説明

カードリーダ

【課題】カードへの情報の記録位置の精度が要求される用途でも使用可能であり、かつ、カードの挿入方向にかかわらずカードの情報再生処理や情報記録処理が可能となるカードリーダを提供すること。
【解決手段】カードリーダは、第1磁気ヘッド10、第1搬送路15および第1カード搬送基準面16へカード2を寄せる第1幅寄せ機構17を有する第1カード処理部4と、第2磁気ヘッド30、第2搬送路35および第2カード搬送基準面36へカード2を寄せる第2幅寄せ機構37を有する第2カード処理部5とを備えている。第1カード処理部4と第2カード処理部5とはX方向で隣接配置され、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とは、Z方向から見たとき、第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との間の略中心位置を通過する仮想中心線上CL1の仮想基準点Pに対して、略点対称に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された情報の再生やカードへの情報の記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な方向や姿勢で取り込まれる磁気記録媒体に対する読取り処理や書込み処理を高速で行うことができる磁気記録媒体読取り書込み装置が本出願人によって提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置では、搬送される磁気記録媒体の短手幅方向の一方側に、下側から磁気記録媒体に当接する磁気ヘッドを有する第1読取り書込みユニットと、上側から磁気記録媒体に当接する磁気ヘッドを有する第2読取り書込みユニットとが配置されている。また、この磁気記録媒体読取り書込み装置では、搬送される磁気記録媒体の短手幅方向の他方側に、下側から磁気記録媒体に当接する磁気ヘッドを有する第3読取り書込みユニットと、上側から磁気記録媒体に当接する磁気ヘッドを有する第4読取り書込みユニットとが配置されている。これら第1読取り書込みユニット、第2読取り書込みユニット、第3読取り書込みユニットおよび第4読取り書込みユニットは、カードの搬送方向にこの順番で配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−286108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置では、磁気記録媒体の取込み姿勢にかかわらず高速で磁気記録媒体の読取り処理および書込み処理を行うことできる。しかしながら、この磁気記録媒体読取り書込み装置は、駅の自動改札装置のように、磁気記録媒体の短手幅方向における磁気情報の記録位置(トラック位置)の精度が要求されない用途では使用可能であるが、トラック位置の精度が要求される用途でこの磁気記録媒体読取り書込み装置を使用することは困難である。すなわち、この磁気記録媒体読取り書込み装置では、トラック位置の精度が要求されるカードに記録された情報の再生処理や、このカードへの情報の記録処理を適切に行うことは困難である。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カードへの情報の記録位置の精度が要求される用途でも使用可能であり、かつ、カードの挿入方向にかかわらずカードに記録された情報の再生やカードへの情報の記録が可能となるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録された情報の再生および/またはカードへの情報の記録を行う第1再生記録手段と、カードが搬送される第1搬送路とを有する第1カード処理部と、カードに記録された情報の再生および/またはカードへの情報の記録を行う第2再生記録手段と、カードが搬送される第2搬送路とを有する第2カード処理部とを備え、第1カード処理部と第2カード処理部とは、第1カード処理部と第2カード処理部との間でカードのやりとりが可能となるように、カードの搬送方向で隣接配置され、第1カード処理部は、第1搬送路の、カードの搬送方向に直交するカードの幅方向の一方側に形成される第1カード搬送基準面に向かってカードを寄せる第1カード寄せ手段を備え、第2カード処理部は、第2搬送路の、カードの幅方向の他方側に形成される第2カード搬送基準面に向かってカードを寄せる第2カード寄せ手段を備え、第1再生記録手段と第2再生記録手段とは、カードの厚さ方向から見たとき、カードの幅方向における第1カード搬送基準面と第2カード搬送基準面との間の略中心位置を通過する仮想中心線上の所定の仮想基準点に対して、略点対称に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のカードリーダでは、情報の再生や記録を行う第1再生記録手段を有する第1カード処理部と、情報の再生や記録を行う第2再生記録手段を有する第2カード処理部とが、第1カード処理部と第2カード処理部との間でカードのやりとりが可能となるように、カードの搬送方向で隣接配置されている。また、第1再生記録手段と第2再生記録手段とは、カードの厚さ方向から見たとき、カードの幅方向における第1カード搬送基準面と第2カード搬送基準面との間の略中心位置を通過する仮想中心線上の所定の仮想基準点に対して、略点対称に配置されている。そのため、カードへの情報の記録位置がカードの幅方向における中心位置からずれている場合であっても、一方の端面から挿入されたカードの処理を第1カード処理部で行い、他方の端面から挿入されたカードの処理を第2カード処理部で行うことが可能になる。すなわち、本発明では、カードの挿入方向にかかわらずカードに記録された情報の再生やカードへの情報の記録が可能となる。
【0009】
また、本発明のカードリーダでは、第1カード処理部は、第1搬送路の、カードの搬送方向に直交するカードの幅方向の一方側に形成される第1カード搬送基準面に向かってカードを寄せる第1カード寄せ手段を備え、第2カード処理部は、第2搬送路の、カードの幅方向の他方側に形成される第2カード搬送基準面に向かってカードを寄せる第2カード寄せ手段を備えている。そのため、第1再生記録手段と第2再生記録手段とが仮想中心線上の仮想基準点に対して、略点対称に配置されている場合であっても、第1カード処理部では、第1カード寄せ手段によって、カードへの情報の記録位置と第1再生記録手段との位置合わせを行うことが可能になり、第2カード処理部では、第2カード寄せ手段によって、カードへの情報の記録位置と第2再生記録手段との位置合わせを行うことが可能になる。その結果、本発明のカードリーダでは、情報の記録位置の精度が要求されるカードに記録された情報の再生処理や、このカードへの情報の記録処理を適切に行うことが可能となり、カードへの情報の記録位置の精度が要求される用途でも使用可能となる。
【0010】
本発明において、カードの幅方向における第1カード搬送基準面と第2カード搬送基準面との距離がカードの幅と略一致するように、カードの幅方向における第1搬送路の中心と第2搬送路の中心とが、カードの幅方向でずれていることが好ましい。このように構成すると、カードの幅方向の一方側に第1カード搬送基準面が形成され、カードの幅方向の他方側に第2カード搬送基準面が形成される場合であっても、第1カード処理部と第2カード処理部との間でカードを搬送する際に、第1カード搬送基準面および第2カード搬送基準面の両基準面に沿わせてカードを搬送することが可能になる。したがって、第1カード処理部と第2カード処理部との間をカードが移動する場合であっても、第1再生記録手段または第2再生記録手段とカードへの情報の記録位置との位置合わせを円滑に行うことができる。
【0011】
本発明において、第1カード処理部は、カードを搬送する複数の第1搬送ローラと第1搬送ローラを駆動する第1駆動源とを備え、第2カード処理部は、カードを搬送する複数の第2搬送ローラと第2搬送ローラを駆動する第2駆動源とを備え、複数の第1搬送ローラのうち最も第2カード処理部側に配置される第1搬送ローラ、または、複数の第2搬送ローラのうち最も第1カード処理部側に配置される第2搬送ローラには、第1駆動源または第2駆動源からの動力伝達を断続するクラッチ機構が連結されていることが好ましい。このように構成すると、第1搬送ローラによるカードの搬送速度と第2搬送ローラによるカードの搬送速度とが相違する場合であっても、第1カード処理部と第2カード処理部との間でカードを円滑に搬送することが可能になる。
