説明

カードゲーム用カードおよびカードゲーム玩具

【課題】 カードゲーム用カードにおいて、視覚表現を実現させこれをゲームとして楽しむ。
【解決手段】 複数枚のカードを重ね合わせることによりカードの正面に視覚表現を実現させるためのカードゲーム用カードであって、該カードは少なくとも一部に光透過性の表示部を有し、該表示部には有色および/または無色の点(ドット)が多数配置されてなり、複数枚のカードの重ね合わせ時に、前記点(ドット)の重なりによって色彩が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のカードを重ね合わせることによりカードの正面に視覚表現を実現させるためのカードゲーム用カード、およびそのカードゲーム玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のカードを重ね合わせて楽しむカードゲームとしては、次のような対戦ゲーム用のカードゲーム具が公知である。即ち、(イ)少なくとも一対の対戦カードからなること、(ロ)一対の対戦カードには、それぞれ対応する両側の位置に透明表示枠部が形成されていること、(ハ)透明表示枠部の所定の位置には、少なくとも1個の透過性を有する着色表示部が形成されていること、および、(ニ)着色表示部は、色の三原色の内のいずれか一つの色によって形成されていること、の各要件を備えたカードゲーム具である(特許第2948700号公報(特許文献1)参照)。
しかしながら、対戦ゲーム用のカードは一対のカードを対向させて、勝敗やランキングの競争過程およびその結果を楽しむものであるけれども、そのゲーム性は単純であり、遊びのバリエーションに乏しかった。
【0003】
また、実開平4−18558号公報(特許文献2)には、適数枚の同大のカードの一部にアニメーション・映画・TVゲームの一場面であるポジからなる透光部を設け、該透光部内の一部にゲーム表示をするカードゲーム具に関し、前記ゲーム表示に単純な図形・文字・記号・絵を適宜分割して表示する方法が記載されている。
しかしながらこの表示方法は、パズルゲームを二次元化したものに過ぎず、パズルゲームと同様に、原図形(文字、記号、絵等)から狭義の制約を受けるため、単純なゲームにしか展開することができない。
【0004】
【特許文献1】特許第2948700号公報
【特許文献2】実開平4−18558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の観点に鑑みてなされたものであって、複数枚のカードを重ね合わせることによりカードの正面に視覚表現を実現させるためのカードゲーム用カードにおいて、多数配置した点(ドット)の色彩変化により、図形、模様、文字、記号、および/または色彩等から構成された多種多様の視覚表現を実現させると共に、この視覚表現をゲームとして楽しむことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数枚のカードを重ね合わせることによりカードの正面に視覚表現を実現させるためのカードゲーム用カードであって、該カードは少なくとも一部に光透過性の表示部を有し、該表示部には有色および/または無色の点(ドット)が多数配置されてなり、複数枚のカードの重ね合わせ時に、前記点(ドット)の重なりによって色彩が変化することを特徴とするものである。
【0007】
前記視覚表現は、図形、模様、文字、記号、および/または色彩であることが好ましい。
前記有色の点(ドット)が色の三原色の点(ドット)であることが好ましい。
前記点(ドット)の多数配置において、方向性を考慮した2以上の視覚表現を実現可能とすることが好ましい。
前記カードゲーム用カードが同大であり、その形状が矩形であることが好ましい。
【0008】
本発明は、前記したいずれかのカードゲーム用カードと該カードを複数枚重ね合わせて収容するカードケースとからなるカードゲーム玩具であって、該カードケースの正面に前記表示部が表れる開口部を備えると共に、該カードケースの4側面のうち少なくとも1側面に前記カードを挿入可能な開口部を形成してなり、前記複数枚のカードを正確に重ね合わせ可能としたことを特徴とするものである。
前記カードケース内に、視覚表現を実現させるカード以外のカードを同時に収容可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカードゲーム用カードおよびカードゲーム玩具によれば、多種多様な視覚表現の実現が可能となり、カードゲームのバリエーションを多方面に広げることができる。
