説明

カーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材

【課題】コード式たくし上げカーテンのカーテン昇降用コードに重量を持たせることで、カーテン布の下降速度の低速化に寄与することができるカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材を提供する。
【解決手段】内部中空で上端にカーテン昇降用コード5の挿通孔12が設けられ、下面が開放した中空ケース13と、前記中空ケース13の下端開口を閉鎖する蓋部材14と、前記中空ケース13の内部に収納する所要数のリング状ウエイト15の組み合わせからなり、前記蓋部材14にカーテン昇降用コード5と操作コード9を結合してできた結び目17の収納部18が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コード式たくし上げカーテンにおいて、カーテン昇降用コードの下端とこれに接続した操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図3のように、コード式たくし上げカーテンは、建物側に固定するヘッドレール1等にカーテン布2の上端部を固定し、このカーテン布2の幅方向両側等の複数箇所の位置にテープ3を上下方向に沿って縫着し、各テープ3に上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリング環4を取付け、各テープ3ごとに、上下に並ぶ前記リング環4にカーテン昇降用コード5をそれぞれ通し、各カーテン昇降用コード5は下端に接続したコードキャッチを介してカーテン布2の下部に連結すると共に、上端側をヘッドレール1内の昇降機構6で誘導し、このヘッドレール1の端部下方に係止機構7を介して引き出し、複数本のカーテン昇降用コード5の端部をイコライザー8で束ね、このイコライザー8に操作コード9を吊下げ、操作コード9を介してカーテン昇降用コード5を引き下げると、カーテン布2は下部から上昇し、昇降用コード5の係止を解くと、カーテン布2は自重で下部から降りていくようになっている。
【0003】
上記たくし上げカーテンにおいて、カーテン昇降用コード5の下端に操作コード9を接続するのは、カーテン布2の昇降操作において、複数本のカーテン昇降用コード5を握るよりも、一本又は折り返して二本の状態となる操作コード9を握る方が操作性がよいからである。
【0004】
従来、カーテン昇降用コード5の下端に操作コード9を接続するために用いているイコライザー8は、上端にカーテン昇降用コードの挿通孔を設けた合成樹脂製の上側接続部材と、下部に操作コードの挿通孔を設けた合成樹脂製の下側接続部材からなり、複数本を束ねた昇降用コードを上側接続部材の挿通孔に通して下端に結び目を作り、この結び目を上側接続部材の内部に収納することで、昇降用コードに上側接続部材を下方への抜け止め状に取付け、また、操作コードを下側接続部材の挿通孔に通して上端に結び目を作り、この結び目を下側接続部材の内部に収納することで、操作コードを下側接続部材に下方への抜け止め状に取付け、この状態の上側接続部材と下側接続部材をねじ結合することにより、カーテン昇降用コードの下端に操作コードを接続するようになっている。
【0005】
このようなコード式たくし上げカーテンは、カーテン布2の昇降動に追従してカーテン昇降用コード5が移動し、イコライザー8はカーテン布2の下降時に上昇し、カーテン布2の上昇時には下降することになる。
【0006】
ところで、たくし上げカーテンにおいて、カーテン布2を下降させた場合に、カーテン布2は自重と下部の錘の重量で下部から降りていくことになるが、そのとき、下降速度が速いと衝撃が発生し、錘が人体に当たると危険であるので、カーテン布2の下降速度は低速にしなければならない。
【0007】
このため、ヘッドレール1内の昇降機構6にブレーキ装置を結合し、カーテン布2の下降速度に比例した制動力を発生させることにより、カーテン布の下降速度を低速にすることがすでに行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなコード式たくし上げカーテンにおいて、カーテン布2の下降速度を低速にするブレーキ装置の制動能力には限度があり、カーテン布2の自重と下部の錘の重量が重くなると、どうしても制動力が利きにくくなり、カーテン布2の下降速度が速くなるという問題がある。
【0009】