【0012】
本発明において、仮想基準点は、カードの搬送方向において第1カード処理部と第2カード処理部との間に配置され、第2カード処理部は、第1カード処理部と略同一の構成を、仮想基準点に対して第1カード処理部と略点対称に配置したものであることが好ましい。このように構成すると、第1カード処理部の構成と第2カード処理部の構成とが略同一となるため、同じ制御方法で、第1カード処理部と第2カード処理部とを制御することが可能になる。その結果、カードリーダの制御プログラムを簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、カードは、磁気ストライプを備える磁気カードであり、第1再生記録手段および第2再生記録手段は、磁気ヘッドである。この場合には、カードリーダは、カードが挿入されるカード挿入部の、カードの幅方向の両端側に、磁気ストライプの有無を検出する検出機構を備えていても良い。このように構成すると、カードリーダに挿入されたカードの再生処理や記録処理を第1カード処理部で行うのか第2カード処理部で行うのかをカード挿入部の検出機構を用いて判断することが可能になる。すなわち、カードが挿入された時点で、カードの再生処理や記録処理を第1カード処理部で行うのか第2カード処理部で行うのかを判断することが可能になる。したがって、挿入されたカードの再生処理や記録処理を円滑に行うことが可能になる。
【0014】
本発明において、カードリーダは、第1カード処理部を制御する第1制御部と、第2カード処理部を制御する第2制御部とを備え、第1制御部は、カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、第2制御部は、第1制御部に接続され、第1制御部は、上位制御部と制御信号のやりとりを行い、第2制御部は、第1制御部と制御信号のやりとりを行うことが好ましい。この場合には、第1制御部は、上位制御部からの制御指令に基づいて第1カード処理部を制御し、第2制御部は、第1制御部からの制御指令に基づいて第2カード処理部を制御する。
【0015】
このように構成すると、上位制御部は、第1制御部との間で制御信号のやりとりを行っているにもかかわらず、第1カード処理部および第2カード処理部の両者を制御することが可能になる。たとえば、上位制御部は、第1カード処理部を制御するための制御信号のやりとりを第1制御部と行うことで、第1カード処理部および第2カード処理部を制御することが可能になる。したがって、上位制御部での処理を簡素化するとともに、上位制御部の制御プログラムを簡素化することが可能になる。また、上位制御部と第2制御部とが直接、接続されていなくても、上位制御部は、第2カード処理部を間接的に制御することができる。そのため、上位制御部では、第2制御部を接続するためのポートが不要になり、上位制御部の構成を簡素化することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明のカードリーダは、カードへの情報の記録位置の精度が要求される用途でも使用可能であり、かつ、このカードリーダでは、カードの挿入方向にかかわらずカードに記録された情報の再生やカードへの情報の記録が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の平面図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の内部の概略構成を側面から示す概略図である。図3は、図1に示す第1カード処理部4と第2カード処理部5との配置関係を説明するための図である。図4は、図3のE部の拡大図である。
【0019】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された情報の再生およびカード2への情報の記録を行うための装置である。本形態のカードリーダ1では、カード2の長手方向のいずれの端面からカード2が挿入されても、カード2に記録された情報の再生およびカード2への情報の記録を行うことが可能となっている。
【0020】
このカードリーダ1は、図1、図2に示すように、カード2が挿入されるカード挿入部3と、カード2の長手方向の一方の端面から挿入されたカード2に対する情報の再生処理や記録処理を行う第1カード処理部4と、カード2の長手方向の他方の端面から挿入されたカード2に対する情報の再生処理や記録処理を行う第2カード処理部5と、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間に配置される連結部6とを備えている。
【0021】
本形態では、図1等のX方向へカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、本形態では、図1等のX1方向へカード2が挿入され、X2方向へカード2が排出される。また、図1等のZ方向は、カード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交するY方向は、カード2の幅(短手幅)方向である。なお、以下の説明では、図1等のX1方向側を奥側、X2方向側を手前側、Y1方向側を右側、Y2方向側を左側、Z1方向側を上側、Z2方向側を下側とする。
【0022】
カード挿入部3は、第1カード処理部4の手前側端に固定され、連結部6は、第2カード処理部5の手前側端に固定されている。また、第1カード処理部4および第2カード処理部5は、ベース板7上に固定されている。
【0023】
第1カード処理部4と第2カード処理部5とは、X方向(搬送方向)で隣接するように配置されている。具体的には、手前側から奥側に向かって、第1カード処理部4と第2カード処理部5とがこの順番で隣接配置されている。また、本形態では、第1カード処理部4に設けられる後述の3個の第1搬送ローラ12のうち最も奥側に配置される第1搬送ローラ12と、第2カード処理部5に設けられる後述の3個の第2搬送ローラ32のうち最も手前側に配置される第2搬送ローラ32との距離がカード2の長さ(搬送方向の長さ)よりも短くなるように、第1カード処理部4と第2カード処理部5とが隣接配置されている。すなわち、第1搬送ローラ12と第2搬送ローラ32とによって、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間でカード2のやりとりが可能となるように、第1カード処理部4と第2カード処理部5とが隣接配置されている。
【0024】
本形態のカード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2の表面には、磁気情報が記録される磁気ストライプ(図示省略)が形成されている。すなわち、カード2は、磁気カードである。磁気ストライプは、カード2の長手方向(長さ方向)を長手方向とする細長い長方形状に形成されている。また、この磁気ストライプは、短手方向(幅方向)におけるカード2の中心位置からずれた位置に形成されている。
【0025】
カード2の表面には、ICチップが固定されている場合もある。すなわち、カード2が接触式ICカードである場合もある。この場合、ICチップは、幅方向におけるカード2の中心位置からずれた位置に固定されている。具体的には、ICチップは、幅方向におけるカード2の中心位置から磁気ストライプと同じ方向にずれた位置に固定されている。
【0026】
なお、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されても良いし、カード2の表面に、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0027】
カード挿入部3は、異物の挿入を防止するためのシャッター(図示省略)や、カード2の挿入を検出するための検出機構(図示省略)等を備えている。
【0028】
第1カード処理部4は、カード2の磁気ストライプに当接して磁気ストライプに記録された磁気情報の再生や磁気ストライプへの磁気情報の記録を行う第1再生記録手段としての第1磁気ヘッド10と、第1磁気ヘッド10に対向する対向ローラ11と、第1カード処理部4内でカード2を搬送するための3個の第1搬送ローラ12と、第1搬送ローラ12に対向するとともに第1搬送ローラ12に向かって付勢された3個のパッドローラ13と、第1搬送ローラ12を駆動するためのローラ駆動機構14とを備えている。この第1カード処理部4の内部には、カード2が搬送される第1搬送路15が形成されている。
【0029】
