説明

カードリーダライタ装置、挿入誘導プレート、制御方法及びプログラム

【課題】ユーザによるカードの迅速な処理を実現する
【解決手段】カードリーダライタ装置100の非接触型カード処理部122は、搬送部112の外方に設置される挿入誘導プレート120に備えられたアンテナ部121を介してカード10との通信を行う。非接触型カード処理部122がカード10との通信に失敗した場合は、搬送部112が挿入誘導プレート120を介して接触型カード処理部115にカード10を搬送し、接触型カード処理部115がカード10との通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触型カード及び非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行うカードリーダライタ装置、挿入誘導プレート、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気カードや接触型のIC(Integrated Circuit、集積回路)カード等の接触型カードだけでなく、非接触型のICカード等の非接触型カードが支払いカードとして用いられるようになってきている。それに伴い、高速道路等での料金収受に用いるカードリーダライタ装置も接触型カードと非接触型カードとの両者への対応が求められている。
接触型カードと非接触型カードとに対応する従来のカードリーダライタ装置は、以下の二種類に大別できる。
【0003】
図3は、従来のカードリーダライタ装置を示す第1の図である。
図3に示すカードリーダライタ装置800は、カード10をカードリーダライタ装置800の内部に搬送する搬送部801と、接触型カードとの通信を行う磁気ヘッド部802及びICコンタクト部803と、非接触型カードとの通信を行うアンテナ部804と、カードへの読み込みまたは書き込みを行う制御部805とを備える。
図3に示すカードリーダライタ装置800は、接触型カード及び非接触型カードの読み取りまたは書き込みの処理を同一のカードリーダライタ装置800の内部で行うため、ユーザはカード10をカードリーダライタ装置800に挿入することで、当該カード10が接触型カードであるか非接触型カードであるかの判断をユーザが行わずに、読み取りまたは書き込みの処理を行うことができる。
なお、図3に示すカードリーダライタ装置800は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
図4は、従来のカードリーダライタ装置を示す第2の図である。
図4に示すカードリーダライタ装置900は、搬送部911と、磁気ヘッド部912、ICコンタクト部913、制御部914を備える接触型カードリーダライタ端末910と、アンテナ部921、制御部922を備える非接触型カードリーダライタ端末920とを別々に備える。
図4に示すカードリーダライタ装置900は、従来の接触型カードリーダライタ端末910に、非接触型カードリーダライタ端末920を周辺機器として増設したものである。そのため、接触型カードリーダライタ端末910を予め導入しているユーザは、接触型・非接触型の両者に対応したカードリーダライタ装置を新たに導入せずに非接触型カードリーダライタ端末920のみを導入するだけでよいため、導入のコストを低く抑えることができる。
図4に示す接触型カードリーダライタ端末910は、例えば特許文献2に開示されている。
また、図4に示す非接触型カードリーダライタ端末920は、例えば特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2008−102677号公報
【特許文献2】特開2007−47880号公報
【特許文献3】特開2008−123451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した図3に示すカードリーダライタ装置800は、カードリーダライタ装置800の内部で読み取りまたは書き込みの処理を行うため、本来ならば内部への取込及び排出の必要が無い非接触カードに対しても取込及び排出処理を行う必要がある。そのため、カードリーダライタ装置800は、取込及び排出処理の時間を要し、ユーザが迅速な処理を行う際の弊害となる。
また、図4に示すカードリーダライタ装置900のように、非接触型カードリーダライタ端末920を増設すると、カード10が接触型カードであるか非接触型カードであるかの判断をユーザが行う必要があり、ユーザの操作に対する負担が増加する。さらにカード10が接触型カードであるか非接触型カードであるかの判断をユーザが誤った場合は、2種類の端末910、920に対してカード10の読み取り操作を行うこととなるため、ユーザが迅速な処理を行う際の弊害となる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カードの読み取りまたは書き込みの迅速な処理を実現するカードリーダライタ装置、挿入誘導プレート、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、接触型カード及び非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行うカードリーダライタ装置であって、接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードとの通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定する非接触通信判定部と、前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置に自動搬送させる搬送制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記非接触型カード処理部がカードの読み取りまたは書き込みを完了すると、処理完了を報知する報知部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記搬送部は、前記接触型カード処理部が前記カードの読み取りまたは書き込みに失敗した場合に、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置から前記挿入誘導プレートに前記カードを搬送し、前記アンテナ部は、前記搬送部によって前記挿入誘導プレートに搬送された前記カードと再度通信を