カラーフィルタ
【課題】本発明は、液晶表示装置が斜め方向から観察された場合であっても、高いコントラストで表示を行うことが可能なカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供することにより、上記課題を解決する。
【解決手段】透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置を斜め方向から観察した場合であっても、コントラストを高いものとすることが可能なカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図15に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび偏光板102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと偏光板102Bとの間に配置されている。
【0003】
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、ねじれネマチック方式(TN)、超ねじれネマチック方式(STN)、複数配向分割型垂直配向方式(MVA)、横型電解駆動方式(IPS)、および、OCB(Optically Compensated Bend)等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
【0004】
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
【0005】
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある(特許文献1)。この位相差フィルムを用いる方法は、例えば、図16に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび偏光板102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は、位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
【0006】
しかしながら、上記位相差フィルムを用いた場合であっても、斜め方向から液晶表示装置を観察した場合のコントラストを十分に高いものとすることは難しく、黒表示が明るく観察されてしまう、いわゆる黒浮きを抑制することは困難であるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−90532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶表示装置が斜め方向から観察された場合であっても、黒浮き等が発生せず高いコントラストで表示が可能なカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0010】
本発明によれば、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合は、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光の進行方向を、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により種々の方向へと変化させることができるため、黒表示時に液晶表示装置の外部へと漏れる光を少なくすることができる。また上記複数の凹凸により、上記着色層表面付近では、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光を、上記液晶層から上記着色層へ入射させ、上記着色層を透過させて上記液晶層へ再び出射させる過程が複数回繰り返されることとなる。これにより、光の屈折回数を増加させることができるので、上記液晶層から上記着色層へ1回のみ入射した光に比べて、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることができ、バックライトからの光が上記液晶層および上記着色層を透過して外部へ出射されるまでの距離(光路長)を長くすることができる。よって、光路長を長くすることにより、光を減衰させることが可能となるため、斜め方向からの光漏れを抑制することができる。これにより、液晶表示装置に用いた際に、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高くすることが可能なカラーフィルタとすることができる。
【0011】
本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の高さが、0.05μm〜1.00μmの範囲内であることが好ましい。これにより、液晶表示装置のコントラストをより高くすることが可能なカラーフィルタを得ることが可能となる。
【0012】
本発明においては、上記複数の凹凸が、ストライプ状に形成されていることが好ましい。上記複数の凹凸を規則的に形成することが容易となるからである。
【0013】
本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記斜め方向のカラーフィルタの光漏れをより少なくすることが可能である。
【0014】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述したように、上記着色層表面が上記複数の凹凸を有することから、上記カラーフィルタが用いられた液晶表示装置においては、上記カラーフィルタの斜め方向からの光が液晶表示装置の外部へと漏れることを抑制することができる。また、上記着色層を透過する光の角度を大きなものとすることができる。これにより、光路長を長くして光を減衰させることができるため、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを抑制することができる。よって、液晶表示装置に用いた際に、コントラストを高いものとすることが可能なカラーフィルタとすることができる。
【0016】
また、本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の平均半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れをより少なくすることが可能である。
【0017】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置は、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0019】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、上記複数の凹凸が、カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0020】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置は、斜め方向から観察された場合であっても、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0021】
本発明は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程では、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0022】
本発明によれば、上記着色層形成工程で、上記着色層表面に上記凹凸を形成することが可能となることから、本発明により製造されたカラーフィルタを用いた液晶表示装置では、斜め方向から観察された場合であっても、コントラストを高いものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記着色層表面に上述した複数の凹凸を有することから、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光の進行方向を、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により種々の方向へと変化させることができるため、液晶表示装置の外部へと漏れる光を少なくすることができる。また、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により、上記カラーフィルタの斜め方向から入射した光の上記液晶層および着色層間の入出射の回数を増やして、上記光の屈折回数を増加させることが可能となる。これにより、上記液晶層から上記着色層へ光が1回入射した場合に比べ、上記着色層を透過する光の角度を大きな角度とすることができることから、光路長を長くすることができる。よって、光路長を長くすることにより、光を減衰させることが可能となることから、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを抑制することが可能となる。よって、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置においては、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高いものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】一般的なカラーフィルタに用いられる着色層の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】一般的な液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図8】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図9】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図10】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す模式図である。
【図12】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図13】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図14】本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられるスリットマスクの一例を示す概略平面図である。
【図15】一般的な液晶表示装置の他の一例を示す概略図である。
【図16】位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のカラーフィルタ、液晶表示装置、およびカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0026】
A.カラーフィルタ
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するものであり、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有することを特徴とするものである。
【0027】
本発明のカラーフィルタについて、図を用いて説明する。図1は本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図1では、赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)とを有するものであり、着色層2表面に複数の凹凸を有するものである。また、カラーフィルタ10は、通常、画素を区画するための遮光部3が各着色層2間に形成されているものである。
【0028】
次に、本発明における着色層表面の複数の凹凸について、図を用いて説明する。なお、図2は、一般的なカラーフィルタに用いられる着色層を示すための概略断面図である。また、図3は、図1のA部分の拡大図である。なお、図2および図3における符号については、図1と同様とすることができるのでここでの説明は省略する。
図2に示すように、カラーフィルタに用いられる着色層2は、遮光部3の開口部に形成されるものである。また通常、着色層2の端部には、着色層2の形成時に着色層形成用塗工液が遮光部3の端部に付着することにより形成される凸部を有する着色層角部領域nが存在するものである。また本発明においては、説明のため、遮光部3の開口部に形成された着色層2のうち、着色層角部領域nを除いた領域を着色層中央部mとする。
本発明における「着色層表面の複数の凹凸」は、図3に示すように、着色層中央部mの着色層2表面に形成される複数の凹凸を指し、着色層角部領域nに形成される着色層表面の凸部については含まないものとする。また、図3に示すように、本発明における上記着色層表面の複数の凹凸の凸部の高さtは、透明基板表面からの凹凸の最大高さt1と最小高さt2との差(t1−t2)を指すものとする。
【0029】
次に、黒浮きが発生する理由について説明する。
図4は、液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図4(a)に示すように、通常、液晶表示装置は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、2枚の偏光板の間に形成され、透明基板1、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図4では赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)、および各着色層2間に形成された遮光部3を有するカラーフィルタ、カラーフィルタと対向するように配置された対向基板20、および、カラーフィルタおよび対向基板20の間に形成された液晶層30からなる液晶セル101と、バックライト40とを有するものである。また、図4(b)は、図4(a)のB部分の拡大図である。なお、図4(b)においては、説明のため、バックライトおよび偏光板については省略して示している。
図4(b)に示すように、バックライトからの光は、液晶セル101の対向基板20を通って液晶層30に入射する。黒表示時においては、カラーフィルタの垂直方向へと進むバックライトからの光L1については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性により遮断されるため、画像観察側からは観察されないものとなる。
しかしながら、カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して進むバックライトからの光L2については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性によっても完全に遮断することが困難であるため、液晶表示装置の外部に漏れてしまう場合がある。このような光L2がカラーフィルタの斜め方向では観察されることから、黒表示が明るく見える黒浮きが発生するのである。
