説明

カレンダ装置

【課題】中間ロールの水平方向の変形を最小化するカレンダ装置を提供する。
【解決手段】紙ウェブ10を処理する垂直型カレンダ装置である。このカレンダ装置は、頂部ロール12と、底部ロール20と、複数の補助駆動装置と、頂部ロール12と底部ロール20との間に配置された複数の中間ロール14,16,18とを備えている。複数の中間ロール14,16,18の各々は、インライン動作用の複数の補助駆動装置のうちの一つに接続されて動作中に紙ウェブ10を引っ張り込む。ニップが閉じた後には、複数の中間ロール14,16,18には動力を与えずに、頂部ロール12及び底部ロール20のみに第1動力駆動装置及び第2動力駆動装置を介して同一の動力を与えて頂部ロール12及び底部ロール20を駆動し、等しいトルクを頂部ロール12及び底部ロール20に付与する制御ユニットを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のロールを有する垂直型カレンダ装置においては、中間ロールの一つが主駆動を備え、接線方向に沿う力によって摩擦で全ての他のロールにトルクを伝達する。このトルク伝達は、一つのロールから隣りのロールへ、処理されるべきウェブ及びロールカバーを介して行われる。これにより、望まれていない水平方向の偏倚、即ち、中間ロールの変形が生じる。また、ウェブ構造及びロールカバーが損傷する。図1は、公知のオフラインカレンダ装置の概略側面を示すもので、主駆動を備える駆動ロールである中間ロール2が駆動される。
【0003】
オンラインカレンダ装置においては、紙ウェブが処理される前に、ニップが開いている状態で、紙ウェブに接しているすべてのロールはそれらの補助駆動によって加速され、主駆動を有する駆動ロールは回転速度まで加速される。この回転速度は、各円周速度が紙ウェブの速度に対応する速度、即ち毎分1000mおよびそれ以上である。ニップが閉じた後には、動力は単一の駆動ロールの主駆動のみによって供給される。これは図2に概略的に示され、主駆動4は大駆動シンボルを示し、補助駆動6は小駆動シンボルを示している。図1及び図2において、ロールの中心における水平方向の偏倚は、中心オフセットとして概略的に図示されている。
【0004】
最新のカレンダ装置においては、積重ねられたロールの頂部ロール及び底部ロールは、偏倚制御可能なロールとして設計されている。これら2つのロールは、それらの機能に伴う内部摩擦損失のために、残りのカレンダロールよりも大きな駆動力を必要としている。また、紙ウェブの最も大きな変形が最初のニップで生じる。主駆動を有する従来のカレンダ装置では、これら2つの動力部品が積重ねられたロール全体を通して抵抗となり、紙ウェブ及びロールカバーを圧迫して接線方向に沿う摩擦伝達の方法に損傷を与える。これにより、ロール表面の摩耗量が増加すると共にロールの寿命が減少することになる。
先に提案された特許文献1では、全てのロールがそれら独自(動力)駆動を備え、個々の駆動の動力は水平方向のロール変形が最小化される方法で互いに調整されている。
【特許文献1】独国特許出願公開19650576.3号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点がコスト効果高く回避されるようにロール駆動が設計されるカレンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求の範囲第1項によって達成される。
即ち、請求項1に係る本発明は、紙ウェブを処理する垂直型カレンダ装置であって、偏倚制御可能な頂部ロールと、偏倚制御可能な底部ロールと、複数の補助駆動装置と、前記頂部ロールと前記底部ロールとの間に配置されてカレンダ積層体を画定する複数の中間ロールであって、該複数の中間ロールのうちの2つが加熱可能な固いロールであるとともに、前記複数の中間ロールのうちの中央の一つが弾性カバーを備え、前記複数の中間ロールの各々は、インライン動作用の前記複数の補助駆動装置のうちの一つに接続されて動作中に前記紙ウェブを引っ張り込む、複数の中間ロールと、前記頂部ロールに接続された第1動力駆動装置と、前記底部ロールに接続された第2動力駆動装置と、ニップが閉じた後には、前記複数の中間ロールには動力を与えずに、前記頂部ロール及び前記底部ロールのみに前記第1動力駆動装置及び前記第2動力駆動装置を介して同一の動力を与えて前記頂部ロール及び底部ロールを駆動し、等しいトルクを前記頂部ロール及び底部ロールに付与する制御ユニットとを具備することを特徴とするカレンダ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、偏倚制御可能なロールは、それぞれ独自の動力駆動を備えている。本発明の一形態では、偏倚制御可能な頂部ロール及び底部ロールは、互いに調和された動力駆動で駆動可能となっている。中間ロールの水平方向の変形を記録し、そして、この変形が少なくとも許容可能量の下となるように2つの駆動に対する動力配分を制御することが好ましい。頂部ロール及び底部ロールが実質的に同じ動力で駆動されるのにこの要求が合致することが理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のカレンダ装置の2つの実施形態は、添付の図3及び図4の側面図に概略的に示されている。図3は、図1に類似するカレンダ装置を示し、図4は図2に類似するカレンダ装置を示している。図3及び図4における動力駆動及び補助駆動の符号は、図1及び図2における主駆動及び補助駆動の符号に対応している。
