カード処理装置
【課題】非接触型ICカードを用いた不正な取引を防止できる。
【解決手段】非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、を備える。
【解決手段】非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気カードを用いて商品の決済を行う装置として、例えば特許文献1のカード式自動販売機が知られている。商品の決済を行う場合、このカード式自動販売機は、磁気カードに記憶されている例えば残金を示す残金情報を更新するために、磁気カードを内部に装着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】平2−96896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるカード式自動販売機では、例えば商品の決済を行う際、カード式自動販売機の内部に装着された磁気カードが不正に取り出された場合、磁気カードの残金情報の読み出し又は書き込みが正常に行われずに、不正な取引が行われる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、を備えたことを特徴とするカード処理装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接触型ICカードを用いた不正な取引を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るカード処理装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダを示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係るカード処理装置の機能を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===カード処理装置===
図1は、本実施形態に係るカード処理装置を示す斜視図である。
カード処理装置100は、例えば非接触型ICカード4を用いて電子マネー決済を行うための装置である。尚、非接触型ICカード4は、カード処理装置100の内部に装着された状態で、カード処理装置100との間で例えば近距離無線通信を行って電子マネー決済を行うための非接触型ICカードである。非接触型ICカード4の詳細は後述する。カード処理装置100は、筐体1、表示パネル2、決済釦5、電源釦6、カードホルダ7(カード保持部材)、錠前8、排出釦9を含んで構成される。尚、本実施形態において、X軸は、筐体1の両側面に対して直交する軸であり、一方の側面に向かう方向を−X方向とし、他方の側面に向かう方向を+X方向とする。Y軸は、筐体1の上面及び下面に対して直行する軸であり、上面に向かう方向を−Y方向とし、下面に向かう方向を+Y方向とする。Z軸は、筐体1の正面及び背面に対して直行する軸であり、正面に向かう方向を+Z方向とし、背面に向かう方向を−Z方向とする。
【0011】
筐体1は、例えば略矩形柱形状を呈する。筐体1の例えば上面には、表示パネル2、カードホルダ7、錠前8が設けられる。筐体1の例えば正面には、決済釦5、排出釦9、カード挿入口30(挿入口)が設けられる。筐体1の例えば一方の側面には、電源釦6が設けられる。
【0012】
カードホルダ7は、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための部品である。カードホルダ7は、筐体1の例えば正面における上側(+Y側)にカード挿入口30が設けられるように、筐体1の例えば上面に装着される。尚、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態で、非接触型ICカード4とカード処理装置100との間で近距離無線通信が行われるように、筐体1の内部に、近距離無線通信用のアンテナ(不図示)が設けられているものとする。近距離無線通信用のアンテナは、筐体1の内部における、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4の例えば下側(−Y側)の、非接触型ICカード4と対向する位置に配設されているものとする。カードホルダ7が筐体1に装着される構成の詳細と、カードホルダ7の詳細と、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着する構成の詳細は後述する。
【0013】
錠前8は、筐体1に装着されたカードホルダ7が取り外されるのを防止するための錠前である。尚、錠前8の詳細は後述する。
【0014】
カード挿入口30は、カードホルダ7を筐体1に取り付けた際に、筐体1の例えば正面に形成される孔である。例えば電子マネー決済を行うとき、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するために、非接触型ICカード4をカード挿入口30に挿入する。
【0015】
表示パネル2は、例えば電子マネー決済後の非接触型ICカード4の残金を表示する例えば液晶ディスプレイである。
【0016】
電源釦6は、カード処理装置100に電源を投入するための釦である。例えば、電源釦6を押下した場合、カード処理装置100に電源電圧が供給されて、カード処理装置100が電子マネー決済を行える状態になるものとする。
【0017】
決済釦5は、例えば電子マネー決済を行うときに押下する釦である。例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した状態で、決済釦5を押下したとき、電子マネー決済が行われる。
【0018】
排出釦9は、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4を取り出すときに押下する釦である。例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されている状態で、排出釦9を押下したとき、非接触型ICカード4がカード処理装置100から排出される。
【0019】
===カードホルダ===
以下、図1、図4を参照して、本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダについて説明する。図4は、本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダを示す斜視図である。尚、ホルダ部材75の一部と、受け部材79は蓋部材70と重なって見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
【0020】
カードホルダ7は、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための部品である。カードホルダ7は、蓋部材70、固定フック71、施錠フック72、溝73、ホルダ検知部材77、カードラック7aを含んで構成される。
【0021】
蓋部材70は、例えば略矩形形状を呈し、蓋部材70の裏面(−Y側の面)に凹部が設けられた部材である。蓋部材70は、例えば手前側(−Z側)に切欠が設けられている。蓋部材70の裏面に設けられた凹部は、例えば、手前側に開口しており、非接触型ICカード4が嵌る形状である。尚、カードホルダ7を筐体1に取り付けたとき、蓋部材70の裏面の凹部によって、カード処理装置100の正面に、カード挿入口30が形成される。尚、カードホルダ7を筐体1に取り付ける構成の詳細は後述する。
【0022】
固定フック71は、カードホルダ7を筐体1に固定するための部材である。固定フック71は、例えば蓋部材70の裏面における一方側(+X側)の縁から下側に向かって突出し、突出した端部から例えば奥側(+Z側)に向けて屈曲したフック形状の部材である。尚、蓋部材70の裏面における他方側(−X側)の縁には、固定フック71と同様な形状の固定フック(不図示)が設けられているものとする。
【0023】
施錠フック72は、筐体1に装着されたカードホルダ7を施錠するための部材である。施錠フック72は、例えば蓋部材70の奥側の縁から奥側に向かって突出し、突出した端部が例えば他方側に向けて屈曲したフック形状の部材である。
【0024】
ホルダ検知部材77は、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かをホルダセンサ12で検知するための部材である。尚、ホルダセンサ12の詳細は後述する。ホルダ検知部材77は、蓋部材70の裏面における一方側の縁から下側に向かって突出する、例えば舌片形状の部材である。尚、ホルダ検知部材77は、蓋部材70の裏面の一方側の縁における、固定フック71が設けられた位置よりも例えば奥側の位置に設けられるものとする。
【0025】
カードラック7aは、カード処理装置100に挿入された非接触型ICカード4における奥側の一部を保持するための部品である。カードラック7aは、保持部材74、ホルダ部材75、挿入検知部材76、バネ78、受け部材79を含んで構成される。
【0026】
ホルダ部材75は、ホルダ部材75の上側の面で非接触型ICカード4の奥側の一部を保持するための、例えば矩形形状を呈した板状の部材である。
【0027】
ここで、溝73が蓋部材70に設けられている。溝73は、蓋部材70の一方側の縁に設けられた、奥行き方向(Z軸方向)に沿った溝である。溝73は、蓋部材70の一方側の縁における、ホルダ検知部材77が設けられた位置よりも例えば奥側に形成されているものとする。尚、蓋部材70の他方側の縁にも、溝73と同様な形状の溝が形成されているものとする。
【0028】
保持部材74は、ホルダ部材75が蓋部材70と平行な状態で蓋部材70の下側で奥行き方向に揺動するように、ホルダ部材75の一方側の縁を保持するための部材である。保持部材74は、例えば略矩形柱形状を呈する。保持部材74の下側の縁とホルダ部材75の一方側の縁とは例えば接着される。保持部材74の他方側の面には、溝73に沿って揺動できる突起が設けられているものとする。尚、ホルダ部材75の他方側の縁を保持するための保持部材(不図示)も、保持部材74と同様な形状とする。保持部材74と、ホルダ部材75の他方側の縁を保持するための保持部材が夫々、溝73と蓋部材70の他方側の縁に設けられた溝に沿って揺動するので、ホルダ部材75は、奥行き方向に沿って揺動することとなる。
【0029】
挿入検知部材76は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かをカード挿入センサ11で検知するための部材である。尚、カード挿入センサ11の詳細は後述する。挿入検知部材76は、ホルダ部材75の一方側の縁から下側に向かって突出する、例えば舌片形状の部材である。尚、挿入検知部材76は、ホルダ部材75の一方側の縁における、保持部材74が接着された位置よりも例えば奥側の位置に設けられる。
【0030】
受け部材79は、カード処理装置100に挿入された非接触型ICカード4の奥側の端部を受け止めるための部材である。受け部材79は、例えば略矩形柱形状を呈し、受け部材79の長手方向が例えば左右方向(X軸方向)に沿った状態で、ホルダ部材75の上側の面における、例えば奥側に設けられる。
【0031】
バネ78は、一端が蓋部材70の一方側の縁における、溝73よりも手前側に取り付けられ、他端が例えば保持部材74の一方側の面に取り付けられた、例えば引張りバネである。
【0032】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30に挿入された場合、非接触型ICカード4は、蓋部材70とホルダ部材75との間で、ホルダ部材75によって保持される。非接触型ICカード4の奥側の端部は、ホルダ部材75に取り付けられた受け部材79と接触する。受け部材79が、非接触型ICカード4によって奥側に押されるので、ホルダ部材75は、バネ78の例えば引張り力に抗して奥側に移動する。
【0033】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30から排出される場合、ホルダ75は、バネ78の引張り力によって、手前側に移動する。そのとき、非接触型ICカード4の奥側の端部を受け部材79によって手前側に押されて、非接触型ICカード4は、カード処理装置100のカード挿入口30から排出される。
【0034】
