説明

カード処理装置

【課題】カードを搬送するローラの交換作業を行う場合に、当該ローラ以外の部分についての取り外しや取り付け作業が不要なカード処理装置を提供する。
【解決手段】カードを搬送するためのローラ30aは、ローラ本体34と、このローラ本体34を回転させるシャフト50を取り付けるための取付部31とから構成される。 取付部31には、留めネジ60が挿入される貫通孔32と、シャフト50の軸方向と略垂直な方向に形成された切り欠き部33aとを設ける。切り欠き部33aにシャフト50の端部が係合した状態で、貫通孔32に挿入された留めネジ60により、シャフト50を取付部31に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置等に搭載されるカード処理装置に関し、特に、カードを搬送するためのローラの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automatic Teller Machine)に代表される自動取引装置等には、取引に使用されるカードを取り扱うためのカード処理装置が搭載されている。このカード処理装置は、例えば、カードの表面にIC(Integrated Circuit)チップの端子(以下「IC端子」という。)を備えたICカードや、カードの表面に磁気ストライプを備えた磁気カード、あるいは、カードの表面にIC端子を備えるとともに、その裏面に磁気ストライプを備えたIC/磁気併用型カードが利用可能な構成となっている。
【0003】
IC/磁気併用型カードが利用可能なカード処理装置の内部は、例えば、図15に示すような構造になっている。図15に示すカード処理装置200において、201は、カード300を挿入するための挿入口である。202は、カード処理装置200の内部にカード300を搬送する際の搬送路である。203は、カード300を搬送するためのローラである。また、204は、カード300のIC端子(図示省略)に接触することでデータの読出しや書込みを行うIC接点部である。205は、カード300の磁気ストライプ(図示省略)に接触することでデータの読出しや書込みを行う磁気ヘッドである。
【0004】
ここで、カード300の挿入方向は、図中のIで示される方向であり、以下、「挿入方向I」と記載する。同様に、カード処理装置200の左側面方向は、図中のLで示される方向であり、以下、「左方向L」と記載する。カード処理装置200の右側面方向は、図中のRで示される方向であり、以下、「右方向R」と記載する。
【0005】
また、カード300の排出方向は、挿入方向Iと反対の方向、つまり、図中のOで示される方向であり、以下、「排出方向O」と記載する。さらに、挿入方向I−排出方向O、および、左方向L−右方向Rとそれぞれ直交する上向きの方向は、図中のUで示される方向であり、以下、「上方向U」と記載する。同様に、挿入方向I−排出方向O、および、左方向L−右方向Rとそれぞれ直交する下向きの方向は、図中のDで示される方向であり、以下、「下方向D」と記載する。
【0006】
さらに、以下の説明において参照する図では、同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。
【0007】
上述したローラ203は、例えば、図16に示す状態でカード処理装置200の内部に取り付けられている。図16は、図15中のA−A´におけるカード処理装置200の断面を示した図である。
【0008】
図16において、FRは、カード処理装置200の右方向Rにおけるフレームである。FLは、カード処理装置200の左方向Lにおけるフレームである。500は、ローラ203を回転させるためのシャフトである。600は、シャフト500に対して、モータ(図示省略)の回転力を伝達するためのプーリである。プーリ600には、上述したモータの回転力を伝達するためのベルト(図示省略)が架けられている。一点鎖線Nは、右方向R−左方向Lにおけるカード処理装置200の中心位置を示している。
【0009】
尚、図16において、搬送路202に対して上方向Uに位置するシャフト500には、搬送路202に対して下方向Dに位置するシャフト500と同様に、プーリ600を取り付けてもよいし、当該プーリ600を取り付けなくてもよい。よって、当該シャフト500のローラ203が取り付けられていない方の端部については、図示を省略している。
【0010】
上述したローラ203は、例えば、図17に示すような構造になっている。図17において、ローラ203は、ローラ本体74と、シャフト500を取り付けるための取付部71とからなる。72は、シャフト500と取付部71を固定するための留めネジ80が挿入される一対の貫通孔である。留めネジ80の表面には、雄ネジ(図示省略)が形成されている。73は、シャフト500が挿入される孔である。
【0011】
シャフト500において、91は、貫通孔72を介して留めネジ80が挿入される貫通孔である。貫通孔91の内部には、上述した留めネジ80の表面の雄ネジに対応した雌ネジ(図示省略)が形成されている。92は、プーリ600(図16)に形成された係合部(図示省略)と係合する係合突起である。
【0012】