また、第1カード処理部4は、第1搬送路15を搬送されるカード2の短手方向端が当接する第1カード搬送基準面16(図3参照)に向かってカード2を寄せる第1カード寄せ手段としての第1幅寄せ機構17を備えている。さらに、第1カード処理部4は、カード2がICチップを有する接触式ICカードであるときに、ICチップに記録された情報の再生やICチップへの情報の記録を行うための第1IC接点機構18を備えている。
【0030】
第1磁気ヘッド10は、カード2の搬送方向(X方向)では、第1カード処理部4の略中心位置に配置され、カード2の幅方向(Y方向)では、第1搬送路15の右端側に配置されている。また、第1磁気ヘッド10は、第1搬送路15の下側に配置され、第1搬送路15を通過するカード2の下面に当接可能となっている。対向ローラ11は、第1磁気ヘッド10の上方から第1磁気ヘッド10に対向している。
【0031】
ローラ駆動機構14は、3個の第1搬送ローラ12を回転駆動する第1駆動源としての駆動モータ19を備えている。駆動モータ19の動力は、複数のプーリ20やタイミングベルト21によって、第1搬送ローラ12に伝達される。
【0032】
図3に示すように、第1カード搬送基準面16は、第1カード処理部4の右端側に配置されており、第1搬送路15の右端を形成している。また、第1カード搬送基準面16は、X方向における第1搬送路15のほぼ全域に形成されている。この第1カード搬送基準面16は、第1搬送路15を搬送されるカード2のY方向の基準であり、第1カード搬送基準面16には、搬送時のカード2の右端が当接している。
【0033】
第1幅寄せ機構17は、第1カード処理部4の左端側に配置されており、第1搬送路15の左端側を形成している。この第1幅寄せ機構17の詳細な構成については後述する。
【0034】
第1IC接点機構18は、カード2のICチップに接触してICチップに記録された情報の再生やICチップへの情報の記録を行う第1再生記録手段としての第1IC接点22と、第1IC接点22を上下方向へ移動させるためのソレノイド23とを備えている。第1IC接点22は、カード2が搬送されているときには、第1搬送路15の上方で待機している。また、第1IC接点22は、カード2が所定の情報再生記録位置で停止すると、ソレノイド23の動力で下降してカード2の上面に接触する。第1IC接点22は、X方向では、第1カード処理部4の手前端側に配置され、Y方向では、第1搬送路15の右端側に配置されている。
【0035】
第2カード処理部5は、カード2の磁気ストライプに当接して磁気ストライプに記録された磁気情報の再生や磁気ストライプへの磁気情報の記録を行う第2再生記録手段としての第2磁気ヘッド30と、第2磁気ヘッド30に対向する対向ローラ31と、第2カード処理部5内でカード2を搬送するための3個の第2搬送ローラ32と、第2搬送ローラ32に対向するとともに第2搬送ローラ32に向かって付勢された3個のパッドローラ33と、第2搬送ローラ32を駆動するためのローラ駆動機構34とを備えている。この第2カード処理部5の内部には、カード2が搬送される第2搬送路35が形成されている。
【0036】
また、第2カード処理部5は、第2搬送路35を搬送されるカード2の短手方向端が当接する第2カード搬送基準面36(図3参照)に向かってカード2を寄せる第2カード寄せ手段としての第2幅寄せ機構37を備えている。さらに、第2カード処理部5は、カード2がICチップを有する接触式ICカードであるときに、ICチップに記録された情報の再生やICチップへの情報の記録を行うための第2IC接点機構38を備えている。
【0037】
第2磁気ヘッド30は、X方向では、第2カード処理部5の略中心位置に配置され、Y方向では、第2搬送路15の左端側に配置されている。また、第2磁気ヘッド30は、第2搬送路35の下側に配置され、第2搬送路35を通過するカード2の下面に当接可能となっている。対向ローラ31は、第2磁気ヘッド30の上方から第2磁気ヘッド30に対向している。
【0038】
ローラ駆動機構34は、3個の第2搬送ローラ32を回転駆動する第2駆動源としての駆動モータ39を備えている。駆動モータ39の動力は、複数のプーリ40やタイミングベルト41によって、第2搬送ローラ32に伝達される。
【0039】
3個の第2搬送ローラ32のうち最も手前側に配置される第2搬送ローラ32には、駆動モータ39からこの第2搬送ローラ32への動力伝達を断続するクラッチ機構45が連結されている。このクラッチ機構45の詳細な構成については後述する。なお、以下では、最も手前側に配置される第2搬送ローラ32を「第2搬送ローラ32A」とする。
【0040】
図3に示すように、第2カード搬送基準面36は、第2カード処理部5の左端側に配置されており、第2搬送路35の左端を形成している。また、第2カード搬送基準面36は、X方向における第2搬送路35のほぼ全域に形成されている。この第2カード搬送基準面36は、第2搬送路35を搬送されるカード2のY方向の基準であり、第2カード搬送基準面36には、搬送時のカード2の左端が当接している。
【0041】
第2幅寄せ機構37は、第2カード処理部5の右端側に配置されており、第2搬送路35の右端側を形成している。この第2幅寄せ機構37の構成については後述する。
【0042】
第2IC接点機構38は、カード2のICチップに接触してICチップに記録された情報の再生やICチップへの情報の記録を行う第2再生記録手段としての第2IC接点42と、第2IC接点42を上下方向へ移動させるためのソレノイド43とを備えている。第2IC接点42は、カード2が搬送されているときには、第2搬送路35の上方で待機している。また、第2IC接点42は、カード2が所定の情報再生記録位置で停止すると、ソレノイド43の動力で下降してカード2の上面に接触する。第2IC接点42は、X方向では、第2カード処理部5の手前端側に配置され、Y方向では、第2搬送路35の左端側に配置されている。
【0043】
本形態では、第2カード処理部5がクラッチ機構45を有する点を除くと、第1カード処理部4と第2カード処理部5とは、同一の構成を備えている。具体的には、Z方向を軸方向として第1カード処理部4を180°回転させてクラッチ機構45を取り付けたものが第2カード処理部5である。そのため、Z方向における第1搬送路15の形成位置と第2搬送路35とは形成位置とは略一致している。
【0044】
また、本形態では、Z方向から見たとき、第1カード処理部4と第2カード処理部5とは、図3に示すように、Y方向における第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との間の略中心位置を通過する仮想中心線CL1上の所定の仮想基準点Pに対して略点対称に配置されている。すなわち、本形態では、仮想基準点Pは、X方向において、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間に配置されており、第1カード処理部4と略同一の構成を、仮想基準点Pに対して第1カード処理部4と略点対称に配置したものが第2カード処理部5となっている。
【0045】
そのため、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とは、仮想基準点Pに対して略点対称に配置されている。また、第1IC接点22と第2IC接点42とは、仮想基準点Pに対して略点対称に配置されている。
【0046】
また、本形態では、Y方向における第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との距離L(図4参照)がカード2の幅W(図3参照)と略一致するように、Y方向における第1搬送路15の中心CL2と第2搬送路35の中心CL3とが、Y方向でずれている(図4参照)。具体的には、第1搬送路15の中心CL2に対して、第2搬送路35の中心CL3が右側へずれている。なお、本形態では、第1搬送路15の中心CL2は、第1カード処理部4の側面を形成する2枚の側面板55の間のY方向の中心であり、第2搬送路35の中心CL3は、第2カード処理部5の側面を形成する2枚の側面板55の間のY方向の中心である。
【0047】
連結部6は、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間に配置されている。連結部6には、図2に示すように、カード2が通過可能な通過路44が形成されている。通過路44のX方向両端側は、第1カード処理部4あるいは第2カード処理部5と連結部6との間のカード2の搬送が円滑に行われるように、X方向外側に向かうにしたがって広がっている。