【0030】
次に、本発明のカラーフィルタにより黒浮きを抑制することが可能となる理由について説明する。
図5は、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。また、図5(b)および図5(c)は、図5(a)のC部分の拡大図である。なお、図5において用いられるカラーフィルタについては図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、カラーフィルタのその他の部材については、図4と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0031】
本発明のカラーフィルタを用いた場合も、図5(b)に示すように、カラーフィルタの垂直方向へと進むバックライトからの光L3については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性により遮断されるため、画像観察側からは観察されないものとなる。
一方、図示はしないが、上記カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して液晶層中を進む光については、上記着色層表面に形成された複数の凹凸によって、種々の方向へと進行方向が変化されるため、上記着色層表面に複数の凹凸を有しない場合に比べて、液晶表示装置の外部へと漏れる光が少なくなる。したがって、本発明においては黒浮きの発生を防止することができるものと考えられる。
【0032】
また、上記複数の凹凸による光漏れを防止する効果は、上記液晶層および着色層の屈折率がそれぞれ異なる場合に現れるものであるが、上記液晶層の屈折率が上記着色層の屈折率よりも大きい場合により強く現れるものである。この理由については明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、図5(b)に示すように、カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して進むバックライトからの光L4は、対向基板20を透過して液晶層30中を進み、着色層2へと入射する。ここで、本発明においては、着色層2表面に複数の凹凸を有することから、光L4は液晶層30から着色層2への入射および着色層2から液晶層30への出射を繰り返すこととなる。これにより、光L4の屈折回数が増加するため、図4(b)に示すように液晶層30から着色層2へ1回のみ入射した光L2に比べて、着色層2を透過する光L4の角度は大きくなることから、バックライトからの光L4が液晶層30および着色層2を透過して外部へ出射されるまでの距離(光路長)は長いものとなる。よって、光路長が長くなることにより、光L4は減衰されることから、斜め方向から観察されにくいものとなると考えられる。
【0033】
また上述したように、本発明においては、着色層を透過する光の角度を大きくすることができるため、図5(c)に示すように、着色層2を透過する光L5が液晶パネルの外部へ出射する前に、着色層2に隣接する遮光部3に光L5を吸収させることが可能となることからも、カラーフィルタの斜め方向へ進む光量を減らすことができると考えられる。
以上から、本発明のカラーフィルタを用いることにより、黒浮きを抑制することが可能となると考えられる。
【0034】
なお、上記着色層上に隣接する部材は、上記着色層の屈折率よりも屈折率が高くなるようにすることが好ましい。本発明においては、上述したように、上記着色層表面が複数の凹凸を有することにより、上記着色層内へと進む光の屈折回数を増やし、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることによって、光路長を長くし、これによって光を減衰させるものである。よって、上記隣接する部材の屈折率を上記着色層の屈折率よりも高くすることにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることが可能となるからである。
【0035】
本発明のカラーフィルタは、上記複数の凹凸の形状により2つの態様に分けて考えることができる。以下、各態様についてそれぞれ説明する。
【0036】
1.第1態様のカラーフィルタ
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするものである。
以下、本態様に用いられる各部材について説明する。
【0037】
(1)着色層
本態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成されるものであり、上記着色層表面に複数の凹凸を有するものである。また、上記複数の凹凸は規則的なパターン状に形成されているものである。
まず、上記着色層表面に形成される複数の凹凸について説明する。
【0038】
(a)着色層表面の複数の凹凸
本態様において、上記着色層表面の複数の凹凸(以下、単に凹凸と称する場合がある。)は、規則的なパターン状に形成されているものである。
ここで、「規則的なパターン」とは、同一図形の繰り返しによるものであり、各凸部の高さ、ピッチ幅等が一定の値となるように形成されているものである。
【0039】
上記着色層表面に形成される凹凸が有する規則的なパターンとしては、本態様のカラーフィルタに入射した光を複数回屈折させることにより、光路長を長くして、斜め方向のカラーフィルタの光漏れを防止することが可能であるならば特に限定されるものではない。このような凹凸の規則的なパターンとしては、図6(a)に示すような同心円や、図6(b)に示すような四角形の同心図形等の同心図形状、図7に示すようなドット状を挙げることができる。また、その他にも、ストライプ状、放射線状等や、上記複数の図形を組み合わせたパターン等を挙げることができる。
本態様においては、なかでも上記凹凸がストライプ状に形成されていることが好ましい。上記凹凸を規則的に形成することが容易であるからである。
【0040】
このようなストライプ状の凹凸としては、直線のストライプ状の他にも、図8(a)に示すようなジグザグ線のストライプ状、図8(b)に示すような波線のストライプ状であってもよい。
【0041】
本態様において、上記凹凸がストライプ状に形成されている場合、ストライプの方向については、用いられる液晶表示装置の用途により適宜選択することができる。例えば、液晶表示装置において、図9に示すように、カラーフィルタ10のx方向を長辺方向、y方向を短辺方向としたとき、カラーフィルタの長辺方向におけるコントラストのみを良好なものとする場合には、図9(a)に示すように、カラーフィルタの長辺方向に対して水平方向にストライプ状の凹凸を形成することが好ましく、カラーフィルタの短辺方向におけるコントラストのみを良好なものとする場合には、図9(b)に示すように、カラーフィルタの短辺方向に対して水平方向にストライプ状の凹凸を形成することが好ましい。また、カラーフィルタの長辺方向および短辺方向の両方向におけるコントラストを良好なものとする場合には、図9(c)や図9(d)に示すように、カラーフィルタの長辺のいずれか一方に対して鋭角を有するように、ストライプ状の凹凸を形成することが好ましい。
【0042】
このように、本態様においては、上記着色層表面の凹凸が有するパターンを変化させることにより、液晶表示装置の用途に合わせて、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを抑制し、黒表示時のコントラストを高いものとすることが可能である。
なお、図6〜図9は、本態様のカラーフィルタの一例を示す概略平面図であり、説明のため、着色層2に形成される凹凸の凸部については白抜きで示している。また、説明していない符号については、図1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
また、上記凹凸の凸部の高さとしては、上記カラーフィルタに入射した光の斜め方向の光漏れを抑制することができる程度であれば特に限定されるものではないが、0.05μm〜1.00μmの範囲内、なかでも0.10μm〜0.50μmの範囲内、特に0.15μm〜0.40μmの範囲内であることが好ましい。上記凹凸の凸部の高さが上記範囲に満たない場合は、上記着色層が上記凹凸を着色層表面に有していたとしても、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することが困難となるからである。また、上記凹凸の凸部の高さが上記範囲を超える場合は、着色層の平均膜厚が大きくなることから、近年要望されている薄膜のカラーフィルタを形成することが困難となるからである。
なお、上記凹凸の凸部の高さとは、上述したように、透明基板表面からの凹凸の最大高さと最小高さとの差を指すものである。
【0044】
また、上記凹凸の凸部の半値幅としては、本態様のカラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することができる程度の値であれば特に限定されるものではないが、具体的には、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に、15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記半値幅が上記範囲を超える場合は、本態様に用いられる着色層が上記凹凸を有していたとしても、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難となる可能性があるからであり、上記半値幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。
なお、上記半値幅は、Zygo(NewViewTM7300s;Canon社製)により測定された値とする。
【0045】
上記凹凸のピッチ幅としては、本態様のカラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではないが、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記ピッチ幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。また、上記ピッチ幅が上記範囲を超える場合は、上記着色層表面に上記凹凸を形成したとしても、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを抑制することが困難となる可能性があるからである。
なお、上記凹凸のピッチ幅とは、図3に示すように、着色層2表面に形成される複数の凹凸のうち、1の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離uの平均値、もしくは、1の凹部の中心から隣接する凹部の中心までの距離の平均値vを指すものである。また、図6〜図9においては、規則的なパターンの凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離uの平均値を指すものである。
【0046】
(b)着色層
次に、本態様に用いられる着色層について説明する。
本態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成されるものであり、通常、赤色、緑色、青色の3色からなる。
【0047】
各色の上記着色層は、画素に対応して規則的に配列される。上記着色層の配列としては、各色の上記着色層が巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
【0048】
上記着色層は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである。本態様における着色層に用いられる着色剤およびバインダ樹脂については一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0049】
また、着色層の形成方法としては、例えば着色剤をバインダ樹脂に混合、分散または可溶化させて着色層形成用塗工液を調製し、この着色層形成用塗工液を用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングする方法、あるいは、着色層形成用塗工液を用いてインクジェット法によりパターニングする方法が用いられる。
【0050】
本態様に用いられる着色層の平均膜厚としては、上記着色層表面に所定の凹凸を有することができ、かつ、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合に良好な画像表示を行うことができる程度の平均膜厚とすることができる程度であれば特に限定されるものではないが、0.5μm〜5.0μmの範囲内、なかでも1.0μm〜4.5μmの範囲内、特に1.5μm〜4.0μmの範囲内とすることが好ましい。上記平均膜厚が上記範囲に満たない場合は、着色層表面に所定の凹凸を形成することが困難となる可能性があるからであり、上記平均膜厚が上記範囲を超える場合は、カラーフィルタを薄膜に形成することが困難となるからである。
【0051】
(2)透明基板
本態様に用いられる透明基板は、上記透明基板上に上述した着色層を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0052】
このような透明基板としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができ、例えば具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。特に無アルカリガラスは信頼性とコストの点で好ましい。また、上記透明基板の膜厚等については、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0053】
(3)その他の部材
本態様のカラーフィルタは、上述した着色層および透明基板を有しているのであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加することが可能である。このような部材としては、上記着色層上に形成される透明保護層や透明電極層等を挙げることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0054】
(a)透明保護層
本態様に用いられる透明保護層は、上記着色層上に形成されるものであり、上記着色層を保護し、かつ平坦性を付与するものである。
【0055】
