説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】低コストでカラーフィルタを製造する。
【解決手段】最初に、基板11上の第1着色層20用の第1着色層形成領域20a、第2着色層30用の第2着色層形成領域30aおよび第3着色層40用の第3着色層形成領域40aの何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を、他の着色層形成領域に当該着色層用塗工液が塗布されない部分を残して、塗布する。次に、基板11を露光して、その後、基板11を現像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面ディスプレイとして液晶表示装置や有機EL表示装置などが実用化されている。これらの表示装置においては、一般に、光源からの光のうち所望の波長の光のみを取り出すため、または、光源からの光の色純度を向上させるため、カラーフィルタが設けられている。カラーフィルタは、一般に、基板上に所定のパターンで設けられ、光源からの光を遮蔽するブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層の間の開口部(着色層形成領域)に設けられ、光源からの光のうち所望の波長を有する光のみを透過させる着色層と、を備えている。
【0003】
カラーフィルタを製造する方法として、基板上にブラックマトリクス層を形成する工程と、ブラックマトリクス層の間の開口部に複数色の着色層を形成する工程と、を備えたカラーフィルタの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。各着色層は、感光性を有する着色層用材料を、露光処理および現像処理を含むフォトリソグラフィー法によりパターニングすることによって形成される層である。フォトリソグラフィー法を用いることで、各着色層を高精度に加工できるため、高精細なカラーフィルタを製造できる。
【0004】
図11(a)〜(d)は、従来のカラーフィルタの着色層を形成する工程を示す平面図である。同図は、例えば赤色の着色層を形成する工程を示す。最初に、図11(a)に示す複数の着色層形成領域20a,30a,40aを有するブラックマトリクス層50が形成された基板11上の全面に、着色層用材料を含む着色層用塗工液210を塗布する(塗布工程、図11(b)参照)。次に、着色層用塗工液210を加熱して得られた着色層用材料220を、開口部26および遮光部27を有する露光マスク25を用いて、露光する(図11(c)参照)。次に、着色層用材料220を現像して、着色層200を形成する(図11(d)参照)。このような一連の工程を複数回繰り返して、複数色の着色層を形成する。
【0005】
また、複数色の着色層を形成した後、フォトリソグラフィー法によりフォトスペーサーを形成する工程をさらに備えたカラーフィルタの製造方法も提案されている。フォトリソグラフィー法を用いることで、フォトスペーサーを高精度に加工できる。そのため、小型のフォトスペーサーが必要な、モバイル用途などに適した小型のカラーフィルタを製造できる。
【0006】
図12(a)〜(d)は、従来のカラーフィルタのフォトスペーサーを形成する工程を示す平面図である。最初に、図12(a)に示すブラックマトリックス層50及び着色層200,300,400が形成された基板11上の全面に、スペーサー用材料を含むスペーサー用塗工液1310を塗布する(塗布工程、図12(b)参照)。次に、スペーサー用塗工液1310を加熱して得られたスペーサー用材料1320を、開口部136および遮光部137を有する露光マスク135を用いて、露光する(図12(c)参照)。次に、スペーサー用材料1320を現像して、フォトスペーサー1300を形成する(図12(d)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−271576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば、3色の着色層を有するカラーフィルタにおいては、赤色の着色層200の面積は、カラーフィルタの面積の1/3以下である。従って、基板11の全面に塗布された着色層用塗工液210の大部分は、着色層200を構成することなく無駄になっている。他の色の着色層に関しても同様である。
【0009】
また、フォトスペーサー1300の面積は、着色層の面積よりさらに小さい。従って、基板11の全面に塗布されたスペーサー用塗工液1310の大部分は、フォトスペーサー1300を構成することなく無駄になっている。
【0010】
このような無駄な着色層用塗工液210及びスペーサー用塗工液1310の使用は、カラーフィルタの製造コストを低減できない一因となっている。
【0011】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、低コストでカラーフィルタを製造できるカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による第1のカラーフィルタの製造方法は、
基板を準備する工程と、
前記基板上の第1着色層用の第1着色層形成領域、第2着色層用の第2着色層形成領域および第3着色層用の第3着色層形成領域の何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を、他の着色層形成領域に当該着色層用塗工液が塗布されない部分を残して、塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とする。
【0013】
本発明による第1のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、インクジェット法により前記着色層用塗工液を塗布してもよい。
【0014】
本発明による第1のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、前記着色層用塗工液をストライプ状に塗布してもよい。
【0015】
本発明による第2のカラーフィルタの製造方法は、
基板を準備する工程と、