===取り付け凹部===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係るカード処理装置におけるカードホルダを取り付けるための取り付け凹部について説明する。図2は、本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す平面図である。尚、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13は、カード処理装置100の内部に設けられているので見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
【0035】
取り付け凹部33は、カードホルダ7を筐体1に取り付けるための、例えば筐体1の上面に設けられた凹部である。取り付け凹部33は、カードホルダ7を嵌められるようにカードホルダ7の蓋部材70よりも大きな例えば略矩形形状の凹部である。取り付け凹部33にカードホルダ7を取り付けたときに、筐体1の正面にカード挿入口30が設けられるように、取り付け凹部33は、例えば筐体1における手前側に開口している。取り付け凹部33の底面は、例えば取り付け凹部33の略中央を境に、奥側と手前側の2段構造になっている。尚、取り付け凹部33の奥側の底面と手前側の底面は例えば平坦であり、取り付け凹部33の手前側の底面よりも取り付け凹部33の奥側の底面が例えば低いものとする。取り付け凹部33の奥側は、カードホルダ7を筐体1に取り付けたときに、カードラック7aが奥行き方向に揺動できる深さである。
【0036】
取り付け凹部33には、ロック爪31a、31b、取り付け孔32a、32b、施錠孔35、挿入検知孔36、ホルダ検知孔37が設けられる。
【0037】
取り付け孔32a、32bは、筐体1の取り付け凹部33にカードホルダ7を取り付けて固定するための孔である。取り付け孔32a、32bは夫々、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、固定フック71、蓋部材70の裏面における他方側の縁に設けられた固定フックが挿入される例えば奥行き方向に沿った長孔である。取り付け孔32aは、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、固定フック71と対向する位置に設けられる。取り付け孔32bは、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、蓋部材70の裏面における他方側の縁に設けられた固定フックと対向する位置に設けられる。
【0038】
施錠孔35は、筐体1の取り付け凹部33に取り付けたカードホルダ7を施錠するための孔である。施錠孔35は、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、施錠フック72が挿入される、取り付け凹部33の奥側の面に設けられた例えば左右方向に沿った長孔である。例えば、カードホルダ7を筐体1に取り付けた状態で、錠前8に鍵(不図示)を挿入して例えば下側に向かって時計回りにその鍵を回動した場合、施錠孔35の内部で施錠レバー(不図示)が施錠フック72を固定する。その場合、カードホルダ7は施錠されて筐体1から取り外せない状態となる。一方、例えば、錠前8に鍵を挿入して例えば下側に向かって反時計回りにその鍵を回動した場合、施錠孔35の内部の施錠レバーが施錠フック72から取り外される。その場合、カードホルダ7は施錠されていない状態となり、筐体1から取りはずせる状態となる。
【0039】
ホルダ検知孔37は、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かをホルダセンサ12で検知するために、ホルダ検知部材77を挿入する孔である。ホルダ検知孔37は、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、ホルダ検知部材77と対向する位置に設けられる奥行き方向に沿った長孔である。ホルダ検知孔37は、取り付け凹部33の手前側の底面における、取り付け孔32aが設けられる位置よりも例えば奥側の位置に設けられる。尚、ホルダセンサ12の詳細は後述する。
【0040】
挿入検知孔36は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かをカード挿入センサ11で検知するために、挿入検知部材76を挿入する孔である。挿入検知孔36は、取り付け凹部33の例えば奥側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、挿入検知部材76と対向する位置に設けられる奥行き方向に沿った長孔である。挿入検知孔36の長手方向の長さは、カードラック7aが奥行き方向に沿って揺動したときに、挿入検出部材76が奥行き方向に沿って揺動する長さよりも長いものとする。尚、カード挿入センサ11の詳細は後述する。
【0041】
ロック爪31a、31bは、例えば電子マネー決済の際中に、非接触型ICカード4がカード処理装置100から排出されるのを防止するための対をなす部材である。ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の手前側の底面における、非接触型ICカード4がカード処理装置100に挿入されたとき、非接触型ICカード4の手前側の端部よりも手前側の位置に設けられる。ロック爪31a、31bは夫々、取り付け凹部33の手前側の底面におけるロック爪31a、31bが設けられる位置の挿通孔(不図示)夫々から突出したり、それらの挿通孔の内部に挿入されたりする。例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されていない場合、ロック爪31a、32bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、取り付け凹部33の手前側の底面よりも上側には突出しない状態なっているものとする。例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着された場合、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出するものとする。尚、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着する構成の詳細は後述する。
【0042】
ここで、取り付け凹部33の奥側の底面には、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための、留め部材(不図示)が設けられている。前述したように、例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30に挿入された場合、非接触型ICカード4は、蓋部材70とホルダ部材75との間で、ホルダ部材75によって保持される。非接触型ICカード4の奥側の端部は、ホルダ部材75に取り付けられた受け部材79と接触する。受け部材79が、非接触型ICカード4によって奥側に押されるので、ホルダ部材75は、バネ78の例えば引張り力に抗して奥側に移動する。非接触型ICカード4の手前側の端部がロック爪31a、31bよりも奥側になるまでホルダ部材75が移動したとき、留め部材によって、ホルダ部材75の手前側の縁が支持される。そのとき、ホルダ部材75は、手前側に移動しない状態となるので、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態になる。この状態を、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されたものという。例えば、排出釦9を押下したとき、留め部材がホルダ部材75から外されて、非接触型ICカード4はカード処理装置100から排出される。尚、このとき、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態となるものとする。
【0043】
===カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサ===
以下、図1乃至図4を参照して、本実施形態に用いられるカード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサについて説明する。
【0044】
カード挿入センサ11は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かを検知するためのセンサである。カード挿入センサ11は、発光素子と受光素子を有し、発光素子の光を受光素子で受光するか否かを検知する例えば遮光センサである。カード挿入センサ11は、筐体1の内部における、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されて、挿入検知孔36の奥側に移動した挿入検知部材76によって遮光される位置に配設される。例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されていない場合、カード挿入センサ11では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、カード挿入センサ11は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されて、挿入検知部材76挿入検知孔36の奥側に移動した場合、カード挿入センサ11では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、カード挿入センサ11は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0045】
ホルダセンサ12は、カードホルダ7が筐体1に装着さているか否かを検知するためのセンサである。ホルダセンサ12は、カード挿入センサ11と同様な、例えば遮光センサである。ホルダセンサ12は、筐体1の内部における、筐体1にカードホルダ7が装着されたときに、ホルダ検知孔37に挿入されたホルダ検知部材77によって遮光される位置に配設される。例えば、筐体1にカードホルダ7が装着されていない場合、ホルダセンサ12では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、ホルダセンサ12は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、筐体1にカードホルダ7が装着されている場合、ホルダセンサ12では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、ホルダセンサ12は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0046】
ロックセンサ13は、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出しているか否かを検知するためのセンサである。ロックセンサ13は、カード挿入センサ11と同様な、例えば遮光センサである。ここで、筐体1の内部には、ロック爪31a、31bの状態に応じて動作するロック検知部材(不図示)が配設されているものとする。ロックセンサ13は、筐体1の内部における、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出したときに、ロック検知部材によって遮光される位置に配設される。例えば、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出していない場合、ロックセンサ13では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、ロックセンサ13は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出している場合、ロックセンサ13では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、ロックセンサ13は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0047】
===遮光信号、透光信号===
以下、図1、図6を参照して、本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係について説明する。図6は、本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係の一例を示す図である。
