説明

カルボキシ含有ピラゾールアミド化合物を製造するための新規な方法

【課題】医薬化合物の製造方法および製造中間体を提供することである。
【解決手段】本発明は、式(I)[式中、R、R、R、X、A、及びYは、本明細書に定義される通りである]の医薬的に許容される化合物を製造するための方法、並びに、いくつかの重要な中間体を製造するための方法とそれにより得られる生成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な医薬化合物とその製造に使用する中間体の製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2008/099145は、ヒト11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素(11βHSD1)阻害活性を保有して、それ故に代謝症候群が含まれる疾患状態の治療に有用であり、ヒトのような温血動物の治療の方法に有用である、様々な化学化合物又はその医薬的に許容される塩を開示する。本発明はまた、前記化合物の製造の方法に、それらを含有する医薬組成物に、そしてヒトのような温血動物において11βHSD1を阻害するための医薬品の製造におけるそれらの使用に関する。
【0003】
特に、式(1):
【0004】
【化1】

【0005】
[式中:
Q、R、R、R、X、Y、及びAは、WO2008/099145に定義される通りである]の化合物又はその医薬的に許容される塩は、例えば、式(2):
【0006】
【化2】

【0007】
[式中:R22は、アルキル又はアリール基であり、R、R、R、Q、A、及びXは、式(1)に関して定義される通りである]のエステルの加水分解によって製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、式(2)の中間体をラージスケールで生成するときには、その製造に関連したいくつかの問題があることがわかってきた。特に、式(2)のエステルの合成は、式(8):
【0009】
【化3】

【0010】
[式中、X、A、及びR22は、上記に定義される通りである]のような出発材料のエステルを特異的に生成することが求められる場合がある点で非常に長くなり得る。
さらに、例えば、WO2008/099145に推奨されるような、式(2)の化合物を得るための式(12):
【0011】
【化4】

【0012】
[式中、R、R、R、X’、及びQは、WO2008/099145に定義される通りである]の化合物と(8)の化合物の間の環化反応は、大量(例えば、メタノールのような溶媒の200相対量まで)を必要とする場合がある。そのような大量の反応は、非効率的であり、溶媒を浪費する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明により、式(I):
【0014】
【化5】

【0015】
[式中:
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールC1−3アルキル、ヘテロアリールC1−3アルキル、C3−7シクロアルキルC1−3アルキル、C3−7シクロアルキルC2−3アルケニル、又はC3−7シクロアルキルC2−3アルキニル[このそれぞれは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルS(O)−(ここでnは、0、1、2又は3である)、RCON(R5’)−、(R5’)(R5'')NC(O)−、R5’C(O)O−、R5’OC(O)−、(R5’)(R5'')NC(O)N(R5''')−、RSON(R5'')−、及び(R5’)(R5'')NSO−{ここでRは、ヒドロキシル、ハロ、又はシアノより選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよいC1−3アルキルであり;そして
5’とR5''は、水素と(ヒドロキシル、ハロ、C1−3アルコキシ、カルボキシ、及びシアノより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択されるか又は、R5’とR5''は、それらが付く窒素原子と一緒になって、4〜7員の飽和環を形成する}より独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい]であり;
は、ヘテロシクリル、C3−7シクロアルキル(CH−、及びC6−12ポリシクロアルキル(CH−(ここでmは、0、1又は2であり、該環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され;
は、水素、C1−4アルキルC3−5シクロアルキル、及びC3−5シクロアルキルメチル(このそれぞれは、1、2又は3のフルオロ原子によって置換されていてもよい)より選択され;
とRは、それらが付く窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、及びイオウより選択される1又は2の追加の環へテロ原子を含有してもよくて、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環式環へ縮合してもよい、飽和した単環、二環系、又は架橋の環系を形成し、ここで生じる環系は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよく;
とRは、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、R、RO−、RCO−、RC(O)O−、RCON(R9’)−、(R9’)(R9'')NC(O)−、(R9’)(R9'')N−、RS(O)−(ここでaは、0〜2である)、R9’OC(O)−、(R9’)(R9'')NSO−、RSON(R9'')−、(R9’)(R9'')NC(O)N(R9''')−、フェニル、及びヘテロアリール[ここで該フェニル及びヘテロアリール基は、窒素、酸素、及びイオウより独立して選択される1、2又は3のヘテロ原子を含有してもよい、ヘテロアリール、又は飽和又は部分飽和の5若しくは6員環、又はフェニルへ縮合してもよく、そして生じる環系は、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ハロ、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、アミノ、N−C1−4アルキルアミノ、ジN,N−(C1−4アルキル)アミノ、N−C1−4アルキルカルバモイル、ジN,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)−、C1−4アルキルS(O)1−4アルキル(ここでrは、0、1又は2である)より独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい]より独立して選択され;
は、(ヒドロキシル、ハロ、C1−4アルコキシ、カルボキシ、又はシアノによって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択され;
9’、R9''、及びR9'''は、水素と(ヒドロキシル、ハロ、C1−4アルコキシ、カルボキシ、及びシアノより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択され;
Aは、フェニル又はヘテロアリール環(該フェニル又はヘテロアリール環は、環炭素原子上で1、2又は3のR10基によって、そしてヘテロアリール基中の利用可能な環窒素上でR11によって置換されていてもよい)であり;
10は、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ハロ、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、アミノ、N−C1−4アルキルアミノ、ジN,N−(C1−4アルキル)アミノ、N−C1−4アルキルカルバモイル、ジN,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)−、C1−4アルキルS(O)1−4アルキル(ここでsは、0、1又は2である)より独立して選択され;
11は、独立して、1、2又は3のフルオロ原子によって置換されていてもよいC1−3アルキルであり;
Xは、直結合、C3−4シクロアルカンジイル、C3−4シクロアルカニリデン、−C(R12)(R13)−、−C(R12)(R13)C(R14)(R15)−、−CHO−、又は−CHS(O)−(ここでtは、0、1又は2である)であり:
Yは、直結合、C3−4シクロアルカンジイル、C3−4シクロアルカニリデン、−C(R16)(R17)−、又は−C(R18)(R19)C(R20)(R21)−であり;
ここでR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21は、水素及びメチルより独立して選択される]の化合物を製造するための方法を提供し;該方法は、
式(II):
【0016】
【化6】

【0017】
[式中、XとAは、式(I)に関して定義される通りである]の化合物を式(III):
【0018】
【化7】

【0019】
[式中、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、そしてX’は、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノのような)又は低級アルコキシ(メトキシ又はエトキシのような)のいずれかを表す]の化合物と反応させる工程と;
その後必要であるか又は望まれるならば、以下の工程:
i)式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程;
ii)あらゆる保護基を外す工程;
iii)鏡像異性体を分割する工程;
iv)その医薬的に許容される塩を生成する工程;及び
v)生成物を精製する工程の1以上を行うことを含む。
【0020】
この方法は、市販品であり得る、式(II)の酸より化合物を直接製造することを可能にする点で効率的であることが見出された。さらに、一般的にはメタノールのような有機溶媒中で行われるこの反応は、上記の化合物(8)として示すような式(II)の対応するエステルを使用する方法よりもずっと溶媒を必要としないようである。
【0021】
この方法は、好適には、例えば、メタノールのような好適な溶媒を使用して行う。典型的には、この反応は、周囲温度で行われるが、上昇温度、例えば、溶媒の還流温度を利用してよい。この反応は、以下の「実施例」で例解されるように、塩酸のような酸の存在下に行ってよい。
【0022】
当業者によく知られた、式(I)の化合物の式(I)の別の化合物への変換の例には、加水分解、水素化、水素化分解、酸化、又は還元のような官能基の相互変換、及び/又はアミド又は金属触媒化カップリングのような標準反応、又は求核置換反応によるさらなる官能化が含まれる。
【0023】
当該技術分野では、精製手順もよく理解されよう。好適には、生成物を水酸化ナトリウム水溶液のような水性基剤に溶かして、不溶性の不純物をトルエン抽出によって除去した後でこの溶液を酸性化して生成物を回収する精製工程を使用する。
【0024】
式(II)のヒドラジンは、化学文献に知られているか、又は当業者に知られた標準条件を使用して製造してよい。
式(III)の化合物はまた、例えばWO2008/099145に記載のような、当該技術分野で知られた方法によって製造してよい。それらは、好適には、式(IV):
【0025】
【化8】

