説明

カードリーダライタ

【課題】 カードを収納するストック手段の構成を合理化してなるカードリーダライタを提供すること。
【解決手段】 ストック手段400は、カード10を積層するスペースを搬送路110の上部に設けてなる収納部410と、収納部に収納されたカードを搬送路に向って付勢する付勢手段420と、カードを搬送路から収納部の内部に向って押上げるカム機構430とを備え、カム機構は、カードの搬送方向と平行な軸を中心に回転する複数のカム体431,432を備え、複数のカム体によりカードの全体を押上げるものであり、複数のカム体のうちの少なくとも一部は、偏心凹部430aを備え、カードを押上げた状態においては、押上げられたカードの下部に偏心凹部が位置するとともに、他のカードが搬送手段により搬送されて偏心凹部の内部に入り込むことにより、押上げられたカードと他のガードがオーバーラップする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードや磁気カード等のカードに記録されたデータの読取り、及び前記カードへのデータの書込みを行うカードリーダライタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコやスロットマシンといった遊戯台の側部には、遊戯媒体の貸出し装置が設置されている。いわゆる台毎サンド、或は台間機等と称されるものである。遊戯媒体の貸出し装置は、基本的には紙幣や硬貨が投入されるとその価格に応じた量の遊戯媒体を供給するものであるが、近年では、遊戯客の便宜を図り、所定の情報記録媒体を扱うものが主流となりつつある。すなわち、投入した紙幣や硬貨の価格を限度に遊戯客が遊戯媒体の貸出し量を任意に設定し、遊戯客がその遊戯台を離れる際には、投入価格と貸出した遊戯媒体との差額を情報記録媒体に記録してこれを提供し、遊戯客が他の遊戯台で再び遊戯をする場合は、紙幣や硬貨の代わりにその情報記録媒体を貸出し装置に投入することができる構成となっている。
【0003】
情報記録媒体としてカードを処理する装置としては、特許文献1に開示されているようなカードリーダライタが用いられている。この種のカードリーダライタは、カードを収納するストック手段が備えられている。すなわち、データの読取り及び書込みを行うのみならず、必要に応じてカードを提供し、且つ返却する必要のなくなったカードを回収するものとなっている。同文献のカードリーダライタは、その小型化を達成するべく、データの読取り及び書込み時にその対象となるカードと収納されているカードとがオーバーラップする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3978615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、カードを収納するストック手段としては、様々な構成が考えられるところ、これをどのように工夫するかが、カードリーダライタの性能や処理速度を左右する重要な課題となっている。
【0006】
特に、遊戯媒体の貸出し装置は、更なる多機能化及び高性能化が求められるものの、設置スペースが限られており、情報記録媒体としてカードを処理する装置についても、その設置スペースを有効に利用するべく小型のものが望まれている。つまり、装置を小型化するという点においても、カードを収納する手段の更なる合理化が必要とされている。
【0007】
この点、特許文献1に開示されているカードリーダライタは、オーバーラップした状態のカードにデータの読取り及び書込みすることにより、カードの搬送路の長さを短くすることができるという利点がある。但し、ストック手段に収納されたカードの片側を押上げた状態で次のカードを送るものであり、カードを収納する際には、カードを送る搬送手段の力にてカードの全体を押上げることになる。すなわち、搬送中のカードに負荷がかかり、カードの搬送速度が安定しないという問題がある。カードの搬送・収納をより円滑に行うためには、このような問題に対処する構成が必要である。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カードを収納するストック手段の構成を合理化してなるカードリーダライタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願第1請求項に記載した発明は、カード(10)に記録されたデータの読取り、及び前記カード(10)へのデータの書込みを行うカードリーダライタ(1)において、前記データの読取り及び前記データの書込みを行うリードライト手段(210,220)と、前記カード(10)を所定の搬送路(110)に沿って搬送する搬送手段(300)と、前記カード(10)を収納するストック手段(400)とを備え、前記ストック手段(400)は、前記カード(10)を積層するスペースを前記搬送路(110)の上部に設けてなる収納部(410)と、前記収納部(410)に収納された前記カード(10)を前記搬送路(110)に向って付勢する付勢手段(420)と、前記カード(10