説明

カード処理装置

【課題】 磁気ストライプが形成されていないICカードや、ICが搭載されていない磁気カードに対して不要な処理が行われるのを防止して、処理時間を短縮するとともに、磁気ヘッドやIC接点の磨耗等による部品寿命の低下を抑えることができるカード処理装置を提供する。
【解決手段】 カード処理装置1は、カード挿入口から挿入されたカードについて、磁気ストライプが形成されているかどうか、およびICが搭載されているかどうかを検出する。そして、磁気ストライプが形成されていないカードであれば、不要な磁気処理を行わない。また、ICが搭載されていないカードであれば、ICヘッド9aをカードに当接させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ストライプが形成された磁気カードや、ICが搭載されたICカードに対して、データの書き込みや読み取りを行うカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ストライプが形成された磁気カードや、ICが搭載されたICカードを受け付け、該カードに対するデータの書き込みや、読み取りを行うカード処理装置が実用化されている(例えば、特許文献1、2参照)。この種のカード処理装置は、金融機関に設置されているATMやCD等の機器に適用されている。
【0003】
特許文献1、2等で提案されている従来のカード処理装置は、カード挿入口から本体に挿入されたカードにICが搭載されているかどうかを検出し、ICが搭載されていることが検出されなかったカード(ICが搭載されていないカード)については、本体側に設けられているICヘッドを接触させない構成であった。具体的には、ICが搭載されていないカードに対して、ICヘッドを接触させ、ICに対するデータの書き込みや読み取り等にかかるIC処理(この処理は、カードにICが搭載されていないので失敗する。)を行わない構成であった。これにより、ICが搭載されていないカードに対する処理時間が、不要なIC処理の実行にともなって増大するのを防止でき、利用者の利便性の向上が図れる。また、ICが搭載されていないカードにICヘッドを当接させないので、不要な接触によるICヘッドの磨耗が抑えられ、ICヘッドの磨耗等による部品寿命の低下を抑えることができる。
【特許文献1】特開平6−266910号公報
【特許文献2】特開平10−21353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカード処理装置は、カード挿入口に挿入されたカードについて、ICが搭載されているかどうかを検出しているだけであり、該カードに磁気ストライプが形成されているかどうかについては検出していなかった。このため、磁気ストライプが形成されていないカードに対して、磁気ストライプに記録されているデータの読み取りや、書き込み等にかかる不要な磁気処理を行うことがあり、磁気ストライプが形成されていないカードに対する処理時間の増大については考慮されておらず、この点で利用者の利便性がよくないという問題があった。
【0005】
また、従来のカード処理装置は、磁気ストライプが形成されていないカードに対して磁気処理を行うことから、磁気ヘッドについては磨耗等による部品寿命の低下が抑えられていないという問題があった。
【0006】
さらに、磁気処理が適正に行えなかったときに、カードに形成されている磁気ストライプが破損しているのか、それともカードに磁気ストライプが形成されていないのか、について判断することができなかった。このため、磁気ストライプが破損しているカードが挿入されたときに、該カードの所有者に対して、磁気ストライプが破損していることを通知することができず、利用者に対するサービスがよくないという問題もあった。
【0007】
この発明の目的は、磁気ストライプが形成されていないICカードや、ICが搭載されていない磁気カードに対して不要な処理を行うのを防止して処理時間を短縮するとともに、磁気ヘッドやICヘッドの磨耗等による部品寿命の低下を抑えることができるカード処理装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明は、カードの磁気ストライプやICが破損している場合に、そのことを通知することができるカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のカード処理装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0010】
(1)カード挿入口に挿入されたカードに磁気ストライプが形成されているかどうかを検出する磁気ストライプ検出手段と、
前記カード挿入口に挿入されたカードにICが搭載されているかどうかを検出するIC検出手段と、
前記磁気ストライプ検出手段が磁気ストライプが形成されていることを検出したカードに対して、該カードの磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りを行う磁気処理手段と、
