説明

カード、紙片用収納フォルダ

【課題】収納部から取り出すことなく紙片およびカードの両面を視認できる。
【解決手段】裏シート11に縦方向の第1〜第3の折り線部12〜14を介して第1〜第4の区画15〜18を直列に設け、第1の区画12に設けられたカード収納部21は、第1の表シート22を溶着してカードCを収納するカードポケット23が形成され、第2〜第4の区画16〜18に設けられた紙片収納部31は、第2,第4の区画16,18に、紙片Tの両端側をそれぞれ収納する左右の紙片ポケット34,35が形成され、裏シート11と第1〜第3表シート22,32,33がそれぞれカードおよび紙片の文字が視認可能な透明または半透明な合成樹脂シートにより形成され、第1〜第3の折り線部12〜14によりカード収納部21を内側として巻き折り状態で保管、運搬する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対となるカードと紙片、たとえば運転免許証と交通違反キップとを収納するカード、紙片用収納フォルダに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1には、カードと小冊子やチラシを収納できるカードフォルダが開示されている。
このカードフォルダは、高さの異なる裏シートと仕切りシートと表シートとを、それぞれの両側縁部と地辺部が一致するように三周縁を溶着して、裏シートと仕切りシートの間に小冊子収納部を形成するとともに、仕切りシートと表シートとの間を溶着して左右に区画することにより左右のカード収納部を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−179047号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記カードフォルダは、全体をコンパクトにでき、透明シートを使用することにより、小冊子部に収められた紙片や、カード収納部に収められたカードを視認することができる。
【0005】
しかしながら、視認できるのは、紙片の表面または裏面のみ、カードの表面または裏面のみであり、紙片やカードの両面をそれぞれ視認する場合には、紙片やカードを収納部から一旦取り出さないと、表裏を視認できないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決して、収納部から取り出すことなく紙片およびカードの両面を視認することができ、コンパクトに収納できるカード、紙片用収納フォルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、カードと紙片とを収納するカード、紙片用収納フォルダであって、
裏シートに縦方向の複数の折り線部を介して3つ以上の区画を直列に設け、
一端部の区画をカード収納部とするとともに、残りの複数の区画を紙片収納部とし、
前記カード収納部に、第1の表シートを、開口部となる天辺部を残し残りの辺部を前記裏シートに溶着してカード保持部を形成し、
前記紙片収納部の一端部の区画と他端部の区画に、第2の表シートおよび第3の表シートを、互いに対向する辺部を残し残りの辺部を前記裏シートにそれぞれ溶着して紙片の両端部を収納する紙片一端保持部および紙片他端保持部を形成し、
前記裏シートおよび前記第1〜第3の表シートを、カードおよび紙片の文字が視認可能な透明または半透明な合成樹脂シートにより形成し、
前記カード収納部を内側として前記裏面シートを前記折り線部を介して巻き折りし保管、運搬するように構成されたものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
第1の表シートに、カード保持部に収納されたカードを開口部側に押し引き可能な長穴を形成し、
カード収納部で裏シートの天辺部側に溶着される基部と、前記開口部からカードと前記第1の表シートの間に挿入されてカードの脱落を防止するフラップ部とを有する脱落防止フラップを設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、裏シートの一端部の区画に形成されたカード収納部と、残りの区画に形成された紙片収納部を直列に配置することにより、カード収納部に収納されたカードの表面および裏面と、紙片収納部に収納された紙片の表面および裏面を、それぞれ保持部から取り出すことなく、視認することができ、使いやすさが向上される。また紙片の両端部を紙片一端保持部と紙片他端保持部に収納するので、区画の数を調整することにより、任意の長さの紙片を収納することができて、設計の自由度が高い。