このような透明保護層に用いられる材料としては、透明性を有し、かつ、上記着色層上に透明保護層を形成することが可能であれば特に限定されるものではないが、なかでも、上記着色層の屈折率よりも、上記透明保護層の屈折率を高くすることが可能な材料であることが好ましい。本態様においては、上述したように、上記着色層表面が複数の凹凸を有することにより、上記液晶層から上記着色層へと進む光の屈折回数を増やし、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることによって、光路長を長くし、これによって光を減衰させるものである。上記透明保護層は、上記液晶層および着色層の間に形成されるものであることから、上記透明保護層の屈折率を上記着色層の屈折率よりも高くすることにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることが可能である。
【0056】
このような透明保護層の材料としては、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよいが、無機材料であることがより好ましい。上記透明保護層の材料として無機材料を用いることにより、上記着色層の屈折率よりも、上記透明保護層の屈折率を高いものとすることが可能であり、両者の屈折率差をより大きなものとすることが可能である。
【0057】
このような無機材料としては、SiO2、ITO、IZO、SiOxNy(xおよびyについては任意の数)、SiNx(xについては任意の数)、AZOなどが挙げられる。
【0058】
本態様において、上記透明保護層の材料として透明樹脂等の有機材料を用いる場合は、一般的なカラーフィルタの透明保護層に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0059】
(b)透明電極層
本態様のカラーフィルタにおいては、上記着色層上に透明電極層を有していてもよい。このような透明電極層は、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際に液晶を駆動させるために用いるものである。
【0060】
上記透明電極層としては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができ、例えばITO等の蒸着膜からなるものである。上述したように本態様においては、上記着色層上に上記着色層の屈折率よりも高い屈折率を有する層を形成することにより、上記着色層表面の凹凸による作用効果をより大きく発揮することができることから、無機材料からなる上記透明電極層を形成することは好ましい。また、上記透明電極層は、上記透明保護層としても用いることが可能である。
【0061】
また、上記透明電極層は、上記透明保護層上に別途形成することも可能である。この場合は、上記透明電極層の屈折率が上記透明保護層の屈折率よりも大きくなることが好ましい。これにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることができるからである。
【0062】
(c)その他の部材
本態様のカラーフィルタは上記透明保護層や上記透明電極層の他にも、必要な部材を適宜追加することができる。このような部材としては、例えば、画素を区画するために各着色層間に形成される遮光部等を挙げることができる。上記遮光部については、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0063】
また上記部材としては、図10に示すように、透明基板1と、着色層2との間に形成され、着色層2表面に複数の凹凸を付与するために形成される透明凹凸部材4を挙げることができる。透明凹凸部材4は、着色層2表面に形成される複数の凹凸と同様の複数の凹凸を有するものである。透明凹凸部材4を有することにより、透明凹凸部材4上に形成される着色層2表面も同様の複数の凹凸を有することが可能であることから、着色層2表面の複数の凹凸を容易に形成することが可能となる。
なお、図10は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図であり、図10において説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0064】
上記透明凹凸部材の材料および形成方法については、一般的なカラーフィルタに用いられる透明樹脂部材に用いられる材料および形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
(4)カラーフィルタの製造方法
本態様のカラーフィルタの製造方法としては、上記着色層を有するカラーフィルタを製造することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、インクジェット法を用いて、着色層形成用塗工液を複数回吐出することにより上記着色層を形成する方法や、フォトリソグラフィー法を用いて上記着色層を形成する方法等を挙げることができる。本態様においては、なかでもフォトリソグラフィー法を用いた方法であることが好ましい。
【0066】
また、上記着色層をフォトリソグラフィー法を用いて形成する方法としては、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる方法と同様とすることができ、例えば後述する「B.カラーフィルタの製造方法」の項で記載する製造方法を一例として挙げることができる。
【0067】
2.第2態様のカラーフィルタ
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするものである。
【0068】
ここで、本態様における着色層表面に形成される複数の凹凸について、図を用いて説明する。図11は、本態様のカラーフィルタの一例を示す模式図であり、図12は図11のX−X断面の概略断面図である。なお、図11および図12において説明していない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様における着色層2表面に形成される複数の凹凸は、図11に示すように、カラーフィルタ平面の垂直方向Yに対して45°の角度を有する光L6が着色層2へ入射した際に、光L6が着色層2表面を2回通るように形成されるものである。なお、図11においては、カラーフィルタ10の水平方向を水平方向Xで示している。
また、ここで、「光が着色層表面を少なくとも2回通る」とは、図12に示すように、上述した光L6が、カラーフィルタの着色層2表面において、少なくとも1回、凹凸状に形成された着色層2の凸部へ入射したのち、再び着色層2表面側の外部へと出射されることを指すものである。
【0069】
本態様においては、上記複数の凹凸としては、上述したように、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているのであれば特に限定されるものではない。このような複数の凹凸としては、規則的なパターンを有するように形成されていてもよいし、上記複数の凹凸がランダムに形成されていてもよい。
なお、上記複数の凹凸が規則的なパターンを有する態様については、「1.第1態様のカラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。以下、本態様においては、上記複数の凹凸がランダムに形成されている態様について説明する。
【0070】
ここで、「上記複数の凹凸がランダムに形成されている」とは、上記複数の凹凸が規則的なパターンを有さずに形成されている状態を指し、より具体的には、上記複数の凹凸が、複数の図形が規則性を有しないように配列されたパターンを有するように形成されている状態、上記凹凸の半値幅やピッチ幅が異なるように凹凸が形成されている状態、上記複数の凹凸の凸部の高さが均一とならないように形成されている状態等を挙げることができる。
【0071】
このような上記複数の凹凸の平均半値幅は、本態様のカラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記複数の凹凸の平均半値幅が上記範囲を超える場合は、本態様のカラーフィルタが上記着色層表面に上記複数の凹凸を有していたとしても、カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難であるからであり、上記複数の凹凸の平均半値幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難となるからである。
ここで、上記複数の凹凸の平均半値幅は、上記カラーフィルタの任意の位置の50×50ピクセルでの半値幅の平均値を指す。なお、半値幅については、「1.第1態様のカラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
上記複数の凹凸の平均ピッチ幅については、本態様のカラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではなく、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記平均ピッチ幅が上記範囲を超える場合は、本態様のカラーフィルタが上記着色層表面に上記複数の凹凸を有していたとしても、カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難となるからであり、上記平均ピッチ幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。
なお、上記複数の凹凸の平均ピッチ幅は、カラーフィルタの任意の位置の50×50ピクセルにおける着色層表面に形成される複数の凹凸のうち、1の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離の平均値、もしくは、1の凹部の中心から隣接する凹部の中心までの距離の平均値を指すものである。
【0073】
本態様のカラーフィルタの製造方法としては、上記着色層を有するカラーフィルタを製造することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、インクジェット法を用い、着色層形成用塗工液を複数回吐出して着色層を形成する方法や、フォトリソグラフィー法を用いて上記着色層を形成する方法等を挙げることができる。
【0074】
本態様のカラーフィルタにおいては、上記の点以外については、上記第1態様のカラーフィルタと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0075】
B.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを有することを特徴とするものである。
【0076】
本発明の液晶表示装置としては、例えば図5(a)に示すような液晶表示装置を一例として示すことができる。なお、図5(a)については、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0077】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置が斜め方向から観察された場合であっても、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0078】
本発明の液晶表示装置は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを有しているのであれば特に限定されるものではないが、通常は、カラーフィルタの他に、液晶層、対向基板、偏光板、およびバックライト等を有するものである。上記カラーフィルタについては、「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0079】
本発明に用いられる対向基板としては、本発明における液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0080】
なお、上記液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定されるものではなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、および、MVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
【0081】
本発明における液晶層は、カラーフィルタおよび対向基板間に設けられるものである。液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0082】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタおよび対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタおよび対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0083】
本発明に用いられる偏光板およびバックライトについては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
本発明における液晶表示装置は、上述した部材を有する構成とすることができるが、このような構成に限られるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0085】
本発明の液晶表示装置においては、白表示状態とした際の輝度をTon、黒表示状態とした際の輝度をToffとしたとき、Ton/Toffの比で表わされるコントラストが500以上、中でも800以上、特に1000以上であることが好ましい。上記範囲に満たない場合、コントラストが低く、表示品位が損なわれる可能性があるからである。
【0086】
C.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程では、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とする製造方法である。
【0087】
本発明のカラーフィルタの製造方法について図を用いて説明する。
図13は、本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図13に示すように、本発明のカラーフィルタの製造方法は、遮光部3が形成された透明基板1上に、赤色着色層形成用塗工液を塗布して、赤色着色層形成用層2R’を形成する(図13(a))着色層形成用層形成工程と、所定のパターンを有するスリットマスク5を用いて、赤色着色層形成用層2R’に露光光6を照射して露光を行い(図13(b))、次いで現像することによって、赤色着色層2Rを形成する(図13(c))着色層形成工程とを有する製造方法である。また、形成された赤色着色層2Rは、赤色着色層2R表面に、規則的なパターン状に形成された複数の凹凸を有するものである。
