説明

カードコネクタ

【課題】 メモリカードなどの薄型のカードが装着されるカードコネクタであって、カードの種類などを識別する検知機構をカードを保持して移動するスライダに備えたカードコネクタを提供する。
【解決手段】 ケース本体22の右側方の位置には、挿入されたカードを保持して(a)(b)間を往復移動するスライダ41が設けられている。このスライダ41には、カードCの挿入に応じてスライダ41自身をロックするロック機構35とカードCの種類を識別する検知機構30が設けられている。第1のカードC1がスライダ41で保持されると、カードに形成された案内識別溝6の形状に応じて検知機構30の検知凸部33が弾性部材30Aに抗して後退させられる。これにより、弾性部材30Aの端部31,32が一対の平行電極28A,28B上をそれぞれ摺動し、一対の平行電極28A,28B間が導通接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で薄型のケース内にメモリチップなどの電子回路が収納されたカードが装着されるカードコネクタに係り、特に挿入されたカードの種類を識別する検知機構を有するカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明に関連する先行技術としては、例えば以下の特許文献1、2などが存在する。
特許文献1に記載されたカードコネクタでは、カードを保持するとともにカードの挿入方向および排出方向に移動自在に設けられたスライド部材と、このスライド部材に取り付けたコイルばねと、コイルばねの両端の端子にそれぞれ接触可能な固定電極とを有している。カードが挿入されると、スライド部材はカードを保持した状態で奥部方向に移動させられる。このときコイルばねの両端の可動接点が、第1の固定接点と第2の固定接点にそれぞれ接触し、両固定接点間が導通してスイッチがオンに切り換わることにより、カードが所定の装着位置に装着されたことが検知されるというものである。
【0003】
また特許文献2には、板状のメモリカードが装着される板状記録媒体ホルダに関する発明が記載されている。ホルダ内に挿入されたメモリカードがスライダとともに奥部方向に押し込まれると、スライダに進退自在に設けられた係合凸部が突出して、メモリカードの側面に形成された係合凹部に係合してメモリカードを保持するというものである。
【特許文献1】特開2007−213857号公報
【特許文献2】特開2003−150921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カードの種類などを検知する検知機構と、カードを保持して一体的に移動するスライダとを別々に備えると、部品点数が増加するという問題がある。
【0005】
また特許文献1に示す従来のカードコネクタでは、挿入されたカードとこれを保持して一体的に移動するスライダが、最奥部の所定の装填位置まで移動されないと、カードの挿入を検知ができない構成である。すなわち、カードが収納領域へ挿入され始めた早期の段階で、カード挿入の有無を検出したい場合であっても、カードを的確に検出することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、例えばカードの種類を挿入直後の早期の段階で検知することができる検知機構をカードを保持して一体的に移動するスライダに備えたカードコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケース内に電子回路が収納されたカードが装着される収納領域と、前記収納領域内に位置して前記カードに設けられた外部接続部に導通する接続端子と、前記カードとともにカードの挿入方向および排出方向に移動自在に設けられたスライダとを備えたカードコネクタにおいて、
前記収納領域には、前記カードの挿入方向および排出方向に沿って平行に形成された一対の平行電極が設けられ、
前記スライダには、前記スライダを前記カードの挿入状態に応じて前記収納領域内の所定の位置にロックするロック機構と、前記カードを検知する検知機構とが設けられており、
前記検知機構は、前記カードの側面に設けられた案内識別溝に対して自在に進退可能な検知凸部と、前記検知凸部を前記カードの挿入方向および排出方向と直交する横幅方向に付勢して前記カードの前記案内識別溝に突出させる弾性部材とを有しており、
前記収納領域内に前記カードが装着されたときに、前記カードごとに異なる前記案内識別溝の形状に応じて前記弾性部材が前記横幅方向に移動することにより、前記一対の平行電極との間の接続状態が切り換えられることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、カードの種類などを識別する検知機構をスライダに搭載したことから、カードコネクタ全体としての部品点数を削減することができるとともにコンパクト化することができる。
【0009】
しかも、本発明では挿入されたカードはスライダに保持されるが、このときスライダに設けられた検知凸部が横幅方向に移動させられ、弾性部材が圧縮する方向に変形させられる。この状態でカードとスライダとが一緒に装置奥部に移動させられると、圧縮方向に移動させられた検知機構の一対の接点が一対の平行電極に接触して両電極間が導通する。このため、カードの挿入を挿入段階で検知することができる。
【0010】
上記において、前記弾性部材は、巻き方向と直交する幅方向に変形可能な捩じりコイルばねで形成されており、前記捩じりコイルばねの一方の端部と他方の端部が、前記一対の平行電極にそれぞれ接触可能であるものが好ましい。
【0011】
上記手段では、カードに検知凸部を押し当てる付勢力を発生する捩じりコイルばねが一対の平行電極間を連結する部材としても機能するため、部品点数を削減することができる。
