説明

カリキュラム解析システム、及び方法

【課題】 学生などの受講生の真のニーズに対する推奨授業を提案する。
【解決手段】 カリキュラム解析・作成支援システム1は、複数の学生について、各学生のニーズに関する学生情報を記憶する在校生学生カルテ21と、複数の授業について、各授業により習得可能な能力に関する授業情報を記憶する教員・授業データベース23と、学生情報及び授業情報に基づいて、各学生のニーズと関連する能力の取得が可能な授業を、それぞれの学生に対する推奨授業として選定する推奨授業抽出部13と、選定された学生別の推奨授業を出力する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大学などの授業のカリキュラムを解析するための技術に関し、特に学生のニーズ、能力とカリキュラムとの適合度合いを解析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大学、企業内教育などの教育現場において、学生等の受講者が設定した目標レベルと受講者の実際のスキルレベルとのギャップを求め、それに基づいて各受講者に適した学習コースを推奨するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。このシステムでは、学習コースとスキル項目とは予め関連づけられていて、算出されたギャップの属するスキル項目との関連度の高い学習コースが推奨される。
【特許文献1】特開2004−37562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、具体的な目標を受講者自身が明示的に定めなければならないが、受講者自身が明確に目標を定めることができない場合もある。さらに、このシステムでは、既定のカリキュラムに受講者を当てはめて、既定の学習コースを推奨しており、受講者ニーズ等に基づいて、カリキュラムを評価、作成するような仕組みはない。
【0004】
そこで、本発明の目的は、学生などの受講者のニーズを的確に把握し、このニーズに対する推奨授業を提案することである。
【0005】
また、本発明の別の目的は、学生などの受講者のニーズを的確に把握し、これに適合するような授業改善を支援することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、学生などの受講者のニーズに対応するようなカリキュラムの構築を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様に従う推奨授業の選定システムは、複数の学生について、各学生のニーズに関する学生情報を記憶する記憶手段と、複数の授業について、各授業により習得可能な能力に関する授業情報を記憶する記憶手段と、前記学生情報及び前記授業情報に基づいて、各学生のニーズに関連する能力の取得が可能な授業を、それぞれの学生に対する推奨授業として選定する手段と、前記選定手段によって選定された学生別の推奨授業を出力する手段とを備える。
【0008】
好適な実施形態では、前記学生情報は、各学生の現時点での能力に関する情報をさらに含み、前記授業情報は、各授業で履修時に必要な能力に関する情報をさらに含無用にしてもよい。そして、前記推奨授業の選定手段は、さらに、前記現時点での能力及び前記履修時に必要な能力とに基づいて、推奨授業を選定するようにすることもできる。
【0009】
好適な実施形態では、前記複数の学生に対して行ったアンケートを分析し、前記学生情報を生成するアンケート分析手段と、前記複数の授業のシラバスを分析し、前記授業情報を生成するシラバス分析手段と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0010】
本発明の一実施態様に従うカリキュラム解析システムは、複数の在学生について、各在学生のニーズ及び能力に関する在学生情報を記憶する記憶手段と、複数の卒業生について、各卒業生の在学時におけるニーズ及び能力に関する情報及び卒業後の進路に関する卒業生情報を記憶する記憶手段と、複数の授業について、各授業により習得可能な能力及び履修時に必要な能力に関する授業情報を記憶する記憶手段と、前記在学生情報、前記卒業生情報及び前記授業情報に基づいて、それぞれの在学生、卒業生及び授業を所定の類似性を有する複数のグループに分類するグルーピング手段と、それぞれの在校生及び授業が、前記グルーピング手段により分類された複数のグループのいずれに属するかを判定し、その判定結果を出力する手段とを備える。
【0011】
