説明

カーテン昇降用コードのリングカン

【課題】カーテンの取外しが、コードの端部とコードキャッチの接続を解くことなく行え、カーテンの再取付け時にコードの長さ調整作業が不要になるカーテン昇降用コードのリングカンを提供する。
【解決手段】カーテン昇降用コードのリングカン6が、たくし上げカーテンに縫着したテープの環状紐に対して係止するフック部11と、昇降用コードを通すためのコード挿通環12で形成され、前記コード挿通環12に昇降用コードの出し入れを可能にするための切れ目13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンの上下方向に沿って縫着したテープの環状紐に対して係止することにより上下に一定間隔で配置し、カーテン昇降用コードを順次通すことによって、カーテンがジグザグの折畳み状態で引き上げられるようにするカーテン昇降用コードのリングカンに関する。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、建物側に固定するシェードレール等に上端部を固定し、このカーテンの幅方向両側等の複数箇所の位置にテープを上下方向に沿って縫着し、各テープに上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリングカンを取付け、各テープごとに、上下に並ぶ前記リングカンにカーテン昇降用コードをそれぞれ通し、各コードは下端に接続したコードキャッチを介してカーテンの下部に連結すると共に、上端側をシェードレール内の昇降機構で誘導し、このレールの端部下方に係止機構を介して引き出し、各コードの端部をイコライザーで束ね、このイコライザーに操作コードを吊下げ、操作コードを引き下げるとカーテンは下部から上昇し、昇降用コードの係止を解くと、カーテンは自重で下部から降りていくようになっている。
【0003】
従来、上記カーテンに縫着したテープに対するリングカンの取付け方式には、昇降用コードを通す円形のリングに形成したリングカンを用い、これをテープに設けた糸製の環状紐でテープに縫着した非取外し方式と、テープに設けた環状紐に対するフック部にコードを通す円形リング部を設けて形成されたリングカンを用い、フック部を環状紐に係止することによりリングカンをテープに対して取付ける後付け方式がある。
【0004】
なお、テープの環状紐にリングカンが縫着された非取外し方式の場合、テープをカーテンに縫着するときリングカンが邪魔になり、テープ縫着作業が行いにくいだけでなく、合成樹脂製の場合、ミシンに当ることによってリングカンが破損する場合があり、後付け方式のリングカンではこれを防ぐことができるという利点はある。
【0005】
上記したたくし上げカーテンを洗濯する場合の方法は、カーテンと昇降用コードを切り離し、カーテンだけをヘッドボックスから取り外して昇降用コードをシェードレールに残し、テープとリングカンが付いた状態でカーテンを洗濯し、洗濯乾燥後にカーテンをシェードレールに取付け、再度カーテンと昇降用コードを結合するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カーテンの取外し時において、前者の非取外し方式のリングカンの場合、リングカンから昇降用コードを抜取る必要がある。
【0007】
また、後者の後付け方式のリングカンの場合、環状紐に対するフック部は、テープの環状紐に係止した状態で簡単に外れることがないような抜け止め構造になっており、環状紐に係止した状態で外そうとすると糸製の環状紐を傷めることになるので、後付けによって取付けたリングカンにおいても、カーテンの洗濯時にテープから取外されることはない。
【0008】
従って、従来のリングカンは何れの方式の場合でも、カーテンの取外し時に、昇降用コードの下端を接続したコードキャッチをカーテンから取外し、この後、昇降用コードの端部からコードキャッチを取外し、リングカンから昇降用コードを抜取る必要があり、カーテンの取付け時には、これらと逆の作業を行わなければならない。
【0009】
また、たくし上げカーテンは、降ろしたときに必要な丈になると共に、その昇降時に下部が水平状態で昇降動しないと極めて体裁が悪いため、昇降動を司る各昇降用コードは、最初のカーテン取付け時にその長さを、昇降用コードの端部とコードキャッチの結合部分において正確に調整されている。
【0010】
しかし、カーテンの取外し時に、上記のような条件下にある各昇降用コードをコードキャッチから取外して接続を解くと、洗濯後のカーテン再取付け時において、昇降用コードの端部とコードキャッチの接続を行う場合に、当初の接続長さを再現するのが困難で誤差が生じやすく、昇降用コードの長さ調整作業に手間と時間がかかると共に、カーテンの下部の水平状態や左右のバランスが崩れるという問題がある。
【0011】
そこで、この発明の課題は、カーテンの取外しが、昇降用コードの端部とコードキャッチの接続を解くことなく行え、カーテンの再取付け時に昇降用コードの長さ調整作業が不要になるカーテン昇降用コードのリングカンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するため、この発明は、たくし上げカーテンに縫着したテープの環状紐に対して係止するフック部と、カーテン昇降用コードを通すためのコード挿通環で形成されたカーテン昇降用コードのリングカンにおいて、前記コード挿通環にカーテン昇降用コードの出し入れを可能にするための切れ目を設けた構成を採用したものである。