【0012】
あるいは、前記検知機構に、前記一対の平行電極のそれぞれに接触可能な一対の接点を有する導通連結部材が設けられているものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカードコネクタでは、カードを保持して一体的に移動するスライダにカードの種類などを識別や検知する検知機構を同時に備えることができるため、部品点数の増大を防止することができるとともに、コンパクト化することが可能となる。
しかも、カードの種類を挿入した早期の段階で検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明のカードコネクタについて図面を参照しつつ説明する。
図1はカードが装着された状態におけるカードコネクタの外観を示す斜視図、図2は蓋体を外したカードコネクタを示す斜視図、図3はカードコネクタの分解斜視図、図4はカードが装着されていないカードコネクタを前方から見た正面図、図5はカードコネクタの平面図、図6は図5に示すVI−VI線におけるカードコネクタの断面図である。
【0015】
図7は初期位置において第1のカードが装着された状態を示すカードコネクタの平面図、図8は初期位置において第2のカードが装着された状態を示すカードコネクタの平面図、図9は第1および第2のカードの保持位置での状態を示すカードコネクタの平面図、図10は蓋体とスライダとを外した状態におけるカード挿入途中の動作状態を示すカードコネクタの部分平面図であり、(A)は第1のカードC1の場合、(B)は第2のカードC2の場合、図11は検知機構の他の変形例を示す部分断面図であり、(A)は第2のカードC2の場合、(B)は第1のカードC1の場合である。
【0016】
図12以下には、前記カードコネクタに装着されるカードが示されている。図12は第1のカードの平面図、図13は第1のカードの左側面図、図14は第1のカードを斜め下側から示す斜視図である。
【0017】
図12ないし図14に示される第1のカードC1は、いわゆるマルチメディアカードなどのメモリデバイスとして使用されるものである。第1のカードC1は、プラスチック製のケース1を有しており、このケース1内に、フラッシュメモリなどのメモリチップや、メモリコントローラとして機能するICチップなどが収納されている。
【0018】
図13に示すように、ケース1は、第1の面である表面1aと第2の面である裏面1bを有している。表面1aと裏面1bは互いに平行な平面であり、表面1aと裏面1bの間隔が第1のカードC1の厚み寸法Tである。図14に示すように、裏面1bの前方には、複数個(13個)の外部接続部5が露出している。外部接続部5の表面はケース1の裏面1bとほぼ同一面である。
【0019】
ここで、「表面」と「裏面」とは外部接続部5を有する面と有しない面を識別するための便宜上の名称であり、カードコネクタ20に対し、表面1aを上向きにして装着してもよいし、裏面1bを上向きにして装着してもよい。
【0020】
図12ないし図14に示すように、ケース1は前端部1cと、後端部1dを有している。また右側部1eと左側部1fを有している。
【0021】
図13に示すように、前端部1cは、表面1aと垂直な平面であり、表面1aと裏面1bとの角部には前方傾斜面2が形成されている。後端部1dは、表面1aおよび裏面1bに垂直な平面である。右側部1eと左側部1fは、表面1aおよび裏面1bと垂直な平面である。図12に示すように、前端部1cと右側部1eとの境界部および前端部1cと左側部1fとの境界部、すなわち前端部1cの左右両側部には、円筒面の一部である前方コーナー曲面3,3が形成されている。後端部1dと右側部1eとの境界部および後端部1dと左側部1fとの境界部、すなわち後端部1dの左右両側部にも、円筒面の一部である後方コーナー曲面4,4が形成されている。
【0022】
図12に示すように、ケース11を表面1a側から見た平面図では、ケース1の形状は前後に延びる中心線O−Oを介して左右に対称の形状である。
【0023】
ケース1の前方部分では、右側部1eと左側部1fから中心線O−Oに向けて窪む案内識別溝6,6が形成されている。案内識別溝6,6は、右側部1eおよび左側部1fと平行で且つ右側部1eおよび左側部1fから中心線O−Oに向けて幅寸法W1だけ内側に位置する内側面6a,6aと、裏面1bと平行な内底面6c,6cとを有している。そして、右側の案内識別溝6の後端部と右側部1eとの間、および左側の案内識別溝6の後端部と左側部1fとの間には、それぞれ傾斜部6b,6bが形成されている。傾斜部6b,6bは、後方に向かうにしたがって中心線O−Oから徐々に離れる面であり、傾斜部6b,6bは平面または曲率を有する曲面である。
【0024】
図13に示すように、案内識別溝6,6は、ケース1の表面1aから裏面1bに向けて窪んでいる。ケース1の表面1aから案内識別溝6の内底面6cまでの距離、すなわち案内識別溝6,6の表面1aから裏面1bに向けた深さ寸法t1は、第1のカードC1の全体の厚み寸法Tのほぼ1/2である。また、前記案内識別溝6,6が表面1aから窪んで形成された結果、それよりも裏面側には、裏面1bと前記内底面6c,6cとで挟まれた部分である薄肉部7,7が形成されている。この薄肉部7,7の厚さ寸法t2も、第1のカードC1の全体の厚み寸法Tのほぼ1/2である。
【0025】
案内識別溝6,6は、前端部1cの左右両側部にて前方に開放されている。よって、図14に示すように、前端部1cの厚さ寸法は、その中央のほとんどの部分がTであるが、両側部においては、厚さ寸法はt2である。図12に示すように、案内識別溝6,6の前後の長さ寸法L1は、ケース1の前端部1cから、傾斜部6b,6bの後端部までの距離である。案内識別溝6,6の前後の長さ寸法L1が、第1のカードC1を識別するための識別部として機能している。