)を前記搬送路(110)から前記収納部(410)の内部に向って押上げるカム機構(430)とを備え、前記カム機構(430)は、前記カード(10)の搬送方向と平行な軸を中心に回転する複数のカム体(431,432)を備え、前記複数のカム体(431,432)により前記カード(10)の全体を押上げるものであり、前記複数のカム体(431,432)のうちの少なくとも一部は、偏心凹部(430a)を備え、前記カード(10)を押上げた状態においては、押上げられた前記カード(10)の下部に前記偏心凹部(430a)が位置するとともに、他の前記カード(10)が前記搬送手段(300)により搬送されて前記偏心凹部(430a)の内部に入り込むことにより、押上げられた前記カード(10)と他の前記ガード(10)がオーバーラップするようにした構成のカードリーダライタ(1)である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カードを収納するストック手段の構成を合理化してなるカードリーダライタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図(カードを挿入する状態)であって、(a)は上面、(b)は側面、(c)は正面から見た要部を示している。
【図2】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図(収納されているカードを押上げた状態)であって、(a)は上面、(b)は側面、(c)は正面から見た要部を示している。
【図3】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図(挿入されたカードを収納した状態)であって、(a)は上面、(b)は側面、(c)は正面から見た要部を示している。
【図4】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図(カードを排出する状態)であって、(a)は上面、(b)は側面、(c)は正面から見た要部を示している。
【図5】本発明の実施例に係り、カードリーダライタを正面から見た要部の説明図であって、(a)はカードを押上げる前の状態、(b)はカードを押上げた状態を示している。
【図6】本発明の実施例に係り、上面から見たカム機構及び搬送手段の駆動伝達構造の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図であって、(a)は上面、(b)は側面、(c)は正面から見た要部を示している。
【図8】本発明の実施例に係り、カードリーダライタの説明図であって、(a)は上面、(b)及び(c)は正面から見た要部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図6に示すカードリーダライタ1は、情報記録媒体としてカード10を用いる遊戯媒体の貸出し装置に組込まれるユニットであり、カード10に記録されたデータの読取り、及びカード10へのデータの書込みを行うものである。一般に、この種のカード10としては、ICカードや磁気カードが用いられている。本例のカードリーダライタ1は、情報を記録する手段としてICを備えたカード、磁気ストライブを備えたカード、並びに、IC及び磁気ストライブの両方を備えたカードを処理するものである。
【0013】
本例のカードリードライト1は、扁平型の筐体100を備え、筐体100の厚さ方向に対応する側面の1つには、カード10を出し入れするスリット101が設けられている。遊戯媒体の貸出し装置に対しては、その厚さ方向を水平としつつ、スリット101が設けられた側面が正面側となるように組込まれる。
【0014】
このカードリーダライタ1は、データの読取り及びデータの書込みを行うリードライト手段210,220と、カード10を所定の搬送路110に沿って搬送する搬送手段300と、カードを収納するストック手段400とを備えている。搬送路110は、筐体100の内部にスリット101と連続する隙間を設けて構成されている。リードライト手段としては、磁気ストライブに対してデータの読取り及び書込みを行う磁気ヘッド210と、ICに対してデータの読取り及び書込みを行うリードライトアンテナ220とが設けられている。カード10には、磁気ストライブ及びICのいずれか一方、又は両方が設けられている。磁気ヘッド210及びリードライトアンテナ220は、搬送路110の要所にそれぞれ配置されている。
【0015】
搬送手段300は、搬送路110の要所にそれぞれ正逆回転可能なローラ310,320を設けてなるものである。ローラとしては、スリット101に近い側から順に、第1ローラ310、及び第2ローラ320を備えている。
【0016】
搬送手段300の駆動伝達構造としては、様々な構成が考えられるところ、本例では、ギア、回転軸、及びベルト等にて構成されたリンク機構340を介してモータ330の動力が第1ローラ310及び第2ローラ320に伝達される構成となっている。第1ローラ310及び第2ローラ320は、モータ330の動力によって搬送方向と垂直な軸を中心に同じ方向に同時に正逆回転する構成となっている。
