説明

カード型端末及びプログラム

【課題】発行元毎に付与されるポイント等のデータを複数一括して管理可能なカード型端末及びプログラムを提供すること。
【解決手段】カード型端末30は、決済時に利用者にとって有利に機能するサービス情報を、当該サービス情報の発行元毎に複数組記憶する記憶部35と、発行元が関係(経営)する店舗に設置された店舗端末20と接続する接続部36と、接続部36によって店舗端末20に接続されると、店舗端末20からの制御に基づいて記憶部35に記憶されているサービス情報を書き換える書換部372と、記憶部35に複数組記憶された発行元毎のサービス情報を表示する表示部33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の発行元の発行するポイントを一括して管理可能なカード型端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、決済時に次回の決済に用いることができるポイントを、決済金額の所定の割合分だけ店舗(発行元)から利用者に付与するポイントサービスが知られている。このようなポイントサービスは、利用者からすると有利な決済を期待することができる一方で、店舗からすると、利用者の再度の来店を期待することができるため、広く普及し、複数の発行元から多種多様なポイントサービスが提供されている。
【0003】
ここで、利用者に付与されるポイントは、利用者を特定するカードを用いて管理されることが一般的であるが、複数の発行元が独自のポイントサービスを提供している状況では、利用者は発行元毎に複数のカードを所有しなければならないため、利用者の管理負担が増大しているという問題がある。
【0004】
このような問題に鑑みて、例えば、特許文献1には、非接触通信機能を有するIC(Integrated Circuit)カードを複数枚格納可能にするとともに、格納されたICカード内の情報を表示することの可能なICカード収納装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−299372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のICカード収納装置によれば、ICカードに記憶された情報を表示することができるため、店舗に行くことなくICカードに記憶された情報を把握可能で利便性が向上するものの、発行元毎のICカードを所有することが前提となっており、利用する店舗の増加に伴いICカードが増え、管理に不都合を生じるという点では、未だ問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、発行元毎に付与されるポイント等のデータを複数一括して管理可能なカード型端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のカード型端末は、決済時に利用者にとって有利に機能するデータを、当該データの発行元毎に複数組記憶する記憶手段と、前記発行元が関係する店舗に設置された店舗端末と接続する接続手段と、前記接続手段によって前記店舗端末に接続されると、前記店舗端末からの制御に基づいて前記記憶手段に記憶されている当該発行元に対応する前記データを書き換える書換手段と、前記記憶手段に複数組記憶された発行元毎の前記データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の発行元が発効する決済時に利用者にとって有利なデータを複数組一括して管理することができるとともに、当該データを店舗に行くことなく把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るカード型端末を含むポイント管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】サーバシステムの管理データベースの構造の一例を示す図である。
【図3】店舗端末の店舗データベースを示す図である。
【図4】カード型端末のハードウェア構成を示す図である。
【図5】カード型端末の記憶部の構成を示す図である。
【図6】カード型端末の機能構成を示すブロック図である。
【図7】カード型端末の外観及び表示例を示す図である。
【図8】店舗端末の店舗端末処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】サーバシステムのサーバシステム処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】カード型端末のカード型端末処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
[ポイント管理システム1の全体構成]
図1は、本発明が適用される一致実施形態としてのカード型端末30を含んで構成されるポイント管理システム1の全体の構成を示している。
ポイント管理システム1は、サーバシステム10と、店舗端末20と、カード型端末30と、を含んで構成される。