【0026】
ケース1の右側部1eと左側部1fでは、案内識別溝6,6の後端部よりも後方へ距離L2だけ空けた位置に、中間凹部8,8が形成されている。中間凹部8,8の前後方向の長さ寸法L3は、前記案内識別溝6,6の前後方向の長さ寸法L1よりも短い。
【0027】
中間凹部8,8は、右側部1eおよび左側部1fよりも中心線O−O側に位置し且つ右側部1eおよび左側部1fと平行な内側端8a,8aを有している。右側部1eから内側端8aまでの幅寸法ならびに左側部1fから内側端8aまでの幅寸法W2は、前記案内識別溝6,6の幅寸法W1とほぼ同じである。
【0028】
中間凹部8,8は前内端8bと後内端8cを有しており、前内端8bと後内端8cとの間の前後の間隔が、中間凹部8,8の長さ寸法L3である。
【0029】
図13と図14に示すように、中間凹部8,8は内底端8d,8dを有しており、この内底端8d,8dは、裏面1bと平行である。表面1aから内底端8d,8dまでの寸法が、中間凹部8,8の深さ寸法t3であり、この深さ寸法t3は、前記案内識別溝6の深さ寸法t1よりも大きい。
【0030】
この第1のカードC1がカードコネクタ20に装着される際に、案内識別溝6内を通過した保持部53(図2と図7参照)が中間凹部8に嵌合することで、第1のカードC1がカードコネクタ20内のスライダ41に保持される。
【0031】
図13に示すように、案内識別溝6,6および中間凹部8,8が、共に表面1aから裏面1bに向けて厚さ寸法Tの途中まで窪む形状あるため、案内識別溝6,6内を通過した保持部53を、その直後に中間凹部8,8に嵌合させることができる。しかも、案内識別溝6,6の後端部に傾斜部6b,6bが形成されているため、保持部材は傾斜部6b,6bに導かれてスムースに中間凹部8,8内に嵌合する。
【0032】
さらに、図13に示すように、中間凹部8,8の深さ寸法t3は、案内識別溝6,6の深さ寸法t1よりも大きいため、案内識別溝6,6内を通過した保持部53が、中間凹部8,8に入り込みやすくなる。そのため、保持部53を中間凹部8,8に確実に嵌合させて、第1のカードC1をカードコネクタ20内のスライダ41に位置決めすることができる。
【0033】
図12に示すように、ケース1の後端部1dよりも少し内側には、表面1aから窪む摘み凹部9が形成されている。図1に示すように、第1のカードC1がカードコネクタ20に装着されると、前記摘み凹部9を有する後端部分が、カードコネクタ20から突出する。この摘み凹部9に指の爪を掛けるなどして、第1のカードC1をカードコネクタ20から引き出すことができる。
【0034】
(第2のカードの形状)
図15は、第2のカードC2を示す図12と同じ平面図である。
【0035】
第2のカードC2はケース11を有しており、このケース11内に、メモリチップやその他のICチップなどが収納されている。
【0036】
第2のカードC2のケース11に形成された案内識別溝16は、第1のカードC1の案内識別溝6よりも長いが、これ以外の形状について、第1のカードC1と第2のカードC2は、全てにおいて同じである。すなわち、第2のカードC2のケース11の厚み寸法Tと幅寸法W0および長さ寸法は、第1のカードC1のケース1と同じである。第2のカードC2のケース11に形成されている中間凹部8,8の形状と寸法および位置は、第1のカードC1のケース1と同じである。その他、図15では、第1のカードC1のケース1と同じ部分には同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0037】
図15に示す第2のカードC2では、前方の左右両側に案内識別溝16,16が形成されている。この案内識別溝16,16には、中心線O−Oに近づく位置に内側面16aが形成されている。内側面16aの位置、すなわち案内識別溝16,16の幅寸法W1は、図12に示すケース1の案内識別溝6,6の幅寸法W1と同じである。またケース11の表面1aから、内底面16cまでの寸法、すなわち案内識別溝16,16の深さ寸法は、図13に示すケース1の案内識別溝6,6の深さ寸法t1と同じである。第2のカードC2のケース11には、案内識別溝6,6よりも裏面側に薄肉部17,17が設けられているが、この薄肉部17,17の幅寸法および厚み寸法も、第1のカードC1の薄肉部7,7と同じである。
【0038】
ただし、図15に示すケース11の案内識別溝16,16および薄肉部17,17の長さ寸法L11,すなわち前端部1cから傾斜部16bの後端までの距離L11は、図12に示すケース1の案内識別溝6,6および薄肉部7,7の長さ寸法L1よりも長い。よって、第2のカードC2では、識別部として機能する段差部である傾斜部16b,16bが、第1のカードC1での傾斜部6b,6bよりも((b)側)へ離れた位置にある。
【0039】
第2のカードC2のケース11に形成されている中間凹部8,8の長さ寸法L3は、ケース1の中間凹部8,8の長さ寸法L3と同じである。また、図15に示す長さ寸法L11+L12は、図12に示す長さ寸法L1+L2と同じである。つまり、図15に示すケース11における前端部1cから中間凹部8,8の前内端8b,8bまでの距離は、図12に示すケース1の前記距離と同じである。
【0040】
第2のカードC2のケース11の裏面1bに現れている外部接続部の数および位置ならびに形状は、図14に示す第1のカードC1のケース1の裏面1bに現れている外部接続部5と全く同じである。
【0041】
