説明

カード印刷装置

【課題】バーコードが印刷されたリライタブルカードにおける印刷およびデータの読み出しを簡単な構成で実現できるカード印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷面にバーコード33が印刷されたリライタブルカード9への印刷を実行するカード印刷装置1であって、挿入部12から挿入されるカード9を搬送する搬送機構3と、搬送機構3により搬送されるカード9に印刷されたバーコード33を読み取るべく、カード搬送方向に直交する方向に光センサ64,65,66が3個並列して設けられている読み取り機構39と、搬送機構3により搬送されるカード9に印刷を行う印刷機構4とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷面にバーコードが印刷されたリライタブルカードの印刷を実行するカード印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カードの印刷面に感熱特殊塗料が塗布されて構成されているリライタブルカードが様々な分野に出回っている(例えば、特許文献1参照)。このような、リライタブルカードに用いられる感熱特殊塗料としては、ロイコ塗料や、加熱することで透明と白濁を繰り返す可逆的材料などがある。
【0003】
リライタブルカードの印刷装置では、カードの表面に加熱ヘッドを用いて文字等を書き換え可能に印刷することができる。しかし、リライタブルカードでは、印刷される内容は自由に書き換えできるが、データそのものを記憶することはできない。そこで、リライタブルカードの裏面に磁気テープを貼り付けたり磁気部分を形成することにより、カード表面には印字をし、カード裏面にはデータを記憶させるような構成のリライタブルカードも存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上述したような、磁気テープを貼り付けたり磁気部分を形成したリライタブルカードでは、磁気テープをカードに貼り付ける手間や磁気部分を形成する手間がかかり、またリライタブルカードよりも高コストになってしまう。そこで、出願人は、リライタブルカードにバーコードを印刷することにより、簡単な構成でデータの記憶ができるカードの開発を進めている。
一方で、バーコードリーダが付属したプリンタも存在している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−258533号公報
【特許文献2】特開2006−58937号公報
【特許文献3】特開平8−332758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常のバーコードは、バーの太さ(幅)やバーどうしの間隔でその内容であるデータが決定されるが、カード印刷装置でカードに印刷されたバーコードを読み取るときは、モータで回転駆動する搬送ローラでカードを搬送させながらバーコードを読み取ることとなる。このため、前記通常のバーコードではモータの回転が多少でも不安定になると、バーコードのバーの太さやバーどうしの間隔を誤判定してしまう。
そこで、出願人は、カード長手方向に沿って、単位データ部が複数形成され、単位データ部は、カード幅方向にそれぞれの長手方向が向いており且つカード幅方向に並んで形成された複数のバーを有しており、単位データ部の複数のバーのうち、いずれか1つがエンコードバーであり、他のバーが黒バーまたは白バーからなるデータバーであるバーコードを開発した。
【0007】
そして、このような新たな構成のバーコードをリライタブルカードに付した場合、これを読み取ることができる印刷装置はいまのところ存在しないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、モータで回転駆動する搬送ローラでカードを搬送させながらバーコードを読み取る場合であっても誤判定しないバーコードを確実に読み取ることができるカード印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明にかかるカード印刷装置によれば、印刷面にバーコードが印刷されたリライタブルカードへの印刷を実行するカード印刷装置であって、挿入部から挿入されるリライタブルカードを搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送されるリライタブルカードに印刷された前記バーコードを読み取るべく、カード搬送方向に直交する方向に光センサが3個並列して設けられている読み取り機構と、前記搬送機構により搬送されるリライタブルカードに印刷を行う印刷機構とを具備することを特徴としている。