【0048】
例えば、カード処理装置100が待機中の場合(状態A)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、遮光信号、透光信号(以下、状態Aのセンサ信号という)を出力する。尚、カード処理装置100から非接触型ICカード4が排出された後も同様である。
【0049】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4を挿入している際中の場合(状態B)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、遮光信号、遮光信号(以下、状態Bのセンサ信号という)を出力する。尚、カード処理装置100から非接触型ICカード4を排出する際中も同様である。
【0050】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着されている場合(状態C)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、遮光信号、遮光信号(以下、状態Cのセンサ信号という)を出力する。
【0051】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着された後に、例えば非接触型ICカード4を不正に取り出した場合(状態D)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、遮光信号、透光信号(以下、状態Dのセンサ信号という)を出力する。
【0052】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着された後に、例えばカードホルダ7を筐体1から不正に取り外した場合(状態E)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、透光信号、透光信号(以下、状態Eのセンサ信号という)を出力する。
【0053】
例えば、カード処理装置100をメンテナンスするためにカードホルダ7を筐体1から取り外した場合(状態F)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、透光信号、透光信号(以下、状態Fのセンサ信号という)を出力する。
【0054】
例えば、カード処理装置100が故障して、非接触型ICカード4が挿入された状態のカードホルダ7が筐体1からはずれかけている場合(状態G)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、透光信号、遮光信号(以下、状態Gのセンサ信号という)を出力する。
【0055】
例えば、カード処理装置100が故障して、非接触型ICカード4が挿入された状態のカードホルダ7が筐体1からはずれかけている状態で、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出していない場合(状態H)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、透光信号、遮光信号(以下、状態Hのセンサ信号という)を出力する。
【0056】
よって、例えば、電子マネー決済を行うときのカード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態A、状態B、状態C、状態B、状態Aの順序で推移する。例えば、電子マネー決済の際中に、例えば非接触型ICカード4を不正に取り出した場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態D又は、状態Eとなる。例えば、カード処理装置100をメンテナンスする場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態Fとなる。例えば、カード処理装置100が故障した場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態G又は状態Hとなる。
【0057】
===カード処理装置の機能===
以下、図1、図5を参照して、本実施形態に係るカード処理装置の機能について説明する。図5は、本実施形態に係るカード処理装置の機能を示すブロック図である。
【0058】
カード処理装置100は、例えば非接触型ICカード4を用いて電子マネー決済を行うための装置である。カード処理装置100は、送受信部101、記憶部102、検出部103、制御部104、演算部105を含んで構成される。
【0059】
送受信部101は、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4との間で近距離無縁通信を行うための、例えばFRIDリーダ用のICである。
【0060】
記憶部102は、例えば第1の領域102a、第2の領域102bを有する。第1の領域102aには、例えばカード処理装置100を制御するためのプログラムが記憶される。第2の領域102bには、例えばカード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から夫々受信した遮光信号又は透過信号を示すセンサ情報が記憶される。
【0061】
検出部103は、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報に基づいて、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された後、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する。例えば、センサ情報が、状態Cのセンサ信号を示している場合、検出部103は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていると検出する。一方、例えば、センサ情報が、状態Dのセンサ信号又は、状態Eのセンサ信号を示している場合、検出部103は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出する。
【0062】
制御部104は、カード処理装置100を制御する。
演算部105は、電子マネー決済を行うときに、決済後の非接触型ICカード4の残金を演算する。
【0063】
ここで、非接触型ICカード4には、例えば電子マネーの残金を示す残金情報が記憶されており、カード処理装置100から残金情報を要求されたとき、残金情報を送信するものとする。非接触型ICカード4には、例えば処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグを記憶するフラグ領域が設けられているものとする。尚、処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグが本実施形態におけるフラグ情報に相当する。状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグが本実施形態における不正情報に相当する。処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグの詳細は後述する。
【0064】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態で、決済釦5を押下した場合、制御部104は、非接触型ICカード4との間で電子マネー決済の際中であることを示す処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。制御部104は、非接触型ICカード4の電子マネーの残金を示す残金情報を要求する。制御部104は、演算部105の演算結果に基づいて、決済後の非接触型ICカード4の残金を表示パネル2に表示させる。制御部104は、演算部105の演算結果に基づいて、非接触型ICカード4に書き込むための、決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報を作成する。制御部104は、非接触型ICカード4に決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報を書き込む。
【0065】
例えば、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出部103で検出された場合、制御部104は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。尚、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。一方、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。
【0066】
===カード処理装置の動作===
以下、図1、図5、図7を参照して、本実施形態に係るカード処理装置の動作について説明する。図7は、本実施形態に係るカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0067】
例えば、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した後、電子マネー決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む、カード処理装置100の動作について説明する。第1の領域102aに記憶されたカード処理装置100を制御するためのプログラムの実行が開始され、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した状態で、決済釦5を押下したところから説明する。
【0068】
カード処理装置100は、非接触型ICカード4との間で電子マネー決済の際中であることを示す処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む(ステップS1)。カード処理装置100は、非接触型ICカード4の電子マネーの残金を示す残金情報を要求する。非接触型ICカード4の残金情報と、決済する決済金額に基づいて、決済後の非接触型ICカード4の残金が演算部105によって演算される。カード処理装置100は、演算部105の演算結果に基づいて、非接触型ICカード4に書き込む、決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報(以下、決済後の残金情報という)を作成する(ステップS2)。このとき、例えば、決済後の非接触型ICカード4の残金を表示パネル2に表示する。カード処理装置100は、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報に基づいて、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から夫々、遮断信号又は透過信号の何れの信号が出力されているかを把握する(ステップS3)。カード処理装置100は、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサから透過信号が出力されているか、又は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができているかを判断する(ステップS4)。例えば、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサからも透過信号が出力されておらず、且つ、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができていない場合(ステップS4のNO)、カード処理装置100は、上記ステップS4の判断を再度行う。
【0069】
一方、例えば、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサから透過信号が出力されているか、又は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができている場合(ステップS4のYES)、カード処理装置100は、以下の判断を行う。
【0070】