また、カードの重ね合わせ方向変化による多様な表現も可能であり、複雑なゲームや斬新なゲームにも対応することができ、ユーザー満足度を飛躍的に高めることができる。
更に、カードを集めるほど複雑かつ高度なゲームを構築することができることから、製品としてのカードゲーム用カードの購入意欲が促進されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るカードゲーム用カードおよびカードゲーム玩具について、図面を参照しながら説明する。
始めに、本発明に係るカードゲーム用カードにおいて、視覚表現を実現させるための原理について図1を参照しながら説明する。
図1は、カードゲーム用カードの正面に設けられた表示部10、15を拡大して示す正面図であり、表示部10、15には、それぞれ縦12個×横12個の桝目が示されている。
【0011】
本発明において表示部10、15は光透過性とすることが必要であり、前記枡目の一つ一つを点(ドット)として使用する。
即ち、図1の上半部には複数色の点(ドット)11、12、13、14が配置された表示部10が図示されており、図1の下半部には単色の点(ドット)16が配置された表示部15が図示されている。
【0012】
表示部10において、点(ドット)11は無色であり、点(ドット)12、13、14は有色である。表示部10を有する複数枚のカードを重ね合わせたとき、1枚のカードに設けられた光透過性の無色の点(ドット)11は、他のカードに設けられた光透過性の有色の点(ドット)12、13、14のいずれかと重なれば、重なった点(ドット)11は当該有色で表示されるが、点(ドット)11同士が重なっても無色である。
一方、有色の点(ドット)12、13、14同士が重なると、それらの合成色が表示されることになる。
【0013】
前記有色の点(ドット)を、例えば、色の三原色(赤、黄、青)の点(ドット)とすれば、点(ドット)同士の重なりによって種々の合成色を表示することができる。勿論、カードの重ね合わせによる視覚表現の種類、即ち図形、模様、文字、記号、および/または色彩等、あるいは視覚表現の特徴に応じて、三原色以外の色、例えば緑色、橙色、紫色、黒色を用いたり、一部の点(ドット)に金色、銀色を使用することも自由である。
また、表示部15にあっては、有色の点(ドット)16を無色の背景に配置することに限らず、点(ドット)16を無色とし点(ドット)11を有色としても良い。
【0014】
点(ドット)の大きさには格別の制限はない。大きさの上限は表現される図形、模様、文字、記号、および/または色彩のバリエーションを考慮して決定すべき事項であるが、大き過ぎると表現力が低下することになる。点(ドット)の大きさの下限については、本発明の視覚表現を実現させるための原理から生じる制約はなく、技術的な限界のみが存在する。例えば、有色の点(ドット)12、13、14を微小な一噴射ドット印刷して、1点(ドット)を1mm未満の大きさに設定することも可能であるが、色彩変化の誤差が生じ易い。
なお、図1において、各点(ドット)は図示するための便宜上、桝目で表現されているが、必ずしもこれに限られず円形、三角形、菱形、星形などとしても良い。
【0015】
次に、本発明のカードゲーム用カードについて、図2を参照しながら説明する。
図2は、カードゲーム用カード20、20、20を重ね合わせて多層化した状態を示しており、該カード20、20、20の表示部10−1、10−2、10−3の重なりによって、カード20の正面表示部21に視覚表現が現れたことが示されている。即ち、複数枚のカード20、20、20の重ね合わせ時に、前記点(ドット)の重なりによって色彩が変化し、この結果、文字“G”が可視化されたものである。
【0016】
本発明のカードゲーム用カードは複数枚のカードを重ね合わせて、図形、模様、文字、記号、および/または色彩等から構成された視覚表現を実現させると共に、この視覚表現をゲームとして楽しむことができるものである。
多種多様な視覚表現を実現させるためには、複数枚のカード20のうち、その1枚または2枚以上を換えることにより、異なった図形、模様、文字、記号、および/または色彩等から構成された視覚表現が得られることが好ましい。
【0017】
また、1枚1枚のカード20の方向を変えることでも、その結果得られる点(ドット)の重なりによって色彩が変化し、異なった視覚表現が得られるようにすることが好ましい。
即ち、前記点(ドット)の多数配置において、方向性を考慮した2以上の視覚表現を実現することが好ましく、そのためには、カード20を同大とし、その形状を矩形とすることも一案である。
