説明

カートリッジとこのカートリッジが装入される景品払出機

【課題】 補充した景品の積層状態を強固に保持するとともに、補充時の作業性を向上させる。
【解決手段】 獲得した遊技媒体数に応じた景品を払出す景品払出機に装入され、景品を収容するカートリッジ21であって、景品を積層させて収容する収容部210a〜210cと、積層方向に移動操作可能な操作端212a〜212cと、操作端212a〜212cと一体に設けられ、積層して収容された最後尾に位置する景品に当接する当接部211a〜211cと、を有し、当接部211a〜211cを、払出しに伴い景品が移動する方向へ移動可能とし、これと反対方向へ移動不能とする移動制限手段を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品を収容した状態で、景品払出機に装入されるカートリッジに関し、特に、景品の補充や扱いが容易なカートリッジと、このカートリッジが装入される景品払出機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機が設置された遊技場には、遊技客が獲得したメダルや遊技球などの遊技媒体数に応じた現金と交換可能な特殊景品(以下、景品という)を払出す景品払出機が設置されている。
景品払出機には、複数の景品を積層した状態で収容するカートリッジが装入されており、このカートリッジに収容された景品の中から、遊技者が獲得した遊技媒体数に応じた数の景品が、機外に送出される(例えば、特許文献1)。
このような景品払出機において、収容された景品が不足した場合には、機内からカートリッジを取り出して、このカートリッジに景品を補充するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−38328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、景品をカートリッジに補充する際には、一般的には、景品を積層させて収容するようになっている。しかしながら、景品を積層させて収容した状態で、カートリッジを持ち上げて、景品払出機に装入するときに、カートリッジを傾けてしまうと、景品が倒れて積層状態が崩れてしまうことがある。
その場合には、崩れた景品を取出して、再び収容し直さなければならなかった。
【0005】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、補充した景品の積層状態を強固に保持するとともに、補充時の作業性を向上させたカートリッジとこのカートリッジが装入される景品払出機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のカートリッジは、獲得した遊技媒体数に応じた景品を払出す景品払出機に装入され、前記景品を収容するカートリッジであって、前記景品を積層させて収容する収容部と、積層方向に移動操作可能な操作端と、前記操作端と一体に設けられ、積層して収容された最後尾に位置する前記景品に当接する当接部と、を有し、前記当接部を、払出しに伴い前記景品が移動する方向へ移動可能とし、これと反対方向へ移動不能とする移動制限手段を備える構成としてある。
【0007】
また、本発明の景品払出機は、獲得した遊技媒体数に応じた景品を払出す景品払出機であって、この景品払出機に装入され、前記景品を収容するカートリッジを備え、前記カートリッジは、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカートリッジである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカートリッジとこのカートリッジが装入される景品払出機によれば、補充した景品の積層状態を強固に保持するとともに、補充時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る景品払出機を前面側から見た概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る景品払出機を裏面側から見た概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る景品払出機の前面カバーを取外した状態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る景品払出機の裏面カバーを開放した状態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジを引出した状態を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る景品払出機における主制御部により制御される構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットのユニット制御部により制御される構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る景品払出機における主制御部によって表示制御される上面表示部の表示例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る景品払出機における主制御部によって表示制御される前面表示部の表示例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの構成を示す正面側の概略斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジのA部(操作端付近)の拡大斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの構成を示す裏面側の概略斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの収容部(下段)を示す平面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットのサイドカバーを外したユニット本体の内部構成を示す概略斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットのフロントカバーを外したユニット本体の内部構成を示す概略斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットのシャッターが開放された状態を示す概略斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの収容部(下段)に収容された景品を送出する場合を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの収容部(中段)に収容された景品を送出する場合を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるカートリッジの収容部(上段)に収容された景品を送出する場合を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットのシャッター側から見た貯留部の内部構成を示す概略斜視図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットの可動床が貯留部に進出した状態を示す概略斜視図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る景品払出機における払出ユニットの押出部が貯留部に進出した状態を示す概略斜視図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る景品払出機における可動床が貯留部に進出した状態を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る景品払出機における可動床が貯留部から後退した状態を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る景品払出機における押出部が貯留部に進出して、払出口に景品を搬送した状態を示す、払出ユニットを側面から見た概略図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る景品払出機における主制御部によって行われる電源投入時の制御処理を示すフローチャートである。
【図28】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるユニット制御部によって行われる払出ユニットの初期化処理を示すフローチャートである。
【図29】本発明の一実施形態に係る景品払出機における主制御部によって行われる監視処理を示すフローチャートである。
【図30】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるユニット制御部によって行われる景品の払出処理を示すフローチャートである。