カード処理装置100は、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしている否かを判断する(ステップS5)。例えば、第2の領域102bのセンサ情報が、状態Cのセンサ信号を示している場合(ステップS5のNO)、カード処理装置100は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されており、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしていないと判断して、以下の制御動作を行う。カード処理装置100は、非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込んだ処理中フラグを消去する(ステップS7)。カード処理装置100は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込んだ(ステップS8)後、制御動作を終了する。
【0071】
一方、例えば、第2の領域102bのセンサ情報が、状態Dのセンサ信号又は、状態Eのセンサ信号を示している場合(ステップS5のYES)、カード処理装置100は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されておらず、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしていると判断して、以下の制御動作を行う。カード処理装置100は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む(ステップS6)。この場合、カード処理装置100には非接触型ICカード4が装着されていないが、カード処理装置100は、近距離無線通信用のアンテナの電波が届く範囲(近距離無線通信用アンテナから例えば5センチメートル以内)に非接触型ICカード4があるとき、高速(例えば0.2秒)に、非接触型ICカード4に状態D又は状態Eの不正フラグを書き込むものとする。尚、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、カード処理装置100は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。一方、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、カード処理装置100は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。その後、カード処理装置100は、ステップS8の制御を行った後、制御動作を終了する。尚、この場合、非接触型ICカード4は、状態D又は状態Eの不正フラグ及び処理中フラグが書き込まれたままの状態となる。
【0072】
前述したように、検出部103は、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された後、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する。非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出部103で検出された場合、制御部104は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。よって、非接触型ICカード4のフラグ領域に、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグが書き込まれているか否かに基づいて、例えば、電子マネー決済を停止することができる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を防止できる。
【0073】
又、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着すると、カード処理装置100は、処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていることを、検出部103が検出すると、カード処理装置100は、非接触型ICカード4の処理中フラグを消去する。よって、例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した直後に、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出した場合、処理中フラグが非接触型ICカード4に書き込まれたままの状態となる。よって、処理中フラグが非接触型ICカード4に書き込まれているか否かに基づいて、例えば、電子マネー決済を停止することができる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を確実に防止できる。
【0074】
又、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13がカード処理装置100の内部に設けられる。カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から出力される遮光信号又は透過信号を示すセンサ情報に基づいて、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを、検出部103が検出する。よって、センサ情報に基づいて、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを確実に検出できる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を、更に確実に防止できる。
【0075】
又、カードホルダ7は、筐体1に着脱自在に装着される。筐体1に装着されたカードホルダ7によって、筐体1の例えば正面にはカード挿入口30が形成される。ホルダセンサ12は、カードホルダ7が筐体1から取り外されたことを検知する。検出部103は、ホルダセンサ12の検知結果に基づいて、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かを検出する。例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。例えば、カードホルダ7を筐体1から取り外して、カード処理装置100の内部を確実に清掃できる。よって、筐体1にカードホルダ7を確実に嵌めることができる。又、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13を正常に動作させることができる。又、例えばカードホルダ7ごと非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り外して行われる、不正な取引を防止できる。従って、メンテナンス性が良く、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を確実に防止できるカード処理装置100を提供することが可能となる。
【0076】
又、カード挿入センサ11、ロックセンサ13は、非接触型ICカード4が正常位置からずれたことを検知する。検出部103は、カード挿入センサ非接触型ICカード4が正常位置からずれているか否かを検出する。例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。よって、非接触型ICカード4のみをカード処理装置100から不正に取り外して行われる、不正な取引を防止できる。
【0077】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0078】
本実施形態においては、非接触型ICカード4がカード処理装置100に装着される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、磁気カードがカード処理装置100に装着されるようにしてもよい。この場合、カード処理装置100から磁気カードが不正に取り出されようとしている場合、カード処理装置100から磁気カードが不正に取り出されようとしていることを示す不正フラグを磁気カードに書き込む。よって、磁気カードを用いて行われる不正な取引を防止することができる。従って、汎用性の高いカード処理装置100を提供できる。
【符号の説明】
【0079】
1 筐体
2 表示パネル
4 非接触型ICカード
5 決済釦
6 電源釦
7 カードホルダ
7a カードラック
9 排出釦
11 カード挿入センサ
12 ホルダセンサ
13 ロックセンサ
30 カード挿入口
31a、31b ロック爪
32a、32b 取り付け孔
33 取り付け凹部
35 施錠孔
36 挿入検知孔
37 ホルダ検知孔
70 蓋部材
71 固定フック
72 施錠フック
73 溝
74 保持部材
75 ホルダ部材
76 挿入検知部材
77 ホルダ検知部材
78 バネ
79 受け部材
100 カード処理装置
101 送受信部
102 記憶部
102a 第1の領域
102b 第2の領域
103 検出部
104 制御部
105 演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気カードを用いて商品の決済を行う装置として、例えば特許文献1のカード式自動販売機が知られている。商品の決済を行う場合、このカード式自動販売機は、磁気カードに記憶されている例えば残金を示す残金情報を更新するために、磁気カードを内部に装着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】平2−96896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるカード式自動販売機では、例えば商品の決済を行う際、カード式自動販売機の内部に装着された磁気カードが不正に取り出された場合、磁気カードの残金情報の読み出し又は書き込みが正常に行われずに、不正な取引が行われる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、を備えたことを特徴とするカード処理装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接触型ICカードを用いた不正な取引を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るカード処理装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダを示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係るカード処理装置の機能を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===カード処理装置===
図1は、本実施形態に係るカード処理装置を示す斜視図である。
カード処理装置100は、例えば非接触型ICカード4を用いて電子マネー決済を行うための装置である。尚、非接触型ICカード4は、カード処理装置100の内部に装着された状態で、カード処理装置100との間で例えば近距離無線通信を行って電子マネー決済を行うための非接触型ICカードである。非接触型ICカード4の詳細は後述する。カード処理装置100は、筐体1、表示パネル2、決済釦5、電源釦6、カードホルダ7(カード保持部材)、錠前8、排出釦9を含んで構成される。尚、本実施形態において、X軸は、筐体1の両側面に対して直交する軸であり、一方の側面に向かう方向を−X方向とし、他方の側面に向かう方向を+X方向とする。Y軸は、筐体1の上面及び下面に対して直行する軸であり、上面に向かう方向を−Y方向とし、下面に向かう方向を+Y方向とする。Z軸は、筐体1の正面及び背面に対して直行する軸であり、正面に向かう方向を+Z方向とし、背面に向かう方向を−Z方向とする。
【0011】
筐体1は、例えば略矩形柱形状を呈する。筐体1の例えば上面には、表示パネル2、カードホルダ7、錠前8が設けられる。筐体1の例えば正面には、決済釦5、排出釦9、カード挿入口30(挿入口)が設けられる。筐体1の例えば一方の側面には、電源釦6が設けられる。
【0012】