好適な実施形態では、前記授業情報に基づいて、一の授業と他の授業との類似度を判定する手段と、前記類似度判定手段による判定結果に基づいて、授業改善提案を示す情報を出力する手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記授業情報に基づいて、一の授業と類似する授業及びその類似性を示す情報を出力する手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0013】
好適な実施形態では、前記グルーピング手段により分類されたグループについて、各グループに属する在学生の数、ニーズ及び能力を含む各グループの特性を示す情報を、グループ別に出力する手段をさらに備えるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るカリキュラム解析・作成支援システムについて、図面を用いて説明する。本システムは、大学、専門学校、企業内教育などにおいて、カリキュラムを学生などの受講者のニーズ及び能力に基づいて解析し、受講者のニーズ及び能力に適合するカリキュラムの作成を支援する。以下の実施形態では、大学におけるカリキュラムの解析・作成支援について説明する。
【0015】
図1は、本システムの全体構成を示す図である。本実施形態に係るカリキュラム解析・作成支援システム1は、例えばプロセッサ及びメモリなどを備えた汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する本システム内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0016】
本システム1は、在校生学生カルテ21と、卒業生学生カルテ22と、教員・授業データベース23と、解析データベース24とを備える。まず、これらの生成手順及び構成について説明する。
【0017】
在校生学生カルテ21は、在校生アンケート52と入学試験及び入学後の試験の成績53に基づいて生成される。そして、在学生が卒業すると、卒業した学生に関するデータが卒業生学生カルテ22へと引き継がれる。従って、卒業生学生カルテ22は、卒業生の在校時の学生カルテの内容を含む。さらに、卒業生に対しては卒業後の進路などに関する卒業生アンケート54を実施し、そのアンケートの結果が、卒業後の情報として付け加わる。以下の説明において、在校生学生カルテ21と卒業生学生カルテ22を併せて学生カルテと呼ぶことがある。
【0018】
在校生アンケート52は、例えば、各年度に1回、全在学生に対して実施したアンケートの結果のデータである。在校生アンケートは、例えば、質問に対して学生が自由に文書を書いて回答する記述式のアンケートである。このアンケートは、各学生のニーズを探るためのものである。そして、このアンケートの結果を文書解析部11が解析し、学生のニーズを抽出する。
【0019】
文書解析部11は、例えば、在校生アンケート52の回答に含まれる文書を形態素解析して形態素に分解する。さらに、ここで得られた形態素に対してクラスタ分析を行って、複数の形態素を複数のグループにグルーピングする。ここで、文書解析部11の処理概要について、図2を用いてさらに説明する。
【0020】
図2には、在校生アンケートの例と、これに対する文書解析部11の処理手順を示すフローチャートを示す。同図で例示するアンケートは、Webシステムを用いて対話形式で行うアンケートである。そして、このアンケートでは一つのテーマに関して3回ずつ質問をする。例えば、例1のように将来のキャリアに関する質問では、希望するキャリアについて直接的に質問した後、それはなぜかを2回繰り返して聞く。これにより、より本質的なニーズに関連する言葉を引き出すことができる(ラダリング)。本実施形態の在校生アンケートでは、学生の将来のキャリアに関するニーズ、及び今後習得したい能力に関するニーズを探し出すことを目的としているが、いずれか一方のニーズを探索するものであってもよい。
【0021】
図2の例1,例2の回答に対して、文書解析部11は同図に示すようなフローチャートに従った処理を実行する。すなわち、文書解析部11は、全学生のアンケートに対する回答を入力として、これらを形態素解析する(S11)。そして、文書解析部11は、全在校生のアンケート52を形態素解析した後、ここで得られた全単語(形態素)についてクラスタ分析を行う(S12)。ここで、クラスタ分析を行う前に、ユーザが予めクラスタ分析により分割するグループ数を設定しておくことができる(S13)。本実施形態では5グループ程度に分割する。
【0022】
そして、文書解析部11はクラスタ分析を行って、同時出現頻度の多い単語をグルーピングし、ステップS12で設定されたグループ数にグルーピングする(S14)。さらに、各グループにおける最頻出語を代表語とし、その代表語をそのグループ名として設定する(S15)。それぞれの学生別に、各グループに属する単語の使用頻度をカウントする(S16)。そして、グループ名及び学生別のカウント値を在校生学生カルテ21に格納する(S17)。