【図31】本発明の一実施形態に係る景品払出機におけるユニット制御部によって行われる景品の送出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る景品払出機の好ましい実施形態について、図1〜図31を参照して説明する。
【0011】
[景品払出機本体]
図1は、前面側から見た景品払出機の斜視図であり、図2は、裏面側から見た景品払出機の斜視図である。
また、図3は、前面カバーを取外した状態を示す景品払出機の斜視図である。図4は、裏面カバーを開放した状態を示す景品払出機の斜視図であり、図5は、図4においてカートリッジを引出した状態を示している。図6は、払出ユニットの構成を示す斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態の景品払出機1は、複数の払出ユニットを内蔵する本体10に、景品が払出される本体10前面側を着脱可能に覆う前面カバー11と、本体10裏面側を開閉可能に覆う裏面カバー12とが取付けられた全体が横長直方体の筐体構造で形成された据置タイプの景品払出機である。
なお、本実施形態の景品払出機1は、前面カバー11側が遊技客側となるように、景品カウンタに設置してある。これにより、遊技客に景品が直接払出されるようになっている。
【0012】
本体10は、八つの払出ユニット20−1〜20−8が着脱可能に内蔵されるとともに、複数の操作ボタンを有する操作部10aと、蛍光表示管等の表示器を有する上面表示部10bと、電子音を発するブザー10cと、各払出ユニット20や機内各部を制御する主制御部13などを備えている。
【0013】
前面カバー11は、景品が払出される払出口11fと、払出口11fを囲むシャッター枠11eと、払出された景品が載置されるテーブル11gと、液晶ディスプレイ等の表示器を有する前面表示部11aと、音声を出力するスピーカ11bなどを備えている。
【0014】
シャッター枠11eには、LED等のランプが埋設されており、景品払出し時に、点灯・点滅させることで、遊技客に対して景品の受取りを促すようになっている。
また、後述する各払出ユニット20のシャッター231を、払出口11fから外部に露出させるように設けてあり、各払出ユニット20から景品が搬送されるときに、このシャッター231が開放されるようになっている。
【0015】
テーブル11gの左右両端には、載置された景品を検出する、取り忘れ防止センサ11c,11dが埋設されている。
この取り忘れ防止センサ11c,11dは、例えば、光学的に景品を検出する反射型センサや通過型センサからなり、各センサからの信号は、主制御部13に入力されている。これにより、主制御部13が、景品が払出された後、所定時間以上連続して信号を検出したときに、上記のスピーカ11bと、シャッター枠11eのランプを駆動させて、景品の取り忘れを外部に報知するようになっている。
また、このとき主制御部13は、景品が検出される時間の経過に従って、ランプの点滅速度を徐々に速めたり、スピーカ11bから出力される音量を次第に大きくさせたり、又は音の出力間隔を短くさせるようになっている。
これにより、景品の取り忘れを防止することができる。
【0016】
このように構成された前面カバー11を取外すと、図3に示すように、本体10に内蔵された八つの払出ユニット20−1〜20−8hが外部に露出され、把手20bを把持しつつ、各払出ユニット20を挿抜することができるようになっている。
これにより、各払出ユニット20を個別に取出して、修理・調整などのメンテナンスを行うことができる。
【0017】
裏面カバー12は、所定のヒンジ等を介して、本体10に開閉可能に取付けられ、図4に示すように開放することで、景品を収容するカートリッジ21を外部に露出させることができる。
本実施形態のカートリッジ21は、水平方向の操作により、払出ユニット20に対して挿抜可能に設けられていることから(図6参照)、裏面カバー12の開放により、カートリッジ21を水平方向に引出して、景品を補充することができようになっている。
これにより、景品の補充に際して、従来のカートリッジように、鉛直方向に脱抜しないことから、脱抜可能な身長制限は撤廃され、すべての店員が景品の補充作業を行うことができる。
また、このカートリッジ21には、把手21aと、押下操作により、払出ユニット20との係止状態を解除できる係止解除ボタン21bとが設けられている。
この係止解除ボタン21bは、把手21aを把持しつつ、操作可能な位置に配置されている。これにより、係止解除ボタン21bを押下操作しながら、把手21aを把持して、カートリッジ21を引出すことができる(図5参照)。
【0018】
次に、本実施形態の景品払出機1の制御構成について、図7、図8を参照して説明する。図7は、主制御部13により制御される構成を示すブロック図であり、図8は、各払出ユニット20に設けられたユニット制御部20cにより制御される構成を示すブロック図である。
主制御部13とユニット制御部20cは、中央演算処理装置(CPU)、制御プログラムやデータを記憶する記憶手段(ROM、RAM)、CPUのI/Oポートと各部を接続するためインターフェイスなどを備えるコンピュータであり、記憶手段に記憶された制御プログラムに基づき、CPUが各部を制御するようになっている。
そして、これらの図に示すように、主制御部13とユニット制御部20cとは、相互通信可能に接続されている。これにより、主制御部13は、景品色毎の払出す景品数を指示する払出コマンドを送信して、ユニット制御部20cを制御するとともに、ユニット制御部20cから送信される、カートリッジ21に収容された景品の有無と景品色を示す景品情報や、払出した景品色や景品数などの払出結果を示す払出情報に基づき、各払出ユニット20の動作状態を監視している。
そして、ユニット制御部20cは、この払出コマンドに基づき、景品色毎に所定数の景品の払出しを行うとともに、払出情報を、主制御部13に送信するようになっている。
また、主制御部13は、図示しないホールコンピュータや、所定の景品交換処理を行うPOS管理装置と接続されており、これらから送信される遊技客が獲得した遊技媒体数を受信し、この遊技媒体数に対応する景品色毎の景品数を演算する。そして、この演算結果に基づく払出コマンドを各ユニット制御部20cに送信することで、獲得した遊技媒体数に応じた景品数が各払出ユニット20から払出されるようになっている。
【0019】
ここで、受信した遊技媒体数と、各ユニット制御部20cから送信される景品情報とに基づいて、主制御部13によって表示制御される上面表示部10bの表示例を図9に示す。
例えば、表示領域101には、主制御部13で演算された遊技媒体数に相当する金額を表示し、表示領域102には、この金額に対応して払出される景品数を景品色毎に表示する。この場合、赤、黄、青は、カートリッジ21に収容されている景品の彩色を示し、赤景品1個は、5000円、黄景品1個は、1000円、青景品1個は、500円に相当するものとしてある。その結果、表示領域102には、表示領域101の金額に対応する払出される景品数として、「赤景品7個、黄景品4個、青景品1個」が表示されている。
【0020】
また、表示領域103には、各払出ユニット20−1〜20−8の状態を表示している。
具体的には、表示領域103aには、各払出ユニット20のカートリッジ21に収容されている景品の色情報を表示し、表示領域103bには、カートリッジ21に収容されている景品の有無や、各払出ユニット20の装填の有無などを文字、記号、図形などで表示する。
この場合における景品の色情報と景品の有無は、後述する各払出ユニット20に設けられた景品センサ225a〜225cが景品の色彩を識別した結果に基づいて表示するようになっている。
この景品センサ225a〜225cは、カートリッジ21内部を下段・中段・上段に区画した収容部210a〜210c毎に設けられているため、各収容部210に収容された景品の色情報と景品の有無を表示することができる。
なお、本実施形態では、各収容部210に、同一色彩の景品を収容したため、表示領域103aには、各々一の色彩が表示されているが、収容部210a〜210c毎に異なる色彩の景品を収容した場合には、異なる色彩が収容部210毎に表示される。
このように、景品センサ225a〜225cにより、収容されている景品の色彩を払出す前に事前に検出できることから、誤った色彩の景品が払出されることを防止できるようになっている。
また、本体10内部には、各払出ユニット20の装填の有無を検出する検出手段を設けてあり(不図示)、各払出ユニット20の装填の有無は、この検出手段による検出の有無に基づいて表示される。
【0021】
次に、各ユニット制御部20cから送信される払出情報に基づいて、主制御部13によって表示制御される前面表示部11aの表示例を図10に示す。
図10(a)は、景品色毎の払出し個数を表示する表示態様を示し、図10(b)は、景品色毎の払出し金額を表示する表示態様を示している。
各表示態様は、操作部10aの操作ボタンを操作することで、いずれかの表示態様に切替え表示できるようになっている。
また、払出情報は、後述する各払出ユニット20に設けられた計数センサ234aが景品を検出する度に送信される。
