説明

カラーフィルタ基板、液晶表示装置および電子機器、カラーフィルタ基板の製造方法および液晶表示装置の製造方法

【課題】着色層領域を区画する第1突起部を液晶駆動制御用の突起部として使用し、着色層領域内に形成された液晶駆動制御用の第2突起部との相対厚さを等しくすることにより、基板間に挟持されてなる液晶の駆動を適正に制御して、均一なカラー特性を備えた、カラーフィルタ基板、液晶表示装置および電子機器、カラーフィルタ基板の製造方法および液晶表示装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】突起部15(15a,15b)の距離T2と突起部16の距離T1とが等しいため、突起部15aとスリット23aとの間で倒れる液晶分子101aの倒れ方と、突起部16とスリット23bとの間で倒れる液晶分子101cとの倒れ方を同じに制御することができる。また、突起部16とスリット23aとの間で倒れる液晶分子101bの倒れ方と、突起部15bとスリット23bとの間で倒れる液晶分子101dとの倒れ方を同じに制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動方向制御用の突起部を備えたカラーフィルタ基板、このカラーフィルタ基板を備えた液晶表示装置および電子機器、カラーフィルタ基板の製造方法および液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配向制御用の突起部を備えたカラーフィルタ基板として、比誘電率11以下、かつ、導電率3×10-12S/cm以上である電気特性を有する該突起部(突起)が着色層を覆う共通透明電極上に形成されたカラーフィルタが知られている(特許文献1)。該突起部が設けられる着色層は、所望の着色材を含有した感光性樹脂を使用した顔料分散法、さらには、印刷法、電着法、転写法等により形成することができるとしている。
【0003】
また、該突起部は、樹脂成分中に導電性粉体を含有したネガ型感光性樹脂やポジ型感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができるとしている。
【0004】
このようなカラーフィルタを備えたMVA(Multi-domain Vertical Alignment)モードの液晶ディスプレーのカラーフィルタを構成する突起は、近傍の液晶分子にプレチルト角度を与える作用、および、電気力線を所望の方向に歪ませる作用をなすことにより、アレイ基板(素子基板)の透明画素電極におけるスリットと協働して液晶層の液晶分子の駆動方向を複数方向に制御することを可能とするものとしている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−35905号公報 頁4,5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今、MVAモードの液晶ディスプレー(液晶表示装置)は、カラーTV用に採用されており、画面サイズが益々大型化してきている。したがって、カラーTVを観る方向が広範囲になるため、どの方向から観ても綺麗に観えるカラーTVが必要となってきている。
【0007】
この液晶ディスプレーに駆動電圧を印加した場合、透明基板の着色層を覆う共通透明電極上に形成された配向制御用の突起部と、アレイ基板(素子基板)に形成されているスリットとの協働により、液晶層の液晶分子の駆動方向を複数方向に制御しているが、着色層の周囲には配向制御用の突起部が形成されていないため、着色層の周囲の液晶層の液晶分子の駆動方向を制御できない部分が発生し、均一なカラー特性が得られなくなるという課題を有している。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、着色層領域を区画する隔壁部(第1隔壁部)を液晶駆動制御用の突起部として使用し、着色層領域内に形成された液晶駆動制御用の突起部(第2隔壁部)とのカラーフィルタ基板の表面からの相対距離を等しくすることにより、基板間に挟持されてなる液晶の駆動を適正に制御して、均一なカラー特性を備えた、カラーフィルタ基板、液晶表示装置および電子機器、カラーフィルタ基板の製造方法および液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はカラーフィルタ基板であって、カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画する第1突起部と、複数の着色層領域に形成された複数種の着色層と、複数種の着色層のそれぞれを複数の領域に分割する第2突起部とを備え、第1突起部及び第2突起部が複数種の着色層の表面よりも突出するように形成されてなることを要旨とする。
【0010】
これによれば、第1突起部及び第2突起部が複数種の着色層の表面よりも突出するように形成されるため、着色層領域は第1突起部及び第2突起部とによって複数の領域に分割され、液晶の分子の駆動方向が制御されて均一なカラー特性を備えた液晶表示装置を提供することができる。
【0011】
本発明のカラーフィルタ基板は、第1突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、第2突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいことを要旨とする。
【0012】
これによれば、第1突起部と第2突起部と開口部とを境に液晶分子の倒れる方向が異なる。第1突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、第2突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいため、第1突起部と開口部との間で倒れる液晶分子の倒れ方と、第2突起部と開口部との間で倒れる液晶分子の倒れ方を同じに制御することができる。このため、均一なカラー特性を備え、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
本発明のカラーフィルタ基板は、第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、第2隔壁部は着色層の上に形成されてなることを要旨とする。
【0014】
これによれば、着色層の上に形成された第2隔壁部を含んで形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0015】