【0023】
ここで、在校生学生カルテ21及び卒業生学生カルテ22のデータ構造について図3を用いて説明する。在校生学生カルテ21及び卒業生学生カルテ22は、共通のデータ構造を有する。すなわち、同図の例では、ニーズに関する情報310と、能力に関する情報320と、卒業後キャリアに関する情報330と、座標340とをデータ項目として有する。そして、在校生学生カルテ21の場合、卒業後キャリアに関する情報330はブランクとなる。座標340には、後述する処理により座標値が格納される。
【0024】
ここで、ニーズに関する情報310としては、将来のキャリアニーズ311と、習得したい能力312に関するニーズとが含まれる。そして、将来のキャリアニーズ311及び習得したい能力312の個別の項目名(「人を育てたい」、「対人コミュニケーション力」など)、及びそれぞれの学生別項目別の出現頻度が文書解析部11によって設定される。能力に関する情報320は、成績53に基づいて設定される。
【0025】
次に、再び図1を参照して、教員・授業データベース23の生成手順について説明する。教員・授業データベース23は、シラバス51に基づいて生成される。つまり、教員が作成したシラバス51の文書を、文書解析部11が形態素解析及びクラスタ分析を行って、教員・授業データベース23を生成する。
【0026】
教員・授業データベース23のデータ構造について、図4を用いて説明する。すなわち、教員・授業データベース23は、それぞれの授業について、学生ニーズに関連する情報410と、学生の能力と関連する情報420と、学生の卒業後のキャリアとの親和性430と、座標440とを含む。
【0027】
学生ニーズに関連する情報410は、学生カルテ21,22のニーズに関する情報310と対応するように項目が設けられている。例えば、学生カルテ21,22の将来のキャリアニーズ311の各項目に対しては、各授業がそのキャリアニーズとどの程度親和するかを示すキャリアニーズとの親和性411が設けられ、学生カルテ21,22の習得したい能力312に対しては、各授業により習得可能な能力412が項目として設けられている。学生の能力に関する情報420及び学生の卒業後のキャリアとの親和性430は、それぞれ、学生カルテ21,22の能力に関する情報320及び卒業後キャリアに関する情報330と対応する個別項目が設けられている。後述するカリキュラム解析部12による処理では、それぞれ対応する個別の項目(例えば、学生カルテ21,22のキャリアニーズ311の「人を育てたい」と、教員・授業データベース23のキャリアニーズ411の「人を育てたい」)が、同じ変数として扱われる。
【0028】
また、学生の能力に関する情報420及び学生の卒業後のキャリアとの親和性430は、文書解析部11が自動生成した後にオペレータが修正してもよいし、別途手入力で設定するようにしてもよい。座標440には、後述する処理により座標値が格納される。
【0029】
改めて図1を参照すると、カリキュラム解析部12は、在校生学生カルテ21、卒業生学生カルテ22及び教員・授業データベース23に格納されているデータを解析して在校生、卒業生及び授業を、互いの類似性に基づいて分類し、その結果を解析結果データベース24へ格納する。本実施形態では、カリキュラム解析部12は、数量化理論に基づく数量化三類解析などを行う。カリキュラム解析部12の具体的な処理を、図5のフローチャートに従って説明する。
【0030】
まず、カリキュラム解析部12は、在校生学生カルテ21、卒業生学生カルテ22及び教員・授業データベース23に格納されているデータを参照し、数量化三類解析を行う。このとき、学生カルテ21,22の学生ニーズに関する情報310及び能力に関する情報320の個別項目と、教員・授業データベース23における学生ニーズに関連する情報410及び学生の能力に関する情報420の個別項目において、同一項目名同士を対応させ、各個別項目を数量化三類解析における同じ変数として扱う。ここでは、学生ニーズに関する情報310及び学生ニーズに関連する情報410の変数をニーズ変数、能力に関する情報320及び学生の能力に関する情報420の変数を能力変数と呼ぶ。
【0031】
まず、カリキュラム解析部12は、それぞれの変数間の相関度を計算する(S21)。そして、複数の軸の中から、各変数間の相関度を最もよく説明できる所定数の軸を選択する。本実施形態では、選択する軸の数を3軸(X軸、Y軸、Z軸)とする(S22)。
【0032】
ここで、各在校生、卒業生及び授業のそれぞれについて、上記の数量化三類解析により得たX軸、Y軸及びZ軸へ写像したときの各座標値を求める(S23)。そして、(X,Y,Z)のそれぞれの座標値を、在校生学生カルテ21、卒業生学生カルテ22及び教員・授業データベース23の座標340,440へ格納する。