【0013】
サーバシステム10は、1又は複数のサーバにより構成され、公知のネットワーク(インターネット等)を介して、店舗端末20と通信可能に接続されている。ここで、サーバシステム10を構成する個々のサーバは、制御部、記憶部、入力部及び表示部等を備える一般的なコンピュータであり、ポイント管理システム1を管理する管理者により利用される。
【0014】
このようなサーバシステム10には、管理データベース11が接続されている。図2は、管理データベース11の構造の一例を示している。
図2を参照して、管理データベース11は、図2(a)に示す情報管理領域111と、図2(b)に示すフラグ管理領域112と、を少なくとも含む。
【0015】
図2(a)を参照して、情報管理領域111は、ポイント管理システム1が管理する各種情報を記憶する領域であり、利用者を識別する利用者IDに対応付けて、当該利用者の個人情報、及び当該利用者が利用する発行元毎のサービス情報等を記憶する。個人情報としては、利用者の氏名、性別、年齢、住所、メールアドレス、電話番号等の適宜必要な情報を採用することができる。また、サービス情報としては、発行元毎に決済金額に応じて所定の割合で付与され、使用することで決済金額の割引が可能なポイント情報、及び発行元が経営する又は発行元に加盟する(総じて関係すると定義される)店舗で利用することで一定率の割引が可能なクーポン情報等の適宜必要な情報を採用することができる。
なお、情報管理領域111に記憶される情報として、利用者の購入履歴情報等についても記憶することとしてもよい。
【0016】
情報管理領域111に記憶された各種の情報は、ネットワークを介して店舗端末20に提供され、店舗端末20において利用可能となる。本実施形態では、サーバシステム10に記憶された情報のうちの店舗毎に許可された情報のみを対応する店舗端末20に提供することとしている。フラグ管理領域112は、店舗毎に利用可能な情報を規定するためのフラグ情報を管理する。
具体的には、図2(b)に示すように、フラグ管理領域112は、店舗や店舗端末20を識別する店舗IDに対応付けて、個人情報及びサービス情報等のうちの当該店舗に利用可能な情報を記憶する。
【0017】
個人情報については、店舗によって必要とする情報が異なるため、店舗毎に必要となる個人情報を規定する。このような管理により、例えば、利用者の氏名のみを利用すれば足りる店舗と、利用者の性別や年齢が必要な店舗とで利用可能な個人情報を異ならせることを可能にしている。
なお、後述するように、利用者が用いるカード型端末30には、カード型端末30を紛失したとしても個人情報の管理上問題のない範囲(例えば、氏名等)で個人情報を表示することとしている。ここで、カード型端末30は、サーバシステム10とは直接的な通信を行うことがないため、カード型端末30に表示する範囲の個人情報については、全ての店舗IDに対して許可することとしている。このような管理により、店舗端末20を介してカード型端末30に必要最低限の個人情報を表示することができる。
【0018】
サービス情報については、基本的には店舗が加盟する発行元に対応して、必要となるサービス情報を規定する。例えば、店舗Aが発行元Aの経営する店舗であり、店舗Mが発行元A以外が経営する店舗である場合、店舗A(店舗ID「S0001」)には、サービス情報として発行元Aの発行する各種情報の利用が許可される一方で、店舗M(店舗ID「S9999」)には、サービス情報として発行元Aの発行する各種情報の利用が許可されない。また、発行元が発行するサービスであっても、当該発行元に加盟する店舗のうちの一部の店舗でしか利用できないサービスについては、当該一部の店舗についてのみ利用を許可する。例えば、発行元AのクーポンBが店舗Aでのみ利用可能なクーポンである場合、発行元Aに加盟する店舗Bにはその利用を許可しない。
【0019】
サーバシステム10は、店舗端末20から利用者IDを指定した通信を受け付けると、当該利用者IDに対応する個人情報及びサービス情報のうちの店舗端末20に利用が許可された情報をネットワークを介して提供する。
【0020】
図1に戻り、店舗端末20は、各店舗毎に設けられ、レジ端末21と、リーダ/ライタ22と、を少なくとも含む。店舗端末20は、ネットワークを介してサーバシステム10と通信可能に接続されるとともに、公知の非接触通信や近接無線通信によりカード型端末30と通信可能に接続される。
【0021】
レジ端末21は、店舗において利用者の決済を行うキャッシュレジスターであり、リーダ/ライタ22と通信可能に接続されている。レジ端末21は、リーダ/ライタ22から送られた利用者IDに基づいて、当該利用者の各種情報をサーバシステム10から取得する機能に加え、利用者の決済に基づいて当該情報を更新し、サーバシステム10及びリーダ/ライタ22に送る機能等を有する。
【0022】