【0022】
各図における表示領域110a〜110cは、景品色毎の払出状況を表示している。
図10(a)において、表示領域111bには、前述の金額に対応して払出されるべき景品数を景品色毎に表示し、表示領域111aには、送信された払出情報に基づき、払出された景品数を表示してある。これにより、遊技客は、払出されるべき全部の景品数と、既に払出された景品数を一目で認識でき、未払出し分の景品の取り忘れが防止される。
一方、図10(b)の各表示領域112a,112bには、上記各表示領域111a,111bにおける景品数を現金に換算した金額を、景品色毎に表示し、表示領域110dには、これらの各合計金額を表示してある。
これにより、遊技客は、現金として取得可能な金額を一目で認識できる。
【0023】
[払出ユニット]
次に、各払出ユニット20の構成について説明する。
払出ユニット20は、図6に示すように、ユニット本体20aとカートリッジ21とから構成されている。
カートリッジ21は、景品を収容するケースであり、ユニット本体20aは、このカートリッジ21に収容された景品を一個ずつ払出す機構を備えている。
ユニット本体20aは、カートリッジ21が挿抜されるように側面が開口され、カートリッジ21に収容された景品をカートリッジ21の外部に一個ずつ送出する景品送出部22と、送出された景品を払出口11fに向けて搬送する景品搬送部23と、これらを制御するとともに、主制御部13と通信を行うユニット制御部20cを備えている。
また、ユニット本体20a側面には、景品送出部22を覆うサイドカバー20dが設けられ、ユニット本体20a前面には、フロントカバー20e設けられている。
以下、払出ユニット20の各部構成について詳述する。
【0024】
(カートリッジ)
まず、カートリッジ21について説明する。
図11は、カートリッジ21の構成を示す正面側の概略斜視図であり、図12は、図11におけるA部(操作端付近)の拡大斜視図である。また、図13は、カートリッジ21の構成を示す裏面側の概略斜視図であり、図14は、収容部(下段)210aを示す平面図である。
これらの図に示すように、カートリッジ21は、カートリッジ21内を鉛直方向に下段、中段、上段の三段に区画した収容部(下段)210a、収容部(中段)210b、収容部(上段)210cと、この収容部を開閉可能に覆う扉21cとが設けられたケース構造を有している。
【0025】
各収容部210は、景品を水平方向に積層させて収容できるようになっている。
景品は、通常長方形をした所定の厚みを有するプレート状に形成されていて、この景品の長辺側面が各収容部210底面に面した状態で、各収容部210に積層して収容される(図18参照)。
各収容部210は、水平方向の一端側(図11の左側)が把手21aと係止解除ボタン21bを有する壁面で閉ざされ、他の一端側が開口されており、その開口された側に、景品が送出される送出口217a〜217cが各々設けられている(図13参照)。
各送出口217は、図14に示すように、一の景品がスライドして、流下可能な大きさに開口されている。そのため、水平方向に積層された景品のうち、各送出口217に位置する景品が各送出口217からカートリッジ21外部に送出されるようになっている。
【0026】
また、送出口217側には、各送出口217a〜217cと連通され、一の景品が流下可能な溝幅を有するコの字型のガイド溝2171が設けられており、このガイド溝2171が、各送出口217から送出された景品が流下する流路Aとなる。
また、ガイド溝2171の最下部には、後述の景品搬送部23に設けられた流入口234eと連通する排出口2172が開口されている(図13参照)。
【0027】
また、図13及び図14に示すように、各収容部210底面の側部には、送出口217a〜217cに向かって突出する突出弁218a〜218cが設けられている。
この突出弁218a〜218cは、各送出口217に対して突出するようにバネなどで付勢され、この突出により、各送出口217が閉塞されるようになっている。
これにより、カートリッジ21をユニット本体20aから脱抜した状態で、景品を補充するときに、各送出口217に位置する景品が各送出口217からカートリッジ21外部に送出してしまうことが避けられる。
なお、この突出弁218a〜218cは、カートリッジ21がユニット本体20aに挿入された状態では、この突出弁218a〜218cが各送出口217に対して後退して、各送出口217の閉塞が解除され、各送出口217に位置する景品が流路Aを流下可能な状態になる。
【0028】
各収容部210には、図11に示すように、景品の積層方向に移動操作可能な操作端212a〜212cが設けられている。各操作端212は、円筒形状からなり、指で摘んで操作できるようになっている。
各操作端212には、ほぼ景品と同形のプレート状に形成された当接部211a〜211cが一体に設けられている。この各当接部211は、各操作端212の移動操作に従って、移動するようになっている。
そして、この各当接部211を、積層された最後尾に位置する景品に当接させることで、各送出口217とこの当接部211との間に、景品を積層した状態で保持するようになっている。
【0029】
各操作端212には、ピニオンギヤ213a〜213cが取付けられている(図12参照)。
各ピニオンギヤ213は、各操作端212に嵌入された図示しないピンを軸として、図11中における右方向にのみ回転可能なラッチ構造を有している。
また、各収容部210の底面には、景品の積層方向に沿って設けられた、各ピニオンギヤ213と噛合するラックギヤ215a〜215cを備えている。
このラックギヤ215a〜215cは、各収容部210の底面に対して、景品の積層方向に沿ってスライド移動可能に取付けられている。
具体的には、図14に示すように、ラックギヤ215aは、長孔2151aを介して、収容部210aの底面に、この長孔2151aの範囲内(約10mm)においてスライド移動可能に取付けられている。また、このラックギヤ215aは、バネ2152aによって、図14中右方向に付勢され、このバネ2152aの復元力に抗した図14中左方向の外力が加わると、C方向にスライド移動(約10mm)するようになっている。
そして、各ピニオンギヤ213と各ラックギヤ215とが噛合した状態では、ラッチ構造が機能して、各ピニオンギヤ213の回転方向が制限され、各操作端212と各当接部211は、図11及び図14中における右方向、すなわち各送出口217に向かってのみ移動可能となっている。
【0030】
また、図12に示すように、各ピニオンギヤ213は、バネ214aによって、各ラックギヤ215と噛合するように付勢されている。
そして、操作端212を、バネ214aに抗して、指等でB方向に押下操作すると、これに従ってピニオンギヤ213もB方向に移動する。そして、ピニオンギヤ213は、ラックギヤ215との噛合が解除されるところまで、移動することができるようになっている(スライド構造)。
その結果、この解除された状態では、ピニオンギヤ213のラッチ構造が機能しないことから、操作端212を景品の積層方向のいずれにも移動操作できるようになる。
このような状態にして、操作端212を操作し、各送出口217と当接部211との間に、景品を補充できる空間を確保することができる。
カートリッジ21は、扉21cを開放することで、その側面を大きく開口させることができる。そのため、両手で景品の積層状態を保持したまま、各送出口217と当接部211との間に、一度に景品を補充できることから、補充時の作業効率が向上する。
そして、景品を積層して補充した後、最後尾に位置する景品に、当接部211を当接させ、このとき、操作端212に対する押下操作をやめることで、ピニオンギヤ213は、バネ214aの復元力によって、ラックギヤ215と噛合した状態に復帰する。
これにより、当接部211は、ピニオンギヤ213のラッチ構造によって、各送出口217に向かってのみ移動可能となり、反対の方向(把手21aと解除ボタン21bを有する壁面側)には、移動不能となる。
その結果、補充された景品は、各送出口217とこの当接部211との間に揺動不能に保持される。そして、扉21cを閉じた状態で、カートリッジ21をいずれの方向に揺らしても、景品の積層状態を保つことができるようになっている。
【0031】
また、各当接部211は、図13に示すように、この当接部211と一体に形成された、摺接部216a〜216cを備えている。
各摺接部216は、円筒形状のゴム材からなり、この摺接部216に、景品の積層方向に沿った動力を加えると、各当接部211を移動させることができる。
具体的には、ピニオンギヤ213aとラックギヤ215aとが噛合した状態を示した図14を用いて説明すると、摺接部216aに、図14中右方向の動力を加えたときには、ピニオンギヤ213aがラックギヤ215aに噛合しつつ、回転し、収容部210aに収容された景品を送出口217aに向けて移動させることができる。これにより、後述の景品送出部22が景品を景品搬送部23に送出することができる。
