説明

カードシュータ装置

【課題】 ゲームの監視者とプレーヤとが連携して行う不正行為を防止することのできるカードシュータ装置を提供する。
【解決手段】 カードシュータ装置1は、カード収納部10と開口11とを備えたカードシュータ部3と、開口11から取り出されるカードCをテーブルTの上に案内するカードガイド部15と、カードシュータ部3から引き出されたカードの数を読み取るカード読取部4と、読み取ったカードの数の情報に基づいてカードゲームの勝敗を判定する勝敗判定部28と、カードの数の情報を送信する通信用ターミナル8を備える。読み取られたカードの数の情報はメモリ25に一時保持される。一時保持されたカードの数の情報は、送信許可ボタン9により送信可能とされたときに監視者へ送信され、これにより、監視者の方がプレーヤより先にカードCの内容を知ることができないように、カードの数の情報を送信するタイミングを制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイングカード(トランプカード、以下、単にカードという)を読み取るカード読取装置に関し、特に、カードシュータが使われるカードゲームで好適に使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カジノなどで行われるカードゲームで使用するのに適したカード読取装置が提案されている。例えば、特許文献1には、カードシュータに備えられるカード読取装置が開示されている。この装置では、カードシュータにCCDイメージセンサおよび関連する光学系部品が内蔵されている。また、カードシュータの出口には、カード読取窓が設けられており、カードがシュータ出口を通過するときに、読取窓を通してカードが読み取られる。
【特許文献1】特表平10−508236号公報(第12ページ、図1)
【0003】
そして、このようにして読み取られたカードの読取り結果は、カードシュータの外部にあるゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置やデイスプレイ装置に送信される。従来の装置では、カードの読み取り結果が、カードの読み取り処理動作の完了後すぐに送信される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置においては、カードの読み取り結果がカードの読み取り処理動作の完了後すぐに送信されるので、ゲームテーブルのプレーヤが各ゲームの勝敗を知る前に、読み取りデータがゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置に送信されることがある。そうすると、ゲーム監視ピットや中央監視室に居る監視者の方が、プレーヤより先にカードの内容やゲームの勝敗を知ることができる。そのため、ゲームの監視者とプレーヤとが連携して不正行為を行うことが可能になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ゲームの監視者とプレーヤとが連携して行う不正行為を防止することのできるカードシュータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカードシュータ装置は、複数枚のカードを収納するカード収納部と、前記カード収納部から前記カードをスライドさせてゲームテーブル上に取り出すことが可能な開口とを備えたカードシュータ部と、前記カードシュータ部から引き出されたカードから当該カードの数を読み取るカード読取部と、前記カード読取部からの複数のカードの数の情報に基づいてカードゲームの勝敗を判定する勝敗判定手段と、前記カード読取部により読み取られたカードの数の情報を送信する通信手段と、前記カード読取部により読み取られたカードの数の情報を一時保持する一時記憶手段と、前記一時記憶手段にて一時保持されたカードの数の情報を前記通信手段により送信可能とする送信許可手段と、を備えている。
【0007】
この装置によれば、カード読取部によって読み取られたカードの数の情報は、一時記憶手段に一時的に記憶され、カードの読み取り処理動作の完了後すぐに送信されない。一時記憶手段に一時保持されたカードの数の情報の送信は、送信許可手段により送信可能とされた後に行われる。これにより、監視者の方がプレーヤより先にカードの内容を知ることができないように、カードの数の情報を送信するタイミングを制御することができる。
【0008】
また、本発明のカードシュータ装置では、前記通信手段は、前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を送信可能であり、前記一時記憶手段は、前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を一時保持し、前記送信許可手段は、前記一時記憶手段にて一時保持された前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を前記通信手段により送信可能とするものでもよい。