リーダ/ライタ22は、カード型端末30と公知の非接触通信や近接無線通信が可能な通信デバイスである。すなわち、リーダ・ライタ22は、カード型端末30に対してキャリアを送信して電磁誘導によりカード型端末30に電力を供給し、キャリアの変調によりリーダ・ライタ22とカード型端末30との間で通信を行う。リーダ・ライタ22は、カード型端末30から送られた利用者IDをレジ端末21に送る機能に加え、レジ端末21から送られた情報(ポイントデータ、クーポンデータ、広告画像データ等)をカード型端末30に送る機能等を有する。
【0023】
このような店舗端末20は、制御部、記憶部、入力部及び表示部等を備える一般的なコンピュータであり、店舗の店員等により利用される。なお、店舗端末20は、夫々個別のレジ端末21とリーダ/ライタ22とが通信可能に接続されて構成されることとしてもよく、両者が一体となった一の装置により構成することとしてもよい。
【0024】
このような店舗端末20には、店舗データベース23が接続され、その一例を図3に示す。図3は、店舗データベース23の一例を示す図である。図3を参照して、店舗データベース23は、図3(a)に示す情報管理領域231と、図3(b)に示す関連情報管理領域232と、を少なくとも含む。
【0025】
図3(a)を参照して、情報管理領域231は、カード型端末30から受け付けた利用者IDに基づいてサーバシステム10から受け付けた、店舗端末20に利用が許可された当該利用者の個人情報及びサービス情報を一時的に記憶する領域である。情報管理領域231に記憶された各種情報は、決済時に所定の更新(例えば、決済金額に応じたポイントの更新)が行われ、サーバシステム10に送られるとともに、その後所定のタイミングで消去される。このように、店舗端末20から更新後の情報がサーバシステム10に送られることで、サーバシステム10の管理データベース11が適宜更新される。
【0026】
図3(b)を参照して、関連情報管理領域232は、発行元や店舗が独自に利用者に提供する関連情報を記憶する領域であり、発行元毎又は店舗毎に利用可能なクーポン情報や、利用者への広告情報等を記憶する。店舗端末20は、決済時にカード型端末30に対して利用可能なクーポン情報を送るとともに、利用者の個人情報や決済の内容に応じてカード型端末30に対して広告情報を送る。なお、利用者の個人情報に応じてとは、例えば、利用者が男性である場合に、男性用商品の広告情報を送ること等を意味し、また、決済の内容に応じてとは、例えば、利用者が購入した商品と関連する商品の広告情報を送ることを意味する。店舗端末20は、非接触通信等によりカード型端末30に対して関連情報を送ると、サーバシステム10に対してもネットワークを介して当該関連情報を送る。
【0027】
図1に戻り、本発明のカード型端末30は、利用者毎に用いられるカード型の端末装置であり、リーダ/ライタ22との非接触通信等により店舗端末20と通信可能に接続される。
ここで、図4等を参照して、本発明のカード型端末30の詳細な構成について、説明する。
【0028】
[カード型端末30のハードウェア構成]
図4は、本発明のカード型端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。図4を参照して、カード型端末30は、制御部31と、ワークメモリ32と、表示部33と、キー入力部34と、記憶部35と、接続部36と、無線処理部37と、発電デバイス38と、電源回路39と、を含んで構成され、これらがバスを介して相互に接続されている。
【0029】
制御部31は、内部にプログラムメモリを備え、このプログラムメモリに記憶されたプログラムに基づいて当該カード型端末30全体を制御する機能、一例としては、表示部33の表示を制御する機能(後述の表示制御部311)を有する。
ワークメモリ32は、制御部31が各種の処理を実行する上において必要なデータ等を適宜記憶する。
【0030】
表示部33は、例えば、モノクロ(2階調)2インチの表示領域を有する表示デバイスである。本実施形態では、このような表示部33として、表示内容の保持の為の電気を全く必要とせず、書き換え時の消費電力が少ない電子ペーパーのような表示デバイスを用いることとしている。このような表示部33を用いることで、本実施形態では、カード型端末30の消費電力の低減やカード型端末30の薄型化を図っている。
キー入力部34は、利用者により操作されるマイクロスイッチ等の操作デバイスである。本実施形態では、キー入力部34を介した利用者の入力により、後述のように(図7)表示部33の表示が切り換わる。
【0031】
記憶部35は、表示部33に表示するための各種情報を、リーダ/ライタ22からの制御に基づいてのみ書き換え可能で、キー入力部34からの入力では書き換え不可能に記憶する。
ここで、記憶部35に記憶される各種情報について、図5を参照して説明する。図5は、記憶部35の構成の一例を示す図である。図5を参照して、記憶部35は、利用者IDに対応付けて、当該利用者の個人情報、及び当該利用者が利用するサービス情報を記憶する。このとき、本実施形態では、記憶部35は、利用者が利用するサービス情報を、当該サービス情報の発行元毎に複数組一括して記憶する。これにより、従来発行元毎に所有する必要のあったポイントカード等をカード型端末30のみで管理することができ、利用者の管理負担を軽減することができる。また、本実施形態では、利用者ID以外には、表示部33に表示する情報のみを記憶部35に記憶することとしている。すなわち、カード型端末30の紛失時に解析されると不都合となる情報(例えば、購入履歴や住所、電話番号等)を記憶することがない。