行う、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記アンテナ部及び前記非接触型カード処理部は、前記接触型カード処理部が前記カードの読み取りまたは書き込みの処理を行う際に電源を切断する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カードリーダライタ装置の外方に設置され、前記接触型カードリーダライタ装置へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートであって、非接触型カードとの通信範囲内に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードと通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部とを備えたカードリーダライタ装置の制御方法であって、非接触通信判定部は、前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定し、搬送制御部は、前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置へ自動搬送させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードと通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部とを備えたカードリーダライタ装置を、前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定する非接触通信判定部、前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置へ自動搬送させる搬送制御部、として動作させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードリーダライタ装置の非接触型カード処理部は、搬送部の外方に設置される挿入誘導プレートに備えられたアンテナ部を介して非接触型カードとの通信を行う。そのため、非接触型カードをカードリーダライタ装置の内部に取り込まずにデータの読み取りまたは書き込みを行うことができる。これにより、非接触型カードの処理において取込及び排出処理の時間がかからないため、ユーザは迅速な処理を行うことができる。
また、本発明によれば、カードが接触型カードである場合は、搬送部が挿入誘導プレートを介して接触型カード処理部に接触型カードを搬送し、接触型カード処理部が接触型カードとの通信を行う。そのため、ユーザはカードが接触型カードであるか非接触型カードであるかの判断を行わずにカードの処理を行うことができるため、ユーザは迅速な処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるカードリーダライタ装置の構成を示す概略ブロック図である。
カードリーダライタ装置100は、接触型カードリーダライタ部110と、挿入誘導プレート120とを備える。
接触型カードリーダライタ部110は、カード10を内部に取り込み、カード10が磁気カードや接触型ICカード等の接触型カードであればデータの読み取りまたは書き込みを行う。
挿入誘導プレート120は、接触型カードリーダライタ部110の外方に設置され、カード10を接触型カードリーダライタ部110のカード挿入口に誘導する構造を有する。
【0016】
接触型カードリーダライタ部110は、挿入口センサ111、搬送部112(搬送制御部)、磁気ヘッド部113(接触型カード読取・書込部)、ICコンタクト部114(接触型カード読取・書込部)、接触型カード処理部115を備える。
挿入口センサ111は、接触型カードリーダライタ部110のカード挿入口に備えられ、カード10がカード挿入口に挿入されているか否かを感知する。
搬送部112は、接触型カードリーダライタ部110のカード挿入口に備えられ、カード10をカードリーダライタ部110の内部へ搬送する。
磁気ヘッド部113は、接触型カードリーダライタ部110の内部に備えられ、カード10が磁気カードであればカード10の磁気ストライプからデータを読み込む処理、または磁気ストライプへデータを書き込む処理を行う。
ICコンタクト部114は、接触型カードリーダライタ部110の内部に備えられ、カード10が接触型ICカードであれば、カード10のICチップからデータを読み込む処理、またはICチップへデータを書き込む処理を行う。
接触型カード処理部115は、磁気ヘッド部112またはICコンタクト部113を介してカード10のデータの読み取りまたは書き込みの制御を行う。
【0017】
挿入誘導プレート120は、アンテナ部121、非接触型カード処理部122(非接触通信判定部)、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)123(報知部)を備える。
また、挿入誘導プレート120は、例えば合成樹脂で板状に形成されたプレートであり、図1に示すように、アンテナ部121、非接触型カード処理部122、LED123の機能を有する回路基板を内蔵するものである。なお、図1では挿入誘導プレート120の内部に回路基板が埋め込まれている例を示しているが、これに限られず、挿入プレート120にカード10を据えた状態で、カード10と回路基板に含まれるアンテナ部121との通信が可能であるならば、挿入誘導プレート120の下部など、回路基板を挿入誘導プレート120の外部に設置しても良い。
アンテナ部121は、カード10が非接触型カードであればRFID(Radio Frequency Identification、電波方式認識)等によって、カード10との通信を行う。
非接触型カード処理部122は、アンテナ部121を介してカード10のデータの読み取りまたは書き込みを行う。
LED123は、非接触型カード処理部122がデータの読み取りまたは書き込みを完了すると点灯して処理完了を報知し、非接触型カード処理部122がデータの読み取りまたは書き込みに失敗すると点滅してエラーの発生を報知する。
【0018】