以上の構成からなるローラ203は、カード300の挿入/排出動作が繰り返し行われることにより、次第に汚損され、磨耗していく。このため、ローラ203が汚損または磨耗した場合は、当該ローラ203の交換作業を行わなければならない。
【0013】
ローラ203の交換作業を行う場合は、古いローラ203をシャフト500から取り外した後、新しいローラ203を当該シャフト500に取り付ける。ローラ203の取り外し作業においては、留めネジ80を回転させて、留めネジ80の表面の雄ネジと、シャフト500の貫通孔91内部の雌ネジとの嵌合状態を解き、その後、貫通孔72および貫通孔91から留めネジ80を上方向Uへ取り外す。なお、留めネジ80が下側から貫通孔72に挿入されている場合は、留めネジ80の取り外し方向は、下方向Dである。
【0014】
留めネジ80を取り外した後は、プーリ600(図16)に架けられているベルト(図示省略)を取り外し、その後、シャフト500をローラ203の孔73から左方向Lに引き抜くとともに、フレームFLに形成されている貫通孔(図示省略)からシャフト500を引き抜く。ローラ203の取付け作業は、上述の取り外し作業と逆の順番で行われる。
【0015】
このように、ローラ203をシャフト500から取り外す場合、プーリ600に架けられているベルトを取り外す必要があり、ローラ203をシャフト500に取り付けた後は、当該プーリ600から外したベルトを架け直して、当該ベルトの張り具合を調整しなければならない。つまり、ローラ203の交換作業において、当該ローラ203以外の部分についても、取り外しや取り付け作業を行う必要があるため、多くの時間と手間が掛かっていた。これに対して、後掲の特許文献1および非特許文献1には、ローラ203の交換作業を容易に行うためのカード処理装置が記載されている。
【0016】
図16において上記特許文献1に記載された構成を採用した場合、カード処理装置200は、図18に示すような構成となる。詳しくは、図18において、カード処理装置200のフレームFLの内側(カード処理装置200の内部)には、右方向Rに延びた支柱700が設けられ、当該支柱700の一端部には、上方向Uに延びた保持部材800が、ネジ(図示省略)等によって取り付けられている。保持部材800は、ローラ203を貫通したシャフト500を保持する役割を担っている。
【0017】
このため、支柱700から保持部材800を取り外すことにより、ローラ203を、シャフト500から右方向Rに引き抜くことが出来るため、シャフト500を左方向Lに引き抜くことなく、当該ローラ203のみを交換することが出来る。
【0018】
図16において上記非特許文献1に記載された構成を採用した場合、カード処理装置200は、当該カード処理装置200の中心部(一点鎖線N)から右方向Rと左方向Lに向かって2つに分解することが出来る。これにより、ローラ203が外部に露出するため、シャフト500を左方向Lに引き抜くことなく、当該ローラ203のみを交換することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−161015号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】OMRON TECHNICS Vol.44 No.1(通巻149号)2004,第75〜79頁「次世代カードリーダ・ライタ(V2Xシリーズ)の開発」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、図16において上記特許文献1または非特許文献1に記載されたいずれの構成を採用した場合でも、依然として、ローラ203以外の部分についての取り外しや取り付け作業は必要である。
【0022】
本発明は、上述した問題点に鑑み、カードを搬送するローラの交換作業を行う場合に、当該ローラ以外の部分についての取り外しや取り付け作業が不要なカード処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、カードを搬送するためのローラを備え、ローラは、ローラ本体と、このローラ本体を回転させるシャフトを取り付けるための取付部とから構成されるカード処理装置において、取付部に、固定部材が挿入される貫通孔と、シャフトの軸方向と略垂直な方向に形成された切り欠き部とを設け、切り欠き部にシャフトの端部が係合した状態で、貫通孔に挿入された固定部材により、シャフトを取付部に固定したものである。
【0024】
このようにすることで、ローラをシャフトから取り外す場合、シャフトを軸方向に移動させて、切り欠き部や、フレームに形成されたシャフト支持用の貫通孔から引き抜く必要がなく、シャフトをそのままにして、ローラだけを簡単に取り外すことができる。このため、シャフトにプーリが取り付けられている場合でも、当該プーリに架けられているベルトを取り外す必要がない。また、ローラをシャフトに取り付けた後、プーリから外したベルトを架け直して、当該ベルトの張り具合の調整を行わなくてもよい。したがって、ローラ以外の部分についての取り外しや取り付け作業を要することなく、ローラの交換作業を行うことが出来る。
【0025】
本発明では、切り欠き部の形成方向が、シャフトの軸方向および固定部材の挿入方向と略垂直な方向であってもよい。これによると、ローラを固定部材の挿入方向と略垂直な方向へ取り外すことが容易となる。