前記基板上に第1着色層用の第1着色層形成領域、第2着色層用の第2着色層形成領域、第3着色層用の第3着色層形成領域および第4着色層用の第4着色層形成領域がこの順に配置され、前記第1着色層形成領域、前記第2着色層形成領域、前記第3着色層形成領域および前記第4着色層形成領域の何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を塗布すると共に、当該領域から1つ離れた領域に、この1つ離れた領域に対応する感光性着色層用塗工液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とする。
【0016】
本発明による第2のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、インクジェット法により前記着色層用塗工液を塗布してもよい。
【0017】
本発明による第2のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、前記着色層用塗工液をストライプ状に塗布してもよい。
【0018】
本発明による第3のカラーフィルタの製造方法は、
複数の着色層とブラックマトリクス層を有する基板を準備する工程と、
前記基板上のスペーサー形成領域およびその周辺に、感光性スペーサー用塗工液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とする。
【0019】
本発明による第3のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、インクジェット法により前記スペーサー用塗工液を塗布してもよい。
【0020】
本発明による第3のカラーフィルタの製造方法において、
前記塗布工程において、前記スペーサー用塗工液をストライプ状に塗布してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板上の第1着色層形成領域、第2着色層形成領域および第3着色層形成領域の何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を、他の着色層形成領域に当該着色層用塗工液が塗布されない部分を残して、塗布するようにしている。即ち、着色層が形成されない不必要な領域に塗布する着色層用塗工液の量を減らしている。これにより、着色層用塗工液の使用量を少なくできる。さらには現像液が少量でよい、あるいは、現像液の寿命が長くなる。従って、低コストでカラーフィルタを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態における表示装置を示す縦断面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態におけるカラーフィルタを示す平面図。
【図3】図3(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態におけるカラーフィルタの製造方法を示す図。
【図4】図4(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態における基板上に複数の着色層を形成する着色層形成工程を示す平面図。
【図5】図5(a)〜(f)は、図4に続く、着色層形成工程を示す平面図。
【図6】図6(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態におけるカラーフィルタの製造方法を示す図。
【図7】図7(a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態における基板上に複数の着色層を形成する着色層形成工程を示す平面図。
【図8】図8(a)〜(c)は、図7に続く、着色層形成工程を示す平面図。
【図9】図9(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態におけるカラーフィルタの製造方法を示す図。
【図10】図10(a)〜(d)は、本発明の第3の実施形態における基板上に複数のスペーサーを形成するスペーサー形成工程を示す平面図。
【図11】図11(a)〜(d)は、従来のカラーフィルタの着色層を形成する工程を示す平面図。
【図12】図12(a)〜(d)は、従来のカラーフィルタのフォトスペーサーを形成する工程を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0024】
(第1の実施形態)
まず図1により、本実施の形態における表示装置60全体について説明する。
【0025】
表示装置
図1に示すように、表示装置60は、カラーフィルタ10と、カラーフィルタ10に対向するよう配置され、カラーフィルタ10へ向けて光を出射する表示部18と、を備えている。
【0026】
このうちカラーフィルタ10は、基板11と、基板11上に設けられたブラックマトリクス層(BM層)50と、BM層50間に設けられた複数の第1着色層20,第2着色層30及び第3着色層40と、を有している。また表示部18は、TFT基板15と、TFT基板15とカラーフィルタ10との間に介在され、TFT基板15からの電圧により制御される液晶17と、を有している。また表示部18は、図示はしないが、バックライトユニットや偏光板をさらに有している。このような表示部18を用いることにより、カラーフィルタ10へ向けて選択的に光を出射することができる。なお「選択的に光を出射する」とは、表示装置60の単位画素に応じて光の強度が調整されていることを意味する。
【0027】
図1に示すように、カラーフィルタ10の各着色層20,30,40およびBM層50は、オーバーコート膜12によって覆われていてもよい。これによって、各着色層20,30,40およびBM層50を外部環境から保護するとともに、各着色層20,30,40およびBM層50に含まれる不純物などが外部に流出することを防ぐことができる。また図1に示すように、オーバーコート膜12上に柱状のフォトスペーサー13が形成されていてもよい。これによって、液晶17が充填される空間の厚み、いわゆるセルギャップを一定に保持することができる。
【0028】
カラーフィルタ
次に図2を参照して、カラーフィルタ10について詳細に説明する。図2は、カラーフィルタ10を図1の矢印II方向から見た場合を示す平面図である。なお説明の都合上、図2およびそれ以降の図において、カラーフィルタ10のオーバーコート膜12は省略されている。
【0029】
(基板)