この構成によれば、簡単な構成でリライタブルカードへの印刷を実行できると共に、リライタブルカードに印刷されたバーコードとして、カード長手方向に沿って、単位データ部が複数形成され、単位データ部は、エンコードバーと、黒バーまたは白バーからなるデータバーとがカード幅方向に設けられて構成されるものを好適に読み取ることができる。
【0010】
また、前記光センサは、素子本体と、素子本体に設けられた受光部とを有しており、前記3個の光センサは、それぞれ同じ方向を向く受光部が互いの素子本体を邪魔せずに等間隔で配置されるように、受光部の受光面の高さが異なるように互い違いに配置されていることを特徴としてもよい。
すなわち、3個の光センサは、受光部同士の間隔を等間隔にし、且つ互いの受光部の距離を短くする必要があったが、素子本体が邪魔になって距離を短くできなかったり、あるいは、短くできても素子本体に対する受光部の位置によっては、受光部同士を等間隔にできなかった。しかし、受光部の受光面の高さが異なるように互い違いにすることで、素子本体の一部を重なり合わせることとなって、素子本体が邪魔にならずに済み、受光部同士の間隔を等間隔にし、且つ互いの受光部の距離を短くできるようになった。
【0011】
また、前記3個の光センサは、1つのセンサ用基板に実装され、3個の光センサのうちいずれか1個の光センサは、前記センサ用基板の受光する光の照射方向を向く表面、または裏面の何れか一方に実装され、3個の光センサのうち他の2個の光センサは、前記1個の光センサの両側であって、且つ前記1個の光センサが実装されていない前記センサ用基板の裏面または表面のいずれか他方に実装され、前記センサ用基板の裏面に実装された光センサの受光部が、前記センサ用基板の表面に露出するように、前記センサ用基板の裏面に実装された光センサの実装位置には、センサ用基板の表裏を貫通する透孔が形成されていることを特徴としてもよい。
この構成によっても、素子本体が邪魔にならずに済み、受光部同士の間隔を等間隔にし、且つ互いの受光部の距離を短くできる。
【0012】
さらに、前記読み取り機構は、読み取り対象のリライタブルカードへ向けて光を照射する光照射手段と、光照射手段によって照射され、リライタブルカード表面で乱反射した反射光を受光するように、前記カード搬送方向に直交する方向に軸線方向が配置された円柱レンズとを有し、該円柱レンズの上方には、前記3個の光センサが実装された前記センサ用基板が、各光センサの受光部が円柱レンズ方向を向くように配置されてなることを特徴としてもよい。
この構成によれば、バーコードのパターンが狭ピッチであっても、搬送方向の前後の影響を少なくして精度良くバーコードのパターン認識ができる。
【0013】
なお、前記3個の光センサのうち、いずれか1個は、エンコードバー読み取り用であり、他の2個が実際の情報に関する黒バーまたは白バーを読み取り用に設けられていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるカード印刷装置によれば、モータで回転駆動する搬送ローラでカードを搬送させながらバーコードを読み取る場合であっても誤判定しないバーコードを確実に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るカード印刷装置1の一例を示す概略図である。図2は、そのカード印刷装置1の正面図である。図3は、カード印刷装置によって印刷およびバーコードが読み取られるリライタブルカードの平面図である。
【0016】
本発明に係るカード印刷装置1は、リライタブルカード9に印刷を行うと共に、リライタブルカード9に印刷されたバーコードを読み取ることができる機能を備えている。
なお、リライタブルカード9としては、ロイコ塗料または加熱することで透明と白濁を繰り返す可逆的材料などの感熱特殊塗料を用いている。
【0017】
カード印刷装置1は、図1、2に示すように、本体部2に、挿入部12から挿入されるリライタブルカード9を搬送路14上で搬送する搬送機構3と、バーコードを読み取る読み取り機構39と、リライタブルカード9に印刷を行う印刷機構4とを備えている。この印刷機構は、通常の文字などの印刷だけではなく、バーコードも印刷可能である。
【0018】
先ず、搬送機構3について説明する。
図2に示すように、搬送機構3は、リライタブルカード9が搬送される方向(図中矢印A)と直交する回転軸で回転可能に設けられ、駆動手段21により駆動されるプラテンローラ16を備える。駆動手段21としては、ステッピングモータなどを好適に採用できる。