【0009】
これによれば、勝敗判定手段によって判定された勝敗判定結果の情報は、一時記憶手段に一時的に記憶され、カードの読み取り処理動作の完了後すぐに送信されない。一時記憶手段に一時保持された勝敗判定結果の情報の送信は、送信許可手段により送信可能とされた後に行われる。これにより、監視者の方がプレーヤより先にゲームの勝敗を知ることができないように、勝敗判定結果の情報を送信するタイミングを制御することができる。
【0010】
また、本発明のカードシュータ装置では、前記通信手段は、通信制御部および通信用ターミナルを備えてもよい。
【0011】
また、本発明のカードシュータ装置は、前記勝敗判定手段として機能するコンピュータを備えた制御部を備えてもよい。
【0012】
また、本発明のカードシュータ装置は、前記勝敗判定手段によるカードゲームの勝敗の判定結果を表示する表示部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、本発明のカードシュータ装置では、前記カード収納部と、前記カードシュータ部と、前記カード読取部と、前記勝敗判定手段と、前記通信手段と、前記一時記憶手段と、前記送信許可手段と、前記表示部と、が一体化されて前記ゲームテーブル上に設置可能であってもよい。
【0014】
また、本発明のカードシュータ装置では、前記カード収納部は、前記複数枚のカードに加えて、ゲームの終了タイミングを示すカットカードが収納可能であり、前記カード読取部は、前記カットカードの読み取りが可能であり、前記通信手段は、前記カード読取部によりカットカードが読み取られたときに、前記カットカードが前記カードシュータ部から引き出されたことを示すカットカード出現情報を送信可能であり、前記一時記憶手段は、前記カード読取部により読み取られたカットカードの前記カットカード出現情報を一時保持し、前記送信許可手段は、前記一時記憶手段にて一時保持された前記カットカード出現情報を前記通信手段により送信可能とするものでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、監視者の方がプレーヤより先にカードの内容を知ることができないように、カードの数の情報を送信するタイミングを制御することができ、ゲームの監視者とプレーヤとが連携して行う不正行為を防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態のカードシュータ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、カジノなどで行われるバカラゲームに用いられるカードシュータ装置を例示して説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態のカードシュータ装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、カードシュータ装置1は、ハウジング2を備えており、ハウジング2には、カードシュータ部3とカード読取部4が備えられている。このカードシュータ装置1は、カードシュータ部3とカード読取部4とを一体化したものであるともいえる。また、図1に示すように、カードシュータ装置1には、制御部5と第1表示部6と第2表示部7が備えられている。さらに、このカードシュータ装置1には、通信用ターミナル8と送信許可ボタン9が備えられている。
【0018】
ここでは、まず、カードシュータ部3の構成について説明する。図2は、カードシュータ部3の構成を説明するための側面図であり、図3は、カードシュータ部3の構成を説明するための平面図である。図2および図3に示すように、カードシュータ部3は、複数枚のカードCを収納するカード収納部と、カード収納部からカードCをスライドさせて取り出すことが可能な開口11とを備えている。
【0019】
カード収容部10の床12および前壁13は図示のように傾斜している。カード収容部10内では、カードCの束が、ローラー付きのカード押し部材14によって前方に押され、前壁13に押しつけられている。前壁13は、図に示すように、下方にU字型の開口11を有する。ディーラーは、カードCをスライドさせて、開口11からカードCを取り出す。
【0020】
なお、図示されないが、前壁13には、開口11を塞ぐように黒い布が掛けられている。また、カード収容部10の上部にはカバーが取り付けられる。カードシュータ装置1は全体としては黒色で、樹脂製である。
【0021】