【0026】
[式中、R、R、及びRは、上記に定義される通りである]の化合物を式(V):
【0027】
【化9】

【0028】
[式中、X’は、上記に定義される通りである]のアセタールと反応させることによって製造する。この反応は、好適には、有機溶媒において、85〜95℃の範囲の温度で行う。WO2008/099145は、1,4−ジオキサンの溶媒としての使用と、窒素下に高温(例えば、100℃)での処理に続く蒸発乾固により求められる生成物を入手することを示唆するが、出願人は、より環境に優しい溶媒、特にトルエン又はトルエン及びn−ヘプタンの混合物をこの段階で使用して、ヘプタンのような非溶媒(anti-solvent)の添加によって生成物を単離すれば、この方法がより実施し易くなり得ることを見出した。
【0029】
式(V)の化合物は、既知の化合物であるか、又は既知の化合物より慣用の方法によって製造してよい。
式(IV)の化合物は、例えば、WO2008/099145に例解されるように、様々なやり方で製造してよい。
【0030】
特別な態様において、式(IV)の化合物は、式(VI):
【0031】
【化10】

【0032】
[式中、Rは、上記に定義される通りであり、R23は、C1−4アルキルのようなアルキル基、特にエチルである]の化合物を式(VII):
【0033】
【化11】

【0034】
の化合物と反応させることによって製造する。
この反応は、トルエン又はキシレンのような有機溶媒において、例えば100〜110℃の範囲の上昇温度で実施する。式(IV)の化合物は、好適には、n−ヘプタンのような好適な非溶媒の添加によって単離する。式(VII)の化合物と式(VI)の化合物の反応は新規であって、本発明のさらなる側面を形成する。これは、蒸発乾固のような操作とジクロロメタンのようなハロカーボン試薬の使用を回避するので、式(IV)の化合物の生成のための先行方法に優って有利である。
【0035】
式(VII)の化合物は、好適には、例えば、式(VII)の化合物の塩(例えば、塩酸塩のような酸付加塩)の溶液への塩基の添加によって、溶媒中で in situ 産生される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図2】図2はDSCサーモグラムを示す図である。
【図3】図3は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図4】図4は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図5】図5は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図6】図6は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図7】図7は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図8】図8は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図9】図9は結晶のX線粉末回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上記に記載の反応は、当業者に知られた標準条件下で実施してよい。上記に記載の中間体は、市販されている、当該技術分野で知られている、又は既知の手順によって、及び/又は上記に示す手順によって製造してよい。
【0038】
本発明の化合物中の様々な環置換基のあるものは、上記に言及する方法に先立つか、又はその直後に標準的な芳香族置換反応によって導入しても、慣用の官能基修飾によって生成してもよく、それ自体も本発明の方法の側面に含まれると理解されよう。こうした反応及び修飾には、例えば、芳香族置換反応の手段による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、及び置換基の酸化が含まれる。こうした手順の試薬及び反応条件は、化学の技術分野においてよく知られている。芳香族置換反応の特別な例には、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えばハロゲン化アシル及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデル・クラフツ条件の下で使用するアシル基の導入;ハロゲン化アルキル及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデル・クラフツ条件の下で使用するアルキル基の導入;並びに、ハロゲノ基の導入が含まれる。特別な修飾の例には、例えば、ニッケル触媒を用いた接触水素化、又は塩酸の存在下に加熱しながら鉄で処理することによる、ニトロ基のアミノ基への還元;アルキルチオのアルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルへの酸化が含まれる。
【0039】
本明細書に言及される反応のいくつかでは、化合物中の鋭敏な基を保護することが必要である/望ましい場合があることも理解されよう。保護化が必要であるか又は望ましい例と保護化に適した方法は、当業者に知られている。慣用の保護基は、標準的な実践に従って使用してよい(例示として、T. W. Green,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1991)を参照のこと)。このように、アミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基が反応体に含まれるならば、本明細書に言及される反応のいくつかでは、該基を保護することが望ましい場合がある。
【0040】
アミノ又はアルキルアミノ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基、又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸、又はトリフルオロ酢酸のような好適な酸での処理により外してよく、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により、又はルイス酸、例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理によって外してよい。一級アミノ基に適した代わりの保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミンでの、又はヒドラジンでの処理により外してよい。
【0041】
ヒドロキシ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい。
【0042】
カルボキシ基に適した保護基は、例えばエステル化基(例えばメチル又はエチル基であり、これは、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基での加水分解によって外すことができる)、又は例えばtert−ブチル基(例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理により外すことができる)、又は、例えばベンジル基(例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外すことができる)である。
【0043】
保護基は、化学の技術分野でよく知られた慣用技術を使用して、合成中のどの好便な段階でも外してよい。
本明細書において、「アルキル」という用語には、直鎖と分岐鎖の両方のアルキル基が含まれるが、「プロピル」のような個々のアルキルへの言及は、直鎖バージョンだけに特定される。例えば、「C1−4アルキル」には、プロピル、イソプロピル、及びt−ブチルが含まれる。しかしながら、「プロピル」のような個々のアルキルへの言及は、直鎖バージョンだけに特定されて、「イソプロピル」のような個々の分岐鎖アルキル基への言及は、分岐鎖バージョンだけに特定される。同様の慣例が他の残基へ適用されるので、「C1−4アルコキシC1−4アルキル」には、1−(C1−4アルコキシ)プロピル、2−(C1−4アルコキシ)エチル、及び3−(C1−4アルコキシ)ブチルが含まれよう。「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0044】
任意選択の置換基が「1以上の」基より選択される場合、この定義には、この特定基の1つより選択されるすべての置換基、又は特定基の2以上より選択される置換基が含まれると理解されたい。
【0045】
4〜7員の飽和環(例えば、R5’とR5''とそれらが付く窒素原子の間で形成される)は、その窒素原子を唯一の環原子として含有する単環系の環である。
「ヘテロアリール」は、他に特定されなければ、そのうちの少なくとも1、2又は3の環原子が、窒素、イオウ、又は酸素より独立して選択される5若しくは6の原子を含有して、他に特定しなければ、炭素連結され得る、完全不飽和の単環式環である。環窒素原子は、酸化されて対応のN−オキシドを形成してもよい。「ヘテロアリール」という用語の例と好適な意義は、チエニル、フリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、及びピリジルである。特に、「ヘテロアリール」は、チエニル、フリル、チアゾリル、ピリジル、イミダゾリル、又はピラゾリルを意味する。
【0046】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、及びイオウより選択される1〜3の環ヘテロ原子を有する、4〜7員で飽和の単環式環である。環イオウは、SOへ酸化されてもよい。
3−7シクロアルキル環は、3〜7の環原子を含有する飽和の炭素環である。
【0047】
3−4シクロアルカンジイル環は、3又は4の環原子を含有する飽和した炭素環である。それは、残基が異なる環炭素原子上にあるジラジカルである。
3−4シクロアルカニリデン環は、3又は4の環原子を含有する飽和した炭素環である。それは、残基が同じ環炭素原子上にあるジラジカルである。
【0048】
ポリシクロアルキル環は、少なくとも2つの環が一緒に縮合しているか又は2つの環が1つの環原子を共有する(スピロ)環系である。
「窒素、酸素、及びイオウより選択される1又は2の追加の環ヘテロ原子を含有してもよい、飽和した単環系、二環系、又は架橋の環系」は、他に特定されなければ、4〜14の環原子を含有する。特に、単環は4〜7の環原子を含有し、二環系の環は6〜14の環原子を含有し、そして架橋の環系は6〜14の環原子を含有する。単環の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルが含まれる。二環式環の例には、デカリンと2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−1H−インデンが含まれる。
【0049】
架橋環系は、2以上の構成環に共通した2以上の結合がある環系である。架橋環系の例には、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及び7−アザビシクロ(2,2,1)ヘプタン、1及び2−アダマンタニルが含まれる。
【0050】
「飽和、部分飽和、又は不飽和の単環式環」は、他に特定しなければ、4〜7員環である。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、及びフェニルが含まれる。
【0051】
「窒素、酸素、及びイオウより独立して選択される1、2又は3のヘテロ原子を含有してもよい飽和又は部分飽和の5若しくは6員環」の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルが含まれる。
【0052】
「C1−4アルコキシ」の例には、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが含まれる。「C1−4アルコキシC1−4アルキル」の例には、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、及び2−プロポキシエチルが含まれる。「C1−4アルキルS(O)(ここでnは、0〜2である)」の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、及びエチルスルホニルが含まれる。「C1−4アルキルS(O)1−4アルキル(ここでqは、0〜2である)」の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メチルチオメチル、エチルチオメチル、メチルスルフィニルメチル、エチルスルフィニルメチル、メシルメチル、及びエチルスルホニルメチルが含まれる。「C1−4アルカノイル」の例には、プロピオニル及びアセチルが含まれる。「N−(C1−4アルキル)アミノ」の例には、メチルアミノ及びエチルアミノが含まれる。「N,N−(C1−4アルキル)アミノ」の例には、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、及びN−エチル−N−メチルアミノが含まれる。「C2−4アルケニル」の例は、ビニル、アリル、及び1−プロペニルである。「C2−4アルキニル」の例は、エチニル、1−プロピニル、及び2−プロピニルである。「N−(C1−4アルキル)カルバモイル」の例は、メチルアミノカルボニル及びエチルアミノカルボニルである。「N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル」の例は、ジメチルアミノカルボニル及びメチルエチルアミノカルボニルである。「C3−7シクロアルキルC1−3アルカルキル」の例には、シクロプロピメチル、2−シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、及びシクロヘキシルメチルが含まれる。「C3−7シクロアルキルC2−3アルカルケニル」の例には、2−シクロプロピルエテニル、2−シクロペンチルエテニル、及び2−シクロヘキシルエテニルが含まれる。「C3−7シクロアルキルC2−3アルカルキニル」の例には、2−シクロプロピルエチニル、2−シクロペンチルエチニル、及び2−シクロヘキシルエチニルが含まれる。
【0053】
「C3−7シクロアルキル(CH−」の例には、シクロプロピメチル、2−シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、及びシクロヘキシルメチルが含まれる。C6−12ポリシクロアルキル(CH−の例には、ノルボルニルビシクロ[2.2.2]オクタン(CH−、ビシクロ[3.2.1]オクタン(CH−、並びに、1及び2−アダマンタニル(CH−が含まれる。
【0054】
本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩は、例えば、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、又はマレイン酸との酸付加塩である。加えて、十分に酸性である本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、アンモニウム塩、又は生理学的に許容されるカチオンを提供する有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン、又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0055】
式(I)のある化合物は、キラル中心及び/又は幾何異性中心を有する場合があり(E及びZ−異性体)、本発明には、11βHSD1阻害活性を保有する、そのようなすべての光学異性体、ジアステレオ異性体、及び幾何異性体の製造が含まれると理解されたい。
【0056】
また、式(I)のある化合物は、非溶媒和型だけでなく、例えば、水和型のような溶媒和型でも存在する可能性があると理解されたい。本発明には、11βHSD1阻害活性を保有する、すべてのそのような溶媒和型の生成が含まれると理解されたい。
【0057】
式(I)の化合物の特別な例は、式(IA):
【0058】
【化12】