プラテンローラ16は、後述する印刷ヘッド40によってリライタブルカード9に印刷を行う際の押圧力を受ける作用を生じさせる部材であって、一例として、表面が中軟質硬度(本実施例ではゴム硬度40°)のゴム材料で形成される。
【0019】
さらに、プラテンローラ16の回転軸の端部には、当該プラテンローラ16と同軸で回転可能な駆動プーリ18が固定される。
また、プラテンローラ16よりも挿入部12側には、プラテンローラ16の回転軸と平行する回転軸で回転可能な第1の従動ローラ19が設けられる。第1の従動ローラ19の回転軸の端部には、当該第1の従動ローラ19と同軸で回転可能な第1の従動プーリ20が固定される。
【0020】
なお、挿入されたリライタブルカード9を挟んで、第1の従動ローラ19に対向する位置に、当該第1の従動プーリ20の回転軸と平行する回転軸で回転可能な第1のピンチローラ22が設けられる。
【0021】
また、本実施形態においては、図2に示すように、プラテンローラ16からみて挿入部12とは反対側に、第1の従動ローラ19の回転軸と平行する回転軸で回転可能な第2の従動ローラ23を備える。このため、プラテンローラ16が中央、挿入部12に近い位置に第1の従動ローラ19、挿入部12から遠い位置に第2の従動ローラ23が配設されて構成される。
第2の従動ローラ23の回転軸の端部には、当該第2の従動ローラ23と同軸で回転可能な第2の従動プーリ24が固定される。
【0022】
なお、挿入されたリライタブルカード9を挟んで、第2の従動ローラ23に対向する位置に、当該第2の従動ローラ23の回転軸と平行する回転軸で回転可能な第2のピンチローラ26が設けられる。
【0023】
第1の従動プーリ20から駆動プーリ18と経て第2の従動プーリ24に至るようにベルト28が張り渡される。プラテンローラ16が駆動手段21によって回転駆動されることにより、駆動プーリ18が回転駆動されて、当該ベルト28の周回移動が行われ、第1の従動プーリ20および第2の従動プーリ24が回転駆動される。その結果、第1の従動ローラ19および第2の従動ローラ23が、プラテンローラ16と同期して回転駆動される。
【0024】
上述した搬送機構3の作用について説明する。
第1の従動ローラ19および第2の従動ローラ23が、プラテンローラ16と同期して回転駆動されたとき、挿入部12からリライタブルカード9が挿入されると(矢印A方向)、搬送路14側に露出する第1の従動ローラ19にリライタブルカード9が接触し、それによって、第1の従動ローラ19と第1のピンチローラ22とによってリライタブルカード9が挟持され、第1の従動ローラ19の回転と第1のピンチローラ22の共回りとによってリライタブルカード9の搬送が行われる。
なお、上記のごとく挿入部12から挿入されたリライタブルカード9が本体部2の内方へ搬送される際のそれぞれの回転部材の回転方向を「正回転」とする。
【0025】
これに続いて、第1の従動ローラ19と第1のピンチローラ22とによって挟持されて搬送されてくるリライタブルカード9は、搬送路14側に露出する第2の従動ローラ23に接触し、それによって、第2の従動ローラ23と第2のピンチローラ26とによって挟持され、第2の従動ローラ23の回転と第2のピンチローラ26の共回りとによって当該リライタブルカード9の搬送が行われる。
ちなみに、第1の従動ローラ19の回転軸と、第2の従動ローラ23の回転軸との間隔を、リライタブルカード9の搬送方向長さよりも短い距離となるように構成する。
【0026】
本実施形態においては、第1の従動ローラ19および第2の従動ローラ23にゴムローラを用いて構成した。なお、第1の従動プーリ20および第2の従動プーリ24に噛み合わされるベルト28の外周面28aによりリライタブルカード9を搬送する構成も考えられる。
【0027】
また、本実施形態においては、回転動力を伝達するための機構に、駆動プーリ18、第1の従動プーリ20および第2の従動プーリ24に張り渡されたベルト28を用いて構成したが、歯車の組合せ等を用いて構成してもよい。
【0028】
なお、第1の従動ローラ19のみを設けて、第2の従動ローラ23を省略する構成も可能である。ただし、第2の従動ローラ23を設けることにより、リライタブルカード9の搬送領域の拡大等が可能となる。
【0029】
続いて、印刷機構4について説明する。
