説明

カラーデータ印刷のための装置、システム、及び方法

【課題】印刷エンジン向けの色成分の整列を実現するためのシステムであって、印刷エンジンを単一のビデオ周波数を用いて動作させるシステムを提供する。
【解決手段】第1印刷エンジン及び少なくとも1つの第2印刷エンジンを備えた複数の印刷エンジンを有する印刷装置と結合された装置が提供される。当該装置は、第1クロック及び少なくとも1つの第1印刷エンジンから導出された単一のビデオ周波数で作動する基準信号を発生する画素クロック発生モジュールを有する。当該装置は、さらに、少なくとも1つの第2印刷エンジンの累積位相誤差に基づき少なくとも1つの第2印刷エンジン向けのカラーデータを修正するカラーデータ修正モジュールを有するが、この累積位相誤差は少なくとも1つの第1印刷エンジンに対する少なくとも1つの第2印刷エンジンのキャリブレーション情報に基づいて計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本開示内容は、タンデム式の印刷エンジンを用いたカラーデータ印刷に関連し、特に、単一のビデオ周波数にロックされたタンデム式の印刷エンジンを用いたカラーデータ印刷に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(「CMYK」)の色空間をベースとしたもののような典型的なカラー印刷システムは、所定の印刷速度でページ上にデータを印刷するように設計された、種々の機械・電気部品を制御する複数の印刷エンジンを包含している。通常、印刷エンジンは、印刷処理に関連するタイミング及び他のパラメータを調整するために印刷データ入力装置(例えば、パーソナルコンピュータ)及び印刷エンジンと通信する印刷コントローラによって制御される。典型的なカラープリンタにおいて、各々の印刷エンジンは、単一の色成分を処理することができる。しかし、タンデム式エンジンを備えたプリンタは、機械的変動及び他の変動による色位置合わせエラーの影響を受けやすい。そのため、各々の印刷エンジンは、全ての色成分が印刷媒体上に適切に整列されるように、僅かに異なるビデオ周波数(理想周波数)で作動する。一般に、個々のカラープリンタの理想動作周波数はキャリブレーション中に取得される。
【0003】
通常、印刷システムは、画素クロックを発生させる画素クロック発生モジュールを含んでおり、それに従って画素データが印刷される。従来のプリンタにおいては、周波数の違いを相殺するために画素クロック発生器を調整することでカラーデータが整列されている。例えば、タンデム式プリンタのように各色のビデオデータを同時に送信するプリンタにおいては、一以上の画素クロック発生装置が使用され、各々の画素クロック発生器は独立した位相ロックループ(「PLL」)回路を用いてそれぞれの周波数にロックされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタにおける複数のPLL回路の利用は、印刷システムの複雑性及び費用の増加をもたらすと同時に、他の機能性を潜在的に提供しうるチップ上の貴重な領域を占有してしまう。そのため、印刷エンジン向けの色成分の整列を実現するためのシステム及び方法であって、印刷エンジンを単一のビデオ周波数を用いて動作させるシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
第1印刷エンジン及び少なくとも1つの第2印刷エンジンを備えた複数の印刷エンジンを有する印刷装置と結合された装置が提供される。当該装置は、第1クロック及び少なくとも1つの第1印刷エンジンから導出された単一のビデオ周波数で作動する基準信号を発生する画素クロック発生モジュールを有する。当該装置は、さらに、少なくとも1つの第2印刷エンジンの累積位相誤差に基づき少なくとも1つの第2印刷エンジン向けのカラーデータを修正するカラーデータ修正モジュールを有するが、この累積位相誤差は少なくとも1つの第1印刷エンジンに対する少なくとも1つの第2印刷エンジンのキャリブレーション情報に基づいて計算される。
【0006】
ここに開示される実施形態は、ソフトウェア、ファームウェア、及びコンピュータ読取可能な記録媒体又はコンピュータ読取可能な記憶領域を用いてプロセッサにより生成され、保存され、アクセスされ、又は修正されたプログラム命令にも関連している。ここに記述される方法は、コンピュータ及び/又は印刷装置上で実施されることができる。
【0007】
さらなる目的及び利点の一部は以下に続く説明文において示されているほか、一部は説明分の内容から自明であるか又は発明の実施を通じて習得される。本発明の目的及び利点は、添付した特許請求の範囲に特に記載された要素及び組み合わせによって実現され達成される。これまでの一般的な説明と以下の詳細な説明はどちらも限定的なものにすぎず制限的なものではない。これら及び他の実施形態は以下の図面と対照して以後さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】典型的なプリンタのブロック図を示す。
【図2】本発明のいくつかの実施形態において典型的なコンピュータと連結された典型的なプリンタのブロック図を示す。
【図3】本発明のいくつかの実施形態における典型的なPWM発生器のブロック図を示す。
【図4】本発明のいくつかの実施形態における画素位置情報に基づく挿入画素パルスを発生させるためのタイミングチャートを示す。
【図5】本発明のいくつかの実施形態におけるカラーデータ中の画素を追加又は削除するためのタイミングチャートを示す。
【図6】本発明のいくつかの実施形態における図3の典型的なPWMパルス発生器を用いてカラーデータに1/4画素を挿入するためのタイミングチャートを示す。
【図7】本発明のいくつかの実施形態における図3の典型的なPWMパルス発生器を用いてカラーデータに1/16画素を挿入するためのタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好適な実施形態の詳細な説明
添付図面において図示された種々の実施形態が詳細に説明される。可能な限り、同一の参照番号は同一又は類似の構成要素を示すものとして全図面を通じて使用されるものとする。
【0010】
図1は、典型的なコンピュータ110に連結された典型的なプリンタ170のブロック図である。プリンタ170は、I/Oポート175及び接続120を用いてコンピュータ装置110上のリソースと通信し、これらにアクセスすることが可能である。プリンタ170は、カラー印刷データ及び他の印刷データを含む入力印刷データを他のコンピュータ装置110から受信する。例えば、コンピュータ装置110は、データを表示するためのモニタを含む汎用コンピュータであり、当該データは印刷処理のためにプリンタ170に送信されることがある。プリンタ170は、印刷処理に先立ちカラーデータを表示するためにCMY色空間、CMYK色空間、又は他の種類の色空間を使用する。いくつかの実施例において、プリンタ170はラスタプリンタである。いくつかの実施例においてプリンタ170は、Adobe社のPostScript(登録商標)やPDF(登録商標)のようなページ記述言語の形態でデータを受信することが可能である。
