説明

カード保持機構

【課題】カード保持機構に挿入したカードの破損を防ぎ、また、カード保持機構の電力消費量を低減させること。
【解決手段】カード挿入口12から挿入されたカード80の意図しない排出を防止するカード保持機構であり、カード挿入口12から挿入されるカード80の前端縁が当接する当接片31Aを有する第1の回動レバー31と、一端部に閉塞部が形成され、閉塞部がカード挿入口12を閉塞する位置と開放する位置との間にわたって移動する第2の回動レバー33とを有し、カード80の挿入時に第1の回動レバー31のみを回動させ、カード80の挿入が完了した後に、ストッパ装置に瞬時通電して第2の回動レバー33を回動させて閉塞部によりカード挿入口12を閉塞させ、カード80の排出時に第1,2の回動レバー31,33を同時に当初位置まで復帰させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
データを記憶させた磁気テープやICチップ等のデータ記憶担体が搭載されたカード体を挿入し、データ記憶担体のデータの読み書きを行うデータ読み書き装置内に搭載され、データへのアクセス中に不用意にカードが排出されることを防止するカード保持機構としては、図7に示すようなカード保持機構が特許文献1において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−161417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示す特許文献1記載のカード保持機構600は、駆動アーム601と保持アーム602とストッパ603を回動レバーとし、カード80を保持する際には、固定装置604にて保持アーム602を介してストッパ603を図7中の左回りに回動させてカード80を保持するものである。
【0005】
特許文献1に開示されているカード保持機構600は、カード80を保持する際に、カード80が駆動アーム601とストッパ603とにより挟まれた状態で、スプリング605の力を受けてカード80に面内圧縮応力が作用した状態になり、カード80が破損するおそれがある。また、カード80の保持時には固定装置604であるソレノイドが常時通電された状態になり、動作不要時においても消費電力を浪費してしまうといった課題がある。
【0006】
そこで本願発明は、カード保持機構に挿入したカードの破損を防ぎ、また、カード保持機構の電力消費量を低減させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため本願発明は以下の構成を有する。
すなわち、カード挿入口から挿入されたカードが不意に排出されることを防止するために、前記カード挿入口の一部を閉塞する閉塞部を具備するカード保持機構であって、前記カードが挿入されるベース部と、前記ベース部に回動自在に設けられると共に、前記カード挿入口から挿入される前記カードの前端縁が当接する当接片を有する第1の回動レバーと、一端部に前記閉塞部が形成され、該閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置と開放する位置との間にわたって移動するように前記ベース部に回動自在に設けられ、前記第1の回動レバーが前記カード挿入口方向に所要位置まで回動した際に、係止部により前記第1の回動レバーが係止する第2の回動レバーと、前記係止部を介して前記第1の回動レバーを前記第2の回動レバーに係止する方向に付勢し、前記第1の回動レバーが係止した前記第2の回動レバーを、前記カード挿入口を開放する方向に回動させる第1の付勢部材と、前記カード挿入口を閉塞する方向に前記第2の回動レバーを付勢する第2の付勢部材と、前記第2の回動レバーの回動を、前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置と、前記閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置との両位置で規制するストッパ装置と、該ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制を解除する解除手段と、を具備し、前記カードが前記カード挿入口から挿入され、前記当接片に当接して前記第1の付勢部材の付勢力に抗しつつ前記第1の回動レバーを回動させた際、前記第2の回動レバーは、前記ストッパ装置により前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置にとどまり、前記カードが前記ベース部内の所定位置まで挿入された際、前記解除手段により前記ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制が解除され、前記第2の回動レバーが前記第2の付勢部材により前記閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置まで回動されると共に、この位置で前記第2の回動レバーの回動が前記ストッパ装置により規制され、前記カードを取り出す際には、前記解除手段により前記ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制が解除され、前記第1の付勢部材による付勢力により、前記第2の回動レバーが前記第1の回動レバーと共に前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置まで回動復帰すると共に、前記当接片により前記カードを前記カード挿入口まで押し出すことを特徴とするカード保持機構である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるカード保持機構によれば、カード保持具に挿入させたカードの破損を防ぎ、カード保持機構としての電力消費量を大幅に低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるカード保持機構の当初状態を示した一部透視平面図である。
【図2】図1に示すカード保持機構にカードを挿入している状態を示す一部透視平面図である。
【図3】図2に示す状態の後、カード全体が挿入されてストッパを駆動させた状態を示す一部透視平面図である。
【図4】カード保持状態を示す一部透視平面図である。
【図5】図4に示す状態の後、カード排出信号が発信された際に、ストッパを解除させた状態を示す一部透視平面図である。
【図6】カードがカード挿入口から排出されている状態を示す一部透視平面図である。
【図7】従来技術におけるカード保持機構の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかるカード保持機構の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示されている符号10はベース部である。図1は、ベース部10の表側面をあらわしている。ベース部10の側面にはカード挿入口12が形成されている。カード挿入口12から挿入されたカード80は、ベース部10の裏面側の収納部(図示せず)まで挿入される。ベース部10の裏面側にはストッパ装置である電磁ソレノイド50が配設されている。
【0011】
ベース部10には板厚方向に貫通する貫通孔14が形成されている。この貫通孔14は、図1に示すように円弧状の長孔に形成されている。
ベース部10の表側面には、第1の回動レバー31と第2の回動レバー33とが、一端側が重ねられた配置で回動自在に取り付けられている。第1の回動レバー31と第2の回動レバー33とは回動軸AXを共有している。
また、第1の回動レバー31および第2の回動レバー33には、第1の付勢部材である第1ばね41および第2の付勢部材である第2ばね43が取り付けられている。
【0012】
第1の回動レバー31には、貫通孔14に挿通されてベース部10の裏面側に突出し、カード挿入口12から挿入されたカード80の前端縁が当接する当接片31Aが設けられている。当接片31Aは、カード挿入口12から収納部へのカード80挿入動作により、第1の回動レバー31を第1ばね41の付勢力に抗して回動させる。また、当接片31Aは、第1ばね41の付勢力により第1の回動レバー31をカード挿入口12側に回動復帰させる際に、ベース部10の収納部に収納されたカード80をカード挿入口12に排出する機能を有している。
【0013】
第2の回動レバー33の端部には、カード挿入口12を横断するように裏面方向に曲折し、さらに、カード80の挿入方向に延伸するよう曲折されて成る閉塞部である曲折端縁33Aが形成されている。また、第2の回動レバー33には、曲折端縁33Aの他に、第2ばね43の一端縁を係止するための曲折片33Bと、第2の回動レバー33がカード挿入口12を閉塞する位置において、第2の回動レバー33がカード挿入口12を開放させる方向に回動する動作を規制するため、後述するストッパ片56に先端部が当接する突出部33Cが形成されている。この突出部33Cの基部付近には、カード挿入口12を開放する位置において、第2の回動レバー33がカード挿入口12を閉塞する方向に回動する動作を規制するための、ストッパ片56が係合するストッパ係合部33Dが形成されている。ストッパ係合部33Dはプランジャ用ばね54による付勢力により付勢され、プランジャ52と共に進退動するストッパ片56が進入可能な凹部に形成されている。