はじめに、カラーフィルタ10の基板11について説明する。基板11としては、各着色層20,30,40およびBM層50を適切に支持することができ、かつ透明性を有する様々な材料が用いられ、例えばガラスやポリマーなどが用いられる。
【0030】
(BM層)
次に、カラーフィルタ10のBM層50について説明する。BM層50は、表示部18からの光を遮蔽するよう構成されている。本実施形態では、BM層50はマトリックス状のパターンを有している。BM層50によって画定される複数の領域は、それぞれ、第1着色層20用の第1着色層形成領域20a、第2着色層30用の第2着色層形成領域30aおよび第3着色層40用の第3着色層形成領域40aの何れかになっている。第1着色層形成領域20a、第2着色層形成領域30aおよび第3着色層形成領域40aは、x方向に、この順に繰り返し配置されている。このように繰り返し配置された第1着色層形成領域20a、第2着色層形成領域30aおよび第3着色層形成領域40aの組は、y方向に、複数配置されている。
【0031】
なお、各着色層形成領域20a,30a,40aの具体的なパターンは特には限定されない。
【0032】
BM層50の材料としては、所望の遮光性を有するものであれば特に限定されない。例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色材を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が使用される。
【0033】
(着色層)
次に、カラーフィルタ10の各着色層20,30,40について説明する。複数の着色層20,30,40は、BM層50間に設けられている。具体的には、第1着色層20は、第1着色層形成領域20aに形成されている。第2着色層30は、第2着色層形成領域30aに形成されている。第3着色層40は、第3着色層形成領域40aに形成されている。
【0034】
第1着色層20は、例えば赤色光を透過させる赤色着色層からなっており、第2着色層30は、緑色光を透過させる緑色着色層からなっており、第3着色層40は、青色光を透過させる青色着色層からなっている。各着色層20,30,40は、後述するように、感光性を有する着色層用材料を、露光工程および現像工程を含むフォトリソグラフィー法によりパターニングすることによって形成される層である。フォトリソグラフィー法によりパターニングされる着色層用材料としては、ネガ型およびポジ型のいずれの着色層用材料も使用され得るが、好ましくはネガ型の着色層用材料が使用される。
【0035】
〔着色層用材料〕
次に、各着色層20,30,40を構成する第1着色層用材料(以下、第1材料)、第2着色層用材料(以下、第2材料)、第3着色層用材料(以下、第3材料)について説明する。各第1〜第3材料は、各色の顔料や染料および分散剤を含む顔料分散体、光開始剤、ポリマーやモノマーを含むクリア剤、および界面活性剤などを含んでいる。このうち光開始剤は、光を照射されることによりラジカル成分を発生するものである。またクリア剤には、光開始剤によって発生されたラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる成分とが少なくとも含まれている。
【0036】
上述のように、各着色層20,30,40は、対応する色の光を透過させるよう構成されており、一方、BM層50は、光を遮蔽するよう構成されている。すなわち、各各着色層20,30,40を構成する着色層用材料における光の透過率は、BM層50を構成するBM層用材料における光の透過率よりも大きくなっている。
【0037】
カラーフィルタの製造方法
次に、図3乃至図5を参照して、カラーフィルタ10の製造方法について説明する。
【0038】
はじめに図3(a)〜(d)を参照して、カラーフィルタ10の製造方法全体について説明する。図3(a)〜(d)は、図2のA−A断面に対応する。カラーフィルタ10の製造方法は、基板11上に、BM層50を形成するBM層形成工程(図3(a)参照)と、BM層50間に各着色層20,30,40を形成する着色層形成工程(図3(b)〜(d)参照)と、を備えている。このうち着色層形成工程は、基板11上に複数の第1着色層20を形成する第1着色層形成工程(図3(b)参照)と、第1着色層形成工程の後、基板11上に複数の第2着色層30を形成する第2着色層形成工程(図3(c)参照)と、第2着色層形成工程の後、基板11上に複数の第3着色層40を形成する第3着色層形成工程(図3(d)参照)と、を含んでいる。なお図3(b)〜(d)においては、右側に、各工程において実施される具体的な処理が示されており、左側に、各工程による処理が実施された後の、基板11に形成された各層の断面図が示されている。
【0039】
以下、BM層形成工程および各着色層形成工程について詳細に説明する。
【0040】
(BM層形成工程)
まず、図3(a)及び図4(a)に示すように、基板11上に、第1着色層20用の第1着色層形成領域20a、第2着色層30用の第2着色層形成領域30aおよび第3着色層40用の第3着色層形成領域40aを残して、BM層50を形成する。BM層50を形成する方法が特に限られることはなく、例えば、フォトリソグラフィー法などを用いることができる。
【0041】
(第1着色層形成工程)
次に、図4(b)〜(d)を参照して、第1着色層形成工程について詳細に説明する。
【0042】
〔塗布工程〕
まず、図4(b)に示すように、上述の第1材料と溶剤とを混合することにより得られる第1の感光性着色層用塗工液(以下、第1塗工液)21を、基板11上の所定領域に選択的に塗布する。
【0043】
具体的には、図4(b)に示すように、BM層50が形成された基板11上の第1着色層形成領域20aに、当該領域20aに対応する第1塗工液21を、他の第2及び第3着色層形成領域30a,40aに当該第1塗工液21が塗布されない部分30x,40xを残して、塗布する。つまり、第1着色層形成領域20aに加え、第2及び第3着色層形成領域30a,40aの一部にも、第1塗工液21を塗布してもよい。よって塗布精度が低減できる。但し、複数の第2及び第3着色層形成領域30a,40aのうちの少なくとも何れかに、第1塗工液21を塗布しないようにしてもよい。また、ここでは、図示するように、第1塗工液21を、y方向に沿ってストライプ状に塗布している。
【0044】