【0033】
また、同様に、各変数についても、それぞれX軸、Y軸及びZ軸へ写像したときの各座標値を求める(S24)。そして、(X,Y,Z)のそれぞれの座標値を、解析結果データベース24へ格納する。
【0034】
ステップS23、S24で求めた各在校生等の座標値及び各変数の座標値についてクラスタ分析を行い、所定数のグループに分類する(S25)。ここで同一グループとなった在校生、卒業生、授業及び変数は、互いに共通の特徴ないし傾向を有し、類似性を有すると考えられる。そこで、各グループの重心に最も近い変数名をそのグループの名称として設定する(S26)。あるいは、各グループの重心に最も近い卒業生の職種と在校生の希望食酢の変数名を、そのグループの名称としてもよい。そして、それぞれのグループごとに、そのグループの名称、重心の座標値等を、解析結果データベース24に格納する。なお、このグループは、共通の特徴を有する授業等の集まりであるから、以下において「コース」と呼ぶことがある。
【0035】
ここで、解析結果データベース24のデータ構造の一例を図6に示す。解析結果データベース24には、グループテーブル25と、変数テーブル25とが含まれている。グループテーブル25は、グループ名251及びその重心252をデータ項目として有する。変数テーブル26は、ニーズ変数及び項目変数別に変数名(項目名)261と、座標値262とをデータ項目として有する。
【0036】
なお、上記数量化三類解析により求められた座標軸に対して、在校生、卒業生、授業及び変数の座標値をプロットした、ニーズ・能力マップ90の一例を図7に示す。本システム1は、ニーズ・能力マップ90を表示装置2に表示させ、プリンタ3で印刷することができる。なお、同図ではX−Yの2次元で表示した例を示す。この図では、クラスタリングによってグループ分けされたグループが3つ存在し、それぞれのグループは、教員コース91,エンジニアコース92,起業家コース93である。
【0037】
再び図1を参照すると、上述の処理によって生成された在校生学生カルテ21、卒業生学生カルテ22、教員・授業データベース23及び解析結果データベース24を用いて、推奨授業抽出部13、授業改善提案処理部14及びカリキュラム編成処理部15が、それぞれ、推奨授業シート100、授業改善シート200及びモデルカリキュラムシート300を生成して表示装置2に表示させ、プリンタ3を用いて出力させる。以下、推奨授業抽出部13、授業改善提案処理部14及びカリキュラム編成処理部15の処理について説明する。
【0038】
推奨授業抽出部13は、推奨授業シート100を生成する。推奨授業シート100の一例及びその処理手順を示すフローチャートを図8に示す。
【0039】
図8(a)のフローチャートに従うと、まず、推奨授業抽出部13は、在校生学生カルテ21に格納されている在校生の座標値340と、解析結果データベース24に格納されている各グループの重心の座標値252に基づいて、各在校生と最も距離が近いグループを特定する(S31)。
【0040】
また、推奨授業抽出部13は、在校生学生カルテ21に格納されている在校生の座標値340と、解析結果データベース24に格納されている各ニーズ変数及び能力変数の座標値262とに基づいて、各在校生と最も距離が近いニーズ変数及び能力変数を特定する(S32)。これと併せて、各授業との距離の逆数を、各推奨授業の推薦度として算出する。
【0041】
さらに、推奨授業抽出部13は、在校生学生カルテ21に格納されている在校生の座標値340と、教員・授業データベース23に格納されている各授業の座標値440とに基づいて、各在校生から距離が近い所定数の授業(ここでは10授業)を特定する(S33)。
【0042】
そして、上記それぞれの処理結果を含む、図8(b)に示す各在校生別の推奨授業シート100を生成する。すなわち、推奨授業シート100には、ステップS31で特定されたグループ(コース)名110と、ステップS32で特定されたニーズ変数及び能力変数120と、ステップS33で特定された10の推奨授業130とが含まれている。
【0043】
各在校生は、この推奨授業シート100により、現時点での自分のニーズ及び能力に合った授業を知ることができる。
【0044】
なお、推薦授業シート100は、卒業生に対しても作成可能である。この場合、社会人教育のための推薦授業の選定にも使用できる。
【0045】
次に、授業改善提案処理部14は、授業改善シート200を生成する。授業改善シート200の一例及びその処理手順を示すフローチャートを図9に示す。
【0046】