さらに、折り線部を介してカードを包み込むように、紙片収納部を巻き折りすることで、コンパクトに折り畳んで収納性や可搬性を向上させ、さらに外圧からカードを保護することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、脱落防止フラップにより、カード保持部に収納されたカードの抜け落ちを未然に防止することができる。またカードをカード保持部から取り出す時は、脱落防止フラップの地辺部を開口部から離脱させ、長穴から指でカードを開口部に押し上げることで容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るカード、紙片用収納フォルダの実施例1を示し、使用状態の表面図である。
【図2】(a)〜(c)は同収納フォルダの巻き折り手順を示す斜視図で、(a)はカード収納部の折り込み状態、(b)はカード収納部と紙片収納部の左紙片ポケットの折り込み状態、(c)は紙片収納部の右紙片ポケットの折り込み状態を示す。
【図3】(a)および(b)は同収納フォルダを示し、(a)は分解斜視図、(b)は組立斜視図である。
【図4】同収納フォルダへのカードと紙片の挿入手順を示す斜視図である。
【図5】収納フォルダの実施例2を示す使用状態の表面図である。
【図6】収納フォルダの実施例3を示す使用状態の表面図である。
【図7】収納フォルダの実施例4を示す使用状態の表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
このカード、紙片用収納フォルダ(以下、収納フォルダという)は、図1に示すように、たとえば交通違反者の運転免許証であるカードCと、単数または複数枚の交通違反キップである帯状の紙片Tとを対で収納するためのものである。
【0013】
この収納フォルダは、収納されたカードCおよび紙片Tの文字が視認できる透明か、または半透明で可撓性(柔軟性)のある合成樹脂シートで形成されている。
図3に示すように、横長の矩形状の裏シート11が、横幅方向に所定間隔をあけて形成された縦方向の第1〜第3の折り線部12〜14により、第1〜第4の区画15〜18が区画され、左端部(一端部)の第1の区画15に、カードCを収納するカード収納部21が形成されている。そして、残りの右辺側の第2〜第4区画16〜18にわたって、紙片Tを収納する紙片収納部31が形成されている。
【0014】
(カード収納部)
図1,図3に示すように、カード収納部21の地辺側から中央上部に、第1の区画15と同一の横幅で、かつカードCの横幅より少し大きい第1の表シート22が裏シート11に取り付けられて、カードCを収納可能なカードポケット(カード保持部)23が形成されている。すなわち、第1の表シート22は縦長の矩形状で、開口部22Uとなる天辺部を残して、左右側辺部22R,22Lと地辺部22Dが、裏シート11の左右側辺部と地辺部と第1の折り線部12にそれぞれ熱溶着されている。この第1の表シート22の中央部には、縦方向に長い長穴25が形成され、この長穴25により、開口部22Uからカードポケット23に挿入されたカードCを奥側に引き込んだり、カードポケット23に収納されたカードCを開口部22Uに押し上げることができる。
【0015】
またカード収納部21の天辺部側に、カードポケット23に収納されたカードCの脱落を防止する脱落防止フラップ24が設けられている。この脱落防止フラップ24は、天辺側で第1の区画15の裏シート11に取り付けられる基部24aと、地片側で開口部22Uに挿入可能な角丸の矩形で舌片状のフラップ部24bからなり、基部24aは、天辺部24Uと左右側辺部24R,24Lが、裏シート11の天辺部、左側辺部の一部および第1の折り線部12の一部にそれぞれ熱溶着されている。そして脱落防止フラップ24は、フラップ部24が1枚でもよいが、カードCの脱落防止に対する安全性を向上させる目的で、複数枚(2枚以上)の合成樹脂シートが重ねて使用してもよく、また他の樹脂シートに比較して厚みが大きい合成樹脂シートを使用してもよい。
【0016】
(紙片収納部)
図1,図3に示すように、紙片収納部31は、左端部(一端部)の第2の区画16に、紙片Tの左端側(紙片上部)を保持する第2の表シート32が取り付けられて左紙片ポケット(紙片一端保持部)34が形成されるとともに、右端部(他端部)の第4の区画18に、紙片Tの右端側(紙片下部)を保持する第3の表シート33が取り付けられて、右紙片ポケット(他端紙片収納部)35が形成されている。
【0017】