【0011】
プリンタ170は、CPU176、ファームウェア171、メモリ172、印刷エンジン177、及び二次記憶装置173を連結するバス174をさらに含む。プリンタ170は、種々のアプリケーションを実行可能な他の特定用途向け集積回路(ASICs)及び/又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)178を含む。また、プリンタ170は、プリンタのオペレーティングシステム、及び他の適切なアプリケーションソフトウェアを含むソフトウェアを実行可能である。
【0012】
典型的なCPU176は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、又は組み込みプロセッサである。CPU176は、メモリ172及び/又はファームウェア171との間で制御情報及び制御指令を含むデータを交換することができる。メモリ172は、SDRAM又はRDRAMのようなダイナミックRAMであればいかなるタイプであってもよく、これらに限定されない。ファームウェア171は、起動シーケンス、予め定義されたルーチン、カラーマネジメントを実行するためのルーチン、カラーデータ解像度調整、及び他のコードを含むがこれらに限定されないコード及び指令を保持する。ファームウェア171内のコード及びデータは、CPU176により処理される前にメモリ172にコピーされる。ファームウェア171内のデータ及び指令はアップグレード可能である。また、典型的なCPU176は、指令及びデータを処理し、そして、印刷済み文書を生成するために、ASICs/FPGAs178及び印刷エンジン177に制御及びデータを提供することができる。典型的なASICs/FPGAs178も、印刷エンジン177に制御及びデータを提供することができる。また、データ及び制御用のバス174は、I/Oモジュール175、制御ブロック185、付属RAMを有する解凍モジュール186、PWM論理モジュール187、ドライバ回路188、及び印刷ヘッド/物理的印刷用電子機器190を連結することができる。
【0013】
従来のシステムにおいて、コンピュータ110は、接続120を介してI/Oモジュール175に画像データを送信する。接続120のバンド幅は複数のサブチャンネルに分割され、印刷データは複数のサブチャンネルを介して同一方向に転送される。例えば、CMYKカラープリンタ向けの印刷カラーデータは4つの平面を有しており(その一つはC、M、Y、及びKの色平面の各々に対応する)、各々の色平面のデータは接続120の別々のサブチャンネルを介して転送される。コンピュータ110から送信された画像データは圧縮される。いくつかの実施形態において、圧縮済み画像データは線順次方式の圧縮フォーマットである。例えば、I/Oモジュールにより受信されたデータは、CPU176の制御下でメモリ172に収納される。いくつかの実施例においては、1ページ全体の画像データがメモリ172に保存されたときに印刷シーケンスが開始される。
【0014】
一般的にデータ先頭(TOD)又は「vsync」と呼ばれる信号が、印刷媒体への画像データの転送がいつ開始可能であるかを示すために発生され、PWM論理モジュールに送られる。TOD信号が受信されると、CPU176は、メモリ172から解凍モジュール186への転送を開始する。いくつかの実施形態において、解凍モジュール186−1、186−2、186−3、及び186−4の各々は、別々の色平面のデータを処理する。解凍モジュール186−1、186−2、186−3、及び186−4は、それぞれの色平面の圧縮画像データを受信し、その後に解凍してから、それぞれのRAMモジュールに保存する。そして、1≦i≦4である場合において、各解凍モジュール186−iは、当該データを対応するPWM論理モジュール187−iに送信する。
【0015】
ビーム検知センサ(不図示)は、レーザビームの位置を検知して、画像データが印刷済み画像中できちんと列ごとに整列されるようなパルス発生を引き起こすことができる。いくつかの実施形態において、ビーム検知センサは、画像中の個々の走査線、又は画像中の一組の走査線に対応するスキャン開始信号(SOS)、又は「hsync」信号を発生する。SOS又はhsync信号はPWM論理モジュール187にも送られる。
【0016】
1≦i≦4である場合において、PWM論理モジュール187−iは、画素クロック発生モジュールからのクロック入力のみならず、hsync及びvsyncパルス、対応する解凍モジュール186−iからの生データを受信する。画素クロック発生モジュール(不図示)は、水晶発振器、又はプログラマブル水晶発振器であるが、その他の適当なクロック発生装置であってもよい。典型的な「タンデムエンジン」プリンタ170のような一部のプリンタにおいて、各色のビデオデータは別々の印刷エンジンによって処理される。各々の印刷エンジンは、別々の画素クロックにより運転される。従来のカラープリンタにおける各色用の印刷エンジンは、機械的変動を相殺するために僅かに異なるビデオクロック周波数で作動する。各印刷エンジンの理想ビデオクロック周波数はキャリブレーション中に取得される。例えば、CMYKプリンタにおいて、C、M、及びY用エンジンの各々の理想ビデオクロック周波数は、キャリブレーション中にK−エンジンの画素クロック周波数を基準に取得される。一以上のプログラマブルクロック発振器は、キャリブレーションを容易にするために利用される。
【0017】
従来のプリンタ170において、各PWMモジュールは、1≦i≦4であるところのPLLモジュール189−iのような別々の位相ロックループ(「PLL」)に連結される。各PLLモジュールは、それぞれの画素クロックを理想ビデオクロック周波数に固定する。例えば、PLLモジュール189は、印刷エンジンを作動する画素クロックが基準画素クロック信号に対して固定された関係を有することを保証するが、CMYKプリンタの場合における基準画素クロック信号はK−エンジン用の画素クロックである。
【0018】
また、PWM論理モジュールは、種々のデータパス及び制御信号パスにより、ドライバ回路188及び印刷ヘッド190と連結される。1≦i≦4である場合において、PWM論理モジュール187−iにより発生されたPWMパルスは、その後の印刷ヘッド190−iへの転送のために、対応するドライバ回路188−iに送られる。典型的な印刷ヘッド190−1、190−2、190−3、及び190−4は、レーザ方式の印刷ヘッドである。
【0019】
印刷ヘッド190は、荷電領域及び非荷電領域からなる潜像が感光体ドラム上に形成されるためのレーザビームを発生し、その潜像は、転写ベルトに転写される前に現像ステーションにおいてトナーにより現像される。カラー画像のような多成分画像向けの潜像形成工程は各成分について並行に実行される。例えば、CMYKカラープリンタ向けの感光体ドラム上の潜像形成工程は、C、M、Y、及びKの各色について実行される。完全なトナー画像がページに転送される前に全4色分のトナー画像が転写ベルト上に累積される。