第1塗工液21を基板11上に塗布する方法が特に限られることはなく、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などを適宜用いることができる。但し、マスクが不要であり、且つ、高精度に塗布可能なインクジェット法が好ましい。本実施形態では、インクジェット法を用いるものとして説明する。インクジェット法を用いる場合、適宜、第1塗工液21の各材料の割合を調整することなどにより、インクジェット法に適した第1塗工液21とする。
【0045】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上に塗布された第1塗工液21を加熱(プリベイク)し、これによって、第1塗工液21中の溶剤を除去する。この結果、基板11上に第1材料22が得られる。このようなプリベイク処理における加熱条件が特に限られることはなく、第1塗工液21中に含まれる溶剤の種類や重量%などに応じて、プリベイク処理における温度や加熱時間が適宜設定される。このようなプリベイク処理は、一般に、クリーンオーブンを用いることにより実施される。なお、プリベイク処理の前に、第1塗工液21中の溶剤を部分的に除去するための乾燥処理、例えば減圧乾燥処理が実施されてもよい。
【0046】
〔露光工程〕
次に、図4(c)に示すように、開口部26および遮光部27を有する第1着色層用露光マスク(以下、第1露光マスク)25を介して、第1材料22に対して露光光を照射して露光する。即ち、第1材料22が形成された基板11を露光する。第1露光マスク25の開口部26は、第1着色層形成領域20aのパターンに対応するよう、x方向及びy方向に沿って並んで配置されている。露光の結果、第1材料22のうち露光光が照射された部分が硬化する。なお、露光光として用いられる光が特に限られることはなく、第1材料22の感光特性に応じて様々な光が適宜用いられ得る。
【0047】
〔現像工程〕
その後、露光された第1材料22を現像液により現像し、これによって、第1材料22のうち露光光が照射されなかった部分を現像液中に溶解させる。即ち、第1材料22が形成された基板11を現像する。
【0048】
〔焼成工程〕
最後に、基板11上に残っている第1材料22、即ち現像された第1材料22を焼成する。これによって、図4(d)に示すように、複数の第1着色層20が基板11の複数の第1着色層形成領域20aに形成される。
【0049】
(第2着色層形成工程)
次に、図5(a)〜(c)を参照して、第2着色層形成工程について、第1着色層形成工程と異なる点を中心に説明する。第1着色層形成工程と同様の点については、説明を省略する。
【0050】
〔塗布工程〕
まず、図5(a)に示すように、上述の第2材料と溶剤とを混合することにより得られる第2の感光性着色層用塗工液(以下、第2塗工液)31を、基板11上の所定領域に選択的に塗布する。
【0051】
即ち、BM層50が形成された基板11上の第2着色層形成領域30aに、当該領域30aに対応する第2塗工液31を、他の第1及び第3着色層形成領域20a,40aに当該第2塗工液31が塗布されない部分20x,40xを残して、塗布する。
【0052】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上に塗布された第2塗工液31を加熱する。この結果、基板11上に第2材料32が得られる。
【0053】
〔露光工程〕
次に、図5(b)に示すように、開口部36および遮光部37を有する第2着色層用露光マスク(以下、第2露光マスク)35を介して、第2材料32に対して露光光を照射して露光する。即ち、第2材料32が形成された基板11を露光する。第2露光マスク35の開口部36は、第2着色層形成領域30aのパターンに対応して配置されている。露光の結果、第2材料32のうち露光光が照射された部分が硬化する。
【0054】
現像工程及び焼成工程は、第1着色層形成工程における工程と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
これによって、図5(c)に示すように、複数の第2着色層30が基板11の複数の第2着色層形成領域30aに形成される。
【0056】
(第3着色層形成工程)
次に、図5(d)〜(f)を参照して、第3着色層形成工程について、第1着色層形成工程と異なる点を中心に説明する。第1着色層形成工程と同様の点については、説明を省略する。
【0057】
〔塗布工程〕
まず、図5(d)に示すように、上述の第3材料と溶剤とを混合することにより得られる第3の感光性着色層用塗工液(以下、第3塗工液)41を、基板11上の所定領域に選択的に塗布する。
【0058】
即ち、BM層50が形成された基板11上の第3着色層形成領域40aに、当該領域40aに対応する第3塗工液41を、他の第1及び第2着色層形成領域20a,30aに当該第3塗工液41が塗布されない部分20x,30xを残して、塗布する。
【0059】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上に塗布された第3塗工液41を加熱する。この結果、基板11上に第3材料42が得られる。
【0060】
〔露光工程〕
次に、図5(e)に示すように、開口部46および遮光部47を有する第3着色層用露光マスク(以下、第3露光マスク)45を介して、第3材料42に対して露光光を照射して露光する。即ち、第3材料42が形成された基板11を露光する。第3露光マスク45の開口部46は、第3着色層形成領域40aのパターンに対応して配置されている。露光の結果、第3材料42のうち露光光が照射された部分が硬化する。
【0061】
現像工程及び焼成工程は、第1着色層形成工程における工程と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
これによって、図5(f)に示すように、複数の第3着色層40が基板11の複数の第3着色層形成領域40aに形成される。
【0063】
以上の製造方法により、第1から第3着色層20,30,40を有するカラーフィルタ10が得られる。
【0064】
以上で説明したように、本実施形態によれば、第1着色層形成領域20aに、当該領域20aに対応する第1塗工液21を、他の第2及び第3着色層形成領域30a,40aに当該第1塗工液21が塗布されない部分30x,40xを残して、塗布するようにしている。第2及び第3塗工液31,41についても同様に、選択的に塗布するようにしている。このように、塗工液を必要な領域に選択的に塗布して、着色層が形成されない不必要な領域に塗布する量を、図11の従来の製造方法より大幅に減らしている。これにより、各塗工液21,31,41の使用量を、従来の製造方法における使用量の例えば約1/3に削減できる。