前記IC検出手段がICが搭載されていることを検出したカードに対して、該カードに搭載されているICに対するデータの書き込みや、読み取りを行うIC処理手段と、
前記磁気処理手段における磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったとき、該カードにおける磁気ストライプが破損していることを出力し、また前記IC処理手段におけるICに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったとき、該カードにおけるICが破損していることを出力する出力手段と、を備えている。
【0011】
この構成では、カード挿入口に挿入されたカードについて、磁気ストライプ検出手段が磁気ストライプの形成されたカードであるかどうかを検出するとともに、IC検出手段がICが搭載されたカードであるかどうかを検出する。磁気処理手段は磁気ストライプ検出手段により磁気ストライプが形成されていることが検出されたカードに対して、そのカードの磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる処理(磁気処理)を行う。また、IC処理手段はIC検出手段によりICが搭載されていることが検出されたカードに対して、そのカードのICに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる処理(IC処理)を行う。これにより、磁気ストライプが形成されていないカードに対して磁気処理を実行したり、またICが搭載されていないカードに対してIC処理を実行したりすることがない。したがって、本体に挿入されたカードに対して不要な処理を実行するのを防止できる。これにより、処理時間が短縮でき、利用者に対するサービスの向上が図れる。また、磁気ヘッドやICヘッドの磨耗による部品寿命の低下を抑えることができる。
【0012】
さらに、出力手段が磁気処理手段における磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったときには、磁気ストライプの破損を出力し、IC処理手段におけるICに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったときには、ICの破損を出力するので、磁気ストライプやICが破損していることを通知することができる。
【0013】
(2)上位装置から磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる要求があったときに、前記カード挿入口に挿入されたカードについて前記磁気ストライプ検出手段が磁気ストライプを検出していなければ、挿入されたカードが磁気ストライプが形成されていないカードであることを上位装置に通知し、また上位装置からICに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる要求があったときに、前記カード挿入口に挿入されたカードについて前記IC検出手段がICを検出していなければ、挿入されたカードがICが搭載されていないカードであることを上位装置に通知する第1の通知手段を備えている。
【0014】
この構成では、第1の通知手段がカード挿入口に挿入されたカードについて、磁気ストライプの形成の有無、およびICの搭載の有無を、上位装置に通知するので、上位装置が不要な要求(磁気ストライプが形成されていないカードに対する磁気データの書き込みや読み取りにかかる要求、ICが搭載されていないカードに対するICへのデータの書き込みや読み取りにかかる要求)を行うのを防止でき、処理時間の一層の短縮が図れる。
【0015】
(3)前記カード挿入口に挿入されたカードについて、上位装置からそのカードの種別の問い合わせがあったとき、前記磁気ストライプ検出手段および前記IC検出手段の検出結果に基づいて、該カードにおける磁気ストライプおよびICの有無を通知する第2の通知手段を備えている。
【0016】
この構成では、上位装置からカードの種別の問い合わせがあったときに、該カードについて磁気ストライプ形成の有無、およびIC搭載の有無を上位装置に通知する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、本体に挿入されたカードに対して不要な処理を実行することがなく、処理時間の短縮が図れ、利用者に対するサービスの向上が図れる。また、磁気ヘッドやICヘッドの磨耗による部品寿命の低下を抑えることができる。さらに、磁気ストライプやICが破損していることを通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態であるカード処理装置について詳細に説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施形態であるカード処理装置の構成を示すブロック図であり、図2はこの実施形態のカード処理装置の構成を示す概略図である。