そして、本実施形態のカードリーダライタ装置100は、接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う磁気ヘッド部113並びにICコンタクト部114及び接触型カード処理部115と、磁気ヘッド部113及びICコンタクト部114の通信可能位置にカードを自動搬送する搬送部112と、搬送部112の外方に設置され、搬送部112へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレート120と、挿入誘導プレート120に非接触型カードを据えた状態で非接触型カードとの通信が可能な位置に設置され、非接触型カードとの通信を行うアンテナ部121と、アンテナ部121を介して非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部122とを備える。
このような構成により、カードリーダライタ装置100は、カードの読み取りまたは書き込みにおける迅速な処理を実現する。
【0019】
次に、カードリーダライタ装置100の動作を説明する。
図2は、カードリーダライタ装置の動作を示すフローチャートである。
カードリーダライタ装置100の挿入誘導プレート120内の非接触型カード処理部122は、アンテナ部121を介してカード10に対して断続的にポーリングを行う(ステップS1)。非接触型カード処理部122は、ポーリングを行うと、カード10から当該ポーリングに対する応答の有無を判定する(ステップS2)。
非接触型カード処理部122は、ポーリングに対する応答があると判定した場合(ステップS2:YES)、アンテナ121を介してカード10と通信を行い、データの読み取りまたは書き込みを行う(ステップS3)。なお、ポーリングに対する応答があるという判定は、ユーザが挿入誘導プレート120の上に非接触型カードであるカード10を据え、カード10がポーリングに対する応答を送信した場合に行われることとなる。
非接触型カード処理部122がカード10のデータの読み取りまたは書き込みを行うと、LED123は、点灯してユーザに処理完了を報知する(ステップS4)。LED123が点灯すると、カードリーダライタ装置100はカード10との処理を終了する。
このように、カード10が非接触型カードである場合、カードリーダライタ装置100の非接触型カード処理部122は、搬送部112の外方に設置される挿入誘導プレート120の内部に備えられたアンテナ部121を介してカード10との通信を行う。そのため、カード10をカードリーダライタ装置100の内部に取り込まずにデータの読み取りまたは書き込みを行うことができる。これにより、カード10の処理において取込及び排出処理の時間がかからない。
【0020】
ステップS2で、非接触型カード処理部122が、ポーリングに対する応答がないと判定した場合(ステップS2:NO)、接触型カードリーダライタ部110の挿入口センサ111は、カード10がカード挿入口に存在するか否かを判定する(ステップS5)。カードがカード挿入口に存在するか否かの判定は、例えば以下のように行う。
挿入口センサ111が光センサである場合、挿入口センサ111は、挿入口センサ111に対向して配置されるLED(図示せず)からの光を検知したときに、カード10がカード挿入口に存在しないと判定し、LED(図示せず)からの光を挿入口センサ111が検知できない場合に、カード10がカード挿入口に存在すると判定する。
また、挿入口センサ111が圧力センサである場合、挿入口センサ111は、搬送部112にカード10が接触しているか否かを検知し、搬送部112とカード10との接触を検知したときに、カード10がカード挿入口に存在すると判定し、搬送部112とカード10との接触を検知できないときに、カード10がカード挿入口に存在しないと判定する。
【0021】
ステップS3で、挿入口センサ111が、カード10がカード挿入口に存在しないと判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS1に戻り、ポーリングを継続する。なお、カード10がカード挿入口に存在しないという判定は、ユーザが挿入誘導プレート120の上にカード10を据えていない場合に行われることとなる。
【0022】
ステップS3で、挿入口センサ111が、カード10がカード挿入口に存在すると判定した場合(ステップS5:YES)、搬送部112は、カード10を磁気ヘッド部113、ICコンタクト部114の読み取り可能な位置に搬送する(ステップS6)。搬送部112がカード10を搬送すると、接触型カード処理部115は、アンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を切断する(ステップS7)。この処理は、アンテナ部121及び非接触型カード処理部122が発生する電波が、磁気ヘッド部113またはICコンタクト部114による通信に対する妨害電波となる可能性があるため、電源を切断することで妨害電波となりうる電波を排除するために行っている。
【0023】
接触型カード処理部115は、アンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を切断すると、磁気ヘッド部113を介してカード10のデータ読み取りを行い、カード10からの応答の有無(データの有無)を判定する(ステップS8)。
接触型カード処理部115は、カード10から磁気ヘッド部113を介した応答がないと判定した場合(ステップS8:NO)、ICコンタクト部114を介してカード10との通信を行い、カード10からの応答の有無を判定する(ステップS9)。
【0024】
接触型カード処理部115は、ステップS8でカード10から磁気ヘッド部113を介した応答があると判定した場合(ステップS8:YES)、またはステップS9でカード10からICコンタクト部114を介した応答があると判定した場合(ステップS9:YES)、磁気ヘッド部113を介してカード10のデータの読み取り、またはICコンタクト部114を介してカード10と通信を行い、データの読み取りまたは書き込みを行う(ステップS10)。
接触型カード処理部115がカード10のデータの読み取りまたは書き込みを行うと、搬送部112は、カード10を挿入誘導プレート120に搬送する(ステップS11)。搬送部112がカード10を搬送すると、接触型カード処理部115は、アンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を投入する(ステップS12)。