【0026】
本発明では、切り欠き部の両端に開口が形成されていてもよい。これによると、ローラを2方向のいずれにも引き抜くことが出来る。
【0027】
本発明では、切り欠き部の形成方向が、シャフトの軸方向と略垂直で、かつ固定部材の挿入方向と略平行な方向であってもよい。これによると、切り欠き部の形成方向と固定部材の挿入方向とが一致しているため、固定部材を取り外した後、ローラを回転させて切り欠き部の形成方向を固定部材の挿入方向に合わせる必要がなく、直ちにローラを引き抜くことが出来る。
【0028】
本発明では、貫通孔の形状を、当該貫通孔に挿入された固定部材が取付部に埋入される形状としてもよい。これによると、露出した固定部材が搬送路を移動するカードの表面に触れて、カードが損傷されるのを防止することが出来る。
【0029】
本発明では、ローラ本体の一部に、シャフトの端部を収容する凹部を形成してもよい。これによると、シャフトをローラ本体に容易に位置決めすることができ、固定部材の押圧力がシャフトに加わっても、シャフトの中心軸とローラ本体の中心軸との間にずれが生じるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、シャフトをそのままにしてローラを取り外すことができるので、ローラの交換作業を行う場合に、当該ローラ以外の部分についての取り外しや取り付け作業が不要なカード処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】カードの挿入方向から見たカード処理装置の外観図である。
【図2】下部フレームの上面図である。
【図3】第1実施形態のローラの構造を示した分解斜視図である。
【図4】第1実施形態のローラの構造を示した分解側面図である。
【図5】第1実施形態のローラの構造を示した組立斜視図である。
【図6】第1実施形態のローラの構造を示した組立側面図である。
【図7】第2実施形態のローラの構造を示した分解斜視図である。
【図8】第2実施形態のローラの構造を示した分解側面図である。
【図9】第3実施形態のローラの構造を示した分解斜視図である。
【図10】第3実施形態のローラの構造を示した分解側面図である。
【図11】第4実施形態のローラの構造を示した分解斜視図である。
【図12】第4実施形態のローラの構造を示した分解側面図である。
【図13】第5実施形態のローラの構造を示した分解側面図および組立側面図である。
【図14】第6実施形態のローラの構造を示した分解側面図および組立側面図である。
【図15】従来のカード処理装置の内部を示した図である。
【図16】従来のカード処理装置の断面図である。
【図17】従来のローラの構造を示した分解斜視図である。
【図18】従来の他のカード処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態であるカード処理装置100の外観図である。図1に示されるカード処理装置100は、下部フレーム10と、上部フレーム20とから構成されており、ヒンジ部16を中心として上部フレーム20を回動させることにより、上下に分割可能な構造となっている。図2は、下部フレーム10の上面図である。
【0034】
図1および図2に示す下部フレーム10において、11a〜11dは、カード300を搬送するためのローラ(図示省略)が収容される貫通孔である。尚、ローラの詳細については後述する。図1の下部フレーム10において、12a〜12dは、各ローラを回転させるためのシャフト(図示省略)が挿入される貫通孔である。尚、当該シャフトの詳細については後述する。
【0035】
図1および図2に示す下部フレーム10において、13は、カード処理装置100内部にカード300を搬送する際の搬送路である。14aおよび14bは、搬送路13内におけるカード300の挿入方向I−排出方向Oの位置を検知するセンサ(図示省略)が収容される孔である。15は、カード300の磁気ストライプ(図示省略)に接触することでデータの読出しや書込みを行う磁気ヘッド(図示省略)が収容される孔である。
【0036】
カード処理装置100に取り付けられるローラの構造は、例えば、図3の斜視図および図4の側面図に示す通りである。図3および図4において、ローラ30aは、ローラ本体34と、当該ローラ本体34を回転させるシャフト50を取り付けるための取付部31とからなる。
【0037】
取付部31は、例えば、円柱状の金属部材から構成される。32は、シャフト50と取付部31を固定するための固定部材である留めネジ60が挿入される一対の貫通孔である。留めネジ60の表面には、雄ネジ(図示省略)が形成されている。33aは、取付部31に形成された切り欠き部、36は、切り欠き部33aの開口である。
【0038】
切り欠き部33aの形成方向は、シャフト50の軸方向(図3ではL−R方向)および留めネジ60の挿入方向(図3ではU−D方向)と略垂直な方向(図3ではI−O方向)である。
【0039】
円柱形のローラ本体34の外周には、カード表面に接触してカードに搬送力を伝達するためのウレタンゴム等の弾性部材34aが設けられている。ローラ30aは、取付部31にシャフト50が取り付けられた状態(図5参照)において、シャフト50の軸を中心として、シャフト50と一体に回転する。