【0048】
(第1幅寄せ機構、第2幅寄せ機構の構成)
図5は、図1のF−F方向から第1幅寄せ機構17およびその周辺部分を示す図である。図6は、図5のG−G方向から第1幅寄せ機構17を示す図である。
【0049】
図5、図6に示すように、第1幅寄せ機構17は、第1カード搬送基準面16に向かってカード2を寄せる幅寄せ部材50と、幅寄せ部材50を回動可能に保持する固定軸51と、幅寄せ部材50を付勢するねじりコイルバネ52とを備えている。
【0050】
幅寄せ部材50は、カード2の左端面に当接するカード当接部50aと、固定軸51によって保持される保持部50bとを備えている。カード当接部50aは、幅寄せ部材50の下端側に形成されるとともに、X方向における幅寄せ部材50の全域に形成されている。保持部50bは、幅寄せ部材50の上端側に形成されるとともに、X方向の両端側に形成されている。また、保持部50bの下側には、X方向の両端側に配置される2個の搬送ローラ12の回転軸54のそれぞれが挿通される挿通孔50cが形成されている。なお、回転軸54の両端側は、側面板55に取り付けられた軸受(図示省略)に支持されている。
【0051】
固定軸51は、第1カード処理部4の左側面を形成する側面板55に取り付けられたブラケット56に固定されている。ねじりコイルバネ52は、固定軸51が挿通された状態で、固定軸51に保持されている。
【0052】
本形態では、ねじりコイルバネ52によって、幅寄せ部材50は、図5の反時計方向に付勢されている。そのため、第1幅寄せ機構17によって、第1搬送路15の右端を形成する第1カード搬送基準面16にカード2が押し付けられ、搬送中のカード2の右端面が第1カード搬送基準面16に当接する。
【0053】
第2幅寄せ機構37は、第1幅寄せ機構17と同様に構成されている。すなわち、第2幅寄せ機構37は、幅寄せ部材50と固定軸51とねじりコイルバネ52とを備えている。そのため、第2幅寄せ機構37の詳細な構成についての説明は省略する。なお、第2幅寄せ機構37の幅寄せ部材50は、第1幅寄せ機構17の幅寄せ部材50と反対の回転方向へ付勢されており、第2幅寄せ機構37によって、第2搬送路35の左端を形成する第2カード搬送基準面36にカード2が押し付けられ、搬送中のカード2の左端面が第2カード搬送基準面36に当接する。
【0054】
(クラッチ機構の構成)
図7は、図1に示すクラッチ機構45を説明するための側面図である。
【0055】
上述のように、3個の第2搬送ローラ32のうち最も手前側に配置される第2搬送ローラ32Aには、クラッチ機構45が連結されている。このクラッチ機構45は、図1、図7に示すように、第2搬送ローラ32Aが固定される回転軸54の右端側に固定される係合ピン58と、この回転軸54の右端側に取り付けられたプーリ40に形成される係合爪40aとによって構成されている。なお、以下では、第2搬送ローラ32Aが固定される回転軸54を「回転軸54A」、回転軸54Aに固定されたプーリ40を「プーリ40A」とする。
【0056】
係合ピン58は、回転軸54Aの、プーリ40Aの取付部分よりもさらに先端側に、かつ、その両端が回転軸54Aの径方向外側に突出するように、回転軸54Aの右端側に形成された孔に圧入されて固定されている。係合爪40aは、プーリ40Aの右端面の外周側に、かつ、回転軸54Aの軸方向へ突出するように形成されている。また、係合爪40aは、略円弧状に形成されており、係合ピン58と係合可能となっている。
【0057】
本形態では、プーリ40Aは、回転軸54Aに回転可能に保持されている。すなわち、プーリ40Aは、軸受(図示省略)を介して回転軸54Aに保持されている。そのため、タイミングベルト41等を介して、駆動モータ39の動力がプーリ40Aに伝達され、プーリ40Aが回転しても、係合ピン58と係合爪40aとが係合していないと、回転軸54Aおよび第2搬送ローラ32Aは、回転しない。すなわち、係合ピン58と係合爪40aとが係合しているときにのみ、プーリ40Aとともに回転軸54Aおよび第2搬送ローラ32Aが回転する。
【0058】
上述のように、最も奥側に配置される第1搬送ローラ12と、第2搬送ローラ32Aとの距離がカード2の長さよりも短くなるように、第1カード処理部4と第2カード処理部5とが隣接配置されている。そのため、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間をカード2が移動する際に、最も奥側に配置される第1搬送ローラ12と第2搬送ローラ32Aとの2本の搬送ローラによってカード2が搬送される状況が生じる。
【0059】
この状況で、駆動モータ19の動力で回転する第1搬送ローラ12によるカード2の搬送速度と、駆動モータ39の動力で回転する第2搬送ローラ32Aによるカード2の搬送速度とに差が生じると、カード2の適切な搬送が困難となるが、本形態では、第1搬送ローラ12によるカード2の搬送速度と、第2搬送ローラ32Aによるカード2の搬送速度とに差が生じると、係合ピン58と係合爪40aとの係合が外れて、駆動モータ39から第2搬送ローラ32Aへの動力伝達が断たれる。
【0060】
すなわち、最も奥側に配置される第1搬送ローラ12と第2搬送ローラ32Aとの2本の搬送ローラによってカード2が搬送されている状況で、第1搬送ローラ12によるカード2の搬送速度と、第2搬送ローラ32Aによるカード2の搬送速度とに差が生じると、駆動モータ39から第2搬送ローラ32Aへの動力伝達が断たれて、第1搬送ローラ12の搬送速度に応じた速度でカード2が搬送される。
【0061】
(カードリーダの制御部の構成)
図8は、図1に示すカードリーダ1の制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【0062】
図8に示すように、カードリーダ1の制御部は、第1カード処理部4を制御する第1制御部61と、第2カード処理部5を制御する第2制御部62とから構成されている。第1制御部61は、カードリーダ1が搭載される上位装置(図示省略)を制御する上位制御部63に所定の通信ケーブルで接続され、第2制御部62は、第1制御部61に所定の通信ケーブルで接続されている。具体的には、上位制御部63の通信ポートと第1制御部61の標準通信ポートとが接続され、第1制御部61の拡張通信ポートと第2制御部62の標準通信ポートとが接続されている。
【0063】
本形態では、第1制御部61は、上位制御部63と制御信号のやりとりを行う。すなわち、第1制御部61は、上位制御部63からの制御指令に基づいて第1カード処理部4を制御する。一方、第2制御部62は、第1制御部61と制御信号のやりとりを行い、上位制御部63とは直接、制御信号のやりとりは行わない。すなわち、第1制御部61は、必要に応じて、第2制御部62に制御信号を送り、第2制御部62は、第1制御部61からの制御指令に基づいて第2カード処理部5を制御する。このように、本形態では、第1制御部61が主制御部としての機能を果たし、第2制御部62が副制御部としての機能を果たしている。なお、本形態では、第1制御部61が上位制御部63からの制御指令に基づいてカード挿入部3の制御も行う。
【0064】
(カードリーダの制御方法)
図9は、図1に示すカードリーダ1のカード取込時の制御フローを示すフローチャートである。図10は、図1に示すカードリーダ1の磁気情報再生時の制御フローを示すフローチャートである。図11は、図1に示すカードリーダ1のカード排出時の制御フローを示すフローチャートである。
【0065】
以上のように構成されたカードリーダ1の制御方法として、カード取込時の制御方法、磁気情報再生時の制御方法およびカード排出時の制御方法をこの順番で説明する。なお、図9から図11には、第1制御部61での処理フローが図示されている。
【0066】
まず、カード取込時の制御方法を図9に基づいて説明する。
【0067】
上位制御部63からカード2の取込指令を第1制御部61が受信すると、カードリーダ1は、カード2の挿入待機状態となる。すなわち、第1制御部61は、カード挿入部3に設けられた検出機構がカード2の挿入を検出した否かを判断する(ステップS11)。ステップS11で、カード2の挿入が検出されると、第1制御部61は、カード挿入部3のシャッターを開き、駆動モータ19を駆動して(ステップS12)、第1カード処理部4へのカード2の取込みを開始する(ステップS13)。
【0068】
