説明

カレンダロール駆動用電動機制御装置及びその制御方法

【課題】マスターロール1の過負荷停止ならびに速度変動による紙切れを防止することにより安定したライン運転ができるカレンダロール駆動用電動機制御装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】スレーブロールに対してマスターロールを相対的に接触加圧および開放するロール昇降装置(11)と、ライン速度設定をするライン速度指令器(12)を備えたカレンダロール駆動用電動機制御装置において、接触時のスレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第1負荷記憶回路(18)と、接触後スレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第2負荷記憶回路(17)と、マスターロールの負荷量を記憶するマスターロール負荷記憶回路(16)と、負荷比率を演算する負荷比率演算器(22)と、負荷分担する負荷分担制御器(21)と、負荷比率切替器(20)を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機や紙加工用のカレンダ(圧搾ローラ)駆動用電動機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2に従来のカレンダロール駆動用電動機制御装置を示す。同図において1はマスターロール、2はスレーブロールであり、それぞれマスターロール電動機3、スレーブロール電動機7によって駆動されている。ロール昇降機構11は昇降指令によりマスターロール1を昇降させる。マスターロール電動機3はマスターロール速度検出器4をフィードバックとしてマスターロール速度制御器6にて制御され、マスターロール駆動装置5で駆動されている。
同様にスレーブロール電動機7はスレーブロール速度検出器8をフィードバックとしてスレーブロール速度制御器10にて速度制御され、スレーブロール駆動装置9で駆動されている。マスターロール速度制御器6、スレーブロール速度制御器10への速度指令信号として速度指令器12がある。マスターロール速度制御器6は速度を一定に保つために比例制御と積分制御を備えている。スレーブロールは同じく速度制御と積分制御がなされている。スレーブロール速度制御器10はマスターロール1が接触したときに過負荷にならないように接触信号で閉なる信号14で積分制御をリセットし、比例制御のみの垂下特性制御に移行している。マスターロール1が接触するまではスレーブロール2は速度指令に一致しているが接触以降垂下特性で制御されるために速度が負荷によって変化する。それを防止する意味ため、負荷演算器13は速度指令Vとロール接触圧力Pをもとにスレーブロール2の負荷トルクを決定し、スレーブロール速度制御器10から出力されるトルク指令出力に加えている。なお、接触後に加圧状態になる。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平3−269194号公報
【特許文献2】特開2003−301396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のカレンダ駆動装置ではスレーブロールの負荷トルクをあらかじめ設定し、スレーブロールに垂下特性をもたせることで接触後の負荷分担を実現していた。従来のカレンダ駆動装置ではマスターロールとスレーブロールの電動機容量はほぼ等しいのが普通であり、接触圧力によるスレーブロール負荷トルクを与えていれば接触後にマスターロールがスレーブロールの負荷トルクを分担していた。最近では機械構造の変化もあり、マスターロール1は金属性のロールで接触変形が少ないものが多い。スレーブロール2は弾性ロールで油圧の力で内部から圧力をかけており、接触以前でも機械的ロスが大きいのが特徴である。つまり、マスターロール駆動電動機3の容量がスレーブロール駆動電動機7に比べ、3分の1程度に設計されているものが出現している。そうなると図2の制御装置で接触させた場合にスレーブロール2の大きな負荷トルクをマスターロール1が背負い、マスターロール速度制御器6は速度を一定に保たんがために過大な負荷トルク指令をマスターロール駆動装置5に出力する。その結果、マスターロール駆動装置5は過負荷トルク状態となり、安全装置が働いて停止に至る。
