説明

カード搬送装置

【課題】 カード搬送装置において、カードの搬送不良を抑制する。
【解決手段】 カード搬送路14を形成する対向壁4,10の対向面4a,10aには、カード搬送方向に延びるリブ4b,10bが設けられている。また、カード搬送路14中を搬送されるカード13の下端を支承するカード支承部材20の支承面23には、カード搬送方向に連続する凸部と凹部とが設けられており、凸部は断面が円形に形成されている。カード支承部材20はカード搬送路14に着脱自在に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅方向または長さ方向が鉛直方向を指向するようにカードを搬送させるカード搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なカード搬送装置は、カードの挿入が容易であるという理由によって、カードの面を鉛直方向に指向した状態でカードをカード挿入口に挿入し、その状態を維持したままカード送路内を搬送させるように構成している。したがって、このような構成のカード搬送装置では、カードの幅方向が水平方向を指向するため、鉛直方向の外形よりも水平方向の外形が相対的に大きくなる。これに対して、カード搬送装置を設置するスペースとして、鉛直方向に対して水平方向のスペースが小さい場合は、カードの幅方向が鉛直方向を指向するようにカードを搬送させる構造としたカード搬送装置を採用することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したようなカード搬送装置においては、カードの下端面を支承するカード支承面が備えられており、このカード支承面が平坦状に形成されていることにより、搬送されるカードの下端面とカード支承面とが面接触になるため、カードの搬送に対する負荷が大きい。また、カード処理通路内でカードを搬送しているときに、カードの下端面が摺接することにより、カード支承面にカードの汚れが付着する。この汚れはカード支承面が平坦状に形成されていることにより、カード支承面に堆積しやすく、堆積することにより、カードとの間の摩擦力が増大するため、カードの搬送に対する負荷がより大きくなり、カードの搬送不良を引き起こす原因となっていた。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、カードの搬送不良を抑制するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、カードを挿入するカード挿入口と、このカード挿入口から挿入されたカードを幅方向または長さ方向が鉛直方向を指向するように搬送するカード搬送路とを備え、前記カード搬送路のカードを支承するカード支承面に、カードの搬送方向に向かって凸部と凹部とを交互に設け、前記凸部を断面半円状に形成したものである。
【0006】
本発明は、前記発明において、前記カード搬送路に、搬送されるカードのカード面に対向する対向壁を設け、この対向壁にカード搬送方向に延びるリブを設けたものである。
【0007】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記カード支承面が形成されたカード支承部材を前記カード搬送路に対して着脱自在としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カード搬送時にカードの汚れがカード支承面に付着したとしても、カード支承面に、カードの搬送方向に向かって凸部と凹部とが交互に設けられていることにより、汚れが凹部に溜まる。このため、凸部に対接しているカードに対しては、汚れによる搬送負荷が発生しないから搬送不良を抑制することができる。また、凸部を断面半円状に形成したことにより、搬送されるカードの端面と凸部とが線接触となるため、カードに対する搬送負荷がより軽減される。
【0009】
前記発明のうちの一つの発明によれば、搬送されるカードのカード面とカード搬送路のカード対向壁との間が線接触となるため、カードに対する搬送負荷がより軽減される。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、必要に応じてカード支承部材を交換することができるため、カード支承面に堆積する汚れによるカード搬送不良を未然に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るカード搬送装置の正面図である。
【図2】図1におけるII-II 線断面図である。
【図3】本発明に係るカード搬送装置において、フロントカバーを取り外した状態の正面図である。
【図4】図3におけるIV-IV 線断面図である。
【図5】同図(A)は図4におけるV矢視図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)部の拡大図である。
【図6】本発明に係るカード搬送装置において、カード支承部材の交換動作を説明するための要部を示す正面図である。
【図7】本発明に係るカード搬送装置において、カード支承部材の交換動作を説明するための要部を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。図1および図2に全体を符号1で示すカード搬送装置は、略平板状に形成されたベース部材2と、略箱状に形成されたカバー部材3とを備えている。ベース部材2は、図3に示すように対向面4aに矢印A−B方向に延びる複数条のリブ4bが突設された対向壁4を備え、この対向壁4の下端部(矢印D方向側端部)には、互いに対向する上下のガイド部5a,5bを有する凹部5が設けられており、下方のガイド部5bには図5に示すように係合孔5cが形成されている。また、凹部5の底面(矢印C−D方向に延在する面)には、後述するガイドリブ21bが嵌合するガイド溝5dが矢印A−B方向に延在するように設けられている。図3において、6は対向壁4に形成した窓(図示せず)から後述するカード搬送路14に臨む駆動ローラであって、図示を省略したモータの駆動によって、正・逆方向に回転する。
【0013】
カバー部材3は、図2に示すように対向面10aに矢印A−B方向に延びる複数条のリブ10bが突設された対向壁10を備え、下端部には上記した上下のガイド部5a,5bによって矢印A−B方向に案内される後述するカード支承部材20の矢印E−F方向の移動を規制する規制部10cが形成されている。図1において、11は対向壁10に形成した窓(図示せず)からカード搬送路14に臨み駆動ローラ6に対接されるピンチローラであって、駆動ローラ6とともにカード13を挟持した状態で矢印A−B方向に搬送する。