その後、第1制御部61は、カード挿入部3のシャッターを閉じ、第1磁気ヘッド10によるカード2の磁気情報の再生(読取り)を開始する(ステップS14)。その後、第1制御部61は、駆動モータ19の回転量等に基づいて、第1カード処理部4内の所定の取込完了位置までカード2が搬送されたか否かを判断する(ステップS15)。カード2が所定の取込完了位置まで搬送されると、第1制御部61は、駆動モータ19を停止して、カード2の搬送を終了させるとともに、第1磁気ヘッド10によるカード2の磁気情報の再生を終了させる(ステップS16)。
【0069】
その後、第1制御部61は、第1磁気ヘッド10によってカード2の磁気情報が再生され、磁気データが取得されたか否かを判断する(ステップS17)。第1磁気ヘッド10によって、カード2の磁気情報が再生され、磁気データが取得されている場合には、カード2の磁気ストライプと第1磁気ヘッド10とが接触可能な方向でカード2が挿入されている。すなわち、この場合には、第1カード処理部4でのカード2の処理が可能である。そのため、この場合には、第1カード処理部4へカード2を取り込むことで、カード2の取込みを完了し、第1制御部61は、上位制御部63にカード2の取込完了信号を送信する(ステップS18)。
【0070】
一方、第1磁気ヘッド10によってカード2の磁気情報が再生されず、磁気データが取得されていない場合には、磁気ストライプと第1磁気ヘッド10とが接触しない方向でカード2が挿入されている。すなわち、この場合には、第1カード処理部4でのカード2の処理が不可能であり、第2カード処理部5でカード2の処理を行う必要がある。そのため、この場合には、第1制御部61は、第2制御部62に対して、カード2の取込指令を送信し(ステップS19)、駆動モータ19を駆動して、第2カード処理部5に向かってカード2の排出(後方排出)を開始する(ステップS20)。
【0071】
その後、第1制御部61は、駆動モータ19の回転量等に基づいて、カード2の後方排出が完了したか否かを判断し(ステップS21)、カード2の後方排出が完了すると、第2制御部62から第2カード処理部5へのカード2の取込完了信号を受信したか否かを判断する(ステップS22)。
【0072】
ステップS19で第1制御部61が送信するカード2の取込指令を受信した第2制御部62は、駆動モータ39を駆動して、第2カード処理部5へのカード2の取込みを開始する。その後、第2制御部61は、駆動モータ39の駆動を継続し、駆動モータ39の回転量等に基づいて、第2カード処理部5の所定の取込完了位置までカード2が搬送されたか否かを判断する。また、第2制御部61は、カード2が取込完了位置まで搬送されると、駆動モータ39を停止して、カード2の搬送を終了させ、第1制御部61にカード2のカード2の取込完了信号を送信する。
【0073】
ステップS22で、第1制御部61が第2制御部62からカード2の取込完了信号を受信すると、第1制御部61は、カード2の取込みを完了し、上位制御部63にカード2の取込完了信号を送信する(ステップS18)。
【0074】
次に、磁気情報再生時の制御方法を図10に基づいて説明する。
【0075】
上位制御部63から磁気情報の再生指令を第1制御部61が受信すると、第1制御部61は、第1カード処理部4内にカード2があるか否かを判断する(ステップS31)。第1カード処理部4内にカード2がある場合には、第1制御部61は、第1カード処理部4へのカード2の取込動作時に再生した磁気情報を、第1制御部61内の送信バッファにセットし(ステップS32)、セットされた磁気情報を上位制御部63へ送信する(ステップS33)。
【0076】
一方、第1カード処理部4内にカード2がない場合には、第1制御部61は、第2カード処理部5内にカード2があるか否かを判断する(ステップS34)。具体的には、第2制御部62と制御信号のやりとりを行い、第1制御部61は、第2カード処理部5内にカード2があるか否かを判断する。
【0077】
第2カード処理部5内にカード2がある場合には、第1制御部61は、第2制御部62に磁気情報の再生指令を送信し(ステップS35)、その後、第2制御部62から再生された磁気情報を受信したか否かを判断する(ステップS36)。
【0078】
第2制御部62は、第1制御部61から磁気情報の再生指令を受信すると、駆動モータ39を駆動して、第2磁気ヘッド30による磁気情報の再生を行い、磁気データを取得する。また、第2制御部62は、再生された磁気情報を第1制御部61へ送信する。
【0079】
ステップS36で第1制御部61が第2磁気ヘッド30で再生された磁気情報を第2制御部62から受信すると、第1制御部61は、第1制御部61内の送信バッファに受信した磁気情報をセットし(ステップS37)、セットされた磁気情報を上位制御部63へ送信する(ステップS33)。
【0080】
また、ステップS34で、第2カード処理部5内にもカード2がない場合には、第1制御部61は、カードリーダ1内にカード2がないとのエラー信号を上位制御部63へ送信する(ステップS38)。
【0081】
最後に、カード排出時の制御方法を図11に基づいて説明する。
【0082】
上位制御部63からカード2の排出指令を第1制御部61が受信すると、第1制御部61は、第1カード処理部4内にカード2があるか否かを判断する(ステップS41)。第1カード処理部4内にカード2がある場合には、第1制御部61は、駆動モータ19を駆動して、第1カード処理部4内から手前側へのカード2の排出を開始する(ステップS42)。その後、第1制御部61は、駆動モータ19の回転量等に基づいて、カード2の排出が完了したか否かを判断し(ステップS43)、カード2の排出が完了すると、上位制御部63にカード2の排出完了信号を送信する(ステップS44)。
【0083】
一方、第1カード処理部4内にカード2がない場合には、第1制御部61は、第2カード処理部5内にカード2があるか否かを判断する(ステップS45)。具体的には、第2制御部62と制御信号のやりとりを行い、第1制御部61は、第2カード処理部5内にカード2があるか否かを判断する。
【0084】
第2カード処理部5内にカード2がある場合には、第1制御部61は、第2制御部62にカード2の排出指令を送信する(ステップS46)。また、第1制御部61は、駆動モータ19を駆動して、カード2の取込み(後方取込み)を開始する(ステップS47)。その後、第1制御部61は、駆動モータ19の回転量等に基づいて、カード2の後方取込みが完了したか否かを判断し(ステップS48)、カード2の後方取込みが完了すると、第2カード処理部5からのカード2の排出完了信号を第2制御部62から受信したか否かを判断する(ステップS49)。
【0085】
カード2の排出指令を受信した第2制御部62は、駆動モータ39を駆動して、第1カード処理部4に向かって、カード2の排出を開始する。その後、第2制御部61は、駆動モータ39の駆動を継続し、駆動モータ39の回転量等に基づいて、第2カード処理部5からカード2が排出されたか否かを判断する。また、第2制御部61は、カード2の排出が完了すると、駆動モータ39を停止して、第1制御部61にカード2の排出完了信号を送信する。
【0086】
ステップS49で、第1制御部61が第2制御部62からカード2の排出完了信号を受信すると、ステップS42へ進んで、第1カード処理部4内から手前側へのカード2の排出を開始する。
【0087】
また、ステップS45で、第2カード処理部5内にもカード2がない場合には、第1制御部61は、カードリーダ1内にカード2がないとのエラー信号を上位制御部63へ送信する(ステップS50)。
【0088】
なお、以上では、カードリーダ1の制御方法の一つとして、磁気情報再生時の制御方法を説明したが、カード2への磁気情報記録時の制御フローも、図10に示す制御フローと概ね同じになる。すなわち、上位制御部63から磁気情報の記録指令を第1制御部61が受信したときに、第1カード処理部4内にカード2があれば、第1制御部61が、駆動モータ19を駆動して、第1磁気ヘッド10による磁気情報の記録(書込み)を行う。また、第2カード処理部5内にカード2があれば、第1制御部61が第2制御部62に磁気情報の記録指令を出す。また、第2制御部62が、駆動モータ39を駆動して、第2磁気ヘッド30による磁気情報の記録を行う。
【0089】
また、磁気ストライプを有する接触式ICカードの取込時の制御フロー、排出時の制御フローは、図9、図11に示す制御フローと同じになるし、磁気ストライプを有しない接触式ICカードの排出時の制御フローも、図11に示す制御フローと同じになる。また、磁気ストライプを有しない接触式ICカードの取込時の制御フローでは、カード2の取込み開始後、第1IC接点22で情報の再生ができたか否かを判断して、必要があれば、第1制御部61は、第2制御部62へカード2の取込指令を送信するが、この制御フローは、図9に示す制御フローとほぼ同じになる。