他の色の着色層についても、上記赤色着色層2Rと同様に形成することにより、複数色の着色層2(図13(d)では、赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0088】
なお、図13においては、複数色の着色層のうち赤色着色層をはじめに形成する例について示しているが、着色層を形成する順番については特に限定されるものではない。
【0089】
次に、本発明に用いられるスリットマスクについて説明する。図14は、本発明に用いられるスリットマスクの一例を示す概略平面図である。本発明における「スリットマスク」とは、カラーフィルタの製造時において、着色層形成用層を露光する際に用いられるものであり、図14に示すように、着色層表面に規則的なパターン状に形成される複数の凹凸に対応するパターンを有するスリット部分(図14では、破線部分)5aを有するものである。また、スリット部分5aにおいては、着色層の複数の凹凸の凹部に対応する領域に開口部5bを有するものである。
【0090】
本発明によれば、上記着色層形成工程で、着色層表面に上記凹凸を形成することが可能となることから、本発明により製造されたカラーフィルタを用いた液晶表示装置では、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高いものとすることが可能となる。以下、各工程について説明する。
【0091】
(1)着色層形成用層形成工程
本工程は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する工程である。
【0092】
本工程に用いられる着色層形成用塗工液は、通常は、上記「A.カラーフィルタ」の項で説明した着色層の材料と溶剤とを含有するものである。上記溶剤については、一般的なカラーフィルタの着色層を形成する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0093】
本工程に用いられる透明基板については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0094】
本工程に用いられる着色層形成用塗工液の塗布方法としては、上記着色層形成用層を均一な膜厚で形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には、スピンコート法やダイコート法等を挙げることができる。中でも好適に用いられる方法としては、スピンコート法が挙げられる。
【0095】
本工程により形成される着色層形成用層の厚みとしては、後述する着色層形成工程において、上記着色層表面に所定の複数の凹凸を形成することが可能であり、かつ、本発明により製造されるカラーフィルタを用いて良好な画像表示を行うことができる程度の厚みとすることができれば特に限定されるものではなく、例えば後述する着色層形成工程で形成される上記着色層表面の複数の凹凸の凸部の高さに合わせて調整されるものである。
【0096】
(2)着色層形成工程
本工程は、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する工程であり、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的な複数の凹凸を有する上記着色層を形成する工程である。
【0097】
本工程に用いられるスリットマスクは、上記着色層表面に規則的なパターン状の凹凸を形成するため、上記規則的なパターンが形成されたスリット部分を有するものである。上記スリット部分に形成される規則的なパターンについては、「A.カラーフィルタ」の第1態様のカラーフィルタの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
本工程に用いられる露光光、および現像液等については一般的なカラーフィルタを製造する際に用いられる露光光、および現像液等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0099】
本工程により形成される着色層については、「A.カラーフィルタ」の第1態様のカラーフィルタの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0100】
(3)その他の工程
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述した着色層形成用層形成工程、および着色層形成工程を有する製造方法であれば特に限定されず、必要な工程を適宜追加することができる。このような工程としては、例えば、透明基板上に遮光部を形成する工程、上記着色層上に透明有機膜または透明無機膜を形成する工程等を挙げることができる。これらの工程については、一般的なカラーフィルタの製造方法に用いられる工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0102】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて説明する。
【0103】
[実施例1]
(共重合樹脂溶液の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0104】
(硬化性樹脂組成物の調製)
次に下記材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物を得た。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%) 16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399) 24質量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) 4質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン-1−オン
4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 52質量部
【0105】
(遮光部の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料 23質量部
・高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111) 2質量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) 75質量部
【0106】
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用組成物を得た。
<遮光部用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液 61質量部
・硬化性樹脂組成物 20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 30質量部
【0107】
透明基板として厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株) AN材)上に上記遮光部用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光部形成用層を形成した。当該遮光部形成用層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成した。
【0108】
(着色層の形成)
上記のようにして遮光部を形成した透明基板上に、下記組成の赤色着色層形成用塗工液をスピンコーティング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥して赤色着色層形成用層を得た。次いで、赤色着色層形成用層から100μmの距離にスリットマスク(凹凸形成用遮光部幅10μm)を配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて赤色着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色層形成用層の未硬化部分のみを除去した。その後、上記透明基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して図9(b)に示すような凹凸パターンを有する赤色着色層を形成した。なお、赤色着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さは、0.20μm、半値幅は10μmである。
次に、下記組成の緑色着色層形成用塗工液を用いて、赤色着色層と同様の工程で、図9(b)に示すような凹凸パターンを有する緑色着色層を形成した。
さらに、下記組成の青色着色層形成用塗工液を用いて、赤色着色層と同様の工程で、図9(b)に示すような凹凸パターンを有する青色着色層を形成した。これにより、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層を有するカラーフィルタを得た。
【0109】
<赤色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントレッド177(Chromofine Red 6605、大日精化工業社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル 82質量部
【0110】
<緑色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントグリーン36(Heliogen Green D9360、BASF社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0111】
<青色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6(Fastogen Blue EP-7、DIC社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0112】
[実施例2]
スリットマスクを変更して、各色の着色層について図9(c)に示す凹凸パターンを形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さ、および半値幅については実施例1と同様である。
【0113】
[実施例3]
スリットマスクを変更して、各色の着色層について図9(d)に示す凹凸パターンを形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さ、および半値幅については実施例1と同様である。
【0114】
[実施例4]
スリットマスクの凹凸形成用遮光部幅を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さは0.40μm、半値幅は20μmである。
【0115】
[比較例1]
スリットマスクをフォトマスクに変更して、着色層表面に凹凸の無い着色層を形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0116】
[評価]
得られたカラーフィルタについて以下に説明する斜め輝度測定を行った。図11に示すように、カラーフィルタ平面の垂直方向Yに対して45°の角度に輝度計(SR-3、トプコンテクノハウス社製)を設置し、カラーフィルタを挟んで反対側にバックライト(東芝株式会社製、商品名:メロウ5D FL10EX−D−H、色温度6500K)を設置した。カラーフィルタの上下に各1枚ずつ偏光板(SEG1425DU、日東電工株式会社製)を設置し、バックライトを点灯して偏光板の偏光軸が直交したときの輝度(L-cross)を測定した。結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例1〜実施例4については、比較例1に比べ、斜め方向での輝度が小さくなった。よって、着色層表面に複数の凹凸を形成した場合は、カラーフィルタの斜め方向での光漏れを抑制することができるものと考えられる。
【符号の説明】
【0119】
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 遮光部
4 … 透明凹凸部材
5 … スリットマスク
6 … 露光光
10 … カラーフィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置を斜め方向から観察した場合であっても、コントラストを高いものとすることが可能なカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図15に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび偏光板102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと偏光板102Bとの間に配置されている。
【0003】
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、ねじれネマチック方式(TN)、超ねじれネマチック方式(STN)、複数配向分割型垂直配向方式(MVA)、横型電解駆動方式(IPS)、および、OCB(Optically Compensated Bend)等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
【0004】
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
【0005】
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある(特許文献1)。この位相差フィルムを用いる方法は、例えば、図16に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび偏光板102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は、位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
【0006】
しかしながら、上記位相差フィルムを用いた場合であっても、斜め方向から液晶表示装置を観察した場合のコントラストを十分に高いものとすることは難しく、黒表示が明るく観察されてしまう、いわゆる黒浮きを抑制することは困難であるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−90532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶表示装置が斜め方向から観察された場合であっても、黒浮き等が発生せず高いコントラストで表示が可能なカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置、および上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0010】