また、第2の回動レバー33には、後述するベース部10に設けられた閉塞位置用ストッパ18に当接する当接部33Eが設けられている。当接部33Eは、閉塞位置用ストッパ18と点接触するように平面視形状が半円状に形成されている。なお、当接部33Eの配設は省略することもできる。
【0014】
第1の回動レバー31に取り付けられた第1ばね41は、ベース部10の所定位置を曲折して形成した係止片16と、第1の回動レバー31の中途位置を曲折して形成した曲折片31Bとに装着することができる。第2の回動レバー33に取り付けられた第2ばね43は、一端縁が曲折片33Bに係止され、他端縁が第1の回動レバー31に形成された第2曲折片31Cに係止されている。
第1ばね41は、収納部にカード80を挿入(収納)した後、カード80をカード挿入口12に排出させる際の駆動力(付勢力)を得るためのものである。これに対して第2ばね43は、先に回動させた第1の回動レバー31に第2の回動レバー33を接近させるための駆動力(付勢力)を得るためのものである。
【0015】
また、第1ばね41による付勢力により第1の回動レバー31がカード80を排出する方向(第1の回動レバー31を当初位置に復元させるため)の回動を行う際に、第1の回動レバー31および第2の回動レバー33を供回りさせるための供回り用係合部が形成されている。具体的には、第1の回動レバー31に供回り用係合片31Dが形成され、第2の回動レバー33には供回り用係合片31Dが係合する供回り用係合溝33Fがそれぞれ形成されている。供回り用係合溝33Fは、第1の回動レバー31の回動方向に延伸する円弧状の孔に形成されている。これにより、カード80の挿入時には、第1の回動レバー31と第2の回動レバー33とをそれぞれ独立に回動させ、かつ、カード80の排出時には、第1の回動レバー31と第2の回動レバー33とを一体に回動させ、当初位置に一体に復元させることができる。
【0016】
ベース部10には、第2ばね43の付勢力によりカード挿入口12を閉塞させる位置に向けて回動された第2の回動レバー33の過回動を規制するための閉塞位置用ストッパ18が設けられている。閉塞位置用ストッパ18は、ベース部10の所要位置をベース部10の表側(第1および第2の回動レバー31,33の取り付け側)に向けて曲折することにより形成することができる。第2の回動レバー33に形成された当接部33Eは、閉塞位置用ストッパ18と当接することにより、第2ばね43から付与された付勢力による第2回動レバー33の過回動を防止する。
【0017】
また、本実施形態におけるカード保持機構100には、第1の回動レバー31が所定位置まで回動したことを検出する第1のセンサ62と第2の回動レバー33の回動状態を検知することにより、曲折端縁33Aが閉塞位置に位置しているか否かを検出する第2のセンサ64とが配設されている。 第1のセンサ62および第2のセンサ64は、それぞれが検出した検出信号を図示しない制御部に送信する。制御部は、それぞれのセンサ62,64から送信された検出信号を受信した際に、検出信号に基づいて電磁ソレノイド50への電力供給のオンオフ切り替え動作や、カード保持機構100の動作制御について規定した制御プログラムが記憶された記憶部と、制御プログラムに基づいて具体的な動作処理を行う処理実行部とにより構成されている。
このような制御部としては、例えばカード保持機構100に内蔵されたマイクロコンピュータや、カード保持機構100とは別体に設けられ、通信手段により接続されている遊技機ホストコンピュータ、さらには、一般的なパーソナルコンピュータ等により実現することができる。
【0018】
電磁ソレノイド50は、電力を供給することにより伸縮するプランジャ52を有し、プランジャ52には、プランジャ52を常時突出させる方向に付勢力を付与するプランジャ用ばね54と、プランジャ52に伴って進退するストッパ片56とを備えている。本実施形態では、電力が供給されている間(電力供給がオンになっている間)において、プランジャ52が縮小する構成の電磁ソレノイド50を用いており、ストッパ装置である電磁ソレノイド50への電力供給状態を制御部が適宜切り換え操作をすることにより、プランジャ52の伸縮とともにストッパ片56を進退させて第2の回動レバー33の回動規制手段と回動規制解除手段の機能を持たせている。