【0032】
図4に戻り、接続部36は、例えば、ループアンテナであり、電磁誘導により店舗端末20のリーダ/ライタ22と通信を行なうための通信デバイスである。
無線処理部37は、リーダ/ライタ22からの制御に従い、記憶部35に記憶されている利用者IDを読み出し接続部36を介してリーダ/ライタ22に送る機能(後述の読出部371)と、リーダ/ライタ22からの制御に従い、記憶部35に記憶された情報を更新する機能(後述の書換部372)と、を少なくとも有する。
【0033】
発電デバイス38は、カード型端末30に必要な電力を自己発電可能であり、例えば、太陽光発電が可能なソーラパネルや振動発電が可能な圧電素子等により構成される。
電源回路39は、発電デバイス38からの起電力をプールし、カード型端末30の駆動電圧として機能させる。
【0034】
[カード型端末30の機能構成]
続いて、以上のようなハードウェアにより構成されるカード型端末30が本発明の機能を発揮するための機能構成について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明のカード型端末30の機能構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御部31は、表示制御部311として機能し、無線処理部37は、読出部371及び書換部372として機能する。なお、読出部371及び書換部372の機能は、本実施形態のように無線処理部37に搭載されている必要は特になく、これら機能のうち少なくとも一部を、制御部31に移譲させることも可能である。同様に、表示制御部311の機能は、本実施形態のように制御部31に搭載されている必要は特になく、当該機能を無線処理部37に移譲させることも可能である。
【0035】
読出部371は、リーダ/ライタ22からの制御に従い、記憶部35に記憶されている利用者IDを読み出し、接続部36で発信できる形式の信号に変換(キャリア変調)する。読出部371により読み出され適宜変換された利用者IDは、接続部36とリーダ/ライタ22との間の非接触通信等により店舗端末20に送られる。
【0036】
書換部372は、リーダ/ライタ22からの制御に従い、接続部36を介して店舗端末20から記憶部35に書き込むべき情報(すなわち、決済によるポイントの付与や、決済時に用いたポイントの消去等)を受信し、当該情報に基づいて記憶部35に記憶されている店舗端末20の加盟する発行元に対応するサービス情報を書き換える。その結果、決済に応じて、対応するサービス情報が適宜更新される。
【0037】
表示制御部311は、キー入力部34を介した操作入力に応じて、所定の情報を記憶部35から読み出し、表示部33に表示する制御を行う。
【0038】
[カード型端末30の外観及び表示例]
続いて、図7を参照して、本発明のカード型端末30の外観及び表示例について説明する。図7(a)は、カード型端末30の外観を示す平面図であり、図7(b)(c)は、カード型端末30の表示例を示す。
【0039】
図7(a)を参照して、カード型端末30は、表面形状が矩形状であり、その大きさが既存のICカードと同様の大きさ(例えば、幅90mm、高さ55mm)で構成される。また、カード型端末30は、回路構成の関係から既存のICカードの2,3倍程度の厚み(例えば、厚み5〜10mm)を有している。このようなカード型端末30は、既存のICカード1枚分に比べて厚み分だけ大きくなるが、内部に複数組の発行元のサービス情報を一括して記憶しているため、複数枚のカードを所有する場合に比べてスペースを省略することができるとともに、任意のカードを探す手間も省くことができる。
【0040】
カード型端末30の表面には、表示部33及びキー入力部34に加え、発電デバイス38を構成するソーラパネルが設置されている。なお、発電デバイス38については、表示部33と同じ表面に設置するのではなく、表示部33と対向する背面に設置することとしてもよい。
表示部33は、モノクロの表示部であり、キー入力部34を介して利用者が選択した所望の情報を表示する。キー入力部34は、例えば、「Pre」ボタン、「Next」ボタン、「OK」ボタン等により構成され、「Pre」ボタン及び「Next」ボタンにより適宜表示が切り換えられ、「OK」ボタンにより所望の情報が選択される。
【0041】
例えば、図7(b)を参照して、表示部33には、発行元Aにより付与されたポイントやクーポンの情報が表示されている。このとき、例えば、「Next」ボタンが操作されると、表示部33の表示が切り換わり、カード型端末30に記憶されている広告情報が表示されたり(図7(c))、発行元Bにより付与されたポイントやクーポン情報が表示される(図示せず)。
