説明

カラーフィルターのパターン欠陥部の補修方法および補修用カラー

【課題】カラーフィルターの製造に際し、カラーフィルターの欠陥部分を完全に補修するに、大型化に対応できる、自動化された合理的、経済的なカラーフィルターの新規な補修方法に使用されるカラーフィルターのパターン欠陥部の補修用カラーの提供。
【解決方法】画素、または画素とブラックマトリックスとが形成されたカラーフィルターにおいて、上記画素またはカラーフィルターに存在する欠陥個所を特定し、該欠陥箇所を含む微小面積を研削除去し、該研削除去部分に、研削された個所と同色の着色層をカラーフィルター補修用カラーを用いて形成することを特徴とするカラーフィルターの補修方法、およびカラーフィルター補修用カラー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターのパターン欠陥部の補修方法および補修用カラーに関し、さらに詳しくはカラーフィルターのパターン欠陥個所を研削除去し、その研削部分を充填するカラーフィルターの補修方法および補修用カラーに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の情報化機器の非常な発展に伴い、液晶カラーディスプレーが情報表示部材としてパーソナルコンピューター、モバイル情報機器、テレビジョン、プロジェクター、モニター、カーナビゲーションディスプレー、携帯電話、携帯電子計算機や電子辞書の表示画面、情報掲示板、案内掲示板、機能表示板、標識板などのディスプレー、デジタルカメラやビデオカメラのモニター画面などあらゆる情報表示関連機器に多岐に亙って使用されている。それに伴い液晶カラーディスプレーに使用されるカラーフィルターが安価に提供されることが要求されて来ている。
【0003】
カラーフィルターの製造において、レッド色、グリーン色、ブルー色(以下、それぞれR、G、Bと称する場合がある。)3原色画素パターンの形成は主として「リソグラフ法」と称される製造方法によっている。レッド色の感光性カラーレジストをスピンコーターで塗布し、次いで予め作成されたレッド色画素の位置や大きさのパターンフォトマスクを用いて紫外線照射して硬化させ、未露光部分を現像処理で除去してレッド色画素のパターンを形成し、次いで同様にしてグリーン色、ブルー色と行い、R、G、B3原色のモザイク配列、ストライプ配列あるいはトライアングル配列などの3原色画素配列パターンを形成している。イエロー色、マゼンタ色、シアン色(以下、それぞれY、M、Cと称する場合がある。)3原色の画素群の形成も同様である。ブラックマトリックス(以下、BMと称する場合がある。)においても蒸着法によるクロム膜の形成のほか、同様に黒色レジストを使用してパターンが形成される。リソグラフ法のほかにも、電着法、インクジェット法など種々の3原色画素カラーフィルターの製造方法がある。
【0004】
カラーフィルターの製造に当っては、全てのカラーフィルターにおいて、全面に欠陥のないカラーフィルターを製造することはきわめて困難である。製造において、R、G、B3原色画素面あるいはBM面上には数μm以上のピンホールによる色抜けや色むらの発生や、さらにはクリーンルームで製造してもごみや埃などの微小な異物などの付着が避けられず、それらの欠陥により不良品となって、カラーフィルター製品の歩留まりを下げる一つの要因になっている。
【0005】
しかしながら、上記のような不良品とされる筈のカラーフィルターでも欠陥部分を完全に補修することができれば、画質上問題がなくなり良品とすることができる。従来、小型のカラーフィルターの場合は目視検査で欠陥個所を発見し、手作業で着色補修されていたが、人手に頼るため補修に手間がかかり、また、経済性から進展している大型化したカラーフィルターに対しては対応できないという問題があった。
【特許文献1】特開平6−313878号公報
【特許文献2】特開平6−347416号公報
【特許文献3】特開平6−109914号公報
【特許文献4】特開平6−347631号公報
【特許文献5】特開平6−347636号公報
【特許文献6】特開平7−270609号公報
【特許文献7】特開平7−318724号公報
【特許文献8】特開平10−282322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、カラーフィルターのパターン欠陥部分を完全に補修するのに、合理的、経済的な、また大型化に対応できるカラーフィルター補修方法、および該方法に使用されるカラーフィルター補修用カラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の構成の本発明によって達成される。
1.画素、または画素とブラックマトリックスとが形成されたカラーフィルターにおいて、上記画素またはカラーフィルターに存在する欠陥個所を特定し、該欠陥箇所を含む微小面積を研削除去し、該研削除去部分に、研削された個所と同色の着色層をカラーフィルター補修用カラーを用いて形成することを特徴とするカラーフィルターの補修方法。
2.画素が、レッド色、グリーン色およびブルー色の3原色画素、またはイエロー色、マゼンタ色およびシアン色の3原色画素である前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0008】
3.カラーフィルター補修用カラーが、タンポパッディングインク、スクリーンインク、ディスペンサー注入インク、液状インクジェットインクおよび静電方式液体インクからなる液状カラー、および熱転写リボンインク、静電方式粉体インクおよびソリッドインクジェットインクからなる固体状カラーからなる群から選ばれたカラーである前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