本発明によれば、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合は、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光の進行方向を、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により種々の方向へと変化させることができるため、黒表示時に液晶表示装置の外部へと漏れる光を少なくすることができる。また上記複数の凹凸により、上記着色層表面付近では、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光を、上記液晶層から上記着色層へ入射させ、上記着色層を透過させて上記液晶層へ再び出射させる過程が複数回繰り返されることとなる。これにより、光の屈折回数を増加させることができるので、上記液晶層から上記着色層へ1回のみ入射した光に比べて、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることができ、バックライトからの光が上記液晶層および上記着色層を透過して外部へ出射されるまでの距離(光路長)を長くすることができる。よって、光路長を長くすることにより、光を減衰させることが可能となるため、斜め方向からの光漏れを抑制することができる。これにより、液晶表示装置に用いた際に、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高くすることが可能なカラーフィルタとすることができる。
【0011】
本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の高さが、0.05μm〜1.00μmの範囲内であることが好ましい。これにより、液晶表示装置のコントラストをより高くすることが可能なカラーフィルタを得ることが可能となる。
【0012】
本発明においては、上記複数の凹凸が、ストライプ状に形成されていることが好ましい。上記複数の凹凸を規則的に形成することが容易となるからである。
【0013】
本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記斜め方向のカラーフィルタの光漏れをより少なくすることが可能である。
【0014】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述したように、上記着色層表面が上記複数の凹凸を有することから、上記カラーフィルタが用いられた液晶表示装置においては、上記カラーフィルタの斜め方向からの光が液晶表示装置の外部へと漏れることを抑制することができる。また、上記着色層を透過する光の角度を大きなものとすることができる。これにより、光路長を長くして光を減衰させることができるため、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを抑制することができる。よって、液晶表示装置に用いた際に、コントラストを高いものとすることが可能なカラーフィルタとすることができる。
【0016】
また、本発明においては、上記複数の凹凸の凸部の平均半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れをより少なくすることが可能である。
【0017】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置は、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0019】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、上記複数の凹凸が、カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0020】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置は、斜め方向から観察された場合であっても、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0021】
本発明は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程では、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0022】
本発明によれば、上記着色層形成工程で、上記着色層表面に上記凹凸を形成することが可能となることから、本発明により製造されたカラーフィルタを用いた液晶表示装置では、斜め方向から観察された場合であっても、コントラストを高いものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記着色層表面に上述した複数の凹凸を有することから、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合、上記カラーフィルタの斜め方向から上記液晶層へ入射された光の進行方向を、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により種々の方向へと変化させることができるため、液晶表示装置の外部へと漏れる光を少なくすることができる。また、上記着色層表面に形成された複数の凹凸により、上記カラーフィルタの斜め方向から入射した光の上記液晶層および着色層間の入出射の回数を増やして、上記光の屈折回数を増加させることが可能となる。これにより、上記液晶層から上記着色層へ光が1回入射した場合に比べ、上記着色層を透過する光の角度を大きな角度とすることができることから、光路長を長くすることができる。よって、光路長を長くすることにより、光を減衰させることが可能となることから、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを抑制することが可能となる。よって、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置においては、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高いものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】一般的なカラーフィルタに用いられる着色層の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】一般的な液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図8】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図9】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略平面図である。
【図10】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す模式図である。
【図12】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図13】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図14】本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられるスリットマスクの一例を示す概略平面図である。
【図15】一般的な液晶表示装置の他の一例を示す概略図である。
【図16】位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のカラーフィルタ、液晶表示装置、およびカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0026】
A.カラーフィルタ
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するものであり、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有することを特徴とするものである。
【0027】
本発明のカラーフィルタについて、図を用いて説明する。図1は本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図1では、赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)とを有するものであり、着色層2表面に複数の凹凸を有するものである。また、カラーフィルタ10は、通常、画素を区画するための遮光部3が各着色層2間に形成されているものである。
【0028】
次に、本発明における着色層表面の複数の凹凸について、図を用いて説明する。なお、図2は、一般的なカラーフィルタに用いられる着色層を示すための概略断面図である。また、図3は、図1のA部分の拡大図である。なお、図2および図3における符号については、図1と同様とすることができるのでここでの説明は省略する。
図2に示すように、カラーフィルタに用いられる着色層2は、遮光部3の開口部に形成されるものである。また通常、着色層2の端部には、着色層2の形成時に着色層形成用塗工液が遮光部3の端部に付着することにより形成される凸部を有する着色層角部領域nが存在するものである。また本発明においては、説明のため、遮光部3の開口部に形成された着色層2のうち、着色層角部領域nを除いた領域を着色層中央部mとする。
本発明における「着色層表面の複数の凹凸」は、図3に示すように、着色層中央部mの着色層2表面に形成される複数の凹凸を指し、着色層角部領域nに形成される着色層表面の凸部については含まないものとする。また、図3に示すように、本発明における上記着色層表面の複数の凹凸の凸部の高さtは、透明基板表面からの凹凸の最大高さt1と最小高さt2との差(t1−t2)を指すものとする。
【0029】
次に、黒浮きが発生する理由について説明する。
図4は、液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。図4(a)に示すように、通常、液晶表示装置は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、2枚の偏光板の間に形成され、透明基板1、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図4では赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)、および各着色層2間に形成された遮光部3を有するカラーフィルタ、カラーフィルタと対向するように配置された対向基板20、および、カラーフィルタおよび対向基板20の間に形成された液晶層30からなる液晶セル101と、バックライト40とを有するものである。また、図4(b)は、図4(a)のB部分の拡大図である。なお、図4(b)においては、説明のため、バックライトおよび偏光板については省略して示している。
図4(b)に示すように、バックライトからの光は、液晶セル101の対向基板20を通って液晶層30に入射する。黒表示時においては、カラーフィルタの垂直方向へと進むバックライトからの光L1については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性により遮断されるため、画像観察側からは観察されないものとなる。
しかしながら、カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して進むバックライトからの光L2については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性によっても完全に遮断することが困難であるため、液晶表示装置の外部に漏れてしまう場合がある。このような光L2がカラーフィルタの斜め方向では観察されることから、黒表示が明るく見える黒浮きが発生するのである。
【0030】
次に、本発明のカラーフィルタにより黒浮きを抑制することが可能となる理由について説明する。
図5は、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。また、図5(b)および図5(c)は、図5(a)のC部分の拡大図である。なお、図5において用いられるカラーフィルタについては図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、カラーフィルタのその他の部材については、図4と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0031】
本発明のカラーフィルタを用いた場合も、図5(b)に示すように、カラーフィルタの垂直方向へと進むバックライトからの光L3については、液晶層30中の液晶のシャッター特性や、出射側偏光板の特性により遮断されるため、画像観察側からは観察されないものとなる。
一方、図示はしないが、上記カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して液晶層中を進む光については、上記着色層表面に形成された複数の凹凸によって、種々の方向へと進行方向が変化されるため、上記着色層表面に複数の凹凸を有しない場合に比べて、液晶表示装置の外部へと漏れる光が少なくなる。したがって、本発明においては黒浮きの発生を防止することができるものと考えられる。
【0032】
また、上記複数の凹凸による光漏れを防止する効果は、上記液晶層および着色層の屈折率がそれぞれ異なる場合に現れるものであるが、上記液晶層の屈折率が上記着色層の屈折率よりも大きい場合により強く現れるものである。この理由については明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、図5(b)に示すように、カラーフィルタの垂直方向に対してある程度の角度を有して進むバックライトからの光L4は、対向基板20を透過して液晶層30中を進み、着色層2へと入射する。ここで、本発明においては、着色層2表面に複数の凹凸を有することから、光L4は液晶層30から着色層2への入射および着色層2から液晶層30への出射を繰り返すこととなる。これにより、光L4の屈折回数が増加するため、図4(b)に示すように液晶層30から着色層2へ1回のみ入射した光L2に比べて、着色層2を透過する光L4の角度は大きくなることから、バックライトからの光L4が液晶層30および着色層2を透過して外部へ出射されるまでの距離(光路長)は長いものとなる。よって、光路長が長くなることにより、光L4は減衰されることから、斜め方向から観察されにくいものとなると考えられる。