反対に図14中左方向の動力を加えたときには、ラッチ構造によって、ピニオンギヤ213aの回転が制限される。
ところが、前述したようにラックギヤ215aは、収容部210aの底面に対して、C方向にスライド移動することから、図14中左方向の動力が加わったときには、ピニオンギヤ213aのラッチ構造が機能したままの状態で、このラックギヤ215aごとC方向にスライド移動し、その結果、操作端212aと当接部211aもC方向に移動する。
このように、ピニオンギヤ213aとラックギヤ215aとが噛合した状態で、摺接部216aにC方向の動力を加えることにより、当接部211aと送出口217aとの間に収容される景品を保持する力を緩和させることができる。
すなわち、後述の景品送出部22が送出口217aに位置した一の景品を景品搬送部23に送出させる際に、摺接部216aにC方向の動力を加えることにより、この景品に加わる後続する景品からの圧力を低減させることができ、送出口217aに位置した景品の自重による自然落下を促進させるようになっている。
【0032】
また、各送出口217の近傍の壁面には、積層して収容された最前列に位置する景品の一部を外部に露出させる景品窓219a〜219cが、収容部210毎に開口されている(図13参照)。そして、各景品窓219を介して、この各景品窓219に対向して設けられた後述の景品センサ225a〜225cが、各収容部210に収容された景品の有無及び景品色を検出・識別できるようになっている。
【0033】
このように、本実施形態のカートリッジ21は、水平方向に景品を積層させて収容することで、水平方向に長くなる反面、鉛直方向に対する高さを抑えることができる。また、カートリッジ21は、鉛直方向に三段の収容部210を重ねて設けたが、収容される景品の長辺側面が各収容部210の底面に面した状態で収容させることから、カートリッジ21の高さを必要最小限に抑えることができる。
その結果、このカートリッジ21が装入される景品払出機1全体の高さが抑えられ、店員と遊技客との間に景品払出機1を介在させた状態において、店員が遊技客に実際に払出された景品を容易に確認できる。
【0034】
(ユニット本体)
次に、ユニット本体20aの景品送出部22について説明する。この説明においては、前述のカートリッジ21は挿入されているものとする。
図15は、サイドカバー20dを外したユニット本体20aの内部構成を示す概略斜視図である。図16は、フロントカバー20eを外したユニット本体20aの内部構成を示す概略斜視図であり、図17は、図16において、シャッター231が開放された状態を示す図である。
景品送出部22は、主に、上記のカートリッジ21に積層して収容された景品を水平方向に移動させる機構(移動手段)と、各送出口217に位置する景品を一個ずつ落下させる機構(送出手段)とで構成されている。
【0035】
景品を水平方向に移動させる機構(移動手段)は、前述の各摺接部216a〜216cに摺接するベルト222a〜222cと、各ベルト222を駆動させる送出モータ220と、この送出モータ220に直結し、各ベルト222の一端側が巻着される主軸221と、各ベルト222の他端側が巻着されるプーリー222dとからなり、送出モータ220が回転すると、これに伴い主軸221が回転し、主軸221とプーリー222dとの間に張架されたベルト222a〜222cが一斉に駆動するようになっている。
そして、各ベルト222が一斉に駆動すると、カートリッジ21の各摺接部216a〜216cに、同じ方向の動力が一斉に加わり、その結果、各当接部211が同じ方向に水平移動するようになっている。
このように、各ベルト222を駆動させる送出モータ220を一つとすることで、製品コストの低減を図ることができる。
【0036】
ここで、送出モータ220を、収容部210に収容された景品を各送出口217に向かって移動させるように回転(以下、正転といい、反対方向に景品を移動させる回転を逆転という)すると、各収容部210に収容された景品が一斉に各送出口217に誘導され、各送出口217に位置した景品が各送出口217からすべて落下するという不都合が生じる。
そこで、各送出口217に突出した状態で、各送出口217に至る手前で景品を制止させるとともに、各送出口217から後退した状態で、景品の各送出口217への進入を許容する制止片223b,223cを備えている(制止手段)。
【0037】
この制止片223は、収容部210bに収容された景品を制止する制止片223bと、収容部210cに収容された景品を制止する制止片223cとがあり、それぞれが、送出口217bと送出口217cに対向するように設けられている。各制止片223は、各々対向する収容部210より下段側に位置する収容部210に収容された景品がなくなったときに、各送出口217から後退し、その制止状態を解除するようになっている。
【0038】
具体的には、収容部(下段)210aに収容された景品があるときは、制止片223b,223cは、送出口217b,217cに突出し、収容部(中段,上段)210b,210cに収容された景品を、各送出口217b,217cに至る手前で制止させる。その結果、送出モータ220を正転させると、収容部(下段)210aに収容された景品のみを、送出口217aに誘導することができる。
【0039】
一方、収容部(下段)210aに収容された景品がなくなり、収容部(中段)210bに収容された景品があるときは、制止片223bは、送出口217bから後退した状態となり、景品の送出口217bへの進入を許容するとともに、制止片223cは、送出口217cに突出し、収容部(上段)210cに収容された景品を、送出口217cに至る手前で制止させる。その結果、送出モータ220を正転させると、収容部(中段)210bに収容された景品のみを、送出口217bに誘導することができる。
【0040】
さらに、収容部(下段,中段)210a,210bに収容された景品がなくなり、収容部(上段)210cに収容された景品があるときは、制止片223b,223cは、送出口217b,217cから後退した状態となり、景品の送出口217cへの進入を許容する。その結果、送出モータ220を正転させると、収容部(上段)210cに収容された景品を、送出口217cに誘導することができる。
このように本実施形態では、制止片223b,223cを突出させることで、その下段側に位置する収容部210に収容された景品から優先的に送出するようになっている。すなわち、本実施形態では、下方に位置する収容部210に収容されている景品から送出するようになっている。
そして、各送出口217に誘導された景品は、各送出口217から自重により落下するとともに、流路Aを流下して、後述の貯留部230に貯留されるようになっている。このように各送出口217は、払出口11fと通じる貯留部230に対して、高い位置に設けてあることから、特に動力を用いることなく、景品を払出すことができる。
【0041】
また、これらの制止片223は、景品に接触して景品の落下を促進するスライダー227の位置(後述のスライド範囲)に連動して、突出・後退するようになっている。
具体的には、スライダー227が下方から上方に移動するに従い、突出していた制止片223b,223cが、制止片223b、制止片223cの順に後退し、反対にスライダー227が上方から下方に移動するに従い、後退していた制止片223b,223cが、制止片223c、制止片223bの順に突出するように構成されている。
【0042】
なお、本実施形態と異なり、収容部(下段)210aに収容された景品を制止するための制止片223aを設けてもよい。
この場合において、各制止片223a〜223cが各送出口217に突出することなく、景品を制止可能、すなわち、流路Aを閉塞しないように景品を制止するように設けるとともに(例えば、景品側面を押圧して制止)、各制止片223a〜223cを各々独立して制御可能とすれば、景品を送出する収容部210に優先順位を設けることなく、任意の収容部210に収容された景品を送出できる。
【0043】
各収容部210cに収容された景品の有無及び景品色は、カートリッジ21の景品窓219a〜219cに対向して設けられた景品センサ225a〜225cによって、検出・識別される。
各景品センサ225は、発光部から所定の波長を発光させるとともに、受光部で受光される光量の違いに基づき、景品の色彩(赤、黄、青)を識別する反射型のカラーセンサである。
この景品センサ225からの検出信号は、ユニット制御部20cにおいてデコードされて景品の有無及び景品色が判定される。
この判定に基づき、払出コマンドに対応した景品色の景品が収容された収容部210が選択され、後述のスライダー227のスライド範囲が設定され、カートリッジ21から対応する景品色の景品の送出が行われるとともに、ユニット制御部20cから主制御部13に、景品情報が送信され、前述の上面表示部10bに各収容部210に収容されている景品の有無及び景品色が表示されるようになっている。
【0044】
また、景品センサ225cの近傍には、アクチュエータが押下されることで、カートリッジ21の挿入を検出するカートリッジ検出センサ229が設けられている。このカートリッジ検出センサ229からの検出信号は、ユニット制御部20cを介して、主制御部13に送信され、主制御部13が、カートリッジ21が挿入された、制御可能な払出ユニット20を識別できるようになっている。