【0059】
[式中、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、R10は、水素、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルキルS−より選択される]の化合物である。別の側面において、R10は、水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、及びメチルチオより選択される。別の側面において、R10は、水素である。
【0060】
式(I)の化合物中の可変基の特別な意義は、以下の通りである。このような意義は、式(1)の化合物について上記又は下記に明確化される定義、特許請求項、又は態様のいずれでも適宜使用してよい。式(IA)の化合物については、R、R、及びRとその基内の可変基の定義を使用してよい。
【0061】
の定義
a)1つの側面において、Rは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、フルオロ、トリフルオロメチル、及びC1−3アルコキシより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキルである。
【0062】
b)別の側面において、Rは、C3−6シクロアルキルである。
c)別の側面において、Rは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、フルオロ、トリフルオロメチル、及びC1−3アルコキシより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよいC3−6シクロアルキルC1−2アルキルである。
【0063】
d)別の側面において、Rは、C3−4シクロアルキルC1−2アルキルである。
e)別の側面において、Rは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、フルオロ、トリフルオロメチル、及びC1−3アルコキシより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよいC1−4アルキルである。
【0064】
f)別の側面において、Rは、C1−4アルキルである。
g)別の側面において、Rは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、フルオロ、トリフルオロメチル、及びC1−3アルコキシより独立して選択される1又は2の置換基によって置換されていてもよいプロピルである。
【0065】
h)別の側面において、Rは、tert−ブチルである。
の定義
a)1つの側面において、Rは、C3−7シクロアルキル(CH−、及びC6−12ポリシクロアルキル(CH−(ここでmは、0、1又は2であり、該環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され、ここでmは、0、1又は2である。
【0066】
b)別の側面において、Rは、C5−7シクロアルキル(CH−及びC8−12ポリシクロアルキル(CH−(ここで該環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され、ここでmは、0、1又は2である。
【0067】
c)別の側面において、Rは、C5−7シクロアルキル(CH−、C7−10ビシクロアルキル(CH−、及びC10トリシクロアルキル(CH−(ここで該シクロアルキル、ビシクロアルキル、及びトリシクロアルキル環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され、ここでmは、0、1又は2である。
【0068】
d)なお別の側面において、Rは、C5−7シクロアルキル(CH−、C7−10ビシクロアルキル(CH−、及びアダマンチル(ここで該シクロアルキル、ビシクロアルキル、及びトリシクロアルキル環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され、ここでmは、0、1又は2である。
【0069】
e)なお別の側面において、Rは、アダマンチルである。
mの定義
a)1つの側面において、mは、0又は1である。
【0070】
b)別の側面において、mは0である。
の定義
a)1つの側面において、Rは、C1−4アルキルである。
【0071】
b)別の側面において、Rは、水素、メチル、又はエチルである。
c)別の側面において、Rは、水素である。
d)別の側面において、Rは、メチルである。
【0072】
e)別の側面において、Rは、エチルである。
f)別の側面において、Rは、シクロプロピルである。
一緒のR及びRの定義
a)別の側面において、RとRは、それらが付く窒素原子と一緒に、窒素、酸素、及びイオウより選択される1又は2の追加の環ヘテロ原子を含有してもよくて、飽和、部分飽和、又はアリールの単環系環へ縮合してもよい、飽和で5若しくは6員の単環系、6〜12員の二環系、又は6〜12員の架橋環系を形成して、生じる環系は、Rより独立して選択される1、2、又は3の置換基によって置換されていてもよい。
【0073】
の定義
a)1つの側面において、Rは、ヒドロキシル、RO−、RCO−、及びRC(O)O−より独立して選択され、ここでRは、上記に定義される通りである。
【0074】
b)別の側面において、Rは、ヒドロキシル、RO−、RCO−、及びRC(O)O−より独立して選択され、ここでRは、C1−4アルコキシ又はカルボキシによって置換されていてもよいC1−3アルキルである。
【0075】
c)別の側面において、Rは、RCON(R9’)−、RSON(R9'')−、及び(R9’)(R9'')NC(O)N(R9''')−より独立して選択され;ここでRは、上記に定義される通りである。
【0076】
d)別の側面において、Rは、RCON(R9’)−、RSON(R9'')−、及び(R9’)(R9'')NC(O)N(R9''')より独立して選択され;
は、C1−4アルコキシ又はカルボキシによって置換されていてもよいC1−3アルキルであり;
9’、R9''、及びR9'''は、水素と、C1−4アルコキシ又はカルボキシによって置換されていてもよいC1−3アルキルより独立して選択される。
【0077】
e)別の側面において、Rは、(R9’)(R9'')NC(O)−及び(R9’)(R9'')N−より独立して選択され;
ここでR9’とR9''は、上記に定義される通りである。
【0078】
f)別の側面において、Rは、(R9’)(R9'')NC(O)−及び(R9’)(R9'')N−より独立して選択され;
ここでR9’とR9''は、水素と、C1−4アルコキシ又はカルボキシによって置換されていてもよいC1−3アルキルより独立して選択される。
【0079】
g)1つの側面において、Rは、メチル、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メタンスルホニル、エタンスルホニル、メチルチオ、エチルチオ、アミノ、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N−プロピルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−メチルエチルアミノ、又はN,N−ジエチルアミノより選択される。
【0080】
h)別の側面において、Rは、置換されていてもよいフェニル、ピリジル、又はピリミジルである。
i)別の側面において、Rは、置換されていてもよいピリド−2−イル、ピリド−3−イル、又はピリド−4−イルである。
【0081】
の定義
a)別の側面において、Rは、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、R、及びRO−(ここでRは、上記に定義される通りである)より独立して選択される。
【0082】
b)別の側面において、Rは、ヒドロキシル、ハロ、トリフルオロメチル、R、及びRO−(ここでRは、上記に定義される通りである)より独立して選択される。
の定義
a)1つの側面において、Rは、C1−3アルキルより独立して選択される。
【0083】
9’、R9''及びR9'''の定義
a)1つの側面において、R9’、R9''及びR9'''は、水素及びC1−3アルキルより独立して選択される。
【0084】
Yの定義
a)1つの側面において、Yは、直結合、−CH−、及び−CHCH−より独立して選択される。
【0085】
b)1つの側面において、Yは、−CH−及び−CHCH−より独立して選択される。
c)別の側面において、Yは、直結合である。
【0086】
Aの定義
a)1つの側面において、Aは、R10によって置換されていてもよいフェニルである。
【0087】
b)別の側面において、Aは、R10及びR11によって置換されていてもよいヘテロアリールである。
c)別の側面において、Aは、R10及びR11によって置換されていてもよいチエニルである。
【0088】
d)別の側面において、Aは、R10及びR11によって置換されていてもよいピリジルである。
e)別の側面において、Aは、フェン−1,4−ジイルである。
【0089】
10の定義
a)1つの側面において、R10は、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ハロ、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルコキシC1−4アルキルより独立して選択される。
【0090】
b)別の側面において、R10は、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ハロ、メトキシ、エトキシ、メトキシメチル、及びエトキシメチルより独立して選択される。
【0091】
c)別の側面において、R10は、メチル、エチル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ハロ、メトキシ、エトキシより独立して選択される。
【0092】
11の定義
a)1つの側面において、R11は、C1−3アルキル、トリフルオロメチル、及びジフルオロメチルより独立して選択される。
【0093】
b)1つの側面において、R11は、メチル、エチル、トリフルオロメチル、及びジフルオロメチルより独立して選択される。
Xの定義
a)1つの側面において、Xは、直結合、−CH−、−CHMe−、−CMe−、−CHCH−、−CHO−、及び−CHS−より独立して選択される。
【0094】
b)1つの側面において、Xは、−CH−、−CHMe−、−CMe−、−CHCH−、−CHO−、及び−CHS−より独立して選択される。
c)別の側面において、Xは、シクロプロパニリデン、シクロブタニリデン、シクロプロパン−1,2−ジイル、及びシクロブタン−1,2−ジイルより独立して選択される。
【0095】
d)別の側面において、Xは、直結合である。
1つの側面において、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21は、水素である。
【0096】
1つの側面において、Rは、0の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、1の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、2の置換基によって置換されていてもよい。
【0097】
1つの側面において、Rは、3の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、0の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、1の置換基によって置換されていてもよい。
【0098】
1つの側面において、Rは、2の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、3の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、0の置換基によって置換されていてもよい。
【0099】
1つの側面において、Rは、1の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、2の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Rは、3の置換基によって置換されていてもよい。
【0100】
1つの側面において、RとRによって一緒に形成される基は、0の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、RとRによって一緒に形成される基は、1の置換基によって置換されていてもよい。
【0101】
1つの側面において、RとRによって一緒に形成される基は、2の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、RとRによって一緒に形成される基は、3の置換基によって置換されていてもよい。
【0102】
1つの側面において、Aは、0の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Aは、1の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、Aは、2の置換基によって置換されていてもよい。
【0103】
1つの側面において、Aは、3の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、R及びR中のフェニル及びヘテロアリール基は、独立して、0の置換基によって置換されていてもよい。
【0104】
1つの側面において、R及びR中のフェニル及びヘテロアリール基は、独立して、1の置換基によって置換されていてもよい。
1つの側面において、R及びR中のフェニル及びヘテロアリール基は、独立して、2の置換基によって置換されていてもよい。
【0105】
1つの側面において、R及びR中のフェニル及びヘテロアリール基は、独立して、3の置換基によって置換されていてもよい。
別の側面において、本発明は、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法に関し、該方法は、式(IIB):
【0106】
【化13】