図2(A)は、この発明の実施形態であるカード処理装置の概略の側面断面図であり、図2(B)はカード挿入口の概略の上面断面図である。この実施形態のカード処理装置1は、本体の動作を制御する制御部2と、カード挿入口に挿入された物体の幅が処理対象のカードと略同じ幅であるかどうかを検出する幅検出部3と、カード挿入口に挿入された物体に磁気ストライプが形成されているかどうかを検出する磁気ストライプ検出部4と、カード挿入口に挿入された物体にICが搭載されているかどうかを検出するIC検出部5と、カード以外の物体がカード挿入口から本体内部に挿入されるのを制限するシャッタ6aを開閉するシャッタ開閉部6と、カード挿入口に挿入されたカードを搬送して本体内部に取り込んだり、本体内部に取り込んだカードをカード挿入口へ排出するカード搬送部7と、本体に取り込んだカードに形成されている磁気ストライプに対するデータの書き込みや読み取りにかかる処理(以下、磁気処理と言う。)を行う磁気処理部8と、本体に取り込んだカードに搭載されているICに対するデータの書き込みや読み取りにかかる処理(以下、IC処理と言う。)を行うIC処理部9と、上位装置20との通信を制御する通信部10と、を備えている。
【0020】
カード挿入口には、挿入された物体の幅を検出するために幅検出センサ3aが配置されている。この幅検出センサ3aは、カード挿入口の一方の側部に設けられており、カード挿入口に挿入された物体に押圧されたときに(図2(B)における左方向に押圧されたときに)オンし、押圧されていないときにオフするセンサである。カード挿入口の幅は、処理対象のカードの幅と略同じ幅であり、幅検出センサ3aはカード挿入口に挿入された処理対象のカードの一方の側部により押圧される位置に配置されている。幅検出部3はこの幅検出センサ3aを有し、この幅検出センサ3aのオン/オフにより、処理対象のカードと略同じ幅の物体がカード挿入口に挿入されたかどうかを検出する。
【0021】
また、カード挿入口には、カード挿入口から挿入された物体に磁気ストライプが形成されているかどうかを検出する磁気ストライプ検出センサ4aが配置されている。この磁気ストライプ検出センサ4aは、磁気データを読み取る公知の磁気ヘッド(読取専用の磁気ヘッド)である。磁気ストライプ検出部4は、カード挿入口に挿入された物体が磁気ストライプ検出センサ4aを通過するときに、この磁気ストライプ検出センサ4aにより磁力の変化を検出したかどうかにより、今回挿入された物体に磁気ストライプが形成されているかどうかを検出する。磁気ストライプ検出センサ4aは、磁気ストライプが形成された処理対象のカードがカード挿入口から挿入されたときに、このカードに形成されている磁気ストライプが通過する位置に配置している。
【0022】
さらに、カード挿入口には、カード挿入口から挿入された物体にICが搭載されているかどうかを検出するIC検出センサ5aが配置されている。このIC検出センサ5aは、金属の有無を検出する所謂金属センサであり、カード挿入口から挿入された物体の表面にIC接点があるかどうかを検出するセンサである。IC検出センサ5aは具体的にはコイルであり、IC検出部5はカード挿入口に挿入された物体がIC検出センサ5aを通過するときに、このIC検出センサ5aにおいて電磁結合が生じたかどうかにより、挿入されたカードにICが搭載されているかどうかを検出する。IC検出センサ5aは、ICが搭載された処理対象のカードがカード挿入口から挿入されたときに、このカードに搭載されているICの接点が通過する位置に対向させて配置している。
【0023】
図2に示すように、幅検出センサ3a、磁気ストライプ検出センサ4a、およびIC検出センサ5aは、カード挿入口に設けたシャッタ6aよりも手前側(挿入側)に配置している。シャッタ開閉部6は、カード挿入口から異物が挿入されたり、本体内部に塵や埃が入るの防止するために、通常シャッタ6aを閉している。シャッタ開閉部6は、幅検出部3においてカード挿入口にカードと略同じ幅の物体が挿入されたことが検出され、且つ磁気ストライプ検出部4によりこの物体に磁気ストライプが形成されていることが検出されるか、またはIC検出部5によりこの物体にICが搭載されていることが検出されると、シャッタ6aを開する。
【0024】
図2に示す、7a〜7dはカード挿入口から挿入されたカードを挟持して搬送する搬送ローラである。搬送ローラ7a〜7dは、図示するように、カード挿入口から挿入されたカードの搬送方向に並べられている。カード搬送部7は、搬送ローラ7a〜7dをカードを本体内部に取り込む方向、またはカードを本体内部から排出する方向に駆動する。また、図2に示す7x〜7zは、カードの位置を検出する位置検出センサである。位置検出センサ7x〜7zは、カードの搬送路を挟んで発光部と、受光部とを対向させて配置した光センサである。カード搬送部7は、搬送路におけるカードの位置を位置検出センサ7x〜7zにより検出し、該カードの搬送を制御する。