図1、2に示すように、印刷機構4は、プラテンローラ16の外周面に対向させて設けられる印刷ヘッド40と、先端側に印刷ヘッド40が固定され、後端側が本体部2によって回動可能に支持されて、当該先端側がプラテンローラ16に対して接近・離反可能に構成されるヘッド支持部41と、印刷ヘッド40を所定の圧力で押圧させてリライタブルカード9を当該印刷ヘッド40とプラテンローラ16との間で挟持する作用を生じさせる圧力付加部42とを備える。
【0030】
印刷ヘッド40は、リライタブルカード9に所定の熱量を与えることにより発色もしくは消色させるサーマルヘッドである。例えば、リライタブルカード9に用いられている感熱特殊塗料がロイコ塗料の場合には、消色の際には110℃の発熱量が必要であり、発色の際には130℃の発熱量が必要である。このため、印刷ヘッド40は、所定の温度範囲での温度切り換えが短時間で確実に行われるように制御される。
【0031】
上記の印刷機構4の作用について説明する。
搬送機構3によって、挿入部12に挿入されたリライタブルカード9は、搬送機構3によって搬送されて、プラテンローラ16と印刷ヘッド40との間を通過する。ここで印刷を行う場合は、圧力付加部42により印刷ヘッド40を所定の圧力で押圧させてリライタブルカード9を当該印刷ヘッド40とプラテンローラ16との間で挟持し、印刷ヘッド40を所定の温度に加熱して、リライタブルカード9に所定の熱量を与えて、情報の印刷(発色)もしくは消去(消色)を行う。
一方、印刷を行わない場合は、圧力付加部42による印刷ヘッド40の押圧を行わず、リライタブルカード9の厚さ以上の間隔で、印刷ヘッド40をプラテンローラ16から離隔させておく。
【0032】
以下、読み取り機構および読み取り機構によって読み取られるバーコードの構成について説明する。
読み取り機構39は、図2に示したように、印刷ヘッド40よりも挿入部12側であって、搬送方向から見て右側に寄った位置において、挿入されたリライタブルカード9の上方に位置するように設けられている。
読み取り機構39は、光センサを内蔵しており光センサによって、リライタブルカード9のバーコード33の読み取りを行う。読み取り機構39の詳細な構造については後述する。
【0033】
次に、バーコードの例を、図3のリライタブルカードの平面図に基づいて説明する。
この例におけるリライタブルカード9には、カード搬送方向を向いて右側(図面下側)部分にカード長手方向全体に亘ってバーコード33が印刷されている。バーコード33は、リライタブルカード9において感熱特殊塗料が形成されている部位に印刷されるものであり、サーマル式の印刷ヘッド40によって、印刷および消去が可能に形成されている。
【0034】
続いて、本実施形態の読み取り機構によって読み取られるバーコードの詳細な説明を図4および図5に基づいて行う。
バーコードの構成は、現在一般的に知られているJANやCODE39やITF等のように、既に規格化されたものではなく、今回出願人がリライタブルカードに印刷するバーコードとして最適なものとして新たに構成したものである。
【0035】
本実施形態のバーコード33は、搬送機構の搬送速度とは無関係にデータを読み取り可能であることが大きな特徴となっている。
具体的には、カードの長手方向に沿って複数の単位データ部50が並んで形成されており、本実施形態では3つのバーで単位データ部50の1単位を形成している。この単位データ部50は、リライタブルカード9の幅方向中央にエンコードバー51が形成され、エンコードバー51の左右にデータバーが形成される。以下、データバーとして、リライタブルカード9の搬送方向を向いて左側の左バー52、リライタブルカード9の搬送方向を向いて右側の右バー53と称して説明する。
【0036】
各単位データ部50のカード長手方向の幅dは、全ての単位データ部50で同一であり、またエンコードバー51、左バー52、右バー53のカード長手方向の幅dもそれぞれ全て同一の幅である。つまり、カードの搬送方向(カード長手方向)のバーコードの幅や間隔によっては、データは何ら決定されない。
なお、実際には、単位データ部50の幅dは、0.25mm程度にすることを想定している。また、バーの長さは当該カード印刷装置1に設置されている読み取り機構39の位置に適合するように設定すればよく、本実施形態では2.0mm程度を想定している。
【0037】
エンコードバー51は、読み取り機構39によってバーコード33を読み取る際に、単位データ部50であることを認識するための、データ読み取りのタイミング検出用のバーである。