【0019】
以下に、図1〜図6に沿って本実施形態におけるカード保持機構100の動作説明を行う。
まず、図1に示すように、第1回動レバー31の当接片31Aが貫通孔14のカード挿入口12側の端部位置に位置し、第2の回動レバー33の閉塞部である曲折端縁33Aがカード挿入口12を開放する位置に位置する当初状態となるようにユーザがカード保持機構100をリセットした状態にする。
【0020】
次いで、図2に示すように、ユーザがカード挿入口12から矢印a方向にカード80を挿入する。カード保持機構100内にカード80が挿入されると、カード挿入経路内(収納部)をカード80の厚さ方向に横切っている当接片31Aにカード80の前端縁が当接し、カード80の挿入に伴って第1の回動レバー31が、第1ばね41による付勢力に抗して図2内の矢印A方向に回動する。このとき、第2の回動レバー33もまた、第2ばね43の付勢力により第1の回動レバー31の回動方向と同方向の回動(曲折端縁33Aによりカード挿入口12を閉塞させる方向)が惹起されることになる。しかしながら、ストッパ片56がストッパ係合部33Dである凹状部分に嵌合しているため、第2の回動レバー33は、第2ばね43の付勢力に抗して回動動作が規制される。つまり、カード80の挿入に伴って第1の回動レバー31のみが先行して回動することになる。このようにユーザがカード挿入口12からカード80を挿入する際に、第2の回動レバー33の回動を停止させているので、ユーザはカード80の挿入動作を容易に行うことができる。
【0021】
第1の回動レバー31が所定位置まで回動すると、第1のセンサ62が第1の回動レバー31を検出し、ストッパ解除手段としても機能する制御部へ検出信号を送信する。制御部が第1のセンサ62からの検出信号を受信すると、制御プログラムに基づいて制御部が電磁ソレノイド50への電力供給をオンにする。
これにより電磁ソレノイド50は、図3に示すようにプランジャ用ばね54の付勢力に抗してプランジャ52を縮小させ、ストッパ片56を図中矢印b方向にスライドさせてストッパ片56とストッパ係合部33Dとの係合状態を解除する。
【0022】
すると第2の回動レバー33は、第2ばね43による付勢力により第1の回動レバー31の回動方向と同方向(図3中の矢印B方向、すなわち時計まわり)に回動して、カード挿入口12を開放する位置で待機していた曲折端縁33Aをカード挿入口12を閉塞する位置に移動させる。第2の回動レバー33は、第2ばね43の付勢力により所要の回動速度でカード挿入口12を閉塞する方向に回動することになるが、閉塞位置用ストッパ18に当接部33Eが当接することで、第2の回動レバー33の過回動が防止され、曲折端縁33Aが適切な位置でカード挿入口12を閉塞させることができる。
このとき、第2のセンサ64が第2の回動レバー33の曲折端縁33Aが閉塞部の位置に到達したことを検出すると、検出信号を制御部に送信する。制御部は第2のセンサ64からの検出信号を受信すると、電磁ソレノイド50への電力供給をオフにする。
【0023】
このように本実施形態における制御部は、瞬間的(1秒未満の短時間)に電磁ソレノイド50に対して電力供給をオンにしているため、電磁ソレノイド50に供給される電力消費量はきわめて少量である。
電磁ソレノイド50に電力が供給されるとプランジャ52は一旦縮小するが、電磁ソレノイド50への電力供給は短時間のうちにストップされるから、図4に示すように、縮小状態のプランジャ52は、プランジャ用ばね54の付勢力によって即座に伸長状態に戻ることになる。すなわちストッパ片56は、カード挿入口12を閉塞する位置まで回動した状態の第2の回動レバー33の突出部33Cの先端部側(下端部側)に回り込んだ状態になる。
【0024】
この時点では、ユーザによりカード80を収容部に押し込ませる力が付与されているため、第2の回動レバー33の当接部33Eは、閉塞位置用ストッパ18に当接する位置にあり、突出部33Cの先端部(下端部)とストッパ片56との間には隙間が存在している。ユーザがカード80を収容部に押し込む力を解除すると、第1の回動レバー31が第1ばね41の付勢力によりカード挿入口12側に戻る向きに回動する。すると、第1の回動レバー31の供回り用係合片31Dが第2の回動レバー33の供回り用係合溝33Fの一方の端縁に当接し、第2の回動レバー33を第1の回動レバー31と供回りさせる。すなわち第2の回動レバー33は、閉塞位置用ストッパ18から離反する方向に回動し、突出部33Cの先端部(下端部)がストッパ片56に直接支持された状態になる。