【0020】
上述したプリンタ170の論理モジュール及び機能モジュールの各々は複数のモジュールを備えている。これらのモジュールが個別に実行されるか、又はこれらの機能が他のモジュールの機能と組み合わせられる。さらに、各モジュールは、個別のコンポーネントにおいて実現されるか、又はコンポーネントの組み合わせとして実現される。上述した種々のモジュール及び下位システムは、ハードウェア、ソフトウェア、若しくはファームウェア、又はこれらの組み合わせによって実現される。
【0021】
典型的なコンピュータ110は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はプリンタ170と一緒に利用可能な他の計算装置である。いくつかの実施形態において、典型的なコンピュータ110は、特に、プロセッサ、メモリ、I/Oインタフェース、ハードディスクのような二次メモリ、並びにフロッピーディスク、CD±RW、DVD±RW、及び/又はブルーレイ(登録商標)RWドライブ、フラッシュメモリードライブ、メモリースティック(登録商標)、セキュアデジタル大容量(「SDHC」)カード、及び種々の固定式・リムーバブルの記憶媒体を含む。プロセッサは中央処理装置(「CPU」)である。使用されるコンピュータのタイプに応じて、プロセッサは、一以上の印刷回路基板、及び/又はマイクロセンサチップを含む。プロセッサは、種々の処理を実行するためのコンピュータプログラム指令のシーケンスを実行する。コンピュータプログラム指令は、アクセスされて、メモリ又は他の記憶場所、及び/又は二次記憶装置又はコンピュータ読み取り可能な媒体から読み出され、プロセッサにより実行される。メモリは、SDRAM又はRDRAMのようなあらゆるタイプのダイナミックRAM(「DRAM」)であり、これらのみに限定されない。
【0022】
典型的なプリンタ170において、色成分は印刷処理中に相互に整列されるが、プリンタ170上の複数のPLL回路の使用は、印刷システムの複雑性及び費用の増加を招来する。さらに、1≦i≦4であるところのPLLモジュール189−iは、潜在的に他の機能を提供しうる印刷エンジン177上の貴重な記憶領域を占有する。その代わりに、本開示内容における実施形態に準拠して、単一のPLLを有する単一のプログラマブルククロック発振器が、単一のビデオ周波数のクロック信号を発生するために使用され、当該ビデオデータが、全ての色成分が印刷処理中に互いに整列するようにキャリブレーションで指定された印刷エンジンの理想的な動作周波数に対する周波数差を相殺するために修正される。
【0023】
図2は、開示された実施形態に準拠した典型的なプリンタ270のブロック図を示す。図2に示されるように、プリンタ270は、単一の画素クロック発生モジュール(不図示)、並びにそれぞれC、M、Y、及びK色空間用のPWMモジュール187−1、187−2、187−3、及び187−4を駆動するために連結されたPPLモジュール189を使用する。単一の画素クロック発生モジュールは、1≦i≦4であるところの全てのPWMモジュールを作動させるために用いられる単一のベースクロック周波数、すなわち基準ビデオクロック周波数を発生する。PPLモジュール189は、全ての印刷エンジン177の画素クロックを、この基準ビデオ周波数にロックする。
【0024】
いくつかの実施形態において、単一の画素クロック発生モジュールにより発生された単一の基準ビデオ周波数をサポートするために、カラー画像データの複数の成分が同期されるようにカラー画像データを適切に調整するカラーデータ修正モジュールが包含される。いくつかの実施形態において、カラー画像データ修正モジュールは、個々の印刷エンジン177のキャリブレーション済みの理想ビデオ周波数と単一のビデオクロック周波数の間の周波数差を相殺するために、各色成分を処理する。いくつかの実施形態において、印刷エンジンの理想動作周波数は、キャリブレーションにより決定され、そのエンジンの運転パラメータとして指定される。
【0025】
いくつかの実施形態において、カラーデータ修正モジュールは、一の色成分に対応する印刷エンジンのキャリブレーション済みの理想動作周波数が基準ビデオクロック周波数よりも高いか、又は低いかに応じて当該色成分のビデオデータに画素を追加するか、又は当該色成分のビデオデータから画素を削除する。例えば、キャリブレーション済みの理想動作ビデオ周波数が基準となる単一のビデオ周波数よりも高いことは、その色成分のビデオデータが正確な整列のために基準クロックを使用する基準エンジン向けのビデオデータよりも早く流れることを意味している。そのため、基準クロックを用いる場合には、正確な整列のために画素が削除されることになる。同様に、別のカラーチャンネルのキャリブレーション済みの理想動作ビデオ周波数が基準となる単一のビデオ周波数よりも低い場合、そのカラーチャンネルのビデオデータは、基準画素クロックを使用する基準エンジン向けのビデオデータよりもゆっくりと流れることになる。そのため、基準クロックを使用する場合には、データを整列させるために画素が追加されることになる。
【0026】
いくつかの実施形態において、カラーデータ修正アプリケーションは、コンピュータ210上で作動するプリンタドライバにより呼び出される。そのため、C、M、及びY色空間の各々のデータは、接続120を介してプリンタ270に送信される前に、周波数差を相殺するために調整される。典型的なプリンタ270は、接続120を介してコンピュータ110から4つの典型的なCMYK色平面についての調整済みデータを受信する。いくつかの実施形態において、カラーデータの調整は、解像度調整済みのカラーデータの印刷エンジンへの送信に先立ち、プリンタ270上で作動する前処理モジュール、又はプリンタ270に連結された印刷コントローラにより行なわれる。例えば、カラーデータ修正モジュールは、プリンタ270の印刷エンジン177の一部である。また、カラーデータ修正モジュールは、ハードドライブ、コンピュータディスク、CD−ROM、DVD ROM、CD±RW若しくはDVD±RW、USBフラッシュドライブ、メモリースティック、又は他の適当な記憶媒体のようなリムーバブルなコンピュータ可読媒体により実現される点が理解されるべきである。
【0027】
図3は、開示された実施形態に係る典型的なPWMパルス発生器200のブロック図を示す。いくつかの実施形態において、プリンタ270のPWM論理モジュール187−1〜187−4は、図3に示された実施形態を用いて実現される。いくつかの実施形態において、PWMパルス発生器200は、カラーデータ修正モジュールの一部である。典型的なPWMパルス発生器は、複数のデータ同期回路211、212、213、214、及び215、一次加算パルス発生器221、複数の二次加算パルス発生器222、223、224、及び225、論理ゲート230、並びにPLLモジュール240を含む。典型的なPWMパルス発生器200において、PLLモジュールは、クロック発生セクションとして機能する。図3に示されるように、PLLモジュール240は、データ同期回路211−214、一次加算パルス発生器221、及び二次加算パルス発生器222−225の各々と連結される。データ同期回路211−215の各々も、図3に示されるように、加算パルス発生器221−225のいずれか一つと連結される。典型的なPWMパルス発生器200において、データ同期回路211−215、加算パルス発生器221−225、及び論理ゲート230は、パルス幅変調信号発生セクションとして機能する。入力画素クロック201及び画素データ206は典型的なPWMパルス発生器200に入力され、そのPWMパルス発生器200がPWM出力信号230aを出力する。いくつかの実施形態において、画素データ206は、クロック周期あたり複数ビットのデータから構成される。