そして、主制御部13が、送信されている景品情報に基づき、POS管理装置から受信した遊技媒体数に応じた景品色毎の景品数を示す払出コマンドを、制御可能な払出ユニット20に送信するようになっている。
【0045】
次に、景品センサ225cの近傍には、各送出口217に位置する景品の自重による落下を阻止するストッパー224a〜224cが設けられている。
このストッパー224a〜224cは、所定の水平軸を中心にして、ガイド溝2171からなる流路Aに沿って上下方向に回動する、流路Aを開閉する開閉弁となっている。
図15は、各ストッパー224が閉じた状態を示しており、この状態における各ストッパー224は、各収容部210底面とほぼ同じ高さとなる、水平位置まで回動して、流路Aを閉塞する。
この状態において、各送出口217に位置する景品は、このストッパー224に載置された状態となり、この景品の自重による落下が阻止される。
一方、各ストッパー224が下方に傾いた位置では、流路Aが開放され、各送出口217に位置する景品を、自然落下可能な状態にする(図18〜図20参照)。
【0046】
このような各ストッパー224の開閉動作は、ユニット制御部20cにより制御されるストッパーソレノイド226が励磁・非励磁となることで行われる(図16参照)。
具体的には、ストッパーソレノイド226が非励磁では、所定のプランジャに連結されたスライダー板226bがバネ226aによって下方側に付勢され、これに連動して、各ストッパー224が各収容部210底面とほぼ同じ高さとなる、水平位置まで回動する(図15参照)。
一方、励磁状態では、プランジャがストッパーソレノイド226に吸引されることで、スライダー板226bがバネ226aの復元力に抗して上方に移動し、これに連動して、各ストッパー224が下方に傾いた状態となる(図18〜図20参照)。
【0047】
また、各ストッパー224の開閉状態は、スライダー板226bの底面によりアクチュエータが押下されることで、各ストッパー224の閉じた状態を検知するストッパー作動検出センサ226cにより検出される(図16参照)。これにより、ユニット制御部20cが、各ストッパー224の開閉状態、ストッパーソレノイド226とその連動機構の動作不良を監視できる。
【0048】
次に、各送出口217に位置する景品を一個ずつ落下させる機構(送出手段)として、各送出口217に位置する景品に接触し、下方にスライドすることで、景品の自重による落下を強制するスライダー227が設けられている(図15参照)。
具体的には、スライダー227は、矩形状の樹脂片からなり、流路A内を上下方向に移動可能に設けられている。
スライダー227は、このスライダー227の裏面側に設けられたラックギヤ227cと一体に形成されている。このラックギヤ227cは、スライダーモータ227aに軸止されたピニオンギヤ227bに噛合しており、スライダーモータ227aの回転に伴い、ラックギヤ227cとスライダー227が、上下にスライドするようになっている(図16参照)。
このラックギヤ227cが上下にスライドする範囲には、スライダー227の位置を検出するスライダー位置センサ228a〜228dが取付けられている。
各スライダー位置センサ228は、フォトインタラプタからなり、ラックギヤ227cに一体に設けられた遮光板227dにより光が遮られることで、スライダー227の位置を検出するようになっている。
【0049】
スライダー227は、各収容部210に収容された景品の収容状態に応じて、異なる三つのスライド範囲内で上下にスライドする。
具体的には、収容部(下段)210aに景品がある場合には、スライダー227は、スライダー位置センサ228a(終点),228b(始点)が遮光板227dを検出可能なスライド範囲内(下段収容部)で上下にスライドする。
収容部(下段)210aに景品がない状態で、収容部(中段)210bに景品がある場合には、スライダー227は、スライダー位置センサ228b(終点),228c(始点)が遮光板227dを検出可能なスライド範囲内(中段収容部)で上下にスライドする。
また、収容部(下段)210a及び収容部(中段)210bに景品がない状態で、収容部(上段)210cに景品がある場合には、スライダー227は、スライダー位置センサ228c(終点),228d(始点)が遮光板227dを検出可能なスライド範囲内(上段収容部)で上下にスライドする。
【0050】
そして、それぞれの場合において、スライダー227が上側スライダー位置センサ(始点)から下側スライダー位置センサ(終点)まで移動することで、スライダー227が各送出口217に位置する景品の上側面に接触した後、そのまま下方に景品を移動させ、景品の自重による落下を強制するようになっている。
これにより、上記のストッパー224が開いた状態にあり、スライダー227が上側スライダー位置センサ(始点)と下側スライダー位置センサ(終点)の間を往復するとともに、このとき送出モータ220を正転させることで、その収容部210に収容された景品を、送出口217から次々と送出できるようになっている。
【0051】
各送出口217から景品が送出される動作を、図18〜図20に示す払出ユニット20を側面から見た概略図を参照して説明する。図18は、収容部(下段)210aに収容された景品Kaを送出する場合を示した概略図であり、図19は、収容部(中段)210bに収容された景品Kbを送出する場合を示した概略図であり、図20は、収容部(上段)210cに収容された景品Kcを送出する場合を示した概略図である。
【0052】
最初に、図18を参照して、収容部(下段)210aに収容された景品Kaを送出する場合の動作について説明する。
まず、送出モータ220を正転し、ベルト222a〜222cを駆動させ、各当接部211a〜211cを図中右方向に移動させる。その結果、各収容部210に収容されている景品は、各送出口217に向かって移動する。
この場合において、前述したように、収容部(下段)210aに収容された景品があるときには、制止片223b,223cが、収容部210b,210cに収容された景品を、送出口217b、217cに至る手前で制止させることから、収容部(下段)210aに収容された景品Kaのみが、送出口217aに送出される。
【0053】
そして、送出モータ220を逆転させて、各当接部211を後退させ、この状態を所定時間維持する。これにより、送出口217aに送出された景品Kaに加わる後続する景品からの圧力を低減させることができ、送出口217aに位置する景品Kaの自重による落下が促進される。
この状態で、ストッパーソレノイド226を励磁し、各ストッパー224a〜224cを開いた状態にする。そして、スライダーモータ227aを駆動し、スライダー227を、スライダー位置センサ228bが遮光板227dを検出する位置(始点)に待機させた後、スライダー位置センサ228aが遮光板227dを検出する位置(終点)までスライドさせる。その結果、スライダー227が送出口217aに位置する景品Kaの上側面に接触しつつ、下方にスライドするため、景品Kaが、流路Aを流下するとともに、景品搬送部23の貯留部230に流入する。
【0054】
次に、図19を参照して、収容部(下段)210aに収容された景品がなくなり、収容部(中段)210bに収容された景品Kbを送出する場合の動作について説明する。
まず、同様に送出モータ220を正転し、ベルト222a〜222cを駆動させ、各当接部211a〜211cを図中右方向に移動させる。その結果、各収容部210に収容されている景品は、各送出口217に向かって移動する。
この場合において、前述したように、収容部(下段)210aに収容された景品がなくなり、収容部(中段)210bに収容された景品があるときには、制止片223bは、送出口217bから後退した状態となり、景品Kbの送出口217bへの進入を許容するとともに、制止片223cは、送出口217cに突出し、収容部(上段)210cに収容された景品を、送出口217cに至る手前で制止させることから、収容部(中段)210bに収容された景品Kbのみが、送出口217bに送出される。
【0055】
そして、送出モータ220を逆転させて、各当接部211を後退させ、この状態を所定時間維持する。これにより、送出口217bに送出された景品Kbに加わる後続する景品からの圧力を低減させることができ、送出口217bに位置する景品Kbの自重による落下が促進される。
この状態で、ストッパーソレノイド226を励磁し、各ストッパー224a〜224cを開いた状態にする。そして、スライダーモータ227aを駆動し、スライダー227を、スライダー位置センサ228cが遮光板227dを検出する位置(始点)に待機させた後、スライダー位置センサ228bが遮光板227dを検出する位置(終点)までスライドさせる。その結果、スライダー227が送出口217bに位置する景品Kbの上側面に接触しつつ、下方にスライドするため、景品Kbが、流路Aを流下するとともに、貯留部230に流入する。