図1以下に示すカードコネクタ20には、第1のカードC1と第2のカードC2が同じようにして装着される。図5に示すように、カードコネクタ20には、第1のカードC1の外部接続部5と、第2のカードC2の外部接続部の双方に共通に接続される接続端子55が設けられている。
【0042】
ただし、第1のカードC1と第2のカードC2では、案内識別溝6,16および薄肉部7,17の長さ寸法L1,L11が相違しているため、カードコネクタ20ではこの相違を検知することで、いずれのカードが装着されたかを認識できる。
【0043】
第1のカードC1と第2のカードC2の仕様の違いは、例えば、駆動電圧の違い、すなわち、電源用の外部接続部を介してケース1,11内の回路に供給すべき電圧の相違である。または、前記仕様の相違は、ケース1,11の内部に収納されているメモリチップのメモリ容量の違いである。あるいは、第1のカードC1と第2のカードC2のいずれか一方は、容量の大きいメモリチップを有して、主にデータの記憶に使用され、他方は、所定のプログラムを内蔵した読み取り専用メモリが内蔵されて、制御プログラムを供給する用途として使用される。
【0044】
図12と図15に示すように、第1のカードC1のケース1と第2のカードC2のケース11は、いずれも中心線O−Oに対して左右対称形状であり、全体の平面形状が長方形である。そのため、ケース1,11の内部のスペースを有効的に広く使用することができ、小型で且つ薄型でありながら、内部のICチップやその他の回路を集積して配置することが可能である。
【0045】
しかも、案内識別溝6,16と、中間凹部8が、ケース1,11の表面1a側からのみ窪んでいるため、ケースの表裏を見分けやすい。また、案内識別溝6,16が、左右両側部1e,1fにおいて、前方の領域に形成されているため、ケース1,11の前後も区別しやすい。そのため、カードコネクタ20に向けて誤った向きで挿入されるのを防止しやすい。
【0046】
以下の説明においては、カードCというときには、原則として第1のカードC1と第2のカードC2の双方を意味する。
【0047】
(カードコネクタの構造)
次に、前記各種カードが装着されるカードコネクタ20の構造を説明する。
【0048】
図1ないし図4などに示すように、カードコネクタ20はケース(筐体)21を有している。ケース(筐体)21は、合成樹脂製のケース本体(筐体本体)22と、金属板で形成されてケース本体22の上方に被せられた蓋体23とで構成されている。
【0049】
ケース本体22は枠体形状である。ケース本体22は、前壁部24、後壁部25、右壁部26、左壁部27および底壁部28が一体に形成されている。前壁部24の上面24a、後壁部25の上面25a、右壁部26の上面26aならびに左壁部27の上面27aは、互いに同一面である。蓋体23の天井板23aは、ケース本体22の前記各上面24a,25a,26a,27aに密着するように設置されている。蓋体23には、後側板23bと右側板23cおよび左側板23dが設けられ、これらは天井板23aから直角に折り曲げられている。後側板23bは、ケース本体22の後壁部25の外面に設置され、右側板23cと左側板23dは、それぞれケース本体22の右壁部26の外面と左壁部27の外面に設置されている。
【0050】
図4に示すように、ケース21の厚さ寸法は、ケース本体22の底壁部28の下面28aから、蓋体23の天井板23aの上面までの高さ寸法で決められている。また、カードCを案内して収納する収納領域の高さ寸法Taは、ケース本体22の底壁部28の上面28bから、蓋体23の天井板23aの下面までの高さ寸法で決められる。この高さ寸法TaはカードC全体の厚み寸法Tとほぼ同じか、または厚み寸法Tよりもわずかに大きい寸法である。
【0051】
図4などに示すように、ケース本体22の左壁部27の内面が案内基準面27bであり、カードCは、その左側部1fが前記案内基準面27bを摺動しながら、ケース21の奥側((a)側)へ向けて挿入される。ケース本体22の前壁部24には、右案内面24bが形成されており、カードCの右側部1eは、右案内面24bに沿って案内される。
【0052】
図4に示すように、左壁部27の内面の案内基準面27bと、前壁部24の右案内面24bとの間隔が、収納領域の幅寸法Waであり、この幅寸法Waは、図11に示すカードCの幅寸法W0とほぼ同じか、またはわずかに大きい寸法である。
【0053】
図4に示すように、ケース21の前端には、Ta×Waの開口面積の挿入口29が開口しており、カードCは、この挿入口29からケース21の内部の収納領域に向けて挿入される。
【0054】
図2および図3などに示すように、ケース本体22の右側では、底壁部28の上面28bに前後方向((a)−(b)方向)に延びるガイド部34が形成されている。このガイド部34は、前記上面28bに形成された断面凹状の長手方向に延びる溝である。ケース本体22の右壁部26の内側にはスライダ41が設けられており、このスライダ41が、前記ガイド部34に沿って、前後方向へ直線的に往復移動自在に支持されている。
【0055】
スライダ41の左側部には、内側面41aが形成されている。内側面41aは、前壁部24に形成された右案内面24bと同じ位置にあるか、わずかに横幅方向の外側の位置にある。図4に示すように、左壁部27に形成された案内基準面27bと前記内側面41aまでの幅寸法はWaか、前記Waよりもわずかに広い。前述の右案内面24bと同様に、案内基準面27bと内側面41aとの間で、カードCを案内することができる。
【0056】
図2、図3などに示すように、スライダ41とケース本体22との間には、コイルばねなどの付勢部材S1が設けられており、スライダ41は、前壁部24に向けて手前側((b)側)へ付勢されている。