【0065】
また、このように塗工液を選択的に塗布することで、露光光が照射されなかった第1から第3材料22,32,42の未露光部分の面積が、従来の製造方法より減少する。従って、現像工程により未露光部分が除去された後、当該除去された領域に発生する残渣の量も減少する。さらに、現像液中に溶解する第1から第3材料22,32,42の量が減るので、現像タクトを短縮できると共に、現像液の寿命が長くなる。これにより、現像装置の現像液用フィルタの詰まりも発生し難くできる。あるいは、現像液が少量でもよい。
【0066】
さらに、1枚の基板上に複数のカラーフィルタを多面付けして製造する際、本実施形態によれば、塗工液を必要な領域に選択的に塗布して、各カラーフィルタの間に塗布しないので、より効果的に塗工液の使用量を少なくできる。
【0067】
以上により、低コストでカラーフィルタを製造できる。
【0068】
(第1の実施形態の変形例)
なお、以上の説明では、第1着色層20、第2着色層30および第3着色層40の順に形成する一例について説明したが、各着色層20,30,40の形成順序は任意の順序でよい。
また、上記製造方法を4色以上のカラーフィルタの製造に適用しても良い。
【0069】
また、BM層50を、以上で説明した各着色層の形成方法と同様な方法で形成してもよい。即ち、BM層50の材料と適切な溶剤とを混合することにより得られるBM層用塗工液を、インクジェット法等を用いて必要な領域に選択的に塗布して、その後、露光及び現像等を行うことにより、BM層50を形成してもよい。これにより、BM層用塗工液の使用量を少なくできる。また、現像液が少量でよく、あるいは、現像液の寿命が長くなる。
【0070】
さらに、以上の説明では、BM層50を予め形成しておく一例について説明したが、これに限られない。即ち、BM層50は、何れかの着色層を形成した後に形成してもよく、2種類の着色層を形成した後に形成してもよく、全ての着色層20,30,40を形成した後に形成してもよい。
また、BM層50を形成しなくてもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、着色層として、第1着色層20、第2着色層30、第3着色層40および第4着色層70を有する4色のカラーフィルタ100(図6(c),図8(c)参照)の製造方法について説明する。
【0072】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、第1着色層20は赤色着色層からなっており、第2着色層30は緑色着色層からなっており、第3着色層40は青色着色層からなっている。また、第4着色層70は、黄色光を透過させる黄色着色層からなっている。
【0073】
第4着色層70を構成する第4着色層用材料(以下、第4材料)も、第1の実施形態と同様の成分で構成されている。
【0074】
カラーフィルタの製造方法
図6乃至図8を参照して、カラーフィルタ100の製造方法について説明する。
【0075】
はじめに図6(a)〜(c)を参照して、カラーフィルタ100の製造方法全体について説明する。カラーフィルタ100の製造方法は、基板11上に、BM層50を形成するBM層形成工程(図6(a)参照)と、BM層50間に各着色層20,30,40,70を形成する着色層形成工程(図6(b),(c)参照)と、を備えている。このうち着色層形成工程は、基板11上に複数の第1着色層20及び第3着色層40を形成する第1着色層形成工程(図6(b)参照)と、第1着色層形成工程の後、基板11上に複数の第2着色層30及び第4着色層70を形成する第2着色層形成工程(図6(c)参照)と、を含んでいる。なお図6(b),(c)においては、右側に、各工程において実施される具体的な処理が示されており、左側に、各工程による処理が実施された後の、基板11に形成された各層の断面図が示されている。
【0076】
以下、BM層形成工程および各着色層形成工程について詳細に説明する。
【0077】
(BM層形成工程)
まず、図6(a)及び図7(a)に示すように、基板11上に、第1着色層20用の第1着色層形成領域20a、第2着色層30用の第2着色層形成領域30a、第3着色層40用の第3着色層形成領域40aおよび第4着色層70用の第3着色層形成領域70aを残して、BM層50を形成する。第1着色層形成領域20a、第2着色層形成領域30a、第3着色層形成領域40aおよび第4着色層形成領域70aは、x方向に、この順に配置される。このように配置された第1着色層形成領域20a、第2着色層形成領域30a、第3着色層形成領域40aおよび第4着色層形成領域70aの組は、y方向に、複数配置される。
【0078】
(第1着色層形成工程)
次に、図7(b)〜(d)を参照して、第1着色層形成工程について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。第1の実施形態と同様の点については、説明を省略する。
【0079】
〔塗布工程〕
まず、図7(b)に示すように、第1の実施形態と同様の第1塗工液21及び第3塗工液41を、基板11上の所定領域に選択的に塗布する。
【0080】
具体的には、図7(b)に示すように、BM層50が形成された基板11上の第1着色層形成領域20aに、当該領域20aに対応する第1塗工液21を塗布すると共に、当該領域20aから1つ離れた領域、即ち第3着色層形成領域40aに、この1つ離れた領域40aに対応する第3塗工液41を塗布する。即ち、この塗布工程では、隣り合わない第1及び第3着色層形成領域20a,40aに塗工液を塗布するようにしている。
【0081】
ここでは、図示するように、第1塗工液21及び第3塗工液41を、y方向に沿ってストライプ状に塗布している。この時、他の第2及び第4着色層形成領域30a,70aに、第1塗工液21及び第3塗工液41が塗布されない部分30x,70xを残している。即ち、第1及び第3着色層形成領域20a,40aに加え、第2及び第4着色層形成領域30a,70aの一部にも、第1塗工液21及び第3塗工液41を塗布している。但し、複数の第2及び第4着色層形成領域30a,70aのうちの少なくとも何れかに、第1塗工液21及び第3塗工液41を塗布しないようにしてもよい。