【0107】
又はその塩を式(IIIB):
【0108】
【化14】

【0109】
の化合物と反応させる工程と、その後必要であるか又は望まれるならば、以下の工程:
i)その医薬的に許容される塩を生成する工程;及び
ii)生成物を精製する工程の1以上を行うことを含む。
【0110】
特別な側面において、このアリールヒドラジンは、塩酸塩である。
式(I)の化合物の特別な例は、4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸である。1つの側面において、これは、純粋な多形の形態で製造される。特に、この化合物は、CuKα放射線を使用して測定するときに、ピークが約2θ=16.2°にあるX線粉末回折パターンを有する結晶形(本明細書では、「4型」と呼ぶ)で存在する。好適には、この化合物は、少なくとも2つの特異ピークが約2θ=16.2°及び20.6°にある、例えば特異ピークが約2θ=16.2、20.6、及び17.7°にある、より特別には特異ピークが約2θ=16.2、20.6、17.7、10.8及び15.5°にある、そしてなおより特別には特異ピークが約2θ=16.2、20.6、17.7、10.8、15.5、20.9、26.1、11.6、26.7、及び18.1°にあるX線粉末回折パターンを有する結晶形で存在し、ここで前記数値のいずれも、プラス又はマイナス0.5°の2θであってよい。
【0111】
例えば、本化合物は、CuKα放射線を使用するときに、図1に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する結晶形で存在する。
表C
薬剤の4型の10個の最も顕著なX線粉末回折ピーク
【0112】
【表1】