これにより第1ばね41によるカード80の排出方向への付勢力に抗して、第1の回動レバー31がカード挿入口12に接近する方向への回動と第2の回動レバー33のカード挿入口12の閉塞状態を開放する方向への回動がそれぞれ規制され、カード80がカード挿入口12に排出されてしまうことはない。この状態においては、第2ばね43による付勢力は作用していない状態であることが好ましい。
【0025】
図4に示すように、曲折端縁33Aによるカード挿入口12の閉塞がなされると、情報読み取り手段であるデータリーダ、情報書き込み手段であるデータライタにより、カード保持機構100に挿入されたカード80の情報記憶部であるデータ記録担体(いずれも不図示)へのデータアクセスが行われる。本実施形態におけるデータリーダ、データライタ、データ記録担体には、非接触によりデータ記録担体とデータリードおよびデータライトが可能である無線通信手段が用いられているが、この形態に限定されるものではない。データ記録担体にデータリーダ、データライタが接触してデータのリードライトを行う方式であってもよいのはもちろんである。データ記録担体のデータは、データリーダ、データライタ、制御部の間で送受信される。
データ記録担体へのデータアクセス中は、カード挿入口12が第2の回動レバー33の曲折端縁33Aにより閉鎖された状態になっているため、カード80が不用意に排出されてしまうことがなく、カード80のデータ記録担体内のデータ破損を回避することができる。カード保持機構100の外表面には、データアクセス中であることを表示する表示部(図示せず)を配設してもよい。
【0026】
図4に示すように、本実施形態においては、挿入したカード80の挿入方向におけるカード長さL1よりも、カード挿入口12を閉塞している曲折端縁33Aと当接片31Aとの最短離間距離L2の方が長くなるように設定されている。これによりカード挿入口12を曲折端縁33Aにより閉塞した際に、第1ばね41の付勢力によって当接片31Aと曲折端縁33Aとの間でカード80に面内圧縮力が作用することがないので、カード80本体またはカード80に内蔵されたデータ記録担体の破損を回避することができる。このような構成を採用することで、使用するカード80を薄型化することができ、カード保持機構100およびこれを具備するカードデータ読取装置の薄型化にも貢献することができる。
【0027】
カード挿入口12が第2の回動レバー33の曲折端部33Aにより閉塞され、かつ、ストッパ片56により第1の回動レバー31および第2の回動レバー33のカード排出方向への回動が規制された後、データリーダおよびデータライタによりカード80のデータ記憶担体へのデータアクセスがなされる。
通信手段にて接続された遊技機ホストコンピュータ等の外部接続機からの排出コマンドを受信した場合や、ユーザにより図示しないカード排出ボタンが押下された場合等には、制御部にカード排出要求信号が送信される。制御部がカード排出要求信号を受信すると、制御部は電磁ソレノイド50への電力供給をオンにして、再びプランジャ用ばね54の付勢力に抗してプランジャ52を縮小させて、ストッパ片56を図5中の矢印c方向にスライドさせて突出部33Cの下端部から退避させる。これにより、ストッパ片56による第1の回動レバー31および第2の回動レバー33のカード80排出側への回動の規制が解除されることになる。
万が一、データリーダまたはデータライタがカード80のデータ記録担体とデータアクセス中にカード排出要求信号が制御部に送信されたとしても、制御部は、データリーダまたはデータライタによるカード80のデータ記録担体とのデータアクセスが終了するまでは電磁ソレノイド50への電力供給は行わないのはもちろんである。
【0028】
第1の回動レバー31の供回り用係合片31Dが第2の回動レバー33の供回り用係合溝33Fの一方の端縁に当接しているので、ストッパ片56による回動規制が解除されると、第1ばね41による付勢力により回動する第1の回動レバー31が第2の回動レバー33と共に、カード80の排出方向(図5内の矢印C方向)に回動(供回り)する。すなわち、カード挿入口12からカード保持機構100の外部(図5中矢印b方向)へカード80が排出される。
ここで、第2のセンサ64が曲折端縁33Aの位置がカード挿入口12を閉塞する位置から退避したことを検出し、制御部が第2のセンサ64からの検出信号を受信すると、引き続き制御部は、電磁ソレノイド50への電力供給をオフにする処理を実行する。
