説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】 画素とマスクとの高い位置合わせ精度を必要とせず、また大型のマスクを用いることなく露光することで、生産性よくカラーフィルタを製造する方法を提供する。
【解決手段】 透明基板2の厚み方向一方の表面に、遮光部4を形成し、透明基板2の厚み方向一方の表面に、ネガ型の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層5を形成し、同一の色相が形成される複数の画素部3のうち、少なくとも1つの画素部3を選択的に照射可能な描画機6を走査することによって、透明基板2の厚み方向他方の表面から、同一の色相が形成される画素部3に光を照射し、感光性樹脂層5を現像して、画素部3を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタを製造する方法に関する。特に本発明は、電解放射型表示装置、蛍光表示装置、プラズマディスプレイおよび液晶表示装置などの表示装置用カラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、透明基板と、透明基板上に形成されるカラーフィルタ層とを含んで構成される。カラーフィルタ層は、異なる色相でそれぞれ着色される複数の画素部が予め定める並列方向に間隔をあけて並んで形成されるとともに、遮光性を有する遮光部が各画素部間に形成される。カラーフィルタの各画素部をそれぞれ形成する従来技術として、フォトリソグラフィ法が用いられる。
【0003】
フォトリソグラフィ法は、たとえば液晶ディスプレイおよびプラズマディスプレイなどの平面ディスプレイ、ならびに電子回路の製造など、数μm〜100μmの精密なパターンを形成することが要求される場合に採用される。フォトリソグラフィ法の製造手順は、レジストの塗布、露光および現像の各工程を含み、また遮光部(ブラックマトリックス)の形成には必要に応じてエッチング工程を含むこともあり、パターニング精度は良好であるが、工程数が多く生産性に問題がある。さらにフォトリソグラフィ法では、カラーフィルタの大形化にともなって、大型の露光機が必要となることから、設備コストが大きくなるという問題がある。またカラーフィルタの仕様変更毎に、マスクを変更する必要がある。マスクは、たとえば人工石英製であり、ランニングコストなどの製造コストを削減するには限界がある。また、塗布および現像工程で、高価なフォトレジストを大部分除去するため、原材料の利用効率の意味でも改善の余地が多い。
【0004】
これに対して、高価なフォトマスクを使用せず、CADデータを感光性樹脂膜に直接描画する方法、いわゆる直接露光(直接描画)法が提案されている(たとえば特許文献1および2参照)。直接描画法は、露光機が不要であるのみならず、高価なフォトマスクを用いないことから、製造コストを低下できることが期待できるのみならず、ライン切り替え時間の短縮、新規製品開発時間の短縮など多くのメリットが期待される。
【0005】
カラーフィルタの画素部は遮光部と比較すると、比較的要求精度が低いことから、従来の技術では、レーザー光線を走査して露光するレーザー直接描画法が提案されているが、カラーフィルタとして要求される解像度を実現するためには描画速度が遅いという問題がある。
【0006】
また、カラーフィルタの画素部は同様の配列の繰返しであり、さらには大部分のカラーフィルタは縞状に画素部が配置されるので、一括露光ではなく小型マスクをもちいて、繰返し露光するステッパ方式も検討された。しかしながら、小形マスクと画素部との高い位置合わせ精度と生産性とがトレードオフの関係となることから、充分な精度と生産性を満足することは難しい。
【0007】
【特許文献1】特開平9−73171号公報
【特許文献2】特開平9−318809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、画素とマスクとの高い位置合わせ精度を必要とせず、また大型のマスクを用いることなく露光することで、生産性よくカラーフィルタを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、異なる色相でそれぞれ着色される複数の画素部が予め定める並列方向に間隔をあけて並んで形成されるとともに、遮光性を有する遮光部が各画素部間に形成されるカラーフィルタ層を透明基板上に形成するカラーフィルタの製造方法であって、
透明基板の厚み方向一方の表面に、遮光部を形成する遮光部形成工程と、
透明基板の厚み方向一方の表面に、ネガ型の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
同一の色相が形成される複数の画素部のうち、少なくとも1つの画素部を選択的に照射可能な照射手段を走査することによって、透明基板の厚み方向他方の表面から、同一の色相が形成される画素部に光を照射する照射工程と、
感光性樹脂層を現像して、画素部を形成する画素部形成工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明基板の厚み方向一方の表面に遮光部および感光性樹脂層を形成し、厚み方向他方の表面から光を照射することによって、遮光部で囲まれた感光性樹脂層を露光することができる。感光性樹脂層に光を照射する照射工程では、同一の色相が形成される複数の画素部のうち、少なくとも1つの画素部を選択的に照射可能な照射手段が用いられる。このような照射手段を走査することによって、画素部を形成すべき領域に光を照射することができる。これによって、従来の技術のように画素とマスクとの高い位置合わせ精度を必要とせず、かつ大型のマスクを使うことなく、画素部に光を照射することができる。したがって製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態のカラーフィルタ1の製造手順を示すフローチャートである。カラーフィルタ1(図6参照)は、基材である透明基板2と、透明基板2の厚み方向一方の表面に形成されるカラーフィルタ層(図示せず)とを含んで構成される。カラーフィルタ1は、たとえば液晶表示装置の一部を構成する。