【0113】
4型のDSC分析は、262.0℃でのピークに続く、312.0℃で開始する後続の融解を示す。4型のDSCサーモグラムを図2に図示する。このような形態は、下記に例示する方法を使用して入手可能である。
【0114】
別のより純粋な4型の試料は、図3に示すXPRDパターンを示した。d−スペーシングの位置を表Dに示す。
表D
4型のd−スペーシング
【0115】
【表2】

【0116】
本発明の別の側面は、1型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のTHF、水、及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0117】
本発明のなお別の側面は、1型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のTHF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0118】
本発明のなお別の側面は、1型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のDMF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0119】
本発明のなお別の側面は、1型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の酢酸及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0120】
本発明のなお別の側面は、1型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の2−メチルTHF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0121】
本発明の別の側面は、水和型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のTHF、水、及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0122】
本発明のなお別の側面は、水和型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のTHF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0123】
本発明のなお別の側面は、水和型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸のDMF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0124】
本発明のなお別の側面は、水和型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の酢酸及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0125】
本発明のなお別の側面は、水和型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の2−メチルTHF及びアセトニトリルからの再結晶化による、4型としての4−[4−(2−アダマンチル−カルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の製造に関する。
【0126】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.3及び5.5A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0127】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.3、5.5、13.1、及び7.2A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0128】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.3、5.5、13.1、7.2、及び5.0A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0129】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:5.5及び14.4A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0130】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:5.5、14.4、16.7、及び5.1A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0131】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:5.5、14.4、16.7、5.1,13.1、及び12.8A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0132】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:8.1及び13.2A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0133】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:8.1、13.2、17.9、及び5.9A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0134】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:8.1、13.2、17.9、5.9、6.4、及び5.0A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0135】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.2及び10.1A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0136】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.2、10.1、7.1、及び6.4A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0137】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:14.2、10.1、7.1、6.4,5.6、及び4.50A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0138】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:4.71及び6.3A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0139】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:4.71、6.3、7.6、及び4.12A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0140】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:12.7及び5.7A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0141】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:12.7、5.7、16.3、及び5.5A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0142】
本発明のなお別の側面は、以下のd−スペーシング値:12.7、5.7、16.3、5.5、及び4.23A(オングストローム)にピークがあるX線回折パターンを有する、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸の結晶形に関する。
【0143】
本発明を以下の実施例によって例解する。
実施例において使用する略語:
DCM=ジクロロメタン
DMF=ジメチルホルムアミド
MIBK=メチルイソブチルケトン
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル
TGA=熱重量分析
THF=テトラヒドロフラン
XRPD=X線粉末回折
【実施例】
【0144】
工程−1:
実施例1
(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミドの合成
【0145】
【化15】

【0146】
2−アダマンタンアミン塩酸塩(25.0g,0.13モル)の水(75.0ml,3.0相対容量)懸濁液へトルエン(100.0ml,4.0相対容量)を加えた。上記の溶液へ10.0(w/w)%の水酸化ナトリウム水溶液(1.25モル当量)を入れて、10〜15分間撹拌した。有機層を分離して、水層をトルエン(75.0ml,3.0相対容量)で再抽出して、分離した有機層と合わせた。この合わせた有機層を5.0(w/w)%の塩化ナトリウム溶液(75ml,3.0相対容量)で洗浄して、分離した。この有機層へピバロイル酢酸エチル(26.01g,0.15モル)を加えて、この反応物(reaction mass)を加熱して、110〜112℃で還流させた。溶媒(4〜5相対容量)を4〜5時間にわたり共沸的に回収した。この反応物を40〜45℃へ冷やして、n−ヘプタン(200.0ml,8.0相対容量)を35〜40℃で加えて、続いてDMF−DMA(26.45g,0.20モル)とトリエチルアミン(13.48g,0.13モル)を30〜35℃で加えた。この反応物の温度を90〜93℃へ高めて、2〜3時間維持した。副生成物として生じたメタノールは、この反応の間に共沸的に回収した。この反応物を20〜25℃へ冷やして、その温度で1.0時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過し、濾過ベッドをn−ヘプタン(100.0ml,4.0相対容量)で洗浄して、生成物を真空(50〜100ミリバール)下に35〜40℃で3〜4時間乾燥させて、(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド(収率86%)を得た。この生成物は、室温で不安定であることがわかったので、窒素雰囲気下に収容して、10℃未満で保存した。
【0147】
実施例2:
2−アダマンタンアミン塩酸塩(25.0g,0.13モル)の水(75.0ml,3.0相対容量)懸濁液へトルエン(100.0ml,4.0相対容量)を加えた。上記の溶液へ10.0(w/w)%の水酸化ナトリウム水溶液(1.25モル当量)を入れて、10〜15分間撹拌した。有機層を分離して、水層をトルエン(75.0ml,3.0相対容量)で再抽出して、分離した有機層と合わせた。この合わせた有機層を5.0(w/w)%の塩化ナトリウム溶液(75ml,3.0相対容量)で洗浄して、分離した。この有機層へピバロイル酢酸エチル(26.01g,0.15モル)を加えて、この反応物を加熱して、110〜112℃で還流させた。溶媒(4〜5相対容量)を4〜5時間にわたり共沸的に回収した。この反応物を40〜45℃へ冷やして、n−ヘプタン(200.0ml,8.0相対容量)を35〜40℃で加えて、続いてDMF−DMA(26.45g,0.20モル)を同じ温度で加えた。この反応物の温度を85〜90℃へ高めて、4〜5時間維持した。副生成物として生じたメタノールは、この反応の間に共沸的に回収した。この反応物を20〜25℃へ冷やして、その温度で1.0時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過し、濾過ベッドをn−ヘプタン(100.0ml,4.0相対容量)で洗浄して、生成物を真空(50〜100ミリバール)下に35〜40℃で3〜4時間乾燥させて、(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド(収率72%)を得た。この生成物は、室温で不安定であることがわかったので、窒素雰囲気下に収容して、10℃未満で保存した。
【0148】
クロマトグラフィー条件:
Sunfire C18,150x4.6mm,5μ、使用する移動相はメタノールを有機溶媒とするリン酸水素二ナトリウム緩衝液であり、流速1.0mL/分、注入量は20μLであり、ランタイムは20分であり、屈折率検出器を使用する。
【0149】
保持時間:
N−(2−アダマンチル)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド RT:11.0分。
【0150】
(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド RRT:1.18分。
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.13 (9H, s), 1.47 (2H, d), 1.69-1.83 (10H, m), 2.03 (2H, d), 2.92 (6H, s), 3.90 (1H, d), 7.24 (1H, s), 7.94 (1H, d)。m/z (ESI+) (M+H)+ = 333。
【0151】
必要ならば、N−(2−アダマンチル)−4,4−ジメチル−3−オキソペンタンアミド中間体を単離してよい:
クロマトグラフィー条件:
HP−5MSカラム、担体ガスとしてヘリウム、流速1.0mL/分、1.5分までの溶媒遅延、オーブン温度=開始50℃、2分間保持してから、20℃/分でのランピングで280℃まで、そして注入量は1.0μLである。
【0152】
保持時間:
2−アダマンタンアミン塩酸塩 RT:8.1分。
N−(2−アダマンチル)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド RRT:1.617分。
【0153】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.08-1.09 (9H, m), 1.50 (2H, d), 1.66-1.89 (10H, m), 1.95-2.00 (2H, m), 3.53 (1.4H, s), 3.80-3.94 (1H, m), 5.30 (0.3H, s), 7.77-7.87 (1H, m), 14.43 (0.3H, s) (ケト型及びエノール型の2:1混合物)。
【0154】
m/z (ESI+) (M+H)+ = 278。
工程2:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸(1型)の合成
【0155】
【化16】