第2の表シート32は、第2の区画16と同一の縦幅で、横幅が少し小さい矩形状に形成され、挿入口32Rとなる右辺部(他端側辺部)を残して、左辺部(一端側辺部)32L、天辺部32Uおよび地辺部32Dの3つの辺部が,裏シート11の第1の折り線部12、第2の区画16の天辺部および第2の区画16の地辺部にそれぞれ熱溶着され、左紙片ポケット34が形成されている。この左紙片ポケット34の挿入口32Rは、第2の折り線部13から左側に切り欠き幅L1だけ後退した位置に開口され、第2の折り線部13での紙片Tの挿入を容易にしている。カードポケット23に隣接する左紙片ポケット34は、その面積を十分に確保することで、カードCと紙片Tとを照らし合わせることができる。たとえば運転免許証であれば、紙片Tの交通違反キップ上部に氏名や住所などの重要明細が記載されており、このような氏名や住所などの重要明細を容易かつ正確に照合させることができる。
【0018】
また第3の表シート33は、第4の区画18と同一の縦幅で、横幅が小さい矩形状に形成され、左辺部(一端側辺部)の挿入口33Lを残して右辺部(他端側辺部)33R、天辺部33Uおよび地辺部33Dの3つの辺部が,裏シート11の第4の区画18の右辺部、天辺部および地辺部にそれぞれ熱溶着されて、右紙片ポケット35が形成されている。この右紙片ポケット35の挿入口33Lは、第3の折り線部14から右側に切り欠き幅L2だけ後退した位置に開口され、第3の折り線部14での紙片Tの挿入を容易にしている。
【0019】
したがって、紙片Cの左辺部(一端部)を挿入口32Rから左紙片ポケット34に挿入して保持させるとともに、紙片Cの右辺部(他端部)を挿入口33Lから右紙片ポケット35に挿入して保持させ、紙片Cを紙片収納部31に収納することができる。なお、第3の区画部17は裏シート11のみで構成され、紙片Cの中間部背面に対面する中間接続部36となる。この中間接続部36に対面する紙片の表面には、収納したまま、筆記や捺印などの作業が可能となる。
【0020】
裏シート11の天辺部、地辺部および左右の側辺部は、第1〜第3表シート22,32,33の加圧、熱溶着と同時にそれぞれ角アールとなる切断を行い、切断端面を角丸に形成している。これにより、皮膚に対する感触を向上させ、目に当たった場合のけがなどを防止するとともに、割れに対する強度も向上させている。
【0021】
第1〜第3の折り線部12〜14は、溶着切断後に、折り曲げ幅に相当する加圧片を加熱して当て付けることにより、平行な2本線が視認できる凹溝状に形成される。
(使用状態)
図4に示すように、この収納フォルダの使用に際し、脱落防止フラップ24のフラップ部24bを持ち上げて、カードCを開口部22Uからカードポケット23に挿入し、カードCの全体をカードポケット23内に入れる。そして2枚のフラップ部24bを、開口部22Uからカードポケット23内のカードCと第1の表シート22の間に挿入して、カードCがカードポケット23から脱落するのを防止する。
【0022】
また紙片Cは、その左端部を挿入口32Rから左紙片ポケット34に挿入して保持させ、さらに紙片Cの右端部を挿入口33Lから右紙片ポケット35に挿入して保持させる。これにより、帯状の紙片Cを紙片収納部31に容易に収納できる。
【0023】
さらに、図2に示すように、この収納フォルダの運搬や保管に際して、カード収納部21を巻き込むように紙片収納部31を第1〜第3折り線部12〜14を介して巻き折りする。これにより、カードポケット23に収納されたカードCを、紙片収納部31と紙片Cとで保護する。
【0024】
(実施例の効果)
上記実施例によれば、裏シート11の左端部の第1の区画15に形成されたカード収納部21と、残りの第2〜第4の区画16〜18にわたって形成された紙片収納部31を、直列に連結配置したので、カード収納部21に収納されたカードCと、紙片収納部31に収納された紙片Tとを、それぞれのポケット23,34,35から取り出すことなく、表および裏を視認することができ、収納フォルダの取り扱い性を向上させることができる。また紙片Tの両端部を左紙片ポケット34と右紙片ポケット35に保持して収納するので、帯状の紙片Tを容易に収納することができる。また中間接続部36の紙片Tの中間部が露出されることから、紙片Tへの捺印や記入などの作業が可能となる。
【0025】
また紙片収納部31は、第2〜第4の区画16〜18の数を調整することにより、任意の長さの紙片Tを収納することができて、設計の自由度が高い。
さらにカード収納部21のカードCを包み込むように、第1〜第3の折り線部12〜14を介して紙片収納部31の第2〜第4の区画16〜18を巻き折りすることで、外圧からカードCを保護することができる。