【0090】
さらに、接触式ICカードのICチップに記録された情報再生時の制御フローおよびICチップへの情報記録時の制御フローは、図10に示す制御フローと概ね同じになる。すなわち、磁気情報の再生あるいは記録に代えて、ICチップに記録された情報の再生あるいはICチップへの情報の記録を行う点を除けば、接触式ICカードのICチップに記録された情報再生時の制御フローおよびICチップへの情報記録時の制御フローは、図10に示す制御フローとほぼ同じになる。
【0091】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1磁気ヘッド10を有する第1カード処理部4と、第2磁気ヘッド30を有する第2カード処理部5とがカード2の搬送方向で隣接配置されている。また、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とが、Z方向から見たとき、仮想中心線CL1上の仮想基準点Pに対して、略点対称に配置されている。そのため、本形態では、長手方向のいずれの端面からカードリーダ1内にカード2が挿入されても、磁気ストライプに記録された磁気情報の再生や磁気ストライプへの磁気情報の記録を行うことができる。
【0092】
また、本形態では、第1IC接点22を有する第1カード処理部4と、第2IC接点42を有する第2カード処理部5とがカード2の搬送方向で隣接配置され、第1IC接点22と第2IC接点42とはZ方向から見たとき、仮想中心線CL1上の仮想基準点Pに対して、略点対称に配置されている。そのため、本形態では、接触式ICカードの処理を行う場合に、長手方向のいずれの端面からカードリーダ1内にカード2が挿入されても、IC接点に記録された情報の再生やIC接点への情報の記録を行うことができる。
【0093】
本形態では、第1幅寄せ機構17が、第1搬送路15の右端を形成する第1カード搬送基準面16に向かってカード2を寄せ、第2幅寄せ機構37が、第2搬送路35の左端を形成する第2カード搬送基準面36に向かってカード2を寄せている。そのため、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とが仮想中心線CL1上の仮想基準点Pに対して略点対称に配置されている場合であっても、第1カード処理部4では、第1幅寄せ機構17の作用で、カード2の磁気ストライプと第1磁気ヘッド10との位置合わせを行うことができ、第2カード処理部5では、第2幅寄せ機構37の作用で、磁気ストライプと第2磁気ヘッド30との位置合わせを行うことができる。したがって、磁気ストライプの位置精度が要求されるカード2に記録された磁気情報の再生処理およびこのカード2への磁気情報の記録処理を適切に行うことができる。
【0094】
また、第1IC接点22と第2IC接点42とが仮想中心線CL1上の仮想基準点Pに対して略点対称に配置されている場合であっても、第1カード処理部4では、第1幅寄せ機構17の作用で、カード2のICチップと第1IC接点22との位置合わせを行うことでき、第2カード処理部5は、第2幅寄せ機構37の作用で、カード2のICチップと第2IC接点42との位置合わせを行うことできる。したがって、ICチップの位置精度が要求されるカード2に記録された情報の再生処理およびこのカード2への情報の記録処理を適切に行うことができる。このように、本形態のカードリーダ1は、カード2への情報の記録位置の精度が要求される用途でも使用することができる。
【0095】
本形態では、Y方向における第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との距離Lがカード2の幅Wと略一致するように、Y方向における第1搬送路15の中心CL2と第2搬送路35の中心CL3とがY方向でずれている。そのため、第1搬送路15の右端に第1カード搬送基準面16が形成され、第2搬送路35の左端に第2カード搬送基準面36が形成される場合であっても、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間でカード2を搬送する際に、第1カード搬送基準面16、第2カード搬送基準面36の両基準面に沿わせてカード2を搬送することができる。したがって、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間をカード2が移動する場合であっても、第1磁気ヘッド10または第2磁気ヘッド30と磁気ストライプとの位置合わせ、および、第1IC接点22または第2IC接点42とICチップとの位置合わせを円滑に行うことができる。
【0096】
本形態では、3個の第2搬送ローラ32のうち最も手前側に配置される第2搬送ローラ32Aに駆動モータ39からの動力伝達を断続するクラッチ機構45が連結されている。そのため、第1搬送ローラ12によるカード2の搬送速度と第2搬送ローラ32Aによるカード2の搬送速度とが相違する場合であっても、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間でカード2を円滑に搬送することができる。
【0097】
本形態では、第1制御部61は、上位制御部63と制御信号のやりとりを行い、上位制御部63からの制御指令に基づいて第1カード処理部4を制御する。一方、第2制御部62は、第1制御部61と制御信号のやりとりを行い、上位制御部63とは直接、制御信号のやりとりは行わない。すなわち、第1制御部61は、必要に応じて、第2制御部62に制御信号を送り、第2制御部62は、第1制御部61からの制御指令に基づいて第2カード処理部5を制御する。
【0098】
そのため、上位制御部63は、第1制御部61との間でのみ制御信号のやりとりを行っているにもかかわらず、第1カード処理部4および第2カード処理部5の両者を制御することができる。たとえば、上述のように、上位制御部63は、カード2の取込指令、排出指令や磁気情報の再生指令を第1制御部61に送信するだけで、第1カード処理部4および第2カード処理部5を制御することができる。したがって、本形態では、上位制御部63での処理を簡素化するとともに、上位制御部63の制御プログラムを簡素化することができる。また、上位制御部63では、第2制御部62を接続するためのポートが不要になるため、上位制御部63の構成を簡素化することができる。
【0099】
本形態では、第2カード処理部5は、第1カード処理部1と略同一の構成を、仮想基準点CL1に対して第1カード処理部4と略点対称に配置したものである。そのため、第1カード処理部4の構成と第2カード処理部5の構成は略同一であり、同じ制御方法で、第1カード処理部61と第2カード処理部62とを制御することができる。したがって、本形態では、カードリーダ1の制御プログラムを簡素化することができる。
【0100】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。たとえば、カード挿入部3のY方向の両端側に、磁気ストライプの有無を検出する検出機構が配置されても良い。このように構成すると、この検出機構で、磁気ストライプを有するカード2が長手方向のどちらの端面から挿入されたかを検出することができるため、カード2の再生処理や記録処理を第1カード処理部4で行うのか第2カード処理部5で行うのかをこの検出機構を用いて判断することができる。すなわち、カード2の挿入後すぐに、カード2の再生処理や記録処理を第1カード処理部4で行うのか第2カード処理部5で行うのかを判断することが可能になる。したがって、挿入されたカード2の再生処理や記録処理を円滑に行うことが可能になる。
【0101】
上述した形態では、第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との距離Lがカード2の幅Wと略一致している。この他にもたとえば、第1カード搬送基準面16と第2カード搬送基準面36との距離Lがカード2の幅Wよりも広くなるように、第1カード処理部4と第2カード処理部5とが配置されても良い。
【0102】
上述した形態では、第1カード処理部4と第2カード処理部5とは、略同一の構成を備えているが、第1カード処理部4と第2カード処理部5とは、全く異なる構成を備えていても良い。
【0103】