また、スレーブロール2については油圧の圧力ならびに弾性ロールの剛性により著しく負荷トルクが変わり、従来のような関数で予め負荷トルクを設定することが困難になっている。油圧の圧力についていえばカレンダ装置の下流で紙の光沢を計測し、スレーブロールの幅方向に圧力分布が変更できるようになっている。(不図示)つまり、単一な圧力設定では負荷トルクが決定できない。スレーブロール2の剛性についていえばロールの材質による弾性によりマスターロール1を接触させてから径が変化する。この径変化も接触圧力ならびに前記スレーブロール2の油圧の圧力により一定ではない。これにより、スレーブロール速度検出器8で検出するロール表面の速度が見かけ上変化したことにより、スレーブロール速度制御器9の垂下特性により負荷トルクが大きく変化することになる。
このような機械に従来の制御装置を適用するとマスターロール1がスレーブロール2に接触する過程にあって、マスターロール駆動装置5の過負荷トルク停止ならびにスレーブロール2の複雑な負荷トルク変動による速度変動が発生する。これらにより安定して運転しているラインにカレンダを使用した場合にライン停止、紙切れ等が発生する。
また特許文献2は、負荷分担の元となるのはニップ圧力でそれから求められるメカロスならびに負荷設定をヘルパーに与えている。これに対し本発明はニップ圧力は不要である。なぜなら、スレーブ側のロールの変形によるメカロスの変化をテーブルならびに関数で設定することが非常に困難だからである。本発明は予めメカロスをセットすることなく、ニップ圧ならびにメカロスの変化を負荷の変化としてとらえ、負荷分担する。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、予めメカロスをセットすることなく、ニップ圧ならびにメカロスの変化を負荷の変化としてとらえ、接触から制御を適宜切替えることによってマスターロール1の過負荷停止ならびに速度変動による紙切れを防止することにより安定したライン運転ができるカレンダロール駆動用電動機制御装置及びその制御方法を提供する。さらにどのような油圧の設定、接触圧でも安定して負荷分担をすることが可能となり、操作員の設定作業軽減、設定ミスをなくすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
マスターロール(1)を駆動するマスタ−ロール駆動電動機(3)と、マスタ−ロール駆動電動機(3)を駆動するマスターロール駆動装置(5)と、マスターロール速度制御器(6)と、スレーブロール(2)を駆動するスレーブロール駆動電動機(7)と、スレーブロール駆動電動機(7)を駆動するスレーブロール駆動装置(9)と、スレーブロール速度制御器(10)と、スレーブロールに対してマスターロールを相対的に接触加圧および開放するロール昇降装置(11)と、ライン速度設定をするライン速度指令器(12)を備えたカレンダロール駆動用電動機制御装置において、
接触時のスレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第1負荷記憶回路(18)と、接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のスレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第2負荷記憶回路(17)と、接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のマスターロールの負荷量を記憶するマスターロール負荷記憶回路(16)と、マスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令に基づき負荷比率を演算する負荷比率演算器(22)と、接触後の負荷分から上記記憶データを引いた値をもとに負荷分担する負荷分担制御器(21)と、その負荷分担の初期値を上記記憶データから演算する回路をもとにロール接触開始時に前記速度制御器の指令から垂下特性による制御を滑らかに切替える負荷比率切替器(20)を備えたことを特徴とするものである。
また、前記負荷分担制御器(21)は、マスターロールトルク指令に前記負荷比率設定器(20)の値を掛けたトルク指令値からスレーブロールトルク指令値を引いた偏差を入力し、入力偏差を比例、積分制御して所定の負荷分担比率を保つようにしたトルク補償値をスレーブロール駆動装置(9)へ出力することを特徴とするものである。
また、前記負荷比率切替器(20)は、スレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値と負荷比率設定器(23)の設定値を入力し、負荷分担入りが入力される前は負荷分担比率演算器(22)を選択し、負荷分担入りでは負荷比率設定器(23)の信号を選択するように信号を切替えることを特徴とするものである。