【0029】
このように、カード保持機構100内からカード80を排出する際においても、電磁ソレノイド50には極めて短時間においてのみ電力が供給されるだけであるため、プランジャ52はプランジャ用ばね54の付勢力により再び伸長することになる。これにより、図6に示すように、ストッパ片56が突出部33Cのストッパ係合部33Dに係合した状態になり、第1の回動レバー31と第2の回動レバー33の回動動作を再び分離させた状態に(カード保持機構100を初期状態にリセット)することができる。
【0030】
本実施形態におけるカード保持機構100は、収納部へのカード80の挿入時における第2の回動レバー33の回動時期を第1の回動レバー31の回動時期に遅らせて単独で回動させている点が特徴的な動作である。これにより、カード80を収納部に挿入する際においては、カード挿入口12の閉塞部である曲折端縁33Aがカード80の挿入動作の妨げになることがない点で好都合である。このように、ストッパ片56の駆動手段である電磁ソレノイド50への電力供給は、動作必要時にストッパ片56を駆動させる際における一瞬のみであるため、従来技術に比較して大幅に電力消費量を削減することができる。
【0031】
以上に、実施形態に基づいて本願発明について詳細に説明してきたが、本願発明は以上の実施形態で説明した実施形態に限定されるものではないのはもちろんである。
以上の実施形態においては、第2ばね43の付勢力により第2の回動レバー33をカード挿入口12を閉塞させる位置に回動させる際において、第2の回動レバー33の過回動を防止するための閉塞位置用ストッパ18と、これに当接する当接部33Eが形成された実施形態について説明しているが、第2ばね43の付勢力の調整をすることにより、第2の回動レバー33の過回動を回避することができれば、閉塞位置用ストッパ18と当接部33Eの配設を省略することもできる。
【0032】
また、本実施形態では、カード保持機構100の収納部に挿入したカード80の取り出し方法は、ユーザによりカード排出要求信号を発生させた後に、制御部がソレノイド50の駆動動作を制御することにより行う形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。
他の形態としては、カード80が収納部に挿入されている状態において、継続利用されているカード80のデータ記憶担体からデータリーダが読み取ったデータの値が予め設定された値と等しくなった際に、制御部にソレノイド50の駆動動作を制御させるように制御プログラムを構築した形態を採用してもよい。この設定値は、カード保持機構100と一体(または別体でもよい)に配設された入力部を用いてユーザが設定することもできる。
【0033】
また、本実施形態においては、使用可能なカード80が挿入された場合について説明しているが、場合によっては使用不可能なカード80がカード保持機構100に挿入されることも考えられる。このような場合を想定して、カード挿入口12からカード80が挿入される際にカード80のデータ記録担体のデータを読み取り可能な位置にデータリーダを配設し、利用不可能なカード80をカード保持機構100内にとどめないようにする構成を採用してもよい。
【0034】
具体的には、カード保持機構100にカード80を挿入する際に、データリーダにより読み取られたカード80の情報を制御部に送信し、制御部に送信されたデータが予め設定されている有効なデータでなかった場合(サービス利用可能回数が0回である場合や、カードの有効期限が超過している場合、不正記録されたデータであった場合等のいわゆるエラー情報であった場合)は、第1のセンサ62からの検出信号を受信した場合であっても、制御部は、電磁ソレノイド50への電力供給をオフにしたままの処理を実行させればよい。これにより、第2の回動レバー33はカード挿入口12を閉塞する位置に移動しないため、ユーザがカード80をカード挿入口12から挿入する力を取り除くと、第1の回動レバー31に作用している付勢力によりカード80がカード保持機構100の外部に排出されることになる。
このような処理方法を行う制御部を採用すれば、不正カード80の利用を防止することができる点で好都合である。
【0035】