【0033】
また上述したように、本発明においては、着色層を透過する光の角度を大きくすることができるため、図5(c)に示すように、着色層2を透過する光L5が液晶パネルの外部へ出射する前に、着色層2に隣接する遮光部3に光L5を吸収させることが可能となることからも、カラーフィルタの斜め方向へ進む光量を減らすことができると考えられる。
以上から、本発明のカラーフィルタを用いることにより、黒浮きを抑制することが可能となると考えられる。
【0034】
なお、上記着色層上に隣接する部材は、上記着色層の屈折率よりも屈折率が高くなるようにすることが好ましい。本発明においては、上述したように、上記着色層表面が複数の凹凸を有することにより、上記着色層内へと進む光の屈折回数を増やし、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることによって、光路長を長くし、これによって光を減衰させるものである。よって、上記隣接する部材の屈折率を上記着色層の屈折率よりも高くすることにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることが可能となるからである。
【0035】
本発明のカラーフィルタは、上記複数の凹凸の形状により2つの態様に分けて考えることができる。以下、各態様についてそれぞれ説明する。
【0036】
1.第1態様のカラーフィルタ
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするものである。
以下、本態様に用いられる各部材について説明する。
【0037】
(1)着色層
本態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成されるものであり、上記着色層表面に複数の凹凸を有するものである。また、上記複数の凹凸は規則的なパターン状に形成されているものである。
まず、上記着色層表面に形成される複数の凹凸について説明する。
【0038】
(a)着色層表面の複数の凹凸
本態様において、上記着色層表面の複数の凹凸(以下、単に凹凸と称する場合がある。)は、規則的なパターン状に形成されているものである。
ここで、「規則的なパターン」とは、同一図形の繰り返しによるものであり、各凸部の高さ、ピッチ幅等が一定の値となるように形成されているものである。
【0039】
上記着色層表面に形成される凹凸が有する規則的なパターンとしては、本態様のカラーフィルタに入射した光を複数回屈折させることにより、光路長を長くして、斜め方向のカラーフィルタの光漏れを防止することが可能であるならば特に限定されるものではない。このような凹凸の規則的なパターンとしては、図6(a)に示すような同心円や、図6(b)に示すような四角形の同心図形等の同心図形状、図7に示すようなドット状を挙げることができる。また、その他にも、ストライプ状、放射線状等や、上記複数の図形を組み合わせたパターン等を挙げることができる。
本態様においては、なかでも上記凹凸がストライプ状に形成されていることが好ましい。上記凹凸を規則的に形成することが容易であるからである。
【0040】
このようなストライプ状の凹凸としては、直線のストライプ状の他にも、図8(a)に示すようなジグザグ線のストライプ状、図8(b)に示すような波線のストライプ状であってもよい。
【0041】
本態様において、上記凹凸がストライプ状に形成されている場合、ストライプの方向については、用いられる液晶表示装置の用途により適宜選択することができる。例えば、液晶表示装置において、図9に示すように、カラーフィルタ10のx方向を長辺方向、y方向を短辺方向としたとき、カラーフィルタの長辺方向におけるコントラストのみを良好なものとする場合には、図9(a)に示すように、カラーフィルタの長辺方向に対して水平方向にストライプ状の凹凸を形成することが好ましく、カラーフィルタの短辺方向におけるコントラストのみを良好なものとする場合には、図9(b)に示すように、カラーフィルタの短辺方向に対して水平方向にストライプ状の凹凸を形成することが好ましい。また、カラーフィルタの長辺方向および短辺方向の両方向におけるコントラストを良好なものとする場合には、図9(c)や図9(d)に示すように、カラーフィルタの長辺のいずれか一方に対して鋭角を有するように、ストライプ状の凹凸を形成することが好ましい。
【0042】
このように、本態様においては、上記着色層表面の凹凸が有するパターンを変化させることにより、液晶表示装置の用途に合わせて、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを抑制し、黒表示時のコントラストを高いものとすることが可能である。
なお、図6〜図9は、本態様のカラーフィルタの一例を示す概略平面図であり、説明のため、着色層2に形成される凹凸の凸部については白抜きで示している。また、説明していない符号については、図1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
また、上記凹凸の凸部の高さとしては、上記カラーフィルタに入射した光の斜め方向の光漏れを抑制することができる程度であれば特に限定されるものではないが、0.05μm〜1.00μmの範囲内、なかでも0.10μm〜0.50μmの範囲内、特に0.15μm〜0.40μmの範囲内であることが好ましい。上記凹凸の凸部の高さが上記範囲に満たない場合は、上記着色層が上記凹凸を着色層表面に有していたとしても、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することが困難となるからである。また、上記凹凸の凸部の高さが上記範囲を超える場合は、着色層の平均膜厚が大きくなることから、近年要望されている薄膜のカラーフィルタを形成することが困難となるからである。
なお、上記凹凸の凸部の高さとは、上述したように、透明基板表面からの凹凸の最大高さと最小高さとの差を指すものである。
【0044】
また、上記凹凸の凸部の半値幅としては、本態様のカラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することができる程度の値であれば特に限定されるものではないが、具体的には、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に、15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記半値幅が上記範囲を超える場合は、本態様に用いられる着色層が上記凹凸を有していたとしても、上記カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難となる可能性があるからであり、上記半値幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。
なお、上記半値幅は、Zygo(NewViewTM7300s;Canon社製)により測定された値とする。
【0045】
上記凹凸のピッチ幅としては、本態様のカラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではないが、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記ピッチ幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。また、上記ピッチ幅が上記範囲を超える場合は、上記着色層表面に上記凹凸を形成したとしても、上記カラーフィルタの斜め方向の光漏れを抑制することが困難となる可能性があるからである。
なお、上記凹凸のピッチ幅とは、図3に示すように、着色層2表面に形成される複数の凹凸のうち、1の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離uの平均値、もしくは、1の凹部の中心から隣接する凹部の中心までの距離の平均値vを指すものである。また、図6〜図9においては、規則的なパターンの凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離uの平均値を指すものである。
【0046】
(b)着色層
次に、本態様に用いられる着色層について説明する。
本態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成されるものであり、通常、赤色、緑色、青色の3色からなる。
【0047】
各色の上記着色層は、画素に対応して規則的に配列される。上記着色層の配列としては、各色の上記着色層が巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
【0048】
上記着色層は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである。本態様における着色層に用いられる着色剤およびバインダ樹脂については一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0049】
また、着色層の形成方法としては、例えば着色剤をバインダ樹脂に混合、分散または可溶化させて着色層形成用塗工液を調製し、この着色層形成用塗工液を用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングする方法、あるいは、着色層形成用塗工液を用いてインクジェット法によりパターニングする方法が用いられる。
【0050】
本態様に用いられる着色層の平均膜厚としては、上記着色層表面に所定の凹凸を有することができ、かつ、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合に良好な画像表示を行うことができる程度の平均膜厚とすることができる程度であれば特に限定されるものではないが、0.5μm〜5.0μmの範囲内、なかでも1.0μm〜4.5μmの範囲内、特に1.5μm〜4.0μmの範囲内とすることが好ましい。上記平均膜厚が上記範囲に満たない場合は、着色層表面に所定の凹凸を形成することが困難となる可能性があるからであり、上記平均膜厚が上記範囲を超える場合は、カラーフィルタを薄膜に形成することが困難となるからである。
【0051】
(2)透明基板
本態様に用いられる透明基板は、上記透明基板上に上述した着色層を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0052】
このような透明基板としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができ、例えば具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。特に無アルカリガラスは信頼性とコストの点で好ましい。また、上記透明基板の膜厚等については、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0053】
(3)その他の部材
本態様のカラーフィルタは、上述した着色層および透明基板を有しているのであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加することが可能である。このような部材としては、上記着色層上に形成される透明保護層や透明電極層等を挙げることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0054】
(a)透明保護層
本態様に用いられる透明保護層は、上記着色層上に形成されるものであり、上記着色層を保護し、かつ平坦性を付与するものである。
【0055】
このような透明保護層に用いられる材料としては、透明性を有し、かつ、上記着色層上に透明保護層を形成することが可能であれば特に限定されるものではないが、なかでも、上記着色層の屈折率よりも、上記透明保護層の屈折率を高くすることが可能な材料であることが好ましい。本態様においては、上述したように、上記着色層表面が複数の凹凸を有することにより、上記液晶層から上記着色層へと進む光の屈折回数を増やし、上記着色層を透過する光の角度を大きくすることによって、光路長を長くし、これによって光を減衰させるものである。上記透明保護層は、上記液晶層および着色層の間に形成されるものであることから、上記透明保護層の屈折率を上記着色層の屈折率よりも高くすることにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることが可能である。
【0056】
このような透明保護層の材料としては、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよいが、無機材料であることがより好ましい。上記透明保護層の材料として無機材料を用いることにより、上記着色層の屈折率よりも、上記透明保護層の屈折率を高いものとすることが可能であり、両者の屈折率差をより大きなものとすることが可能である。
【0057】
このような無機材料としては、SiO2、ITO、IZO、SiOxNy(xおよびyについては任意の数)、SiNx(xについては任意の数)、AZOなどが挙げられる。
【0058】
本態様において、上記透明保護層の材料として透明樹脂等の有機材料を用いる場合は、一般的なカラーフィルタの透明保護層に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0059】
(b)透明電極層
本態様のカラーフィルタにおいては、上記着色層上に透明電極層を有していてもよい。このような透明電極層は、上記カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際に液晶を駆動させるために用いるものである。
【0060】
上記透明電極層としては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができ、例えばITO等の蒸着膜からなるものである。上述したように本態様においては、上記着色層上に上記着色層の屈折率よりも高い屈折率を有する層を形成することにより、上記着色層表面の凹凸による作用効果をより大きく発揮することができることから、無機材料からなる上記透明電極層を形成することは好ましい。また、上記透明電極層は、上記透明保護層としても用いることが可能である。
【0061】
また、上記透明電極層は、上記透明保護層上に別途形成することも可能である。この場合は、上記透明電極層の屈折率が上記透明保護層の屈折率よりも大きくなることが好ましい。これにより、上記着色層を透過する光の角度をより大きなものとすることができるからである。
【0062】
(c)その他の部材