【0012】
カラーフィルタ層には、複数の画素部3と、遮光部4とが形成される。複数の画素部3は、複数の種類が設定される。種類毎の画素部3は、それぞれ異なる色相で着色される。画素部3はたとえば、色相の異なる3つのグループに分けられる。第1のグループに属する画素部3は、赤色(レッド:R)に着色される。第2のグループに属する画素部3は、緑色(グリーン:G)に着色される。また第3のグループに属する画素部3は、青色(ブルー:B)に着色される。各画素部3は、たとえば予め定める並列方向Tに沿って、ストライプ状に配置される。
【0013】
遮光部4は、いわゆるブラックマトリックスであって、遮光性を有する。遮光部(以下、「ブラックマトリックス」ということがある)4は、各画素部3間に形成されて、たとえば格子状に形成される。また透明基板2は、光透過性を有し、たとえばガラス基板によって実現される。透明基板2には、画素形成領域11(図5参照)と、遮光領域とが設定される。画素形成領域11は、カラーフィルタ層のうち各画素部3が配置される領域となる。また遮光領域は、フィルタ層のうち遮光部4が配置される領域となる。
【0014】
遮光部4と同時に、画素部3の重ね合わせや貼り合わせや品質管理のためのマーク類がを形成してもよい。また、液晶表示装置を構成する液晶シャッター(図示せず)は、各画素部3の所定の位置に形成され、色情報に基づく電気信号に応じて駆動される。また、必要に応じて画素部3上に透明保護膜(平坦化膜)層(図示せず)および液晶駆動のための共通電極となる透明導電膜層(図示せず)が形成される。さらに、液晶のセルギャップを規定する柱状スペーサ(図示せず)や、液晶パネルの高視野角化のための液晶配向規制構造(図示せず)が形成される。
【0015】
透明保護膜(平坦化膜)は、ブラックマトリックス4および画素部3に重ねて塗布するもので画素部3と遮光部4との厚み方向の段差を埋め、液晶セルに適した平滑性を付与するとともに、カラーフィルタ1から汚染物質の溶出を防止する。透明保護膜についても液晶セル設計の必要性に応じて、微細なパターニングを行う場合がある。
【0016】
以下に、このような透明基板2と、カラーフィルタ層とを含むカラーフィルタ1の製造方法について説明する。
【0017】
まず、ステップa1では、ガラスなどの透明基板2上に遮光性を有する遮光部4を形成し、ステップa2に移る。遮光部4の形成法としては、感光性の黒色樹脂を塗布したのち、フォトマスクを介して所定のパターンを露光焼付けし、現像処理する方法、および、遮光性の樹脂膜上にフォトレジストパターンを公知の方法で形成した後、遮光性樹脂膜をエッチングする方法などを採用することが可能である。遮光部4を形成する材料には、遮光剤を添加する。遮光剤としては、カーボン、アニリンブラック、ペリレン化合物といった有機顔料、チタンブラック、マグネタイトといった無機顔料が挙げられる。またブラックマトリックス4は、クロム、モリブデン、およびニッケルといった金属の遮光性薄膜と反射防止膜を組み合わせた薄膜をパターニングしたものであってもよい。また、フォトマスクを用いた露光に限らず、直接露光パターンを描画する直接描画機を用いてもよく、また遮光性樹脂をレーザー加工機で加工することで形成してもよい。
【0018】
透明基板2上に遮光性の感光性樹脂膜(フォトレジスト)を形成する装置としては、たとえば、スピンコート装置、スピンレスコート装置、ロールコート装置、ドライフィルムレジスト積層装置などのレジスト成膜装置が利用できる。たとえばスピンコート装置では、感光性樹脂膜の溶液を透明基板2上にスピン塗布し、乾燥させる。また、スピンレスコート装置では、スリット状に精密加工されたノズルから感光性樹脂膜の溶液を透明基板2上に塗布し、乾燥させ、必要に応じて熱処理すればよい。スピンレスコート装置は、スリットコート装置とも呼ばれる。
【0019】
乾燥した遮光性の感光性樹脂膜に対して、露光機または各種の描画装置を用いて所定のパターンを焼きつけたのち、現像および熱硬化処理を行い、遮光部4とすることができる。
【0020】
ブラックマトリックス4は、隣接する画素部3の境界を画し、混色を防止するもので、極めて高い精度と均一性が要求される。ブラックマトリックス4の形状は、格子状やストライプが一般的である。
【0021】
ステップa2では、透明基板2の厚み方向一方の表面に、ネガ型の感光性樹脂組成物であるネガ型感光性樹脂を含む感光性樹脂層5(図3および図4参照)を形成し、ステップa3に移る。ネガ型感光性樹脂は、光の照射部分が現像液に対して不溶化し、残存するもので、一般には、光重合性化合物、バインダーポリマー、分散剤、光重合開始剤、着色剤、溶剤、さらには必要に応じてその他の添加剤を配合したものが使用される。このようなネガ型感光性樹脂の具体的な組成に関しては、後述する。
【0022】
ステップa3では、同一の色相が形成される複数の画素部3のうち、少なくとも1つの画素部3を選択的に照射可能な描画機6を走査することによって、透明基板2の厚み方向他方の表面から、同一の色相が形成される画素形成領域11に光を照射し、ステップa4に移る。これによってステップa2にて形成された感光性樹脂層5の周囲が遮光部4に覆われた画素形成領域11に光が照射される。したがって画素形成領域11の感光性樹脂層5が硬化される。描画機6の具体的な構成に関しては、後述する。