4.カラーフィルター補修用カラーが、顔料、顔料固着剤、および液状媒体を含む前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0009】
5.カラーフィルター補修用カラーが、エポキシ基、チオール基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基およびアクリロイル基からなる群から選ばれた反応性有機官能基を有するシランカップリング剤を含む前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
6.カラーフィルター補修用カラーが、有機溶剤系カラー、水性カラー、付加重合あるいは付加架橋性カラーあるいは熱溶融性固体状カラーである前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0010】
7.カラーフィルター補修用カラーの顔料固着剤が、樹脂皮膜、溶液、エマルジョンあるいは懸濁液の形で使用された皮膜形成性重合体であり、また、該皮膜形成性重合体が反応基を有してもよいランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体である前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
8.カラーフィルター補修用カラーが、顔料、顔料分散剤および付加重合あるいは付加架橋性を有する不飽和二重結合あるいはエポキシ基を有する単量体、オリゴマーおよび/または重合体、および液状媒体からなる前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0011】
9.カラーフィルター補修用カラーがレッド色、グリーン色およびブルー色であるとき、レッド色に含まれる着色剤が、赤色顔料あるいは赤色顔料と黄色顔料との顔料組成物であり、グリーン色に含まれる着色剤が、緑色顔料あるいは緑色顔料と黄色顔料との顔料組成物であり、ブルー色に含まれる着色剤が、青色顔料あるいは青色顔料と紫色顔料との顔料組成物である前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
10.カラーフィルター補修用カラーがイエロー色、マゼンタ色およびシアン色であるとき、イエロー色に含まれる着色剤が、黄色顔料、黄色顔料と青色顔料との顔料組成物あるいは黄色顔料と緑色顔料との顔料組成物であり、マゼンタ色に含まれる着色剤が、赤色顔料あるいは赤色顔料と紫色顔料との顔料組成物であり、シアン色に含まれる着色剤が、青色顔料あるいは青色顔料と黄色顔料との顔料組成物である前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0012】
11.赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177、242、254であり、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン7、36であり、青色顔料がC.I.ピグメントブルー15:6、60であり、紫色顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、185であり、前記赤色顔料と黄色顔料との、緑色顔料と黄色顔料との、青色顔料と紫色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料である前記9に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0013】
12.黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー62、74、93、155、185であり、赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド122、146、C.I.ピグメントバイオレット19であり、青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:3であり、前記黄色顔料と青色顔料との、黄色顔料と緑色顔料との、赤色顔料と紫色顔料との、青色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料である前記10に記載のカラーフィルターの補修方法。
【0014】
13.カラーフィルター補修用カラーが黒色であるとき、黒色カラーに含まれる着色剤が、C.I.ピグメントブラック6、7、11、26からなる群から選ばれた少なくとも1種である前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
14.カラーフィルター補修用カラー中に分散された顔料の平均粒子径が20〜200nmである前記1に記載のカラーフィルターの補修方法。
15.前記1〜14の方法に使用するカラーフィルター補修用カラー。
16.前記1〜14に記載の何れかの方法によって補修されて得られたカラーフィルター。
【発明の効果】
【0015】