また、前記負荷比率演算器(22)は、マスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令を入力し、スレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値を前記負荷比率切替器(20)へ出力することを特徴とするものである。
また、マスターロール(1)を駆動するマスタ−ロール駆動電動機(3)と、マスタ−ロール駆動電動機(3)を駆動するマスターロール駆動装置(5)と、マスターロール速度制御器(6)と、スレーブロール(2)を駆動するスレーブロール駆動電動機(7)と、スレーブロール駆動電動機(7)を駆動するスレーブロール駆動装置(9)と、スレーブロール速度制御器(10)と、スレーブロールに対してマスターロールを相対的に接触加圧および開放するロール昇降装置(11)と、ライン速度設定をするライン速度指令器(12)を備えたカレンダロール駆動用電動機制御装置の制御方法において、
スレーブロール第1負荷記憶回路(18)により接触時のスレーブロールの負荷量を記憶し、スレーブロール第2負荷記憶回路(17)により接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のスレーブロールの負荷量を記憶し、マスターロール負荷記憶回路(16)により接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のマスターロールの負荷を記憶し、負荷比率演算器(22)によりマスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令に基づき負荷比率を演算し、マスターロールトルク指令に負荷比率設定器(20)の値を掛けたトルク指令値からスレーブロールトルク指令値を引いた偏差を入力し、前記偏差を比例、積分制御して所定の負荷分担比率を保つように負荷分担するトルク補償値を求め、ロール接触開始時に前記速度制御器の指令から垂下特性による制御を滑らかに切替えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、接触時のカレンダの負荷変更による速度変動が減少するとともにマスターロールの過負荷によるライン停止、速度変動による紙切れが減少し、予めメカロスをセットすることなく、安定したライン運転ができるカレンダロール駆動用電動機制御装置及びその制御方法を提供できる。またどのような油圧の設定、接触圧でも安定して負荷分担をすることが可能となり、操作員の設定作業軽減、設定ミスをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明の通紙装置の実施図である。図1において、1はマスターロール、2はスレーブロール、3はマスターロール駆動電動機、4はマスターロール速度検出器、5はマスターロール駆動装置、6はマスターロール速度制御器、7はスレーブロール駆動電動機、8はスレーブロール速度検出器、9はスレーブロール駆動装置、10はスレーブロール速度制御器、11はロール昇降装置、12はライン速度指令器、14は接触で閉なる信号、15は接触後負荷分担可能にて閉なる信号、16はマスターロール負荷記憶回路、17はスレーブロール第2負荷記憶回路、18はスレーブロール第1負荷記憶回路、19は負荷分担入りにて閉なる信号、20は負荷比率切替器、21は負荷分担制御器、22は負荷比率演算器、23は負荷比率設定器である。
【0009】
マスターロール速度制御器6は速度偏差を入力しトルク指令をマスターロール駆動装置5へ出力する。同様にスレーブロール速度制御器10は速度偏差を入力しトルク指令をスレーブロール駆動装置9へ出力する。ロール昇降装置11は図示していないが昇降指令を入力し昇降動作させる。ライン速度指令器12は図示しないライン速度設定値を入力しライン速度指令を出力する。接触で閉なる信号14はロール位置等から接触を判別(不図示)し接触状態を接点で出力(通常はシーケンサなどによる)する。接触後負荷分担可能にて閉なる信号15はロール位置等から接触後負荷分担可能判別(不図示)し、接触後負荷分担可能を接点で出力する。
【0010】
マスターロール負荷記憶回路16はマスターロールトルク指令を入力し、接触後負荷分担可能信号が入力されたときのマスターロールトルク指令を記憶したもの(次回信号が閉となるまで記憶を保持する)を出力する。スレーブロール第2負荷記憶回路17はスレーブロールトルク指令を入力し、接触後負荷分担可能信号が入力されたときのスレーブロールトルク指令を記憶したもの(次回信号が閉となるまで記憶を保持する)を出力する。スレーブロール第1負荷記憶回路18はスレーブロールトルク指令を入力し、接触で閉なる信号が入力された時のスレーブロールトルク指令を記憶したもの(次回接触で閉となるまで記憶を保持する)を出力する。