【0023】
ステップa4では、感光性樹脂層5を現像して、画素部3を形成する。現像することによって、ネガ型着色感光性樹脂層5の露光された部分だけが画素部3として残る。これによって画素部3は、ブラックマトリックス4に形成された所定の開口部を覆う形に形成される。たとえば1画素が三色のストライプで形成される場合、線幅は1画素のピッチの約1/3である。
【0024】
こうして第1のグループに属する画素部を形成した後は、感光性樹脂の種類(色)を変えて、第2のグループに属する画素部および第3のグループに属する画素部を順次形成する。
【0025】
このようにして形成したカラーフィルタ1は、必要に応じて透明平坦化膜および/または共通電極である透明導電膜を積層して形成する。さらに、視野角特性を改善するための加工として、液晶の配向方向を分割するためのバンクを透明導電膜上に形成することや、透明導電膜そのものにスリットを形成することなどの加工が行なわれる。
【0026】
さらに、液晶のセルギャップを調整するための柱状スペーサの形成が行なわれる。柱状スペーサは、遮光部4、画素部3および透明平坦化膜のパターンを重ねることでも形成可能であるが、高さ精度や変形特性を極めて厳密に管理することが必要であることから、専用の感光性樹脂層を重ね塗りし、フォトリソグラフィによる加工で仕上げることが一般に行なわれる。
【0027】
次に、ステップa2にて用いられるネガ型感光性樹脂組成物の具体的な組成に関して説明する。ネガ型感光性樹脂としては、前述したように、一般には、光重合性化合物、バインダーポリマー、分散剤、光重合開始剤、着色剤、溶剤、さらには必要に応じてその他の添加剤を配合したものが使用される。
【0028】
まず、光重合性化合物に関して説明する。本発明のネガ型感光性樹脂の形成に利用可能な光重合性化合物としては、光照射で光重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸などにより重合し得る化合物であって、後述するバインダーポリマーの架橋剤ともなり得るものである。たとえば重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が挙げられる。光重合性化合物は、分子内に重合性炭素−炭素不飽和結合を1個有する単官能の化合物であってもよいし、重合性炭素−炭素不飽和結合を2個またはそれ以上有する2官能または3官能以上の多官能の化合物であってもよい。単官能光重合性化合物としては、たとえばノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、およびN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。2官能光重合性化合物としては、たとえば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、および3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。3官能以上の光重合性化合物としては、たとえばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0029】
好ましい光重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを挙げることができる。該光重合性化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられるが、2官能以上の光重合性化合物が好ましく用いられ、2種以上の光重合性化合物を用いる場合には少なくとも1種は2官能以上の光重合性化合物を用いることが好ましい。該光重合性化合物の使用量は、バインダーポリマーおよび光重合性化合物の合計量100質量部あたり、通常は0.1質量部以上70質量部以下、好ましくは1質量部以上60質量部以下である。
【0030】
次に、バインダーポリマーに関して説明する。バインダーポリマーとしては、透明樹脂が好適に用いられる。透明樹脂としては、着色剤を分散することができ、着色画素層に、他成分とともに光照射によって架橋性機能を付与する樹脂が使用される。かかるバインダーポリマーとしては、たとえば以下に掲げる単量体をそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて重合させた樹脂のほか、メラミンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。
【0031】
バインダーポリマーを構成する単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;3−メチル−3−(メタ)アクリロイロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイロキシエチルオキセタンのような不飽和カルボン酸オキセタンエステル化合物などが挙げられる。また、2種以上の単量体を組み合わせて共重合体とする場合は、アクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸も、バインダー樹脂を構成する単量体となり得る。
【0032】