【0028】
図3に示されるように、画素クロック201は、PLLモジュール240に入力され、そのPLLモジュールが位相シフトクロック信号240a−dを出力する。各クロック信号240a−dは位相が異なるので、クロック信号240a−dは、位相差クロック信号と呼ばれる。典型的な位相差クロック信号は、位相0クロック240a、位相90クロック240b、位相180クロック240c、及び位相270クロック240dを含む。いくつかの実施形態において、PLLモジュール240は、画素クロック201の周波数の倍数を周波数とする位相シフトクロック信号を出力する。さらに、いくつかの実施形態において、連続する移送シフトクロック信号間の位相差は、360°を位相シフトクロックの数で割った値に等しい。例えば、図3に示されるような4つの移送シフトクロック240a−dを有する典型的なPWMパルス発生器200において、位相0クロック240aは0°シフトされる一方で、位相90クロック240bは移送が90°シフトされ、位相180クロック240cは移送がさらに90°シフトされて180°にされ、そして、位相270クロック240dは移送がさらに90°シフトされて270°にされる。いくつかの実施形態において、位相シフトクロックは大体4つ程度である。いくつかの実施形態において、PLLモジュール240は、位相ロックループ(「PLL」)を用いて実現される。
【0029】
図3に示されるように、PLLモジュール240は、データ同期回路211−215に連結される。データ同期回路211−215は、典型的なPWM発生器200のいくつかの実施形態において、画素データ206を位相シフトクロック240a−dのいずれか一つに同期することにより同期回路の機能を発揮する。データ同期回路211−215の各々は、PLL240からの位相0クロック240a、及び入力信号としての画素データ206を受信する。さらに、データ同期回路211−212は、データオフセットが0°である加算パルス発生器221−222にそれぞれ連結されている。データ同期回路213−215の各々は、画素データ206を追加の位相シフトクロック信号の入力に同期させる。例えば、データ同期回路214は、位相0クロック信号240a及び画素データ206に加えて、位相180クロック240cをPLLモジュール240から入力信号として受信する。データ同期回路214は、画素データ206を、位相シフト量が180°である位相180クロック240cに同期させることができる。同様に、データ同期回路213及び215は、画素データ206を位相90クロック240b及び位相270クロック240dにそれぞれ同期させることができる。
【0030】
典型的なPWMパルス発生器200は、画素クロック201の0°オフセットを、一次加算パルス発生器221の一次出力ドメインとして利用する。いくつかの実施形態において、信号240aのような一次加算パルス発生器221への位相シフトクロックの信号入力は、どの2次加算パルス発生器222−225への入力にもならない。いくつかの実施形態において、データ同期回路211−215からの出力信号である同期された画素データ211a−215aは、加算パルス発生器221−225にそれぞれ入力される。
【0031】
いくつかの実施形態において、データ同期回路211の出力データは、一次加算パルス発生器221に入力される。一次加算パルス発生器221は、同期された画素データ211及び位相0クロック240aを入力信号として受信し、一次加算パルス出力信号221aを発生する。同様に、データ同期回路212−215の同期された画素データ212a−215aは、二次加算パルス発生器222−225にそれぞれ入力される。また、二次加算パルス発生器の各々は、位相0クロック240a及び位相シフトクロックを入力信号として受信する。例えば、二次加算パルス発生器223は、位相0クロック240a及び位相90クロック240bを受信する。二次加算パルス発生器221−225は、二次加算パルス出力信号222a−225aをそれぞれ出力する。
【0032】
加算パルス出力信号221a−225aは、これらの出力信号に基づいてPWM出力信号230aが発生される論理ゲート230に入力される。いくつかの実施形態において、PWM出力信号230aは、クロック周波数の間にパルス幅変調パルスを発生することができるが、そのパルス幅は同一のクロック周期内の対応する画素のビット値に比例する。例えば、0×Aのビット値に対応するクロック周期において、パルス幅はクロック周期の10/16であり、0×1のビット値に対応する周期において、パルス幅はクロック周期の1/16である。例示された実施形態において、PWM出力信号230aは、クロック周期又はその倍数の1/16の幅だけ増加するように調整される。しかし、図3の回路は、当業者にとり明らかなであるように、より微細な増加幅を発生するように容易に改造可能である。
【0033】
いくつかの実施形態において、PWM論理モジュール187は、複数のPWMパルス発生器200を含む。例えば、CMYKプリンタにおいては、4つの色成分の各々について一つずつ−合計4つのPWMパルス発生器200が使用される。画素データ201は各PWMパルス発生器200に受信される。いくつかの実施形態において、各PWMパルス発生器200のPWM出力信号は、PLL240により発生される個別の位相シフトクロック信号(信号240a−dのうちの一つ)に合わせて整列される。例えば、PWM論理モジュール187は、位相0PWMパルス発生器、位相90PWM発生器、位相180PWM発生器、及び位相270PWMパルス発生器を含む。上記例において、各PWMパルス発生器200からのPWM出力信号230は、位相領域が相違しており、その位相は互いに均等にシフトされている。例えば、位相0PWMパルス発生器からのPWM出力信号、及び位相90PWMパルス発生器からのPWM出力信号は、互いに90°ずつ位相がシフトされている。同様に、位相90PWMパルス発生器のPWM出力信号、及び位相180PWMパルス発生器のPWM出力信号は、互いに90°ずつ位相がシフトされている。いくつかの実施形態において、PWM論理モジュール187は、4つの位相シフトPWM出力信号の中からPWM論理モジュール187の最終出力信号として一つの出力信号を選択するためのセレクタ(不図示)をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、カラーデータ修正モジュールは、単一の画素クロック発生モジュールにより発生された単一の基準ビデオクロック周波数を用いて印刷エンジンを運転させるために、各色成分を処理するため作動されるPWMパルス発生器200を使用する。いくつかの実施形態において、カラーデータ修正モジュールは、キャリブレーション済みの理想動作ビデオ周波数が単一の基準ビデオ周波数よりも高い場合には、各色成分のビデオデータに画素を追加する。他の実施形態において、カラーデータ修正モジュールは、キャリブレーション済みの理想動作ビデオ周波数が単一の基準ビデオ周波数よりも低い場合には、当該色成分のビデオデータから画素を削除する。