カラーフィルターの製造は、3原色画素パターンの形成を主として「リソグラフ法」と称される製造方法によっている。製造に当っては、ピンホールによる色抜けや色むらの発生や、微小の異物などの付着が避けられず、それらの欠陥により不良品となって、カラーフィルター製品の歩留まりを下げる要因になっていた。従来、目視検査で発見し、手作業で着色補修されていたが、人手に頼るため補修に手間がかかり、また、カラーフィルターの大型化に対して対応できなかった。また、補修に使用する補修用カラーは画素あるいはBMを形成する塗膜と同等の耐久性、光学特性が要求されるが、本発明で述べたカラーにより目的が達成される。カラーフィルターの欠陥部分を完全に補修するに、大型化に対応できる、自動化された合理的、経済的なカラーフィルターの新規な補修方法および該方法に使用する補修用カラー、カラーフィルターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明を詳細に説明する。本発明のカラーフィルターの欠陥個所を補修する方法の実施態様を述べる。R、G、B画素群あるいはY、M、C画素群が塗布された、あるいはさらにBMが形成されているカラーフィルター基板上のR、G、B画素塗布面あるいはY、M、C画素塗布面あるいはBMの塗布面の欠陥箇所を特定し、欠陥箇所を含む微小面積のカラー層を研削除去(アブレーション)し、そこへカラーフィルター補修用カラーの所定量を注入、塗布あるいは融着、固化させるカラーフィルター補修方法である。補修個所の微小突起部分が形成された場合には、必要に応じて液状あるいは溶融状態の場合にはスキーズして取り除く方法、あるいは硬化させた後研磨して除去する方法も実施される。
【0017】
塗布面の欠陥箇所を特定する方法は、突起についてはカラーフィルターを載置するXYステージとこのカラーフィルターに垂直に入射する光ビームを投射して検知するX軸方向、およびこれと直交するY軸方向に駆動させて、2次元的に走査し、反射散乱光を受光してカラーフィルター表面の微小突起を検出する。ピンホールや色の薄い個所の特定も同様にカラーフィルターを載置するXYステージを駆動させて、表面の反射光あるいは裏面からの透過光で光学的に検知することができる。
【0018】
カラーフィルターのパターン上の検出されたそれらの欠陥は、夫々原因、性状、大きさなどが異なっていることから、自動化して検出された欠陥部に補修用カラーを一律に所定量を注入することなどでは補修することは困難である。そこでカラーフィルター基板上の塗布面の特定された欠陥箇所を含む微小領域にレーザーを照射して、微小面積の塗布膜をアブレーションし、アブレーションした空隙部に一定量の調色されたカラーフィルター補修用カラーを注入、塗布あるいは溶融着し、硬化させる方法で解決できることを見いだした。
【0019】
アブレーションする微小面積は、カラーフィルターの1画素の大きさと関係するが、一辺10〜150μm、好ましくは20〜70μmの正方形、長方形、円形あるいは楕円形が好ましい。カラーフィルターの欠陥箇所を囲んで一定面積をアブレーションするので、その欠陥面積を充填するに足る一定量の調色されたカラーフィルター補修用カラーを注入、塗布あるいは融着させ、カラーの顔料固着剤の性質に合わせて適切な硬化方法で硬化させられる。膜厚はほぼ1〜5μm、好ましくはほぼ2〜4μmであり、必要に応じて周囲の厚みに合わせて研磨し、調整されることもある。補修用カラーとしては欠陥の存在する画素と同一の色のカラーが使用されるほか、遮光する目的で黒色のカラーも使用される。
【0020】
上記のカラーフィルターの補修に使用されるカラーフィルター補修用カラーとしては、液状カラーとしてタンポパッディングインク、スクリーンインク、ディスペンサー注入インク、液状インクジェットインクあるいは静電方式液体インクなど、および溶融する固体状カラーとして熱転写リボンインク、静電方式粉体インクあるいはソリッドインクジェットインクなどが使用できる。
【0021】
本発明で用いられるカラーフィルター補修用カラーに使用される材料について説明する。
R、G、B色画素用、Y、M、C色画素用、およびBM用の補修カラー中に含有される色素について説明する。従来カラーフィルターのR、G、B色画素およびY、M、C色画素用色素として使用されてきた有機顔料、分散性染料、無機顔料など(以下、「顔料」と総称す。)が同様に使用される。例えば、顔料では、不溶性アゾ系、溶性アゾ系、高分子量アゾ系などのアゾ系顔料、キナクリドンレッド系、キナクリドンマゼンタ系などのキナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニンブルー系、フタロシアニングリーン系などのフタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジンバイオレットなどのジオキサジン系顔料、キノフタロンイエロー顔料、ニッケルアゾエローなどの錯体顔料など、従来公知の顔料が使用できる。BMを形成する顔料としては、ペロブスカイト系などの複合酸化物系黒色顔料、酸化鉄ブラック顔料、酸化チタン系黒色顔料などの無機顔料やカーボンブラック顔料、アゾメチンアゾ系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料など従来公知の黒色顔料が挙げられる。具体的な例としては、C.I.ピグメントブラック6、7、11、26などが挙げられる。染料についても従来カラーフィルターに使用されてきた公知の染料が使用される。
【0022】
R色画素の補修用カラーに使用されるレッド顔料としては、レッド色光源の波長に合う赤色顔料あるいは吸収波長を調整した赤色顔料と黄色顔料との顔料組成物が使用され、同様にG色画素用としてはグリーン色光源の波長に合う緑色顔料あるいは吸収波長を調整した緑色顔料と黄色顔料との顔料組成物が、B色画素用としてはブルー色光源の波長に合う青色顔料あるいは吸収波長を調整した青色顔料と紫色顔料との顔料組成物が使用され、また、各色画素あるいはBMの補修用の遮光性カラー用として黒色顔料も使用される。