エンコードバー51は、カード長手方向に沿って黒バーと白バーとが交互に形成されて構成される。黒バーが形成されている部位もエンコードバー51であり、白バーが形成されている部位もエンコードバー51である。つまり、従来のバーコードのように白色の部分を空白としたものとはその基本的な考え方が異なり、交互に表れる黒色、白色のそれぞれの位置にデータが形成されるので、従来のものと比較してデータ密度を上げることができる。
【0038】
左バー52および右バー53が実際にデータとして機能する部位である。左バー52および右バー53には黒バーまたは白バーが任意に配置される。左バー52と右バー53における黒バーまたは白バーの組み合わせによって、単位データ部50における情報が構築される。具体的には、左バー52と右バー53で2bitであり、それぞれ任意に黒バーと白バーを配置できるので、これらの組み合わせによって黒黒、黒白、白黒、白白の4種類のデータが1つの単位データ部50で表現可能となる。
【0039】
さらに、本実施形態のバーコード33は、単位データ部50が288個形成されている。そして単位データ部4個で1byteの情報量となるので、単位データ部4個ずつにASCIIコードなどを割り当て可能であり、ASCIIコード表の全ておよびJIS漢字コード表の6000字を表現可能となった。このように本実施形態のバーコード33は、全部で72byte分の記憶容量を有することになる。
【0040】
なお、バーコード33の先頭部分には、バーコード33の読み出し先頭側であることを示すスタートコードを形成するとよい。例えば先頭部分から単位データ部50を4個で1byte分をスタートコードに割り当てておく。このようにスタートコードを形成することでバーコード33を逆から読んでしまうような事を防ぐことができる。
【0041】
また、バーコード33の先頭部分にスタートコードを形成しなくても、バーコード33の後端部分に、バーコード33の終了を示すエンドコードを形成してもよい。例えば後端部分から単位データ部50を4個で1byte分をエンドコードに割り当てておく。このようにエンドコードを形成することによっても、バーコード33を逆から読んでしまうような事を防ぐことができる。
【0042】
バーコード33をこのような構成とすることにより、通常のバーコードのように各バーの太さや、各バーの間隔でデータの内容が決定されないので、ステッピングモータなどの駆動手段21による搬送においてモータの安定性にかかわらず、データの読み込みが安定して行える。
【0043】
続いて、上述したバーコードを読み取り可能な読み取り機構について、図6〜図11に基づいて説明する。
読み取り機構39は樹脂製のユニット本体60内に、バーコード33へ光を照射する光照射手段62と、バーコード33のエンコードバー51を読み取る光センサ64と、光センサのカード搬送方向左側に配置された左バー52を読み取る光センサ65と、光センサのカード搬送方向右側に配置された右バー53を読み取る光センサ66とを備えている。
すなわち、読み取り機構39は、上述したような3つのバー51,52,53からなる単位データ部50を有するバーコードであっても1台で読み取り可能となっている。
【0044】
ユニット本体60は、合成樹脂製であり、上述した3つの光センサ64,65,66を1つの基板に配置したセンサ基板68が、バーコード33の上方に位置するように配置可能に設けられている。さらにユニット本体60には、光照射手段62から照射された光をカード上に導入するための導入路75が形成されている。導入路75の所定箇所(カーブしている部位等)にはミラー79が設けられており、光照射手段62で照射された光が確実にバーコード33上に導入されるように設けられている。
【0045】
また、ユニット本体60の下端部がリライタブルカード9の上面に非接触状態で位置する部位であり、この部位には、単位データ部50の3つのバー51,52,53に対応する位置でそれぞれに対応して開口する3つの窓部70,71,72が形成されている。また、窓部どうしの間には、隣からの反射光の入光を防止するための遮断壁73,75が設けられている。
【0046】
そして、この3つの窓部70,71,72の上方には、カードの幅方向に延びて3つの窓部70,71,72全てをカバーする円柱状の円柱レンズ74が設けられている。円柱レンズ74によって、光照射手段62から照射されてリライタブルカード9上で乱反射した光が拡大されて、センサ基板68の各光センサ64,65,66へ導入される。
【0047】
また、円柱レンズ74とセンサ基板68との間には、各窓部70,71,72で採光された反射光を、対応する光センサ64,65,66に確実に導入するために、各窓部70,71,72と対応する各光センサ64,65,66と結ぶ反射光導入路76,77,78が設けられている。このため、各光センサ64,65,66では、隣のバーの反射光を誤って読み取ってしまうようなことを防止することができる。