【0035】
図4は、回路が画素を追加又は削除するためのタイミングチャートを示す。いくつかの実施形態において、画素クロック発生モジュールは、画素クロック401を発生する。図4に示されるように、画素クロック401は、20MHzの基準ビデオ周波数で作動する。他方、ある色成分の画素値(a)411及び画素値(b)417のような画素データは、画素読込みクロック(a)409及び画素読込みクロック(b)415に従って読み込まれる。
【0036】
いくつかの実施形態において、キャリブレーション済みの理想動作ビデオ周波数と基準ビデオ周波数との差は、画素クロック401とキャリブレーション済みの理想画素クロック(不図示)との間の位相誤差を結果的に発生させる。色位置合わせエラーにつながるおそれのある位相誤差の経時的な累積を防止するため、いくつかの実施形態においては、累積位相誤差が、継続的に監視され、誤差カウント405を用いて追跡される。例えば、いくつかの実施形態においては、画素読込み理想クロックが基準画素クロックよりも早い場合には、誤差カウント405により正の誤差が記録され、そうでない場合には、不の誤差が記録される。いくつかの実施形態では、両方の場面において正の誤差が記録され、誤差の符号(つまり、正又は負)は別途記録される。
【0037】
いくつかの実施形態において、誤差カウント405により記録された累積誤差がそれを超えたときに画素が追加又は削除されるような誤差閾値303が設定される。誤差カウント405は順次増加するものとして示されているが、実際の増加量は、位相誤差の累積速度、及び位相誤差を計算するために用いられるスキームに依存する。いくつかの実施形態において、誤差閾値403は、0.5画素の位相誤差に相当するように設定される。図4に示されるように、誤差閾値403は、0×1234の16進数の値として設定される。一般に、誤差カウント405の構成によっては様々な他の値が誤差閾値403として使用可能である。
【0038】
いくつかの開示された実施形態に準拠して、図4は、正の累積誤差に応じて画素が追加される第1シナリオ、及び負の累積誤差に応じて画素が削除される第2シナリオを示す。第1シナリオにおいては、画素の挿入をトリガするために挿入画素信号407が使用される。いくつかの実施形態では、あるクロック周期において誤差カウント405の負の累積誤差が誤差閾値403に到達したか、又はこれを超過したときに、挿入画素信号407が当該クロック周期の立ち上がりエッジにおいて高くなり、クロック周期を通じて高いままとなる。挿入画素信号407が高くされたとき、PWMパルス発生器200は、画素読み込みクロック(a)409において当該クロック周期の画素読込みのトリガとなるパルスをスキップすることにより、画素値(a)411における当該画素値を2クロック周期にわたり保持させる。例えば、図4に示されるように、画素値0×3がクロック周期3及び4にわたり保持され、それ以降の全ての画素値は1クロック周期だけ遅延されることになる。これには直前の画素と同一画素値の画素を追加するという効果がある。いくつかの実施形態に準拠して、画素を追加した後に、図4に示されるように、誤差カウント405がクリアされる(つまり、0にセットされる)。
【0039】
第2シナリオにおいては、負の累積誤差に対応する画素が削除される。いくつかの実施形態において、画素の削除をトリガするために削除画素信号413が使用される。挿入画素信号407と同様に、あるクロック周期において誤差カウント405の負の累積誤差が誤差閾値403に到達したか、又はこれを超過したときに、削除画素信号413が当該クロック周期の立ち下がりエッジにおいて高くされる。いくつかの実施形態においては、削除画素信号413が高くされたときに、PWM論理モジュール187が画素読込みクロック(b)415において当該クロック周期中に画素の読込みをトリガするパルスを追加することにより、それにより0×4により示される値のような対応するメモリ出力417をスキップさせるが、これは、0×4の値に対応するメモリ出力417が画素クロック周期3の途中に届くためラッチされないからである。
【0040】
このことは当該クロック周期における画素読込みクロック(b)415が2倍になったことと同等であると考えることができる。図4に示されるように、パルス72と73の間隔、及びパルス73と74の間隔は、通常の間隔の半分の長さに短縮される。そのため、メモリ出力417における第3及び第4のデータ値の両方は、1クロック周期内に「押し込まれる」。画素読込みクロック(b)415は、削除画素信号413の立ち下がりエッジを受けて元の周波数を再開する
いくつかの実施形態において、画素データがアドレス可能なメモリから読み込まれる場合には、PWM論理モジュール187は、削除画素信号413が高くされた際に読込みアドレスを1ではなく2だけ増加させる。その結果、4番目の画素値0×4が画素値(b)419から削除され、画素値0×5が次の画素値となる。いくつかの実施形態に準拠して、画素を削除した後に、誤差カウント405がクリアされる(つまり、0にセットされる)。
【0041】
プリンタ270に読み込まれたカラーデータ中の画素を定期的に付加又は削除することにより、周波数差が原因の位相誤差は調整され、予め決められた範囲に制限される。例えば、誤差閾値403が0.5画素に設定された場合、位相誤差は(−0.5画素,0.5画素)の範囲に制限される。
【0042】
図3は画素の挿入及び削除を実施するための電子回路を示しているが、コンピュータ110上で稼動するデバイスドライバ又はプリンタ270上で稼動するプリプロセッサを用いた方法もまた実現可能である点に留意すべきである。例えば、デバイスドライバは、誤差カウンタにより保持された誤差カウント405をモニタし、あるクロック周期において直前の画素を繰り返させることで、画素カウントが予め定義された閾値に到達したときに画素を追加することができる。他の例によると、デバイスドライバは、誤差カウント405をモニタし、画素oをスキップさせて次の画素を代わりに送信することにより、画素カウントが予め定義された閾値に到達したときに画素を追加することができる。一般に、開示された実施形態はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はこれらの組み合わせによって実施される。
【0043】