2種以上の単量体を組み合わせた共重合体をバインダーポリマーとする場合、かかる共重合体としては、たとえばベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロイロキシメチルオキセタン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロイロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、および3−エチル−3−メタクリロイロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体などが挙げられる。特に、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基を有する単量体を共重合させたものが好ましく、とりわけベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体が好ましい。バインダーポリマーを構成する共重合体におけるカルボキシル基を有する単量体単位の含有量は、質量分率で5〜50%、好ましくは10〜40%である。
【0033】
該バインダーポリマーは、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求められる重量平均分子量が5,000〜400,000の範囲、さらには10,000〜300,000の範囲にあるのが好ましい。該バインダーポリマーは、感光性樹脂組成物の全固形分に対して質量分率で通常5〜90%の範囲、好ましくは20〜70%の範囲で用いられる。
【0034】
次に、分散剤について説明すると、たとえば、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性分散剤、シリコーン系分散剤、フッ素系分散剤等の界面活性剤が使用できる。カチオン系分散剤としては、1級、2級または3級のアミノ基を有するカチオン性の樹脂が例示される。また、アニオン系分散剤としては、カルボキシレート、スルホネート、ホスフェートなどの基を有する樹脂または化合物が例示され、カルボキシレート基を有する樹脂には、ポリアクリレートやポリスチレン−アクリレートなどが包含され、スルホネート基を有する化合物には、ポリオキシアルキレンスルホン酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリンのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などが包含され、また、ホスフェート基を有する化合物には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩などが包含される。さらに、ノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレンタイプのものやアミドタイプのものが例示され、ポリオキシエチレンタイプの分散剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、アセチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールエステル共重合体などが包含され、アミドタイプの分散剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどが包含される。これらの分散剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
次に、光重合開始剤に関して説明する。光重合開始剤は、光が照射されることによって活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤であることができ、たとえば、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、およびトリアジン系化合物などが挙げられる。
【0036】
アセトフェノン系化合物としては、たとえば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。ベンゾイン系化合物としては、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、たとえば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
チオキサントン系化合物としては、たとえば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、および1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、たとえば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、および2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0038】
活性ラジカル発生剤として、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、およびチタノセン化合物などを用いることもできる。
【0039】
活性ラジカル発生剤として、市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、商品名「Irgacure−907」(アセトフェノン系光重合開始剤、Ciba Specialty Chemicals社製)などが挙げられる。これらの光重合開始剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の使用量は、バインダーポリマーおよび光重合性化合物の合計量100質量部に対して通常1質量部以上30質量部以下、好ましくは3質量部以上20質量部以下である。