本発明のカラーフィルタ基板は、第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、第2隔壁部はオーバーコート層の上に形成されてなることを要旨とする。
【0016】
これによれば、オーバーコート層の上に形成された第2隔壁部を含んで形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0017】
本発明のカラーフィルタ基板は、第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、第2隔壁部は共通電極の上に形成されてなることを要旨とする。
【0018】
これによれば、共通電極の上に形成された第2隔壁部を含んで形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0019】
本発明の液晶表示装置は、カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画する第1突起部を有し、複数の着色層領域に形成された複数種の着色層のそれぞれを複数の領域に分割する第2突起部をさらに有し、第1突起部及び第2突起部が複数種の着色層の表面よりも突出するように形成されてなるカラーフィルタ基板と、カラーフィルタ基板の複数の着色層領域に対応する複数の画素電極を有する対向基板と、カラーフィルタ基板と対向基板とによって挟持された液晶とを備えていることを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0021】
本発明の液晶表示装置は、複数の画素電極には開口部が設けられ、開口部は、第1突起部と第2突起部とに平行な複数の辺で構成されていることを要旨とする。
【0022】
これによれば、第1突起部を利用することで液晶分子の倒れる方向を、第2突起部が平面的に傾斜している方向と異なる方向に制御することができるため、第2突起部が傾斜している方向のコントラストを向上することができる。
【0023】
本発明の電子機器は、本発明の液晶表示装置を搭載したことを要旨とする。
【0024】
これによれば、高いコストパフォーマンスを有すると共に、高い表示品質を有するMVA方式の液晶表示装置が搭載されているので、優れた表示品質とコスト競争力を有する電子機器を提供することができる。
【0025】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画するように第1隔壁部を形成する工程と、複数の着色層領域に形成された複数種の着色層を形成する工程と、を有し、複数種の着色層はそれぞれを複数の領域に分割する第2隔壁部を少なくとも備え、第1隔壁部を含む第1突起部を、複数種の着色層の表面よりも突出するように形成し、第2隔壁部を含む第2突起部を複数種の着色層の表面よりも突出するように形成され、第1突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、第2突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいことを要旨とする。
【0026】
この方法によれば、第1突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、第2突起部の最も厚さがある部位とカラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいため、第1突起部と開口部との間で倒れる液晶分子の倒れ方と、第2突起部と開口部との間で倒れる液晶分子の倒れ方を同じに制御することができる。このため、第2突起部が平面的に傾斜している方向(略45度)のコントラストを向上することができる。
【0027】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、第2隔壁部は複数種の着色層の上に形成してなることを要旨とする。
【0028】
この方法によれば、複数種の着色層の上に形成された第2隔壁部によって形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0029】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、第2隔壁部はオーバーコート層の上に形成してなることを要旨とする。
【0030】
この方法によれば、オーバーコート層の上に形成された第2隔壁部によって形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0031】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、第2隔壁部は共通電極の上に形成してなることを要旨とする。
【0032】
この方法によれば、共通電極の上に形成された第2隔壁部によって形成された第2突起部により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域では、異なる視角依存性を有することになるため、均一なカラー特性と広視野角な視角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0033】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、複数種の着色層を有するカラーフィルタ基板と、複数種の着色層に対応する複数の画素電極を有する対向基板と、カラーフィルタ基板と対向基板とによって挟持された液晶と、カラーフィルタ基板と対向基板の液晶に接する表面に、表面に対して液晶の分子を略垂直方向に配向させる配向膜とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、カラーフィルタ基板が本発明のカラーフィルタ基板の製造方法を用いて製造されてなることを要旨とする。
【0034】
この方法によれば、液晶駆動方向制御用の突起部の機能を有するように第1突起部と第2突起部とを形成することにより、製造工程を簡略化することができ、且つ広視野角な視角特性を有するMVA方式の液晶表示装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施例は、垂直配向用の配向膜が設けられるカラーフィルタ基板、このカラーフィルタ基板を用いたMVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式の液晶表示装置を例に説明する。尚、説明に用いる図は、構成要素を明確にするために適宜拡大または縮小して表示した。