つぎに、カード読取部4の構成について説明する。図4は、カード読取部4の構成を説明するための側面図であり、図5は、カード読取部4の構成を説明するための平面図である。図4および図5に示すように、カード読取部4は、開口11から1枚ずつ取り出されるカードCをゲームテーブルTの上に案内するカードガイド部15と、カードガイド部15の場所に位置するセンサ部16を備えている。
【0022】
カードガイド部15は、カードシュータ部3のカード出口部分の構成に連結され、出口部分の構成に一体化されている。なお、ここでは、カードガイド部15がハウジング2に備えられている場合について例示するが、カードガイド部15はカードシュータのプラットホーム(図示せず)に備えられていてもよい。また、ここでは、センサ部16がハウジング2に内蔵されている場合について例示するが、センサ部16はプラットホームに内蔵されていてもよい。
【0023】
カードガイド部15は、傾斜面であるカードガイド面17を有し、カードガイド面17の一端は、カード出口の開口11に続いている。カードガイド面17は、カード出口から前方かつ下方に延び、他端がゲームテーブルTに続いている。カードガイド面17はカード読取の計測面となる。
【0024】
カードガイド面17の両側の縁部には、カードガイドレール18が取り付けられている。図に示すように、カードガイドレール18とカードガイド面17との間には、カード通路隙間19が形成されている。カード通路隙間19の大きさは、カードCの厚さより少し大きく設定されている。カードCは、カードシュータから引き出された後、カードガイド面17を通る。このとき、カードCの両端部がカード通路隙間19を通過する。
【0025】
また、2本のカードガイドレール18の各々に、センサカバー20がねじで取り付けられている。図に示すように、センサカバー20を取り外すと、4つのセンサを備えたセンサ部16が露出する。4つのセンサとは、2つのブラックライト型センサ21と、対象物検出センサ22と、計測有効判定センサ23とである。これら4つのセンサは、カードガイド部15のカードガイド面17に設けられている。
【0026】
図に示すように、ブラックライト型センサ21(以下、UVセンサ21)は、カードガイド面17上で、カードCの流れ方向の比較的上流側に位置している。また、図に示されるように、UVセンサ21は、ハウジング2の内部空間に配置され、天井面(カードガイド面17の裏側の面)に固定されており、カードガイド面17の開口から露出している。
【0027】
UVセンサ21は、紫外線を発するLED(紫外LED)と検知器を備えている。紫外線(ブラックライト)がカードCに照射され、カード上のコードが検知器で検知される。カードCには、紫外線が当たると発色する紫外線発光インクでもって、カードCの数(ランク、A、1〜10、J、Q、K)のコードが印刷されている。
【0028】
上記のUVセンサ21は、ケーブルを介して制御部5に接続されている。制御部5では、UVセンサ21の検知器の出力信号から、カードCの数が判定される。この制御部5は、ハウジング2に内蔵されている。なお、この制御部5に相当する制御装置(制御ボックス)が、カードシュータのプラットホームと別に配置されていてもよい。
【0029】
ここで、カードの数の判定について、より具体的に説明する。本実施の形態では、カードの数のコードとして、例えば、カードCの縁に複数の四角形のマークが配列されている。マークの数により、カードの数が表される。UVセンサ21は、マークを検知すると、オン信号を出力する。したがって、両縁のUVセンサ21が、マークの数のオン信号を出力する。制御部5では、2つのUVセンサ21から入力されるオン信号をカウントする。これにより、2つのUVセンサ21で検知された2つのマーク数が求められる。そして、制御部5は、マークの数からカードの数を特定する。
【0030】
なお、マークの数とカードの数は、同じでもよいが、同じでなくてもよい。マークの数とカードの数が一対一で対応すればよい。制御部5では、検出されたマークの数が、予め登録されたマークの数と比較され、これによりカードの数が特定されてもよい。
【0031】
また、バカラゲームでは、「J」、「Q」、「K」は、「10」と同じに扱われる。そこで、「J」、「Q」、「K」にも「10」と同じコードが付けられてもよい。また、カードの数に加えて、スート(スペード、ハート、ダイヤ、ブラック)を表すコードがカードCに付けられ、これが読み取られてもよい。このように、本発明の範囲内で、ゲームに必要なカードの数が表されれば、コードの形態は限定されない。
【0032】
本実施の形態では、カードシュータ装置1が、カードCからマークを検出して信号を出力するUVセンサ21を備えており、このUVセンサ21が、マークが通過中にオン信号を出力する。カードCには所定数のマークが設けられており、マークは縁部に設けられ、これにより、UVセンサ21を通過するようにカード引出方向に配列されている。そして、マークの数はカードの数と関連づけられており、制御部5は、UVセンサ21の検出信号からカードCを特定する。