【0048】
次に、図10〜図13に基づいて3個の光センサを配置したセンサ基板の例について説明する。
センサ基板68は、3個の光センサ64,65,66における受光部64a,65a,66aの高さが異なるようにして配置している。具体的には、3個の光センサ64,65,66をセンサ基板68の表面と裏面の双方に実装しており、光センサの受光部64a,65a,66aの配置間隔を狭めることを実現している。
すなわち、各光センサ64,65,66単体は、実際に光を受光する受光部64a,65a,66aと、受光部64a,65a,66aが表面に配置された素子本体64b,65b,66bとを有しており、光センサ64,65,66を同一平面上に並べると素子本体64b,65b,66b同士が当接してしまうので、受光部64a,65a,66aの間隔を狭めることができなかった。
【0049】
また、素子本体64b,65b,66bに対して受光部64a,65a,66aの配置位置が素子本体の中心ではなく、偏った位置に設けられていることもある。このような場合では、図11に示すように、光センサ64,65,66を同一平面上に並べると各受光部64a,65a,66aが等間隔で配置できない場合もある。
そこで、センサ基板68の表面と裏面の双方に光センサ64,65,66を配置し、裏面に配置した光センサの受光部が表面側に露出するように、センサ基板68には表面と裏面とを貫通する透孔80を形成した。
【0050】
図12および図13がセンサ基板68の表面と裏面の双方に光センサ64,65,66を配置した例である。
図12に示す例の場合、センサ基板68の表面に2個の光センサ65,66を実装し、2個の光センサ65,66の各受光部65a,66aの中間位置に、センサ基板68の裏面に実装した1個の光センサ64の受光部64aが配置されるようにした。裏面に実装した光センサ64の受光部64aは、表面側を向くように実装している。またセンサ基板68には透孔80を穿設し、センサ基板68の裏面に実装した光センサ64の受光部64aが透孔80を通して表面側に露出するようにした。
この構成によれば、素子本体に対して受光部の位置が偏っている光センサを複数並列させて用いる場合であっても、受光部どうしの間隔を狭く且つ等間隔で配置することができる。
【0051】
また、図13に示す例の場合では、センサ基板68の表面に1個の光センサ64を実装し、2個の光センサ65,66をセンサ基板68の裏面に実装した。表面側の1個の光センサ64は、受光部64aが、裏面側の光センサ65,66の受光部65a,66aの中間位置に配置されるようにした。
また、裏面に実装した光センサ65,66の受光部65a,66aは、表面側を向くように実装している。またセンサ基板68には2つの透孔81,82を穿設し、センサ基板68の裏面に実装した光センサ65,66の受光部65a,66aが透孔81,82を通して表面側に露出するようにした。
この構成によっても、素子本体に対して受光部の位置が偏っている光センサを複数並列させて用いる場合に、受光部どうしの間隔を狭く且つ等間隔で配置することができる。
【0052】
なお、上述してきた読み取り機構39は、図3〜図5に示したような、単位データ部50がカード搬送方向に沿って複数配置され、且つ単位データ部50はカード幅方向に3つのバー51,52,53が存在し、そのうち1つがエンコードバー51である新規なバーコード33を読み取るための構成を採用していた。
しかしながら、カードに印刷されたバーコードとしては特に上述した構成には限定されない以上、上述した構成のバーコードではない場合にはそのバーコードの構成に合わせて光センサ等の配置を適宜変更するとよい。
【0053】
また、上述した実施形態では読み取り機構39は、搬送方向に沿って右側に設けたが、この場所に限定することはなく、リライタブルカード9におけるバーコード33の形成位置に基づいて該当する箇所に読み取り機構39を設けるとよい。
また、リライタブルカード9の両側2箇所に該当する位置に読み取り機構39を設けてもよい。
【0054】
以上本発明につき好適な実施の形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るカード印刷装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1のカード印刷装置の側面図である。
【図3】カードの平面図である。
【図4】カードに印刷されるバーコードの説明図である。