このような制御は、キー入力部34を介した入力に応じて、制御部31の表示制御部311が記憶部35から情報を読み出し表示制御することで行われる。
これにより、1つのカード型端末30に一括して記憶された複数組の発行元のサービス情報を必要に応じて適宜確認することができる。このとき、表示部33は、電子ペーパーのような表示内容の保持の為の電気を全く必要とせず、書き換え時の消費電力が少ない表示デバイスを用いることとしているため、カード型端末30の厚みを抑えることができ、利便性を高めることができる。
【0042】
[ポイント管理システム1の処理]
続いて、図8〜図10を参照して、ポイント管理システム1の処理について説明する。図8は、店舗端末20により行われる店舗端末処理の流れを示すフローチャートであり、図9は、サーバシステム10により行われるサーバシステム処理の流れを示すフローチャートであり、図10は、カード型端末30により行われるカード型端末処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
[店舗端末処理]
図8を参照して、店舗端末20は、カード型端末30を検知したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、店舗端末20は、店舗端末20のリーダ/ライタ22とカード型端末30(接続部36)との距離が所定以上近づいた場合に、カード型端末30を検知する。このとき、カード型端末30を検知していない場合には、店舗端末20は、店舗端末処理を終了する。
【0044】
他方、カード型端末30を検知すると、店舗端末20は、カード型端末30に対して利用者IDを要求する(ステップS202)。すなわち、カード型端末30に対して、リーダ/ライタ22から所定の信号を送信し、電磁誘導によりカード型端末30に電力を供給することで、カード型端末30に対して利用者IDを要求する。続いて、店舗端末20は、カード型端末30から利用者IDを取得するまで待機する(ステップS203)。
【0045】
カード型端末30から利用者IDを取得すると、店舗端末20は、サーバシステム10に対して、店舗IDとともに利用者IDを送信し、当該利用者の情報を要求する(ステップS204)。具体的には、店舗端末20は、店舗端末20に許可された利用者の個人情報及びサービス情報を要求する。続いて、店舗端末20は、サーバシステム10から情報を受信するまで待機する(ステップS205)。
【0046】
サーバシステム10から利用者の情報を受信すると、店舗端末20は、店舗データベース23の情報管理領域231(図3(a)参照)に当該情報を一時的に展開する(ステップS206)。続いて、店舗端末20は、決済に応じて展開した利用者の情報を更新する(ステップS207)。例えば、店舗端末20は、決済金額に応じて所定のポイントを付与した場合には、利用者の情報に当該ポイントを加算し、また、利用者からポイントの使用要求を受けていた場合には、利用者の情報から使用したポイントを減算し、また、利用者からクーポンの使用要求を受けていた場合には、利用情報から使用したクーポンを消去等する。
【0047】
続いて、店舗端末20は、利用者IDを伴い、ステップS207の更新結果に基づく更新要求をサーバシステム10に対して行う(ステップS208)。このとき、店舗端末20は、サーバシステム10の情報と同期を取れるまでステップS209に進まず待機することが好ましい。ここで、同期を取れるまでとは、サーバシステム10から更新終了指示を受け付けるまでとすることとしてもよく、また、サーバシステム10に対して更新要求を適切に送信できるまでとすることとしてもよい。また、後述のステップS209でカード型端末30に対して新たなクーポン情報や広告情報を送る場合には、ステップS208において店舗端末20は、サーバシステム10に当該クーポン情報や広告情報を送る。
【0048】
続いて、店舗端末20は、ステップS207の更新結果に基づいて、カード型端末30に対して更新要求を行う(ステップS209)。すなわち、カード型端末30に対して、リーダ/ライタ22から情報更新の信号を送信する。また、このとき、店舗端末20は、利用者の個人情報や決済内容に応じて、当該利用者に好適なクーポン情報や広告情報がある場合には、店舗データベース23の関連情報管理領域232(図3(b)参照)から情報を読み出し、カード型端末30に対して送ることとしてもよい。
その後、店舗端末20は、処理終了を示す「ピッ」といった効果音を出音し、店舗端末処理を終了する。
【0049】
[サーバシステム処理]
図9を参照して、サーバシステム10は、店舗端末20から利用者IDを受信したか否かを判定する(ステップS101)。このとき、利用者IDを受信していない場合には、サーバシステム10は、処理を終了する。
【0050】
店舗端末20から利用者IDを受信すると、サーバシステム10は、利用者IDをキーとして管理データベース11の情報管理領域111(図2(a))から当該利用者の個人情報及びサービス情報等のうち、店舗端末20の店舗に許可された情報を読み出し、ネットワークを介して店舗端末20に対して送信する(ステップS102)。続いて、サーバシステム10は、店舗端末20から更新要求(図8のステップS208)を受信するまで待機する(ステップS103)。