【0023】
上記したR、G、B色を形成する顔料としては多くの顔料が使用されるが、代表的な顔料の具体例としては、赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、242、254などであり、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7、36などであり、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:6、60などであり、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23などであり、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、185などであり、さらに上記した赤色顔料と黄色顔料との、緑色顔料と黄色顔料との、あるいは青色顔料と紫色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料などである。
【0024】
また、Y、M、C色を形成する顔料については、Y色画素が黄色顔料、黄色顔料と青色顔料との組成物、あるいは黄色顔料と緑色顔料との顔料組成物からなるイエロー色顔料で、M色画素が赤色顔料、あるいは赤色顔料と紫色顔料との顔料組成物からなるマゼンタ色顔料で、C色の画素が青色顔料、あるいは青色顔料と黄色顔料との顔料組成物からなるシアン色顔料で形成される。この用途に使用されている公知の顔料の具体的な例としては、黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー62、74、93、155、185などであり、赤色顔料がC.I.ピグメントレッド122、146、C.I.ピグメントバイオレット19などであり、青色顔料がC.I.ピグメントブルー15:3などであり、さらに上記した黄色顔料と青色顔料との、黄色顔料と緑色顔料との、赤色顔料と紫色顔料とのあるいは青色顔料と黄色顔料の共沈、固溶体あるいは混晶顔料などである。
【0025】
カラーフィルター補修用カラーとしては有機溶媒系カラー、水性カラーのほか、付加重合あるいは付加架橋性カラーとして、熱重合型、赤外線レーザー重合型、紫外線重合型、カチオン重合型、電子線重合型などの加熱あるいはエネルギー線硬化性カラーなどが挙げられる。それらの補修用カラーは、顔料、顔料誘導体系顔料分散助剤や高分子顔料分散剤からなる顔料分散剤および顔料固着剤および必要に応じてさらに分散媒体として、有機溶剤、水性媒体などを含む夫々のインクである。顔料分散性と顔料固着性などのような複数の機能を1成分で有する成分を使用する場合には、その成分で複数の機能を持たせることができる。顔料の使用量は、全インク組成物に対して2〜30質量%、好ましくは5〜25質量%である。この範囲内にしておけば、彩度、発色濃度を満足し、また、顔料インクの粘度および保存安定性を満足させることができる。
【0026】
顔料固着剤としては従来公知の顔料固着剤で、溶液、エマルジョン液、懸濁液あるいは微分散液の形で使用された皮膜形成性重合体であり、また、該皮膜形成性重合体が反応基を有するあるいは有しないランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体、必要に応じてさらに架橋剤を含有する顔料固着剤である。高分子顔料分散剤が分子中に親顔料性基および/または親顔料性分子鎖、および親媒性基および/または親媒性分子鎖を有する親媒性ランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体である。
【0027】
疎水性基を有する単量体は有機溶剤性カラーでは親媒性基として作用し、水性カラーでは親顔料性基として作用する。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族系ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の(炭素数1〜30)アルキルエステル、シクロアルキル(炭素数4〜20)、アルキルシクロアルキル(炭素数6〜20)エステル、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられ、疎水性分子鎖を有するマクロモノマーとしては、上記で示した疎水性基を有する単量体の単独あるいは共重合体鎖にα,β−エチレン性不飽和基を結合したマクロモノマーが挙げられる。
【0028】
架橋剤と反応する基を有する単量体としては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、マレイン酸など、水酸基を有する2−ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなど、メチロール基を有するN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなど、シラン基を有するγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど、イソシアネート基を有するイソシアネートエチルメタクリレート、2−(p−イソプロペニルフェニル)プロピル(−2)イソシアネートなどが挙げられる。
【0029】
架橋剤と反応する基を有する分子鎖を有するマクロモノマーとしては、上記で示した反応性基を有する単量体の単独あるいは共重合体鎖あるいは反応性基を有する単量体と上記の疎水性基を有する単量体との共重合体鎖にα,β−エチレン性不飽和基を結合したマクロモノマーなどが挙げられる。
【0030】