【0040】
感光性樹脂組成物は、上記のような光重合性化合物および光重合開始剤に加えて、光重合開始助剤を含有することもできる。光重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて、光重合開始剤によって開始した光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物である。光重合開始助剤としては、たとえばアミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物などが挙げられる。アミン系化合物としては、たとえばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4'−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。アルコキシアントラセン系化合物としては、たとえば9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、および2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0041】
光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、たとえば商品名「EAB−F」(保土谷化学工業株式会社製)などが挙げられる。該光重合開始助剤を用いる場合、その使用量は、光重合開始剤1モルあたり通常10モル以下、好ましくは0.01モル以上5モル以下である。光重合開始剤および光重合開始助剤を用いる場合の使用量は、その合計量がバインダーポリマーおよび光重合性化合物の合計量100質量部に対して通常1質量部以上30質量部以下、好ましくは3質量部以上20質量部以下である。
【0042】
次に、着色剤に関して説明する。着色剤としては、染料や顔料を用いることができる。顔料としては有機および無機顔料を用いることができ、具体的には、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colouristsから出版されている)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。
【0043】
次に、溶剤に関して説明する。溶剤としては、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどの芳香族脂肪族エーテル類;アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチルなどのエステル類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。こうした溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ、感光性樹脂組成物における溶剤の含有量が質量分率で通常20質量%以上90質量%以下、好ましくは50質量%以上85質量%以下となるように使用される。
【0044】
次に、その他の添加剤に関して説明する。その他の添加剤としては、たとえば、充填剤、バインダーポリマー以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、凝集防止剤、有機酸、および硬化剤などが挙げられる。界面活性剤としては、たとえば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤および両性界面活性剤などが挙げられる。密着促進剤としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0045】
また本実施の形態のカラーフィルタ1の製造方法では、酸素遮断膜を形成することが好ましい。酸素遮断膜を形成するために、酸素遮断膜成膜装置が用いられる。酸素遮断膜成膜装置は、感光性樹脂を塗布した基板上に酸素遮断膜を形成する装置である。たとえば、スピンコート装置、スピンレスコート装置、ロールコート装置、ドライフィルムレジスト積層装置等の公知の成膜装置が利用できる。スピンコート装置であれば、酸素遮断膜の高分子溶液を基板上にスピン塗布し、乾燥させ、また、スピンレスコート装置ではスリット状に精密加工されたノズルから感光性樹脂膜の溶液を基板上に塗布し、乾燥させ、必要に応じて熱処理すればよい。ここで用いる酸素遮断膜は膜厚が薄いことから、気流乾燥や温風乾燥を選択することも可能である。
【0046】
このような酸素遮断膜を形成するための高分子水溶液は、酸素透過性が低く、かつ露光光線に対し高い透明性を有し、水または水溶液に可溶なものを好適に選択できる。たとえば、アルギン酸塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリビニルエーテル、澱粉、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。さらにこれらの水溶性高分子のうち2種類以上を混合して使用することもできる。特に好ましくは、ポリビニルアルコールを単独、または他の水溶性高分子と混合して使用するのがよい。さらに好ましくは0.2〜3質量%のポリビニルアルコール水溶液を使用するのがよい。また、酸素遮断膜を形成するための水溶性高分子溶液は、感光性樹脂膜への塗布性を調整するために必要に応じて界面活性剤を添加することも有効である。
【0047】