上述した形態では、X方向において、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間に配置された仮想基準点Pに対して略点対称に、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とが配置されている。この他にもたとえば、第1カード処理部4内あるいは第2カード処理部5内に配置される仮想基準点Pに対して略点対称に、第1磁気ヘッド10と第2磁気ヘッド30とが配置されても良い。同様に上述した形態では、X方向において、第1カード処理部4と第2カード処理部5との間に配置された仮想基準点Pに対して略点対称に、第1IC接点22と第2IC接点42とが配置されているが、第1カード処理部4内あるいは第2カード処理部5内に配置される仮想基準点Pに対して略点対称に、第1IC接点22と第2IC接点42とが配置されても良い。
【0104】
上述した形態では、最も手前側に配置される第2搬送ローラ32Aには、クラッチ機構45が連結されている。この他にもたとえば、第2搬送ローラ32Aにクラッチ機構45が連結されず、最も奥側に配置される第1搬送ローラ12に、クラッチ機構45と同様のクラッチ機構が連結されても良い。
【0105】
上述した形態では、第1カード処理部4は第1IC接点22を備え、第2カード処理部5は第2IC接点42を備えているが、カードリーダ1で接触式ICカードが処理されないのであれば、カードリーダ1は、第1IC接点22および第2IC接点42を備えていなくても良い。また、上述した形態では、第1カード処理部4は第1磁気ヘッド10を備え、第2カード処理部5は第2磁気ヘッド30を備えているが、カードリーダ1で磁気カードが処理されないのであれば、カードリーダ1は、第1磁気ヘッド10および第2磁気ヘッド30を備えていなくても良い。
【0106】
上述した形態では、第1カード搬送基準面16あるいは第2カード搬送基準面36にカード2を押し付けるように、幅寄せ部材50がねじりコイルバネ52に付勢されている。この他にもたとえば、幅寄せ部材50は、圧縮コイルバネや板バネ等の他のバネ、あるいは、ゴム等の弾性部材によって、付勢されても良い。
【0107】
(実施の形態および他の形態から把握できる他の技術的思想)
上述した実施の形態および他の形態から把握できる他の技術的思想を以下に記載する。
【0108】
(1)カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第1再生記録手段を有する第1カード処理部と、前記第1カード処理部を制御する第1制御部と、前記カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第2再生記録手段を有し前記カードの搬送方向で前記第1カード処理部に隣接配置される第2カード処理部と、前記2カード処理部を制御する第2制御部とを備え、
前記第1制御部は、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、前記第2制御部は、前記第1制御部に接続され、
前記第1制御部は、前記上位制御部と制御信号のやりとりを行い、前記第2制御部は、前記第1制御部と制御信号のやりとりを行うことを特徴とするカードリーダ。
【0109】
(2)前記第1制御部は、前記上位制御部からの制御指令に基づいて前記第1カード処理部を制御し、前記第2制御部は、前記第1制御部からの制御指令に基づいて前記第2カード処理部を制御することを特徴とする(1)記載のカードリーダ。
【0110】
(3)前記第1カード処理部と前記第2カード処理部とは、略同一の構成を有することを特徴とする(2)または(3)記載のカードリーダ。
【0111】
(4)カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第1再生記録手段を有する第1カード処理部と、前記カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第2再生記録手段を有し前記カードの搬送方向で前記第1カード処理部に隣接配置される第2カード処理部とを備えるカードリーダの制御方法であって、
前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部からの制御信号で前記第1カード処理部を制御し、
前記第1カード処理部を制御する第1制御部からの制御信号で前記第2カード処理部を制御することを特徴とするカードリーダの制御方法。
【0112】
従来、ATM(Automated Teller Machine)用等のカードリーダでは、カードの挿入方向が決まっており、カードが正常な向きで挿入されないと、カードに対する情報の読取り処理や書込み処理ができない。そのため、従来のカードリーダでは、たとえば、カード表面の磁気ストライプを検出する検出機構がカードリーダの挿入口に配置され、この検出機構によってカードの表面の磁気ストライプが検出された場合にのみ、カードリーダの内部にカードが取り込まれ、カードに対する情報の読取り処理や書込み処理が行われている。すなわち、磁気ストライプの有無を検出することで、カードの挿入方向の適否が判断されている。
【0113】
近年、磁気ストライプのないICカードが市場に普及し始めており、カードリーダには、磁気ストライプのないカードに対する情報の読取り処理や書込み処理が要求されている。その結果、磁気ストライプの有無の検出によって、挿入方向の適否が判断できないカードもカードリーダの内部に取り込む必要が生じ、カードリーダによっては、カードの挿入方向の適否を判断しないまま、内部にカードを取り込んでいるものもある。間違った向きで取り込まれたカードに対する処理はできないため、間違った向きでカードが挿入されると、カードリーダは、取り込んだカードを一旦、返却する。そのため、ユーザは再度、正常な向きでカードを挿入する必要があり、ユーザの利便性が悪い。
【0114】
上述の技術的思想(1)から(4)では、カードリーダが、第1再生記録手段を有する第1カード処理部と、第2再生記録手段を有し第1カード処理部に隣接配置される第2カード処理部とを備えているため、たとえば、第1カード処理部で正常な向きで挿入されたカードの処理を行い、第2カード処理部で間違った向きで挿入されたカードの処理を行うことが可能になる。したがって、ユーザがカードを再挿入する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0115】
一方で、カードリーダが搭載される上位装置側では、第1カード処理部と第2カード処理部とを制御する必要が生じ、上位装置側の制御が複雑になるおそれがある。しかしながら、技術的思想(1)から(3)では、第1カード処理部を制御する第1制御部は、カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部と制御信号のやりとりを行い、第2カード処理部を制御する第2制御部は、第1制御部と制御信号のやりとりを行っている。すなわち、第1制御部は、上位制御部からの制御指令に基づいて第1カード処理部を制御し、第2制御部は、第1制御部からの制御指令に基づいて第2カード処理部を制御している。また、技術的思想(4)では、上位制御部からの制御信号で第1カード処理部を制御し、第1制御部からの制御信号で第2カード処理部を制御している。
【0116】
そのため、上位制御部は、第1制御部との間で制御信号のやりとりを行っているにもかかわらず、第1カード処理部および第2カード処理部を制御することが可能になる。たとえば、上位制御部は、第1カード処理部を制御するための制御信号のやりとりを第1制御部と行うことで、第1カード処理部および第2カード処理部を制御することが可能になる。したがって、上位制御部での処理を簡素化するとともに、上位制御部の制御プログラムを簡素化することが可能になる。また、上位制御部と第2制御部とが直接、接続されていなくても、上位制御部は、第2カード処理部を間接的に制御することができるため、上位制御部では、第2制御部を接続するためのポートが不要になり、上位制御部の構成を簡素化することが可能になる。さらに、第1カード処理部の構成を従来のカードリーダの構成と同じにすれば、上位制御部の構成および処理プログラムを変更することなく、上位装置の仕様を変更することが可能になる。
【0117】
なお、技術的思想(1)から(4)が適用される場合には、第2カード処理部5として、第1カード処理部4と略同一の構成を上下反転させたもの(すなわち、Y方向を軸方向として180°回転させたもの)を、第1カード処理部4に隣接配置しても良い。