カードホルダ7は、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための部品である。カードホルダ7は、筐体1の例えば正面における上側(+Y側)にカード挿入口30が設けられるように、筐体1の例えば上面に装着される。尚、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態で、非接触型ICカード4とカード処理装置100との間で近距離無線通信が行われるように、筐体1の内部に、近距離無線通信用のアンテナ(不図示)が設けられているものとする。近距離無線通信用のアンテナは、筐体1の内部における、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4の例えば下側(−Y側)の、非接触型ICカード4と対向する位置に配設されているものとする。カードホルダ7が筐体1に装着される構成の詳細と、カードホルダ7の詳細と、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着する構成の詳細は後述する。
【0013】
錠前8は、筐体1に装着されたカードホルダ7が取り外されるのを防止するための錠前である。尚、錠前8の詳細は後述する。
【0014】
カード挿入口30は、カードホルダ7を筐体1に取り付けた際に、筐体1の例えば正面に形成される孔である。例えば電子マネー決済を行うとき、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するために、非接触型ICカード4をカード挿入口30に挿入する。
【0015】
表示パネル2は、例えば電子マネー決済後の非接触型ICカード4の残金を表示する例えば液晶ディスプレイである。
【0016】
電源釦6は、カード処理装置100に電源を投入するための釦である。例えば、電源釦6を押下した場合、カード処理装置100に電源電圧が供給されて、カード処理装置100が電子マネー決済を行える状態になるものとする。
【0017】
決済釦5は、例えば電子マネー決済を行うときに押下する釦である。例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した状態で、決済釦5を押下したとき、電子マネー決済が行われる。
【0018】
排出釦9は、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4を取り出すときに押下する釦である。例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されている状態で、排出釦9を押下したとき、非接触型ICカード4がカード処理装置100から排出される。
【0019】
===カードホルダ===
以下、図1、図4を参照して、本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダについて説明する。図4は、本実施形態に係るカード処理装置のカードホルダを示す斜視図である。尚、ホルダ部材75の一部と、受け部材79は蓋部材70と重なって見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
【0020】
カードホルダ7は、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための部品である。カードホルダ7は、蓋部材70、固定フック71、施錠フック72、溝73、ホルダ検知部材77、カードラック7aを含んで構成される。
【0021】
蓋部材70は、例えば略矩形形状を呈し、蓋部材70の裏面(−Y側の面)に凹部が設けられた部材である。蓋部材70は、例えば手前側(−Z側)に切欠が設けられている。蓋部材70の裏面に設けられた凹部は、例えば、手前側に開口しており、非接触型ICカード4が嵌る形状である。尚、カードホルダ7を筐体1に取り付けたとき、蓋部材70の裏面の凹部によって、カード処理装置100の正面に、カード挿入口30が形成される。尚、カードホルダ7を筐体1に取り付ける構成の詳細は後述する。
【0022】
固定フック71は、カードホルダ7を筐体1に固定するための部材である。固定フック71は、例えば蓋部材70の裏面における一方側(+X側)の縁から下側に向かって突出し、突出した端部から例えば奥側(+Z側)に向けて屈曲したフック形状の部材である。尚、蓋部材70の裏面における他方側(−X側)の縁には、固定フック71と同様な形状の固定フック(不図示)が設けられているものとする。
【0023】
施錠フック72は、筐体1に装着されたカードホルダ7を施錠するための部材である。施錠フック72は、例えば蓋部材70の奥側の縁から奥側に向かって突出し、突出した端部が例えば他方側に向けて屈曲したフック形状の部材である。
【0024】
ホルダ検知部材77は、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かをホルダセンサ12で検知するための部材である。尚、ホルダセンサ12の詳細は後述する。ホルダ検知部材77は、蓋部材70の裏面における一方側の縁から下側に向かって突出する、例えば舌片形状の部材である。尚、ホルダ検知部材77は、蓋部材70の裏面の一方側の縁における、固定フック71が設けられた位置よりも例えば奥側の位置に設けられるものとする。
【0025】
カードラック7aは、カード処理装置100に挿入された非接触型ICカード4における奥側の一部を保持するための部品である。カードラック7aは、保持部材74、ホルダ部材75、挿入検知部材76、バネ78、受け部材79を含んで構成される。
【0026】
ホルダ部材75は、ホルダ部材75の上側の面で非接触型ICカード4の奥側の一部を保持するための、例えば矩形形状を呈した板状の部材である。
【0027】
ここで、溝73が蓋部材70に設けられている。溝73は、蓋部材70の一方側の縁に設けられた、奥行き方向(Z軸方向)に沿った溝である。溝73は、蓋部材70の一方側の縁における、ホルダ検知部材77が設けられた位置よりも例えば奥側に形成されているものとする。尚、蓋部材70の他方側の縁にも、溝73と同様な形状の溝が形成されているものとする。
【0028】
保持部材74は、ホルダ部材75が蓋部材70と平行な状態で蓋部材70の下側で奥行き方向に揺動するように、ホルダ部材75の一方側の縁を保持するための部材である。保持部材74は、例えば略矩形柱形状を呈する。保持部材74の下側の縁とホルダ部材75の一方側の縁とは例えば接着される。保持部材74の他方側の面には、溝73に沿って揺動できる突起が設けられているものとする。尚、ホルダ部材75の他方側の縁を保持するための保持部材(不図示)も、保持部材74と同様な形状とする。保持部材74と、ホルダ部材75の他方側の縁を保持するための保持部材が夫々、溝73と蓋部材70の他方側の縁に設けられた溝に沿って揺動するので、ホルダ部材75は、奥行き方向に沿って揺動することとなる。
【0029】
挿入検知部材76は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かをカード挿入センサ11で検知するための部材である。尚、カード挿入センサ11の詳細は後述する。挿入検知部材76は、ホルダ部材75の一方側の縁から下側に向かって突出する、例えば舌片形状の部材である。尚、挿入検知部材76は、ホルダ部材75の一方側の縁における、保持部材74が接着された位置よりも例えば奥側の位置に設けられる。
【0030】
受け部材79は、カード処理装置100に挿入された非接触型ICカード4の奥側の端部を受け止めるための部材である。受け部材79は、例えば略矩形柱形状を呈し、受け部材79の長手方向が例えば左右方向(X軸方向)に沿った状態で、ホルダ部材75の上側の面における、例えば奥側に設けられる。
【0031】
バネ78は、一端が蓋部材70の一方側の縁における、溝73よりも手前側に取り付けられ、他端が例えば保持部材74の一方側の面に取り付けられた、例えば引張りバネである。
【0032】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30に挿入された場合、非接触型ICカード4は、蓋部材70とホルダ部材75との間で、ホルダ部材75によって保持される。非接触型ICカード4の奥側の端部は、ホルダ部材75に取り付けられた受け部材79と接触する。受け部材79が、非接触型ICカード4によって奥側に押されるので、ホルダ部材75は、バネ78の例えば引張り力に抗して奥側に移動する。
【0033】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30から排出される場合、ホルダ75は、バネ78の引張り力によって、手前側に移動する。そのとき、非接触型ICカード4の奥側の端部を受け部材79によって手前側に押されて、非接触型ICカード4は、カード処理装置100のカード挿入口30から排出される。
【0034】
===取り付け凹部===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係るカード処理装置におけるカードホルダを取り付けるための取り付け凹部について説明する。図2は、本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るカードホルダを取り外した状態のカード処理装置を示す平面図である。尚、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13は、カード処理装置100の内部に設けられているので見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
【0035】
取り付け凹部33は、カードホルダ7を筐体1に取り付けるための、例えば筐体1の上面に設けられた凹部である。取り付け凹部33は、カードホルダ7を嵌められるようにカードホルダ7の蓋部材70よりも大きな例えば略矩形形状の凹部である。取り付け凹部33にカードホルダ7を取り付けたときに、筐体1の正面にカード挿入口30が設けられるように、取り付け凹部33は、例えば筐体1における手前側に開口している。取り付け凹部33の底面は、例えば取り付け凹部33の略中央を境に、奥側と手前側の2段構造になっている。尚、取り付け凹部33の奥側の底面と手前側の底面は例えば平坦であり、取り付け凹部33の手前側の底面よりも取り付け凹部33の奥側の底面が例えば低いものとする。取り付け凹部33の奥側は、カードホルダ7を筐体1に取り付けたときに、カードラック7aが奥行き方向に揺動できる深さである。
【0036】
取り付け凹部33には、ロック爪31a、31b、取り付け孔32a、32b、施錠孔35、挿入検知孔36、ホルダ検知孔37が設けられる。
【0037】
取り付け孔32a、32bは、筐体1の取り付け凹部33にカードホルダ7を取り付けて固定するための孔である。取り付け孔32a、32bは夫々、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、固定フック71、蓋部材70の裏面における他方側の縁に設けられた固定フックが挿入される例えば奥行き方向に沿った長孔である。取り付け孔32aは、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、固定フック71と対向する位置に設けられる。取り付け孔32bは、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、蓋部材70の裏面における他方側の縁に設けられた固定フックと対向する位置に設けられる。
【0038】
施錠孔35は、筐体1の取り付け凹部33に取り付けたカードホルダ7を施錠するための孔である。施錠孔35は、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、施錠フック72が挿入される、取り付け凹部33の奥側の面に設けられた例えば左右方向に沿った長孔である。例えば、カードホルダ7を筐体1に取り付けた状態で、錠前8に鍵(不図示)を挿入して例えば下側に向かって時計回りにその鍵を回動した場合、施錠孔35の内部で施錠レバー(不図示)が施錠フック72を固定する。その場合、カードホルダ7は施錠されて筐体1から取り外せない状態となる。一方、例えば、錠前8に鍵を挿入して例えば下側に向かって反時計回りにその鍵を回動した場合、施錠孔35の内部の施錠レバーが施錠フック72から取り外される。その場合、カードホルダ7は施錠されていない状態となり、筐体1から取りはずせる状態となる。
【0039】