【0013】
ここで、上記リングカンのコード挿通環は、平たい円形のリング状に形成され、このリングの周壁における一部に外周から内周に達する円弧状の切れ目を施し、切れ目はカーテン昇降用コードの直径が通過できる程度の幅とし、前記切れ目を挟む対向縁の一方に突起を設け、カーテン昇降用コードに対する抜け止め機能が生じるようにしている。
【0014】
また、上記フック部は、コード挿通環の外周で切れ目を挟む一端側から連なり、コード挿通環の外周に沿って切れ目と反対側へ弧状に屈曲し、先端側に向けて幅と厚みが漸減するように形成され、このフック部の内周とコード挿通環の外周の対向面間に、テープの環状紐に対する挿入溝が形成され、挿入溝は前記環状紐に嵌まる程度の幅とし、前記挿入溝を挟む対向縁に一対の突起が設けられ、環状紐に対して取り外しを困難にする抜け止め機能が生じるようにしている。
【0015】
上記リングカンは、合成樹脂を用いてフック部とコード挿通環が一体成形され、カーテンとテープ及びこのリングカンをポリエステルのような同一素材とすると、カーテンのリサイクル時に異質材料の選別が不要になり、一体処理が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、カーテンに縫着したテープの環状紐に対してフック部で係止するカーテン昇降用コードのリングカンにおいて、コード挿通環にカーテン昇降用コードの出し入れを可能にするための切れ目を設けたので、カーテンを洗濯する取外し時において、リングカンのコード挿通環に挿通したコードを、このコード挿通環に設けた切れ目から取外すことができ、従って、カーテンとコードはコードキャッチをカーテンから取外すだけで分離させることができ、コードの下端とコードキャッチの接続部分は接続状態のままでよく、コードの端部とコードキャッチの接続を解く必要がないので、コードは最初のカーテン取付け時に調整された長さのままとなり、カーテンの再取付け後におけるカーテンの丈や左右のバランスの変化がなく、カーテンの再取付け時にコードの長さを調整する作業が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図3のように、たくし上げ方式のカーテン1は、建物側に固定するシェードレール2に上端部を取り付けて、建物の壁における開口部分の室内側に吊り下げ状に配置され、このカーテン1の裾には縫製した筒状部3に長い棒状のウエイト4が縫い込まれている。
【0019】
上記カーテン1の一面側で両端部等の複数箇所には、このカーテン1の引き上げと降ろしを行うための糸紐を用いたカーテン昇降用コード5が配置され、各カーテン昇降用コード5はカーテン1に上下所定の間隔で取付けたリングカン6に挿通され、その上端側がシェードレール2内に設けた昇降機構で誘導し、このレール2の端部下方に係止機構を介して引き出し、各昇降用コード5の端部をイコライザー21で束ね、各昇降用コード5の下端は、カーテンの下部に係止するコードキャッチ7と接続されている。
【0020】
上記イコライザー21に接続した操作コード8を引き下げると、昇降用コード5によってカーテン1は下部から引き上げられ、ジグザグ状に折畳まれながら上昇し、また、昇降用コード5の係止を解くと、カーテン1は自重で下部から降りていくことになる。
【0021】
上記カーテン1に対するリングカン6の取付けは、図4のように、カーテン1の一面側で複数箇所に、上下方向に長いテープ9を縫着し、このテープ9に糸製の環状紐10を上下に一定間隔で複数設け、前記各環状紐10に後付け方式でリングカン6を取付けると共に、各テープ9の部分において、上下のリングカン6に昇降用コード5を順次挿通するようになっている。
【0022】
上記リングカン6は、合成樹脂を用い、図1のように、カーテン1に縫着したテープ9の環状紐10に対して係止するフック部11と、昇降用コード5を通すためのコード挿通環12で形成されている。
【0023】
ここで、図1の(a)はカーテン昇降用コードのリングカン6の正面図で背面はこれと対称となり、(b)はリングカン6の外形を示す斜視図、(c)はリングカン6の平面図、(d)は同底面図、(e)は同左側面図、(f)は同右側面図であり、更に(g)は(a)の矢印g−gに沿う縦断側面図、(h)は(a)の矢印h−hに沿う拡大した縦断側面図、(i)は(a)の矢印i−iに沿う拡大した縦断側面図を示している。
【0024】
上記コード挿通環12は、昇降用コード5が余裕をもって貫通する内径孔12aを有する平たい円形のリング状に形成され、このリングの周壁における一部に外周から内周に達する円弧状の切れ目13を施し、切れ目13はカーテン昇降用コード5の直径が通過できる程度の幅とし、前記切れ目13を挟む対向縁の一方に突起14を設け、昇降用コード5に対する抜け止め機能が生じるようにしている。
【0025】
また、上記フック部11は、コード挿通環12の外周で切れ目13を挟む一端側から連なり、コード挿通環12の外周に沿って切れ目13と反対側へ弧状に屈曲し、先端側に向けて幅と厚みが漸減するように形成され、このフック部11の内周とコード挿通環12の外周の対向面間に、テープ9の環状紐10に対する挿入溝15が形成され、挿入溝15は前記環状紐10の糸径に嵌まる程度の幅とし、前記挿入溝15を挟む対向縁の途中に一対の突起16と17が設けられ、挿入溝15の内端側に位置させた環状紐10に対して取り外しを困難にする抜け止め機能が生じるようにしている。