【0082】
第1塗工液21及び第3塗工液41を基板11上に塗布する方法は、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、インクジェット法を用いるものとして説明する。インクジェット法を用いる際、第1塗工液21及び第3塗工液41を、ほぼ同時に塗布することが好ましい。ほぼ同時に塗布することで、第1着色層形成領域20aに第3塗工液41が流入すること、及び、第3着色層形成領域40aに第1塗工液21が流入することを防止し得るためである。
【0083】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上の当該領域20aおよび当該領域から1つ離れた領域70aに塗布された第1塗工液21及び第3塗工液41を加熱する。この結果、基板11上に第1材料22及び第3材料42が得られる。
【0084】
〔露光工程〕
次に、図7(c)に示すように、開口部86および遮光部87を有する第1及び第3着色層用露光マスク85を介して、第1材料22及び第3材料42に対して露光光を照射して露光する。即ち、第1材料22及び第3材料42が形成された基板11を露光する。第1及び第3着色層用露光マスク85の開口部86は、第1着色層形成領域20a及び第3着色層形成領域40aのパターンに対応するよう、x方向及びy方向に沿って並んで配置されている。露光の結果、第1材料22及び第3材料42のうち露光光が照射された部分が硬化する。
【0085】
〔現像工程〕
その後、露光された第1材料22及び第3材料42を現像液により現像し、これによって、第1材料22及び第3材料42のうち露光光が照射されなかった部分を現像液中に溶解させる。即ち、第1材料22及び第3材料42が形成された基板11を現像する。
【0086】
〔焼成工程〕
最後に、基板11上に残っている第1材料22及び第3材料42、即ち現像された第1材料22及び第3材料42を焼成する。これによって、図7(d)に示すように、複数の第1着色層20が複数の第1着色層形成領域20aに形成されると共に、複数の第3着色層40が複数の第3着色層形成領域40aに形成される。
【0087】
(第2着色層形成工程)
次に、図8(a)〜(c)を参照して、第2着色層形成工程について、第1着色層形成工程と異なる点を中心に説明する。第1着色層形成工程と同様の点については、説明を省略する。
【0088】
〔塗布工程〕
図8(a)に示すように、第1の実施形態と同様の第2塗工液31と、上述の第4材料及び溶剤を混合することにより得られる第4の感光性着色層用塗工液(以下、第4塗工液)71とを、基板11上の所定領域に選択的に塗布する。
【0089】
具体的には、図8(a)に示すように、BM層50が形成された基板11上の第2着色層形成領域30aに、当該領域30aに対応する第2塗工液31を塗布すると共に、当該領域30aから1つ離れた領域、即ち第4着色層形成領域70aに、この1つ離れた領域70aに対応する第4塗工液71を塗布する。即ち、この塗布工程では、隣り合わない第2及び第4着色層形成領域30a,70aに塗布するようにしている。
【0090】
図示するように、他の第1及び第3着色層形成領域20a,40aに、当該第2塗工液31及び第4塗工液71が塗布されない部分20x,40xを残している。
【0091】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上に塗布された第2塗工液31及び第4塗工液71を加熱する。この結果、基板11上に第2材料32及び第4材料72が得られる。
【0092】
〔露光工程〕
次に、図8(b)に示すように、開口部96および遮光部97を有する第2及び第4着色層用露光マスク95を介して、第2材料32及び第4材料72に対して露光光を照射して露光する。即ち、第2材料32及び第4材料72が形成された基板11を露光する。第2及び第4着色層用露光マスク95の開口部96は、第2着色層形成領域30a及び第4着色層形成領域70aのパターンに対応するよう、x方向及びy方向に沿って並んで配置されている。露光の結果、第2材料32及び第4材料72のうち露光光が照射された部分が硬化する。
【0093】
現像工程及び焼成工程は、第1着色層形成工程における工程と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
これによって、図8(c)に示すように、複数の第2着色層30が基板11の複数の第2着色層形成領域30aに形成されると共に、複数の第4着色層70が基板11の複数の第4着色層形成領域70aに形成され、カラーフィルタ100が得られる。
【0095】
以上で説明したように、本実施形態によれば、第1着色層形成領域20aに、当該領域20aに対応する第1塗工液21を塗布すると共に、当該領域20aから1つ離れた領域、即ち第3着色層形成領域40aに、この1つ離れた領域40aに対応する第3塗工液41を塗布するようにしている。第2及び第4塗工液31,71についても同様に、選択的に塗布するようにしている。このように、塗工液を必要な領域に選択的に塗布して、着色層が形成されない不必要な領域に塗布する量を、図11の従来の製造方法より大幅に減らしている。これにより、各塗工液21,31,41,71の使用量を、従来の製造方法における使用量の例えば約1/4に削減できる。同様に、第1の実施形態の他の効果も得られる。
【0096】
これらの効果に加え、本実施形態によれば、1回の塗布工程で2つの着色層形成領域に塗工液を塗布するようにしているので、塗布工程、プリベイク工程、露光工程、現像工程および焼成工程の一連の着色層形成工程を2回繰り返すだけで、第1から第4着色層20,30,40,70を形成できる。従来の製造方法では着色層形成工程を4回繰り返す必要があるため、本実施形態によれば製造工程を大幅に削減できる。
【0097】
また、露光工程を2回だけ行うので、露光マスクは第1及び第3着色層用露光マスク85と、第2及び第4着色層用露光マスク95のみを用いればよい。従来の製造方法では4回の露光工程に対応した4種類の露光マスクが必要であるため、本実施形態によれば露光マスクの種類を半減できる。
【0098】
以上により、低コストでカラーフィルタを製造できる。
【0099】
(第2の実施形態の変形例)