ホルダ検知孔37は、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かをホルダセンサ12で検知するために、ホルダ検知部材77を挿入する孔である。ホルダ検知孔37は、取り付け凹部33の例えば手前側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、ホルダ検知部材77と対向する位置に設けられる奥行き方向に沿った長孔である。ホルダ検知孔37は、取り付け凹部33の手前側の底面における、取り付け孔32aが設けられる位置よりも例えば奥側の位置に設けられる。尚、ホルダセンサ12の詳細は後述する。
【0040】
挿入検知孔36は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かをカード挿入センサ11で検知するために、挿入検知部材76を挿入する孔である。挿入検知孔36は、取り付け凹部33の例えば奥側の底面における、カードホルダ7を筐体1に取り付けるときに、挿入検知部材76と対向する位置に設けられる奥行き方向に沿った長孔である。挿入検知孔36の長手方向の長さは、カードラック7aが奥行き方向に沿って揺動したときに、挿入検出部材76が奥行き方向に沿って揺動する長さよりも長いものとする。尚、カード挿入センサ11の詳細は後述する。
【0041】
ロック爪31a、31bは、例えば電子マネー決済の際中に、非接触型ICカード4がカード処理装置100から排出されるのを防止するための対をなす部材である。ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の手前側の底面における、非接触型ICカード4がカード処理装置100に挿入されたとき、非接触型ICカード4の手前側の端部よりも手前側の位置に設けられる。ロック爪31a、31bは夫々、取り付け凹部33の手前側の底面におけるロック爪31a、31bが設けられる位置の挿通孔(不図示)夫々から突出したり、それらの挿通孔の内部に挿入されたりする。例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されていない場合、ロック爪31a、32bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、取り付け凹部33の手前側の底面よりも上側には突出しない状態なっているものとする。例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着された場合、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出するものとする。尚、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着する構成の詳細は後述する。
【0042】
ここで、取り付け凹部33の奥側の底面には、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着するための、留め部材(不図示)が設けられている。前述したように、例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100のカード挿入口30に挿入された場合、非接触型ICカード4は、蓋部材70とホルダ部材75との間で、ホルダ部材75によって保持される。非接触型ICカード4の奥側の端部は、ホルダ部材75に取り付けられた受け部材79と接触する。受け部材79が、非接触型ICカード4によって奥側に押されるので、ホルダ部材75は、バネ78の例えば引張り力に抗して奥側に移動する。非接触型ICカード4の手前側の端部がロック爪31a、31bよりも奥側になるまでホルダ部材75が移動したとき、留め部材によって、ホルダ部材75の手前側の縁が支持される。そのとき、ホルダ部材75は、手前側に移動しない状態となるので、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態になる。この状態を、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着されたものという。例えば、排出釦9を押下したとき、留め部材がホルダ部材75から外されて、非接触型ICカード4はカード処理装置100から排出される。尚、このとき、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態となるものとする。
【0043】
===カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサ===
以下、図1乃至図4を参照して、本実施形態に用いられるカード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサについて説明する。
【0044】
カード挿入センサ11は、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されているか否かを検知するためのセンサである。カード挿入センサ11は、発光素子と受光素子を有し、発光素子の光を受光素子で受光するか否かを検知する例えば遮光センサである。カード挿入センサ11は、筐体1の内部における、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されて、挿入検知孔36の奥側に移動した挿入検知部材76によって遮光される位置に配設される。例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されていない場合、カード挿入センサ11では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、カード挿入センサ11は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が挿入されて、挿入検知部材76挿入検知孔36の奥側に移動した場合、カード挿入センサ11では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、カード挿入センサ11は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0045】
ホルダセンサ12は、カードホルダ7が筐体1に装着さているか否かを検知するためのセンサである。ホルダセンサ12は、カード挿入センサ11と同様な、例えば遮光センサである。ホルダセンサ12は、筐体1の内部における、筐体1にカードホルダ7が装着されたときに、ホルダ検知孔37に挿入されたホルダ検知部材77によって遮光される位置に配設される。例えば、筐体1にカードホルダ7が装着されていない場合、ホルダセンサ12では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、ホルダセンサ12は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、筐体1にカードホルダ7が装着されている場合、ホルダセンサ12では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、ホルダセンサ12は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0046】
ロックセンサ13は、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出しているか否かを検知するためのセンサである。ロックセンサ13は、カード挿入センサ11と同様な、例えば遮光センサである。ここで、筐体1の内部には、ロック爪31a、31bの状態に応じて動作するロック検知部材(不図示)が配設されているものとする。ロックセンサ13は、筐体1の内部における、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出したときに、ロック検知部材によって遮光される位置に配設される。例えば、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出していない場合、ロックセンサ13では、発光素子の光を受光素子が受光する状態となる。この場合、ロックセンサ13は、発光素子の光を受光素子が受光していることを示す透光信号を出力するものとする。一方、例えば、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出している場合、ロックセンサ13では、発光素子の光を受光素子が受光しない状態となる。この場合、ロックセンサ13は、発光素子の光を受光素子が受光していないことを示す遮光信号を出力するものとする。
【0047】
===遮光信号、透光信号===
以下、図1、図6を参照して、本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係について説明する。図6は、本実施形態に係るカード処理装置と非接触型ICカードの状態と、カード挿入センサ、ホルダセンサ、ロックセンサから出力される遮光信号、透光信号との関係の一例を示す図である。
【0048】
例えば、カード処理装置100が待機中の場合(状態A)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、遮光信号、透光信号(以下、状態Aのセンサ信号という)を出力する。尚、カード処理装置100から非接触型ICカード4が排出された後も同様である。
【0049】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4を挿入している際中の場合(状態B)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、遮光信号、遮光信号(以下、状態Bのセンサ信号という)を出力する。尚、カード処理装置100から非接触型ICカード4を排出する際中も同様である。
【0050】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着されている場合(状態C)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、遮光信号、遮光信号(以下、状態Cのセンサ信号という)を出力する。
【0051】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着された後に、例えば非接触型ICカード4を不正に取り出した場合(状態D)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されている状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、遮光信号、透光信号(以下、状態Dのセンサ信号という)を出力する。
【0052】
例えば、カード処理装置100に非接触型ICカード4が正常に装着された後に、例えばカードホルダ7を筐体1から不正に取り外した場合(状態E)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、透光信号、透光信号(以下、状態Eのセンサ信号という)を出力する。
【0053】
例えば、カード処理装置100をメンテナンスするためにカードホルダ7を筐体1から取り外した場合(状態F)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されていない状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、透光信号、透光信号(以下、状態Fのセンサ信号という)を出力する。
【0054】
例えば、カード処理装置100が故障して、非接触型ICカード4が挿入された状態のカードホルダ7が筐体1からはずれかけている場合(状態G)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔から突出している状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、遮光信号、透光信号、遮光信号(以下、状態Gのセンサ信号という)を出力する。
【0055】
例えば、カード処理装置100が故障して、非接触型ICカード4が挿入された状態のカードホルダ7が筐体1からはずれかけている状態で、ロック爪31a、31bが取り付け凹部33の挿通孔から突出していない場合(状態H)、ロック爪31a、31bは、取り付け凹部33の挿通孔の内部に挿入されて、挿通孔から突出しない状態である。カードホルダ7は、筐体1に装着されていない状態である。非接触型ICカード4は、カード処理装置100に挿入されている状態である。よって、ロックセンサ13、ホルダセンサ12、カード挿入センサ11は夫々、透光信号、透光信号、遮光信号(以下、状態Hのセンサ信号という)を出力する。