【0011】
負荷分担入りにて閉なる信号19はロール位置等から負荷分担入りを判別(不図示)し、負荷分担入り状態を接点で出力(通常はシーケンサなどによる)する。負荷比率切替器20はスレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値(22)と負荷比率設定器(23)の設定値を入力し、負荷分担入りが入力される前は負荷分担比率演算器(22)を選択し、負荷分担入りでは負荷比率設定器(23)の信号を選択するように信号を切り替える(バンプレス制御)。
【0012】
負荷分担制御器21はマスターロールトルク指令(記憶分を引いたもの)に負荷比率設定器(20)の値を掛けたトルク指令値からスレーブロールトルク指令値(記憶分を引いたもの)を引いた偏差分を入力し、入力偏差分を比例、積分制御して所定の負荷分担比率を保つように制御したトルク補償値を出力する。負荷比率演算器22はマスターロールトルク指令(記憶分を引いたもの)とスレーブロールトルク指令(記憶分を引いたもの)を入力し、スレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値を出力する。
負荷比率設定器23はマスターロールトルク指令(記憶分を引いたもの)とスレーブロールトルク指令(記憶分を引いたもの)の比率を設定する。
【0013】
次に動作を説明する。図1においてスレーブロール第1負荷記憶回路18は接触にて閉なる信号14にてその時のスレーブロール負荷トルク指令を記憶し、スレーブロール速度制御器10の積分をリセットしたときに生ずる負荷トルク変動を防止する。スレーブロール第2負荷記憶回路17は接触後負荷分担可能にて閉なる信号15にてその時のスレーブロールトルク指令を記憶する。マスターロール負荷記憶回路16も同じタイミングでマスターロールトルク指令を記憶する。スレーブロール第2負荷記憶回路17、マスターロール負荷記憶回路16の値をベース負荷として負荷分担制御に使用する。つまり、接触後負荷分担可能になった時点以降は、マスターロールの接触後のトルクからマスターロール負荷記憶回路の値を引いた差分をマスターロールの加圧負荷トルクとする。
【0014】
スレーブロールについてはスレーブロールの負荷トルクからスレーブロール第2負荷記憶回路17の値を引いた差分をスレーブロールの加圧負荷トルクとする。マスターロール負荷トルク指令の差分に負荷比率をかけたものが負荷分担制御器21への設定となる。負荷分担制御器21のフィードバックはスレーブロール負荷差分である。通常、負荷比率は負荷比率設定器23により設定されている。負荷分担制御入りにて閉なる信号19がONしてマスターロール負荷差分に比率が掛けられる。単に負荷比率を変更すると系に負荷外乱が発生する。そのため負荷分担制御入りになるまではマスターロールトルク指令差分とスレーブロールトルク指令差分の比率を負荷比率演算器22にて演算し、負荷比率切替器20に入力され、負荷比率は現状の値があらかじめ設定される。その後、負荷分担制御入りで負荷比率設定器23の値に滑らかに変更される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のカレンダロール駆動用電動機の制御装置の構成図
【図2】従来のカレンダロール駆動用電動機の制御装置の構成図
【符号の説明】
【0016】
1 マスターロール
2 スレーブロール
3 マスターロール駆動電動機
4 マスターロール速度検出器
5 マスターロール駆動装置
6 マスターロール速度制御器
7 スレーブロール駆動電動機
8 スレーブロール速度検出器
9 スレーブロール駆動装置
10 スレーブロール速度制御器
11 ロール昇降装置
12 ライン速度指令器
13 負荷演算器
14 接触で閉なる信号
15 接触後負荷分担可能にて閉なる信号
16 マスターロール負荷記憶回路
17 スレーブロール第2負荷記憶回路
18 スレーブロール第1負荷記憶回路
19 負荷分担入りにて閉なる信号
20 負荷比率切替器
21 負荷分担制御器
22 負荷比率演算器
23 負荷比率設定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターロール(1)を駆動するマスタ−ロール駆動電動機(3)と、マスタ−ロール駆動電動機(3)を駆動するマスターロール駆動装置(5)と、マスターロール速度制御器(6)と、スレーブロール(2)を駆動するスレーブロール駆動電動機(7)と、スレーブロール駆動電動機(7)を駆動するスレーブロール駆動装置(9)と、スレーブロール速度制御器(10)と、スレーブロールに対してマスターロールを相対的に接触加圧および開放するロール昇降装置(11)と、ライン速度設定をするライン速度指令器(12)を備えたカレンダロール駆動用電動機制御装置において、