【実施例1】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
【0037】
<カラーフィルタ基板>
図1は、カラーフィルタ基板の構造を示す概略平面図である。図1に示すように、本実施例のカラーフィルタ基板10は、基板としての透明なガラス基板1の表面に複数の着色層領域2を区画する第1隔壁部4を有している。各着色層領域2には、3色(R;レッド,G;グリーン,B;ブルー)の着色層3が形成されている。各着色層3(3R,3G,3B)は、同色の着色層3同士が直線状に配置されている。すなわち、カラーフィルタ基板10は、ストライプ方式の着色層3を備えている。
【0038】
図2は、1つの着色層領域を示す拡大平面図である。図2は、説明をし易くするために図3で示す液晶配向膜8と透明電極7を透視した状態で示してある。図2に示すように、第1隔壁部4によって区画された着色層領域2には、着色層3(3R,3G,3B)を有している。この着色層3(3R,3G,3B)の平面領域を複数の領域に分割する第2隔壁部5を有している。第2隔壁部5は、紙面の上下方向におよそ45度の角度で着色層3(3R,3G,3B)の平面領域を分割するように設けられている。第2隔壁部5の幅は、着色層領域2のサイズにも寄るが略10μmである。尚、図2では、第2隔壁部5の一部が第1隔壁部4の角部に掛かっているが、着色層領域2の縦横比に応じて適宜その位置を設定すればよい。
【0039】
各着色層領域2には、異なる着色層形成材料を含む3種(色)の機能液を吐出して乾燥することにより着色層3(3R,3G,3B)が形成されている。このような機能液としては、例えば、着色層形成材料として無機あるいは有機顔料を用い、これにより着色したアクリル樹脂やポリウレタン樹脂等からなる機能液が挙げられる。
【0040】
図3は、図2のA−A線で切った着色層領域を示す概略断面図である。図3に示すように、ガラス基板1の表面に複数の着色層領域2を区画する第1隔壁部4を有している。第1隔壁部4は、ガラス基板1の表面に対して、周知のフォトリソ法によって形成される。第1隔壁部4によって区画されて形成された着色層領域2には、液滴吐出装置(図示せず)等によって、着色層形成材料を含む前述した機能液が吐出されて着色層3Gを形成する。他の着色層領域2にも、図1で示した配置のそれぞれの着色層領域2に着色層3(3R,3G,3B)が形成される。
【0041】
第1隔壁部4は、形成された着色層3(3R,3G,3B)に対して厚さ方向に1〜2μm突出するように形成されている。すなわち、着色層領域2において、第1隔壁部4は、着色層3より突出するように形成されている。なお、第1隔壁部4の頭頂部400aの形状は、これに限らず、斜面によって構成される稜を備えたものでもよいし、曲面形状となっていてもよい。
【0042】
ガラス基板1の表面に形成された、第1隔壁部4及び着色層3(3R,3G,3B)を覆うようにオーバーコート層6が形成される。このオーバーコート層6は、製造工程中に使用される薬剤等による腐食や汚染から、着色層3等を保護する機能を有し、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂により形成されている。このオーバーコート層6の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層3(3R,3G,3B)の場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。
【0043】
着色層3(3R,3G,3B)の表面に形成されたオーバーコート層6の上には、図2で示した第2隔壁部5が着色層3(3R,3G,3B)の平面領域を複数の領域に分割するように設けられている。
【0044】
第2隔壁部5は、オーバーコート層6の表面に対して、周知のフォトリソ法によって形成される。ガラス基板1の表面からの第2隔壁部5の頭頂部500aまでの距離t1は、第1隔壁部4の頭頂部400aにオーバーコート層6が積層されてなる部位のガラス基板1の表面からの距離t2と等しくなるように形成されている。なお、頭頂部500aの形状は、これに限らず、斜面によって構成される稜を備えたものでもよい。
【0045】
オーバーコート層6上に形成された第2隔壁部5と、オーバーコート層6で覆われた第1隔壁部4及び着色層3(3R,3G,3B)の表面を覆うように、ITO膜(インジウム−スズ酸化膜)等よりなる共通電極としての透明電極7と、液晶101(図7参照)を垂直配向するための液晶配向膜8とが積層される。
【0046】
すなわち、第1隔壁部4、オーバーコート層6、透明電極7及び液晶配向膜8とで構成されて第1突起部としての突起部15が形成され、第2隔壁部5、透明電極7及び液晶配向膜8とで構成されて第2突起部としての突起部16が形成される。
【0047】
本実施例では、ガラス基板1の表面からの突起部16の頭頂部までの距離を距離T1とし、ガラス基板1の表面からの突起部15の頭頂部までの距離を距離T2とした場合、T1=T2となる。即ち、第1隔壁部4を含んで形成された第1突起部としての突起部15のガラス基板1の表面からの距離と第2突起部としての第2隔壁部5を含んで形成された突起部16のガラス基板1の表面からの距離が等しいのである。
【0048】
このようなカラーフィルタ基板10は、突起部15,16が液晶101(図7参照)の液晶駆動方向制御用の突起部を兼ねることになり、後述するMVA方式の液晶表示装置100(図7参照)に用いられる。
【0049】
次に本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法について図4、図5および図6に基づいて説明する。図4はカラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート図、図5(a)〜(c)及び図6(d)〜(f)はカラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図である。
<カラーフィルタ基板の製造方法>
本実施例のカラーフィルタ基板10の製造方法は、ガラス基板1の表面1aに第1隔壁部4を形成する工程(ステップS1)と、着色層3を形成する工程(ステップS2)と、オーバーコート層6を形成する工程(ステップS3)と、第2隔壁部5を形成する工程(ステップS4)と、透明電極を形成する工程(ステップS5)及び液晶配向膜を形成する工程(ステップS6)とを備えている。
【0050】
図4のステップS1は第1隔壁部形成工程である。ステップS1では、図5(a)に示すようにガラス基板1の表面1aに、周知のフォトリソ法により第1隔壁部4を形成する。そして、ステップS2へ進む。