【0033】
また、上述の如く、本実施の形態のカードシュータ装置1では、2つのUVセンサ21が設けられている。そこで、図6(a)に示されるように、通常のカードC(すなわち「A」、「2」、・・・「K」のカード)の両縁には、両側のUVセンサ21に対応してマークが配列されており、これらマークが両側のUVセンサ21により読み取られる。マークは絵柄の無い領域に好適に設けられている。ただし、実際のマークは通常時は見えない。
【0034】
上述したように、本実施の形態ではカードCの各縁に所定数のマークが好適に配列される。マーク数とカードCの関連については、単にマーク数の合計が、カードの数と関連づけられてもよい。また、2つの列のマーク数の組合せが、カードの数と関連づけられてもよい。後者の形態では、少ないマークでより多くのカードCを識別することが可能である。なお、マーク列数は2本に限定されず、列数は1でもよく、3以上でもよい。そして、両縁に2本ずつのマーク列が好適に設けられる。この場合、UVセンサ21の配置も適当に調整される。
【0035】
つぎに、カットカードCCについて図7(b)を用いて説明する。カットカードCCとは、カジノなどで使用されるカードである。通常、カード収納部10には、複数デッキ(例えば4デッキ、6デッキ、8デッキ等)のカードCがランダムな配列(シャッフルトランプ)で収納される。カットカードCCは、このカードCの束の中に挿入される。このカットカードCCは、テーブルにおける各複数デッキ(例えば、4デッキ、6デッキ、8デッキ等)の使用の終了のタイミングを示すものである。各一連のゲームの終了タイミングを示すカットカードが出現すると、後のカードはゲームに使われない。
【0036】
カットカードCCが出現すると、カード収納部10のカードCは新しい複数デッキのカードの束と交換される必要がある。したがって、ゲーム監視ピットや中央監視室には、カットカードが出現したこと(以下「カットカード出現情報」という。)を知らせる必要がある。このため、カード読取部4においてカットカードCCを読み取ることができるように、カットカードCCの両縁部にはカットカードCCを示すコードが、マークの形態(図7(b)では5つマーク)で印刷されている。なお、マークの数や位置は適宜変更可能で、他のカードと区別可能であればよい。
【0037】
カード読取部4においてカットカードCCの読み取りが行われると、通信制御部30はカード読取部4からカットカード出現情報を得る。通信制御部30は、このカットカード出現情報を得ると、カットカード出現情報を送信可能になるようにプログラムされている。
【0038】
本実施の形態では、カットカード出現情報は、他の通常のカードCの情報や、各ゲームの勝敗の判定結果と同様に、一時記憶手段としてのメモリ25に一時保持される。そして、送信許可ボタン9の押下により送信可能とされると、メモリ25にて一時保持されたカットカード出現情報がゲーム監視ピットや中央監視室へ送信される。なお、通常のカードCの読み取り情報や各ゲームの勝敗の判定結果と異なり、カットカード出現情報は、不正行為防止との関連で必要に応じて、メモリ25に一時保持されることなく、送信許可ボタン9の操作を待たずに送信されるように、制御部5においてプログラム等により設定されていてもよい。
【0039】
本実施の形態では、図7に示すように、制御部5は、カウンタ24と、メモリ25(記憶手段)と、数特定部26とを備えている。カウンタ24が、UVセンサ21からの検出信号をカウントし、マーク数を求める。メモリ25は、マーク数とカードCを関連づける情報を記憶している。関連づける情報は典型的にはテーブルTである。数特定部26は、メモリ25の情報を参照し、マークの数からカードの数を特定する。
【0040】
カウンタ24は、2つのUVセンサ21に対応して2つのマーク数を求めることができる。上述のように、本実施の形態では、複数列のマーク数の組合せがカードCと関連づけられてよい。この場合は、メモリ25が、マーク数の組合せをカードCと関連づける情報を記憶する。そして、数特定部26が、カード数の組合せに対応するカードCを特定する。
【0041】
対象物検出センサ22および計測有効判定センサ23は、カードCの有無を検知するファイバ式のセンサである。対象物検出センサ22、カードガイド面17上で、カードCの流れ方向に沿った最上流側に位置しており、計測有効判定センサ23は、対象物検出センサ22より下流側に位置している。そして、図に示すように、対象物検出センサ22と計測有効判定センサ23は、UVセンサ21の読取ポイントを挟んで上流側と下流側に設けられている。