【0057】
スライダ41とケース21との間には、スライダ41を奥側((a)側)でロックするためのロック機構35が設けられている。ロック機構35は、スライダ41の上面に形成された溝カム42と、ケース21に設けられたロックピン36とで構成されている。
【0058】
ロックピン36は、基端部36aと先端部36bが直角に折り曲げられている。図7ないし図9に示すように、ロックピン36の基端部36aは、ケース本体22の前壁部24の上部に形成された保持凹部24c内に回動自在に支持されている。ロックピン36の先端部36bは、溝カム42内に摺動自在に挿入されている。図1および図3に示すように、金属板で形成された蓋体23の天井板23aには、右手前側にロック板ばね37が一体に形成されている。このロック板ばね37は、天井板23aの一部を切り抜いて形成された片持ち支持ばねである。前記ロックピン36はこのロック板ばね37によって押圧され、先端部36bが溝カム42の溝底部に押し付けられている。
【0059】
図5、図7ないし図9などに示すように、溝カム42は、奥側((a)側)の端部に位置するロック解除部42aと、このロック解除部42aよりも手前側((b)側)に位置するロック部42bを有している。ロック解除部42aとロック部42bとの間には、左側に往路溝42cが形成され、右側に復路溝42dが形成されている。溝カム42の内部では、ロック解除部42a,往路溝42c,ロック部42b,復路溝42dの各部の境界部に段差が形成されており、ロックピン36の先端部36bは、ロック解除部42a→往路溝42c→ロック部42b→復路溝42d→ロック解除部42aの順でのみ摺動でき、その逆の行程を辿ることができない。
【0060】
図5および図7の初期位置では、スライダ41が付勢部材によって手前側((b)側)へ移動させられて、ケース本体22の前壁部24に突き当てられている。このとき、ロックピン36の先端部36bは、溝カム42のロック解除部42a内に位置している。カードCが挿入口29から挿入され、カードCと共にスライダ41が奥側((a)側)へ移動すると、ロックピン36の先端部36bが、溝カム42の往路溝42c内を通過し、その後、図9に示すように、先端部36bが溝カム42のロック部42bに至り、スライダ41は手前側((b)側)へ戻らないようにロックされる。
【0061】
その後、カードCを押してスライダ41を短い距離だけ奥側((a)側)へ移動させると、ロックピン36の先端部36bが、溝カム42のロック部42bから抜け出て、復路溝42dに案内されて、スライダ41のロックが解除される。よって、スライダ41は付勢部材S1の力で、図5および図7に示す初期位置に復帰し、この間に、ロックピン36の先端部36bが、復路溝42dからロック解除部42aに戻る。
【0062】
図3などに示すように、スライダ41の内壁面41aの上側には、前記収納領域に向かって左側に張り出した上部案内壁43が一体に形成されている。上部案内壁43の下面と底壁部28の上面28bとの対向寸法は、カードCの右側の薄肉部7の厚さ寸法t2よりもわずかに広く、この間にカードCの右側の薄肉部7が挿入できるようになっている。
【0063】
図2および図3などに示すように、スライダ41の奥端部には、内側面41aよりも左側に突出する基準ストッパ部45が一体に形成されている。図4に示すように、基準ストッパ部45の手前側((b)側)に向く面が基準ストッパ面45aである。
【0064】
図3および図5などに示すように、スライダ41の手前側((b)側)の上面には、保持凹部41cが形成されており、この保持凹部41c内に、保持機構を構成する保持板ばね(保持部材)52が設けられている。保持板ばね52は、板ばね材料として機能する金属板で形成されており、U字状に曲げられて保持凹部41c内に嵌着されている。
【0065】
保持板ばね52の自由端には、保持部53が一体に形成されており、この保持部53が、スライダ41の内側面41aよりも図示左側に突出している。保持部53は、V字状に曲げられており、手前側((b)側)に向く部分が傾斜案内部53aである。傾斜案内部53aは、手前側((b)側)に向かうにしたがって徐々にカードから離れる向きに傾斜している。保持部53は奥側((a)側)に向く部分が係止部53bであり、この係止部53bは、前後方向((a)−(b)方向)に対してほぼ直交する向きに形成されている。
【0066】
図2に示すように、保持部53は、スライダ41の内側面41aから左方向へ突出している。図4に示すように、底壁部28の上面28bから上部案内壁43の下面までの高さ寸法Tbは、図12に示すカードCの薄肉部7の厚さ寸法t2とほぼ同じか、またはそれよりもやや広く形成されている。したがって、図2に示すように、カードCが、前端部1cを前方に向け、表面1aを上に向けた正常な向きで挿入されると、右側の薄肉部7が、上部案内壁43の下側に入り込み、カードCをケース21の奥まで装着することができる。
【0067】
図2と図6に示すように、カードCが挿入口29へ正常な向きで挿入されると、カードCの右側の薄肉部7が、上部案内壁43の下側へ入り込み、またカードCの前端部1cが、前記基準ストッパ部45の基準ストッパ面45aに当接して、カードCの挿入力で前記スライダ41が付勢部材S1の付勢力に抗しながら(a)方向に移動させられる。
【0068】
図2、図3および図5に示すように、スライダ41の長手方向の中間の位置には、板厚方向に抜ける貫通部41dが形成されており、この貫通部41dにはカードCの種類を識別検知する検知機構30が設けられている。検知機構30は、弾性部材として機能する捩じりコイルばね30Aと、検知凸部33とで構成される。
【0069】