【0040】
シャフト50において、51は、貫通孔32を介して留めネジ60が挿入される貫通孔である。貫通孔51の内部には、上述した留めネジ60の表面の雄ネジに対応した雌ネジ(図示省略)が形成されている。
【0041】
取付部31に形成された切り欠き部33aに、シャフト50の端部が係合した状態で、取付部31の貫通孔32に挿入された留めネジ60を締めることにより、留めネジ60がシャフト50の貫通孔51へ嵌合し、シャフト50が取付部31に固定される。この状態を、図5および図6に示す。
【0042】
52は、シャフト50に対してモータ(図示省略)の回転力を伝達するためのプーリ(図示省略)に形成された係合部(図示省略)と係合する係合突起である。尚、シャフト50に取付けられるプーリは、例えば、図16に示すプーリ600と同様のものであり、取り付けた状態も図16と同様である。
【0043】
以上の構成からなるローラ30aの交換作業を行う場合は、古いローラ30aをシャフト50から取り外した後、新しいローラ30aを当該シャフト50に取り付ける。尚、以下においては、貫通孔11c(図1)に収容されているローラ30aの交換作業の詳細について述べる。尚、貫通孔11a,11b,11dに収容されているローラ30aの交換作業の詳細については、以下に述べるローラ30aの交換作業と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
ローラ30aの取り外し作業においては、まず、下部フレーム10を上から見て、貫通孔11cから留めネジ60が見えるように、当該ローラ30aを手で回転させる。
【0045】
続いて、貫通孔11cから見える留めネジ60を工具を用いて回転させて、留めネジ60の表面の雄ネジと、シャフト50の貫通孔51内部の雌ネジとの嵌合状態を解き、その後、貫通孔32から留めネジ60を上方向Uへ取り外す。
【0046】
そして、留めネジ60を取り外した後は、切り欠き部33aの形成方向が、U−D方向に対して略平行となるように、すなわち、切り欠き部33aの開口36が下方向D(または上方向U)を向くように、再度ローラ30aを回転させ、その後、ローラ30aを上方向U(または下方向D)に引き抜く。ローラ30aの取付け作業は、上述の取り外し作業と逆の順番で行われる。
【0047】
このように、上述した実施形態においては、古いローラ30aの交換作業を行う場合、下部フレーム10の貫通孔11cから留めネジ60が見えるように、当該ローラ30aを回転させ、留めネジ60を取り外す。留めネジ60を取り外した後、切り欠き部33aの開口36が下方向D(または上方向U)を向くように、再度ローラ30aを回転させ、その後、ローラ30aを上方向U(または下方向D)に引き抜く。そして、新しく用意したローラ30aを、上記手順とは逆の順番でシャフト50に取付けることにより、ローラ30aの交換作業が完了する。
【0048】
したがって、ローラ30aをシャフト50から取り外す場合、シャフト50を、左方向Lに移動させて切り欠き部33aや貫通孔12cから引き抜く必要がなく、シャフト50をそのままにして、ローラ30aだけを簡単に取り外すことができる。このため、シャフト50に取り付けられているプーリ(図示省略)に架けられているベルト(図示省略)を取り外す必要がない。また、ローラ30aをシャフト50に取り付けた後、プーリから外したベルトを架け直して、当該ベルトの張り具合の調整を行わなくてもよい。
【0049】
なお、ローラ30aを貫通孔11cを通して取り外す場合は、留めネジ60を取り外した後、開口36が下方向Dを向くようにローラ30aを回転させる必要があるが、下部フレーム10(図1)の下側において、ローラ30aを取り外すスペースがある場合は、ローラ30aを回転させることなく、留めネジ60の挿入方向(U−D方向)と略垂直な方向(I−O方向)へ取り外すことが容易となる。
【0050】
また、特許文献1に記載された構成を採用したカード処理装置(図18)や、非特許文献1に記載された構成を採用したカード処理装置のように、ローラ203(図18)を貫通したシャフト500を保持する保持部材800の取り外し/取り付け作業や、カード処理装置200(図16)の中心部(一点鎖線N)から、当該カード処理装置200を右方向Rと左方向Lに向かって2つに分解した後、元の状態に組み立て直す作業を行わなくてもよい。つまり、ローラ30a以外の部分についての取り外しや取り付け作業を要することなく、当該ローラ30aの交換作業を行うことが出来る。
【0051】
さらに、ローラ30aの引き抜き/取り付け方向は、左右方向(L−R方向)ではなく、上下方向(U−D方向)であるため、ローラ30aを収容するための貫通孔11a〜11dのL−R方向の幅は最小限で済む。これにより、例えば、図1や図2に示すように、貫通孔11cに隣接して、センサ用の孔14bや磁気ヘッド用の孔15が存在するために、貫通孔11cのL−R方向の幅を広げることが不可能な場合でも、ローラ30aを容易に取り外すことができる。