【0056】
よって、例えば、電子マネー決済を行うときのカード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態A、状態B、状態C、状態B、状態Aの順序で推移する。例えば、電子マネー決済の際中に、例えば非接触型ICカード4を不正に取り出した場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態D又は、状態Eとなる。例えば、カード処理装置100をメンテナンスする場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態Fとなる。例えば、カード処理装置100が故障した場合、カード処理装置100と非接触型ICカード4の状態は、状態G又は状態Hとなる。
【0057】
===カード処理装置の機能===
以下、図1、図5を参照して、本実施形態に係るカード処理装置の機能について説明する。図5は、本実施形態に係るカード処理装置の機能を示すブロック図である。
【0058】
カード処理装置100は、例えば非接触型ICカード4を用いて電子マネー決済を行うための装置である。カード処理装置100は、送受信部101、記憶部102、検出部103、制御部104、演算部105を含んで構成される。
【0059】
送受信部101は、カード処理装置100の内部に装着された非接触型ICカード4との間で近距離無縁通信を行うための、例えばFRIDリーダ用のICである。
【0060】
記憶部102は、例えば第1の領域102a、第2の領域102bを有する。第1の領域102aには、例えばカード処理装置100を制御するためのプログラムが記憶される。第2の領域102bには、例えばカード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から夫々受信した遮光信号又は透過信号を示すセンサ情報が記憶される。
【0061】
検出部103は、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報に基づいて、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された後、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する。例えば、センサ情報が、状態Cのセンサ信号を示している場合、検出部103は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていると検出する。一方、例えば、センサ情報が、状態Dのセンサ信号又は、状態Eのセンサ信号を示している場合、検出部103は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出する。
【0062】
制御部104は、カード処理装置100を制御する。
演算部105は、電子マネー決済を行うときに、決済後の非接触型ICカード4の残金を演算する。
【0063】
ここで、非接触型ICカード4には、例えば電子マネーの残金を示す残金情報が記憶されており、カード処理装置100から残金情報を要求されたとき、残金情報を送信するものとする。非接触型ICカード4には、例えば処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグを記憶するフラグ領域が設けられているものとする。尚、処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグが本実施形態におけるフラグ情報に相当する。状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグが本実施形態における不正情報に相当する。処理中フラグ、状態Dの不正フラグ、状態Eの不正フラグの詳細は後述する。
【0064】
例えば、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された状態で、決済釦5を押下した場合、制御部104は、非接触型ICカード4との間で電子マネー決済の際中であることを示す処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。制御部104は、非接触型ICカード4の電子マネーの残金を示す残金情報を要求する。制御部104は、演算部105の演算結果に基づいて、決済後の非接触型ICカード4の残金を表示パネル2に表示させる。制御部104は、演算部105の演算結果に基づいて、非接触型ICカード4に書き込むための、決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報を作成する。制御部104は、非接触型ICカード4に決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報を書き込む。
【0065】
例えば、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出部103で検出された場合、制御部104は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。尚、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。一方、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。
【0066】
===カード処理装置の動作===
以下、図1、図5、図7を参照して、本実施形態に係るカード処理装置の動作について説明する。図7は、本実施形態に係るカード処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0067】
例えば、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した後、電子マネー決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む、カード処理装置100の動作について説明する。第1の領域102aに記憶されたカード処理装置100を制御するためのプログラムの実行が開始され、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した状態で、決済釦5を押下したところから説明する。
【0068】
カード処理装置100は、非接触型ICカード4との間で電子マネー決済の際中であることを示す処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む(ステップS1)。カード処理装置100は、非接触型ICカード4の電子マネーの残金を示す残金情報を要求する。非接触型ICカード4の残金情報と、決済する決済金額に基づいて、決済後の非接触型ICカード4の残金が演算部105によって演算される。カード処理装置100は、演算部105の演算結果に基づいて、非接触型ICカード4に書き込む、決済後の非接触型ICカード4の残金を示す残金情報(以下、決済後の残金情報という)を作成する(ステップS2)。このとき、例えば、決済後の非接触型ICカード4の残金を表示パネル2に表示する。カード処理装置100は、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報に基づいて、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から夫々、遮断信号又は透過信号の何れの信号が出力されているかを把握する(ステップS3)。カード処理装置100は、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサから透過信号が出力されているか、又は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができているかを判断する(ステップS4)。例えば、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサからも透過信号が出力されておらず、且つ、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができていない場合(ステップS4のNO)、カード処理装置100は、上記ステップS4の判断を再度行う。
【0069】
一方、例えば、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13の何れかのセンサから透過信号が出力されているか、又は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込む準備ができている場合(ステップS4のYES)、カード処理装置100は、以下の判断を行う。
【0070】
カード処理装置100は、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしている否かを判断する(ステップS5)。例えば、第2の領域102bのセンサ情報が、状態Cのセンサ信号を示している場合(ステップS5のNO)、カード処理装置100は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されており、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしていないと判断して、以下の制御動作を行う。カード処理装置100は、非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込んだ処理中フラグを消去する(ステップS7)。カード処理装置100は、決済後の残金情報を非接触型ICカード4に書き込んだ(ステップS8)後、制御動作を終了する。
【0071】
一方、例えば、第2の領域102bのセンサ情報が、状態Dのセンサ信号又は、状態Eのセンサ信号を示している場合(ステップS5のYES)、カード処理装置100は、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されておらず、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出そうとしていると判断して、以下の制御動作を行う。カード処理装置100は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む(ステップS6)。この場合、カード処理装置100には非接触型ICカード4が装着されていないが、カード処理装置100は、近距離無線通信用のアンテナの電波が届く範囲(近距離無線通信用アンテナから例えば5センチメートル以内)に非接触型ICカード4があるとき、高速(例えば0.2秒)に、非接触型ICカード4に状態D又は状態Eの不正フラグを書き込むものとする。尚、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、カード処理装置100は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。一方、例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、カード処理装置100は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。その後、カード処理装置100は、ステップS8の制御を行った後、制御動作を終了する。尚、この場合、非接触型ICカード4は、状態D又は状態Eの不正フラグ及び処理中フラグが書き込まれたままの状態となる。
【0072】
前述したように、検出部103は、非接触型ICカード4がカード処理装置100の内部に装着された後、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する。非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないと検出部103で検出された場合、制御部104は、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。よって、非接触型ICカード4のフラグ領域に、状態Dの不正フラグ又は状態Eの不正フラグが書き込まれているか否かに基づいて、例えば、電子マネー決済を停止することができる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を防止できる。