【0051】
図4のステップS2は、着色層形成工程である。ステップS2では、図5(b)に示すように、ガラス基板1の表面1aに形成された第1隔壁部4によって区画された着色層領域2に、着色層形成材料を含む機能液42を液滴吐出ヘッド40から液滴として吐出し、乾燥することによって、着色層3(3R,3G,3B)を形成する。当然ながら異なる色の各着色層3R,3G,3Bが形成される各着色層領域2に対応して異なる着色層材料を含む3種の機能液42を液滴吐出ヘッド40に順次充填して吐出する。複数の液滴吐出ヘッド40を用意し、それぞれに異なる着色層材料を含む機能液42を充填して吐出してもよい。
【0052】
この場合、乾燥後の着色層3の膜厚が第1隔壁部4の厚さより薄くなるように、機能液42の吐出回数を分割された複数の着色層領域2ごとに調整して吐出する。第1隔壁部4は、形成された着色層3の表面からおよそ1μm突出し、液晶駆動方向制御用の第1突起部としての機能を有する。そして、ステップS3へ進む。
【0053】
図4のステップS3は、オーバーコート層形成工程である。ステップS3では、図5(c)に示すように、ステップS3までに形成された第1隔壁部4及び着色層3(3R,3G,3B)を覆うようにオーバーコート層6を形成する。製造工程中に使用される薬剤等による腐食や汚染から、着色層3等を保護する機能を有し、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂により形成されている。このオーバーコート層6の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層3(3R,3G,3B)の場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。そして、ステップS4へ進む。
【0054】
図4のステップS4は、第2隔壁部形成工程である。ステップS4では、図6(d)に示すように、周知のフォトリソ法により第2隔壁部5を形成する。
【0055】
第2隔壁部5の頭頂部500aの距離t1は、ステップS3で形成されたオーバーコート層6を含む第1隔壁部4の距離t2と等しくなるように形成する。この距離t1と距離t2との関係は、後述する液晶101(図7参照)の液晶駆動方向制御用の突起部として機能する際に多大な影響を与える。そして、ステップS5へ進む。
【0056】
図4のステップS5は、透明電極形成工程である。ステップS5では、図6(e)に示すように、ステップS4までに形成された第2隔壁部5と第1隔壁部4を含むオーバーコート層6の上に、ITO膜(インジウム−スズ酸化膜)等よりなる共通電極としての透明電極7を形成する。そして、ステップS6へ進む。
【0057】
図4のステップS6は、液晶配向膜形成工程である。ステップS6では、図6(f)に示すように、ステップS5で形成された透明電極7の上に、後述する液晶101(図7参照)を垂直配向させるための液晶配向膜8が形成される。この液晶配向膜8が施された面に対して誘電率異方性が負の液晶101(図7参照)が接触すると、電圧無印加時には液晶101(図7参照)は、液晶配向膜8に対して略垂直の方向に配列する。
【0058】
この液晶配向膜8を形成する方法としては、配向膜材料としての可溶性ポリイミド、ポリアミック酸タイプポリイミド、変性ポリイミド等の有機化合物に溶媒を添加して粘度を調整し、オフセットなどの印刷法、液滴吐出法などにより形成する方法が挙げられる。
【0059】
また、第1隔壁部4と透明電極7と液晶配向膜8とを含む部位を第1突起部としての突起部15とし、第2隔壁部5と透明電極7と液晶配向膜8とを含む部位を第2突起部としての突起部16とする。突起部15の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T2と、突起部16の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T1は、透明電極7と液晶配向膜8とが均一に形成されるため等しく形成される。
【0060】
<液晶表示装置>
次に本実施例の液晶表示装置について図7および図8に基づいて説明する。図7は液晶表示装置の構造を示す概略断面図、図8は液晶表示装置の画素を示す概略平面図である。詳しくは、図7は図8のB−B線で切った概略断面図である。また、図8はカラーフィルタ基板10側から見た画素の拡大図であり、ガラス基板1を透視した状態を示している。
【0061】
図7に示すように、本実施例の液晶表示装置100は、3色の着色層3を有するカラーフィルタ基板10と、各着色層3に対応する複数の画素電極22が形成された対向基板としての素子基板20と、カラーフィルタ基板10と素子基板20とによって挟持された負の誘電率を有する液晶101とを備えている。カラーフィルタ基板10には、着色層3が形成された着色層領域2を区画する第1隔壁部4と、着色層3(3R,3G,3B)の平面領域を複数の領域に分割する第2隔壁部5とを有している。さらに着色層3(3R,3G,3B)、第1隔壁部4を覆うようにオーバーコート層6が形成され、オーバーコート層6の表面に第2隔壁部5が形成されている。さらに、オーバーコート層6及び第2隔壁部5を含んで透明なITO(Indium Tin Oxide)による共通電極としての透明電極7が形成されている。
【0062】
素子基板20には、画素電極22に駆動用の電位を与えるスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)素子27が画素電極22とソース線25及びゲート線26との間に設けられている。カラーフィルタ基板10と素子基板20の液晶101に接する表面には、該表面に対して液晶101の液晶分子101a,101bを略垂直方向に配向させる液晶配向膜8,24がそれぞれ設けられている。
【0063】
このような液晶表示装置100は、カラーフィルタ基板10の側から表示された画像等の情報を視認するものであり、カラーフィルタ基板10の表面と素子基板20の背面には、偏光板(図示省略)が装備される。また、素子基板20の背面側に冷陰極管やLED等の光源を有する照明装置(図示省略)を装備して照明される。
【0064】
図7及び図8に示すように、液晶表示装置100は、表示用の複数のサブ画素SG(SG1,SG2,SG3)を有し、3色の着色層3R,3G,3Bに対応する3つのサブ画素SG(SG1,SG2,SG3)により1つの画素Gを構成している。各サブ画素SGに設けられた第2隔壁部5は、着色層3の表面より突出するように形成され、液晶駆動方向制御用の突起部としての機能を有している。着色層3に対向する画素電極22には、第2隔壁部5に並行してカラーフィルタ基板10に向かって開口する複数の開口部としてのスリット23が設けられている。