また、カード挿入口12またはカード挿入路の中途位置にカード80が挿入されたことを検出し、制御部に検出信号を送信するカード挿入検出部を第1センサ62として配設してもよい。このようなカード挿入検出部としては、カード80が挿入された際の動作により信号のオンオフ動作を切り替え可能にする機械的な構成が好適である。具体的には、カード挿入口12またはカード挿入経路にオンオフスイッチの一部を付勢部材により付勢させた状態で突出させておき、オンオフスイッチがオンになったときに電気信号を制御部の送信可能に設定しておけばよい。カード挿入口12からカード80が挿入されると、カード80の外周縁がカード挿入口12またはカード挿入経路から突出している部分に接触しながらカード保持機構100内にさらに押し込まれることで、オンオフスイッチをオンにし、制御部に電気信号を供給することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、制御部が電磁ソレノイド50への電力供給をオンにした後、電磁ソレノイド50への電力供給をオフにする切り換え処理を、第2のセンサ64からの検出信号に基づいて行っているが、この形態に限定されるものではない。制御部が電磁ソレノイド50への電力供給をオンにする処理は、上記実施形態と同様に行ったのち、所定時間が経過した後に電磁ソレノイド50への電力供給をオフにする処理を制御部が実行するようにしてもよい。この所定時間は、ユーザが外部入力手段を用いて自由に設定することができるようになっているとなお好都合である。
【0037】
また、本実施形態においては、電磁ソレノイド50のプランジャ52を付勢するための弾性部材としてプランジャ用ばね54を配設した形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。プランジャ用ばね54以外における他の弾性部材の具体例としては、例えば、圧縮コイルばね、引張りコイルばね、皿ばね、トーションばね、U字ばね等を使用することももちろん可能である。
また、第1の付勢部材および第2の付勢部材として、本実施形態ではばねを用いているが、ゴム紐等を第1の付勢部材および第2の付勢部材として採用することもできる。
【0038】
また詳細には説明しないが、以上に示した実施形態および上記変形例を適宜組み合わせてなる実施形態であっても、本願発明の技術的範囲内に属することはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明は、遊戯用データを記録したカードを用いた遊技機や、プリペイドカードを用いた遊技機および会計処理装置や、可搬型記憶媒体のデータ処理装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 ベース部
12 カード挿入口
14 貫通孔
31 第1の回動レバー
31A 当接片
33 第2の回動レバー
33A 曲折端縁
33C 突出部
33D ストッパ係合部
41 第1ばね
43 第2ばね
50 電磁ソレノイド
52 プランジャ
54 プランジャ用ばね
56 ストッパ片
62 第1のセンサ
64 第2のセンサ
80 カード
100 カード保持機構
AX 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口から挿入されたカードが不意に排出されることを防止するために、前記カード挿入口の一部を閉塞する閉塞部を具備するカード保持機構であって、
前記カードが挿入されるベース部と、
前記ベース部に回動自在に設けられると共に、前記カード挿入口から挿入される前記カードの前端縁が当接する当接片を有する第1の回動レバーと、
一端部に前記閉塞部が形成され、該閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置と開放する位置との間にわたって移動するように前記ベース部に回動自在に設けられ、前記第1の回動レバーが前記カード挿入口方向に所要位置まで回動した際に、係止部により前記第1の回動レバーが係止する第2の回動レバーと、
前記係止部を介して前記第1の回動レバーを前記第2の回動レバーに係止する方向に付勢し、前記第1の回動レバーが係止した前記第2の回動レバーを、前記カード挿入口を開放する方向に回動させる第1の付勢部材と、
前記カード挿入口を閉塞する方向に前記第2の回動レバーを付勢する第2の付勢部材と、
前記第2の回動レバーの回動を、前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置と、前記閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置との両位置で規制するストッパ装置と、
該ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制を解除する解除手段と、を具備し、