捩じりコイルばね(弾性部材)30Aは導電性の材料で形成されており、前後方向((a)−(b)方向)と直交する方向が巻回部の幅方向である。捩じりコイルばね30Aは巻回部とその両端に一方の端部31と他方の端部32とを有している。なお、巻回部を形成する線材と線材との間には隙間が設けられており、捩じりコイルばね30Aは幅方向に弾性変形可能である。
【0070】
図3および図5などに示すように、貫通部41dの右側の壁を形成するスライダ41の内面には、板厚方向に貫通するスリット孔41eが一体に形成されている。このスリット孔41eに、捩じりコイルばね30Aの一方の端部31が挿入されており、捩じりコイルばね30Aは、このスリット孔41eおよび貫通部41dの内面を基準として、換言すれば一方の端部31を基準として、幅方向に弾性変形可能である。
【0071】
図6に示すように、巻回部を挟んで対峙する一方の端部31および他方の端部32はともに略L字形状に折り曲げられ、その先端は上方に向けられている。そして、一方の端部31の折り曲げ部分が一方の接点第1の31aを形成し、他方の端部32の折り曲げ部分が他方の第2の接点32aを形成している。
【0072】
図5などに示すように、スライダ41の貫通部41dの右側には、前方向((a)方向)に設けられた一方の壁と後方向((b)方向)に設けられた他方の壁との間に設けられた領域に収納部41fが一体に形成されている。前後方向に対向する一方の壁と他方の壁との対向寸法はWcであり、この前記収納部41fには横幅方向に自在に移動可能な検知凸部33が設けられている。
【0073】
検知凸部33の前後方向の幅寸法は前記Wcより小さい。検知凸部33の右側面には凸部33aが形成されており、左側面は捩じりコイルばね30Aの他方の端部32によって収納領域に向かう左方向に弾圧されている。
【0074】
図3に示すように、検知凸部33の下面には、T字形状からなる案内凸部33bが形成されている。案内凸部33bは、スライダ41の収納部41f内であって、貫通部41dの左側に凹状に形成された案内凹部41g内に挿入されている。そして、案内凸部33bは、この案内凹部41g内を前後方向の移動を規制されながらこれと直交する幅方向に移動することが可能である。これにより、検知凸部33の凸部33aは収納部41f内を幅方向に直線的に移動自在な状態にある。
【0075】
検知凸部33は、捩じりコイルばね30Aの巻回部が自然長にある状態で、凸部33aの先端が上部案内壁43の左側よりも収納領域側に突出している。検知凸部33に対して右方向の押圧力を与えると、捩じりコイルばね30Aの巻回部が圧縮され、検知凸部33が収納部41f内に後退する。そして、押圧力を開放すると、捩じりコイルばね30Aが復元し、検知凸部33が収納部41fから収納領域に突出する。
【0076】
図3、図5などに示すように、底壁部28の上面28bの右端側には、前後方向に沿って直線状に延びる一対の平行電極28A,28Bが形成されている。一方の平行電極28Aと他方の平行電極28Bとの間の寸法は、捩じりコイルばね30Aが圧縮状態にあるときの一方の端部31と他方の端部32との間の幅寸法とほぼ同じ寸法で形成されている。また一対の平行電極28A,28B自体の横幅方向の幅寸法は、前記一方の端部31および他方の端部32の直径よりも若干広い寸法で形成されている。
【0077】
捩じりコイルばね30Aは、一方の端部31と他方の端部32との間がコイルの周方向にテンションを掛けた状態(捩じられた状態)で前記貫通部41dの内部に装填されている。このため、図6に示すように、一方の端部31の第1の接点31aは一方の平行電極28Aの表面を弾圧し、他方の端部32の第2の接点32aは他方の平行電極28Bの表面または底壁部28の上面28bを弾圧する。
【0078】
一方の端部31の第1の接点31aが一方の平行電極28Aを弾圧し、他方の端部32の第2の接点32aが他方の平行電極28Bを弾圧する状態では、一方の平行電極28Aと他方の平行電極28Bとの間が導通状態にある。また一方の端部31の第1の接点31aは他方の平行電極28Aを弾圧するが、一方の端部31の第1の接点31aが底壁部28の上面28b上に位置する場合には、一方の平行電極28Aと他方の平行電極28Bとの間は非導通状態にある。
【0079】
図10(A),(B)に示すように、スライダ41が前後方向に移動するとき、捩じりコイルばね30Aの変形の有無にかかわらず、常に一方の端部31の第1の接点31aは一方の平行電極28A上を前後方向に沿って直線的に摺動する。これに対し、図10(A)に示すように、捩じりコイルばね30Aが圧縮状態にあるときには、他方の端部32の第2の接点32aは他方の平行電極28B上を前後方向に沿って直線的に摺動する。また図10(B)に示すように、捩じりコイルばね30Aが伸張状態にあるときには、他方の端部32の第2の接点32aは底壁部28の上面28b上を前後方向に沿って直線的に摺動する。
【0080】
図2ないし図5などに示すように、ケース本体22の奥側((a)側)には、接続端子55が設けられている。接続端子55は、図13に示した第1のカードC1の裏面1bに露出している外部接続部5と同じ数で且つ同じピッチで配列している。図3に示すように、個々の接続端子55の基端側は、底壁部28の下面28aに対してモールドされた片持ち状態で固定されており、(a)方向の先端側は上下方向に弾性変形自在な自由端を形成している。なお、接続端子55の表面は、金などの低抵抗の貴金属材料がメッキされた導電性の金属板で形成されている。
【0081】
(カードの装着動作)
次に、前記カードコネクタ20へのカードの装着動作を説明する。
【0082】
図2と図7ないし図9は、カードCが正常な向きで装着されるときの動作を示している。