【0156】
ジャケット付き反応器へ4−ヒドラジノ安息香酸・HCl(14.11g,0.075モル)と(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド(25.0g,0.075モル)に続いてイソプロピルアルコール(315ml,12.6相対容量)と水(35ml,1.4相対容量)を入れた。この反応物を20〜25℃で約45〜60分間撹拌した。この内容物を加熱して78〜80℃で還流させて、その温度で90分間維持した。この反応物を50〜55℃へ冷やしてから、水(150ml,6相対容量)を同じ温度で加えた。この内容物をさらに周囲温度(20〜25℃)へ冷やして、同じ温度で1.0時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過してから、1:1比のイソプロピルアルコール:水の混合物(250ml,10.0相対容量)で洗浄して、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸、1型を得た。生成物(収率80%)を真空下に50〜55℃で4〜5時間乾燥させて、さらに精製せずに次の工程に使用した。
【0157】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.19 (9H, s), 1.49 (2H, d), 1.70-1.96 (10H, m), 2.09 (2H, d), 3.98-4.01 (1H, m), 7.49-7.53 (2H, m), 7.61 (1H, s), 8.06-8.09 (2H, m), 8.20 (1H, d), 13.30 (1H, s)。m/z (ESI+) (M+H)+ = 422。融点:308.8℃ (開始)。
【0158】
クロマトグラフィー条件:
Zorbax SB−Aq,150x4.6mm,5μ、使用する移動相はアセトニトリルを有機溶媒として使用するギ酸緩衝液であり、流速1.0mL/分、注入量は20μLであり、ランタイムは18分であり、UV検出器を波長220、320nmで使用する。
【0159】
保持時間:
[((2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド RT:14.2分。
【0160】
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸 RRT:0.77分(10.0分)。
中間体 RRT:0.79(11.2分)。
【0161】
工程(3):多形変換(1型から4型へ)
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸:
【0162】
【化17】

【0163】
好適なジャケット付き反応器へ4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(20.0g,0.047モル)に続いてテトラヒドロフラン(9.0相対容量)と水(0.5相対容量)を加えた。この内容物を15分間撹拌し、濾紙に通して濾過して、テトラヒドロフラン(1.0相対容量)で洗浄した。合わせた濾液を反応器へ移して、反応物の温度を58℃〜62℃へ高めた。温度を55〜65℃に維持しながら、アセトニトリル(20.0相対容量)を加えた。反応物の温度を68±2℃へ高めて、そこで22時間維持した。この内容物を20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄した。この湿ったケークを真空(50〜100ミリバール)下に45〜50℃で4時間乾燥させて、多形4型(80%)を得た。
【0164】
あるいは:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(20.0g,0.047モル)へテトラヒドロフラン(9.0相対容量)と水(0.5相対容量)を加えて、この混合物を15分間撹拌してから、濾紙に通して濾過した。残渣をテトラヒドロフラン(1.0相対容量)で洗浄して、合わせた濾液を反応器へ移して、反応温度を58℃〜62℃へ高めた。温度を55〜65℃に維持しながら、アセトニトリル(20.0相対容量)を加えた。反応物の温度を68±2℃へ高めて、そこで22時間維持してから、20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄した。この湿ったケークを真空(50〜100ミリバール)下に45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、多形4型(80%)を得た。
【0165】
あるいは:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(5.0g,0.012モル)へテトラヒドロフラン(10.0相対容量)を加えて、温度を58℃〜62℃へ高めた。反応物を55〜65℃に維持しながら、アセトニトリル(20.0相対容量)を加えた。反応物の温度を68±2℃で20時間維持した。内容物を20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、湿ったケークをアセトニトリル(5.0容量)で洗浄してから真空オーブン(50〜100ミリバール)において45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDと固体状態NMRによって確定されるように、多形4型(収率90%)を得た。
【0166】
あるいは:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(5.0g,0.012モル)へN,N−ジメチルホルムアミド(5.0相対容量)とアセトニトリル(5.0容量)を加えて、反応温度を60〜65℃へ高めた。温度を55〜65℃に維持しながら、アセトニトリル(15.0相対容量)を加えた。反応物の温度を75〜78℃へ高めて、そこで20時間維持した。この内容物を20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄してから真空オーブン(50〜100ミリバール)において45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、多形4型(収率88%)を得た。
【0167】
あるいは:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(5.0g,0.012モル)へ酢酸(10.0相対容量)を加えて、温度を75℃〜78℃へ高めた。温度を70〜78℃に維持しながら、アセトニトリル(20.0相対容量)を加えた。この混合物を75〜78℃で撹拌して、そこで22時間維持した。内容物を20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄してから真空オーブン(50〜100ミリバール)において45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、多形4型(収率66%)とした。
【0168】
あるいは:
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸1型(5.0g,0.012モル)へ2−メチル−THF(10.0相対容量)を加えて、温度を70〜75℃へ高めた。温度を70〜75℃に維持しながらアセトニトリル(20.0相対容量)を加えてから、そのまま75〜78℃で23時間撹拌した。この内容物を20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄してから真空オーブン(50〜100ミリバール)において45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、多形4型(収率93%)を得た。
【0169】
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸(水和物)の合成
【0170】
【化18】

【0171】
好適なフラスコへ4−ヒドラジノ安息香酸・HCl(2.86g,0.010モル)、水(10mL)、及びメタノール(60mL)を加えてから、(2)−N−(2−アダマンチル)−2−(ジメチルアミノメチリデン)−4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンアミド(5.10g,0.010モル)のメタノール(30mL)溶液を加えた。この内容物を20〜25℃で1時間撹拌してから、加熱して65〜66℃で90分間還流させた。この反応物を40〜45℃へ冷やしてから、25% NaOH水溶液(2.0当量)をゆっくり加えて、同じ温度で60分間撹拌し続けた。この内容物をさらに周囲温度(20〜25℃)へ冷やして、10% HCl水溶液(2.7当量)をゆっくり加えて、同じ温度で60分間撹拌し続けた。水(50mL)を入れて、沈殿した生成物を濾過してから、濾過ベッドを水(25mL)に続いて1:1比のメタノール:水の混合物(50mL)で洗浄して、4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸(水和物)を得た。この生成物を真空下に50〜55℃で4〜5時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、水和型(収率86%)を得た。
【0172】
1H NMR (400.13 MHz, DMSO-d6) δ 1.19 (9H, s), 1.49 (2H, d), 1.70-1.96 (10H, m), 2.09 (2H, d), 3.98-4.01 (1H, m), 7.49-7.53 (2H, m), 7.61 (1H, s), 8.06-8.09 (2H, m), 8.20 (1H, d)。m/z (ESI+) (M+H)+ = 422。融点 309.10℃(開始)。
【0173】
多形変換(水和物から4型へ):
4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸(4型):
先の工程からの4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸水和物(4.0g,0.009モル)へテトラヒドロフラン(10.0相対容量)を加えてから、反応温度を58〜62℃へ高めた。温度を55〜65℃に維持しながら、アセトニトリル(20.0相対容量)を加えた。反応温度を68±2℃へ高めて、そこで22時間維持してから、20〜25℃へ冷やして、2時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ベッドをアセトニトリル(5.0相対容量)で洗浄した。この湿ったケークを真空(50〜100ミリバール)下に45〜50℃で4時間乾燥させて、XRPDによって確定されるように、多形4型(収率80%)を得た。
【0174】
5型
20gの4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸を粗製のまま500ml反応器へ入れて、テトラヒドロフラン(180.00mL)と水(10.00ml)を続けた。この反応物を20分間撹拌すると、澄明な溶液になった。この溶液を濾過して、ライン洗浄のテトラヒドロフラン(20.00mL)を加えた。合わせた濾液を反応器へ入れて、反応物の温度を60℃へ高めた。
【0175】
この溶液へ4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸(4型の結晶種)を加えると、溶けなかった。この反応物を1時間撹拌すると、Lasentecプローブ上で結晶成長が止まったように見えた。この反応物を5時間にわたり15℃へ冷やしてから、1時間撹拌した。生成物(固体)を真空下に濾過した。生成物を5分間吸引乾燥させてから、真空(50℃)下に一晩乾燥させた。この固形物をXRPD(コバルト源)によって解析すると、実質的に以下のd値を得た。ディフラクトグラムについては図4を参照のこと。
【0176】
5型のピーク
【0177】
【表3】