背面露光では、感光性透明着色樹脂の表面付近を架橋することが難しいとされる。これに対して0.01から10μmの透明樹脂膜を酸素遮断膜として形成することで大幅に表面付近の膜特性を改善可能である。特に露光後の酸素遮断膜除去に配慮すると、0.01μmから1μmの薄い膜が好適である。
【0048】
次に、描画機6に関して説明する。図2は、カラーフィルタ1の製造手順を示す平面図である。図3は、描画機6を示す正面図である。図4は、描画機6を示す側面図である。図5は、1つの色相の画素部3を形成した状態のカラーフィルタ1を示す平面図である。図6は、3つの色相の画素部3を形成した状態のカラーフィルタ1を示す平面図である。描画機6は、光源7、光源用フォトマスク(以下、「マスク」ということがある)8、基板ステージ9、アライメント機構(図示せず)および搬送機構(図示せず)を含んで構成される。
【0049】
描画機6は、透明基板2のブラックマトリックス4が形成されていない面側に、カラーフィルタ1の配列方向Tであるストライプ方向Tに延びる透光性を有する貫通孔10が形成され、貫通孔10以外は遮光性を有し、かつカラーフィルタ1の寸法よりも小さいマスク8、およびマスク8の寸法より大きくなく、かつマスク8の貫通孔10に光が照射できるようになっている光源7を、この順に配置し、マスク8および光源7と透明基板2とを、カラーフィルタ1のストライプ方向Tに相対的に移動させながらストライプの長さ方向T全体にわたって露光する。
【0050】
光源7は、透明基板2の厚み方向他方、すなわち感光性樹脂層5が形成される面部とは反対側に配置される。光源7は、感光性樹脂の露光が可能な波長域の光線を発光可能であり、10msec以下の点滅動作が可能な光源・光学系であればよい。光源7は、好適にはたとえば高圧水銀ランプ、キセノンランプ、半導体レーザーやYAGレーザーなど各種レーザーおよびこれらの高倍諧調波光源とシャッター機構を組み合わせて用いることが可能である。光源7は、マスク8を介して、照射領域が予め定める照射領域に対して、透明基板2に光が入射するように配置される。
【0051】
マスク8は、遮光性を有する板状部材であって、画素部3の形状に応じた貫通孔10が形成される。マスク8は、本実施の形態では、図2に示すように、2つの貫通孔10が形成され、同一の色相が形成される2つの画素部3に対応する位置に形成される。この貫通孔10を介して、光源7からの光が透明基板2に照射される。マスク8は、たとえば石英ガラスまたはソーダガラスに所定のパターンを金属エッチング等で施したものが用いられる。マスク8の大きさは、透明基板2より小さく、1つの画素部3より大きくなるように選択される。マスク8の大きさは、描画ヘッドの数、露光面積、処理時間等から最適なものを選択することができるが、マスク8の走査方向Tの幅寸法、すなわち開口幅L1は、画素部3の走査方向Tの寸法L2より大きくてもよいが、あまり大きくしない方が好ましい。具体的には、透明基板2とマスク8の相対運動方向Tに対して5mm以下で、画素部3の走査方向Tの寸法L2までとするのが好ましい。マスク8の開口幅L1が5mm以上であれば、ブラックマトリックス枠の外部の感光性樹脂層5に漏れ光が照射される結果、不必要な領域の感光性樹脂層5が残存してしまうので、好ましくない。
【0052】
マスク8は、マスク8を通して透明基板2側から感光性樹脂層5に到達する光が、常に所定のブラックマトリックスの開口部を覆う位置関係となるように設定される。また、マスク8の横幅はガラス基板上のカラーフィルタ1のレイアウトを反映したものとし、ガラス基板全体のマスクレイアウトに対応したものであってもよく、複数に分割したマスク8を走査毎に交換して露光するものであってもよい。また画素ピッチを合わせたものとし、レイアウトと走査位置に対応して横幅方向にマスクシャッタ機構を組み合わせたものであってもよい。
【0053】
基板ステージ9は、マスク8および光源7が搭載される。基板ステージ9には、マスク8の傾斜補正機構および、透明基板2全体を走査するための移動機構、アライメント機構が搭載される。
【0054】
アライメント機構は、基板ステージ9を所望の位置に位置決めする。本発明では透明基板2とマスク8のアライメントを厳密に行う必要がなく、たとえばブラックマトリックス4の線幅の1/4程度の位置精度があれば十分である。したがって、透明基板2搭載時に透明基板2と基板ステージ9間の位置、傾斜を調整する程度でよい。
【0055】
搬送機構は、透明基板2をマスク8に対して相対移動させる。搬送機構は、基板ステージ9と透明基板2は滑らかに等速相対移動可能な機構を有し、たとえばコロ搬送機構を備えたもの、またはエア浮上機構を備えたものであることが好ましい。
【0056】
このような描画機6を、図2に示す露光エリアAを照射するように走査方向Tに移動させ、それを2回繰り返すことによって、図5に示すように、1つの色相の画素部3だけを露光することができる。このような作業を後2回繰り返すことによって、図6に示すように全ての画素形成領域11に画素部3を形成することができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げ、本発明のカラーフィルタ1の製造方法によって製造されるカラーフィルタ1について具体的に説明するけれども、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
【0058】