架橋剤としては、エポキシ基を有する、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなど、メチロール基を有する、メトキシメチロール化メラミン、ブトキシメチロールメラミンなど、カルボジイミド基を有する、ポリヘキサメチレンカルボジイミドジイソシアネートとビス(モノメトキシポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビットモノラウレートとのウレタン反応生成物である多分岐型ポリカルボジイミドなど、イソシアネート基を有するトリメチロールプロパン−トリス(トリレンジイソシアネートアダクト)、トリメチロールプロパン−トリス(ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト)のフェノールマスクッドイソシアネートなどが挙げられる。
【0031】
さらに、補修するカラーフィルターの画素パターンがガラス基板に塗布されているので、補修液に反応性有機官能基を有するシランカップリング剤を添加することによって補修液のガラス基板への密着性が向上し、優れた塗膜性能をもたらすことができる。これらの化合物としては、従来公知のシランカップリング剤が使用される。反応性有機官能基として、例えば、エポキシ基、チオール基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基、アクリロイル基などを有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【実施例】
【0032】
次に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、文中の部および%は特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
(a)黒色顔料タンポパッディングインク用主剤の調製
顔料分散用重合体溶液として、スチレン−メタクリル酸エチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−メタクリル酸共重合体(質量比;20:30:30:15:5、重量平均分子量:約3万)の40%メチルイソブチルケトン−酢酸エチル(MIBK−EA=3:2)混合溶媒溶液を準備した。以下、「重合体−1溶液」と称する。
【0033】
カラーインデックス(C.I.)ピグメントブラック7を28部、重合体−1溶液を14部およびMIBK−EA混合溶媒58部を配合し、ディゾルバーで2時間攪拌して、顔料の塊がなくなったことを確認後、横型媒体分散機「ダイノミル1.4リットルECM型」(シンマルエンタープライゼス社製、ジルコニア製ビーズ 径0.65mm)を使用し、周速14m/sで分散処理を行った。400メッシュステンレススクリーンで濾過を行なった。得られた黒色顔料分散液を粒度測定機器「ModelN−4」(コールター社製)で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径はほぼ100nmであった。
【0034】
(b)黒色顔料タンポパッディングインクの調製
上記(a)で得られた黒色顔料分散液25部、重合体−1溶液を42部、メトキシメチロールメラミン80%メタノール溶液5.3部およびMIBK−EA混合溶媒23.5部を十分混合し、ポアサイズ5μmのメンブランフィルターで濾過を行なった。使用前に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.2部を添加し、充分に混合し、黒色顔料タンポパッディングインクを調製した。
【0035】
(c)タンポパッディングインクによるカラーフィルター欠陥部の補修
ピンホールによる白抜け、ムラ、異物などの欠陥部をもつカラーフィルターを水平に設置し、欠陥部検出器、欠陥部アブレーション用レーザー発信器および補修用タンポパッディング装置を装着したXYステージを駆動させて、欠陥部の位置を検出した。欠陥画素部を囲む領域を厚さ7.5μmのポリイミドフィルムで被覆した。次いでカラーフィルターの欠陥部を囲む1辺100μmの平方形の領域の着色層およびポリイミドフィルムを同時にアブレーションした。ポリイミドフィルムの孔はスクリーンとして使用する。形成した凹部分に上記(b)で得られた黒色パッディングインクを含浸させたタンポを押し付け、インキをパッドした。カラーフィルターの上のポリイミドフィルムスクリーンを取り除き、次いで着色補修した部分に160℃の熱風を3分間吹き付けて乾燥、硬化し、ガラス面に強固に固着させた。このようにして得られたカラーフィルターは欠陥が解消し、良品カラーフィルターとして使用可能となった。
【0036】
実施例2
(a)レッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料分散液の調製
補修されるカラーフィルターの画素の色調に合わせて夫々、実施例1(a)C.I.ピグメントブラック7に替えて表1のレッド色顔料組成物、グリーン色顔料組成物あるいはブルー色顔料組成物を用いて、重合体−1溶液を14部およびMIBK−EA混合溶媒58部を配合し、ディゾルバーで攪拌し、横型媒体分散機を使用し、分散処理を行った。400メッシュステンレススクリーンで濾過を行なった。夫々レッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料分散液を調製した。この各色の顔料分散液を粒度測定機器N−4で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は80〜110nmであった。