接触型カード処理部115がアンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を投入すると、LED123は、点灯してユーザに処理完了を報知する(ステップS13)。LED123が点灯すると、カードリーダライタ装置100はカード10との処理を終了する。処理の終了後、ユーザは挿入誘導プレート120からカードを取り上げる。
【0025】
接触型カード処理部115がステップS9でカード10からICコンタクト部114を介した応答がないと判定した場合(ステップS9:NO)、すなわち磁気ヘッド部113にてデータが確認できず、ICコンタクト部114を介してもカード10との通信ができない場合、搬送部112は、カード10を挿入誘導プレート120に搬送する(ステップS14)。搬送部112がカード10を搬送すると、接触型カード処理部115は、アンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を投入する(ステップS15)。
接触型カード処理部115がアンテナ部121及び非接触型カード処理部122の電源を投入すると、非接触型カード処理部122は、アンテナ部121を介してカード10との通信を行い、カード10からの応答の有無を判定する(ステップS16)。
【0026】
ここで、ステップS16で再度非接触型カード処理部122による通信を行う理由を説明する。
まず、ステップS2で非接触型カード処理部122が、ステップS8、S9で接触型カード処理部115がカード10との通信に失敗する理由としては、以下の4つの理由が挙げられる。
1つ目に、カード10が非接触型カードでも接触型カードでもない場合が挙げられる。例えば、カード10が名刺等の通信を行わない種類のカードである場合である。
2つ目に、カード10が壊れている場合が挙げられる。例えば、非接触カードに内蔵されるアンテナコイルが破損している場合、また、磁気カードのデータが何らかの磁力の影響で破損している場合などである。
3つ目に、カード10が接触型カードであり、挿入する方向を誤っている場合である。
4つ目に、カード10が非接触型カードであり、ステップS2における通信に失敗している場合である。非接触型カードの通信の失敗は、非接触型カード処理部122が通信を行う際、ユーザの操作によってカード10が挿入誘導プレート120に据えられるため、カード10が動き、通信が不安定になった場合に発生する可能性がある。
従って、上述した4つ目の理由による通信の失敗を解消するために、ステップS16で再度非接触型カード処理部122による通信を試みている。
【0027】
ステップS16によって非接触型カード処理部122がカード10から応答があると判定した場合(ステップS16:YES)、アンテナ121を介してカード10と通信を行い、データの読み取りまたは書き込みを行う(ステップS17)。
非接触型カード処理部122がカード10のデータの読み取りまたは書き込みを行うと、LED123は、点灯してユーザに処理完了を報知する(ステップS18)。LED123が点灯すると、カードリーダライタ装置100はカード10との処理を終了する。
【0028】
ステップS16によって非接触型カード処理部122がカード10から応答がないと判定した場合(ステップS16:NO)、LED123は、点滅してユーザにエラーの発生を報知する(ステップS19)。LED123が点滅すると、カードリーダライタ装置100はカード10との処理を終了する。処理の終了後、ユーザは、挿入誘導プレート120からカード10を取り上げる。このとき、LED123が点滅しているため、ユーザは、上述した1つ目から3つ目の何れかの理由によってカード10が通信に失敗したと判断することができる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、カード10が非接触型カードである場合、カードリーダライタ装置100の非接触型カード処理部122は、搬送部112の外方に設置される挿入誘導プレート120に備えられたアンテナ部121を介してカード10との通信を行う。そのため、カード10をカードリーダライタ装置100の内部に取り込まずにデータの読み取りまたは書き込みを行うことができる。これにより、カード10の処理において取込及び排出処理の時間がかからない。
また、カード10が接触型カードである場合は、搬送部112が挿入誘導プレート120を介して接触型カード処理部115にカード10を搬送し、接触型カード処理部115がカード10との通信を行う。そのため、ユーザはカード10が接触型カードであるか非接触型カードであるかの判断を行わずにカードの処理を行うことができる。これにより、ユーザは迅速な処理を行うことができる。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、通信完了またはエラーの発生をLED123が報知する場合を説明したが、これに限られず、ブザーや液晶画面等、他の報知手段を用いて通信完了やエラーの発生を報知しても良い。
【0031】
なお、本実施形態では、非接触型カード処理部122がポーリングを断続的に行うことによって、カード10との通信を行う場合を説明したが、これに限られず、例えば、非接触型カード処理部122は、断続的なポーリングを行わずに、挿入口センサ111がカード10を検知した時点でカードとの通信を行ってもよい。これにより、カード10が固定されてからの通信を行うことができるため、通信を安定させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、カード10の挿入時と排出時に非接触型カード処理部122がカード10との通信を行う場合を説明したが、これに限られず、カード10の挿入時のみ、または排出時のみに非接触型カード処理部122が通信を行っても良い。
【0033】
また、本実施形態では、搬送部112が挿入誘導プレート120から接触型カードリーダライタ部110内部に搬送したカード10を、搬送部112が接触型カード処理部115による処理の完了後に、接触型カードリーダライタ部112内部から挿入誘導プレート120に搬送する場合を説明したが、これに限られず、例えば、接触型カードリーダライタ部110は、カード挿入口以外にカード排出口を備え、搬送部112は、接触型カード処理部115による処理の完了後に、カード10を接触型カードリーダライタ部112内部からカード排出口に搬送しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態によるカードリーダライタ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】カードリーダライタ装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】従来のカードリーダライタ装置を示す第1の図である。