そこでこの発明は、コード式たくし上げカーテンのイコライザーがカーテン昇降用コードを介して相反する昇降動する吊り下げ関係にある点に着目し、イコライザーに該当する部分に重量を持たせることで、実質的にカーテン昇降用コードに作用するカーテン布の自重と下部の錘の重量の軽減化を図り、これによって、ブレーキ装置への負担を少なくして制動力が有効に働き、カーテン布の下降速度の低速化に寄与することができるカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、隠蔽部材が、内部中空で上端にカーテン昇降用コードの挿通孔が設けられ、下面が開放した中空ケースと、前記中空ケースの下端開口を閉鎖する蓋部材と、前記中空ケースの内部に収納する所要数のウエイトの組み合わせからなり、前記ウエイトがカーテン昇降用コードの貫通可能な形状に形成され、前記蓋部材にカーテン昇降用コードと操作コードを結合してできた結び目の収納部を設けた構成を採用したものである。
【0011】
上記中空ケースと蓋部材の何れか一方に、中空ケース内に納まる状態でカーテン昇降用コードの挿通が可能な筒軸を設け、上記ウエイトは、筒軸に嵌挿するリングに形成されている構造とすることができる。
【0012】
ここで、上記中空ケースと蓋部材は、合成樹脂や金属を用いて形成し、中空ケースのカーテン昇降用コードの挿通孔と筒軸の内径は、束ねた複数本のカーテン昇降用コードを挿通できる内径に設定され、結び目の収納部は、複数本のカーテン昇降用コードの下端と二つ折りにした操作コードの上端を結合することによって生じた結び目を収納することができる大きさに形成され、また、ウエイトは比重の大きな材料を用い、中空ケースに収まる外径と筒軸に外嵌する内径のリングに形成され、必要数を積み重ねた状態で中空ケース内に収納する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、コード式たくし上げカーテンのカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う中空ケースの内部にウエイトを収納したので、隠蔽部材は重量が重たくなり、実質的にカーテン昇降用コードに作用するカーテン布の自重と下部の錘の重量の軽減化を図ることができ、これによって、ブレーキ装置への負担を少なくして制動力が有効に働き、カーテン布の下降速度の低速化に寄与することができる。
【0014】
また、隠蔽部材がカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分の結び目を覆うことで、カーテン昇降用コードと操作コードの結合部分の見た目の形状を向上させることができ、しかも、中空ケースの内部に収納するウエイトの数を選択可能となり、隠蔽部材をカーテン布の重さに対応した重量に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、図3と同一部分は同一符号を付して説明する。
【0016】
図1と図2のように、コード式たくし上げカーテンにおいて、カーテン昇降用コード5の下端と操作コード9の接続に用いる従来のイコライザーに代えて、カーテン昇降用コード5の下端と操作コード9の接続部分を覆う隠蔽部材11は、内部中空で上端に複数本を束ねたカーテン昇降用コード5の挿通孔12が設けられ、下面が開放した中空ケース13と、前記中空ケース13の下端開口を閉鎖する蓋部材14と、前記中空ケース13の内部に収納する所要数のウエイト15の組み合わせによって形成されている。
【0017】
上記中空ケース13と蓋部材14は、合成樹脂や金属を用いて形成し、中空ケース13は上端が平坦で周壁が下部広がりの円筒となるケースに形成され、前記蓋部材14には、中央上面に、中空ケース13内に納まる状態でカーテン昇降用コード5の挿通が可能な筒軸16と、下面側に、カーテン昇降用コード5と操作コード9を結合してできた結び目17の収納部18が設けられ、この蓋部材14の中空ケース13への取付けは、嵌り合い部分をねじ結合したりビス止のほか、嵌り合い部分に設けた突条19と凹溝20の合成樹脂の弾力性を利用した嵌合等の手段を採用することができる。
【0018】
上記中空ケース13のカーテン昇降用コード5の挿通孔12と筒軸16の内径は、束ねた複数本のカーテン昇降用コード5を挿通できる内径に設定され、収納部18は、複数本のカーテン昇降用コード5の下端と二つ折りにした操作コード9の上端を結合することによって生じた結び目17を収納することができる大きさの凹部によって形成されている。
【0019】