【0017】
ストック手段400は、カード10を積層するスペースを搬送路110の上部に設けてなる収納部410と、収納部410に収納されたカード10を搬送路110に向って付勢する付勢手段420と、カード10を搬送路110から収納部410の内部に向って押上げるカム機構430とを備えている。付勢手段420は、収納部の内部を移動するプレート421に弾性部材422(図例はコイルばね)を装着して構成されている。
【0018】
カム機構430は、カード10の搬送方向と平行な軸を中心に回転する複数のカム体431,432,433を備え、複数のカム体によりカード10の全体を押上げるものである。カム体としては、スリット101に近い側から順に、搬送路110の両脇近傍に設けられた一対の第1カム体431、搬送路110の両脇近傍に設けられた一対の第2カム体432、及び搬送路110の中央近傍に設けられた1つの第3カム体433を備え、第1カム体431及び第2カム体432が、カード10の全体を押上げるものとなっている。第3カム体433は、搬送手段300にて搬送されるカード10を所定の位置で停止させるストッパとなっている。搬送手段300にて搬送されるカード10は、第3カム体433に当接したところで停止し、リードライトアンテナ220による読込み及び書込みが行われる。
【0019】
本例の場合、カード10の全体を押上げる複数のカム体431,432のうちの少なくとも一部は、偏心凹部430aを備えている。具体的には、第1カム体431及び第2カム体422にそれぞれ偏心凹部430aが設けられている。そして、カード10を押上げた状態においては、押上げられたカード10の下部に偏心凹部430aが位置するとともに、他のカード10が搬送手段300により搬送されて偏心凹部430aの内部に入り込むことにより、押上げられたカード10と他のガード10がオーバーラップする構成となっている。
【0020】
カム機構430の駆動伝達構造としては、様々な構成が考えられるところ、本例では、ギア、及び回転軸等にて構成されたリンク機構435を介してモータ434の動力が第1カム体431、第2カム体432、及び第3カム体433に伝達される構成となっている。第1カム体431、第2カム体432、及び第3カム体433は、モータ434の動力によって搬送方向と平行な軸を中心にそれぞれ所定の方向に同時に回転する構成となっている。
【0021】
磁気ヘッド210、リードライトアンテナ220、搬送手段300のモータ330、及びカム機構430のモータ434は、不図示の制御回路にて制御されている。これらの制御方法は、特に限定はしないが、基本的に、スリット101にカード10が投入されるとそのデータを読取り、更に、遊戯媒体の貸出し装置における紙幣や硬貨の投入価格、遊戯媒体の貸出し量、及び読取ったカード10のデータに応じてスリット101から排出するカード10に書込みを行う構成となっている。
【0022】
また、投入された後に返却する必要のなくなったカード10は、これをストック手段400に貯留して回収する。更に、紙幣や硬貨の投入に応じて新たにカード10を提供する場合は、ストック手段400に貯留されているカード10を取出し、所定のデータを磁気ヘッド210又はリードライトアンテナ220で書込み、これをスリット101から排出する。カード10は、各処理に応じて各モータ330,434を駆動することにより、搬送される。
【0023】
先ず、スリット101にカード10が投入されると(図1参照)、搬送手段300及びカム機構430が作動し、搬送路110側に各カム体431,432,433が迫り出すとともに、投入されたカード10が第3カム体433に当接するまで搬送される。(図2参照)。このとき搬送手段300により搬送されたカード10が第1カム体431及び第2カム体に設けられた432偏心凹部430aの内部に入り込むことにより、投入されたガード10と第1カム体431及び第2カム体432に押上げられたカード10とがオーバーラップする。尚、ストック手段400に貯留されているカード10が無い場合は、付勢手段420のプレート421が第1カム体431及び第2カム体432によって押上げられて、投入されたガード10とプレート421とがオーバーラップする。
【0024】
投入されたカード10の磁気ストライブに記録されたデータは、磁気ヘッド210によって、そのカード10が第3カム体433に当接する前に読取られる。磁気ヘッド210による読取りは、カード10の搬送速度が一定でないと不安定になるが、本例によると、搬送中のカード10に不要な負荷がかかることがないので、そのような心配はない。
【0025】
また、投入されたカード10のICに記録されたデータは、リードライトアンテナ220によって、そのカード10が第3カム体433に当接した状態で読取られる。
【0026】