【0025】
磁気処理部8は、カード挿入口から挿入されたカードに形成されている磁気ストライプに磁気ヘッド8aを当接させ、該磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りや行う。磁気ヘッド8aはカードに形成されている磁気ストライプに当接する位置に取り付けられている。IC処理部9は、カード挿入口から挿入されたカードの表面に形成されているIC接点にICヘッド9aを当接させ、このカードに搭載されているICに対するデータの書き込みや、読み取りや行う。IC処理部9は、ICヘッド9aを挿入されたカードから離間させた位置と、挿入されたカードの表面に形成されているIC接点に当接させた位置と、の間で駆動する。IC処理部9は、通常ICヘッド9aをカードから離間させた位置に保持している。
【0026】
通信部10は、上位装置20との間における通信を制御する。上位装置20は、この実施形態のカード処理装置1が適用される装置であり、例えば金融機関の店舗に設置されているATMやCDである。
【0027】
次に、この実施形態のカード処理装置1の動作について説明する。図3は、この実施形態のカード処理装置の動作を示すフローチャートである。カード処理装置1は、カード挿入口から本体にカードが挿入されていないとき、シャッタ開閉部6によりシャッタ6aを閉している。また、カード搬送部7は搬送ローラ7a〜7dを停止している。磁気ヘッド8a、およびICヘッド9aは、カード搬送部7が搬送するカードに当接しない位置に保持されている。
【0028】
カード処理装置1は、幅検出部3において幅検出センサ3aがオンしたことを検出すると(s1)、カード、もしくはカードと略同じ幅の物体がカード挿入口に挿入されたと判定する。カード処理装置1は、この時点では、まだシャッタ6aを開しない。カード処理装置1は、幅検出センサ3aがオンした後、磁気ストライプ検出部4において今回挿入された物体に磁気ストライプが形成されていることが検出されるか、またはIC検出部5において今回挿入された物体にICが搭載されていることが検出されるの待つ(s2、s3)。
【0029】
カード処理装置1は、カード挿入口から今回挿入された物体に磁気ストライプが形成されていることが検出された場合、またはICが搭載されていることが検出された場合に、シャッタ6aを開する(s4)。言い換えれば、カード挿入口から今回挿入された物体に磁気ストライプが形成されておらず、且つICも搭載されていなければ、シャッタ6aを開しない。言い換えれば、その幅がカードと略同じであっても、磁気ストライプが形成されておらず、且つICも搭載されていないカードでない物体については、シャッタ6aを開して本体内部に取り込むことはない。また、磁気ストライプが形成されていても、その幅がカードと略同じ幅でない物体や、ICが搭載されていても、その幅がカードと略同じ幅でない物体がカード挿入口に挿入されたときもシャッタ6aを開しない。したがって、カードでない物体が本体に挿入されるのを略確実に防止できる。
【0030】
カード処理装置1は、s4でシャッタ6aを開すると、カード搬送部7により搬送ローラの駆動を開始する(s5)。カード処理装置1は、カード挿入口から今回挿入されたカードを搬送ローラで挟持し、本体奥へ(図2(A)における右方向に)搬送する。カード処理装置1は、今回挿入されたカードに磁気ストライプが形成されていることが磁気ストライプ検出部4により検出されていなければ、今回挿入されたカードが磁気ストライプが形成された磁気カードでないことを通信部10から上位装置に通知する(s6、s10)。上位装置20は、この通知により今回挿入されたカードが磁気カードでないことを認識する。このとき、カード処理装置1は、ICヘッド9aを搬送しているカードから離間させた位置に保持した状態で、該カードの先端が位置検出センサ7zに検出される位置まで搬送し、この位置でカードの搬送を一時停止する。一方、s6で今回挿入されたカードが磁気ストライプの形成された磁気カードであると(磁気ストライプ検出部4により磁気ストライプが検出されていると)、該カードの磁気ストライプに対する磁気データの書き込みや、読み取りにかかる磁気処理を行う(s6、s7)。
【0031】
ここで、s7にかかる磁気処理について説明する。この磁気処理には、磁気ストライプに記録されているデータを読み取る読取処理、および磁気ストライプに対して磁気データを書き込む書込処理の2つの処理がある。
【0032】
なお、カード処理装置1は、カードに対して必要に応じて読取処理、または書込処理を行う。
【0033】