【0026】
さらにまたカード収納部21のカードポケット23の開口部22Uに、脱落防止フラップ24を設けたので、カードポケット23に収納されたカードCの抜け落ちを確実に防止することができる。
【0027】
またカードポケット23を形成する第1の表シート22に、長穴25を形成したので、カードCをカードポケット23に挿入する場合や、カードCをカードポケット23から取り出す時に、指を長穴25を介してカードCの表面に押し当ててスライドさせることができ、カードCのカードポケット23への挿入、離脱を容易かつ確実に行うことができる。
【0028】
(他の実施例)
なお、紙片収納部31において、中間接続部16の数を増減することにより、長さの異なる帯状の紙片Tを収容することができる。たとえば紙片Tが長い場合には、図5に示す実施例2のように、左右紙片ポケット34,35を有する2つの中間接続部36A,36Bを2つ設ければよい。紙片Tが短い場合には、図6に示す実施例3のように、中間接続部である第3の区画17をなくして、左右紙片ポケット34,35のみを設ければよい。この場合には、紙片の挿入が容易なように、右紙片ポケット35の切り欠き幅L3を大きくしている。
【0029】
また、上記実施例1では、裏シート11の左辺部にカード収納部21を設けたが、図7の実施例4に示すように、右辺部にカード収納部21を設けても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。ここでは、カード収納部21に隣接して切り欠き幅L1の小さい右紙片ポケット44を設け、反対側に切り欠き幅L2の大きい右紙片ポケット45を設けることで、カードCと紙片Tとの照合を容易かつ正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
C カード
T 紙片
11 裏シート
12 第1の折り線部
13 第2の折り線部
14 第3の折り線部
15 第1の区画
16 第2の区画
17 第3の区画
18 第4の区画
21 カード収納部
22 第1の表シート
22U 開口部
23 カードポケット(カード保持部)
24 脱落防止フラップ
24a 基部
24b フラップ
25 長穴
31 紙片収納部
32 第2の表シート
32R 挿入口
33 第3の表シート
33L 挿入口
34,44 左紙片ポケット(紙片一端保持部)
35,45 右紙片ポケット(紙片他端保持部)
36(36A,36B) 中間連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードと紙片とを収納するカード、紙片用収納フォルダであって、
裏シートに縦方向の複数の折り線部を介して3つ以上の区画を直列に設け、
一端部の区画をカード収納部とするとともに、残りの複数の区画を紙片収納部とし、
前記カード収納部に、第1の表シートを、開口部となる天辺部を残し残りの辺部を前記裏シートに溶着してカード保持部を形成し、
前記紙片収納部の一端部の区画と他端部の区画に、第2の表シートおよび第3の表シートを、互いに対向する辺部を残し残りの辺部を前記裏シートにそれぞれ溶着して紙片の両端部を収納する紙片一端保持部および紙片他端保持部を形成し、
前記裏シートおよび前記第1〜第3の表シートを、カードおよび紙片の文字が視認可能な透明または半透明な合成樹脂シートにより形成し、
前記カード収納部を内側として前記裏面シートを前記折り線部を介して巻き折りし保管、運搬するように構成された
ことを特徴とするカード、紙片用収納フォルダ。
【請求項2】
第1の表シートに、カード保持部に収納されたカードを開口部側に押し引き可能な長穴を形成し、
カード収納部で裏シートの天辺部側に溶着される基部と、前記開口部からカードと前記第1の表シートの間に挿入されてカードの脱落を防止するフラップ部とを有する脱落防止フラップを設けた
ことを特徴とする請求項1記載のカード、紙片用収納フォルダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71428(P2012−71428A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216268(P2010−216268)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(593171949)友田技研工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】