【0042】
また、対象物検出センサ22および計測有効判定センサ23は、UVセンサ21と同様、ハウジング2の内部空間に配置され、天井面に固定されており、カードガイド面17の開口から露出している。
【0043】
制御部5は、対象物検出センサ22および計測有効判定センサ23の検出信号に基づいて、UVセンサ21の読取の開始と終了を制御し、また、カードCが正常にカードガイド面17を通過したか否かを判定する。この制御部5は、正常通過判定部27を備えているともいえる。
【0044】
第1表示部6は、制御部5に制御され、カードCの読取とゲームに関する情報を表示する。この第1表示部6は、いわゆるモニタである。第2表示部7は、3つのランプ、すなわち、プレーヤー勝利ランプ(赤)、引分けランプ(黄)およびバンカー勝利ランプ(緑)を備えている。これらランプは、制御部5によって制御され、ゲームの勝敗を示すために点灯される。すなわち、この第2表示部7は、勝敗表示部であるともいえる。
【0045】
本実施の形態では、第1表示部6のモニタがハウジング2の側面に設けられており、また、第2表示部7のランプがハウジング2の上面の後端部に設けられている。なお、これらのモニタやランプは、ハウジング2から離れて、テーブルTの上に配置されてもよい。
【0046】
また、本実施の形態におけるカードシュータ装置1には、センサ部16によってカードCから読み取られ制御部5によって処理された読取データを、各ゲームテーブルの監視を行うゲーム監視ピットや中央監視室に送信するための通信制御部30および通信用ターミナル8が設けられている。これらの通信制御部30および通信用ターミナル8は、ハウジング2に設けられており、本発明の通信手段に相当する。なお、ここでは、通信制御部30が制御部5の機能の一つとして備えられた例について説明するが、この通信制御部30は制御部5の外部に独立して設けられていてもよい。
【0047】
また、ハウジング2の上部には、読取データの送信を許可するときにゲームテーブルのディーラーなど(操作者)により操作される送信許可ボタン9が設けられている。この送信許可ボタン9が、本発明の送信許可手段に相当する。
【0048】
ここで、制御部5の構成について、より詳細に説明する。図7は、制御部5の各種構成の機能ブロック図である。図7に示すように、制御部5は、カウンタ24と、メモリ25と、数特定部26と、正常通過判定部27を備えている。また、制御部5は、カード読取部4からのカードの数の情報に基づいてカードゲームの勝敗を判定する勝敗判定部28と、第1表示部6や第2表示部7の表示を制御する表示制御部29と、通信用ターミナル8の制御を行う通信制御部30とを備えている。メモリ25には、センサ部16によってカードCから読み取られ制御部5によって処理された読取データが一時保持される。したがって、このメモリ25が、本発明の一時記憶手段に相当する。
【0049】
この制御部5は、コンピュータ装置であり、UVセンサ21、対象物検出センサ22および計測有効判定センサ23に接続されている。また、制御部5は、第1表示部6のモニタと第2表示部7の3つのランプに接続され、これらの表示を制御する。
【0050】
制御部5のコンピュータは、ゲームの勝敗を自動的に判定する処理機能(勝敗判定部28)を有している。この機能は、勝敗判定用のプログラムをコンピュータに組み込むことにより実現されており、このプログラムがコンピュータのプロセッサで実行される。
【0051】
判定処理としては、コンピュータは、UVセンサ21を使って、カードシュータ部3からゲームテーブルTに順次取り出されるカードの数を取得する。取得されたカードの数は、順次、メモリ25に記憶される。このとき、各カードCがどのプレーヤーに配られたかの情報も記憶される。すなわち、カードの数が、配布先のプレーヤーと関連づけて記憶される。
【0052】
本実施の形態のカードシュータ装置1はバカラゲームで使用される。バカラでは、プレーヤーとバンカーとの2人が存在する(ここでは、両者をプレーヤーという)。そして、次のカードCがどちらのプレーヤーに配られるかが、それまでに配られたカードCの枚数と各カードの数から一義的に決定される。コンピュータは、メモリ25に記憶されているカードの数を参照して、UVセンサ21が読み取ったカードCがどちらのプレーヤーに配られるかを判定する。そして、各プレーヤーに関連づけて、配られたカードの数がメモリ25に記憶される。
【0053】
さらに、コンピュータにより、メモリ25から、両プレーヤーに配られたカードの数が読み出され、両者が比較されて、勝敗が判定される。カードの数が合計され、両者の合計が比較され、どちらが勝ちかが判定される。引き分けも判定される。
【0054】