いくつかの実施形態において、画素の一部を追加及び削除することにより位相調整の精度が変更される。例えば、1/4画素が追加又は削除され、かつ、誤差閾値303が1/8画素に設定されている場合、位相誤差は(−1/8画素,1/8画素)の範囲に制限される。これらの実施形態は図6及び7に関連して説明される。
【0044】
図5は、画素位置情報に基づく挿入画素パルスの発生に関する典型的なタイミングチャートを示す。名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301は、キャリブレーション済み理想動作ビデオ周波数のことであり、便宜的に示されているにすぎない。(名目上の)キャリブレーション済み理想画素クロック301のタイミングは図示された通りである。(名目上の)キャリブレーション済み画素クロック301のタイミングを示すタイミングチャートは例示及び説明の目的で示されているにすぎない。プリンタ270及びプリンタ270の印刷エンジンは、実際の画素クロック303に由来する単一の基準周波数を用いて作動する。例えば、名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301は20MHzである。画素クロック発生モジュールにより発生される実際の画素クロック303のタイミングチャートは、単一の基準ビデオクロック周波数を例示している。図4に示される実際の画素クロック303のクロック周期のナンバリングは説明の簡略化を目的としている。図5に示されるように、画素データ304の値は図中の全期間を通じて0×8である。いくつかの実施形態において、実際の画素クロック303の周波数は、名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301よりも高くなる。例えば、図5に示されるように、実際の画素クロック303の周波数は22.5MHzである。図5に示されたクロック周波数は説明用のものであり、主として動作説明を簡略化する上で役立つ。図5に示されるように、実際の画素クロック303が合計5のクロック周期を有する場合、名目上の理想画素クロックは合計4.5のクロック周期を有するにすぎない。これは、実際の画素クロック303は名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301よりも0.5画素だけ先行しており、その時点で右/左の寄せ信号307が高くされるからである。
【0045】
いくつかの実施形態において、右/左の寄せ信号307が低いとき(例えば、最初の5つの実際の画素クロック周期の間)、画素出力信号309は左寄せされて、実際の画素クロック303と位相が等しくされる。右/左の寄せ信号が高くされた後(これは、実際の画素クロック303が名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301よりも一画素の半分だけ先行する、実際の画素クロック303の周期6の開始時に起きる)、画素出力信号311は右寄せされ、実際の画素クロック303と位相が180°ずれることになる。次に、実際のクロック周期11の開始時のように、実際の画素クロック303が名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301よりも一画素分先行したとき、右/左の寄せ信号307が低くされ、画素出力信号311が左寄せされて、再度、実際の画素クロック303と位相が等しくされる。いくつかの実施形態において、右/左寄せに加えて、又はその代わりに、図3に関連するPWMパルス発生器200を用いて中央寄せが行なわれる。
【0046】
いくつかの実施形態において、実際のクロック周期11の開始時のように実際の画素クロック303が名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301よりも丸ごと一クロック周期分先行したとき、実際の画素クロックの一周期分の挿入画素信号309がアサートされる。上述のように挿入画素信号及び右/左の寄せ信号の両方を用いることにより、単一の基準ビデオクロックが、名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301と同様の方法で、印刷エンジンを作動させるために使用される。いくつかの実施形態において、実際の画素クロック303の周波数が名目上のキャリブレーション済み理想画素クロック301の周波数よりも低いとき、削除画素信号が同様にアサートされる。例えば、実際の画素クロック303が名目上のキャリブレーション済み理想画素信号301よりも実際のクロック周期の一周期分遅れているとき、削除画素信号が発生される。
【0047】
いくつかの実施形態において、カラーデータの位相調整は、図3に示されるような典型的なPWMパルス発生器200を用いて高精度に実施される。図6は、図3の典型的なPWMパルス発生器200を用いて、カラーデータに1/4画素を挿入する際のタイミングチャートを示す。いくつかの実施形態において、画素データ507は、clk0 505の1/4の周波数で作動する基準読込みクロック503に合わせて読み込まれる。いくつかの実施形態において、フリーズ周期信号501は、画素読込みクロック周期503及び画素データ507を、1/4画素に相当するclk0の一周期分だけ伸張させるために用いられる。いくつかの実施形態においては、図6に示されるように、フリーズ周期信号501が挿入画素信号309として発生される。
【0048】
いくつかの実施形態において、PWM出力信号519は、一次加算パルス発生器221により発生される一時加算出力信号511及び513、並びに二次加算パルス発生器223により発生される、90°シフトされた二次加算出力信号521及び523に基づいて発生される。clk0 505及びclk90 515は、それぞれPLL240から発生される位相0クロック信号及び位相90クロック信号である。画素データ507及び画素データ90 519は、clk0 505及びclk90 515に合わせて整列された位相シフト画素データである。
【0049】
いくつかの実施形態において、一旦フリーズ周期信号501が高くなったら、画素読込みクロック503は、フリーズ周期信号501が低い状態に戻るまで、対応するクロック周期における画素読込みをトリガするパルスを遅延させる。その結果、画素データ307内の対応する画素値は1/4クロック周期だけ長く保持されることになる。例えば、図6に示されるように、画素データ507及び画素データ90 519の両方の画素値である0×5が5/4クロック周期だけ保持され、その後の全ての画素値は1/4クロック周期だけ遅延される。これは画素値0×5の1/4画素を追加したのと同等の効果がある。
【0050】
一旦フリーズ周期信号が高くなったら、クロックカウンタcntClk0 509及びcntClk90 517はカウンタ値をもう一クロック周期だけ保持する。いくつかの実施形態において、一次加算パルス発生器220及二次加算パルス発生器221−224は、クロックカウンタのクロック値に応じて加算パルス出力信号を発生する。例えば、図6に示されるように、画素値0×5に対応するカウンタ値3が、クロックカウンタcntClk0 509及びcntClk90 517の両方で2クロック周期だけ保持される。一加算出力信号A511及び一加算出力信号B513は、clk0及び画素データ507に基づき、一次加算パルス発生器220により発生される。二次加算出力信号A521及び一次加算出力信号B523は、clk90及び画素データ90 519に基づき、二次加算パルス発生器222により発生される。