【0051】
店舗端末20から更新要求を受信すると、サーバシステム10は、受信した利用者IDの情報を適宜更新し(ステップS104)、サーバシステム処理を終了する。
【0052】
[カード型端末処理]
図10を参照して、カード型端末30の無線処理部37は、接続部36を介して店舗端末20のリーダ/ライタ22から利用者IDの取得を要求する信号を受信したか否かを判定する(ステップS301)。このとき、当該信号を受信していない場合には、無線処理部37は、処理を終了する。
【0053】
他方、店舗端末20から利用者IDの取得要求信号を受信している場合には、無線処理部37の読出部371は、当該信号に従い、記憶部35に記憶されている利用者IDを読み出し、接続部36を介して店舗端末20に送る(ステップS302)。続いて、無線処理部37は、店舗端末20から更新要求(図8のステップS209)の信号を受信するまで待機する(ステップS303)。
【0054】
店舗端末20から更新要求の信号を受信すると、無線処理部37の書換部372は、当該信号に従い、記憶部35に記憶されている店舗端末20の加盟する発行元に対応するサービス情報を書き換え(ステップS304)、カード型端末処理を終了する。
【0055】
以上のような本実施形態のカード型端末30によれば、記憶部35には、決済時に利用者にとって有利に機能するポイントやクーポンに関するサービス情報が発行元毎に複数組一括して記憶される。この記憶部35に一括して記憶される発行元毎のサービス情報は、当該発行元に加盟する店舗の店舗端末20と接続部36を介して接続されることで、無線処理部37(書換部372)により適宜書き換えられる。その結果、複数の発行元が提供するサービス情報を一括して管理することができるため、発行元毎に複数のカードを所有する必要がなく、利用者の管理負担を軽減することができる。
また、カード型端末30は、表示部33を有し、この表示部33に記憶部35に記憶されたサービス情報を適宜表示する。これにより、利用者が所有するポイントやクーポンを店舗にいくことなく確認することができ、利便性を高めることができる。
このとき、表示部33は、電子ペーパのような表示デバイスで構成することとしているため、消費電力の低減やカード型端末30の薄型化を実現することができる。
【0056】
また、無線処理部37の書換部372は、接続部36を介した店舗端末20からの電圧供給を受けて、記憶部35の情報を書き換える。これにより、記憶部35の情報を不正に書き換えてしまうことを防止でき、複数の発行元毎のサービス情報を適切に管理することができる。
【0057】
また、カード型端末30は、自己発電により表示部33を駆動させる発電デバイス38を備えるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0059】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0060】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、画像処理装置又は当該画像処理装置を制御するコンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。ここで、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。或いはまた、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0061】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、光磁気ディスク等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているハードディスク等で構成される。
【0062】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0063】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
決済時に利用者にとって有利に機能するデータを、当該データの発行元毎に複数組記憶する記憶手段と、
前記発行元が関係する店舗に設置された店舗端末と接続する接続手段と、
前記接続手段によって前記店舗端末に接続されると、前記店舗端末からの制御に基づいて前記記憶手段に記憶されている当該発行元に対応する前記データを書き換える書換手段と、
前記記憶手段に複数組記憶された発行元毎の前記データを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするカード型端末。
[付記2]
前記書換手段は、前記接続手段によって接続された前記店舗端末からの電圧供給を受けて、前記記憶手段における前記データを書き換えることを特徴とする付記1記載のカード型端末。