このように、バカラに関しては、カードシュータ装置1から順次取り出されるカードの数だけから、勝敗を自動的に判定できる。カードCがどちらのプレーヤーに配られたかが、他のセンサ等、例えばテーブルTに別途埋め込まれるセンサを用いて検出されなくてもよい。そして、この判定結果がメモリ25に記憶される。
【0055】
制御部5は、勝敗結果を第1表示部6および第2表示部7に出力させる。第1表示部6には、読み取られた数、勝敗結果等が表示される。また、第2表示部7では、バンカー勝利ランプ、引分けランプおよびプレーヤー勝利ランプのいずれかが、勝敗結果に応じて点灯される。
【0056】
最後に、本発明の特徴的な動作について説明する。制御部5は、センサ部16によってカードCから読み取られ制御部5によって処理された読取データを、装置の外部にあるゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置やデイスプレイ装置に読み取り処理動作完了後すぐに送信するのではなく、制御部5のメモリ25に一時保持しておく。
【0057】
そして、カードシュータ装置1の送信許可ボタン9をゲームテーブルのディーラーなど(操作者)が操作すると、メモリ25に一時保持された読取データが、ゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置などに送信される。
【0058】
なお、送信許可ボタン9の操作により、さらに制御部5が処理判定した読取データをもとに制御部5内に設けたプログラムにより得られる各ゲームの勝敗判定結果を送信する構成としてもよい。また、送信された読取データをもとにして、テーブルTの外部にあるゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置が、各ゲームの勝敗判定を行う構成としてもよい。
【0059】
このような本実施の形態のカードシュータ装置1によれば、センサ部16によってカードCから読み取られ制御部5によって処理された読取データを、カードシュータ装置1の外部にあるゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置やデイスプレイ装置に読み取り処理動作完了後すぐに送信されない。したがって、ゲームテーブルのプレーヤが各ゲームの勝敗を知る前に、読み取りデータがゲーム監視ピットや中央監視室の制御装置に送信されて、ゲーム監視ピットや中央監視室に居る者の方が先にカードCの内容やゲームの勝敗を知ることを防止することができる。これにより、ゲーム監視ピットや中央監視室とプレーヤとが連絡して不正行為を行うことを防止できる。
【0060】
すなわち、この装置によれば、カード読取部4によって読み取られたカードCの数の情報は、メモリ25に一時的に記憶され、カードCの読み取り処理動作の完了後すぐに送信されない。メモリ25に一時保持されたカードの数の情報の送信は、送信許可ボタン9により送信可能とされた後に行われる。これにより、監視者の方がプレーヤより先にカードCの内容を知ることができないように、カードの数の情報を送信するタイミングを制御することができる。
【0061】
また、勝敗判定部28によって判定された勝敗判定結果の情報も、メモリ25に一時的に記憶され、カードCの読み取り処理動作の完了後すぐに送信されない。メモリ25に一時保持された勝敗判定結果の情報の送信は、送信許可ボタン9により送信可能とされた後に行われる。これにより、監視者の方がプレーヤより先にゲームの勝敗を知ることができないように、勝敗判定結果の情報を送信するタイミングを制御することができる。
【0062】
なお本実施の形態では、本発明の送信許可手段に相当する手段としてゲームテーブルのディーラーなど(操作者)により操作される送信許可ボタン9を用いている。本発明の送信許可手段は、監視者の方がプレーヤより先にカードの内容や、ゲームの勝敗を知ることができないように、送信のタイミングをとるためのものである。したがって、本発明の送信許可手段は、制御部5のコンピュータにより、ゲームの勝敗を自動的に判定する処理機能(勝敗判定部28)を有しており、ゲームの勝敗が自動的に判定された段階で、プログラムで自動送信する構成としてもよい。この場合は、本発明の送信許可手段に相当する手段は、勝敗判定用のプログラムに続く送信許可手順のプログラムにより構成される。このような送信許可手順のプログラムは、コンピュータに組み込まれて、このプログラムがコンピュータのプロセッサで実行される。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるカードシュータ装置は、監視者の方がプレーヤより先にカードの内容を知ることができないように、カードの数の情報を送信するタイミングを制御することができ、ゲームの監視者とプレーヤとが連携して行う不正行為を防止することが可能になるという効果を有し、カジノなどで行われるバカラゲームに用いられ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態のカードシュータ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】カードシュータ部の構成を説明するための側面図である。