【0083】
図5に示すように、カードが装着されていない状態では、スライダ41が前後方向の挿入口29側((b)側)へ移動している。
【0084】
カードCが、その前端部1cが前方に向けられ、表面1aが上に向けられた正常な姿勢で挿入口29から挿入されると、カードCのケース1の右側に形成された薄肉部7が、スライダ41の手前側に設けられている保持板ばね52で形成された保持部53の下側を通過する。
【0085】
さらに、右側の案内識別溝6が、すなわち右側の薄肉部7の上部が、検知凸部33の下側を通過し、図4に示す高さTbの領域内を奥側に向けて移動する。
【0086】
ここで、図7に示すように、挿入されたカードCが、第1のカードC1である場合には、検知凸部33の凸部33aが第1のカードC1の右側部1eに当たり、検知凸部33の全体が収納部41f内に後退させられる。よって、捩じりコイルばね30Aが幅方向に圧縮させられるため、スライダ41が前後方向に移動する間、一方の平行電極28Aと他方の平面伝電極28Bとの間は導通状態に設定される(図10(A)参照)。
【0087】
他方、図8に示すように、挿入されたカードCが、第2のカードC2である場合には、検知凸部33は左方向の案内識別溝16内に入り込み、第2のカードC2の右側部1eには当たらない。このため、検知凸部33は左方向に突出した状態が維持される。この状態では、捩じりコイルばね30Aは幅方向に伸張しており、スライダ41が前後方向に移動する間、一方の平行電極28Aと他方の平面伝電極28Bとの間は非導通状態に設定される(図10(B)参照)。
【0088】
よって、図示しない制御部が、一方の平行電極28Aと他方の平行電極28Bとの間が導通状態であるか否かを監視することにより、一対の平行電極28A,28B間が導通状態のときは、挿入されたカードCが第1のカードC1であると判断することができる。また一対の平行電極28A,28B間が非導通状態のときには、制御部はケース内に第2のカードC2が挿入されたと判断することができる。
【0089】
しかも、一対の平行電極28A,28Bは側から奥部まで延びているため、カードCを挿入した直後に、捩じりコイルばね30Aを幅方向に圧縮させることができる。よって、カードを挿入した早期の段階で、カードCの種類を判断することができる。
【0090】
この間、スライダ41に設けられた保持板ばね52の保持部53は、カードCの右側の案内識別溝6の内部を通過し、すなわち薄肉部7の上を通過して、案内識別溝6の後方の傾斜部6bに当たる。保持部53は傾斜部6bによって右方向へ押されるため、保持板ばね52が変形して、保持部53がスライダ41の保持凹部41c内に一旦後退する。そして、保持部53は、カードCの右側部1eを距離L2またはL12だけ摺動し、中間凹部8に至ると、保持板ばね52の弾性復帰力により、保持部53が右側の中間凹部8の内部に嵌合し、カードCがスライダ41に保持される。
【0091】
このとき、保持部53の手前側に向く傾斜案内部53aが、同じ向きに傾斜している傾斜部6bを摺動するため、カードCを軽い力でケース21内に押し込んで、保持部53を中間凹部8に嵌合させることができる。そして、嵌合後は、保持部53においてカードCの挿入方向に対してほぼ直交する向きに形成された係止部53bが、中間凹部8の前内端8bに掛止されるため、カードCが手前方向((b)方向)へ抜け出しにくくなる。
【0092】
保持部53が中間凹部8に嵌合した後に、カードCを押し込むと、図7または図8に示すように、さらにカードC(第1のカードC1または第2のカードC)2が奥部に押し込まれると、カードCの前端部1cが、スライダ41の奥側に設けられた基準ストッパ部45の基準ストッパ面45aに当たる。
【0093】
さらにカードCを押し込むと、カードCの前端部1cによって、スライダ41に形成された基準ストッパ面45aが押され、カードCとスライダ41とが一体となって奥側へ移動する。
【0094】
カードCが図9に示す装着完了位置に至ると、スライダ41に形成された溝カム42のロック部42bが、ロックピン36の先端部36bに係止されて、スライダ41がその位置でロックされる。このとき、ケース本体22の奥側に設けられた接続端子55のそれぞれが、カードCの裏面1bに露出する外部接続部5のそれぞれに弾圧して接続される。
【0095】
そして、図示しない制御部が、ケース本体22の接続端子55およびカードCの裏面1bに露出している外部接続部5を介して、ケース本体22内のメモリにアクセスすることにより、メモリ内に情報の書き込みが行われ、またはメモリ内に書き込まれている情報の読み出しが行われる。
【0096】
上記実施の形態では、カードの種類を検知する検知機構30として、弾性部材を形成する捩じりコイルばね30Aの一方の端部31の第1の接点31aと他方の端部32の第2の接点32aが一対の平行電極28A,28B上を摺動する構成を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0097】
例えば、図11(A),(B)の変形例に示すように、コイルばねなどからなる弾性部材Bと検知凸部33との間に、一対の平行電極28A,28Bにそれぞれ接触可能な凸状の第1の接点61と第2の接点62を備えた導通連結部材60が設けられる構成であってもよい。なお、導通連結部材60は少なくとも第1の接点61と第2の接点62との間が導体で形成されている。
【0098】
この構成では、図11(A)に示すように、挿入されたカードCが第2のカードC2である場合には、弾性部材30Bにより、導通連結部材60および検知凸部33が左側の収納領域内に移動し、凸部33aが第2のカードC2の案内識別溝16に入り込む。このとき、第1の接点61および第2の接点62が、一方の平行電極28Aおよび他方の平行電極28B上にそれぞれ位置して、一対の平行電極28A,28Bが導通状態に設定される。