まず、読取処理について説明する。図4は、磁気ストライプに記録されている磁気データを読み取る読取処理を示すフローチャートである。ここでは、カード処理装置1は、今回挿入されたカードを本体奥へ搬送しているものとする。カード処理装置1は、カードが磁気データの読取開始位置に達するのを待つ(s21)。この磁気データの読取開始位置は、位置検出センサ7yによりカードの先端が検出される位置である。カード処理装置1は、位置検出センサ7yがカードの先端を検出すると(カードが読取位置に達すると)、カード搬送部7において該カードの搬送を停止することなく、一定速度で搬送しながら該カードに形成されている磁気ストライプに記録されているデータの読み取りを開始する(s22)。s22で開始するデータの読み取りは、カードの磁気ストライプに当接している磁気ヘッド8aにより行われる。
【0034】
カード処理装置1は、その後カードが読取完了位置に達するのを待って(s23)、磁気処理部8による磁気ストライプに記録されているデータの読み取りを終了するとともに、カード搬送部7によるカードの搬送を停止する(s24、s25)。読取完了位置は、位置検出センサ7zによりカードの先端が検出される位置である。カード処理装置1は、s25でカードの搬送を停止すると、磁気ストライプからのデータの読み取りにかかる処理を終了する。
【0035】
なお、位置検出センサ7yは、図2(A)に示すように、磁気ヘッド8aよりも少しカード挿入口側に位置している。したがって、カードを本体奥側に搬送している場合には、位置検出センサ7yによりカードの先端を検知してから磁気ストライプに記録されているデータの読み取りを開始しても何ら問題は生じない。また、磁気ヘッド8aと位置検出センサ7zとの間隔はカードの搬送方向の長さよりも少し長い。したがって、カードを本体奥側に搬送している場合には、位置検出センサ7zによりカードの先端が検出された時点で、磁気ストライプに対するデータの読み取りを終了しても何ら問題は生じない。
【0036】
次に、磁気ストライプに対してデータを書き込む書込処理について説明する。図5は、この書込処理を示すフローチャートである。この実施形態のカード処理装置1は、カードを正転搬送している状態で磁気ストライプにデータを書き込む。ここでは、カードに対して図4に示した読取処理が行われ、位置検出センサ7zがカードの先端を検出している状態で、該カードの搬送が停止しているものとする。カード処理装置1は、カード搬送部7が搬送ローラを逆転駆動し、カードをカード挿入口側へ搬送する逆転搬送を開始する(s31)。カード処理装置1は、カードの先端が位置検出センサ7yの検出位置よりもカード挿入口側に位置するまで逆転搬送を行う。カード処理装置1は、カードの先端が位置検出センサ7yの検出位置よりもカード挿入口側に達すると(s32)、カードの逆転搬送を停止する(s33)。そして、カードの正転搬送を開始するとともに(s34)、磁気処理部8による磁気ストライプに対する磁気データの書込を開始する(s35)。この書き込み処理は、位置検出センサ7yがカードの先端を検出した位置を基準にして行う。
【0037】
カード処理装置1は、s35で磁気処理部8が磁気ストライプに対する磁気データの書込を開始すると、カードが書込完了位置に達するのを待って(s36)、該カードに対する磁気データの書込を停止する(s37)。カード処理装置1は、s37で磁気データの着込を停止すると、カード搬送部7によるカードの搬送を停止する(s38)。
【0038】
さらに、カード処理装置1は、カード搬送部7により搬送ローラを逆転駆動し、カードをカード挿入口側へ搬送する逆転搬送を開始する(s39)。カード処理装置1は、カードが読取開始位置に達するのを待って(s40)、該カードの磁気ストライプに記録されているデータ、すなわち直前に書き込んだデータの読み取りを開始する(s41)。 カード処理装置1は、その後カードが読取完了位置に達するのを待って(s42)、磁気処理部8による磁気ストライプに記録されているデータの読み取りを終了するとともに、カード搬送部7によるカードの搬送を停止する(s43、s44)。そして、今回の磁気ストライプに対するデータの書き込みが適正に行われたかどうかを判定し(s45)、適正に行われていれば本処理を終了する。一方、今回の磁気ストライプに対するデータの書き込みが適正に行われていなければ、磁気ストライプに対するデータの書き込みを再度行うリトライ処理を行い(s46)、本処理を終了する。s46にかかるリトライ処理では、上記s31〜s45にかかる処理をもう一度実行する。また、s45では、今回磁気ストライプに書き込んだデータと、その後に磁気ストライプから読み取ったデータと、が一致していれば、今回の磁気ストライプに対するデータの書き込みが適正に行われたと判定する。
【0039】
カード処理装置1は、s7にかかる磁気処理を完了すると、今回の磁気処理が適正に行われたかどうか、具体的には磁気データの読取不良や、書込不良の発生により磁気処理が適正に行えなかったかどうかを判断し(s8)、適正に行われていなければ、通信部10から上位装置20に対して、磁気ストライプが破損している可能性が高いことを通知する(s9)。
【0040】