【0073】
又、電子マネー決済を行うために、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着すると、カード処理装置100は、処理中フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていることを、検出部103が検出すると、カード処理装置100は、非接触型ICカード4の処理中フラグを消去する。よって、例えば、非接触型ICカード4をカード処理装置100の内部に装着した直後に、非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り出した場合、処理中フラグが非接触型ICカード4に書き込まれたままの状態となる。よって、処理中フラグが非接触型ICカード4に書き込まれているか否かに基づいて、例えば、電子マネー決済を停止することができる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を確実に防止できる。
【0074】
又、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13がカード処理装置100の内部に設けられる。カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13から出力される遮光信号又は透過信号を示すセンサ情報に基づいて、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを、検出部103が検出する。よって、センサ情報に基づいて、非接触型ICカード4が情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを確実に検出できる。従って、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を、更に確実に防止できる。
【0075】
又、カードホルダ7は、筐体1に着脱自在に装着される。筐体1に装着されたカードホルダ7によって、筐体1の例えば正面にはカード挿入口30が形成される。ホルダセンサ12は、カードホルダ7が筐体1から取り外されたことを検知する。検出部103は、ホルダセンサ12の検知結果に基づいて、カードホルダ7が筐体1に装着されているか否かを検出する。例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Eのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Eの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。例えば、カードホルダ7を筐体1から取り外して、カード処理装置100の内部を確実に清掃できる。よって、筐体1にカードホルダ7を確実に嵌めることができる。又、カード挿入センサ11、ホルダセンサ12、ロックセンサ13を正常に動作させることができる。又、例えばカードホルダ7ごと非接触型ICカード4をカード処理装置100から不正に取り外して行われる、不正な取引を防止できる。従って、メンテナンス性が良く、非接触型ICカード4を用いて行われる不正な取引を確実に防止できるカード処理装置100を提供することが可能となる。
【0076】
又、カード挿入センサ11、ロックセンサ13は、非接触型ICカード4が正常位置からずれたことを検知する。検出部103は、カード挿入センサ非接触型ICカード4が正常位置からずれているか否かを検出する。例えば、第2の領域102bに記憶されたセンサ情報が状態Dのセンサ信号を示す場合、制御部104は、状態Dの不正フラグを非接触型ICカード4のフラグ領域に書き込む。よって、非接触型ICカード4のみをカード処理装置100から不正に取り外して行われる、不正な取引を防止できる。
【0077】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0078】
本実施形態においては、非接触型ICカード4がカード処理装置100に装着される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、磁気カードがカード処理装置100に装着されるようにしてもよい。この場合、カード処理装置100から磁気カードが不正に取り出されようとしている場合、カード処理装置100から磁気カードが不正に取り出されようとしていることを示す不正フラグを磁気カードに書き込む。よって、磁気カードを用いて行われる不正な取引を防止することができる。従って、汎用性の高いカード処理装置100を提供できる。
【符号の説明】
【0079】
1 筐体
2 表示パネル
4 非接触型ICカード
5 決済釦
6 電源釦
7 カードホルダ
7a カードラック
9 排出釦
11 カード挿入センサ
12 ホルダセンサ
13 ロックセンサ
30 カード挿入口
31a、31b ロック爪
32a、32b 取り付け孔
33 取り付け凹部
35 施錠孔
36 挿入検知孔
37 ホルダ検知孔
70 蓋部材
71 固定フック
72 施錠フック
73 溝
74 保持部材
75 ホルダ部材
76 挿入検知部材
77 ホルダ検知部材
78 バネ
79 受け部材
100 カード処理装置
101 送受信部
102 記憶部
102a 第1の領域
102b 第2の領域
103 検出部
104 制御部
105 演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、
前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、
前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、
を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記非接触型ICカードが装着されると、前記非接触型ICカードに前記フラグ情報を書き込み、前記非接触型ICカードが前記正常位置に装着されていることを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードから前記フラグ情報を消去する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれたことを検知するセンサを備え、
前記検出部は、前記センサの検知結果に基づいて、前記非接触型ICカードが前記正常位置に装着されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記非接触型ICカードが挿入される挿入口を有し、前記センサが前記非接触型ICカードの前記正常位置からのずれを検知可能な位置において、前記装置に対して着脱自在に装着されるカード保持部材、を備え、
前記センサは、
前記カード保持部材が前記装置から取り外されたことを検知するホルダセンサ、を有し、
前記検出部は、前記ホルダセンサの検知結果に基づいて、前記カード保持部材が前記装置に装着されているか否かを検出し、
前記制御部は、前記カード保持部材が前記装置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記カード保持部材が前記装置から不正に取り外されようとしたことを示す不正情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記非接触型ICカードが挿入される挿入口を有し、前記センサが前記非接触型ICカードの前記正常位置からのずれを検知可能な位置において、前記装置に対して着脱自在に装着されるカード保持部材、を備え、
前記センサは、
前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれたことを検知するカード挿入センサ、を有し、
前記検出部は、前記カード挿入センサの検知結果に基づいて、前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれているか否かを検出し、
前記制御部は、前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれていることを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが前記装置から不正に取り出されようとしたことを示す不正情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項1】
非接触型ICカードが装置内部に装着されると、前記非接触型ICカードに対して情報の書き込み又は読み出しを行うカード処理装置において、
前記非接触型ICカードが装着された後、前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されているか否かを検出する検出部と、
前記非接触型ICカードが情報の書き込み又は読み出しを行える正常位置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが不正に取り出されようとしたことを示すフラグ情報を書き込む制御部と、
を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記非接触型ICカードが装着されると、前記非接触型ICカードに前記フラグ情報を書き込み、前記非接触型ICカードが前記正常位置に装着されていることを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードから前記フラグ情報を消去する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれたことを検知するセンサを備え、
前記検出部は、前記センサの検知結果に基づいて、前記非接触型ICカードが前記正常位置に装着されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記非接触型ICカードが挿入される挿入口を有し、前記センサが前記非接触型ICカードの前記正常位置からのずれを検知可能な位置において、前記装置に対して着脱自在に装着されるカード保持部材、を備え、
前記センサは、
前記カード保持部材が前記装置から取り外されたことを検知するホルダセンサ、を有し、
前記検出部は、前記ホルダセンサの検知結果に基づいて、前記カード保持部材が前記装置に装着されているか否かを検出し、
前記制御部は、前記カード保持部材が前記装置に装着されていないことを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記カード保持部材が前記装置から不正に取り外されようとしたことを示す不正情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記非接触型ICカードが挿入される挿入口を有し、前記センサが前記非接触型ICカードの前記正常位置からのずれを検知可能な位置において、前記装置に対して着脱自在に装着されるカード保持部材、を備え、
前記センサは、
前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれたことを検知するカード挿入センサ、を有し、
前記検出部は、前記カード挿入センサの検知結果に基づいて、前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれているか否かを検出し、
前記制御部は、前記非接触型ICカードが前記正常位置からずれていることを前記検出部が検出すると、前記非接触型ICカードに対して前記非接触型ICカードが前記装置から不正に取り出されようとしたことを示す不正情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−208651(P2012−208651A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72813(P2011−72813)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
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