図9(a)のフローチャートに従うと、まず授業改善提案処理部14は、教員・授業データベース23に格納されている各授業の座標値440と、解析結果データベース24に格納されている各グループの重心の座標値252に基づいて、各授業と最も距離が近いグループを特定する(S41)。
【0047】
また、授業改善提案処理部14は、教員・授業データベース23に格納されている各授業の座標値440と、解析結果データベース24に格納されている各ニーズ変数及び能力変数の座標値262とに基づいて、各授業と最も距離が近いニーズ変数及び能力変数を特定する(S42)。これと併せて、各授業との距離の逆数を、各推奨授業の推薦度として算出する。
【0048】
さらに、授業改善提案処理部14は、教員・授業データベース23に格納されている各授業の座標値440に基づいて、一の授業と他の授業距離を算出し、距離が近い所定数の授業(ここでは10授業)を特定する(S43)。
【0049】
そして、上記それぞれの処理結果を含む、図9(b)に示す各授業別の授業改善シート200を生成する。すなわち、授業改善シート200には、ステップS41で特定されたグループ(コース)名210と、ステップS42で特定されたニーズ変数及び能力変数220と、ステップS43で特定された10の類似授業230とが含まれている。
【0050】
教員等は、この授業改善シート200によりシラバスを修正したり、類似する授業を担当する教員と連携をとったりすることができるようになる。
【0051】
次に、カリキュラム編成処理部15は、モデルカリキュラムシート300を生成する。モデルカリキュラムシート300の一例及びその処理手順を示すフローチャートを図10に示す。
【0052】
図10(a)のフローチャートに従うと、まずカリキュラム編成処理部15は、解析結果データベース24に格納されている各グループの重心の座標値252と、教員・授業データベース23に格納されている各授業の座標値440とに基づいて、各グループから距離が近い所定数の授業(ここでは10授業)を特定する(S51)。
【0053】
また、カリキュラム編成処理部15は、解析結果データベース24に格納されている各グループの重心の座標値252と、解析結果データベース24に格納されている各ニーズ変数及び能力変数の座標値262とに基づいて、各グループから距離が近い所定数のニーズ変数及び能力変数(ここでは各10変数)を特定する(S52)。
【0054】
さらに、カリキュラム編成処理部15は、在校生学生カルテ21に格納されている在校生の座標値340と、解析結果データベース24に格納されている各グループの重心の座標値252に基づいて、各在校生と最も距離が近いグループを特定し、各グループに属する学生数をカウントする(S53,S54)。
【0055】
そして、上記それぞれの処理結果を含む、図10(b)に示すモデルカリキュラムシート300を生成する。すなわち、モデルカリキュラムシート300には、ステップS51で特定された類似授業名310と、ステップS52で特定されたニーズ変数及び能力変数320と、ステップS53、S54でカウントされた学生数330とが含まれている。
【0056】
教務担当者等は、このモデルカリキュラムシート300を参考にして、専攻、学科等の再編を行い、カリキュラム体系を見直すことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、学生のニーズと能力のデータを用い、授業の開講前にカリキュラムの検証、最適化を行うことができる。また、個々の授業を担当する教員に対しては、各授業で満たすべきニーズを指摘し、授業改善指針を提示できる。さらに、各学生に対しては、履修すべき授業を推奨できるようになる。
【0058】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るカリキュラム解析・作成支援システムの全体構成を示す図である。
【図2】学生カルテの生成手順を説明する図である。
【図3】学生カルテのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】教員・授業データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】カリキュラム解析部12の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかる第一の実施形態における図である。
【図7】ニーズ・能力マップの一例を示す図である。
【図8】推奨授業シート及びその生成手順のフローチャートである。
【図9】授業改善シート及びその生成手順のフローチャートである。