このように、この実施形態のカード処理装置1は、磁気ストライプが形成されていないカードであるか、磁気ストライプが破損しているカードであるかを区別して、上位装置20に通知することができる。したがって、上位装置20では、磁気ストライプが破損している可能性が高いことを、該カードの所有者に知らせることができる。また、カード挿入口から挿入されたカードに磁気ストライプが形成されていなければ、該カードに対して磁気処理を行わないので、本体に挿入されたカードに対して不要な処理を実行することがなく、処理時間の短縮が図れ、利用者に対するサービスの向上が図れるとともに、不要な磁気処理を実行しないので、磁気ストライプが形成されていないカードを磁気ヘッド8aに当接させて搬送する搬送回数を抑えることができ、磁気ヘッド8aの磨耗による部品寿命の低下を抑えることができる。
【0041】
また、カード処理装置1は、今回挿入されたカードにICが搭載されていなければ、通信部10から今回挿入されたカードがICカードでないことを上位装置20に通知する(s11、s15)。一方、カード処理装置1は、今回挿入されたカードにICが搭載されていると、該カードに搭載されているICに記憶されているデータの読み取りや、ICに対するデータの書き込みにかかるIC処理を行う(s11、s12)。
【0042】
ここで、s12にかかるIC処理について説明する。図6は、このIC処理を示すフローチャートである。ここでは、カードはその先端が位置検出センサ7zにより検出された位置で停止されているものとする。カード処理装置1は、カード搬送部7が搬送ローラを逆転駆動し、カードをカード挿入口側へ搬送する逆転搬送を開始する(s51)。このとき、磁気ヘッド8aおよびICヘッド9aは、カードから離間する位置に保持されており、搬送されているカードに当接していない。カード処理装置1は、カードがIC処理位置に達するのを待って(s52)、カードの搬送停止する(s53)。このIC処理位置は、位置検出センサ7yによりカードの先端が検出される位置である。カード処理装置1は、s53でカードの搬送を停止すると、ICヘッド9aをカードに当接する位置に駆動する(s54)。これにより、ICヘッド9aがカードのIC接点に押圧され、ICヘッド9aとカードに形成されているIC接点とが電気的に接続される。
【0043】
カード処理装置1は、ICヘッド9aを介してカードのICに駆動電源を供給し、該カードのICを活性化する(s55)。カード処理装置1は、カードのICを活性化すると、該カードのICに対するデータの書き込みや、読み取りにかかるデータ処理を実行する(s56)。s56にかかる処理は、ICヘッド9aを介した通信により行われる。カード処理装置1は、s56にかかるデータ処理を完了すると、カードのICに対する電源供給を停止する非活性化処理を行い(s57)、ICヘッド9aをカードから離間する位置に駆動し(s58)、本処理を終了する。
【0044】
カード処理装置1は、s12にかかるIC処理を完了すると、今回のIC処理が適正に行えたかどうかを判定する(s13)。カード処理装置1は、s55にかかる活性化処理、s56にかかるデータ処理、s57にかかる非活性化処理等の実行中に問題が発生すれば、リトライを行い、発生した問題が解決しなければICに対する処理を中断する。カード処理装置1は、今回のIC処理が適正に行われていなければ(ICに対する処理を途中で中断していれば)、通信部10から上位装置20に対して、カードのICが破損している可能性が高いことを通知する(s14)。そして、カード処理装置1は、搬送ローラを逆転駆動し、カードをカード挿入口側へ搬送し、排出する(s16)。
【0045】
このように、この実施形態のカード処理装置1は、ICが搭載されていないカードであるか、ICが破損しているカードであるかを区別して、上位装置20に通知することができる。したがって、上位装置20では、ICが破損している可能性が高いことを、該カードの所有者に知らせることができる。また、カード挿入口から挿入されたカードにICが搭載されていなければ、該カードに対してIC処理を行わないので、本体に挿入されたカードに対して不要な処理を実行することがなく、処理時間の短縮が図れ、利用者に対するサービスの向上が図れる。さらに、ICが搭載されていないカードに対してICヘッド9aを当接しないので、ICヘッド9aの磨耗による部品寿命の低下を抑えることができる。
【0046】
また、上記実施形態では、カード処理装置1がカード挿入口から挿入されたカードに磁気ストライプが形成されていれば磁気処理を行い、ICが搭載されていればIC処理を行うとしたが、図7、図8に示すように、カードが挿入されたときに、カード挿入口から挿入されたカードに磁気ストライプが形成されているかどうか、およびICが搭載されているかどうかを上位装置20に通知し、上位装置20から磁気処理、またはIC処理の要求があったときに、その処理を行うようにしてもよい。
【0047】
なお、図7、図8では、図3と同じ処理については同じステップ番号(s**)を付している。
【0048】