【0065】
図7は、駆動電圧が印加された液晶表示装置100の状態を示している。駆動電圧が印加されない場合は、液晶配向膜8,24に対して略垂直に液晶101が配向される。突起部15(15a,15b),16付近の液晶101の配向は、突起部15(15a,15b),16の液晶配向膜8に対して略垂直に配向され、対向基板としての素子基板20に形成されている液晶配向膜24の最寄りの部位の液晶101と連鎖を構成して安定する。突起部15に対向する素子基板20上には、TFT素子27とソース線25及びゲート線26が形成されている。
【0066】
カラーフィルタ基板10の透明電極7と素子基板20の画素電極22との間に駆動電圧が印加された場合は、図7に示す通り、第1突起部としての突起部15(15a,15b)と第2突起部としての突起部16と画素電極22との間、および突起部15(15a,15b),16以外の透明電極7とスリット23(23a,23b)との間には、斜め方向の電界Eが生ずる。液晶101の液晶分子101a,101b,101c,101dは、電界Eの方向に対して垂直となるように倒れる。したがって、駆動電圧が印加されたときに突起部15(15a,15b),16とスリット23(23a,23b)とを境にして、液晶分子101a,101b,101c,101dの倒れる方向が異なる領域が形成される。
【0067】
ここで、突起部15(15a,15b)の距離T1と突起部16の距離T2について説明する。前述した通り、駆動電圧が印加された場合は、突起部15(15a,15b),16とスリット23(23a,23b)とを境に液晶分子101a,101b,101c,101dの倒れる方向が異なる。本実施例では突起部15(15a,15b)の距離T2と突起部16の距離T1とが等しいため、突起部15aとスリット23aとの間で倒れる液晶分子101aの倒れ方と、突起部16とスリット23bとの間で倒れる液晶分子101cとの倒れ方を同じに制御することができる。
【0068】
また、突起部16とスリット23aとの間で倒れる液晶分子101bの倒れ方と、突起部15bとスリット23bとの間で倒れる液晶分子101dとの倒れ方を同じに制御することができる。
【0069】
突起部15(15a,15b)とスリット23(23a,23b)との平面的な関係について説明する。図8に示すサブ画素SG1について詳述する。他のサブ画素SG2,SG3も同様に形成されている。サブ画素SG1には、スリット23が4箇所形成されている。それぞれのスリット23をスリット23(23a〜23d)とする。また、サブ画素SG1の第1隔壁部4は方形状に形成されている。サブ画素SG1の第1隔壁部4の各辺を第1隔壁部4a〜4dとする。また、着色層3Rの表面に第2隔壁部5が3箇所に形成されている。それぞれの第2隔壁部5を第2隔壁部5a,5b,5cとする。
【0070】
図7で説明した通り、突起部15(15a,15b)は、第1隔壁部4a〜4dを基にして形成されている。ここでは突起部15(15a,15b)を第1隔壁部4a〜4dで説明する。スリット23aは、第1隔壁部4aと第1隔壁部4bと第2隔壁部5aとにそれぞれ略平行な辺を有して形成されている。したがって、三角形を呈している。同様にスリット23cも、第1隔壁部4dと第2隔壁部5bとにそれぞれ略平行な辺23aa,23ab,23acを有して形成されている。したがって、三角形を呈している。同様にスリット23dも、第1隔壁部4b,4cと第2隔壁部5cとにそれぞれ略平行な辺を有して形成されている。したがって、三角形を呈している。
【0071】
スリット23bは、第1隔壁部4dに略平行な辺23baと、第1隔壁部4dに略平行な辺23bdと、第1隔壁部4bに略平行な辺23bb及び辺23bcと、第2隔壁部5aに略平行な辺23beと、第2隔壁部5bに略平行な辺23bfと、第2隔壁部5cに略平行な辺23bgと、第2隔壁部5bに略平行な辺23bhとを有する。
【0072】
このように形成することで、スリット23a〜23dと第1突起部としての第1隔壁部4a〜4d、第2突起部としての第2隔壁部5a,5b,5cとの関係によって斜め方向の電界Eが平面的に均等となり、サブ画素SG1内での液晶分子101a,101b,101c,101dの倒れる方向が、より異なる方向に制御される。従来、第2隔壁部5(5a,5b,5c)が傾斜している方向と同じ方向からのコントラストが他の方向に比較して低下していた。本実施例によれば、第1突起部としての第1隔壁部4を利用することで液晶分子101a,101b,101c,101dの倒れる方向を、第2隔壁部5(5a,5b,5c)が傾斜している方向と異なる方向に制御することができるため、第2隔壁部5(5a,5b,5c)が傾斜している方向のコントラストを向上することができる。このことによって、各着色層領域2及び各着色層3での液晶101の駆動電圧に対する倒れ方をより異なる方向に制御することができるため、均一なカラー特性を備えた液晶表示装置100を提供することができる。
【0073】
また、第2隔壁部5によって形成された突起部16により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域2では、異なる視角依存性を有することになるため、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を提供することができる。
【0074】
<液晶表示装置の製造方法>
本実施例の液晶表示装置100の製造方法は、ガラス基板1の表面に形成した第1隔壁部4によって区画された着色層領域2に着色層3を形成し、それらの上にオーバーコート層6を積層し、オーバーコート層6の上に液晶駆動方向制御用の第2突起部としての第2隔壁部5を設ける。それらの上に共通電極としての透明電極7と液晶配向膜8を設け、第2隔壁部5を含む突起部16の距離T1と、第1隔壁部4を含む突起部15の距離T2とを等しく形成されたカラーフィルタ基板10を用いて製造する。これによって、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を製造することができる。
【0075】
尚、透明基板21に画素電極22とTFT素子27、およびこれらを電気的に接続する配線等の形成方法、並びにカラーフィルタ基板10と素子基板20とを接着剤等を用いて所定の位置で接合し、液晶101をその隙間に充填する方法は、公知の方法を用いればよい。