【0014】
このカバー部材3を、対向壁10が対向壁4に対向するようにベース部材2に取り付けることにより、対向壁4,10との間にカード13を矢印A−B方向へ搬送するカード搬送路14が形成され、このカード搬送路14の矢印B方向の端部には、このカード搬送路14に連通するカード挿入口15が設けられている。
【0015】
カード支承部材20は、図2に示すように垂直部21と水平部22とによって断面L字状に形成されているとともに、矢印A−B方向においてカード搬送路14と同じ長さに形成されている。垂直部21の矢印E方向の端面には、二条のリブ21aが矢印A−B方向に延在するように突設されており、矢印F方向の端面には、二条のガイドリブ21bが矢印A−B方向に延在するように突設されている。水平部22の背面側の下端には、図7に示すように矢印B方向の端部から矢印A方向に延びる弾性係合片22aが設けられており、この弾性係合22aの先端部には、ベース部材2の係合孔5cに係合する爪22bが形成されている。水平部22の上面に形成されたカード支承面23には、図5(B)に示すようにカード13の搬送方向(矢印A−B方向)に向かって連続する凸部23aおよび凹部23bとが交互に設けられており、凸部23aは断面半円状に形成されている。
【0016】
このカード支承部材20は、図2に示すようにガイドリブ21bをガイド溝5dに嵌合させた状態で、図6に示すようにカード搬送装置1の矢印B方向側から、ベース部材2の上下のガイド部5a,5bとカバー部材3の規制部10cとの間を、矢印A方向に嵌挿させる。図7に示すように、弾性係合片22aを弾性変形させながら、図5に示すように爪22bをベース部材2の係合孔5cに係合させ、ベース部材2に取り付けることにより、このカード支承部材20が対向壁4,10とともにカード搬送路14を形成する。
【0017】
次に、このように構成されたカード搬送装置1において、カードの搬送動作について説明する。図1に示すように、カード13をカード挿入口15からカード搬送路14内に挿入すると、図示を省略したセンサによってカード13が検知されることにより、図示を省略したモータが駆動され、駆動ローラ6が正方向に回転する。したがって、挿入されたカード13の先端部が駆動ローラ6に対接すると、カード13は幅方向が鉛直方向を指向した状態で、駆動ローラ6とピンチローラ11とによって挟持されながら矢印A方向へ搬送される。
【0018】
カード13が所定の位置まで搬送されると、図示を省略したセンサによって検知され、モータの駆動が停止することにより、カード13の搬送も停止し、この停止位置でカード13に記録されたデータが処理される。データの処理が終了すると、モータが逆方向に駆動され、駆動ローラ6が逆方向に回転することにより、カード13が矢印B方向へ搬送され、カード挿入口15から排出される。
【0019】
このカード13の矢印A−B方向の搬送に当たっては、カード13のカード面13a,13aに対向する対向壁4,10の対向面4a,10aおよびカード支承部材20にカード搬送方向に延びるリブ4b,10b,21aが設けられていることにより、カード面13aが対向面4,10およびカード支承部材20と面接触することなく、リブ4b,10b,21aと線接触する。このため、搬送されるカード13に対する摩擦力が低減されるため、カード13が円滑に搬送される。
【0020】
また、カード13の幅方向の一方の端面13bを支承しているカード支承部材20のカード支承面23に、カード13の搬送方向に向かって連続する凸部23aと凹部23bとが交互に設けられていることにより、カード13の搬送中に、カード13の端面13bに付着している汚れが凸部23aによって掻き落とされたとしても、掻き落とされた汚れが凹部23b内に貯留されるため、凸部23a上に堆積するようなことがない。
【0021】
このため、堆積された汚れの粘性によって搬送されるカード13に対する摩擦力が増大して搬送負荷が大きくなるようなことがないから、搬送不良を抑制することができる。また、凸部23aを断面半円状に形成したことにより、搬送されるカード13の端面13bと凸部23aとが線接触となるため、カード13に対する搬送負荷がより軽減される。
【0022】
ここで、カード支承部材20のカード支承面23の凸部23a上にも汚れが堆積し始めたら、カード支承部材20の係合片22aを弾性変形させ、爪22bと係合孔5cとの係合を解除し、カード支承部材20を図6中矢印B方向に移動させることにより、カード支承部材20をベース部材2から取り外し、カード支承面23に汚れが付着していない新たなカード支承部材20と交換する。このように、カード支承面23に堆積する汚れによるカード搬送不良を未然に防止することが可能になる。
【0023】
なお、本実施例においては、カード搬送路14中を搬送させるカード13を幅方向が鉛直方向に指向するようにしたが、長さ方向が鉛直方向に指向するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…カード搬送装置、2…ベース部材、3…カバー部材、4,10…対向壁、4b,10b…リブ、13…カード、13a…カード面、13b…端面、14…カード搬送路、15…カード挿入口、20…カード支承部材、23…カード支承面、23a…凸部、23b…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挿入するカード挿入口と、このカード挿入口から挿入されたカードを幅方向または長さ方向が鉛直方向を指向するように搬送するカード搬送路とを備え、
前記カード搬送路のカードを支承するカード支承面に、カードの搬送方向に向かって凸部と凹部とを交互に設け、前記凸部を断面半円状に形成したことを特徴とするカード搬送装置。
【請求項2】
前記カード搬送路に、搬送されるカードのカード面に対向する対向壁を設け、この対向壁にカード搬送方向に延びるリブを設けたことを特徴とする請求項1記載のカード搬送装置。
【請求項3】
前記支承面が形成されたカード支承部材を前記カード搬送路に対して着脱自在としたことを特徴とする請求項1または2記載のカード搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−32005(P2011−32005A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177539(P2009−177539)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】