【0051】
一次及び二次加算出力信号A525は、一次加算出力信号A511及び二次加算出力信号A521に基づき発生される。同様に、一次及び二次加算出力信号B527は、一次加算出力信号A513及び二次加算出力信号A523に基づいて発生される。いくつかの実施形態において、一次及び二次加算出力信号A525は(第1、第3、第5画素のような)奇数の画素カウントと関連付けられ、一次及び二次加算出力信号B527は(第2、第4、第6画素のような)偶数の画素カウントと関連付けられる。例えば、一次及び二次加算出力信号A525における第1パルスの幅は、第1画素値0×Dの倍数である13/16画素であり、第2パルスの幅は、第3画素0×1の倍数である1/16画素である。
【0052】
図7は、本発明のいくつかの実施形態に係る図3の典型的なPWMパルス発生器200を用いて、カラーデータに1/16画素を挿入するためのタイミングチャートを示す。画素値601は、画素クロック601に従ってPWMパルス発生器200に読み込まれる。いくつかの実施形態において、PLLモジュール240は入力画素クロック601をシフトさせ、位相がシフトされたクロック信号clk0 605、clk90 609、clk180 613、及びclk270 61を出力する。いくつかの実施形態において、位相がシフトされたクロック信号の周波数は、入力画素クロック601の周波数の倍数である。図7に示されるように、clk0 605、clk90 609、clk180 613、及びclk270 617の各々の周波数は入力画素クロック601の周波数の4倍である。
【0053】
いくつかの実施形態において、PWM画素出力信号である画素−出力信号0 607、画素−出力信号90 611、画素−出力信号180 615、及び画素0−出力信号270 619は、それぞれ、位相0PWMパルス発生器、位相90PWMパルス発生器、位相180PWMパルス発生器、及び位相270パルス発生器により発生される。各PWM画素出力信号は、所定の位相領域の範囲内にある。例えば、PWM画素出力信号607、611、615、及び619は、それぞれ0度領域、90度領域、180度領域、及び270度領域に属する。PWM論理モジュール187は、PWM画素出力信号607、611、及び619の一つとして画素出力信号623を出力する。
【0054】
いくつかの実施形態においては、画素出力信号623を一の位相領域から他の位相領域にシフトさせることにより、画素の一部分が画素データに挿入されるか、又は画素データから削除される。例えば、画素出力信号623を90度領域から180度領域にシフトさせることにより、1/16画素が挿入される。いくつかの実施形態において、位相シフト信号621は、90度の領域シフトを引き起こすパルスを含む。いくつかの実施形態において、位相シフト信号621は、図4に係る挿入画素信号309として発生される。図7に示されるように、90度の位相シフトパルスの前に、画素出力信号623が90度領域において画素−出力信号90 609と一致する。90度の位相シフトパルスの立ち上がりエッジを受けて、画素出力信号423は、180度領域において画素−出力180 611の画素出力信号と一致するようにシフトされる。
【0055】
いくつかの実施形態において、1/16画素の倍数を挿入することにより、より大きな位相調整が実現される。例えば、本来は0度領域において画素−出力信号0 607に一致する画素出力信号423に1/4画素を挿入するために、画素出力信号423が、先ず、一のクロック周期において0度領域から180度領域に1/16画素だけシフトされ、その後に、次のクロック周期において180度領域から270度領域にさらに1/16画素だけシフトされ、最後に、270度領域から0度領域にさらに1/16画素だけシフトされる。いくつかの実施形態において、最後の1/16画素のシフトは、270度領域から0度領域に戻すために3/16画素だけシフトさせ、さらに画素出力信号423を1/4画素だけシフトさせることにより実現される。
【0056】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討及びここに開示された発明の実施を通じて当業者にとり自明である。本明細書及び実施例は説明用のものとして考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲及び精神は以下のクレームにより示唆されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷エンジン及び少なくとも1つの第2印刷エンジンを含む複数の印刷エンジンを備えた印刷機器と結合された装置であって、
第1クロック及び前記少なくとも1つの第1印刷エンジンから導出された単一のビデオ周波数で作動する基準信号を発生する画素クロック発生モジュールと、
前記少なくとも1つの第1印刷エンジンに対する前記少なくとも1つの第2印刷エンジンのキャリブレーション情報に基づき計算された前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの累積位相誤差に基づき、前記少なくとも1つの第2印刷エンジン向けのカラーデータを修正するカラーデータ修正モジュールと、を有する。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの前記キャリブレーション情報は、前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの理想動作周波数を導出するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カラーデータ修正モジュールは、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えた場合、前記基準信号の1クロック周期にわたりアサートされる挿入/削除画素信号を発生することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記カラーデータ修正モジュールは、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えたときに前記単一のビデオ周波数が前記カラーデータと関連付けられた前記印刷エンジンの前記理想動作周波数よりも高くなったときに、前記カラーデータに直前の画素と画素値が等しい画素を挿入することにより前記少なくとも1つの第2印刷エンジン向けの前記印刷データを修正することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記カラーデータ修正モジュールは、