【0076】
<電子機器>
次に本実施例の電子機器としての大型液晶TVについて説明する。図9は、大型液晶TVを示す概略斜視図である。図9に示すように、電子機器としての大型液晶TV200は、表示部201に上記実施例の広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100が搭載されている。液晶表示装置100は、より効率よく、且つ色ムラ等の不良が低減され歩留まりよく製造することが可能であるため、優れた表示品質を有すると共にコストパフォーマンスの高い大型液晶TV200を実現することができる。
【0077】
上記実施例の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施例の液晶表示装置によれば、第1突起部としての第1隔壁部4を利用することで液晶分子101a,101b,101c,101dの倒れる方向を、第2隔壁部5(5a,5b,5c)が傾斜している方向と異なる方向に制御することができるため、第2隔壁部5(5a,5b,5c)が傾斜している方向のコントラストを向上することができる。このことによって、各着色層領域2及び各着色層3での液晶101の駆動電圧に対する倒れ方をより異なる方向に制御することができるため、均一なカラー特性を備えた液晶表示装置100を提供することができる。
【0078】
(2)上記実施例の液晶表示装置によれば、第2隔壁部5によって形成された突起部16により複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域2では、異なる視角依存性を有することになるため、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を提供することができる。
【0079】
(3)上記実施例の液晶表示装置の製造方法によれば、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を製造することができる。
【0080】
(4)上記実施例の電子機器によれば、電子機器としての大型液晶TV200は、表示部201に上記実施例の液晶表示装置100が搭載されているため、広い視野角や色ムラの少ない優れた表示品質を有すると共にコストパフォーマンスの高い大型液晶TV200を提供することができる。
【実施例2】
【0081】
以下、本発明を具体化した他の実施例について図面に従って説明する。
本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法について図10、図11に基づいて説明する。図10は、本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート図、図11(a)〜(c)は、本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図である。
<カラーフィルタ基板の製造方法>
図10に示すように、本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャートは、第1隔壁部形成工程(ステップS21)、着色層形成工程(ステップS22)、オーバーコート層形成工程(ステップS23)、透明電極形成工程(ステップS24)、第2隔壁部形成工程(ステップS25)、液晶配向膜形成工程(ステップS26)で構成されている。
【0082】
第1隔壁部形成工程(ステップS21)、着色層形成工程(ステップS22)及びオーバーコート層形成工程(ステップS23)は、図4の第1隔壁部形成工程(ステップS1)、着色層形成工程(ステップS2)及びオーバーコート層形成工程(ステップS3)と同様なため、説明を省略する。
【0083】
本実施例では、オーバーコート層形成工程(ステップS23)の後に、透明電極形成工程(ステップS24)が行われる。ステップS24では、図11(a)に示すように、ステップS23までに形成されたオーバーコート層6の上に、ITO膜(インジウム-スズ酸化膜)等よりなる共通電極としての透明電極7を形成する。そして、ステップS25へ進む。
【0084】
ステップS25は、第2隔壁部形成工程である。図11(b)に示すように、透明電極7の上に第2隔壁部5を形成する。第2隔壁部5は、周知のフォトリソ工程により形成される。この第2隔壁部5の最も厚さがある部位(本実施例では第2隔壁部5の上面は平坦のため第2隔壁部5の上面全てがこの部位にあたる。)とガラス基板1の表面1aとの距離t1と、第1隔壁部4にステップS23とステップS24とで形成された、オーバーコート層6と透明電極7と第1隔壁部4の最も厚さがある部位(本実施例では透明電極7の上面は平坦のため透明電極7の上面全てがこの部位にあたる。)とガラス基板1の表面1aとの距離t2と、が等しくなるように第2隔壁部5の厚さを調整して形成する。次に、ステップS26へ進む。
【0085】
ステップS26は、液晶配向膜形成工程である。ステップS26では、図11(c)に示すように、ステップS24及びステップS25とで形成された透明電極7及び第2隔壁部5の上に、後述する液晶101(図7参照)を垂直配向させるための液晶配向膜8が形成される。この液晶配向膜8が施された面に対して誘電率異方性が負の液晶101(図7参照)が接触すると、電圧無印加時には液晶101(図7参照)は、液晶配向膜8に対して略垂直の方向に配列する。
【0086】
この液晶配向膜8を形成する方法としては、配向膜材料としての可溶性ポリイミド、ポリアミック酸タイプポリイミド、変性ポリイミド等の有機化合物に溶媒を添加して粘度を調整し、オフセットなどの印刷法、液滴吐出法などにより形成する方法が挙げられる。
【0087】
また、第1隔壁部4とオーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とを含む部位を第1突起部としての突起部15とし、第2隔壁部5と液晶配向膜8とを含む部位を第2突起部としての突起部16とする。突起部15の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T2と、突起部16の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T1は、オーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とが均一に形成されるため等しく形成される。
【0088】
上記実施例の効果は、以下の通りである。