また、上記ウエイト15は、比重の大きな真鍮や銅、鉛等の金属材料を用い、中空ケース13に収まる外径と筒軸16に外嵌する内径のリングに形成され、必要数を積み重ねた状態で中空ケース13内に収納することができるようになっている。
【0020】
なお、上記筒軸16は、図示の場合、蓋部材14の中央に立設したが、中空ケース13の側に設けてもよく、また、この筒軸16を省き、カーテン昇降用コード5に直接ウエイト15を挿通するようにしてもよい。
【0021】
この発明の隠蔽部材は上記のような構成であり、図1(a)のように、コード式たくし上げカーテンにおいて、ヘッドレール1の端部から下方に引き出した複数本の束ね状態となるカーテン昇降用コード5の下端と、二つ折りにした操作コード9の上端を結合することによって生じた結び目17を覆うように使用するものである。
【0022】
この隠蔽部材11は、先ず中空ケース13と蓋部材14を分解し、蓋部材14の筒軸16にウエイト15を必要数だけ嵌め込み、次に、中空ケース13の上端挿通孔12から分解した状態にある蓋部材14の筒軸16に束ね状態となるカーテン昇降用コード5を通し、蓋部材14の下面側でカーテン昇降用コード5の下端と、二つ折りにした操作コード9の上端を結合し、この後、蓋部材14を中空ケース13の下端開口に嵌め込んで固定すれば、内部にウエイト15が組み込まれた隠蔽部材11が組み上がる。
【0023】
このようにして組み上がった隠蔽部材11は、カーテン昇降用コード5の下端位置にまで引き下げると、カーテン昇降用コード5と操作コード9の結合によって生じた結び目17が蓋部材14の収納部18に納まり、この結び目17を覆って外部から見えないようにすることで、カーテン昇降用コード5と操作コード9の結合部分の見た目の向上が図れることになる。
【0024】
また、隠蔽部材11は、上記収納部18に収まる結び目17によって下方への移動が阻止され、操作コード9によるカーテン布2の昇降操作に全く支障を与えることがないと共に、内部に組み込んだウエイト15によって、隠蔽部材11は重量が重たくなり、実質的にカーテン昇降用コード5に作用するカーテン布2の自重と下部の錘の重量の軽減化を図ることができ、これによって、昇降機構6と連動したブレーキ装置への負担を少なくして制動力が有効に働き、カーテン布2の下降速度の低速化に寄与することができる。
【0025】
また、中空ケース13の内部に収納するウエイト15の数が選択可能となり、隠蔽部材11をカーテン布2の重さに対応した重量に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)はこの発明の隠蔽部材の使用状態を示すカーテン昇降用コードと操作コードを接続した拡大縦断正面図、(b)は隠蔽部材の分解斜視図
【図2】この発明の隠蔽部材を用いたコード式たくし上げカーテンの背面図
【図3】従来のコード式たくし上げカーテンを示す背面から見た斜視図
【符号の説明】
【0027】
5 カーテン昇降用コード
9 操作コード
11 隠蔽部材
12 挿通孔
13 中空ケース
14 蓋部材
15 ウエイト
16 筒軸
17 結び目
18 収納部
19 突条
20 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部中空で上端にカーテン昇降用コードの挿通孔が設けられ、下面が開放した中空ケースと、前記中空ケースの下端開口を閉鎖する蓋部材と、前記中空ケースの内部に収納する所要数のウエイトの組み合わせからなり、前記ウエイトがカーテン昇降用コードの貫通可能な形状に形成され、前記蓋部材にカーテン昇降用コードと操作コードを結合してできた結び目の収納部を設けたカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材。
【請求項2】
上記中空ケースと蓋部材の何れか一方に、中空ケース内に納まる状態でカーテン昇降用コードの挿通が可能な筒軸を設け、上記ウエイトは、筒軸に嵌挿するリングに形成されている請求項1に記載のカーテン昇降用コードと操作コードの接続部分を覆う隠蔽部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−125828(P2008−125828A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314394(P2006−314394)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000175906)三光商事株式会社 (15)
【Fターム(参考)】