まず、第1の実施例に関して説明する。透明基板2(コーニング社製1737、0.63mm厚)上に感光性黒色樹脂(V259−BKIS66、新日鐵化学株式会社製)を用いてブラックマトリックス4(膜厚1.2μm、線幅18.5μm、画素ピッチ237μm(RGBの合計))を形成した。前記ブラックマトリックス4上に感光性透明赤色樹脂(NF−R655、住友化学株式会社製)を塗布し、60℃にて120秒プリベークした後、所定のマスク8を介して背面より露光し、さらに現像、熱処理を行った。光源7の照度は60mJ/cm、マスク8の開口は5mm×68.5μm、基板搬送速度1.4mm/秒(積算露光量を200mJ/cm)で露光した。
【0059】
同様にして、感光性透明緑色樹脂(MX-G551、住友化学株式会社製)、感光性透明青色樹脂(NF-B016M2、住友化学株式会社製)を塗布し、露光、現像、熱処理を行うことでカラーフィルタ1を作製した。
【0060】
作製したカラーフィルタ1の諸元を表1に示す。表1中、x、yおよびYは、CIE表色系における色度を意味し、Raは中心線平均粗さを意味する。後掲の表2に現れるx、y、YおよびRaも同様の意味である。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示すように、所望の色彩および表面粗さを有する画素部3がブラックマトリックス4の開口部に自己整合状態で充填されていることを確認することができた。
【0063】
次に、第2の実施例に関して説明する。透明着色樹脂の露光に先行して、透明着色樹脂層の上に酸素遮断膜を0.05μm厚で形成し、基板搬送速度を15mm/秒とした(積算露光量20mJ/cm)以外は、前述の第1の実施例と同様にして露光を行い、カラーフィルタ1を試作した。酸素遮断膜は、ポリビニルアルコール(クラレポバール205、株式会社クラレ製)の1質量%水溶液を塗布し、乾燥することにより形成した。作製したカラーフィルタ1の諸元を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2に示すように、所望の色彩および表面粗さを有する画素部3がブラックマトリックス4の開口部に自己整合状態で充填されていることを確認することができた。またマスク開口幅を5mm以下とした結果、大部分のカラーフィルタデザインにおいて、画素部3がブラックマトリックス枠を外れることなく製造することができた。
【0066】
以上説明したように、従来の技術の問題に対して、本発明者らは鋭意検討した結果、ブラックマトリックス4上の所定の開口部に存在する感光性樹脂層5に対して、点滅応答が可能なスリット状の光源7をブラックマトリックス4とマスク8とを介して露光し、かつ光源7ならびにマスク8とを基板に対して相対的に移動させて露光することにより、ムラがなく、画素部3間の像残りもないパターン形成が可能となることを見出した。
【0067】
このような本発明の露光方法によれば、従来法のような大型・高精度の露光装置やフォトマスクを用いることなく、安価で高品質なカラーフィルタ1を製造することが可能である。
【0068】
本実施の形態では、描画機は、マスクによって照射領域を制限するように構成されているが、このような構成に限ることはなく、描画機は点光源を走査するような構成、および光源が予め定める照射領域を有するように構成してもよい。換言すると、描画機は、予め定める照射領域を照射可能な構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の一形態のカラーフィルタ1の製造手順を示すフローチャートである。
【図2】カラーフィルタ1の製造手順を示す平面図である。
【図3】描画機6を示す正面図である。
【図4】描画機6を示す側面図である。
【図5】1つの色相の画素部3を形成した状態のカラーフィルタ1を示す平面図である。
【図6】3つの色相の画素部3を形成した状態のカラーフィルタ1を示す平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 カラーフィルタ
2 透明基板
3 画素部
4 遮光部
5 感光性樹脂層
6 描画機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色相でそれぞれ着色される複数の画素部が予め定める並列方向に間隔をあけて並んで形成されるとともに、遮光性を有する遮光部が各画素部間に形成されるカラーフィルタ層を透明基板上に形成するカラーフィルタの製造方法であって、
透明基板の厚み方向一方の表面に、遮光部を形成する遮光部形成工程と、
透明基板の厚み方向一方の表面に、ネガ型の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
同一の色相が形成される複数の画素部のうち、少なくとも1つの画素部を選択的に照射可能な照射手段を走査することによって、透明基板の厚み方向他方の表面から、同一の色相が形成される画素部に光を照射する照射工程と、
感光性樹脂層を現像して、画素部を形成する画素部形成工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記照射工程では、照射手段は、周囲が遮光部に覆われた画素部を照射することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記照射工程では、照射手段は、予め定める走査方向に走査され、照射領域の走査方向の寸法は、画素部の走査方向の寸法より小さいことを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−186519(P2009−186519A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23364(P2008−23364)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】