ニップが閉じた後には、カレンダロールはそれらに作用した予め画定された線負荷を有し、予め画定された圧力はニップ内に発生している。同時に、負荷に対応するカレンダ力は、頂部及び底部ロールの2つの動力駆動によって提供される。中間ロールは水平方向変形用のセンサを備えることが好ましく、頂部及び底部ロールへの駆動動力の配分はこれら水平方向の変形が最小化される方法で実行される。また、中間ロールに作用する水平方向の力を測定すると共に最小化することも可能である。
【0009】
図3及び図4に示す本発明の実施形態では、紙ウェブ10は、上側の偏倚制御可能なロール12と加熱可能な固いロールである第1中間ロール14との間に形成されたニップへ向けて最初に走行する。この後、紙ウェブは、後者のロールと中央中間ロール16との間に形成されたニップへ向けて通過する。ロール16は、弾性カバーを備えている。ロール16のロール14からそれる側には、第2の加熱可能な固いロール18、紙ウェブ10が通過する次のニップが形成されている。ロール18と底側の偏倚制御可能なロール20との間には、最終ニップが形成されている。ロール12及び20は、動力駆動を備えている。中間ロール14、16、及び18は、特に吊り負荷と呼ばれるものを補償するために、作動シリンダ24からの力を伝達することができる水平アーム22に公知の方法で装着される。油圧ユニット26はニップを閉じるために使用され、この代わりに、ロール20の内方へのストロークもこの目的のために使用することができ、その一方で、上側の偏倚制御可能なロール12はフレームの固定位置に装着される。
【0010】
中間ロール14,16,18のうちの一つにおいて、発生する横向きの力を検知要素(図示せず)によって測定することが可能であり、そして、これら横向きの力が予め画定された値を超えないように、その測定結果に基づいて頂部ロール12及び底部ロール20の駆動の動力配分を調整可能である。また、特に中間ロール14,16,18の中心における中間ロール14,16,18の変形を測定要素によって測定することができる。この測定結果は、これらの変形を最小化するために、頂部ロール12及び底部ロール20の駆動の動力配分に含まれうる。
本発明の概念は、特に、スペースのない既に存在するカレンダの再装備、あるいは比較的小さな駆動動力及び比較的固い中間ロールを有する限られた機械に適していることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】公知のオフラインカレンダ装置を概略的に示す側面図である。
【図2】従来のオンラインカレンダ装置においてニップが閉じた状態を概略的に示す側面図である。
【図3】本発明に係るカレンダ装置の一実施形態を概略的に示す側面図である。
【図4】本発明に係るカレンダ装置の他の実施形態を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0012】
10 紙ウェブ
12 頂部ロール
14 中間ロール(加熱可能)
16 中間ロール(弾性カバーを備える)
18 中間ロール(加熱可能)
20 底部ロール
22 水平アーム
24 作動シリンダ
26 油圧ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ウェブを処理する垂直型カレンダ装置であって、
偏倚制御可能な頂部ロールと、
偏倚制御可能な底部ロールと、
複数の補助駆動装置と、
前記頂部ロールと前記底部ロールとの間に配置されてカレンダ積層体を画定する複数の中間ロールであって、該複数の中間ロールのうちの2つが加熱可能な固いロールであるとともに、前記複数の中間ロールのうちの中央の一つが弾性カバーを備え、前記複数の中間ロールの各々は、インライン動作用の前記複数の補助駆動装置のうちの一つに接続されて動作中に前記紙ウェブを引っ張り込む、複数の中間ロールと、
前記頂部ロールに接続された第1動力駆動装置と、
前記底部ロールに接続された第2動力駆動装置と、
ニップが閉じた後には、前記複数の中間ロールには動力を与えずに、前記頂部ロール及び前記底部ロールのみに前記第1動力駆動装置及び前記第2動力駆動装置を介して同一の動力を与えて前記頂部ロール及び底部ロールを駆動し、等しいトルクを前記頂部ロール及び底部ロールに付与する制御ユニットとを具備することを特徴とするカレンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285806(P2008−285806A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157646(P2008−157646)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【分割の表示】特願平11−546473の分割
【原出願日】平成11年3月4日(1999.3.4)
【出願人】(507392808)アンドリッツ キスタース ゲーエムベーハー (8)
【氏名又は名称原語表記】Andritz Kuesters GmbH
【住所又は居所原語表記】Eduard−Kuesters−Str.1,47805 Krefeld,Germany
【Fターム(参考)】