次に、投入されたカード10を回収する場合は、搬送路110側に迫り出した各カム体431,432,433を引込めて、搬送手段300によりそのカード10をスリット101側から見て更に奥へと搬送する。そして、搬送手段300は、カード10が収納部410に収まったところで停止する(図3参照)。尚、この状態において、収納部410に積層されたカード10のうち、搬送路110に面するカード10には、第2ローラ320が当接している。すなわち、ストック手段400に貯留されているカード10は、第2ローラ320が回転することにより、スリット101側へ送出すことができる。送出されたカード10には、必要に応じて磁気ヘッド210又はリードライトアンテナ220によるデータの書込みがなされる。
【0027】
更に、投入されたカード10を回収せずに排出する場合は、各カム体431,432,433を搬送路110側に迫り出した状態のまま、第1ローラ310及び第2ローラ320を逆回転させる(図4参照)。回収せずに排出するカード10には、必要に応じて磁気ヘッド210又はリードライトアンテナ220によるデータの書込みがなされる。
【0028】
このような構成によると、カード10を素早く搬送することができるとともに、ストック手段400へのカード10の収納及びストック手段400からのカード10の取出しを円滑に行うことができ、カードリーダライタ1の性能及び処理速度の向上を達成することができる。また、カードリーダライタ1全体としては、小型化、薄型化、及び稠密化が達成されており、設置スペースを有効に利用するという点でも非常に有利である。
【0029】
以上説明したように、本例のカードリーダライタは、カードを収納するストック手段の構成を合理化してなるものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【0030】
例えば、図7に示すように、搬送手段300にて搬送されるカード10を所定の位置で停止させる第3カム体433は、第1カム体431と第2カム体432との間に位置するように構成することも可能である。同図に示す場合は、スリット101に近い側から順に、第1カム体431、第3カム体433、第2カム体432となる。カード10の全体を押上げる第1カム体431及び第2カム体432のうち、第2カム体432には、偏心凹部430aを設けずともよい。
【0031】
或は、図8に示すように、第2カム体432に偏心凹部430aを設けずに、これを搬送手段300にて搬送されるカード10を所定の位置で停止させるストッパとして利用するように構成することも可能である。この場合は、前述した第3カム体433は省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のカードリーダライタは、情報記録媒体としてカードを用いる遊戯媒体の貸出し装置に組込まれるユニットとして好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 カードリーダライタ
10 カード
100 筐体
101 スリット
110 搬送路
210 磁気ヘッド
220 リードライトアンテナ
300 搬送手段
310 第1ローラ
320 第2ローラ
330 モータ
340 リンク機構
400 ストック手段
410 収納部
420 付勢手段
421 プレート
422 弾性部材
430 カム機構
430a 偏心凹部
431 第1カム体
432 第2カム体
433 第3カム体
434 モータ
435 リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されたデータの読取り、及び前記カードへのデータの書込みを行うカードリーダライタにおいて、
前記データの読取り及び前記データの書込みを行うリードライト手段と、前記カードを所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記カードを収納するストック手段とを備え、
前記ストック手段は、前記カードを積層するスペースを前記搬送路の上部に設けてなる収納部と、前記収納部に収納された前記カードを前記搬送路に向って付勢する付勢手段と、前記カードを前記搬送路から前記収納部の内部に向って押上げるカム機構とを備え、
前記カム機構は、前記カードの搬送方向と平行な軸を中心に回転する複数のカム体を備え、前記複数のカム体により前記カードの全体を押上げるものであり、
前記複数のカム体のうちの少なくとも一部は、偏心凹部を備え、
前記カードを押上げた状態においては、押上げられた前記カードの下部に前記偏心凹部が位置するとともに、他の前記カードが前記搬送手段により搬送されて前記偏心凹部の内部に入り込むことにより、押上げられた前記カードと他の前記ガードがオーバーラップするようにしたことを特徴とするカードリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−134276(P2011−134276A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295606(P2009−295606)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】