【図3】カードシュータ部の構成を説明するための平面図である。
【図4】カード読取部の構成を説明するための側面図である。
【図5】カード読取部の構成を説明するための平面図である。
【図6】(a)通常のカードの説明図である。 (b)カットカードの説明図である。
【図7】制御部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1 カードシュータ装置
3 カードシュータ部
4 カード読取部
5 制御部
8 通信用ターミナル
9 送信許可ボタン
10 カード収容部
11 開口
15 カードガイド部
16 センサ部
25 メモリ
28 勝敗判定部
30 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のカードを収納するカード収納部と、前記カード収納部から前記カードをスライドさせてゲームテーブル上に取り出すことが可能な開口とを備えたカードシュータ部と、
前記カードシュータ部から引き出されたカードから当該カードの数を読み取るカード読取部と、
前記カード読取部からの複数のカードの数の情報に基づいてカードゲームの勝敗を判定する勝敗判定手段と、
前記カード読取部により読み取られたカードの数の情報を送信する通信手段と、
前記カード読取部により読み取られたカードの数の情報を一時保持する一時記憶手段と、
前記一時記憶手段にて一時保持されたカードの数の情報を前記通信手段により送信可能とする送信許可手段と、
を備えたカードシュータ装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を送信可能であり、
前記一時記憶手段は、前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を一時保持し、
前記送信許可手段は、前記一時記憶手段にて一時保持された前記勝敗判定手段による勝敗判定結果の情報を前記通信手段により送信可能とする、請求項1に記載のカードシュータ装置。
【請求項3】
前記通信手段は、通信制御部および通信用ターミナルを備える、請求項1または請求項2に記載のカードシュータ装置。
【請求項4】
前記勝敗判定手段として機能するコンピュータを備えた制御部を備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカードシュータ装置。
【請求項5】
前記勝敗判定手段によるカードゲームの勝敗の判定結果を表示する表示部をさらに備えた、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカードシュータ装置。
【請求項6】
前記カード収納部と、前記カードシュータ部と、前記カード読取部と、前記勝敗判定手段と、前記通信手段と、前記一時記憶手段と、前記送信許可手段と、前記表示部と、が一体化されて前記ゲームテーブル上に設置可能である、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のカードシュータ装置。
【請求項7】
前記カード収納部は、前記複数枚のカードに加えて、ゲームの終了タイミングを示すカットカードが収納可能であり、
前記カード読取部は、前記カットカードの読み取りが可能であり、
前記通信手段は、前記カード読取部によりカットカードが読み取られたときに、前記カットカードが前記カードシュータ部から引き出されたことを示すカットカード出現情報を送信可能であり、
前記一時記憶手段は、前記カード読取部により読み取られたカットカードの前記カットカード出現情報を一時保持し、
前記送信許可手段は、前記一時記憶手段にて一時保持された前記カットカード出現情報を前記通信手段により送信可能とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のカードシュータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−213520(P2009−213520A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57252(P2008−57252)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000103301)エンゼルプレイングカード株式会社 (13)