以上の説明では、最初に第1及び第3着色層20,40を形成し、次に第2及び第4着色層30,70を形成する一例について説明した。しかし、最初に第2及び第4着色層30,70を形成し、次に第1及び第3着色層20,40を形成してもよい。
【0100】
さらに、以上の説明では、第4着色層70は黄色着色層からなっている一例について説明したが、第4着色層70は白色光を透過させる白色着色層(透過率調整層)からなっていてもよい。即ち、第4着色層70は可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させるように構成されていてもよい。このような特性を有する第4着色層70をBM層50間に設けることにより、カラーフィルタ100に第1から第3の着色層20,30,40のみが設けられている場合に比べて、カラーフィルタ100全体としての透過率を向上させることができる。これによって、表示部18の発光強度を過度に高めることなく表示装置60の輝度を増加させることができる。
【0101】
さらにまた、上記製造方法を5色以上のカラーフィルタの製造に適用しても良い。5色以上のカラーフィルタにおいても、1回の塗布工程において、隣り合わない2つの着色層形成領域に塗工液を塗布するようにして、同様の効果を得ることができる。
【0102】
また、前述した第1の実施形態の変形例と同様に、BM層用塗工液を、インクジェット法等を用いて必要な領域に選択的に塗布して、その後、露光及び現像等を行うことにより、BM層50を形成してもよい。
【0103】
さらに、以上の説明では、BM層50を予め形成しておく一例について説明したが、これに限られない。即ち、BM層50は、2種類の着色層を形成した後に形成してもよく、全ての着色層を形成した後に形成してもよい。
また、BM層50を形成しなくてもよい。
【0104】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態と同様に、塗工液を選択的に塗布してカラーフィルタ10のフォトスペーサー13を形成するものである。ここでは、図2のカラーフィルタ10のフォトスペーサー13を形成する一例について説明する。
【0105】
カラーフィルタの製造方法
図9,10を参照して、カラーフィルタ10の製造方法について説明する。
【0106】
はじめに図9(a)〜(c)を参照して、カラーフィルタ10の製造方法全体について説明する。図9(a),(b)は、図2のA−A断面に対応し、図9(c)は、図2のB−B断面に対応する。カラーフィルタ10の製造方法は、基板11上に、BM層50を形成するBM層形成工程(図9(a)参照)と、BM層50間に各着色層20,30,40を形成する着色層形成工程(図9(b)参照)と、フォトスペーサー13を形成するフォトスペーサー形成工程(図9(c)参照)と、を備えている。なお図9(c)においては、右側に、フォトスペーサー形成工程において実施される具体的な処理が示されており、左側に、フォトスペーサー形成工程による処理が実施された後の、基板11に形成された各層の断面図が示されている。
【0107】
図9(c)に示すように、フォトスペーサー13は、例えば、z方向の高さhが2〜4μmであり、基板11側におけるx方向の幅wが10〜15μmであるとする。
【0108】
BM層形成工程及び着色層形成工程において実施される具体的な処理が特に限られることはない。ここでは、第1の実施形態と同様の処理が実施されるものとして、説明を省略する。ただし、着色層形成工程の後、カラーフィルタ10の各着色層20,30,40およびBM層50を覆うように、オーバーコート膜12を形成しているものとする。
BM層形成工程及び着色層形成工程をまとめて、複数の着色層20,30,40とBM層50を有する基板11を準備する工程と称する。
【0109】
以下、フォトスペーサー形成工程について、図10を参照して詳細に説明する。
【0110】
(フォトスペーサー形成工程)
〔塗布工程〕
まず、図10(b)に示すように、スペーサー用材料と溶剤とを混合することにより得られる感光性スペーサー用塗工液131を、図10(a)に示すBM層50及び着色層20,30,40が形成された基板11上の所定領域に選択的に塗布する。フォトスペーサー13を構成するスペーサー用材料は、例えば、光開始剤、ポリマーやモノマーを含むクリア剤、および界面活性剤などを含んでいる。即ち、スペーサー用材料は、例えば、前述の第1材料から顔料分散体を除いた成分を有している。
【0111】
具体的には、図10(b)に示すように、オーバーコート膜12上であって、BM層50上のスペーサー形成領域130aおよびその周辺に、スペーサー用塗工液131を塗布する。ここでは、図示するように、スペーサー用塗工液131を、x方向に沿ってストライプ状に塗布している。この時、スペーサー用塗工液131を、第1から第3着色層形成領域20a,30a,40aの一部にも塗布している。
【0112】
但し、複数の第1から第3着色層形成領域20a,30a,40aのうちの少なくとも何れかに、スペーサー用塗工液131を塗布しないようにしてもよい。また、スペーサー用塗工液131を、y方向に沿ってストライプ状に塗布してもよい。また、スペーサー用塗工液131を塗布する領域は、ストライプ状の領域に限らず、各スペーサー形成領域130aを覆う円形の領域や正方形の領域等でもよい。
【0113】
スペーサー用塗工液131を基板11上に塗布する方法は、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、インクジェット法を用いるものとして説明する。インクジェット法では、同図に示すように、複数のノズル141を有するy方向に延びたインクジェットヘッド140をx方向に走査しながら、スペーサー用塗工液131を吐出するようにすれば、同図に示すようにスペーサー用塗工液131を塗布できる。あるいは、複数のノズルを有するx方向に延びたインクジェットヘッド(図示せず)をy方向に走査しながら、間欠的にスペーサー用塗工液131を吐出するようにしても、同図に示すように塗布できる。
【0114】
〔プリベイク工程〕
次に基板11上に塗布されたスペーサー用塗工液131を加熱し、これによって、スペーサー用塗工液131中の溶剤を除去する。この結果、基板11上にスペーサー用材料132が得られる。
【0115】
〔露光工程〕