【0052】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することが出来る。例えば、上記実施形態においては、カード処理装置100の貫通孔11a〜11dに収容されるローラを、図3および図4で示される構造のローラ30aとしたが、これに限られず、例えば、図7〜図12に示される構造のローラを取り付けてもよい。尚、図7,図9,図11は、当該ローラの構造を示した分解斜視図であり、図8,図10,図12は、当該ローラの構造を示した分解側面図である。
【0053】
詳しくは、図7および図8に示されるローラ30bにおいて、取付部31における切り欠き部33bの形成方向は、図3と同様であるが、図3では切り欠き部33aの一端に開口36が形成されているのに対し、図7では切り欠き部33bの両端に開口36が形成されている。このため、本実施形態では、ローラ30bを2方向(例えば、上方向Uと下方向D)のいずれにも引き抜くことが出来る。
【0054】
図9および図10に示されるローラ30cにおいて、取付部31における切り欠き部33cの形成方向は、シャフト50の軸方向(L−R方向)と略垂直で、かつ留めネジ60の挿入方向(U−D方向)と略平行な方向、すなわちU−D方向である。また、開口36は、貫通孔32と反対の方向に位置している。このため、本実施形態では、留めネジ60を取り外した後、再度ローラ30cを回転させることなく、直ちにローラ30cを上方向Uに引き抜くことが出来る。
【0055】
図11および図12に示されるローラ30dにおいて、取付部31は、図9のローラ30cにおける取付部31の下半分をカットしたような形状となっている。このため、本実施形態では、上述したローラ30a〜30cよりも、切り欠き部33dが浅くなった分だけ、留めネジ60を取り外した後のローラ30dの引き抜き方向の制限が少なくなる。
【0056】
また、上述した実施形態においては、留めネジ60の頭部が取付部31に形成されている貫通孔32から露出する構造であったが(図5、図6参照)、図13に示すように、貫通孔32の形状を、当該貫通孔32に挿入された留めネジ60が取付部31に埋入可能な形状にしてもよい。この構成は、上述したローラ30a〜30dの全てに採用することができる。これにより、露出した留めネジ60が搬送路13を移動するカード300の表面に触れて、カードが損傷されるのを防止することが出来る。
【0057】
さらに、図14に示すように、ローラ本体34の一部に凹部35を形成して、この凹部35にシャフト50の端部を収容してもよい。この構成は、上述したローラ30a〜30dの全てに採用することができ、また、図13の構成と合わせて採用してもよい。これにより、シャフト50をローラ本体34に容易に位置決めすることができ、留めネジ60の押圧力がシャフト50に加わっても、シャフト50の中心軸とローラ本体34の中心軸との間にずれが生じるのを回避することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 下部フレーム
11a〜11d 貫通孔
12a〜12d 貫通孔
20 上部フレーム
30a〜30d ローラ
31 取付部
32 貫通孔
33a〜33d 切り欠き部
34 ローラ本体
35 凹部
36 開口
50 シャフト
51 貫通孔
60 留めネジ
100 カード処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを搬送するためのローラを備え、前記ローラは、ローラ本体と、このローラ本体を回転させるシャフトを取り付けるための取付部とから構成されるカード処理装置において、
前記取付部に、固定部材が挿入される貫通孔と、前記シャフトの軸方向と略垂直な方向に形成された切り欠き部とを設け、
前記切り欠き部に前記シャフトの端部が係合した状態で、前記貫通孔に挿入された固定部材により、前記シャフトを前記取付部に固定したことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記切り欠き部の形成方向は、前記シャフトの軸方向および前記固定部材の挿入方向と略垂直な方向であることを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記切り欠き部の両端に開口が形成されていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカード処理装置において、
前記切り欠き部の形成方向は、前記シャフトの軸方向と略垂直で、かつ前記固定部材の挿入方向と略平行な方向であることを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のカード処理装置において、
前記貫通孔の形状を、当該貫通孔に挿入された前記固定部材が前記取付部に埋入される形状としたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカード処理装置において、
前記ローラ本体の一部に、前記シャフトの端部を収容する凹部を形成したことを特徴とするカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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