本態様のカラーフィルタは上記透明保護層や上記透明電極層の他にも、必要な部材を適宜追加することができる。このような部材としては、例えば、画素を区画するために各着色層間に形成される遮光部等を挙げることができる。上記遮光部については、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0063】
また上記部材としては、図10に示すように、透明基板1と、着色層2との間に形成され、着色層2表面に複数の凹凸を付与するために形成される透明凹凸部材4を挙げることができる。透明凹凸部材4は、着色層2表面に形成される複数の凹凸と同様の複数の凹凸を有するものである。透明凹凸部材4を有することにより、透明凹凸部材4上に形成される着色層2表面も同様の複数の凹凸を有することが可能であることから、着色層2表面の複数の凹凸を容易に形成することが可能となる。
なお、図10は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図であり、図10において説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0064】
上記透明凹凸部材の材料および形成方法については、一般的なカラーフィルタに用いられる透明樹脂部材に用いられる材料および形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
(4)カラーフィルタの製造方法
本態様のカラーフィルタの製造方法としては、上記着色層を有するカラーフィルタを製造することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、インクジェット法を用いて、着色層形成用塗工液を複数回吐出することにより上記着色層を形成する方法や、フォトリソグラフィー法を用いて上記着色層を形成する方法等を挙げることができる。本態様においては、なかでもフォトリソグラフィー法を用いた方法であることが好ましい。
【0066】
また、上記着色層をフォトリソグラフィー法を用いて形成する方法としては、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる方法と同様とすることができ、例えば後述する「B.カラーフィルタの製造方法」の項で記載する製造方法を一例として挙げることができる。
【0067】
2.第2態様のカラーフィルタ
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、上記着色層が、上記着色層表面に複数の凹凸を有し、上記複数の凹凸が、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするものである。
【0068】
ここで、本態様における着色層表面に形成される複数の凹凸について、図を用いて説明する。図11は、本態様のカラーフィルタの一例を示す模式図であり、図12は図11のX−X断面の概略断面図である。なお、図11および図12において説明していない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様における着色層2表面に形成される複数の凹凸は、図11に示すように、カラーフィルタ平面の垂直方向Yに対して45°の角度を有する光L6が着色層2へ入射した際に、光L6が着色層2表面を2回通るように形成されるものである。なお、図11においては、カラーフィルタ10の水平方向を水平方向Xで示している。
また、ここで、「光が着色層表面を少なくとも2回通る」とは、図12に示すように、上述した光L6が、カラーフィルタの着色層2表面において、少なくとも1回、凹凸状に形成された着色層2の凸部へ入射したのち、再び着色層2表面側の外部へと出射されることを指すものである。
【0069】
本態様においては、上記複数の凹凸としては、上述したように、上記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が上記着色層へ入射した際に、上記光が上記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているのであれば特に限定されるものではない。このような複数の凹凸としては、規則的なパターンを有するように形成されていてもよいし、上記複数の凹凸がランダムに形成されていてもよい。
なお、上記複数の凹凸が規則的なパターンを有する態様については、「1.第1態様のカラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。以下、本態様においては、上記複数の凹凸がランダムに形成されている態様について説明する。
【0070】
ここで、「上記複数の凹凸がランダムに形成されている」とは、上記複数の凹凸が規則的なパターンを有さずに形成されている状態を指し、より具体的には、上記複数の凹凸が、複数の図形が規則性を有しないように配列されたパターンを有するように形成されている状態、上記凹凸の半値幅やピッチ幅が異なるように凹凸が形成されている状態、上記複数の凹凸の凸部の高さが均一とならないように形成されている状態等を挙げることができる。
【0071】
このような上記複数の凹凸の平均半値幅は、本態様のカラーフィルタの斜め方向の光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記複数の凹凸の平均半値幅が上記範囲を超える場合は、本態様のカラーフィルタが上記着色層表面に上記複数の凹凸を有していたとしても、カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難であるからであり、上記複数の凹凸の平均半値幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難となるからである。
ここで、上記複数の凹凸の平均半値幅は、上記カラーフィルタの任意の位置の50×50ピクセルでの半値幅の平均値を指す。なお、半値幅については、「1.第1態様のカラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
上記複数の凹凸の平均ピッチ幅については、本態様のカラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することができる程度であれば特に限定されるものではなく、5μm〜50μmの範囲内、なかでも10μm〜40μmの範囲内、特に15μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記平均ピッチ幅が上記範囲を超える場合は、本態様のカラーフィルタが上記着色層表面に上記複数の凹凸を有していたとしても、カラーフィルタの斜め方向からの光漏れを防止することが困難となるからであり、上記平均ピッチ幅が上記範囲に満たないような凹凸は形成することが困難であるからである。
なお、上記複数の凹凸の平均ピッチ幅は、カラーフィルタの任意の位置の50×50ピクセルにおける着色層表面に形成される複数の凹凸のうち、1の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離の平均値、もしくは、1の凹部の中心から隣接する凹部の中心までの距離の平均値を指すものである。
【0073】
本態様のカラーフィルタの製造方法としては、上記着色層を有するカラーフィルタを製造することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、インクジェット法を用い、着色層形成用塗工液を複数回吐出して着色層を形成する方法や、フォトリソグラフィー法を用いて上記着色層を形成する方法等を挙げることができる。
【0074】
本態様のカラーフィルタにおいては、上記の点以外については、上記第1態様のカラーフィルタと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0075】
B.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを有することを特徴とするものである。
【0076】
本発明の液晶表示装置としては、例えば図5(a)に示すような液晶表示装置を一例として示すことができる。なお、図5(a)については、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0077】
本発明によれば、上記カラーフィルタを有することにより、本発明の液晶表示装置が斜め方向から観察された場合であっても、コントラストの高いものとすることが可能となる。
【0078】
本発明の液晶表示装置は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを有しているのであれば特に限定されるものではないが、通常は、カラーフィルタの他に、液晶層、対向基板、偏光板、およびバックライト等を有するものである。上記カラーフィルタについては、「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0079】
本発明に用いられる対向基板としては、本発明における液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0080】
なお、上記液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定されるものではなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、および、MVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
【0081】
本発明における液晶層は、カラーフィルタおよび対向基板間に設けられるものである。液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、およびこれらの混合物を用いることができる。
【0082】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタおよび対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタおよび対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0083】
本発明に用いられる偏光板およびバックライトについては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
本発明における液晶表示装置は、上述した部材を有する構成とすることができるが、このような構成に限られるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0085】
本発明の液晶表示装置においては、白表示状態とした際の輝度をTon、黒表示状態とした際の輝度をToffとしたとき、Ton/Toffの比で表わされるコントラストが500以上、中でも800以上、特に1000以上であることが好ましい。上記範囲に満たない場合、コントラストが低く、表示品位が損なわれる可能性があるからである。
【0086】
C.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程では、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とする製造方法である。
【0087】
本発明のカラーフィルタの製造方法について図を用いて説明する。
図13は、本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図13に示すように、本発明のカラーフィルタの製造方法は、遮光部3が形成された透明基板1上に、赤色着色層形成用塗工液を塗布して、赤色着色層形成用層2R’を形成する(図13(a))着色層形成用層形成工程と、所定のパターンを有するスリットマスク5を用いて、赤色着色層形成用層2R’に露光光6を照射して露光を行い(図13(b))、次いで現像することによって、赤色着色層2Rを形成する(図13(c))着色層形成工程とを有する製造方法である。また、形成された赤色着色層2Rは、赤色着色層2R表面に、規則的なパターン状に形成された複数の凹凸を有するものである。
他の色の着色層についても、上記赤色着色層2Rと同様に形成することにより、複数色の着色層2(図13(d)では、赤色着色層2R、緑色着色層2G、および青色着色層2B)を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0088】
なお、図13においては、複数色の着色層のうち赤色着色層をはじめに形成する例について示しているが、着色層を形成する順番については特に限定されるものではない。
【0089】
次に、本発明に用いられるスリットマスクについて説明する。図14は、本発明に用いられるスリットマスクの一例を示す概略平面図である。本発明における「スリットマスク」とは、カラーフィルタの製造時において、着色層形成用層を露光する際に用いられるものであり、図14に示すように、着色層表面に規則的なパターン状に形成される複数の凹凸に対応するパターンを有するスリット部分(図14では、破線部分)5aを有するものである。また、スリット部分5aにおいては、着色層の複数の凹凸の凹部に対応する領域に開口部5bを有するものである。
【0090】
本発明によれば、上記着色層形成工程で、着色層表面に上記凹凸を形成することが可能となることから、本発明により製造されたカラーフィルタを用いた液晶表示装置では、斜め方向から観察された場合であっても、黒表示の視認性を向上させ、コントラストを高いものとすることが可能となる。以下、各工程について説明する。
【0091】
(1)着色層形成用層形成工程
本工程は、透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する工程である。
【0092】
本工程に用いられる着色層形成用塗工液は、通常は、上記「A.カラーフィルタ」の項で説明した着色層の材料と溶剤とを含有するものである。上記溶剤については、一般的なカラーフィルタの着色層を形成する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0093】
本工程に用いられる透明基板については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0094】
本工程に用いられる着色層形成用塗工液の塗布方法としては、上記着色層形成用層を均一な膜厚で形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には、スピンコート法やダイコート法等を挙げることができる。中でも好適に用いられる方法としては、スピンコート法が挙げられる。
【0095】