次に、図10(c)に示すように、開口部136および遮光部137を有するスペーサー用露光マスク135を介して、スペーサー用材料132に対して露光光を照射して露光する。即ち、スペーサー用材料132が形成された基板11を露光する。スペーサー用露光マスク135の開口部136は、スペーサー形成領域130aのパターンに対応するよう、配置されている。露光の結果、スペーサー用材料132のうち露光光が照射された部分が硬化する。
【0116】
〔現像工程〕
その後、露光されたスペーサー用材料132を現像液により現像し、これによって、スペーサー用材料132のうち露光光が照射されなかった部分を現像液中に溶解させる。即ち、スペーサー用材料132が形成された基板11を現像する。
【0117】
〔焼成工程〕
最後に、基板11上に残っているスペーサー用材料132、即ち現像されたスペーサー用材料132を焼成する。これによって、図10(d)に示すように、複数のフォトスペーサー13が基板11のBM層50上に形成される。
【0118】
以上で説明したように、本実施形態によれば、BM層50上のスペーサー形成領域130aおよびその周辺に、スペーサー用塗工液131を塗布するようにしている。このように、スペーサー用塗工液131を必要な領域に選択的に塗布して、フォトスペーサー13が形成されない不必要な領域に塗布する量を、図12の従来の製造方法より大幅に減らしている。これにより、スペーサー用塗工液131の使用量を、従来の製造方法における使用量より大幅に削減できる。
【0119】
同様に、第1の実施形態の他の効果も得られる。従って、低コストでカラーフィルタを製造できる。
【0120】
なお、第3の実施形態を、第2の実施形態に組み合わせても良い。
また、フォトスペーサー形成工程の処理は、複数の着色層とBM層を有する基板を備えたカラーフィルタであれば、どのような製造方法で形成されたカラーフィルタに対しても実行できる。つまり、複数の着色層とBM層を有する基板を準備する工程の後、フォトスペーサー形成工程を実行できる。
【0121】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0122】
10,100 カラーフィルタ
11 基板
12 オーバーコート膜
13 フォトスペーサー
15 TFT基板
17 液晶
18 表示部
20 第1着色層
20a 第1着色層形成領域
21 第1着色層用塗工液(第1塗工液)
22 第1着色層用材料(第1材料)
25 第1着色層用露光マスク(第1露光マスク)
26 開口部
27 遮光部
30 第2着色層
30a 第2着色層形成領域
31 第2着色層用塗工液(第2塗工液)
32 第2着色層用材料(第2材料)
35 第2着色層用露光マスク(第2露光マスク)
36 開口部
37 遮光部
40 第3着色層
40a 第3着色層形成領域
41 第3着色層用塗工液(第3塗工液)
42 第3着色層用材料(第3材料)
45 第3着色層用露光マスク(第3露光マスク)
46 開口部
47 遮光部
50 ブラックマトリクス層(BM層)
60 表示装置
70 第4着色層
70a 第4着色層形成領域
71 第4着色層用塗工液(第4塗工液)
72 第4着色層用材料(第4材料)
85 第1及び第3着色層用露光マスク
86 開口部
87 遮光部
95 第2及び第4着色層用露光マスク
96 開口部
97 遮光部
130a スペーサー形成領域
131 スペーサー用塗工液
132 スペーサー用材料
135 スペーサー用露光マスク
136 開口部
137 遮光部
140 インクジェットヘッド
141 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を準備する工程と、
前記基板上の第1着色層用の第1着色層形成領域、第2着色層用の第2着色層形成領域および第3着色層用の第3着色層形成領域の何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を、他の着色層形成領域に当該着色層用塗工液が塗布されない部分を残して、塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程において、インクジェット法により前記着色層用塗工液を塗布する
ことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程において、前記着色層用塗工液をストライプ状に塗布する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
基板を準備する工程と、
前記基板上に第1着色層用の第1着色層形成領域、第2着色層用の第2着色層形成領域、第3着色層用の第3着色層形成領域および第4着色層用の第4着色層形成領域がこの順に配置され、前記第1着色層形成領域、前記第2着色層形成領域、前記第3着色層形成領域および前記第4着色層形成領域の何れかの領域に、当該領域に対応する感光性着色層用塗工液を塗布すると共に、当該領域から1つ離れた領域に、この1つ離れた領域に対応する感光性着色層用塗工液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程において、インクジェット法により前記着色層用塗工液を塗布する
ことを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記塗布工程において、前記着色層用塗工液をストライプ状に塗布する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
複数の着色層とブラックマトリクス層を有する基板を準備する工程と、
前記基板上のスペーサー形成領域およびその周辺に、感光性スペーサー用塗工液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板を露光する露光工程と、
前記露光工程の後、前記基板を現像する現像工程と、を備える
ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記塗布工程において、インクジェット法により前記スペーサー用塗工液を塗布する
ことを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記塗布工程において、前記スペーサー用塗工液をストライプ状に塗布する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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