[付記3]
前記表示手段を駆動させるための駆動電圧を自己発電により得る発電手段を更に備えることを特徴とする付記1又は2記載のカード型端末。
[付記4]
決済時に利用者にとって有利に機能する前記データとは、決済時に利用者が支払う金額に応じて一定率加算され、次回以降の決済時に割引くことが可能なポイントデータであることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載のカード型端末。
[付記5]
決済時に利用者にとって有利に機能する前記データとは、決済時に一定率割引くことが可能なクーポンデータであることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載のカード型端末。
[付記6]
前記記憶手段は、前記データに加えて前記発行元若しくは前記店舗に関する広告画像を更に記憶し、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された前記広告画像を表示することを特徴とする、付記1乃至5の何れかに記載のカード型端末。
[付記7]
店舗に設置された店舗端末と接続する接続部を備えるカード型のコンピュータを、
前記接続部を介した前記店舗端末からの制御に基づいて、予め記憶部に発行元毎に複数組記憶されている決済時に利用者にとって有利に機能するデータを書き換える書換手段、
前記記憶部に複数組記憶された発行元毎の前記データを表示部に表示させる表示制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ポイント管理システム、10・・・サーバシステム、20・・・店舗端末、30・・・カード型端末、31・・・制御部、311・・・表示制御部、32・・・ワークメモリ、33・・・表示部、34・・・キー入力部、35・・・記憶部、36・・・接続部、37・・・無線処理部、371・・・読出部、372・・・書換部、38・・・発電デバイス、39・・・電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済時に利用者にとって有利に機能するデータを、当該データの発行元毎に複数組記憶する記憶手段と、
前記発行元が関係する店舗に設置された店舗端末と接続する接続手段と、
前記接続手段によって前記店舗端末に接続されると、前記店舗端末からの制御に基づいて前記記憶手段に記憶されている当該発行元に対応する前記データを書き換える書換手段と、
前記記憶手段に複数組記憶された発行元毎の前記データを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするカード型端末。
【請求項2】
前記書換手段は、前記接続手段によって接続された前記店舗端末からの電圧供給を受けて、前記記憶手段における前記データを書き換えることを特徴とする請求項1記載のカード型端末。
【請求項3】
前記表示手段を駆動させるための駆動電圧を自己発電により得る発電手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載のカード型端末。
【請求項4】
決済時に利用者にとって有利に機能する前記データとは、決済時に利用者が支払う金額に応じて一定率加算され、次回以降の決済時に割引くことが可能なポイントデータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカード型端末。
【請求項5】
決済時に利用者にとって有利に機能する前記データとは、決済時に一定率割引くことが可能なクーポンデータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカード型端末。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記データに加えて前記発行元若しくは前記店舗に関する広告画像を更に記憶し、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された前記広告画像を表示することを特徴とする、請求項1乃至5の何れかに記載のカード型端末。
【請求項7】
店舗に設置された店舗端末と接続する接続部を備えるカード型のコンピュータを、
前記接続部を介した前記店舗端末からの制御に基づいて、予め記憶部に発行元毎に複数組記憶されている決済時に利用者にとって有利に機能するデータを書き換える書換手段、
前記記憶部に複数組記憶された発行元毎の前記データを表示部に表示させる表示制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−77138(P2013−77138A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216260(P2011−216260)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】