(5)このカラーフィルタ基板を液晶表示装置に用いることによって、第1突起部としての突起部15a,15bと第2突起部としての突起部16とにより複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域2では、異なる視角依存性を有することになるため、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を提供することができる。
【0089】
(6)また、この液晶表示装置100を前述した電子機器に用いることにより、優れた表示品質を有すると共にコストパフォーマンスの高いそれぞれの電子機器を実現することができる。
【実施例3】
【0090】
以下、本発明を具体化した他の実施例について図面に従って説明する。
<カラーフィルタ基板の製造方法>
本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法について図12に基づいて説明する。前述した実施例1及び実施例2と異なる点について説明する。図12は、本実施例のカラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図である。本実施例の工程は、第1隔壁部形成工程(ステップS1又はステップS21)→着色層形成工程(ステップS2又はステップS22)→第2隔壁部形成工程(ステップS4又はステップS25)→オーバーコート層形成工程(ステップS3又はステップS23)→透明電極形成工程(ステップS5又はステップS24)→液晶配向膜形成工程(ステップS6又はステップS26)の順である。
【0091】
第2隔壁部形成工程では、着色層3(3R,3G,3B)の上に直接、第2隔壁部5が周知のフォトリソ工程により形成される。第2隔壁部5の最も厚さがある部位とガラス基板1の表面1aからの距離t1と、第1隔壁部4の最も厚さがある部位とガラス基板1の表面1aからの距離t2と、が等しくなるように形成する。
【0092】
この後、オーバーコート層形成工程(ステップS3又はステップS23)→透明電極形成工程(ステップS5又はステップS24)→液晶配向膜形成工程(ステップS6又はステップS26)が行われ、オーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とが均一に形成される。このため第1隔壁部4とオーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とによって、第1突起部としての突起部15が構成される。また、第2隔壁部5とオーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とによって、第2突起部としての突起部16が構成される。突起部15の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T2と、突起部16の厚さが最も厚い部位とガラス基板1の表面1aからの距離T1は、オーバーコート層6と透明電極7と液晶配向膜8とが均一に形成されるため等しく形成される。
【0093】
上記実施例の効果は、以下の通りである。
(7)このカラーフィルタ基板を液晶表示装置に用いることによって、第1突起部としての突起部15a,15bと第2突起部としての突起部16とにより複数に分割され液晶の駆動を制御された着色層領域2では、異なる視角依存性を有することになるため、広視野角な視角特性を有する液晶表示装置100を提供することができる。
【0094】
(8)また、この液晶表示装置100を前述した電子機器に用いることにより、優れた表示品質を有すると共にコストパフォーマンスの高いそれぞれの電子機器を実現することができる。
【0095】
上記実施例以外の変形例は、以下の通りである。
(変形例1)上記実施例のカラーフィルタ基板10において、着色層3の構成は、これに限定されない。例えば、ストライプ状に配置された3色の着色層3R,3G,3Bの配置の順序が異なっていてもよい。また、図13(a)および図13(b)は変形例の着色層の配置を示す平面図である。同図(a)に示すように同色の着色層3が斜め方向に配置されたモザイク方式や、同図(b)に示すように異なる着色層3が三角形の各頂点に配置されたデルタ方式でも本発明を適用することができる。さらには、着色層3は、3色に限定されず、色再現性を高める他の色を追加した4色の構成としてもよい。
【0096】
(変形例2)上記実施例の液晶表示装置100およびその製造方法において、カラーフィルタ基板10の透明電極7の配置は、これに限定されない。例えば、第2隔壁部5の頭頂部500aを避けるようにマスキングして透明電極7を形成してもよい。これによれば、液晶101が充填されるカラーフィルタ基板10と素子基板20との隙間が非常に狭くなっても、突出した第2隔壁部5の頭頂部500aには透明電極7がないので、透明電極7と画素電極22とが電気的に短絡する不具合を低減することができる。
【0097】
(変形例3)上記実施例の液晶表示装置100が搭載される電子機器は、大型液晶TV200に限定されない。例えば、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器や携帯端末機器、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、モニタ直視型のデジタルビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等々の画像表示手段として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】カラーフィルタ基板の構造を示す概略平面図。
【図2】1つの着色層領域を示す拡大平面図。
【図3】図2のA−A線で切った着色層領域を示す概略断面図。
【図4】カラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート図。
【図5】(a)〜(c)は、カラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図。
【図6】(d)〜(f)は、カラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図。
【図7】液晶表示装置の構造を示す概略断面図。
【図8】液晶表示装置の画素を示す概略平面図。
【図9】大型液晶TVを示す概略斜視図。
【図10】カラーフィルタ基板の製造方法を示すフローチャート図。
【図11】(a)〜(c)はカラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図。