【図5】バーコードの詳細な説明図である。
【図6】読み取り機構の側面図である。
【図7】読み取り機構の斜視図である。
【図8】読み取り機構の底面からみた斜視図である。
【図9】読み取り機構の断面図である。
【図10】センサ基板の斜視図である。
【図11】受光部が均等に配置できない例を示したセンサ基板の側面図である。
【図12】センサ基板の両面に光センサを実装した例を示す側面図である。
【図13】センサ基板の両面に光センサを実装した他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 カード印刷装置
2 本体部
3 搬送機構
4 印刷機構
9 リライタブルカード
12 挿入部
14 搬送路
16 プラテンローラ
18 駆動プーリ
19,23 従動ローラ
20,24 従動プーリ
21 駆動手段
22,26 ピンチローラ
28 ベルト
33 バーコード
39 読み取り機構
40 印刷ヘッド
41 ヘッド支持部
42 圧力付加部
50 単位データ部
51 エンコードバー
52 左バー
53 右バー
60 ユニット本体
62 光照射手段
64,65,66 光センサ
64a,65a,66a 受光部
64b,65b,66b 素子本体
68 センサ基板
70,71,72 窓部
73,75 遮断壁
74 円柱レンズ
75 導入路
76,77,78 反射光導入路
79 ミラー
80,81,82 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面にバーコードが印刷されたリライタブルカードへの印刷を実行するカード印刷装置であって、
挿入部から挿入されるリライタブルカードを搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送されるリライタブルカードに印刷された前記バーコードを読み取るべく、カード搬送方向に直交する方向に光センサが3個並列して設けられている読み取り機構と、
前記搬送機構により搬送されるリライタブルカードに印刷を行う印刷機構とを具備することを特徴とするカード印刷装置。
【請求項2】
前記光センサは、素子本体と、素子本体に設けられた受光部とを有しており、
前記3個の光センサは、それぞれ同じ方向を向く受光部が互いの素子本体を邪魔せずに等間隔で配置されるように、受光部の受光面の高さが異なるように互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1記載のカード印刷装置。
【請求項3】
前記3個の光センサは、1つのセンサ用基板に実装され、
3個の光センサのうちいずれか1個の光センサは、前記センサ用基板の受光する光の照射方向を向く表面、または裏面の何れか一方に実装され、
3個の光センサのうち他の2個の光センサは、前記1個の光センサの両側であって、且つ前記1個の光センサが実装されていない前記センサ用基板の裏面または表面のいずれか他方に実装され、
前記センサ用基板の裏面に実装された光センサの受光部が、前記センサ用基板の表面に露出するように、前記センサ用基板の裏面に実装された光センサの実装位置には、センサ用基板の表裏を貫通する透孔が形成されていることを特徴とする請求項2記載のカード印刷装置。
【請求項4】
前記読み取り機構は、
読み取り対象のリライタブルカードへ向けて光を照射する光照射手段と、
光照射手段によって照射され、リライタブルカード表面で乱反射した反射光を受光するように、前記カード搬送方向に直交する方向に軸線方向が配置された円柱レンズとを有し、
該円柱レンズの上方には、前記3個の光センサが実装された前記センサ用基板が、各光センサの受光部が円柱レンズ方向を向くように配置されてなることを特徴とする請求項3または請求項3記載のカード印刷装置。
【請求項5】
前記3個の光センサのうち、いずれか1個は、エンコードバー読み取り用であり、他の2個が実際の情報に関する黒バーまたは白バーを読み取り用に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載のカード印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−230311(P2009−230311A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72959(P2008−72959)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(397011111)株式会社ウインテック (87)
【Fターム(参考)】