このとき、図19に示すように、収容部(下段)210aに収容された景品がなくなった状態では、その当接部211aは、流路Aの一壁面となり、景品Kbの流下の妨げとならないようになっている。
【0056】
次に、図20を参照して、収容部(下段)210a及び収容部(中段)210bに収容された景品がなくなり、収容部(上段)210cに収容された景品Kcを送出する場合の動作について説明する。
まず、同様に送出モータ220を正転し、ベルト222a〜222cを駆動させ、各当接部211a〜211cを図中右方向に移動させる。その結果、各収容部210に収容されている景品は、各送出口217に向かって移動する。
この場合において、前述したように、収容部(下段)210a及び収容部(中段)210bに収容された景品がなくなり、収容部(上段)210cに収容された景品があるときには、制止片223b,223cは、ともに送出口217b,217cから後退した状態となり、景品Kcの送出口217cへの進入が許容されることから、収容部(上段)210cに収容された景品Kcが、送出口217cに送出される。
【0057】
そして、送出モータ220を逆転させて、各当接部211を後退させ、この状態を所定時間維持する。これにより、送出口217cに送出された景品Kcに加わる後続する景品からの圧力を低減させることができ、送出口217cに位置する景品Kcの自重による落下が促進される。
この状態で、ストッパーソレノイド226を励磁し、各ストッパー224a〜224cを開いた状態にする。そして、スライダーモータ227aを駆動し、スライダー227を、スライダー位置センサ228dが遮光板227dを検出する位置(始点)に待機させた後、スライダー位置センサ228cが遮光板227dを検出する位置(終点)までスライドさせる。その結果、スライダー227が送出口217cに位置する景品Kcの上側面に接触しつつ、下方にスライドするため、景品Kcが、流路Aを流下するとともに、貯留部230に流入する。
このとき、図20に示すように、収容部(下段)210a及び収容部(中段)210bに収容された景品がなくなった状態では、これらの当接部211a,211bは、流路Aの一壁面となり、景品Kcの流下の妨げとならないようになっている。
【0058】
次に、ユニット本体20aの景品搬送部23について、図16及び図17、図21〜26を参照して説明する。
図16は、シャッター231が閉じた状態を示すユニット本体20aの概略斜視図であり、図17は、シャッター231が開いた状態を示すユニット本体20aの概略斜視図である。
また、図21は、シャッター231側から見た貯留部230の内部構成を示す概略斜視図である。図22は、可動床236が貯留部230に進出した状態を示す概略斜視図であり、図23は、押出部237が貯留部230に進出した状態を示す概略斜視図である。
また、図24〜図26は、景品搬送部23を側面から見た概略図であり、図24は、可動床236が貯留部230に進出した状態を示し、図25は、可動床236が貯留部230から後退した状態を示し、図26は、押出部237が貯留部230に進出して、払出口11fに景品を搬送した状態を示している。
これらの図に示すように、景品搬送部23は、主に、前述の景品送出部22から送出された景品を貯留部230に誘導し、景品を整列させて積み重ねる貯留機構と、シャッター231を開放して、貯留した景品を払出口11fに向けて搬送する機構とで構成されている。
【0059】
景品を貯留部230に誘導して、景品を整列させて積み重ねる貯留機構は、景品が貯留される貯留部230と、貯留部230の前方側を開閉可能に覆うシャッター231と、景品が滑降するスロープ234と、スロープ234を滑降する景品の姿勢を保持させるスロープ上板235と、貯留部230の鉛直方向の空間を規制する天板235aと、景品の払出枚数が少ないときに(三個以下)、貯留部230に進出して、鉛直方向の空間を縮小させる可動床236とからなる。
【0060】
貯留部230は、景品が載置される底面230aと、景品の横方向に対する可動範囲を制限する側面230bと、スロープ234に繋がり、景品の後方に対する可動範囲を制限する後面230cとが設けられている。
そして、後面230cと閉じた状態のシャッター231との間で、景品の前後方向に対する可動範囲を制限するとともに、底面230aと、これに対向して設けられた天板235aとの間には、最大五個の景品K1〜K5が積み重なる空間が確保される(図25参照)。
このように、四方から景品の可動範囲を制限することで、貯留部230に景品が整列されて積み重なるようになっている。
【0061】
シャッター231は、図16に示すように、シャッターモータ232aの動力により、上下にスライドする扉体である。シャッター231には、ラックギヤ232cが一体に取付けられ、このラックギヤ232cは、シャッターモータ232aに軸止されたピニオンギヤ232bに噛合されている。
これにより、シャッターモータ232aの回転に伴い、シャッター231が上下にスライドするようになっている。
このシャッター231が上下にスライドする範囲には、シャッター231が開いた状態(図17参照)の位置を検出するシャッター位置検出センサ(上)233aと、シャッター231が閉じた状態(図16参照)の位置を検出するシャッター位置検出センサ(下)233bとが取付けられている。
各シャッター位置検出センサ233は、フォトインタラプタからなり、シャッター231に一体に設けられた遮光板231aにより光が遮られることで、シャッター231の位置を検出する。
そして、シャッター231が閉じているときは、カートリッジ21から景品が送出されるとともに、貯留部230に貯留され(図24,図25参照)、シャッター231が開いているときは、貯留された景品が、押出部237によって搬送され、払出口11fから払出されるようになっている(図26参照)。
【0062】
スロープ234は、景品Kを滑降させる傾斜面となっており、スロープ上板235とで、景品を貯留部230に誘導する流路Aを形成している。
スロープ234とスロープ上板235は、一の景品が通過可能な間隔(一の景品の厚み分)をおいて配置されるとともに、これらで形成される上部開口は、前述のカートリッジ21の排出口2712と連通し、各送出口217から送出された景品Kが流入する流入口234eとなっている。
スロープ234の中央部には、後述の押出部237が挿通する切欠部234cが開口されている。
【0063】
切欠部234cを挟んだ両側には、反射型のフォトセンサからなる、滑降する景品Kを計数する計数センサ234aと、景品詰まり等により、スロープ234に滞留した景品を検出する滞留検出センサ234bとが設けられている。
計数センサ234aが景品を検出した信号は、ユニット制御部20cに入力される(図8参照)。
これにより、ユニット制御部20cが、この信号に基づき、景品を計数するとともに、計数値が、払出コマンドに対応する払出数となるまで前述の景品送出部22を制御して、景品を払出すようになっている。そして、この計数値は、ユニット制御部20cから払出情報として、主制御部13に送信され、前面表示部11aに景品の払出数が更新表示されるようなっている。
なお、計数センサ234aを景品センサ225a〜225cと同様に、景品の色彩(赤、黄、青)を識別するカラーセンサとすることもできる。
このようにすることで、送出された景品色をユニット制御部20cが監視しつつ、払出しを行うことができる。そして、例えば、送出された景品が払出コマンドに対応した景品色でないときは、この払出ユニットからの払出しを停止し、他の払出ユニットからの払出しに切り替えることもできる。
【0064】
また、滞留検出センサ234bが景品を検出した信号は、同様に、ユニット制御部20cに入力される(図8参照)。ユニット制御部20cは、この信号を監視し、この信号が所定時間以上連続して入力されたときには、後述の搬送モータ238を制御して、押出部237を進退移動させることで、景品詰まり等による滞留状態を解消するようになっている。
【0065】
可動床236は、その上面に景品を載置可能、かつ、搬送モータ238の動力によって、底面230a上をスライド移動し、貯留部230に対して進出・後退することで、貯留部230の鉛直方向の空間を拡縮させる部材である(空間拡縮手段)。
具体的には、可動床236は、図22に示すように、シャッター231に向かって下方に傾斜する斜面236aと、押出部237が通過可能に凹設された凹部236bとを有し、貯留部230に対して進出した状態では、斜面236aと天板235aと間に形成される鉛直方向の空間を、景品Kがその側面を載置面として直立できない高さに制限するようになっている。
【0066】
特に、図24に示すように、払出される景品数が、三個以下までは、貯留部230に進出した状態で斜面236aに景品を載置させる。これにより、景品を斜面236aに、直立させることなく積み重ねることができ、景品が直立することで発生する景品詰まりを防止する。
さらに、三個を超える景品数が追加して払出されるときは、可動床236は、一旦、図21に示すように、貯留部230から後退して、後面230c内に収容される。