【0178】
6型
約400mgの4型の4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸を含有するポリブロックバイアルへ10mLのテトラヒドロフラン:水(10:0.5)を加えた。この反応物を22℃で2日間撹拌した。すべての固形物が2日後に溶けていた。この溶液をビーカーに採取した。5分以内に、固形物が溶液より析出した。この固形物をXRPD(コバルト源)によって解析すると、実質的に以下のd値を得た。ディフラクトグラムについては図5を参照のこと。
【0179】
6型のピーク
【0180】
【表4】

【0181】
ヘミ水和物
ヘミ水和物への多形変換
撹拌子と温度計を取り付けた4つ首丸底フラスコへ4−ヒドラジノ安息香酸・HCl(2.88g)を入れた。この反応物へイソプロピルアルコール(50mL)を入れて、この反応物を23〜25℃で5分間撹拌した。4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸・エナミン(5.1g[限定試薬];1.00当量;14.99ミリモル;5.10g;[実際量])をイソプロピルアルコール(50mL)に溶かした。次いで、この溶かしたエナミン溶液を4−ヒドラジノ安息香酸のIPA溶液へ23〜25℃で加えた。この反応物を23〜25℃で1時間撹拌した。この反応物を加熱して80℃で還流させた。この反応物を80℃の還流温度で1時間維持した。反応が終わったらすぐに、この反応物を25℃へ冷やして、25℃で1時間撹拌した。50mLの精製水を加えて、25℃で1時間撹拌した。引き続き、これをさらに30分間撹拌した。その後、これをブフナー漏斗に通して濾過した。イソプロピルアルコール及び水(50:50)(50g)を洗浄のために加えた。次いで、これを15分間吸引乾燥させた。その後、これを真空下に50℃で12時間乾燥させた。水分含量(2(w/w)%)をKFによって確定した。この固形物についてXRPD(コバルト源)によって解析して、実質的に以下のd値を得た。ディフラクトグラムについては図6を参照のこと。
【0182】
ヘミ水和物のピーク
【0183】
【表5】

【0184】
DMF溶媒和物
40mLのジメチルホルムアミド中5.6gの1型の4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸を50℃で2日間加熱してから、25℃に冷やし、濾過して、真空で4時間乾燥させた。この試料に対してTGAとDSCを実施すると、それがジメチルホルムアミド−溶媒和物であることを示した。この試料についてXRPD(コバルト源)によって解析して、実質的に以下のd値を得た。ディフラクトグラムについては図7を参照のこと。
【0185】
DMF溶媒和物のピーク
【0186】
【表6】

【0187】
EtOH−溶媒和物
波長0.71073A(オングストローム)のMo源と黒鉛モノクロメータを使用する単結晶X線回折解析は、EtOH−溶媒和物が、単位格子に4分子がある斜方晶の空間群、P2で結晶化することを示した。この単位格子の寸法は:
a=7.0600(2)
b=16.1280(4)
c=22.0580(4)
α=90°
β=90°
γ=90°
V=2511.61A(オングストローム)
Z=4であることがわかった。計算密度は、D=1.24g/cmである。
【0188】
MeOH溶媒和物
小容器へ20mgの4型を加えた。この容器へ0.711mlの4型飽和MeOH溶液を加えて、懸濁液を作製した。この懸濁液を25℃で7日間撹拌した。その後、この懸濁液を21℃で1.5ヶ月撹拌した。この湿った懸濁液についてXRPD(Cu源)によって解析して、実質的に以下のd値を得た。この材料は不安定であり、実験室の空気(21℃、相対湿度30%)への曝露時に、この形態は迅速に3型へ変換する。ディフラクトグラムについては図8を参照のこと。
【0189】
MeOH−溶媒和物のピーク
【0190】
【表7】

【0191】
MTBE溶媒和物
小容器へ20mgの4型を加えた。この容器へ0.711mlのMTBEを加えて、懸濁液を作製した。この懸濁液を25℃で7日間撹拌した。この湿った懸濁液についてXRPD(Cu源)によって解析して、実質的に以下のd値を得た。この材料は不安定であり、実験室の空気(21℃、相対湿度30%)への曝露時に、この形態は水和型へ変換する。
【0192】
ディフラクトグラムについては図9を参照のこと。
MTBE溶媒和物のピーク
【0193】
【表8】