この実施形態のカード処理装置1は、上述したs1〜s5にかかる処理を完了すると、通信部10から上位装置20に対して、今回挿入されたカードの種別を通知する(s61)。s61では、磁気ストライプが形成されているかどうか、およびICが搭載されているかどうかを上位装置20に通知する。カード処理装置1は、s61にかかる通知の完了後、上位装置20から磁気処理、IC処理、またはカードの排出要求があるのを待つ(s62〜s64)。カード処理装置1は、上位装置20から磁気処理の要求があると、s6〜s10の処理を実行する。また、上位装置20からIC処理の要求があるとs11〜s15の処理を実行する。さらに、上位装置20から今回挿入されたカードの排出要求があると、s16でカードを排出し、本処理を終了する。
【0049】
また、図7、図8では、カード処理装置1から上位装置20に対して無条件に今回挿入されたカードの種別を通知するとしたが、上位装置20から今回挿入されたカードの種別の問い合わせがあったときに、s61にかかるカードの種別を通知する処理を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施形態であるカード処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態であるカード処理装置の概略の構造を示す図である。
【図3】この発明の実施形態であるカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施形態であるカード処理装置の磁気処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施形態であるカード処理装置の磁気処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施形態であるカード処理装置のIC処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1−カード処理装置
2−制御部
3−幅検出部
3a−幅検出センサ
4−磁気ストライプ検出部
4a−磁気検出センサ
5−IC検出部
5a−IC検出センサ
6−シャッタ開閉部
7−カード搬送部
8−磁気処理部
8a−磁気ヘッド
9−IC処理部
9a−ICヘッド
10−通信部
20−上位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口に挿入されたカードに磁気ストライプが形成されているかどうかを検出する磁気ストライプ検出手段と、
前記カード挿入口に挿入されたカードにICが搭載されているかどうかを検出するIC検出手段と、
前記磁気ストライプ検出手段が磁気ストライプが形成されていることを検出したカードに対して、該カードの磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りを行う磁気処理手段と、
前記IC検出手段がICが搭載されていることを検出したカードに対して、該カードに搭載されているICに対するデータの書き込みや、読み取りを行うIC処理手段と、
前記磁気処理手段における磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったとき、該カードにおける磁気ストライプが破損していることを出力し、また前記IC処理手段におけるICに対するデータの書き込みや、読み取りが適正に行われなかったとき、該カードにおけるICが破損していることを出力する出力手段と、を備えたカード処理装置。
【請求項2】
上位装置から磁気ストライプに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる要求があったときに、前記カード挿入口に挿入されたカードについて前記磁気ストライプ検出手段が磁気ストライプを検出していなければ、挿入されたカードが磁気ストライプが形成されていないカードであることを上位装置に通知し、また上位装置からICに対するデータの書き込みや、読み取りにかかる要求があったときに、前記カード挿入口に挿入されたカードについて前記IC検出手段がICを検出していなければ、挿入されたカードがICが搭載されていないカードであることを上位装置に通知する第1の通知手段を備えた請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記カード挿入口に挿入されたカードについて、上位装置からそのカードの種別の問い合わせがあったとき、前記磁気ストライプ検出手段および前記IC検出手段の検出結果に基づいて、該カードにおける磁気ストライプおよびICの有無を通知する第2の通知手段を備えた請求項1、または2に記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−85361(P2006−85361A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268537(P2004−268537)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】