【図10】モデルカリキュラムシート及びその生成手順のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…カリキュラム解析・作成支援システム、2…表示装置、3…プリンタ、11…文書解析部、12…カリキュラム解析部、21…在校生学生カルテ、22…卒業生学生カルテ、23…教員・授業データベース、24…解析結果データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の学生について、各学生のニーズに関する学生情報を記憶する記憶手段と、
複数の授業について、各授業により習得可能な能力に関する授業情報を記憶する記憶手段と、
前記学生情報及び前記授業情報に基づいて、各学生のニーズに関連する能力の取得が可能な授業を、それぞれの学生に対する推奨授業として選定する手段と、
前記選定手段によって選定された学生別の推奨授業を出力する手段とを備える推奨授業の選定システム。
【請求項2】
前記学生情報は、各学生の現時点での能力に関する情報をさらに含み、
前記授業情報は、各授業で履修時に必要な能力に関する情報をさらに含み、
前記推奨授業の選定手段は、さらに、前記現時点での能力及び前記履修時に必要な能力とに基づいて、推奨授業を選定することを特徴とする請求項1記載の推奨授業の選定システム。
【請求項3】
前記複数の学生に対して行ったアンケートを分析し、前記学生情報を生成するアンケート分析手段と、
前記複数の授業のシラバスを分析し、前記授業情報を生成するシラバス分析手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の推奨授業の選定システム。
【請求項4】
複数の在学生について、各在学生のニーズ及び能力に関する在学生情報を記憶する記憶手段と、
複数の卒業生について、各卒業生の在学時におけるニーズ及び能力に関する情報及び卒業後の進路に関する卒業生情報を記憶する記憶手段と、
複数の授業について、各授業により習得可能な能力及び履修時に必要な能力に関する授業情報を記憶する記憶手段と、
前記在学生情報、前記卒業生情報及び前記授業情報に基づいて、それぞれの在学生、卒業生及び授業を所定の類似性を有する複数のグループに分類するグルーピング手段と、
それぞれの在校生及び授業が、前記グルーピング手段により分類された複数のグループのいずれに属するかを判定し、その判定結果を出力する手段とを備えるカリキュラム解析システム。
【請求項5】
前記授業情報に基づいて、一の授業と他の授業との類似度を判定する手段と、
前記類似度判定手段による判定結果に基づいて、授業改善提案を示す情報を出力する手段をさらに備える請求項4記載のカリキュラム解析システム。
【請求項6】
前記授業情報に基づいて、一の授業と類似する授業及びその類似性を示す情報を出力する手段をさらに備える請求項4記載のカリキュラム解析システム。
【請求項7】
前記グルーピング手段により分類されたグループについて、各グループに属する在学生の数、ニーズ及び能力を含む各グループの特性を示す情報を、グループ別に出力する手段をさらに備える請求項4記載のカリキュラム解析システム。
【請求項8】
複数の在学生について、各在学生のニーズ及び能力に関する在学生情報を第1の記憶手段に記憶するステップと、
複数の卒業生について、各卒業生の在学時におけるニーズ及び能力に関する情報及び卒業後の進路に関する卒業生情報を第2の記憶手段に記憶するステップと、
複数の授業について、各授業により習得可能な能力及び履修時に必要な能力に関する授業情報を第3の記憶手段に記憶するステップと、
前記在学生情報、前記卒業生情報及び前記授業情報に基づいて、それぞれの在学生、卒業生及び授業を所定の類似性を有する複数のグループに分類するステップと、
それぞれの在校生及び授業が、前記分類された複数のグループのいずれに属するかを判定し、その判定結果を出力するステップとを有するカリキュラムを解析するための方法。
【請求項9】
コンピュータに実行されると、
複数の在学生について、各在学生のニーズ及び能力に関する在学生情報を第1の記憶手段に記憶するステップと、
複数の卒業生について、各卒業生の在学時におけるニーズ及び能力に関する情報及び卒業後の進路に関する卒業生情報を第2の記憶手段に記憶するステップと、
複数の授業について、各授業により習得可能な能力及び履修時に必要な能力に関する授業情報を第3の記憶手段に記憶するステップと、
前記在学生情報、前記卒業生情報及び前記授業情報に基づいて、それぞれの在学生、卒業生及び授業を所定の類似性を有する複数のグループに分類するステップと、
それぞれの在校生及び授業が、前記分類された複数のグループのいずれに属するかを判定し、その判定結果を出力するステップとを行うカリキュラム解析のためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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