【0194】
X線粉末回折
X線回折(本明細書ではXRPDと呼ぶ)解析は、例えば、Kitaigorodsky, A.I. (1973),「Molecular Crystals and Molecules(分子結晶と分子)」アカデミック・プレス、ニューヨーク;Bunn, C.W. (1948),「Chemical Crystallography(化学結晶学)」クラレンドン・プレス、ロンドン;又は、Klug, H.P. & Alexander, L.E. (1974),「X-Ray Diffraction Procedures(X線回折法)」ジョン・ウィリー・アンド。サンズ、ニューヨークに見出し得る標準法に従って実施した。X線粉末回折データは、内部標準なしで測定した。
【0195】
X線粉末回折パターンは、試料の薄層をゼロバックグラウンドホルダー、シリコン単結晶、又は深さ2mmのステンレス鋼ホルダーの上に載せることによって決定した。試料をスピンさせ(計数統計を向上させるために)て、自動可変発散スリットを使用した。
【0196】
5型、6型、ヘミ水和物、及びDMF−溶媒和物については、Xcelerator検出器付きPanAlytical X’Pert PRO θ−2θ回折計を使用して解析した。40kV及び30mAで作動するコバルト管によって1.78901オングストロームの波長でX線を発生させた。
【0197】
MeOH−溶媒和物とMTBE−溶媒和物については、Xcelerator検出器付きPanAlytical X’Pert PRO θ−2θ回折計を使用して解析した。40kV及び30mAで作動する銅管によって1.5406オングストロームの波長でX線を発生させた。
【0198】
ここでのX線粉末回折(XRPD)パターンは、ブラッグ・ブレンタノ(Bragg-Brentano)ジオメトリで入手した。X線粉末回折の技術分野の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、30ミクロンより大きい粒子サイズと、試料の解析に影響を及ぼす場合がある非ユニタリーアスペクト比によって影響を受ける可能性があることを理解されよう。当業者はまた、反射の位置が、試料が回折計中で存在する正確な高さと回折計のゼロ較正によって影響を受ける可能性があることも理解されよう。試料の表面平面性も、わずかに影響を及ぼす場合がある。
【0199】
測定条件(使用する装置又は機器のような)に依存する1以上の測定誤差があるX線粉末回折パターンが得られる場合があることが知られている。今回のXRPD解析のいずれでも内部標準を使用しなかったので、提示する回折パターンデータを絶対的な数値とみなしてはならない。特に、X線粉末回折パターンの強度は、実験条件と試料調製(例、好ましい配向性)に依存して変動する場合があることが一般に知られている。(Jenkins, R & Snyder, R. L.「Introduction to X-Ray Powder Diffractometry(X線粉末回折法入門)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1996); Bunn, C.W. (1948),「Chemical Crystallography(化学結晶学)」クラレンドン・プレス、ロンドン;Klug, H.P. & Alexander, L. E. (1974),「X-Ray Diffraction Procedures(X線回折法)」
以下の相対強度の定義を使用した。
【0200】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールC1−3アルキル、ヘテロアリールC1−3アルキル、C3−7シクロアルキルC1−3アルキル、C3−7シクロアルキルC2−3アルケニル、又はC3−7シクロアルキルC2−3アルキニル[このそれぞれは、C1−3アルキル、ヒドロキシ、ハロ、オキソ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルS(O)−(ここでnは、0、1、2又は3である)、RCON(R5’)−、(R5’)(R5'')NC(O)−、R5’C(O)O−、R5’OC(O)−、(R5’)(R5'')NC(O)N(R5''')−、RSON(R5'')−、及び(R5’)(R5'')NSO−{ここでRは、ヒドロキシル、ハロ、又はシアノより選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよいC1−3アルキルであり;そして
5’とR5''は、水素と(ヒドロキシル、ハロ、C1−3アルコキシ、カルボキシ、及びシアノより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択されるか又は、R5’とR5''は、それらが付く窒素原子と一緒になって、4〜7員の飽和環を形成する}より独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい]であり;
は、ヘテロシクリル、C3−7シクロアルキル(CH−、及びC6−12ポリシクロアルキル(CH−(ここでmは、0、1又は2であり、該環は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)より選択され;
は、水素、C1−4アルキルC3−5シクロアルキル、及びC3−5シクロアルキルメチル(このそれぞれは、1、2又は3のフルオロ原子によって置換されていてもよい)より選択され;
とRは、それらが付く窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、及びイオウより選択される1又は2の追加の環へテロ原子を含有してもよくて、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環式環へ縮合してもよい、飽和した単環、二環系、又は架橋の環系を形成し、ここで生じる環系は、Rより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよく;
とRは、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、R、RO−、RCO−、RC(O)O−、RCON(R9’)−、(R9’)(R9'')NC(O)−、(R9’)(R9'')N−、RS(O)−(ここでaは、0〜2である)、R9’OC(O)−、(R9’)(R9'')NSO−、RSON(R9'')−、(R9’)(R9'')NC(O)N(R9''')−、フェニル、及びヘテロアリール[ここで該フェニル及びヘテロアリール基は、窒素、酸素、及びイオウより独立して選択される1、2又は3のヘテロ原子を含有してもよい、ヘテロアリール、又は飽和又は部分飽和の5若しくは6員環、又はフェニルへ縮合してもよく、そして生じる環系は、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ハロ、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、アミノ、N−C1−4アルキルアミノ、ジN,N−(C1−4アルキル)アミノ、N−C1−4アルキルカルバモイル、ジN,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)−、C1−4アルキルS(O)1−4アルキル(ここでrは、0、1又は2である)より独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい]より独立して選択され;
は、(ヒドロキシル、ハロ、C1−4アルコキシ、カルボキシ、又はシアノによって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択され;
9’、R9''、及びR9'''は、水素と(ヒドロキシル、ハロ、C1−4アルコキシ、カルボキシ、及びシアノより独立して選択される1、2又は3の置換基によって置換されていてもよい)C1−3アルキルより独立して選択され;
Aは、フェニル又はヘテロアリール環(該フェニル又はヘテロアリール環は、環炭素原子上で1、2又は3のR10基によって、そしてヘテロアリール基中の利用可能な環窒素上でR11によって置換されていてもよい)であり;
10は、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ハロ、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、アミノ、N−C1−4アルキルアミノ、ジN,N−(C1−4アルキル)アミノ、N−C1−4アルキルカルバモイル、ジN,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、C1−4アルキルS(O)−、C1−4アルキルS(O)1−4アルキル(ここでsは、0、1又は2である)より独立して選択され;
11は、独立して、1、2又は3のフルオロ原子によって置換されていてもよいC1−3アルキルであり;
Xは、直結合、C3−4シクロアルカンジイル、C3−4シクロアルカニリデン、−C(R12)(R13)−、−C(R12)(R13)C(R14)(R15)−、−CHO−、又は−CHS(O)−(ここでtは、0、1又は2である)であり:
Yは、直結合、C3−4シクロアルカンジイル、C3−4シクロアルカニリデン、−C(R16)(R17)−、又は−C(R18)(R19)C(R20)(R21)−であり;
ここでR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21は、水素及びメチルより独立して選択される]の化合物を製造するための方法であって;
式(II):
【化2】

[式中、XとAは、式(I)に関して定義される通りである]の化合物を式(III):
【化3】

[式中、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、そしてX’は、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノのような)又は低級アルコキシ(メトキシ又はエトキシのような)のいずれかを表す]の化合物と反応させる工程と;
その後必要であるか又は望まれるならば、以下の工程:
i)式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程;
ii)あらゆる保護基を外す工程;
iii)鏡像異性体を分割する工程;
iv)その医薬的に許容される塩を生成する工程;及び
v)生成物を精製する工程の1以上を行うことを含む、前記方法。
【請求項2】
式(IV):
【化4】

[式中、R、R、及びRは、上記に定義される通りである]の化合物を式(V):
【化5】

[式中、X’は、上記に定義される通りである]のアセタールと反応させることによって式(III)の化合物を入手する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トルエン又はトルエン及びn−ヘプタンの混合物において反応を行って、生成物は、非溶媒の添加によって単離する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
非溶媒がヘプタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の化合物が式(IA):
【化6】

[式中、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りであり、そしてR10は、水素、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルキルS−より選択される]の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
がtert−ブチルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
がアダマンチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
が水素である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Yが直結合である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Aが、R10によって置換されていてもよいフェニルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
Xが直結合である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式(I)の化合物が4−[4−(2−アダマンチルカルバモイル)−5−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル]安息香酸又はその医薬的に許容される塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、式(IIB):
【化7】

の化合物、又はその塩を式(IIIB):
【化8】

の化合物と反応させる工程と;
その後必要であるか又は望まれるならば、以下の工程:
i)その医薬的に許容される塩を生成する工程;及び
ii)生成物を精製する工程の1以上を行うことを含む、前記方法。
【請求項13】
中間体を単離しない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生成物を含有するNaOH水溶液の酸性化を含んでなる水系の後処理によって生成物を精製する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
精製した生成物のアセトニトリル又はアセトン懸濁液を加熱することによって、生成物を多形型(polymorphic form)として入手する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項2に定義される式(IV)の化合物を製造するための方法であって、式(VI):
【化9】

[式中、Rは、請求項1に定義される通りであり、そしてR23は、アルキル基である]の化合物を式(VII):
【化10】

[式中、RとRは、請求項1に定義される通りである]の化合物と反応させることを含む、前記方法。
【請求項17】
トルエン中で実施して、式(VI)の化合物を非溶媒の添加によって単離する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
非溶媒がn−ヘプタンである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
式(VII)の化合物の塩(例えば、塩酸塩のような酸付加塩)の溶液への塩基の添加によって式(VII)の化合物をその場で(in situ)生成する、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−516327(P2012−516327A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547866(P2011−547866)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050093
【国際公開番号】WO2010/087770
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)