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えたときに前記単一のビデオ周波数が前記カラーデータと関連付けられた前記印刷エンジンの第2の理想動作周波数よりも低くなったときに、前記カラーデータ中の画素を削除することにより前記少なくとも1つの第2印刷エンジン向けの前記印刷データを修正することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記カラー修正モジュールは、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えた場合に、前記カラーデータを前記単一のビデオ周波数で作動する基準信号と比べて位相が180度ずれた状態にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記カラー修正モジュールは、前記基準信号に基づき、互いに位相差を有する複数の第2クロック信号を発生することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記カラー修正モジュールは、各々が前記互いに位相差を有する複数の第2クロック信号のうちの1つに合わせて整列された、各々が前記カラーデータの前記画素値を表す複数のパルスシーケンスを発生し、さらに、前記累積位相誤差に基づき、1つのパルスシーケンスと一致する前記カラーデータをシフトして他のパルスシーケンスと一致させるパルス幅変調セクションを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
個々の前記位相は90度ずつ離れていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
第1印刷エンジン及び少なくとも1つの第2印刷エンジンを含む複数の印刷エンジンを備えた印刷機器における色位置合わせエラーを訂正するためのプロセッサにより実行される方法であって、
前記複数の印刷エンジンは、第1クロック及び少なくとも1つの印刷エンジンから導出された単一のビデオ周波数で作動する基準信号により運転され、
前記少なくとも1つの第1印刷エンジンに対する前記少なくとも1つの第2印刷エンジンのキャリブレーション情報に基づき前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの累積位相誤差を計算するステップと、
前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えたときに前記少なくとも1つの第2印刷エンジン向けのカラーデータを修正するステップと、
前記累積位相誤差をリセットするステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの前記キャリブレーション情報は、前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの理想動作周波数を導出するために用いられることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カラーデータを修正するステップは、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えた場合に、前記基準信号の1クロック周期にわたりアサートされる挿入/削除画素信号を発生するステップを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記カラーデータを修正するステップは、前記単一のビデオ周波数が前記カラーデータと関連付けられた前記印刷エンジンの前記理想動作周波数よりも高くなったときに、前記カラーデータに直前の画素と画素値が等しい画素を挿入するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カラーデータを修正するステップは、前記単一のビデオ周波数が前記カラーデータと関連付けられた前記印刷エンジンの前記理想動作周波数よりも低くなったときに、前記カラーデータ内の画素を削除する手順を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記カラーデータを修正するステップは、前記カラーデータを前記単一のビデオ周波数で作動する基準信号と比べて位相が180度ずれた状態にするステップを含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記カラーデータを修正するステップは、各々の位相が互いに異なり、各々が前記カラーデータの画素値を表す複数のパルスシーケンスを発生するステップと、前記累積位相誤差が予め決められた閾値を超えた場合に、1つのパルスシーケンスと一致する前記カラーデータをシフトして別のパルスシーケンスと一致させるステップと、を含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
プロセッサにより実行される前記方法は、プリンタと連結されたコンピュータ、プリンタ用のデバイスドライバ、又はプリンタ用のプリプロセッサモジュールのいずれか1つにおいて実施されることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
第1印刷エンジン及び少なくとも1つの第2印刷エンジンを含み、単一のビデオ周波数で運転され、カラーデータを印刷可能な複数の印刷エンジンと、
前記第1印刷エンジンに対する前記少なくとも1つの前記第2エンジンのキャリブレーション情報を保持する、前記印刷エンジンに連結されたメモリと、
前記メモリ及び前記印刷エンジンに連結され、第1クロック及び前記少なくとも1つの第1印刷エンジンから導出された前記単一のビデオ周波数で作動する基準信号を発生し、前記少なくとも1つの第1印刷エンジンに対する前記少なくとも1つの第2印刷エンジンの前記キャリブレーション情報に基づき計算された少なくとも1つの前記第2印刷エンジンの位相誤差に基づき前記少なくとも1つの第2印刷エンジン向けの前記カラーデータを修正する装置と、を備えた印刷機器。
【請求項19】
前記複数の印刷エンジンを前記単一のビデオ周波数で作動する、前記印刷エンジンと連結された位相ロックループモジュールをさらに有する請求項18に記載の印刷機器。
【請求項20】
前記印刷機器はCMYKプリンタであり、基準となる前記第1エンジンはK−平面用の印刷エンジンであり、少なくとも1つの第2平面はM、Y、及びK平面のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項18または19に記載の印刷機器。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−252304(P2010−252304A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−11936(P2010−11936)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】