前記カードが前記カード挿入口から挿入され、前記当接片に当接して前記第1の付勢部材の付勢力に抗しつつ前記第1の回動レバーを回動させた際、前記第2の回動レバーは、前記ストッパ装置により前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置にとどまり、
前記カードが前記ベース部内の所定位置まで挿入された際、前記解除手段により前記ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制が解除され、前記第2の回動レバーが前記第2の付勢部材により前記閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置まで回動されると共に、この位置で前記第2の回動レバーの回動が前記ストッパ装置により規制され、
前記カードを取り出す際には、前記解除手段により前記ストッパ装置による前記第2の回動レバーの回動の規制が解除され、前記第1の付勢部材による付勢力により、前記第2の回動レバーが前記第1の回動レバーと共に前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置まで回動復帰すると共に、前記当接片により前記カードを前記カード挿入口まで押し出すことを特徴とするカード保持機構。
【請求項2】
前記カードが前記ベース部内の所定位置まで挿入されたことを検出する第1のセンサと、
常時は弾性部材によって突出する方向に付勢され、電磁コイルに通電されることによって後退するプランジャ、および該プランジャに取り付けられて該プランジャと共に進退するストッパ片とを具備し、該ストッパ片は、前記プランジャの突出位置にて、前記第2の回動レバーの回動を、前記閉塞部が前記カード挿入口を開放する位置と、前記閉塞部が前記カード挿入口を閉塞する位置との両位置において規制する電磁ソレノイドからなる前記ストッパ装置と、
前記第1のセンサからのカード挿入検出信号が入力され、前記電磁ソレノイドへの通電を瞬間的にオンにする制御部からなる前記解除手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載のカード保持機構。
【請求項3】
前記第1の回動レバーおよび前記第2の回動レバーは、回動軸を共有し、
前記第2の付勢部材は、一端縁が前記第1の回動レバーに、他端縁が前記第2の回動レバーに係合されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード保持機構。
【請求項4】
前記カードを前記カード挿入口から挿入させた際に、前記カードに設けられている情報記憶部に記憶されている情報を読み取ると共に、読み取り情報を前記制御部に送信する情報読み取り手段とを具備し、
前記制御部は、前記情報読み取り手段から送信された読み取り情報が予め指定されているエラー情報であった場合には、前記第1のセンサからのカード挿入検出信号が入力されたとしても、前記電磁ソレノイドへの通電を行わない処理を実行することを特徴とする請求項2または3記載のカード保持機構。
【請求項5】
前記第2の回動レバーが閉塞位置に位置することを検知し、第2回動レバー閉塞位置検知信号を前記制御部に送信する第2のセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第2のセンサからの第2回動レバー閉塞位置検知信号を受けて、前記電磁ソレノイドへの通電をオフにする処理を実行することを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか一項に記載のカード保持機構。
【請求項6】
前記カード挿入口が前記閉塞部により閉塞状態となった際に、前記当接片と前記閉塞部との最短離間距離が前記カードの挿入方向におけるカード長さ寸法よりも長く形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のカード保持機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−95924(P2011−95924A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248151(P2009−248151)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(397011111)株式会社ウインテック (87)
【Fターム(参考)】