この後退に際して、斜面236aに載置された景品は、その後側面が後面230cに当接した状態で、斜面236aの傾斜に沿って、徐々に下降して、底面230aに載置される。これにより、積み重なった状態を維持したまま、底面230aに景品を載置することができる(図24、図25参照)。また、このとき、景品がその側面を載置面として直立することも防止される。
【0067】
そして、図25に示すように、底面230aに載置された三個の景品の上に、新たな景品(K4又はK5)が積み重なるようになっている。このときには、既に底面230aに景品が三個積み重なった状態にあり、最上部に位置する景品の上面と天板235aと間に形成される鉛直方向の空間は、景品が直立できない高さに制限されている。これにより、新たな景品(K4又はK5)を、直立させることなく、三個の景品の上に積み重ねることができる。
このように、可動床236が、払出される景品数に応じて、貯留部230に進退をすることにより、景品の直立を防止しつつ、貯留部230の鉛直方向の空間を有効に利用して、景品を積み重ねた状態で貯留できる。
【0068】
貯留した景品を払出口11fに向けて搬送する機構は、押出部237からなる。
押出部237は、可動床236同様、搬送モータ238の動力によって、底面230a上をスライド移動し、貯留部230に対して進出・後退することで、貯留部230に貯留された景品を、払出口11fに搬送する部材である。
具体的には、押出部237は、図23に示すように、角棒状に形成され、切欠部234cから貯留部230に進出して、その前部を、貯留された景品に当接させつつ、スライド移動することで、払出口11fに景品を搬送する。
押出部237は、カートリッジ21から景品が送出され、貯留部230に貯留されているときには、切欠部234cより後退した位置で待機し(図22,図24参照)、景品の送出が終了して、シャッター231が開いたときに、払出口11fに向かってスライド移動するようになっている(図26参照)。
押出部237の上端部237aは、図23に示すように、スロープ234の最下部234dより、高く形成してある。このため、滞留検出センサ234bによる滞留検出の有無にかかわらず、スロープ234上に滞留した景品があるときには、押出部237が貯留部230に対して進出することで、滞留した景品を強制的に貯留部230に誘導することができる(図26参照)。
【0069】
次に、このような動作を行う可動床236と押出部237の機構について、図24〜図26を参照して以下に説明する。
可動床236と押出部237は、図24に示すように、搬送モータ238の動力により、水平方向にスライドする。押出部237には、ラックギヤ238bが一体に取付けられ、このラックギヤ238bは、搬送モータ238に軸止されたピニオンギヤ238aに噛合されている。
可動床236は、押出部237に設けられたスライド方向に所定幅の遊びを有する溝部に遊嵌されているため、押出部237の移動に遅れて従動する。
このような構成により、搬送モータ238の回転に伴い、可動床236と押出部237が貯留部230に対して進出・後退するようになっている。
【0070】
この押出部237が水平にスライドする範囲には、押出部237が貯留部230から後退して、切欠部234cより後方に待機した状態(図24参照)の位置を検出する押出位置検出センサ(後)238cと、押出部237がシャッター231からさらに前方に進出して、払出口11fから突出した状態(図26参照)の位置を検出する押出位置検出センサ(前)238dとが取付けられている。
各押出位置検出センサ238c,238dは、フォトインタラプタからなり、ラックギヤ238bに一体に設けられた遮光板238eにより光が遮られることで、押出部237の位置を検出する。
【0071】
可動床236は、貯留部230に進出した状態(図24,図26参照)と、貯留部230から後退した状態(図25参照)とがあり、これは押出部237の移動位置によって、定まるようになっている。
具体的には、押出部237を、押出位置検出センサ(後)238cが遮光板238eを検出する位置より、さらに搬送モータ238を所定時間回転させて、後方に移動させたときに、可動床236は、貯留部230から後退した状態(図25参照)になる。
一方、押出部237を、押出位置検出センサ(前)238dが遮光板238eを検出する位置に移動させたときに、可動床236は、貯留部230に進出した状態(図26参照)になる。
【0072】
可動床236は、この貯留部230に進出した状態(図24,図26参照)を初期位置として、その斜面236aに景品を載置する。このため、押出部237の移動に伴って、可動床236が初期位置からずれないようにする必要がある。
そこで、可動床236に図示しない貫通孔を開口させるとともに、この初期位置において、この貫通孔に挿入されるロックピン239aを設けてある。これにより、押出部237の移動にかかわらず、可動床236を、貯留部230に進出した状態(初期位置)に固定(ロック)しておくことができる。
また、このロックピン239aは、ロックソレノイド239のプランジャとなっており、ロックソレノイド239を励磁することで、このロックピン239aが貫通孔から脱抜され、ロックが解除される。
そして、可動床236を、貯留部230から後退した状態にするには、このロックを解除し、押出部237を、押出位置検出センサ(後)238cが遮光板238eを検出する位置より、さらに後方に移動させること達成される(図25参照)。
【0073】
次に、主制御部13とユニット制御部20cの各記憶手段に記憶された制御プログラムに基づき実行される制御処理について、図27〜図31を参照して説明する。
図27は、主制御部13によって行われる電源投入時の制御処理を示すフローチャートであり、図28は、ユニット制御部20cによって行われる払出ユニットの初期化処理を示すフローチャートである。また、図29は、主制御部13によって行われる監視処理を示すフローチャートであり、図30は、ユニット制御部20cによって行われる景品の払出処理を示すフローチャートであり、図31は、ユニット制御部20cによって行われる景品の送出処理を示すフローチャートである。
【0074】
主制御部13は、電源が投入されると、図27に示すような電源投入処理を行う。
具体的には、まず、景品払出機1の各部を初期化する景品払出機初期化処理を行う(S10)。これは、例えば、主制御部13における作業領域(記憶手段)の初期化、各出力デバイス(スピーカ、表示器など)の出力停止などのイニシャル処理からなる。
次いで、各払出ユニット20を初期化する払出ユニット初期化処理を実行する(S20)。この払出ユニット初期化処理は、本体10に装填されている払出ユニット20のユニット制御部20cに電源が供給されたときに、各払出ユニット20において行われる(後述)。
そして、各払出ユニット20において初期化処理が終了すると、各払出ユニット20のカートリッジ21の挿抜や、ユニット制御部20cから定期的に送信される景品情報を監視するとともに、POS管理装置から送信される遊技媒体数を監視する監視処理を行う(S30)。
【0075】
ユニット制御部20cは、電源が供給されると、図28に示すような払出ユニット初期化処理を実行する。
ユニット制御部20cは、カートリッジ21の挿入の有無をカートリッジ検出センサ229からの信号に基づいて判定し(S21)、カートリッジ21が挿入されていないときは(例えば、景品の補充中)、初期化処理を終了する(S21−NO)。
カートリッジ21が挿入されているときは(S21−YES)、スライダー227を初期位置(収容部(下段)210aにおけるスライド範囲の始点)に移動して、停止させる(S22)。
次に、シャッター231を開らき(S23)、押出部237を前後にスライド移動させて、可動床236を貯留部230に進出した状態にする(S24)。その後、シャッター231を閉じ(S25)、初期化処理を終了する。
【0076】
主制御部13は、電源投入処理が終了すると、図29に示すような監視処理を常時実行する。
具体的には、主制御部13は、各払出ユニット20のカートリッジ21の挿抜状態を監視し(S31)、挿抜があった場合には(S31−YES)、当該払出ユニット20に前述の払出ユニット初期化処理を実行させる(S32)。
カートリッジ21の挿抜がない場合は(S31−NO)、POS管理装置から送信される獲得遊技数を含む景品払出命令の監視を行う(S33)。
景品払出命令を受信した場合は(S33−YES)、獲得遊技数に応じた景品色ごとの景品数を算出し、カートリッジ21に収容された景品の有無と景品色とに基づいて、払出しを行わせる払出ユニット20を選定し(S34)、後述の景品払出処理を実行する(S35)。
景品払出命令を受信しない場合は(S33−NO)、カートリッジ21の挿抜状態の監視(S31)と、景品払出命令の受信の監視(S33)とを繰り返して行うようになっている。
【0077】
上記の景品払出命令に基づいて選定された払出ユニット20のユニット制御部20cが、例えば、五個の景品の払出しを指示する払出コマンドを受信すると、図30に示すような景品払出処理を実行する。
