説明

カードホルダー及びこれを備えたノート、ファイル

【課題】一枚のシート基材を相互に重ね合わせて両面にポケットが形成されたカードホルダーと、当該カードホルダーを筆記用紙と共に綴じ込んだノート、ファイルを提供する。
【解決手段】中間シート部と、当該中間シート部の表裏各面に外側シート部が位置し、これら中間シート部と外側シート部との間に上下複数のポケット38を形成することでカードホルダー13が形成されている。このカードホルダー13は、スリット36が形成された一枚のシート基材を用い、このシート基材における中間シート部に、外側シート部を重ね合わせて接着することで形成される。カードホルダー13の端部には綴じ具12による綴じ込みを可能とする綴じ穴が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカードホルダー及びこれを備えたノート、ファイルに係り、特に、名刺等の定型的なカードを収納する複数のポケットを備えたカードホルダーと、当該カードホルダーを筆記用紙と共に綴じ込んだノート、ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、名刺等のカードを一枚ずつ収納することのできるカードホルダーが知られている。この種のカードホルダーは、例えば、特許文献1及び2に開示されているように、台紙にシートを重ね合わせ、当該シートの一縁を除く外周をシートに接着(溶着)してポケットを形成し、これにより、ポケットにカードが収納可能となる構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−43178号公報
【特許文献2】実開昭62−116883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2記載のカードホルダーにあっては、一枚のシートを用いて両面タイプのカードホルダーを形成したものではなく、製造工程が複雑になる他、コスト的な負担も伴う、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、一枚のシートを相互に重ね合わせて両面にポケットが形成されたカードホルダーと、当該カードホルダーを筆記用紙と共に綴じ込んだノート、ファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は特許請求の範囲記載の構成を採用した。具体的には、少なくとも一つのスリットが形成された一枚のシート基材を相互に重ね合わせて中間シート部と、当該中間シート部の両面に位置する表裏一対の外側シート部とを形成したときに、前記スリットが外側シート部の面内に位置するように設けられ、前記中間シート部と外側シート部とを部分的に接着することで、これらシート部間にポケットが形成される、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記外側シート部は、前記中間シート部の一端側に連なる一方の外側シート部と、当該一方の外側シート部に連なる他方の外側シート部とからなるシート基材を用いて構成され、
前記スリットは、前記外側シート部の双方に連続して形成される、という構成を採ることができる。
【0008】
また、前記外側シート部と中間シート部との間には、部分的に接着する接着領域が設けられ、当該接着領域は、前記スリットに平行な方向に延びる、という構成を採っている。
【0009】
また、本発明に係るカードホルダー付きノートは、表紙体の内面側に綴じ具を介して筆記用紙が綴じ込まれたノート本体とからなり、
前記カードホルダーに綴じ穴を設けて当該カードホルダーを前記綴じ具を介して綴じ込む、という構成を採っている。
【0010】
更に、本発明は、上記カードホルダーと、表紙体の内面側に綴じ具が設けられたファイル本体とからなり、
前記カードホルダーに綴じ穴を設けて当該カードホルダーを前記綴じ具を介して綴じ込んでファイルを構成することができる。
【0011】
なお、本発明における「接着」とは溶着をも含む概念として用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スリットが設けられた一枚のシートを折り曲げて重ね合わせるとともに一部を接着することでポケットが形成される構成であるため、極めて簡単に構成できるとともに、製造コストも大幅に削減することが可能となる。
また、カードホルダーに綴じ穴を設けることで、ノートやファイルの綴じ具への綴じ込みも可能となり、汎用的にカードホルダーを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るノートの概略斜視図。
【図2】カードホルダーの展開平面図。
【図3】カードホルダーの組立方法を説明するための概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示されるように、ノート10は、ノート本体11と、当該ノート本体11に綴じ具12を介して綴じ込まれたカードホルダー13とを備えて構成されている。ノート本体11は、中間に背表紙15を備えた一対の表表紙16及び裏表紙17とからなる表紙体18と、この表紙体18の内側に綴じ具12を介して綴じ込まれた多数枚の筆記用紙Pとからなる。綴じ具12は、特に限定されるものではないが、二つのツインリングが用いられている。
【0016】
前記カードホルダー13は、筆記用紙Pと略同一の平面積を備えた大きさとされ、本実施形態では、図1中上下寸法(長さ)が170mm、左右寸法(幅)が105の縦長となる長方形状に設けられている。このカードホルダー13は、図2に示されるように、一枚の紙若しくは樹脂シート等からなるシート基材Sを用いて構成され、当該シート基材Sを3枚の厚みとなるように折り曲げて各面が相互に重なり合うようにして形成される。
【0017】
シート基材Sは、折り重ねたときに中間に位置する中間シート部30と、当該中間シート部30の幅方向(図2中左右方向)左端側に連設されるとともに、前記折り重ねを行ったときに、中間シート部30の両面側に表裏一対の関係で位置する外側シート部31、32とを備えている。中間シート部30及び外側シート部31、32の幅方向端部側には、上下二つの領域に綴じ穴35が形成されており、図3に示されるように、各シート部30〜32を矢印方向A1、A2の順番で折り重ねたときに、各綴じ穴35が相互に一致するように設けられ、これにより、前記綴じ具12を介してカードホルダー13をノート本体11に綴じ込みできるようになっている。