【図4】従来のカードリーダライタ装置を示す第2の図である。
【符号の説明】
【0035】
10…カード 100…カードリーダライタ装置 110…接触型カードリーダライタ部 111…挿入口センサ 112…搬送部 113…磁気ヘッド部 114…ICコンタクト部 115…接触型カード処理部 120…挿入誘導プレート 121…アンテナ部 122…非接触型カード処理部 123…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触型カード及び非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行うカードリーダライタ装置であって、
接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、
前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、
前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、
前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードとの通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部と、
を備えることを特徴とするカードリーダライタ装置。
【請求項2】
前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定する非接触通信判定部と、
前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置に自動搬送させる搬送制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカードリーダライタ装置。
【請求項3】
前記非接触型カード処理部がカードの読み取りまたは書き込みを完了すると、処理完了を報知する報知部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のカードリーダライタ装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記接触型カード処理部が前記カードの読み取りまたは書き込みに失敗した場合に、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置から前記挿入誘導プレートに前記カードを搬送し、
前記アンテナ部は、前記搬送部によって前記挿入誘導プレートに搬送された前記カードと再度通信を行う、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカードリーダライタ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部及び前記非接触型カード処理部は、前記接触型カード処理部が前記カードの読み取りまたは書き込みの処理を行う際に電源を切断する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカードリーダライタ装置。
【請求項6】
接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カードリーダライタ装置の外方に設置され、前記接触型カードリーダライタ装置へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートであって、
非接触型カードとの通信範囲内に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部と、
を備えることを特徴とする挿入誘導プレート。
【請求項7】
接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードと通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部とを備えたカードリーダライタ装置の制御方法であって、
非接触通信判定部は、前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定し、
搬送制御部は、前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置へ自動搬送させる、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
接触型カード読取・書込部を介して前記接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う接触型カード処理部と、前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置にカードを自動搬送する搬送部と、前記搬送部の外方に設置され、前記搬送部へのカードの挿入を誘導する挿入誘導プレートと、前記挿入誘導プレートに前記非接触型カードを据えた状態で当該非接触型カードと通信できる位置に設置され、前記非接触型カードとの通信を行うアンテナ部と、前記アンテナ部を介して前記非接触型カードのデータの読み取りまたは書き込みを行う非接触型カード処理部とを備えたカードリーダライタ装置を、
前記アンテナ部と前記挿入誘導プレートに据えられた前記カードとの通信を試み、当該カードとの通信ができるか否かを判定する非接触通信判定部、
前記非接触通信判定部が前記カードとの通信ができないと判定した場合に、前記搬送部に前記カードを前記接触型カード読取・書込部による読み取り及び書き込み位置へ自動搬送させる搬送制御部、
として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−152808(P2010−152808A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332474(P2008−332474)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】