なお、前記点(ドット)の多数配置については、コンピュータシュミレーションにより配置、決定することにより、複雑な視覚表現を実現することが可能である。
【0018】
本発明のカードゲーム用カード20の本体22は、紙またはプラスチックなどの材料から製造する。また、前記表示部10はカード20の少なくとも一部に形成され、光透過性の材料、例えば、透明プラスチック、透明フィルム、透明紙などから製造する。
【0019】
続いて、図3を参照しながら本発明のカードゲーム玩具を説明する。
カードゲーム玩具は、前記カード20と該カード20を複数枚重ね合わせて収容するカードケース30とからなる。
図3は、カードケース30の斜視図であり、その正面(図3において上向きの面)にカード20の表示部10が表れる開口部32を備えると共に、カードケース30の4側面のうちその隣り合う2側面の各々にカード20を挿入可能な開口部31a、31bが形成されている。なお、開口部32は開放状態のままとしても良いし、透明なアクリル板やガラス板などを嵌め込んだものとしても良い。
【0020】
本実施形態によれば、開口部31aまたは開口部31bからカード20、20、20を挿入するだけで、誰にでも容易に複数枚のカードを正確に重ね合わせることが可能となる。従って、本発明のカードゲーム用カードにおける重ね合わせ時のズレに起因する不測の視覚表現の変化を未然に防止することができる。
本実施形態において直交する開口部31a、31bを設けたのは、前記した方向性を考慮してカードの2方向の視覚表現を容易に実現するための工夫である。勿論、カードケース30の側面に、3方向または4方向から挿入可能な開口部を設けても良い。
なお、カードケース30内には、現に視覚表現を実現しているカードに限らず、それ以外のカードも同時に収容可能としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のカードゲーム用カードにおいて視覚表現を実現させる原理についての説明図である。
【図2】カードゲーム用カードを重ね合わせて多層化した状態を示す説明図である。
【図3】本発明のカードケースの斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10、15 表示部
11 無色の点(ドット)
12、13、14、16 有色の点(ドット)
20 カードゲーム用カード
30 カードケース
31a、31b 開口部
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のカードを重ね合わせることによりカードの正面に視覚表現を実現させるためのカードゲーム用カードであって、該カードは少なくとも一部に光透過性の表示部を有し、該表示部には有色および/または無色の点(ドット)が多数配置されてなり、複数枚のカードの重ね合わせ時に、前記点(ドット)の重なりによって色彩が変化することを特徴とするカードゲーム用カード。
【請求項2】
前記視覚表現が、図形、模様、文字、記号、および/または色彩である請求項1記載のカードゲーム用カード。
【請求項3】
前記有色の点(ドット)が色の三原色の点(ドット)である請求項1記載のカードゲーム用カード。
【請求項4】
前記点(ドット)の多数配置において、方向性を考慮した2以上の視覚表現を実現可能とした請求項1記載のカードゲーム用カード。
【請求項5】
前記カードゲーム用カードが同大であり、その形状が矩形である請求項1記載のカードゲーム用カード。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載のカードと該カードを複数枚重ね合わせて収容するカードケースとからなるカードゲーム玩具であって、該カードケースの正面に前記表示部が表れる開口部を備えると共に、該カードケースの4側面のうち少なくとも1側面に前記カードを挿入可能な開口部を形成してなり、前記複数枚のカードを正確に重ね合わせ可能としたことを特徴とするカードゲーム玩具。
【請求項7】
前記カードケース内に、視覚表現を実現させるカード以外のカードを同時に収容可能な請求項6記載のカードゲーム玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106600(P2009−106600A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283152(P2007−283152)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(599143058)株式会社エイティング (6)
【Fターム(参考)】