まずは、後述の景品送出部22を作動させて、カートリッジ21に収容された景品を景品搬送部23に送出する景品送出処理を行う(S41)。
この景品送出処理は、一の景品を送出するごとに、実行されるようになっている。
そして、計数センサ234aからの信号に基づいて送出される景品の数を監視し(S42)、三個の景品が送出されるまで、景品送出処理が実行される(S42−NO)。
三個の景品が送出されると(S42−YES)、可動床236を貯留部230から後退させる。そして、さらに、景品送出処理を行い(S44)、送出される景品の数を監視するとともに(S45)、五個の景品が送出されるまで、景品送出処理を実行する(S45−NO)。
五個の景品が送出されると(S45−YES)、シャッター231を開放するとともに(S46)、押出部237を進出させることで(S47)、五個の景品がテーブル11gに載置される。
このときには、スピーカ11bと、シャッター枠11eに埋設されたLED等のランプを駆動させ、景品の受取りを遊技客に促すようになっている。
そして、シャッター231を閉鎖することで(S49)、景品払出処理が終了する。
【0078】
上記の景品払出処理において、ユニット制御部20cが景品送出部22を制御して行う景品送出処理について、図31を用いて説明する。
まず、送出モータ220を正転し、各当接部211を各送出口217に向けて移動する(S51)。そして、送出モータ220を逆転させて、各当接部211を後退させ(S52)、送出口217に送出された景品に加わる後続する景品からの圧力を低減させる。
次に、景品センサ225aからの信号に基づき、収容部(下段)210に収容された景品の有無を判定する(S53)。
スライダー227は、通常初期位置に待機させていることから、収容部(下段)210aに景品がある場合には(S53−YES)、その後の処理を実行する(S59〜S62)。
【0079】
一方、収容部(下段)210aに景品がない場合には(S53−NO)、景品センサ225bからの信号に基づき、収容部(中段)210bに収容された景品の有無を判定する(S54)。そして、収容部(中段)210bに景品がある場合には(S54−YES)、スライダー227のスライド範囲を収容部(中段)210bにおけるスライド範囲に設定するとともに、スライダー227を当該スライド範囲の始点に移動させて(S55)、その後の処理を実行する(S59〜S62)。
【0080】
さらに、収容部(中段)210bに景品がない場合には(S54−NO)、景品センサ225cからの信号に基づき、収容部(上段)210cに収容された景品の有無を判定する(S56)。そして、収容部(上段)210cに景品がある場合には(S56−YES)、スライダー227のスライド範囲を収容部(上段)210cにおけるスライド範囲に設定するとともに、スライダー227を当該スライド範囲の始点に移動させて(S57)、その後の処理を実行する(S59〜S62)。
そして、さらに、収容部(上段)210cに景品がない場合には(S56−NO)、カートリッジ21に景品が収容されてないものとして、例えば、上面表示部10bとブザー10cを駆動させて外部にエラー状態を報知する、エラー処理を実行する(S58)。
【0081】
一方、いずれかの景品センサ225からの信号に基づき、景品ありを判定した場合は、各ストッパー224を開放するとともに(S59)、スライダー227を始点から終点に移動させる(S60)。そして、計数センサ234aからの信号を監視し(S61−NO)、信号が入力され、計数ありのときには(S61−YES)、各ストッパー224を閉塞して(S62)、景品送出処理を終了する。
【0082】
以上述べたように、本実施形態のカートリッジ21とこのカートリッジ21が装入される景品払出機1によれば、補充した景品の積層状態を強固に保持するとともに、補充時の作業性を向上させることができる。
【0083】
以上、本発明のカートリッジとこのカートリッジが装入される景品払出機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るカートリッジとこのカートリッジが装入される景品払出機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0084】
例えば、本実施形態では、景品払出機を据置タイプとしたが、景品カウンタに埋設するタイプとすることもできる。
また、本実施形態では、カートリッジ21の収容部を三段で構成したが、一段又は二段、さらには四段以上に構成することもできる。
また、本実施形態の空間拡縮手段では、貯留部の鉛直方向の空間をその底面側から上方に向かって拡縮させたが、上側から下方に向かって拡縮させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、特殊景品を収容するカートリッジと、この特殊景品を払出す景品払出機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 景品払出機
10 本体
10b 上面表示部
11 前面カバー
11a 前面表示部
11f 払出口
12 裏面カバー
13 主制御部
20 払出ユニット
21 カートリッジ
21a 把手
21b 係止解除ボタン
210(210a〜210c) 収容部
211(211a〜211c) 当接部
212(212a〜212c) 操作端
213(213a〜213c) ピニオンギヤ
215(215a〜215c) ラックギヤ
217(217a〜217c) 送出口
219(219a〜219c) 景品窓
220 送出モータ
222(222a〜222c) ベルト
223(223b,223c) 制止片
224(224a〜224c) ストッパー
225(225a〜225c) 景品センサ
227 スライダー
230 貯留部
234 スロープ
234c 切欠部
236 可動床
237 押出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
獲得した遊技媒体数に応じた景品を払出す景品払出機に装入され、前記景品を収容するカートリッジであって、
前記景品を積層させて収容する収容部と、
積層方向に移動操作可能な操作端と、
前記操作端と一体に設けられ、積層して収容された最後尾に位置する前記景品に当接する当接部と、を有し、
前記当接部を、払出しに伴い前記景品が移動する方向へ移動可能とし、これと反対方向へ移動不能とする移動制限手段を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
積層方向に沿って設けられたラックギヤと、
前記操作端に設けられ、前記ラックギヤと噛合するピニオンギヤと、を備え、
前記移動制限手段は、前記ピニオンギヤの回転を一方向に制限するラッチ構造からなる請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記操作部の操作により、前記反対方向への移動不能を解除し、前記当接部を積層方向に沿ういずれの方向へも移動可能にする解除手段を備える請求項1又は2記載のカートリッジ。
【請求項4】
積層方向に沿って設けられたラックギヤと、
前記操作端に設けられ、前記ラックギヤと噛合し、一方向にのみ回転するピニオンギヤと、を備え、
前記解除手段は、前記操作部の操作によって、前記ピニオンギヤを、回転軸方向に、前記ラックギヤとの噛合範囲を超えるまで移動させるスライド構造からなる請求項3記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記払出しに伴い前記景品が移動する方向側に、積層して収容された最前列に位置する景品の少なくとも一部を外部に露出させて、所定の検出手段でこの景品の有無を検出可能な景品窓を設けた請求項1〜4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記景品払出機に対して前記カートリッジを着脱するときに把持する把手を備え、
この景品払出機から当該カートリッジを脱抜するときに操作する係止解除ボタンを、前記把手を握る手の指で操作可能な範囲に配置した請求項1〜5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
獲得した遊技媒体数に応じた景品を払出す景品払出機であって、
この景品払出機に装入され、前記景品を収容するカートリッジを備え、
前記カートリッジは、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカートリッジであることを特徴とする景品払出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−167028(P2010−167028A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11102(P2009−11102)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】