【0037】

【0038】
なお、上記の表でPRはカラーインデックス(C.I.)ピグメントレッド、PYはC.I.ピグメントイエロー、PGはC.I.ピグメントグリーン、PBはC.I.ピグメントブルー、PVはC.I.ピグメントバイオレットを略称する。
【0039】
(b)レッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料タンポパッディングインクの調製
実施例1(b)と同様にして、上記の(a)で得られたレッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料分散液25部を重合体−1溶液42部、メトキシメチロールメラミン溶液5.3部およびMIBK−EA混合溶媒23.5部を十分混合し、メンブランフィルターで濾過し、使用前に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.2部を添加し、充分に混合し、レッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料タンポパッディングインクを調製した。
【0040】
(c)タンポパッディングインクによるカラーフィルター欠陥部の補修
実施例1(c)と同様にして、欠陥部をもつカラーフィルターを水平に設置し、XYステージを駆動させて、欠陥部の位置を検出した。欠陥画素部を囲む領域をポリイミドフィルムで被覆し、欠陥部を囲む1辺100μmの平方形の領域の着色層およびポリイミドフィルムを同時にアブレーションした。形成した凹部分にカラーフィルターの画素の色に合わせて、上記(b)で得られたレッド色、グリーン色あるいはブルー色タンポパッディングインクを含浸させたタンポを押し付け、インキをパッドした。カラーフィルターの上のポリイミドフィルムスクリーンを取り除き、ついで着色補修した部分に160℃の熱風を3分間吹き付けて乾燥、硬化し、ガラス面に強固に固着させた。このようにして得られたカラーフィルターは欠陥が解消し、良品カラーフィルターとして使用可能となった。
【0041】
実施例3
(a)レッド色、グリーン色、ブルー色あるいは黒色ディスペンサー注入インクの調製
実施例1(a)で得られた黒色顔料分散液あるいは実施例2(a)で得られたレッド色、グリーン色あるいはブルー色顔料分散液を夫々25部を重合体−1溶液14部、トリメチロールプロパントリメタクリレート8部、トリエチレングリコールジメタクリレート6部、MIBK−EA混合溶媒42.1部およびアゾビスイソブチロニトリル0.7部を十分混合し、メンブランフィルターで濾過し、使用前にγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン4.2部を添加し、充分に混合し、レッド色、グリーン色、ブルー色あるいは黒色のディスペンサー注入インクを調製した。
【0042】
(b)ディスペンサー注入インクによるカラーフィルター欠陥部の補修
実施例1(b)と同様にして、欠陥部をもつカラーフィルターを水平に設置し、XYステージを駆動させて、欠陥部の位置を検出した。欠陥部を囲む1辺100μmの平方形の領域の着色層をアブレーションした。形成した凹部分にマイクロシリンジを取り付けたディスペンサーを用い、カラーフィルターの補修しようとする欠陥部の画素の色に合わせて上記(a)で得られたレッド色、グリーン色、ブルー色あるいは黒色のインクを50ピコL注入し、ついで着色補修した部分に160℃の熱風を3分間吹き付けて乾燥、熱重合硬化させ、ガラス面に強固に固着させた。このようにして得られたカラーフィルターは欠陥が解消し、良品カラーフィルターとして使用可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
カラーフィルターの製造は3原色画素パターンの形成を主として「リソグラフ法」と称される製造方法によっている。製造に当っては、ピンホールによる色抜けや色むらの発生や、微小の異物などの付着が避けられず、それらの欠陥により不良品となって、カラーフィルター製品の歩留まりを下げる要因になっていた。従来、目視検査で発見し、手作業で着色補修されていたが、人手に頼るため補修に手間がかかり、またカラーフィルターの大型化に対して対応できなかった。また、補修に使用する補修用カラーは画素あるいはBMを形成する塗膜と同等の耐久性、光学特性が要求されるが、本発明で述べたカラーにより目的が達成される。カラーフィルターの欠陥部分を完全に補修するに、大型化に対応できる、自動化された合理的、経済的なカラーフィルターの新規な補修方法に使用されるカラーフィルターのパターン欠陥部の補修用カラー、補修方法およびカラーフィルターを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素、または画素とブラックマトリックスとが形成されたカラーフィルターにおいて、上記画素またはカラーフィルターに存在する欠陥個所を特定し、該欠陥箇所を含む微小面積を研削除去し、該研削除去部分に、研削された個所と同色の着色層をカラーフィルター補修用カラーを用いて形成することを特徴とするカラーフィルターの補修方法。
【請求項2】
画素が、レッド色、グリーン色およびブルー色の3原色画素、またはイエロー色、マゼンタ色およびシアン色の3原色画素である請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項3】
カラーフィルター補修用カラーが、タンポパッディングインク、スクリーンインク、ディスペンサー注入インク、液状インクジェットインクおよび静電方式液体インクからなる液状カラー、および熱転写リボンインク、静電方式粉体インクおよびソリッドインクジェットインクからなる固体状カラーからなる群から選ばれたカラーである請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項4】