本工程により形成される着色層形成用層の厚みとしては、後述する着色層形成工程において、上記着色層表面に所定の複数の凹凸を形成することが可能であり、かつ、本発明により製造されるカラーフィルタを用いて良好な画像表示を行うことができる程度の厚みとすることができれば特に限定されるものではなく、例えば後述する着色層形成工程で形成される上記着色層表面の複数の凹凸の凸部の高さに合わせて調整されるものである。
【0096】
(2)着色層形成工程
本工程は、上記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する工程であり、上記マスクとしてスリットマスクを用いて、上記着色層表面に規則的な複数の凹凸を有する上記着色層を形成する工程である。
【0097】
本工程に用いられるスリットマスクは、上記着色層表面に規則的なパターン状の凹凸を形成するため、上記規則的なパターンが形成されたスリット部分を有するものである。上記スリット部分に形成される規則的なパターンについては、「A.カラーフィルタ」の第1態様のカラーフィルタの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0098】
本工程に用いられる露光光、および現像液等については一般的なカラーフィルタを製造する際に用いられる露光光、および現像液等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0099】
本工程により形成される着色層については、「A.カラーフィルタ」の第1態様のカラーフィルタの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0100】
(3)その他の工程
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述した着色層形成用層形成工程、および着色層形成工程を有する製造方法であれば特に限定されず、必要な工程を適宜追加することができる。このような工程としては、例えば、透明基板上に遮光部を形成する工程、上記着色層上に透明有機膜または透明無機膜を形成する工程等を挙げることができる。これらの工程については、一般的なカラーフィルタの製造方法に用いられる工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0102】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて説明する。
【0103】
[実施例1]
(共重合樹脂溶液の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0104】
(硬化性樹脂組成物の調製)
次に下記材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物を得た。
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%) 16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399) 24質量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) 4質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン-1−オン
4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 52質量部
【0105】
(遮光部の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料 23質量部
・高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111) 2質量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) 75質量部
【0106】
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用組成物を得た。
<遮光部用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液 61質量部
・硬化性樹脂組成物 20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 30質量部
【0107】
透明基板として厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株) AN材)上に上記遮光部用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光部形成用層を形成した。当該遮光部形成用層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成した。
【0108】
(着色層の形成)
上記のようにして遮光部を形成した透明基板上に、下記組成の赤色着色層形成用塗工液をスピンコーティング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥して赤色着色層形成用層を得た。次いで、赤色着色層形成用層から100μmの距離にスリットマスク(凹凸形成用遮光部幅10μm)を配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて赤色着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色層形成用層の未硬化部分のみを除去した。その後、上記透明基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して図9(b)に示すような凹凸パターンを有する赤色着色層を形成した。なお、赤色着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さは、0.20μm、半値幅は10μmである。
次に、下記組成の緑色着色層形成用塗工液を用いて、赤色着色層と同様の工程で、図9(b)に示すような凹凸パターンを有する緑色着色層を形成した。
さらに、下記組成の青色着色層形成用塗工液を用いて、赤色着色層と同様の工程で、図9(b)に示すような凹凸パターンを有する青色着色層を形成した。これにより、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層を有するカラーフィルタを得た。
【0109】
<赤色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントレッド177(Chromofine Red 6605、大日精化工業社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル 82質量部
【0110】
<緑色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントグリーン36(Heliogen Green D9360、BASF社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0111】
<青色着色層形成用塗工液の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6(Fastogen Blue EP-7、DIC社製) 10質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 3質量部
・硬化性樹脂組成物 5質量部
・酢酸−3−メトキシブチル 82質量部
【0112】
[実施例2]
スリットマスクを変更して、各色の着色層について図9(c)に示す凹凸パターンを形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さ、および半値幅については実施例1と同様である。
【0113】
[実施例3]
スリットマスクを変更して、各色の着色層について図9(d)に示す凹凸パターンを形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さ、および半値幅については実施例1と同様である。
【0114】
[実施例4]
スリットマスクの凹凸形成用遮光部幅を20μmに変更したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、各色の着色層表面に形成された複数の凹凸の凸部の高さは0.40μm、半値幅は20μmである。
【0115】
[比較例1]
スリットマスクをフォトマスクに変更して、着色層表面に凹凸の無い着色層を形成したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0116】
[評価]
得られたカラーフィルタについて以下に説明する斜め輝度測定を行った。図11に示すように、カラーフィルタ平面の垂直方向Yに対して45°の角度に輝度計(SR-3、トプコンテクノハウス社製)を設置し、カラーフィルタを挟んで反対側にバックライト(東芝株式会社製、商品名:メロウ5D FL10EX−D−H、色温度6500K)を設置した。カラーフィルタの上下に各1枚ずつ偏光板(SEG1425DU、日東電工株式会社製)を設置し、バックライトを点灯して偏光板の偏光軸が直交したときの輝度(L-cross)を測定した。結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例1〜実施例4については、比較例1に比べ、斜め方向での輝度が小さくなった。よって、着色層表面に複数の凹凸を形成した場合は、カラーフィルタの斜め方向での光漏れを抑制することができるものと考えられる。
【符号の説明】
【0119】
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 遮光部
4 … 透明凹凸部材
5 … スリットマスク
6 … 露光光
10 … カラーフィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有し、
前記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記複数の凹凸の凸部の高さが、0.05μm〜1.00μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記複数の凹凸が、ストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記複数の凹凸の凸部の半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有し、
前記複数の凹凸が、前記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が前記着色層へ入射した際に、前記光が前記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
前記複数の凹凸の凸部の平均半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、前記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、前記複数の凹凸が、カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が前記着色層へ入射した際に、前記光が前記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、
前記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法であって、
前記着色層形成工程では、前記マスクとしてスリットマスクを用いて、前記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有し、
前記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記複数の凹凸の凸部の高さが、0.05μm〜1.00μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記複数の凹凸が、ストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記複数の凹凸の凸部の半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、
前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有し、
前記複数の凹凸が、前記カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が前記着色層へ入射した際に、前記光が前記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
前記複数の凹凸の凸部の平均半値幅が、5μm〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、前記複数の凹凸が、規則的なパターン状に形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
透明基板と、前記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有し、前記着色層が、前記着色層表面に複数の凹凸を有しており、かつ、前記複数の凹凸が、カラーフィルタ平面の垂直方向に対して45°の角度を有する光が前記着色層へ入射した際に、前記光が前記着色層表面を少なくとも2回通るように形成されているカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
透明基板上に、着色層形成用塗工液を塗布し、着色層形成用層を形成する着色層形成用層形成工程と、
前記着色層形成用層をマスクを用いて露光した後、現像することにより着色層を形成する着色層形成工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法であって、
前記着色層形成工程では、前記マスクとしてスリットマスクを用いて、前記着色層表面に規則的なパターン状に複数の凹凸を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−191638(P2011−191638A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59244(P2010−59244)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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