【0118】
また、技術的思想(1)から(4)の変形例として、カードリーダ1は、3個以上のカード処理部を備えていても良い。すなわち、技術的思想(1)から(4)の変形例として、以下の技術的思想が考えられる。
【0119】
(5)カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う再生記録手段を有するカード処理部を複数備えるとともに、前記カード処理部のそれぞれを制御する複数の制御部とを備え、
複数の前記制御部のうちの1個の制御部である主制御部は、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、
前記主制御部を除く他の複数の前記制御部は、前記主制御部に並列にまたは直列に接続され、
前記主制御部は、前記上位制御部と制御信号のやりとりを行い、
前記主制御部を除く他の複数の前記制御部は、前記主制御部と直接的または間接的に制御信号のやりとりを行うことを特徴とするカードリーダ。
【0120】
(6)カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う再生記録手段を有するカード処理部を複数備えるとともに、前記カード処理部のそれぞれを制御する複数の制御部とを備えるカードリーダの制御方法であって、
複数の前記カード処理部のうちの1個の主カード処理部を、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部からの制御信号で制御し、
前記主カード処理部を除く他の複数の前記カード処理部を、前記主カード処理部を制御する主制御部からの直接的または間接的な制御信号で制御することを特徴とするカードリーダの制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの平面図である。
【図2】図1に示すカードリーダ内部の概略構成を側面から示す概略図である。
【図3】図1に示す第1カード処理部と第2カード処理部との配置関係を説明するための図である。
【図4】図3のE部の拡大図である。
【図5】図1のF−F方向から第1幅寄せ機構およびその周辺部分を示す図である。
【図6】図5のG−G方向から第1幅寄せ機構を示す図である。
【図7】図1に示すクラッチ機構を説明するための側面図である。
【図8】図1に示すカードリーダの制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図9】図1に示すカードリーダのカード取込時の制御フローを示すフローチャートである。
【図10】図1に示すカードリーダの磁気情報再生時の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】図1に示すカードリーダのカード排出時の制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
1 カードリーダ
2 カード
4 第1カード処理部
5 第2カード処理部
10 第1磁気ヘッド(第1再生記録手段)
12 第1搬送ローラ
15 第1搬送路
16 第1カード搬送基準面
17 第1幅寄せ機構(第1カード寄せ手段)
19 駆動モータ(第1駆動源)
22 第1IC接点(第1再生記録手段)
30 第2磁気ヘッド(第2再生記録手段)
32、32A 第2搬送ローラ
35 第2搬送路
36 第2カード搬送基準面
37 第2幅寄せ機構(第2カード寄せ手段)
39 駆動モータ(第2駆動源)
42 第2IC接点(第2再生記録手段)
45 クラッチ機構
61 第1制御部
62 第2制御部
63 上位制御部
CL1 仮想中心線
CL2 第1搬送路の中心
CL3 第2搬送路の中心
L 第1カード搬送基準面と第2カード搬送基準面との距離
P 仮想基準点
W カードの幅
X カードの搬送方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第1再生記録手段と、前記カードが搬送される第1搬送路とを有する第1カード処理部と、
前記カードに記録された情報の再生および/または前記カードへの情報の記録を行う第2再生記録手段と、前記カードが搬送される第2搬送路とを有する第2カード処理部とを備え、
前記第1カード処理部と前記第2カード処理部とは、前記第1カード処理部と前記第2カード処理部との間で前記カードのやりとりが可能となるように、前記カードの搬送方向で隣接配置され、
前記第1カード処理部は、前記第1搬送路の、前記カードの搬送方向に直交する前記カードの幅方向の一方側に形成される第1カード搬送基準面に向かって前記カードを寄せる第1カード寄せ手段を備え、
前記第2カード処理部は、前記第2搬送路の、前記カードの幅方向の他方側に形成される第2カード搬送基準面に向かって前記カードを寄せる第2カード寄せ手段を備え、
前記第1再生記録手段と前記第2再生記録手段とは、前記カードの厚さ方向から見たとき、前記カードの幅方向における前記第1カード搬送基準面と前記第2カード搬送基準面との間の略中心位置を通過する仮想中心線上の所定の仮想基準点に対して、略点対称に配置されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カードの幅方向における前記第1カード搬送基準面と前記第2カード搬送基準面との距離が前記カードの幅と略一致するように、前記カードの幅方向における前記第1搬送路の中心と前記第2搬送路の中心とが、前記カードの幅方向でずれていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記第1カード処理部は、前記カードを搬送する複数の第1搬送ローラと前記第1搬送ローラを駆動する第1駆動源とを備え、
前記第2カード処理部は、前記カードを搬送する複数の第2搬送ローラと前記第2搬送ローラを駆動する第2駆動源とを備え、
複数の前記第1搬送ローラのうち最も前記第2カード処理部側に配置される前記第1搬送ローラ、または、複数の前記第2搬送ローラのうち最も前記第1カード処理部側に配置される前記第2搬送ローラには、前記第1駆動源または前記第2駆動源からの動力伝達を断続するクラッチ機構が連結されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記仮想基準点は、前記カードの搬送方向において前記第1カード処理部と前記第2カード処理部との間に配置され、
前記第2カード処理部は、前記第1カード処理部と略同一の構成を、前記仮想基準点に対して前記第1カード処理部と略点対称に配置したものであることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記カードは、磁気ストライプを備える磁気カードであり、
前記第1再生記録手段および前記第2再生記録手段は、磁気ヘッドであることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記カードが挿入されるカード挿入部の、前記カードの幅方向の両端側に、前記磁気ストライプの有無を検出する検出機構を備えることを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記第1カード処理部を制御する第1制御部と、前記第2カード処理部を制御する第2制御部とを備え、
前記第1制御部は、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、前記第2制御部は、前記第1制御部に接続され、
前記第1制御部は、前記上位制御部と制御信号のやりとりを行い、前記第2制御部は、前記第1制御部と制御信号のやりとりを行うことを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記第1制御部は、前記上位制御部からの制御指令に基づいて前記第1カード処理部を制御し、前記第2制御部は、前記第1制御部からの制御指令に基づいて前記第2カード処理部を制御することを特徴とする請求項7記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−266107(P2009−266107A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117521(P2008−117521)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】