【0026】
図2はリングカン6の変形例を示し、テープ9の環状紐10の収まりが安定するように、図2(a)のリングカン6は、挿入溝15の内端を少し大きめ目の円形孔15aとし、図2(b)のリングカン6は、挿入溝15の内端でコード挿通環12側の位置に弧状の切り欠き部15bを設けたものである。
【0027】
なお、上記図2で示したリングカン6は、図1で示したリングカン6と同じ大きさであり、その平面、底面、左右の側面等は、図1のリングカン6と同一である。
【0028】
ここで、上記リングカン6は、合成樹脂を用いてフック部11とコード挿通環12が一体成形され、カーテン1とテープ9及びこのリングカン6をポリエステルのような同一素材とすると、カーテン1のリサイクル時に異質材料の選別が不要になり、一体処理が可能になる。
【0029】
この発明のカーテン昇降用コードのリングカン6は、上記のような構成であり、最初にカーテン1を取付けるには、建物側に固定するシェードレール2等にカーテン1の上端部を固定し、このカーテン1の幅方向両側等の複数箇所の位置に縫着したテープ9の各環状紐10にリングカン6を後付けによって取付ける。
【0030】
上記リングカン6の取付けは、テープ9の各環状紐10にフック部11を先端から差込み、環状紐10に対して一対の突起16と17間を無理に通過させることにより、挿入溝15の内端側に位置させた環状紐10に対して突起16、17の抜け止め機能で取り外しが困難な状態になっている。
【0031】
各テープ9ごとに、上下に並ぶ前記リングカン6のコード挿通環12に昇降用コード5をそれぞれ上下に通し、各昇降用コード5は下端に接続したコードキャッチ7を介してカーテン1の下部に連結すると共に、上端側をシェードレール2内に設けた昇降機構で誘導し、このレール2の端部下方に係止機構を介して引き出し、各昇降用コード5の端部をイコライザー21で束ね、イコライザー21に吊下げた操作コード8の操作で、カーテン1の上げ降ろしを行うことができる。
【0032】
上記カーテン1を洗濯のために取外す場合は、各リングカン6のコード挿通環12に挿通した昇降用コード5を、このコード挿通環12に設けた切れ目13から外部に取外すようにすればよく、各リングカン6はカーテン1の側に残したままとなり、従って、カーテン1と昇降用コード5はコードキャッチ7をカーテン1から取外すだけで分離させることができ、昇降用コード5の下端とコードキャッチ7の接続部分は接続状態のままでよく、昇降用コード5の端部とコードキャッチ7の接続を解く必要がない。
【0033】
また、カーテンの再取付け時は、シェードレール2等にカーテンの上端部を固定して吊り下げ、カーテン1の側に残したままとなっている各リングカン6のコード挿通環12に、切れ目13の部分から昇降用コード5の途中を差し込めばよく、この後、下端のコードキャッチ7をカーテン1の下部に連結すれば作業が完了し、上記のようにしてコード挿通環12に通した昇降用コード5は最初のカーテン取付け時に調整された長さのままであるので、再取付け時に昇降用コード5の長さを調整する作業が不要になり、カーテン1の再取付け後における丈や左右のバランスの変化が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)はカーテン昇降用コードのリングカンの正面図、(b)は同斜視図、(c)は同平面図、(d)は同底面図、(e)は同左側面図、(f)は同右側面図、(g)は(a)の矢印g−gに沿う縦断側面図、(h)は(a)の矢印h−hに沿う拡大した縦断側面図、(i)は(a)の矢印i−iに沿う拡大した縦断側面図
【図2】(a)はカーテン昇降用コードのリングカンの他の例を示す正面図、(b)は同じく更に他の例を示す正面図
【図3】カーテン昇降用コードのリングカンを用いたたくし上げカーテンの全体形状を示す正面図
【図4】(a)はカーテンのテープに設けた環状紐にリングカンを取付ける状態の斜視図、(b)はこのリングカンにコードを出し入れする場合の状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0035】
1 カーテン
2 シェードレール
3 筒状部
4 ウエイト
5 昇降用コード
6 リングカン
7 コードキャッチ
8 操作コード
9 テープ
10 環状紐
11 フック部
12 コード挿通環
13 切れ目
14 突起
15 挿入溝
16 突起
17 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たくし上げカーテンに縫着したテープの環状紐に対して係止するフック部と、カーテン昇降用コードを通すためのコード挿通環で形成されたカーテン昇降用コードのリングカンにおいて、前記コード挿通環にカーテン昇降用コードの出し入れを可能にするための切れ目を設けたことを特徴とするカーテン昇降用コードのリングカン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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