に沿って延び且つその両端部付近で幅寸法が先細り状に狭まるように補強溝7を形成したものとなっている。
【0019】
特に、ここに図示している例においては、前記補強溝7が船形(特に図2参照)を成すように形成されており、しかも、樹脂シート4の上端側の同じ高さに左右で対を成すように一条ずつ形成されている。
【0020】
而して、このようにカラーサポータ3を構成すれば、帯状の樹脂シート4の長手方向一端のフラップ5を他端側の何れかのスリット6に対し係止してリング状に組み立てた際に、その長手方向に沿って延びる補強溝7により上載荷重に対する強度が高められて座屈変形が起こり難くなり、多数の衣料品1(図6参照)を高く積み上げられたとしても、その上載荷重を座屈変形を起こさずに強固に支えることが可能となる。
【0021】
しかも、補強溝7の幅寸法を両端部付近で先細り状に狭まるようにしたことにより、補強溝7の中間部分は強度が相対的に高くなって組み立て時の直伸性が強まり且つその両端部付近は端に向かうにつれ強度が相対的に弱くなって組み立て時の直伸性が弱まることになるので、樹脂シート4をリング状に組み立ててから中央部4aに折目を入れて上面視でハート型を成すように形付けた際に、そのハート型の左右の湾曲部が従来よりも美観の良いカーブを描いて形成されることになり、衣料品1の襟2(図6参照)のラインを見栄え良く形付けることが可能となる。
【0022】
また、本形態例においては、補強溝7が船形を成すように形成されているので、樹脂シート4に一様な幅寸法の補強溝を味気なく形成する場合よりも装飾性が増し、カラーサポータ3自体が意匠的に美観の良い付帯物となる。
【0023】
尚、補強溝7は樹脂シート4の上端側の同じ高さに左右で対を成すように一条ずつ形成されているだけであるが、実質的に上載荷重がかかる樹脂シート4の上端側で十分な補強が図られさえすれば、上載荷重による樹脂シート4の座屈変形を起こり難くすることが可能であり、しかも、不必要に補強溝7を何本も形成するよりも外観が優美なものとなる。
【0024】
従って、上記形態例によれば、補強溝7の形成により上載荷重に対する強度を大幅に高めることができるので、樹脂シート4の座屈変形を著しく抑制することができ、運搬時や保管時に多数の衣料品1(図6参照)を高く積み上げても下段側で衣料品1の襟2(図6参照)が形崩れを起こす虞れを未然に防止することができる。
【0025】
しかも、樹脂シート4を樹脂シート4をリング状に組み立ててから中央部4aに折目を入れて上面視でハート型を成すように形付けた際に、そのハート型の左右の湾曲部を従来よりも美観の良いカーブを描くように形成することができるので、衣料品1の襟2(図6参照)のラインを見栄え良く形付けることができ、衣料品1(図6参照)の陳列時における商品イメージを大幅に向上することができる。
【0026】
更に、本形態例においては、樹脂シート4に一様な幅寸法の補強溝を味気なく形成する場合よりも補強溝7の装飾性を向上することができ、カラーサポータ3自体を意匠的に美観の良い付帯物とすることができるので、衣料品1(図6参照)の陳列時に垣間見えるカラーサポータ3からもおしゃれな雰囲気を醸し出させて商品イメージの更なる向上に役立たせることができる。
【0027】
また、補強溝7を樹脂シート4の上端側の同じ高さに左右で対を成すように一条ずつ形成したことによって、上載荷重による樹脂シート4の座屈変形を起こり難くするのに十分な強度を確保しながらも、外観を優美なものとすることができ、カラーサポータ3から醸し出されるおしゃれな雰囲気をより一層向上することができる。
【0028】
図5は本発明の別の形態例を示すもので、樹脂シート4の長手方向に沿って延び且つその両端部付近で幅寸法が先細り状に狭まるように補強溝7を形成するに際し、該補強溝7を先の図2の如き船形を成すように形成することに替えて、補強溝7を紡錘形を成すように形成したものであり、このようにした場合でも、前述の図1〜図4の形態例と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
尚、本発明のカラーサポータは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、帯状のシート材をリング状に組み立てる際における一端と他端との係止構造については図示以外の構造を採用しても良いこと、シート材の材質は必ずしも樹脂に限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のカラーサポータの要部の展開図である。
【図3】図2のIII−III矢視の断面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視の断面図である。
【図5】本発明の別の形態例の展開図である。
【図6】一般的なカラーサポータの使用形態を示す斜視図である。
【図7】図6のカラーサポータの展開図である。
【図8】図7のカラーサポータの組み立て状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 衣料品
2 襟
3 カラーサポータ
4 樹脂シート(シート材)
4a 中央部
7 補強溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料品の襟の内側部分に嵌め込まれて該襟の形状を保持するカラーサポータであって、その長手方向一端を他端側に対し適宜に係止してリング状に組み立て得るようにした可撓性を有する帯状のシート材から成り、該シート材の長手方向の中央部を挟んだ左右位置に、前記シート材の長手方向に沿って延び且つその両端部付近で幅寸法が先細り状に狭まるように補強溝を形成したことを特徴とするカラーサポータ。
【請求項2】
補強溝が船形を成すように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーサポータ。
【請求項3】
補強溝が紡錘形を成すように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーサポータ。
【請求項4】
補強溝がシート材の上端側の同じ高さに左右で対を成すように一条ずつ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーサポータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−210616(P2007−210616A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29457(P2006−29457)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(597008533)フレックスジャパン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】