【0099】
他方、図11(B)に示すように、挿入されたカードCが第1のカードC1である場合には、第1のカードC1の右側部1eによって右方向に押されるため、導通連結部材60および検知凸部33が収納領域から離れる右方向に移動させられる。このとき、弾性部材30Bは圧縮させられており、導通連結部材60の第1の接点61および第2の接点62が、一方の平行電極28Aおよび他方の平行電極28Bから外れる。よって、一対の平行電極28A,28B間が非導通状態に切り換わる。
【0100】
よって、一方の平行電極28Aおよび他方の平行電極28B間の導通状態を検知することにより、挿入されたカードCが第1のカードC1であるか、または第2のカードC2であるかを識別することができる。
【0101】
また上記実施の形態では、カードコネクタ20内に挿入されたカードCの種類を識別する検知機構として説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、カードの側面などに形成された凹凸を検知することにより、挿入されたカードの挿入の有無、カードの誤挿入、あるいはライトプロテクト設定の有無などを検知する機構として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】カードCが装着された状態におけるカードコネクタの外観を示す斜視図。
【図2】蓋体を外したカードコネクタを示す斜視図。
【図3】カードコネクタの分解斜視図。
【図4】カードが装着されていないカードコネクタを前方から見た正面図。
【図5】蓋体を外したカードコネクタの平面図。
【図6】図5に示すVI−VI線におけるカードコネクタの断面図。
【図7】初期位置において第1のカードが装着された状態を示すカードコネクタの平面図。
【図8】初期位置において第2のカードが装着された状態を示すカードコネクタの平面。
【図9】カードの保持位置での状態を示すカードコネクタの平面図。
【図10】カード挿入途中の動作状態を示すカードコネクタの部分平面図であり、(A)は第1のカードの場合、(B)第2のカードの場合。
【図11】検知機構の他の変形例を示す部分断面図であり、(A)は第2のカードC2の場合、(B)は第1のカードC1の場合。
【図12】第1のカードの平面図。
【図13】第1のカードの左側面図。
【図14】第1のカードを斜め下側から示す斜視図。
【図15】第2のカードを示す平面図。
【符号の説明】
【0103】
C カード(第1のカードおよび第2のカード)
C1 第1のカード
C2 第2のカード
1,11 ケース
1a ケースの表面
1b ケースの裏面
1c 前端部
1d 後端部
1e 右側部
1f 左側部
5 外部接続部
6 案内溝
6b 段差部
7 薄肉部
8 中間凹部
20 カードコネクタ
21 ケース(筐体)
22 ケース本体
23 蓋体
23a 天井板
27 左壁部
27b 案内基準面
28 底壁部
28b 底壁部の上面
28A 一方の平行電極
28B 他方の平行電極
30 検知機構
30A 捩じりコイルばね(弾性部材)
31 一方の端部
31a 第1の接点
32 他方の端部
32a 第2の接点
35 ロック機構
36 ロックピン
41 スライダ
42 溝カム
52 保持板ばね
53 保持部
55 接続端子
60 導通連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電子回路が収納されたカードが装着される収納領域と、前記収納領域内に位置して前記カードに設けられた外部接続部に導通する接続端子と、前記カードとともにカードの挿入方向および排出方向に移動自在に設けられたスライダとを備えたカードコネクタにおいて、
前記収納領域には、前記カードの挿入方向および排出方向に沿って平行に形成された一対の平行電極が設けられ、
前記スライダには、前記スライダを前記カードの挿入状態に応じて前記収納領域内の所定の位置にロックするロック機構と、前記カードを検知する検知機構とが設けられており、
前記検知機構は、前記カードの側面に設けられた案内識別溝に対して自在に進退可能な検知凸部と、前記検知凸部を前記カードの挿入方向および排出方向と直交する横幅方向に付勢して前記カードの前記案内識別溝に突出させる弾性部材とを有しており、
前記収納領域内に前記カードが装着されたときに、前記カードごとに異なる前記案内識別溝の形状に応じて前記弾性部材が前記横幅方向に移動することにより、前記一対の平行電極との間の接続状態が切り換えられることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記弾性部材は、巻き方向と直交する幅方向に変形可能な捩じりコイルばねで形成されており、前記捩じりコイルばねの一方の端部と他方の端部が、前記一対の平行電極にそれぞれ接続可能である請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記検知機構に、前記一対の平行電極のそれぞれに接触可能な一対の接点を有する導通連結部材が設けられている請求項1記載のカードコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−110097(P2009−110097A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279260(P2007−279260)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】