【0018】
前記外側シート部31、32は、それらの上端部に凹部31A、32Aを備えた形状に設けられ、当該凹部31A、32Aより下方の中間部には、各外側シート部31、32を幅方向に跨る長さのスリット36が上下方向に所定間隔を隔てて2列形成されている。
ここで、図2中網点で示した領域はスリット36に沿って延びるように接着剤を塗布させた接着領域Aとし、当該接着領域Aを中間シート部30に接着することで、上、中、下3段のポケット38が中間シート部30と外側シート部31、32との間に形成される。
すなわち、図3に示されるように、中間シート部30と外側シート部31とを重ね合わせて接着した後に、中間シート部30に外側シート部31を重ね合わせて接着することで、中間シート部30の両面に、それぞれ3段のポケット38が形成されることとなる。なお、本実施形態において、前記ポケット38は、名刺サイズのカードCの出し入れに適合する幅と深さを備えており、最上位のカードCの上端部が前記凹部31A、32Aに表出する一方、中段、下段の各カードCの各上端部がスリット36から突出するようになっている。
【0019】
従って、このような実施形態によれば、一枚のシート基材Sを用いて中間シート部30の表裏各面にポケット38を形成することができるので、部品点数を最小限としてカードホルダー13を提供できる、という効果を得る。
【0020】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施例に対し、形状、材質、数量、位置若しくは配置等に関して当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、既に開示した形状等の限定をした記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に示したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定を一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0021】
例えば、前記ポケット38の数は、図示構成例に限定されるものではなく、シート基材Sの大きさに応じて増加、減少することが可能である。
また、シート基材Sは、中間シート部30の幅方向一端側に外側シート部31、32が一連となって連なるものとしたが、中間シート部30の幅方向一端側に一方の外側シート部31を連設するとともに、中間シート部30の他端側に他方の外側シート部32を連設したものを用いることもできる。また、図2に示されるシート基材Sにおいて、中間シート部30の短片側を外側シート部31又は32の何れか一方の短片側に連設したものでもよい。この場合、図示構成のシート基材Sと同様に、スリット36を連続して形成することができる点で有利となる。
【0022】
また、シート基材S全体が透光性を有する樹脂シート製とし、接着領域を溶着することでポケットを形成してもよい。この場合、個々のカードCは、全体的に視認可能になるという効果を付加することができる。
【0023】
また、表紙体の内面側に綴じ具12を設け、当該綴じ具12に前記カードホルダー13を複数枚綴じ込むことでファイルを提供することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 ノート
11 ノート本体11
12 綴じ具
13 カードホルダー
18 表紙体
30 中間シート部
31、32 外側シート部
35 綴じ穴
36 スリット
P 筆記用紙
S シート基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのスリットが形成された一枚のシート基材を相互に重ね合わせて中間シート部と、当該中間シート部の両面に位置する表裏一対の外側シート部とを形成したときに、前記スリットが外側シート部の面内に位置するように設けられ、前記中間シート部と外側シート部とを部分的に接着することで、これらシート部間にポケットが形成されることを特徴とするカードホルダー。
【請求項2】
前記外側シート部は、前記中間シート部の一端側に連なる一方の外側シート部と、当該一方の外側シート部に連なる他方の外側シート部とからなるシート基材を用いて構成され、
前記スリットは、前記外側シート部の双方に連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載のカードホルダー。
【請求項3】
前記外側シート部と中間シート部との間には、部分的に接着する接着領域が設けられ、当該接着領域は、前記スリットに平行な方向に延びていることを特徴とする請求項1又は2記載のカードホルダー。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載のカードホルダーと、表紙体の内面側に綴じ具を介して筆記用紙が綴じ込まれたノート本体とからなり、
前記カードホルダーに綴じ穴を設けて当該カードホルダーを前記綴じ具を介して綴じ込んだことを特徴とするノート。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れかに記載のカードホルダーと、表紙体の内面側に綴じ具が設けられたファイル本体とからなり、
前記カードホルダーに綴じ穴を設けて当該カードホルダーを前記綴じ具を介して綴じ込んだことを特徴とするファイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−240677(P2011−240677A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116849(P2010−116849)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】