カラーフィルター補修用カラーが、顔料、顔料固着剤、および液状媒体を含む請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項5】
カラーフィルター補修用カラーが、エポキシ基、チオール基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基およびアクリロイル基からなる群から選ばれた反応性有機官能基を有するシランカップリング剤を含む請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項6】
カラーフィルター補修用カラーが、有機溶剤系カラー、水性カラー、付加重合あるいは付加架橋性カラーあるいは熱溶融性固体状カラーである請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項7】
カラーフィルター補修用カラーの顔料固着剤が、樹脂皮膜、溶液、エマルジョンあるいは懸濁液の形で使用された皮膜形成性重合体であり、また、該皮膜形成性重合体が反応基を有してもよいランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体である請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項8】
カラーフィルター補修用カラーが、顔料、顔料分散剤および付加重合あるいは付加架橋性を有する不飽和二重結合あるいはエポキシ基を有する単量体、オリゴマーおよび/または重合体、および液状媒体からなる請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項9】
カラーフィルター補修用カラーがレッド色、グリーン色およびブルー色であるとき、レッド色に含まれる着色剤が、赤色顔料あるいは赤色顔料と黄色顔料との顔料組成物であり、グリーン色に含まれる着色剤が、緑色顔料あるいは緑色顔料と黄色顔料との顔料組成物であり、ブルー色に含まれる着色剤が、青色顔料あるいは青色顔料と紫色顔料との顔料組成物である請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項10】
カラーフィルター補修用カラーがイエロー色、マゼンタ色およびシアン色であるとき、イエロー色に含まれる着色剤が、黄色顔料、黄色顔料と青色顔料との顔料組成物あるいは黄色顔料と緑色顔料との顔料組成物であり、マゼンタ色に含まれる着色剤が、赤色顔料あるいは赤色顔料と紫色顔料との顔料組成物であり、シアン色に含まれる着色剤が、青色顔料あるいは青色顔料と黄色顔料との顔料組成物である請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項11】
赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177、242、254であり、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン7、36であり、青色顔料がC.I.ピグメントブルー15:6、60であり、紫色顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、185であり、前記赤色顔料と黄色顔料との、緑色顔料と黄色顔料との、青色顔料と紫色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料である請求項9に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項12】
黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー62、74、93、155、185であり、赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド122、146、C.I.ピグメントバイオレット19であり、青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:3であり、前記黄色顔料と青色顔料との、黄色顔料と緑色顔料との、赤色顔料と紫色顔料との、青色顔料と黄色顔料との共沈顔料、固溶体顔料あるいは混晶顔料である請求項10に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項13】
カラーフィルター補修用カラーが黒色であるとき、黒色カラーに含まれる着色剤が、C.I.ピグメントブラック6、7、11、26からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項14】
カラーフィルター補修用カラー中に分散された顔料の平均粒子径が20〜200nmである請求項1に記載のカラーフィルターの補修方法。
【請求項15】
請求項1〜14の方法に使用するカラーフィルター補修用カラー。
【請求項16】
請求項1〜14に記載の何れかの方法によって補修されて得られたカラーフィルター。

【公開番号】特開2006−18252(P2006−18252A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163944(P2005−163944)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】