【図12】カラーフィルタ基板の製造方法を示す概略断面図。
【図13】(a)および(b)は変形例の着色層の配置を示す平面図。
【符号の説明】
【0099】
1…ガラス基板、1a…表面、2…着色層領域、3,3B,3G,3R…着色層、4,4a,4b,4c,4d…第1突起部としての第1隔壁部、5,5a,5b,5c…第2突起部としての第2隔壁部、6…オーバーコート層、7…共通電極としての透明電極、8,24…液晶配向膜、101…液晶、10…カラーフィルタ基板、15,15a,15b…第1突起部としての突起部、16…第2突起部としての突起部、20…対向基板としての素子基板、21…透明基板、22…画素電極、23…開口部としてのスリット、23a,23b,23c,23d…スリット、23aa〜23ac,23ba〜23bh…辺、25…ソース線、26…ゲート線、27…スイッチング素子としてのTFT素子、40…液滴吐出ヘッド、42…機能液、100…液晶表示装置、101a,101b,101c,101d…液晶分子、200…電子機器としての大型液晶TV、201…表示部、400a,500a…頭頂部、E…電界、G…画素、SG,SG1,SG2,SG3…サブ画素、t1,t2,T1,T2…距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板であって、
前記カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画する第1突起部と、
前記複数の着色層領域に形成された複数種の着色層と、
前記複数種の着色層のそれぞれを複数の領域に分割する第2突起部とを備え、
前記第1突起部及び前記第2突起部が前記複数種の着色層の表面よりも突出するように形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーフィルタ基板であって、前記第1突起部の最も厚さがある部位と前記カラーフィルタ基板の表面との距離と、前記第2突起部の最も厚さがある部位と前記カラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいことを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ基板であって、前記第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、前記第2隔壁部は前記着色層の上に形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ基板であって、前記第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、前記第2隔壁部はオーバーコート層の上に形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ基板であって、前記第2突起部は少なくとも第2隔壁部を含み、前記第2隔壁部は共通電極の上に形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項6】
カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画する第1突起部を有し、前記複数の着色層領域に形成された複数種の着色層のそれぞれを複数の領域に分割する第2突起部をさらに有し、前記第1突起部及び前記第2突起部が前記複数種の着色層の表面よりも突出するように形成されてなるカラーフィルタ基板と、
前記カラーフィルタ基板の前記複数の着色層領域に対応する複数の画素電極を有する対向基板と、
前記カラーフィルタ基板と前記対向基板とによって挟持された液晶とを備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示装置であって、前記複数の画素電極には開口部が設けられ、前記開口部は、前記第1突起部と前記第2突起部とに平行な複数の辺で構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の液晶表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
カラーフィルタ基板上に複数の着色層領域を区画するように第1隔壁部を形成する工程と、
前記複数の着色層領域に形成された複数種の着色層を形成する工程と、を有し、
前記複数種の着色層はそれぞれを複数の領域に分割する第2隔壁部を少なくとも備え、前記第1隔壁部を含む第1突起部を前記複数種の着色層の表面よりも突出するように形成し、前記第2隔壁部を含む第2突起部を前記複数種の着色層の表面よりも突出するように形成され、前記第1突起部の最も厚さがある部位と前記カラーフィルタ基板の表面との距離と、前記第2突起部の最も厚さがある部位と前記カラーフィルタ基板の表面との距離と、が等しいことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記第2隔壁部は前記複数種の着色層の上に形成してなることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記第2隔壁部はオーバーコート層の上に形成してなることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法であって、前記第2隔壁部は共通電極の上に形成してなることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項13】
複数種の着色層を有するカラーフィルタ基板と、前記複数種の着色層に対応する複数の画素電極を有する対向基板と、前記カラーフィルタ基板と前記対向基板とによって挟持された液晶と、前記カラーフィルタ基板と前記対向基板の前記液晶に接する表面に、前記表面に対して前記液晶の分子を略垂直方向に配向させる配向膜とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、
前記カラーフィルタ基板が請求項9〜請求項12のいずれか一項に記載のカラーフィルタ基板の製造方法を用いて製造されてなることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−193256(P2007−193256A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13599(P2006−13599)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】