接触時のスレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第1負荷記憶回路(18)と、
接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のスレーブロールの負荷量を記憶するスレーブロール第2負荷記憶回路(17)と、
接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のマスターロールの負荷量を記憶するマスターロール負荷記憶回路(16)と、
マスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令に基づき負荷比率を演算する負荷比率演算器(22)と、
接触後の負荷分から上記記憶データを引いた値をもとに負荷分担する負荷分担制御器(21)と、
その負荷分担の初期値を上記記憶データから演算する回路をもとにロール接触開始時に前記速度制御器の指令から垂下特性による制御を滑らかに切替える負荷比率切替器(20)を備えたことを特徴とするカレンダロール駆動用電動機制御装置。
【請求項2】
前記負荷分担制御器(21)は、マスターロールトルク指令に前記負荷比率設定器(20)の値を掛けたトルク指令値からスレーブロールトルク指令値を引いた偏差を入力し、入力偏差を比例、積分制御して所定の負荷分担比率を保つようにしたトルク補償値をスレーブロール駆動装置(9)へ出力することを特徴とする請求項1記載のカレンダロール駆動用電動機制御装置。
【請求項3】
前記負荷比率切替器(20)は、スレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値と負荷比率設定器(23)の設定値を入力し、負荷分担入りが入力される前は負荷分担比率演算器(22)を選択し、負荷分担入りでは負荷比率設定器(23)の信号を選択するように信号を切替えることを特徴とする請求項1記載のカレンダロール駆動用電動機制御装置。
【請求項4】
前記負荷比率演算器(22)は、マスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令を入力し、スレーブロールトルク指令をマスターロールトルク指令で除した値を前記負荷比率切替器(20)へ出力することを特徴とする請求項1記載のカレンダロール駆動用電動機制御装置。
【請求項5】
マスターロール(1)を駆動するマスタ−ロール駆動電動機(3)と、マスタ−ロール駆動電動機(3)を駆動するマスターロール駆動装置(5)と、マスターロール速度制御器(6)と、スレーブロール(2)を駆動するスレーブロール駆動電動機(7)と、スレーブロール駆動電動機(7)を駆動するスレーブロール駆動装置(9)と、スレーブロール速度制御器(10)と、スレーブロールに対してマスターロールを相対的に接触加圧および開放するロール昇降装置(11)と、ライン速度設定をするライン速度指令器(12)を備えたカレンダロール駆動用電動機制御装置の制御方法において、
スレーブロール第1負荷記憶回路(18)により接触時のスレーブロールの負荷量を記憶し、
スレーブロール第2負荷記憶回路(17)により接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のスレーブロールの負荷量を記憶し、
マスターロール負荷記憶回路(16)により接触後マスターロールとスレーブロールの負荷分担が可能になった時点でその時のマスターロールの負荷を記憶し、
負荷比率演算器(22)によりマスターロールトルク指令とスレーブロールトルク指令に基づき負荷比率を演算し、
マスターロールトルク指令に負荷比率設定器(20)の値を掛けたトルク指令値からスレーブロールトルク指令値を引いた偏差を入力し、前記偏差を比例、積分制御して所定の負荷分担比率を保つように負荷分担するトルク補償値を求め、
ロール接触開始時に前記速度制御器の指令から垂下特性による制御を滑らかに切替えることを特徴とするカレンダロール駆動用電動機制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−106374(P2008−106374A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287265(P2006−287265)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】